経済産業省
文字サイズ変更
アクセシビリティ閲覧支援ツール

独立行政法人評価委員会産業技術総合研究所部会(第5回) 議事録

日時:平成16年5月26日(水)9:00~12:30
場所:経済産業省 別館9階 第944会議室

出席者

(部会長)
木村 孟 大学評価・学位授与機構長、浅井 彰二郎 株式会社日立メディコ専務、岡田 恭彦 富士通株式会社経営執行役常務、高橋 真理子 朝日新聞論説委員、橋本 安雄 関西電力株式会社顧問、藤嶋 昭 財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長、山野井 昭雄 味の素株式会社技術特別顧問、安西 祐一郎 慶応義塾塾長(欠席)、黒川 清 東海大学総合科学技術研究所教授(欠席)、塩田 進 静岡理工科大学学長(欠席)、松重 和美 京都大学国際融合創造センター長(欠席)

産総研:吉川理事長、小玉副理事長、吉海理事、小林(憲)理事、小林(直)理事、田中理事

経産省:塩沢審議官、瀬戸産業技術政策課長、豊國技術振興課長、倉田産総研室長

議題

(1)平成15年度評価と予備的中期目標期間評価の進め方について
(2)平成15年度評価及び予備的中期目標期間評価について
(3)その他

議事

議題(1)平成15年度評価と予備的中期目標期間評価の進め方について

木村部会長:定刻になりましたので、ただいまから独立行政法人評価委員会第5回の産業技術総合研究所部会を開催させていただきます。

それでは、初めに、配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

倉田産総研室長:資料確認

木村部会長:資料が大変多くなっておりますが、説明の際に資料番号を申し上げますので、そのときにご確認いただければと思います。

それでは、議事次第に従いまして議事に入らせていただきます。

本日は、産総研の平成15年度評価と、予備的中期目標期間評価に係る実績報告をお願いするということになっておりますが、まず事務局から評価の進め方及び留意事項についてご説明をお願いいたします。

倉田産総研室長:それでは、資料の1シリーズを使ってご説明をいたします。

本日、キックオフといたしまして、15年度評価を一連の3回の部会で行っていただくわけですが、今年度は第1期中期目標期間の最終年ということでございますので、どういう位置付けにあるかということをご説明させていただければと思います。

最初に、資料1-2を見ていただきますとわかるとおり、初年度、2年度、3年度、4年度と4年間、これが産総研の第1期の中期目標期間であります。それで、初年度、1年目が終わりますと、2年度の5月、6月、7月くらいに1年度目の事業実績の評価を行っていただき、さらに、2年目の評価を昨年の今ごろ行っていただきまして、今16年度、年度的には4年度目に当たるわけでございますが、今日ここでは、平成15年度、3年度目の事業の実績の評価をまずいただくことになっております。それと同時に、実体的には今年度が最終年度、第1期中期目標期間中の最終年度に当たるわけですから、年度を通した評価というものを行う必要がございます。本来的には年度を通した評価というのは、4年度目が終わった産総研設立後5年度目に中期目標期間終了後の評価を行うわけでありますが、年度を通した評価の結果を踏まえて新しい中期目標期間に移行するに当たっては、第1期目の中期目標期間を通した評価の結果を踏まえて所要の見直しをするということが、独法制度にはインボルブ、ビルドインされているわけであります。本来的にはそれは4年間終わってみないと評価できないわけでありまして、若干問題があると言えばいえなくはないわけでありますけれども、現実的には組織は連続的に動いていくわけですから、新しい中期目標期間に入ったときには、その前の中期目標期間の評価を踏まえた所要の見直しを同時にするということが求められているわけであります。

そのために、この4年度目、最終年度目に当たる今回、3年度目の年度実績評価を行うと同時に、中期目標期間全体はまだ終わっていないわけですけれども、それを見据えた中期目標期間評価を、これは極めて便宜的に、予備的中期目標期間評価と呼んでいるわけですが、これを行っていただきまして、そこでご指摘いただいたことを含めて、新しい来年度以降始まる第2期目の中期目標なり中期計画に反映させていくということが求められているわけであります。

ですから、今回、この15年度の年度評価を行うという一連の評価は実は2つの意味合いがありまして、1つは、従来どおりの15年度の年度評価を行うと同時に、まだ4年目でありまして全てがまだ終わっているわけではありませんが、現時点で全体を見通した中期目標期間全体の評価をあわせて同時に行っていただくということです。

そこで、年度評価と中期目標期間全体を通した評価というのはどのように概念的に切り分けるのかということでありますが、これは現実的にはなかなかすぱっと割り切れるわけではありませんけれども、形式的に整理をしますと、各年度評価というのは、基本的には効率性の観点を中心にしてということになりますし、中期目標期間全体を通した評価というのは、効率性に加えて有効性、これはアウトカム的な評価ということになるわけでありますが、むしろそういう視点を中心にして評価をしていただくということになります。

では、その中期目標期間全体を通した評価はどんな感覚でやったらいいのかということでありますけれども、これは前回、3月に開催しましたこの部会でご議論をいただいたわけでありますが、参考資料1-2「産業技術総合研究所に対するアウトカム視点からの評価のあり方」という資料でありまして、これは前回のこの場でもご議論をさせていただいた資料の抜粋ですが、ページをめくっていただきまして、「具体的な評価のあり方」ということで、A、B、C、D4つの視点を書いてございます。実現されたアウトカムの評価、アウトカム実現に向けたシナリオ・ロードマップの評価、アウトカム実現への寄与が想定されるアウトプット指標の評価、アウトカム実現に向けたマネジメントの評価。その中期目標全体を通した有効性、アウトカム的な評価を行うのであれば、なかなか試行錯誤的な側面は免れませんけれども、このA、B、C、Dの4項目を念頭に置いて評価をしたらいいのではないかということで議論をさせていただいたものと承知しております。

これは、参考資料1-2の3ページ目を見ていただきますと、どんなイメージかということでありますが、有効性といっても産総研は研究開発を行う法人でありますから、たかだか4年の中期目標期間で有効性、技術が社会に伝えられ、その結果として我々の生活が変わるということが早々は起きないわけでありまして、そういうタイムラグを考慮しますと、研究所はずっと続いていくわけですから、例えば過去のそういうアウトプットが現に有効に機能して、アウトカムとして今実現しているものであるとか、今やっていることは明確に将来のアウトカムにつながるようなことをやっている、そういうマインドできちっとやっているんだというようなことを評価してみようじゃないかというご議論だったと思います。

ですから、A、B、C、Dを概念的に分ければ、恐らく過去のアウトプットを今の時点で実現したとみるのがA、実現されたアウトカムの評価という視点になりますし、B、C、Dは、今、産総研自身がマネージし、いろいろやっていること、短期的に出てきた指標が、それは将来のアウトカムにこうつながるというような想定のもとにやられているというところで、この中期目標期間の部分を評価していただくしかないのではないかということでございます。

本日以降、産総研から実績報告をいただくわけでありますが、そこは産総研にはお願いをいたしまして、A、B、C、Dの視点を入れて業績報告をいただくことにしております。特に本日は、このA、B、C、DのうちのCとDに関しまして産総研からのプレゼンの中に含まれているという、そういう整理、考え方で本日の報告の構成をお願いしてございます。ちなみに言いますと、AとBは次回、6月3日になると思いますが、お台場で行う研究の成果を中心にした業績報告のときに触れていただこうと考えております。

次に具体的な手順になりますけれども、今度は資料1-1に評価のスケジュールという資料をつけてございます。「産総研部会:評価のスケジュール」という資料でございます。一番上が本日になりますが、今私が、1.で「平成15年度評価と予備的中期目標期間評価の進め方について」という説明をさせていただいているわけでありますけれども、この説明のあと実際に評価を行っていただくわけでありまして、本日は、産総研のマネジメントなど全体のご報告と、今まで明示的に取り上げてきていませんけれども、管理関連部門も相当大きなウエートを占めているものですから、特に管理関連部門に関して産総研の方から報告をいただきたいと思っております。中身の評価というのは、きょうの管理関連部門、それから全体の報告と、来週の木曜日6月3日でありますけれども、お台場で行います評価部会、ここでは研究の中身に関してのご報告をさせていただくわけでありますが、この2つを合わせて、その結果から委員の方々に評価をいただくわけであります。

評価表は例年と変えていません。どういうイメージかといいますと、資料1-3のとおり従来2回皆様方にお願いをしている評価表と全く同じであります。違うのは、一番右側に「中期目標期間評価」の欄を追加しているということであります。本日が終わりましたら、この評価表を、エクセル、一太郎、ワードのような電子媒体もしくはペーパーも含めましてお送りさせていただきますので、委員におかれましては、お好きな形態でこれにご記入をいただければと思っております。

その際、中期目標期間全体の評価をするときには、特にこれまで2年度にわたって各委員からそれぞれ評価をいただいてきているものですから、過去どう評価をしたかというふうに振り返られることもあると思いますので、個別各委員ごとに、これまでの2回の評価表の写しを各委員に同時に送付させていただきたいと思います。ですから、それをご覧いただき、去年、おととしはどうしたかということもご参考にしていただき評価を開始していただければと思います。

資料1-4がどういう評価基準になっているかということ。これもこの評価を開始するに当たって初年度に決めておりまして、概念的には、中期目標期間に係る業務の実績に関する評価のための指標というのと、各事業年度の指標というのが分かれています。

それから、共通的に総括として取りまとめさせていただいた13、14、各2年間の産総研の評価の総括的なコメントに関しましては、資料1-5と1-6に取りまとめさせていただいているということであります。ですから、これもご参考に各委員それぞれがどういうふうに評価したかということを踏まえて記入を開始していただければと思います。 再度、資料1-1のスケジュールに戻っていただきますけれども、本日5月26日に管理関連部門と全体説明、6月3日に研究部門の説明、ご報告をさせていただきます。もちろん、そこの部分だけでわからなかったことは、事務局に適宜ご質問いただければ、それに関しては責任をもってお答えさせていただくということ。その上で、このお送りする電子媒体、紙媒体、双方どちらでも構いませんが、記入していただいた後に、できれば6月18日、ちょうど次回の第2回目の研究のご説明をさせていただいてから約2週間後を目途に、事務局に評価結果を送り返していただければと思います。

6月18日までにいただいた評価結果を当方で取りまとめまして、まず産総研には、集計結果を委員名を伏せて送付いたしまして、むろん産総研として、例えばここは事実誤認に基づくのではないかとか、当然産総研サイドとしてコメントがあろうかと思いますので、そういうものに関してはコメントをいただきたいと思っております。

その上で、取りまとめた結果をもとに、この資料1-1のページをめくっていただいて2ページ目でございますが、第3回目、最終の取りまとめを7月14日の水曜日の9時から部会を開催させていただきたいと思っております。ここで報告をいたしまして、冒頭は産総研にもご出席いただきまして、むしろ委員の皆様方から出された評価結果、コメントに関して、産総研としてさらにコメントがあるようであれば、その場で若干の議論をさせていただき、その後に、委員の方々だけで最終的な取りまとめをしていただくということが、7月14日の第3回目でございます。

その結果として、部会としての評価結果がまとまりますから、それを7月30日に予定されている親委員会で、産総研に関しては報告がなされる予定になっております。

本日の位置づけと全体の今年度の評価のイメージ、それからスケジューリングに関してご説明をさせていただきました。私の方からの説明は以上であります。

木村部会長:ありがとうございました。

ご説明いただきましたように、今年度は3年目の年度評価と同時に、最終評価へ向けての予備的な評価を実施していただくということになります。本来ですと中期目標期間の評価というのは、中期目標期間が終わってからやらなければいけないのですが、ただいまご説明いただきましたような事情がありますので、今年度どうしてもやらざるを得ないという状況になっております。よろしくお願いいたします。

ただいまのご説明に関して、何かご質問等ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。

A、B、C、D4つの項目がありますけれども、それについてご説明を伺って、我々で作業するということになると思いますが、よろしゅうございますか。

議題(2)平成15年度評価及び予備的中期目標期間評価について

木村部会長:それでは、引き続きまして産総研から、平成15年度実績を含めたこれまでの第1期中期目標期間における取り組み等についてご報告をお願いしたいと存じます。進め方としては、最初に業務全般について吉川理事長、次に詳細について吉海理事からご報告をいただきますが、このご報告は、先ほど事務局から説明いたしましたとおり、中期目標期間全体に対する評価のうち、Cの「アウトカム実現への寄与が想定されるアウトプット指標の評価」と、Dの「アウトカム実現に向けたマネジメントの評価」を行うためのものでございます。A、Bについては、先ほどもご説明ございましたように、6月3日にお台場へ伺ったときにご報告を受けるという予定でございますのでよろしくお願いをいたします。

それでは、吉川理事長と吉海理事からご報告いただきました後、ご意見を委員の皆様方にいただきまして、その後、少し休憩を取りまして、さらに、初めての試みでありますけれども、管理関連部門についてのご報告をいただきたいと考えております。

それでは、吉川理事長よろしくお願いいたします。

吉川理事長:資料2に基づき説明。

吉海理事:資料2-1に基づき説明。

木村部会長:以上、先ほどから申し上げておりますC、「アウトカムの実現への寄与が想定されるアウトプット指標の評価」並びにDの「アウトカム実現に向けてのマネジメントの評価」という視点から、資料2並びに資料2-1を使ってご説明をいただきました。

大変ボリュームのある資料でございますけれども、少しここで時間をとりましてご質問等いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

高橋委員:資料2-1の11ページにありますベンチャーのところで、産総研認定ベンチャーはそれ以外のところと何が違うのでしょうか。認定ベンチャーの定義を教えて下さい。

吉海理事:認定ベンチャーの定義は、産総研で生まれたシーズあるいは外部のシーズと組み合わせた共同研究の成果をベースにいたしまして、産総研が組織としてバックアップした結果生まれてきたベンチャーという意味でございます。この認定を受けますと、例えば、その後の研究を展開していくときのメリット、あるいは、そこで生まれました特許の実施料に関する減免措置等の支援が得られるということになっております。

藤嶋委員:資料2の7ページで研究ユニット、ことしの4月1日でかなり改編されたわけですが、特に廃止とか見直しとか何かがあったということなのでしょうか。7ページの一番下にあるのは、どういうような評価とか、あるいはいきさつでこういうような廃止等が行われたのでしょうか。

吉川理事長:分野別によってさまざまな理由があるわけですが、基本的には、産総研が現在の産業の中で、産業振興のために有効な技術情報を提供できるかどうかという視点があるわけです。そういうことで、研究としては継続させるべきではあるが、そのようなアウトプットが何年後に出るかということが見通せないものについては、例えばセンターは廃止し、部門の中の一研究グループとして置くなど、いわば時間の状況においてさまざまな改編が行われたという例が1つあります。

もう1つは、産総研として、もはやその機能は必要ないという判断です。例えば外部に産業として非常に大きなものができたといった場合には、それを廃止するというのもあります。ここには書いてありませんが、例えばフッ素系等温暖化物質対策テクノロジー研究センターは、現在、世界的にフロン問題というのが出ており、そういったものはいわばルーチンにかなりなってきて、産業としても、そういったことについては精度も含めてかなり成功してきたということであるので、廃止する。しかし、ここで行われている基礎研究のグループは依然として残そうということで、部門に入れたということです。そういったさまざまな理由があります。

藤嶋委員:そうすると、研究者はちゃんとうまく個々の評価をされて、さらに適したところに移っていただいたということですね。

吉川理事長:そうです。個々の場合で違いますけれども、例えばユニット長はいろんな経験を積んだということで、首席評価役に移ったり、あるいは研究者としてまた再び部門の研究者に戻ったりとさまざまなケースがございます。

橋本委員:先ほど吉川理事長から、産総研の研究の主な役目は大学と産業の間の連携と、こういうことをおっしゃって、私もそうだと思うのですが、質問は、国立大学が独法化になったと。そうすると、産総研との区別。まだそれほど表面的にはわからないんですが、相当国立大学の方が産業寄りになってきているような感じがしておりますので、この区別――区別といいますか、これをどういうふうに考えられるのか、これが1件。

もう1件は、これは少し小さい問題ですが、先ほどマッチングファンドというのが吉海理事からありましたが、6億円。これは、つくばとその他と分けてどのくらいになるんですか。なぜこういう質問をするかといいますと、どうしてもこれは地方のひがみかもわからんですが、一般的な支援はつくば――これは別に産総研だけじゃないんですが、東京中心になると思うんです。その点、現在どうなっておるか、将来、またどうお考えになっておるか、この点。

吉川理事長:2点目は吉海理事からお答えしますが、最初の件ですけれども、確かに産学連携ということは非常に強くいわれまして、国立大学法人化に伴って産学共同センターを各大学がつくるということを盛んにやっておりまして、連携は盛んになると思います。ただ、私も大学と両方経験してみまして本質的に違うことがありまして、それは、大学の組織は教育によってつくられているということです。ごく一部の大学は研究によって組織をつくったというのがありますけれども、基本的には教育によって組織化されていて、研究というのは、いわばその教育システムの中で行われます。たまに教育システムをはみ出して連携して研究する時もございますが、基本的には教育システムの中で研究をやります。そうすると、現在、社会において新しい問題が起こってきて、伝統的な学問分野とは全く違うというような問題が起こってきた場合には、組織論的には大学は非常に難しいということが1つあります。

そういう組織論的にやや教育側の組織をもっているということに加えて、大学の単位は小さいということもあります。教授がいて学生がいる、助教授がいて学生がいる、国立大学のほとんどはこういう構造になっています。そうなりますと、中には強固に研究しているところもありますけれども、平均的にいうと研究の単位はかなり小さい。学生が非常に多いところでも20人とか、そういうふうに考えていただいていいと思います。

産総研においては、研究員が多ければ100人であるとか、場合によってセンターでも何十人という形で組めます。そういったことで、いわば研究を組織的に行うという意味では、産総研は非常に大きな特徴をもっておりまして、そういうことで、サイズも含めて産業のさまざまな要望に応えられる、そういった機能をもっています。そういったことで、私は、産学連携というのはやっぱり大きなテーマで、個別テーマで細かいものもたくさんあってもいいのですが、同時に、日本で産業変革を起こすためにうねりを変えようなんていうときは、やはり大きな共同研究が行われるべきだと思います。それはやはり産総研のような組織がないと多分できないだろうと思います。

しかし、私どもの分類で第1種基礎研究というのがあるのですが、これは研究の種をみつけてくるという非常に基礎的な研究。これは大学が非常に特徴的ですから、そういうところに大きな比重を大学はもつであろうと思います。産業は、もちろん利益につながるところです。その間のギャップというのは、今までの産学共同でやろうとしても非常にうまくいかない。先ほど申し上げたように、例えば第2種と呼ばれるリンク、いわゆる狭い意味の基礎研究と産業とを結びつける第2種基礎研究というのは、多様な分野の人間が共同作業で多数集まらないとできません。それはまさに産総研のミッションだろうということで、全国的に我々の中でも本格研究というのを行っているわけです。その概念を日本に広げていけば、大学、産総研、企業というような大きな本格研究という概念的な構造ができて、これは日本の産学協同にとって非常に有効ではないかと思っています。ですから、大学の動きと矛盾しない非常に上手な区分けができるのではないかと考えています。

吉海理事:2つ目の点でございますけれども、現状で申し上げますと、つくばが6割、その他の地域が4割。受託研究としてみますと、つくばが7割を占めております。そういう意味からいたしますと、つくばを除いた地域がどれぐらい実質的、本格的に企業との共同研究を展開できるかというのは、一つの大きな課題ではございますけれども、限られたリソースあるいは研究ポテンシャルの中で大型の共同研究を組むというのは、これは容易ではないと思っております。ただし、関西とか中部におきましては、先ほど紹介がありました日本ガイシと、3年間で毎年1億という資金提供を受ける共同研究が実現しているとか、地域とはいいましても関西、中部というのは、集団としてそれなりの実力をもっているのだと思うのですが、できるだけその他の地域におきましても、企業と機動的にフォーメーションが組めるように、つくばとチーム編成がうまくできるというスキームがやはり大事だと思っております。そういうことからしますと、例えば東北センターは超臨界とメンブレン化学という2つの大きな柱で動いておりますが、企業のコンソーシアムを独自に形成いたしまして、20数社が集まってまいりました。そういう実績を一つのモデルにしながら、地域のより有意義な展開ということを工夫していきたいと思います。

岡田委員:ちょっとシンプルな質問ですが、資料2-1の2ページ目なんですが、従来、特許出願件数1,000件以上としていたのが、実施契約件数350件に目標変更したと。共同研究件数とか計量標準なんかでは目標を上方変更されているわけですけれども、この実施契約件数350件に目標変更するということは、これは実質的には上方変更に当たるのか下方変更に当たるのか教えていただければと思います。

吉海理事:目標設定の変更の過程は、もちろんこの評価委員会の場でご議論いただいてご了承いただいたものでございますけれども、特許の出願件数でいいますと、平成15年度は既に1,800件のレベルまで来ております。正直申し上げますと、出願がこの4月まではコストがかからなかったものですから、出す方が得だという、そういう現実の動きがございまして、件数は伸びるけれども、実際にそれが社会還元という評価の対象になるためには、使われているかどうかというのがやはり大事だろうという視点から、実施契約件数に目標設定を切りかえた経緯がございます。出願件数が1,000件をはるかに超えるレベルになりますと、さまざまな事務プロセスの作業量が大変膨大なものになってまいりまして、作業効率あるいは後ほどの管理関連部門にも関連しますが、効率性という意味からも、実施契約で成果を売り込むという、そちらの方に的をシフトした方がいいのではないかという判断でございます。

岡田委員:もう1点、そういう意味でやはり記憶が定かじゃなくなっているということなんですが、8ページに「1%の業務経費効率化」というのがあるのですが、1%と定めた論議経過みたいなことを、もう1度ちょっとご紹介いただければありがたいのでございますが。

倉田産総研室長:若干私の方から補足させていただきます。

ちょっと戻りますけど、特許のところは、議論を思い起こしますと、もともと1,000件という目標がありましたが、議論させていただいたときには、もう優に超えていたと。それから、本質的には吉海理事がおっしゃったように、実際に社会で使われてその有効性がはかられるものなので、本来であればそれは実施料であろうと。ただし、実施料であると、どうしても遅効指標といいますか、できてから使われるまでに時間がかかるものですから、年度内の評価としては実施件数でいいのではないかということでご議論いただいたものであります。

それから1%というのは、平成13年の4月に国から切り出して独法になったものは産総研だけではなくて種々多くございます。その多くは国立の研究所だったわけでありますが、ほぼ同一的に1%というような数値指標が導入されております。これは、もともと行革会議の最終報告に至る議論の中で、効率化という視点も相当に前面に出されて議論されていて、そのときに、当然独法になったのだから効率化するんだろうということで1%があった。なぜ1%で2%じゃなかったのかとか、0.5%じゃなかったのかというのは、多分わかりやすかったからではないかと思います。それ以上には恐らく理由はなかったと。ただし最近、新たに国ではなくて従来の特殊法人から独法化してくるような組織に関しては、逆にいえば、特に管理費に関しては厳しい効率化目標、大体平均すると3%のようですけれども、そうなっている。

それから、蛇足ながら申し上げると、この16年の4月に国立大学法人として法人化した国立大学は、やはり1%の効率化目標というのが設定をされております。

高橋委員:今の関連で、効率化したのがお金で出ているのですけれども、パーセンテージでいうと、各年度どれほどになるんですか。

倉田産総研室長:正確にいいますと、中期目標上は、その4年間を通して毎年度にならすと1%ということなのですが、交付金が約684億円ですから、仮に1%だとすると6.8億円なので、平均するとほぼそれくらいかなということであります。

山野井委員:これは次のステップになるんですが、吉川理事長ご説明の24ページ、「組織の見直しのポイント」の下の方に「広報戦略企画機能」というのがあるんですけれども、先ほど来ご報告を伺っていて、やはり社会との接点の拡大ということに随分尽力されていると思っています。これは極めて多面的なことで、研究もあるしいろんな面もあるわけですが、1つ私が気になっていたのは、産総研さんの最先端の研究成果がいろんな新聞等に発表されると、もちろん学会もありますけれども、実は先ほど、社会への還元ということを理事長がおっしゃったんですが、その点でもう1つ、税金を出している一般国民の皆さんが、産総研というのはこういうことをやっているんだと、こういう将来夢のある、あるいは現在夢のあることに取り組んでいるんだということについてのPRが、学術誌を見てもそれはわかりませんので、ぜひそういうPRを、一般の国民の皆さんが理解し期待できるような形での、もちろん等身大で、余り大きくいう必要はないんですけれども、ぜひそれを考えていただきたいと思っていたんですが、今後、それについてどういうようなことを考えておられるのかというのが1点です。

吉川理事長:例えば研究所の公開等は、これは今までと違って全国一斉にやるとか、あるいはお台場にセンターがありますけれども、そこの1階に広報室というのを設けまして、そこに常時展示をする。隣に未来館という一般の人が集まる場所がありますので、ぜひ人の流れをこちらにも引っ張ってきて、産総研ではこういうことをやっているのだということを一般の人々にみてもらうといったことです。

あるいは組織替えでは、今までは幾つかの部門に分かれていたのを、広報部という新しい部をつくりまして、一般向けに対する広報もする、そういう体制を整えてきたわけでございます。

小玉副理事長:後半の「研究支援部門の取り組み及び成果」の方でも、成果普及に対してどういう考えで取り組んでいくかというのをご紹介できると思いますが、例えば、今では多くの方がホームページを見られます。このホームページが見やすいかどうかというのが非常に大きな入り口ですけれども、我々が自前でつくったというよりは、専門家の診断を受けて、効果的に成果を伝えるにはどういうフォーマットがいいかというようなことを今行っておりまして、これは早々に変えていきたいと思っております。

そのほか、産総研という形で、ほとんど連日のように一般紙あるいは産業新聞には出ておりますが、逆にいうと相対として、だから何なんだというのがわかりにくいというようなことも確かにありますので、そういう意味でホームページなどに、どういうカテゴリーのところをカバーしているのかということをわかりやすくしようという試みを行っております。

山野井委員:ありがとうございます。これからますますこういう機関というのは、どれだけ開かれているかということが評価の対象になりますので、どれだけたくさんの人にわかるかということも大事なんです、専門家だけじゃなくてですね。今まで決してやっておられないということじゃないんですが、ぜひお願いしたい。

もう1点なんですが、これは前からお話を伺っていますけれども、第1種、第2種、製品化と、全部まとめての本格研究ということですが、やはり中心になっているのは、私は第2種基礎研究だと思うんです。この第2種基礎研究というのは、あえていえば第1種、ですから産業化するということを特に目的に置かないような研究をどう産業化につなげるかというのもあるし、最初から第2種という形で、産業化というものを一応想定しながら、しかし、ずっとさかのぼってきて基礎的なところからたたかないと、というのもあると思うんです。

いずれにしても、いわゆる学術的な研究、これは産総研だけの研究ではなくて、大学も含めて、あるいは世界的なほかのところとやったものも全部考えていいと思うんですけれども、それが産業につながるかどうかということについて、あえていえば、トランスレーショナルな研究なんですね。基礎的な研究が産業化というものにトランスレートできるかどうかという、実はそこが一番、よく吉川理事長もおっしゃっておった、悪夢のそれを乗り越えるかどうかというキーポイントだと思うんです。ただし、ここの場合は、マーケティングというかマーケットの知識がないと、単に技術的にどうこうというだけじゃちょっと乗り切れないと思うんですが、この辺の体制はどういうふうに――先ほど、いろいろな人たちがかかわってやっていますといわれたので、大変心強く思ったんですけど、いかがでございましょうか。

吉川理事長:例えばベンチャーセンターというものを我々はもっていますが、ここでは、いわば研究者ではない、実際にベンチャーの経験をやって、マーケットが一体どういうふうになっているのかということを熟知し、そういうところで成功した人、失敗した人、こういう人が集まってきています。その人たちが研究ユニットを回りまして、研究の内容をみて、複数研究のユニットを集めればこうなるとか、そういう判断を行える体制が1つございます。

あとは、技術情報部門というところがございまして、これは非常に体系的に現在の技術動向あるいは産業のニーズというものを調査しておりまして、それと現在の研究の中身というものをどうやってドッキングさせるかというようなこともやっております。

また、ユニット長という立場になりますと、自分の研究室を本格研究でまとめていくという義務を負っておりますので、その製品化、自分たちの研究分野はどういう製品に結びつくのかということで常時アンテナを張っています。これは現実的にベンチャースクールとか産学協同、そういったいろいろなこともやっている、ということだと思いますけれども、なかなか難しいことですが、ますます強化しなくてはいけないと思っております。

山野井委員:非常に難しい問題だと思うんですが、必須だと思うんです。

吉川理事長:そうだと思います。そのとおりです。それは最大の課題だと考えております。

山野井委員:期待しておりますので、総力を挙げてぜひお願いしたいなという感じで申し上げたんです。

藤嶋委員:私も広報が一番大事だなと思っているんですけれども、産総研が大き過ぎて、各地方のというか、北海道とか九州とか四国のところが余り、新聞記事をずっと送っていただいて読んでいるんですけれども、そういう各地方での話題が余り出てないんじゃないかなと、前に比べてですね、というのはちょっと思っているんですけれども。

それに関連して、私自身も、きょうのお話を聞いていて、KASTというのは産総研の大体100分の1だなと。神奈川県の予算を10何億いただいて一生懸命やっているんですけれども、私たちはやはり貴重な税金を使っているということで、県議会の先生方からは徹底的にいつもやられています。一般の県民にちゃんと広報しているかというのは、私たち常にいわれていることでありまして、私たちも苦労しているんですけれども、今日ちょっといいチャンスだったので、私それを考えて、例えば神奈川新聞に毎週、「お茶の間サイエンス」という、エッセーというか簡単な、私たちがやっている研究を700字でまとめて、毎週報道してもらっています。

今日はちょうど水曜日の朝なものですから、光に絡んだ「オパールの輝き」というので、なぜ虹色にオパールはみえるかというのとフォトニッククリスタルと絡んで、これからの光技術はオパールの原理を使ってやろうとしていますよというのをちょっと紹介させていただいたので、後で回覧させていただいて読んでいただければと思っています。やはり一般の人が私たちがやっていることを理解しないと、最終的には、何だあれはということになってしまうので、一般の人がわかるような広報というのは非常に大事だなと思っております。特に先ほど申し上げたように、つくばのセンターはいいんですけれども、各地域の産総研がどうやっているかというのは、九州なら九州、四国なら四国の人たちに広報するというのもやはり重視した方がいいんじゃないかなというのはちょっと感じました。

浅井委員:それに関連してですが、この前、類似の機会があったときに、産総研の十大ニュースって何ですかっていう質問をしたんですね。全く同じセンスでして、産総研側からみて、世間に訴えかけたと思う最大のポイントが10ここにありますというようなアピールと、それから、世間からみたパーセプションがどのくらい一致するかというところがポイントなんじゃないかなと思っていまして、今のようなご議論、これもおもしろいなと思っておりますが、そういうポイントが1つです。

吉海理事:まず、地域と広報の関係でございますけれども、産総研になって一本化されまして、つまり新聞発表もすべて産総研。そこに出てくるのはユニットであって、ローカルな名称がダイレクトに出るかどうか、これは記者の表現の問題になっていくわけです。多分そういうところから、新聞発表、新聞掲載頻度は年間1,500件ですから、これは相当なものだと思うのですけれども、それは産総研でありユニットとして登場する。そこが今のご指摘のような不都合をやや生じている部分かもしれません。ただ、地域においては、一般公開を毎年1回ないしは場所によっては2回行って、地域の方々に活動内容を詳細にみていただくという工夫をしておりますし、それから、サイエンス教室というのを、そういった一般公開とあわせましてやっております。それから、経済局と連携している部分があると思うのですけれども、いろいろな形で課外活動、所外活動というものを展開している部分がありますから、そういう機会をつかまえて、私どもがやっていることが広く認知されるようにするという努力は、必要だろうと思います。

それから、浅井委員のご指摘のところは、6月3日の研究内容の成果紹介のときに改めてご報告を申し上げたいと思いますが、ご指摘のとおりだと思います。

浅井委員:別のポイントなんですけれども、研究テーマの選び方でございます。最初の理事長のご説明によれば、ミッションの共有のところ、1ページだとか、それから、例えば理事長が産総研ミッションに立脚して研究の方向性を示すんだと、そして研究ユニット長がそれを履行するということでテーマが成立するんだと、こういうプロセスですね。それからまた、ここに産総研のパンフレットがありますが、この最初のページの右の方に、これが使命なのかなと思うんですが、新しい産業の創出に向けた幅広いスペクトルでの研究をやるんだということだとか、行政ニーズあるいは将来の行政ニーズを予見した研究をやるとか、そういうことが書いてありますが、つまり方向性は大変いろんな形で示そうという努力をしていらっしゃるし、それからまた、研究者側もいろいろな提案をしてテーマが出てきているんだろうと思います。

そのところ全体をみて、果たして重要なテーマが欠けていないかとか、責任を果たすために十分な迫力ある取り組みになっているかどうか、そこのところの点検なんですけれども、例えば、今、京都議定書みたいな話は大変国家的な課題になっていると思います。それは一つの例なんですけれども、大変達成が難しいと。これは環境問題として、産業問題としてどう取り組むかみたいな話は、やはり産総研、私はアウトサイダーだなんていうわけにいかないと思うんですね。そういったところに対して、今やっていることが十分なんであろうかというような感じでみてみると、かなり問題意識が出てくると。要するにトップダウンとボトムアップのバランスをどうやってとるかということと、なおかつ、どっかにもう少し取り組み足りないところがあるなとか、また、そういうことを考えた上でテーマの改廃みたいなことを考えられるか。結局リソースは有限ですから、テーマがいいかどうか。これはなかなか見込みがあるとか、そういう判断だけではできない、もっと高度のバリューに基づいたテーマの取捨選択というものもあるのではないか、そんなようなことを考えてちょっとご質問させていただきたい。

吉川理事長:大変難しい問題なのですが、浅井委員と思いは同じであるという気がします。例えば京都議定書のお話が出ましたけれども、これは我々としても最大の課題だというふうに考えておりまして、先ほど申し上げたように、産業変革というのは持続可能な開発といわれる一方で、壁は環境問題ですけれども、その中で矛盾を起こさない産業ということを非常に大きな目標にしております。すなわち、それが一つのミッションなのです。

そういったことで、例えばエネルギーということを考えてみますと、もちろんエネルギー政策というのは国家的なものでやるべきですけれども、そのエネルギー政策をどうやって技術で実現していくかということについては、ご指摘のように、これは産総研としても責任があるということで、非常にわかりやすくいえば、我々はエネルギー輸出国になろうということです。少しこれは言葉のあやみたいな話ではあるのですが、エネルギー輸入国で、結局輸入というものを通じて環境負担を日本が与えている。これは研究の世界でも国際的な非難を浴びているわけなのですけれども、そうではなくて、我々はエネルギー輸出国なんだと。再生エネルギーにエネルギー源を転換することは、結局、我々の機械工業の能力あるいはハイテクの能力というようなものを集中的にエネルギー技術開発に使うことにより、エネルギー輸出ということで、再び我々は、産業立国というか、そういったものにつなげていくことができる。すなわち、今後、日本は何で生きていくのか。これは技術で国際貢献していくしかないと思うのですが、その国際的貢献というのは、結果的には環境問題に寄与するということと重ならなければ、それは許されないということで、再生エネルギーというのは非常に重要なものになってきます。

そういったことで、太陽電池、太陽光発電ということに関しては、非常に急進的な技術がたくさん産総研にありますけれども、それだけではなくて、水素の問題であるとか、あるいはバイオマスの問題であるとか、そういったことを体系的にエネルギー技術という観点から政策立案に対する有効な助言を提出し、その背景としての技術開発を我々は行うのだと、こういうシナリオのもとに進行しているという意味では、決して政策論あるいは一つのシナリオ作成ということと無縁ではないということです。

もう1つは全く違う話で、それは情報ということですが、情報というのは、従来は幾つもの研究のスタイルがあって、コンピューターが進めばいろいろな情報処理ができるというような進み方もしてきたわけですけれども、一体我々が安心・安全というようなことを国の問題として、国際的にも人間のセキュリティーということが言われていますけれども、そういった中で、情報技術というのはどういうふうに役に立つのか。いわば情報研究をするために情報技術として必要なもの、すなわち社会においてどういう技術が必要なのかということからみた研究計画というものを立てるということを強く要請したわけです。そして情報研究の人々は、それに基づいて、一つの製品からみた、もう少し平たくいえば、出口から見たというのでしょうか、そういった方向から見た情報研究というものをつくり、ユニットを組織したわけです。

そういった形で、社会における技術の使われ方を非常に重要視した研究計画を立てているという意味では、先ほど申し上げたように、浅井委員と同じ思いだというのはそういうことでございまして、そういう路線でやった結果がどういうふうになっているか。もちろん、その中で何が欠けているかというのはありますが、これは全く違う話になりますけれども、3,000人いると年間100人ぐらいの人員が空きます。したがって、新しいユニットにそれを投入してつくるということも可能なわけで、研究テーマも非常にフレキシブルに動き得るという体制を維持しているということです。ですから、1人やめたら、そのユニットに人員をつけるということは絶対しない。理事側に集約して、それを配分していくということですので、非常に内容的にはフレキシブルだということです。

浅井委員:ありがとうございました。

今おっしゃったことの中に、国全体の研究開発の中における産総研のポジショニングというものですね、先ほど他の委員からも出たんですが、企業の研究と産総研の研究と大学の研究、国家全体の研究の中における産総研のポジショニング、これをどういうふうに考えるかということに関するお考えが、今のお話の中にかなりクリアに出ていたように拝聴しました。その辺のところをさらにうまく、フレージングといいますか、きちっと言葉にあらわしていただけると、産総研のスタイルといいますかポジショニングといいますか、構え方がよくわかってくるんじゃないかなというふうに思いました。

橋本委員:先ほどの特許の話に戻って恐縮なんですが、特許数あるいは論文数と、こういった数値的な目標は非常に大切なことで、計画どおりあるいは計画以上に進んでいるということにつきましては、大変敬意を表します。ただ問題は、中身が一つ問題なのと、それから、以前に吉川理事長からお話しがございました特許数とかあるいは論文数というのは結果であって、目標ではないという理念的なお話がございまして、私もそのとおりだと思いますが、ただ、私の経験からいいますと、ユニット長の方々などは、吉川理事長の理念は理解されても、どうしても数字で縛られてくるのではないかということ。一般企業は絶対そうなのですが、その辺がこの3年間で、私は、3年間くらいは当然まず数字でコントロールするべき、それが成果が一番上がると思うのですが、今後をどういうふうにやっていくか。理事長の理念と、それから数字だけに――だけといったらいけないのですが、一番わかりやすいですから、どうしても管理される方はそれにとらわれる、私はそう思うのですけれども、その辺のギャップが現在あるのかないのか、あるいは今後どうされていくのか、できればお聞かせ願いたい。

吉川理事長:確かに私ども、理念としては、数は問題にしないのだと、内容なのだと言っているわけです。しかし、評価というのは、例えば私が全部やるわけではないので、現場のいろいろ専門性のある評価がされます。外部の人も入ってくる。そういう外部評価もやっています。そうすると、どうしてもわかりやすいのはやっぱり数だということで、現場からは、数ではないと理事長がいっているのに数で評価されたという声は現実にはもちろんあります。しかし、それに対してはもちろん、考え方の全所への広がり方の時間差の問題でそうなっているのだと思っておりまして、やはり本質的には質でいこうということです。一番端的な例が、第2種基礎研究と呼ばれるものは、これは多くのディシプリンを集めて研究するということですから、いわゆる従来の学会に出す論文という意味では出にくいのです。あるいは、学会で一流と評価されるような形の論文は非常に少ない。しかし、これをクリアしなければ製品ができないわけですから、非常にそこには矛盾があります。

そういうことで、少なくとも将来、社会的に評価されるはずなので、第2種基礎研究を産総研の中でどうやって評価していこうかということは喫緊の課題、緊急の課題なのです。そういうことで、とりあえず我々は第2種基礎研究で成果を上げた研究者を表彰しようという表彰制度を取り入れまして、この4月初めに、1人のユニット長と2人の研究員を表彰しました。研究グループを表彰したのですが、そういったことで、非常に価値のある評価方法というものを今つくっております。研究者たちには、表彰を通じて理解してもらったような気がしますので、そういったことは気を抜かないでやっていこうと考えています。

将来は、できれば第2種基礎研究のようなものを評価する尺度というものを社会的にPRしまして、例えば学会でも、そういったことがどんどんできてくるようにしたいと思っております。一方で、私は学会を集めて横断型研究、ご存じかどうか、最近スタートしたのがありますが、40学会を集めたのです。ほとんど工学系ですが、人文系なども入っています。そういったことで、横断型基幹科学技術研究団体連合というのをつくりまして、そこでもやはり研究ソース、第2種的な尺度をどうやっていくかというような議論を盛んにしております。これは産総研の中だけではなくて、学会サイドでもそういう評価基準をつくろうというような動きを今始めておりますので、日本的にはそういうことができるのではないかと思っております。

木村部会長:ありがとうございました。

今の橋本委員のご質問と吉川理事長のお答えですけれども、これは日本の評価のやり方そのものにも今後非常に大きな影響を及ぼしてくることだと思います。ご承知のとおり、総務省は、できるだけ数値目標を出せということをいっております。そういうことから、ただ今の吉川理事長のお話はよく理解できるのですが、どうしてもこういうやり方をやらざるを得ない。しかし今後ずっとこういうやり方を続けていくと、一体どうなってしまうのかということですね。恐らく世間は――世間もそうだし総務省などもそこのところへこだわってくるでしょうから、そうすると、本当に組織をよくするためにどうするかという問題を真剣に考えていかないと、大変なことになるのではないかという気がします。

私ども、ことしの4月から国立大学と同じように法人化されたのですが、文部科学省からとにかく数値目標を出せと言われています。例えば生涯学習という枠組みの中で学位の審査をやっておりますけれども、何件審査をやる事としているのかまで書けということをいわれています。ナンセンスな方向に向いつつありますね。日本が全部そういう方向へ行ってしまうと非常に危険なことになるのではないかなと思っておりまして、やはりこれは省庁挙げて評価のあり方等、総務省と協議していく必要があると強く思っています。吉川理事長、その辺いかがですか。

吉川理事長:そのとおりですね。例えば第2種基礎研究でいいますと、結局は第2種基礎研究も論文の数で最後は出していかなければと思うのです。そうすると、今は学会を通りにくいのですが、そういうジャンルをつくって、結果的には、第2種基礎研究を行った人の論文数がふえるというようなことでもしないと、これは矛盾してしまうのです。ですから、一方で、そういう数による評価というのが日本文化に対してプラスじゃないのだというキャンペーンを張ると同時に、現実にその研究者を救済していくためには、同時にそれを数にしていくという努力もやはりやるべきだというふうに思っています。そうしないと、どこかに被害がいってしまいます。そういうことでうまくいかないと思っています。

高橋委員:資料2-1の経費の削減のところにまた戻るんですけれども、独法の性格は、吉川理事長はようやくわかってきたとおっしゃったんですが、私はいま一つよくわからなくて、毎年1%運営交付金を減らしていくという目標が意味するところは何なのかということが、すとんと落ちないんですね。数字でみると、6億円平均で減らした。減らすと、次の年の運営費交付金が減ってくる。減らす努力は、予算が減る方向に行くということになりますよね。これは数字をみると、その分、外部資金で埋めていると。外部資金が20億になって、よかったねといっても、それは運営費交付金が減った分をそこで埋めているということになるのかなと。そうすると、一体何をやっているんだろうなというちょっと疑問がふつふつと沸き上がってきたので、どなたにお答えいただいたらいいのかわかりませんが、よろしくお願いします。

塩沢審議官:まず、やや役人的にお答えをすると、1%の効率化というのは、要するに同じ仕事をやるに当たっても、税金を使ってやるんだから、常に最善の工夫をして効率的に仕事をしろと。特にこの財政厳しい折、税金を使って仕事をする部署においては、そういった目標を立てて効率化を図っていくということであると理解しております。

ただ、やや役人の立場を離れつつ申し上げると、高橋委員の問題意識と同じかどうかなんですが、効率化というのは、必ずしも数字を当てはめて常的にやっていくということだけではないはずなので、かつ、実は独法に関する効率化の議論というのはやや画一的なところがございまして、今、独法には2種類ございます。今までの話にも出てきましたが、従来の特殊法人から独立行政法人に移行したもの、あるいは国の機関が独立行政法人に移行したもの、国の機関の中でも、この産総研のように研究を主たる機能として実施してきた機関が独立行政法人になったものと、これらについてすべて画一的な効率化というものを当てはめることがいいのかどうかという問題意識は我々自身ももっておりますし、この辺は、いずれといいますか、当面は効率化の努力は必要ないとはいえませんので、効率化を進めていくべきだと思いますけれども、それとあわせて、画一的な効率化を目指すのがいいのかどうか、ということはぜひ考えていかなければいけないと思っております。

我々はそういう意識でいるのですけれども、行政改革の議論というのはどうしても画一的な議論に陥りがちなので、その辺、ぜひこういった今やっていただいているような個々の独立行政法人に対する評価を踏まえて、めり張りのきいた効率のあり方というものを目指すように、ぜひ世論を盛り上げていきたいというふうに我々も考えているところでございます。

吉海理事:ご指摘のところは、日本の研究開発予算の設計が、だれが何を基準にしてやっているのかということだと思います。そういうことからしますと、大もとは科学技術基本計画があるということ。5カ年計画の中で、現在は5年間で24兆円という枠が設定されているわけです。そうしますと、24兆円の配分というものをどのようなメカニズムの中で判断できることになるのか。そのメカニズムの一つに独立行政法人としての経営があり、それに対応する評価のシステムを今適用している状況になっているわけです。そうしますと、産総研が交付金約680億円に値するという判断は、これはさまざまな角度からご指摘をいただいているわけですが、大もとになっているのは、24兆円という国家予算全体の中で産総研がどのような役割を担うことになるのかという、その予算枠の中での機能的位置づけの判断だろうと思います。それは新たにいろいろ出てくるのもありますが、基本的には従前の機能をベースにした、ある種連続した世界の中で増減の調整が図られるわけですけれども、明らかに違いますのは、単純な増分主義としての24兆円ではないという、そういう明確な考え方のもとで展開されているということだと思います。

具体的に申し上げますと、先ほどご指摘にあったように、1%減らして交付金全体が漸減する傾向なのかどうかというその点は、既存の予算については1%減らしますけれども、新しい事業展開は追加できるという基本的な枠組みに今なっておりますから、結果としてある意味で相殺されるという、そういうのは実態としては出てくるわけでございます。それを許すかどうかというのは、それは国の基本計画であり、評価委員の皆様のご判断としてそこをご指摘いただくという、それが現状ではないかと思います。

浅井委員:関連してなんですが、評価という話がさっきから出ているのと、今の話とは関係があると思うんですね。評価というのは、じゃ論文の数だと、特許の数だと、そういうことだけで評価するのかというと、これはやっていることを顕微鏡の下に置いてじっくり調べるという、そういう感じなんですが、そうじゃなくて、やはりそれを、一旦目を上げて外側を見てみる。その仕事がどのくらい世の中に対してインパクトがあったか、どのくらい国の施策として効果があったのかということを考えて、それというのは個々の研究費の使い方であったり、プロジェクトの成果であったりするんだと思いますが、結局はやられてきたことの政策の評価に今までやってきたことを反映するといいますか、大きくいえばフィードバックプロセスの一環だというふうに考えないといけないわけで、いい研究であれば、評価がよければ、さらに応援してもらえると、支援してもらえる。そういうふうにパーセプションを研究者の方にもってもらわないといけない。

私は、今まで評価という形に随分いろいろと関与してまいりましたけれども、とても楽しい評価というのはそういう感じで行われるということですよね。つらい評価というのは、どうしてもやはりうまくいっていないなと、これ、どうしたらいいんだというところになってくるわけですが、その両面をみながら、結局は政策評価、政策への意見反映、これが評価の大きなポイントなんじゃないかなと思います。今の予算配分ですが、性急あるいは重点化といったところへの意見反映、これを評価の大きな成果として考えるべきじゃないかなというふうに考えています。

山野井委員:今の1%の件なんですが、これは一つの運動論として、やはり国のお金を使っていますから、姿勢として、とにかくできるだけ効率的に使うのだと。そういう意味で、精神論的にいえばそれはよくわかるのですが、ただ、この1%という数字が出ますと、これがひとり歩きしまして、0.何%下がったからBだとかAだとかという話になってしまう。先ほどおっしゃった特許の問題、いったい産業にどうつながるか、論文もそうですね。私は、今度6月3日と伺っていますけど、例えばアウトプットというのは、どれだけアウトカムにつながるという価値観でみたときにどうなのかという判断をもう1つ入れないといけない。数だけが独立して動くことに対してブレーキをかけないといけない。ただ数だけというのは、特に研究機関の場合は違和感がある。ただ、数字が出てしまうと独立してそれが動きます。ですから、そこの判断をもうちょっと入れる必要があると思っています。

私が一番心配しているのは、数字にこだわるために、例えばお金の問題でいえば、1%という数字にこだわるために、研究所として縮小均衡型の発想がそれぞれ所員の1人1人の中に全部できてしまう。節約することはいいんですが、場合によっては、非常に大事な研究のときには少し投入しなきゃいかんということもありますので、そこは多分ユニット長の方々、先ほどオートノミーといわれましたけど、その中にどの程度そういうお金の問題に対する権限がおありなのかわかりませんが、現場じゃないとわかりにくい点があるので、そういう点と関連してくるので、少なくとも縮小均衡的に全体の雰囲気がならないようにコントロールが必要かなということだけは強く感じます。意見でございます。

吉川理事長:非常に大事な点をご指摘いただいているのですが、やはり全然減らさなければ固定しますから、100年たっても1,000年たっても変わらないわけです。1%減らすということは、100年たつと組織がなくなるということですから、その程度のことで、組織が生まれ変わるためには、ある程度そういうものは必要条件なのではないでしょうか。農学者に聞きますと、森林の種類、林の中の木の種類は、0.3%ずつ毎年なくなっていくのだそうです。そうすると、進化論的に森林は非常に強い。私たちはそういうのを採用しているわけで、公務員の定員削減もそれに近かったのではないでしょうか。

ですから、全体を縮小するということと、組織をダイナミックに動かしていくということとは独立であるということで、研究費が増えても、その研究の各機関における費用というのは1%削減で私はいいと思っております。そのかわり、増えた分をまた獲得していけば、研究所としても再生できるし、日本の研究システムが変わっていくわけです。そういったダイナミックな変動をするのに何%が最適なのかという議論はするべきだと思います。それと全く独立に、科学技術立国なのですから、科学技術基礎研究費をどんどん増やせというのはやるべきで、それは別に論じる方がいいと思っています。

木村部会長:たぶん吉海理事のお話も今の吉川理事長のお話も、トータルの予算がある程度増えていくという前提に立たれているように思います。つまり、1%は節約するけれども、吉川理事長言われたように、新しい事業についてはまた別だということですね。しかし、その資金がなくなってしまったら、これは全くひどい状態になる。その辺のことを私は非常に心配しています。例えばこの間も吉川理事長と座談会をやらせていただいたときに発言したのですが、英国の大学は、一時じり貧状態になりましたが、トニー・ブレアの時代になって、授業料を取るということもあって非常に大きな予算を英国の大学に配分するということを決め、非常に元気が出ています。やはりそういう雰囲気をつくらないと、右肩下がりになっていってしまうと、この独立行政法人のシステムというのは大きな害悪を流すのではないかと思っています。

ここで、最初にお約束いたしましたとおり5分ほど休憩をさせていただいて、11時6分くらいからまた再開をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(暫時休憩)

木村部会長:それでは、時間になりましたので、そろそろ再開をさせていただきたいと存じます。

前半の部で、吉川理事長と吉海理事から資料2、資料2-1についてご説明をいただきました。再開後は、先ほどご案内申し上げましたように、管理関連部門についてご報告をお願いして、またご意見を賜りたいと思います。

吉海理事、小林(憲)理事、小林(直)理事、田中理事:順次、資料2-2に基づき説明。

木村部会長:ありがとうございました。

管理運営部門についてご報告をいただきました。何かご意見がありましたらお願いします。

岡田委員:2点ご質問させていただきますが、1ページ目に人員の表が出ているのですが、企画本部、監査室、業務推進本部、特に業務推進本部をご説明いただいたわけで、人数を教えていただけるとありがたいのですが。

産総研(大辻):実員は1名で、ほとんどが併任で38名という体制でやっております。

岡田委員:それから、旅費のところでアウトソーシングという話があったんですが、効率化に絡んでアウトソーシングというのは重要じゃないかなと思うのですが、原則的な考え方があれば教えていただきたいと思います。

小林(憲)理事:基本的には、人員の削減を初めとする業務の効率化ということでございます。現在、旅費につきましても内部の人間が行っているわけでございますけれども、それはお金の支払いもすべて外部の業者に委託をするというようなことで、一括してすべての業務が外部の業者によって行われるということでございます。それによって、コスト的にも比較をしておりまして、明らかにコスト的に有利だということの分析に基づいてこういうことを進めているわけでございます。

岡田委員:その場合に、従来従事している職員についてはどういうふうにお考えでしょうか。

小林(憲)理事:基本的には、産総研の中で職員自らが行っていかなければならないような仕事が増えておりますので、そちらの方に人員を振りかえていくというようなことが基本になってございます。もちろん非常勤の方につきましては、そういう業務の量に応じて減少させるといったようなことは当然図っていくわけでございます。

橋本委員:環境の関係ですけれども、環境安全、これが非常に重要な問題だと思うんですが、そこで1つ質問ですが、毎年増えているということは、これは先ほどのご説明で、軽微なものも報告せよと、これはよく理解できました。ところが、これは設備と人間の事故、これが一括して――23ページですか、これを見ると分かれているのですけれども、あと一括されている。その中で、ちょっと細かくて恐縮なんですが、例えば交通事故、こういったものは構内交通事故、職員によるもの、あるいは業者起因による、これはどういう分類になっているのでしょうか。

なぜこういうことをいうかと言いますと、一番大切なのは、我々一番苦労しているのは、職員というよりも業者なんですね。職員に対しては絶えず非常に安全教育ができるんですが、業者というのはしょっちゅう変わりますからできない。

田中理事:職員等起因事故というのは、これは人身、つまりけがをしたという事故でございますし、職員が起こしても施設関連のものですと、例えばうっかりバルブを閉め忘れて漏水が起こったとか、あるいは設備の老朽化で起こったというものは、施設関連事故として分けてあります。

橋本委員:そういう分け方ですか。わかりました。

もう1つだけ言いたいのですが、一般的に、今言いましたように職員と業者、これは必ず分けないといけないと。これは分けてあるからいいのですが、もう1つは、ちょっといいにくいんですが、各企業とも実務部門をやっているところと研究者は、安全意識が全然違うんですね。私は電気専門ですけれども、電気あるいはボイラー、機械関係でも、各メーカーに行っても、よくこんなところで仕事できるなと思うくらい、研究部門はちょっと安全意識が他のところと違う。それと、もう1つは、それに関連するんですが、起こってからの処置が全く違うんですね。研究の方は手が出ないというケースが多いので、その点、産総研の場合はオール研究と考えていいので、一般の事業の工事をやっている方あるいはメーカー等々をご参考になれば、ずっと違うと思うんです。その点、ちょっと僣越ながら申し上げておきます。

田中理事:今ご指摘のことは、我々は経験上も十分感じておりまして、先ほど最後に申し上げましたけれども、体制はできたのですが、その安全意識を意識改革として研究員の隅々までどうやって行き渡らせられるか、それが一番大きな課題だというふうに感じております。

それから、外部業者、常勤、非常勤いろいろございますけれども、その差別は一切しておりませんで、例えば外国人のポスドクの方にも、英語で安全ガイドラインの説明をユニット長の責任でやらせるということを徹底して行っております。また、行ったかどうかというのは、書類で全部チェックするというシステムになっております。ですから、事故を起こしたときに、その人が安全管理の講習に出ていたか、あるいは教育を受けたかという、そういったチェックはすぐにできる体制になっております。

山野井委員:1つは、今の橋本委員のお話と関連するんですが、この事故の共有化というのはどうされているんですか。つまり、こういうことが起こったよということを全所員に流さないとまずいんですが、そのシステムはどうなっているかというのが1点です。

これに関連するもう1点は、これは企業ではどこでもやっていると思うんですが、実はヒヤリ報告というのを全部出させています。事故になる寸前という経験を全部書かせまして、固有名詞までは出しませんけれども、研究所でしたら全所員に回しています。これは予防的な意味があります。ですから、周知徹底して再発をいかに防ぐかというのがポイントなので、その体制はどうなっていますでしょうか。

田中理事:それはまさにご指摘のとおりで、民間企業に比べますと、そのあたりがまだ完全にはできていないと思っています。研究ユニット、研究現場で自主的にできる、あるいはしなければならないというインセンティブをもっていただく必要がありまして、その教育のビデオとか、いろいろな機器を使いまして今行っているところであります。例えば事故が起こりますと、即環境安全管理部が行って指導するというようなことを行っております。

それから、事故件数その他はそれぞれ折々に、特に大きな事故についてはホームページで流すということをしておりますし、必要な場合は、環境安全管理部長の名前で直接ユニット長に勧告を出す。これは事故を起こしたユニットだけではなくて、全ユニット長にそのことを周知徹底させるということをしております。安全管理については、非常に大きなリスクマネジメントの一環をなすものとして、幹部会でも大きな問題として取り上げて、その議論はいろいろ行っているところでございます。

山野井委員:わかりました。ちなみに、今から10年以上前になりますが、私がGEのいわゆるコーポレートラボ、そこへ行きましたときに、安全の問題という、これはほんとうに基礎的な研究が中心ですが、あそこでもやっておりまして、あの人たちの言い方はニアミスと言っていましたが、ニアミス報告を全部させて、予防的に使っていると、こう言っていました。

もう1点お伺いしたいのですが、研究の第一線のところのテクニシャンの方々、これはサポーターだと思うんですけれども、これは現在産総研の場合、何人くらいおられて、カウントとしては研究者に入っているのか、こちらとは違うのかという、この点をお伺いしたい。

吉海理事:概要説明資料2-2の2ページのところに、そういった分類の一覧表がございます。今おっしゃったのは、特にここの非常勤職員の欄のテクニカルスタッフ、これに主として該当するということになると思います。全部で合計の数字が約1,300人という規模になっております。これは研究者とは分けてありまして、研究者の数は、常勤職員のうちの研究者、それから非常勤の中でいきますと、ポスドクとしての特別研究員、それから招聘研究員、この3つの分類の合計を研究者というふうにしまして、合計の数が約2,700人でございます。

浅井委員:職員構成の話で2つほどあるんですが、研究支援部門の常勤職員の数が744名、かなり多くなってきていると思うのですが、こういうのを充実させるというのは、独法になったときの一つの施策に沿ってやってきておられると思うんですが、これはやはり何かある種のシーリングがないといけないなと。これはどんなふうに考えておられるのかということが1つです。

吉海理事:3ページの常勤職員推移というのをごらんいただきたいと思いますが、平成13年4月1日、工技院から独法に変わったその時点で777名でございました。15年4月1日が737で、この4月が744、ちょっと増えておりますけれども、先ほどの例えば財務会計部門で半分に減らしたとか、そういうものを合わせて、スタート時点からみますと、総じて減少という傾向にはなっております。ただし、ご議論いただいておりますように、産総研としてこれから何が重要な業務として設計できるのか、そこに必要な人員をどの程度用意すればいいのか。これはちょうど今、第2期に向けて議論を始めているところでございますので、ご指摘のところを十分吟味したいと思います。

浅井委員:もう1つ違う側面なんですが、15ページにポスドクの件が載っております。643名ということで、1万人計画のうちの16分の1を吸収していらっしゃるわけですが、これは研究パワーになっていますか。ポスドクの方というのは、やはり動機づけが論文書きというところにいく可能性もあるわけで、要するにこういう方々を受け入れた場合、産総研の研究が進むという側面をぜひ組織としては考えるべきだし、そういうものじゃないかと。その場合、研究ファンドは産総研がもつのかどうか。それから再就職先ですが、ちゃんと就職できるのだろうかと。いやしくも産総研に来たからには、仕事のできる能力をつけて就職させてやるぞと、そういうことが担保できるのかどうか、この辺についてお考えを伺いたいと思います。

小林(直)理事:特別研究員、ポスドク643名と書いてありますが、幾つかの制度がございまして、例えばNEDOとの契約の研究、受託研究等で研究員を雇えるというシステムが入っている場合、それから、各研究ユニットが独自の運営費交付金で、その研究ユニットの研究を加速するために雇う、それ以外に最近の任用制度で、プロジェクトの予算で研究者を、これは非常勤ではなくて常勤で雇うということもできるようになっております。そういう意味で、ポスドクというのは非常に充実してきました。

今、浅井委員のご指摘の、こういうポスドクが役に立っているかどうかなんですが、研究現場からいいますと、極めて役に立っております。先ほど理事長が、産総研の役割というのは組織的研究をやるということを言いましたが、常勤研究員だけではなかなかそういう組織的研究はできない。やはりこういうポスドクあるいは博士研究員を受け入れたり種々の学生を受け入れたりというのは、非常に大きな戦力になっております。ただ、そういう人たちが、本来産総研の目的であるミッションを行っているかどうかという部分は、これは研究の性格によっても違うし、極めてグループリーダーの指導によりますけれども、基本的には非常に役に立っているという認識です。

もう1つ、最後に、こういう方を次にどういうところに送り出しているかというところですけれども、これは、今特段の統計がないと思います。私の印象では、雇った研究者の責任になると思います。企業に再就職させるのか、あるいは大学院に行かせるのか。一般論でいいますと、今、実は大学から産総研に来る、産総研から大学に行くというのはかなり増えてきておりまして、日本の研究者のマーケットというのは流動化していかなければならないだろうと思います。これは、産総研だけの責任ではないと思いますが、そういう方向にもっていかなければいけないだろうと思っています。

田中理事:もう1つつけ加えさせていただきますが、産総研のアクティビティーは、多分ポスドクを除いては語れないというぐらいのところに来ていると私は考えています。

それから、再就職の点について、私が前やっていましたアトムテクノロジーは、一時期50~60人のポスドクがいたのですが、ごく最近、全員の就職が決まりました。全部追跡して、いろいろと紹介等を行ったのですが、全員就職できました。しかし、一般的にいいまして、本当に就職先があるのかとなりますと、必ずしもそうではないと。我々は、ポスドクを新しく採用する場合には任期付きでほとんど採用するわけですけれども、3年、5年たったときにパーマネント化するかどうかという見直しをするわけです。そのときは、産総研以外の就職先をみつけて就職していく人がいるかというと、必ずしもそうではない。ですから、パーマネント化の割合が極めて高くなっているという現状があります。その辺は、やはりまだ流動化が十分ではないというふうに認識しております。

浅井委員:ポスドクの件は、私、かなり気にしていまして、どこへも行きどころのない人がたまるプールになる可能性があるんですね。全部がそうだとは決して申しませんけれども。それで、大学院の方の数、大学院で博士課程を受ける人の数が、行く人の数が結構、COEのプログラムなんかで増えているんですね。それは結構なことなんですけれども、これまたずっとポスドクに押し込んでいるんですね、かなりのところ。それが就職先がないということだと非常に困るわけです。

今、産総研の話ですと、研究に非常に役立っているということでありますから、産総研のミッションとする研究を通じて役立つ人材に仕立てて、これを世の中に送り返していただくと、こういうふうにしないと、これは非常におかしいんですね。ここのポスドクのところはよくウオッチしておいていただきたいんですね。研究に役立つといっておられるからには、ちゃんと有用な人材がそこから出てくるように見させていただいておりますので、楽しみにしております。よろしくお願いします。

山野井委員:業務推進部門の中の1点、健康管理、メンタルヘルスの問題ですけれども、これは最近、企業の方でも、実は普通の健康管理もさることながら、非常に大事なポイントになってきています。ということは、つまりそういう事例がふえているということなんです。伺いますと、大学の方も、特に大学院の方にメンタルヘルスという問題がかなり大きな問題としてあるんだというふうに聞いていますが、この辺は今産総研の場合は、趨勢として、きちんと手を打っておられれば問題ないと思うんですが、どうなんでしょうか。

小林(憲)理事:今、山野井委員からお話を伺いましたが、恐らく民間状況と全く同じではないかと思っております。これにつきましては、統計がなかなかとりにくいのですけれども、最近、こういう方々がふえているという認識をもっておりまして、それにつきましては、ここに書いてあるヘルスケアの研修ということだけではなくて、職場の中でいかにケアをしていくかということについて、大変頭を悩ましているところでございます。体制的にも、精神科の先生に特別にお願いしていろいろなことを実施しており、今後拡充をしたいというふうに考えております。ケアを十分にやっていくということが、やはり組織全体のミッションとしても重要なことだというふうに十分認識しておりますので、そのような考えで取り組んでいきたいと思っております。

木村部会長:よろしいでしょうか。

資料2-2については非常に多様なデータが出ておりまして、評価のときにどうこれを取り込むかというのは相当大変だと思いますが、よろしくお願いをしたいと存じます。

なお、きょう初めてご説明を受けたばかりでありますので、恐らくほかにもお聞きになりたいことがあると思います。何かございましたら、事務局の方までお申し出いただきたいと思います。事務局の方も、適宜対応していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、予定された議事を以上で終わらせていただきますが、最後に、産業技術環境局の塩沢審議官から一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

塩沢審議官:挨拶

木村部会長:それでは、事務局でその他として何かございますか。

倉田産総研室長:次回は、6月3日12時から、お台場の産総研臨海副都心センターで、研究分野の実績報告をいたします。長い時間で大変恐縮ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

また、追加の質問等ございましたら、遠慮なく事務局までお申しつけ下さい。

それから、本日の議事要旨は従来同様に、部会長にご一任いただければと思います。

また、議事録に関しましては、案を取りまとめ次第各委員にご送付し、確認をいただいた上で公開させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

木村部会長:本日はどうもありがとうございました。また6月3日、よろしくお願いいたします。

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.