エネルギー関連産業のアジア展開に関する研究会(第3回) 議事要旨
日時:平成17年2月25日(金)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室
議事要旨 (1)全般 ○ 日本と各国との間で、エネルギーセキュリティの確保や環境負荷の軽減が機能するような協調政策を前面に出した方が、官民あるいは民による事業化が進みやすい。 ○ 日本と同等のトップランナー規制の導入については、CDMの基準も含め、日本や先進諸国のレベルの高い省エネルギー政策をどのようにアジア全体に適用していくかということが問題になる。事業展開のテーマと別に、省エネルギー体系の国際化について、具体的なステップをどのようにすべきかを戦略的に考えていく必要がある。 ○ 「マーケット志向の取組」という視点については、中国とのビジネスを進めている際に感じている点から見て、上手くまとまっていると思う。これまでの対中ビジネスは、交流という無償ベースのものであったが、最近は合作と呼び方も変わって、有償コンサルが中国側から出てくるようになり、中国側の意識が変化してきていることを感じている。 ○ 個別に民間企業が対応可能なものではなく、日本の高効率なシステムや優れた人材、ノウハウを結集してアジアへ貢献していくという前提のもと、国益に合う、政策上効果のあるものに絞り込んで検討をすべき。 ○ 政策的意義の高い事業を、中国を中心としたアジア諸国で民間企業が行う際に大きなボトルネックになるのは、政策の変更リスクやカントリーリスクである。 ○ 中国では省エネ技術や環境対策技術の開発等において、交通大学や清華大学などの「学」が官と一緒になって動いている。日本でも環境関連では学が産官と一緒に動く動きがある。そのため技術開発や情報収集・提供の場において、産官学連携があり得る。 (2)都市エネルギーシステム事業について ○「エリアを囲い込んだ都市エネルギーシステムの構築」は興味深い事業であると思う。この事業にはパワーグリッドや天然ガスパイプラインが結びつきまた、クリーン輸送燃料などで日本の技術を生かせる事業である。こうした大きなモデル事業の提案を進めるのも一つの切り口ではないか。 (3)ESCO等特定事業者向けエネルギーサービス事業について ○ ESCO事業でもCDMが可能だと認識した。トップランナーはCDM認定に時間がかかるとのことだが、ESCO事業をCDM事業のパイロットプロジェクトとして支援をもらい。 ○ 日系企業相手のCDM事業に対する投資判断は、実際には日本の本社が行うことが多く、現場で動くだけでは事業化がなかなか進まない。東京で営業ができるような仕掛けが必要。 ○ ESCO事業の可能性のFS調査を、CDMの可能性も含め検討している。事業化の可能性を検討するには費用と時間がかかるため、事業化の可能性をつきつめられるまでの予算面でのバックアップが必要。 (4)パワーグリッド整備事業について ○ 超高電圧送電網という考え方のほかに、国と国との間での直流送電という考え方もある。 ○ 中国では、南方電力網と国家電力網が2008年頃までに、三つ(南方のエリアに一つ、国家電力網のエリアに二つ)の交流100万ボルトのネットワークを試験的に引くというプロジェクトが計画されており、相当の速度で進められている。 (5)天然ガス事業の総合的展開について ○ 中国のエネルギー消費が今後も急激に拡大するのは確実視されている。その中で中国が今後、あまり豊富ではない、若しくは輸入に頼らざるを得ないエネルギー源である天然ガスやLNGの消費拡大を後押しすることは、今後の日本のエネルギーセキュリティの観点から検討する必要があるのではないか。 ○ 最近、世界的にLNGターミナル建設がブームになっており、各国から民間に対して協力の依頼が増えている。一方、LNGターミナルはリターンが長いプロジェクトでもあり、例えば、中国はカントリーリスクが高いといった点も考慮する必要がある。このように、どの国のどのプロジェクトにするか検討するには、民間企業だけではなく、高いレベルでの議論が必要になる。 ○ ガス事業をアジアの中で見た場合、ガス配給網にも様々な課題がある。例えば、ガス漏れが多いこと、盗ガスが多いこと、供給圧力が一定していないことなどである。その先にコジェネなどが来る。品質が保証されたインフラ整備という点で日本の技術のノウハウが生かされると思う。 (6)石炭エネルギーチェーン事業について ○ 低品位炭を改質して高品位化する技術については実証プラントの段階にある。この段階では、商業化前の段階でありながら必要な資金規模が大きいことから、官民合同により実施することによって民間の負担を軽減することが必要である。 ○ 褐炭超臨界発電、改質炭利用の超臨界発電とあるが、アジアにおいては、通常の石炭火力発電も含めた表現の方がよい。 ○ 中国では脱硫技術はかなり成熟している。今後は脱硝技術の方に可能性がある。 ○ 中国では今後も急速に火力発電所を建設していく計画である。その際オペレーターをどのように養成するかという点が問題になっている。今後の協力の方法として、シミュレーター開発、研修、教育ノウハウの伝授といった切り口もあるのではないか。 ○ 日本国内ではクリーンコールテクノロジーのニーズは減少してきており、技術水準の伸び悩み、人材の分散などが問題になっている。一方、アジアではまだ石炭が主要なエネルギー源になっている国が多く、クリーンテクノロジー技術の追い上げも激しい。今後、日本のクリーンコールテクノロジーを維持し、アジア各国に貢献していくために、官民一体となって展開をしていくべき。 (7)クリーン輸送燃料事業について ○ 日本の脱硫技術は世界トップレベルにある。この技術をうまく活用してアジア各国の大気汚染防止に貢献することは意義がある。一方こうした技術を生かすためには、各国での燃料スペックの改善が実施される必要がある。 ○ バイオ燃料に関して、タイ、フィリピン、中国ではエタノール10%ガソリンに向かっているが、日本はアルコールではなくエーテルを中心としたバイオ燃料活用の方向に進んでいる。今後世界との技術の共有化をどのように進めるべきか、またデファクトスタンダードがどこにいくか注視する必要がある。 ○ タイがエタノール10%を採用した背景には、環境保護だけではなく、石油の消費を押さえたいという考えがある。 (8)原子力事業について ○ 原子力分野は人材、組織、規制体系など相手国の多大な受入準備が必要。メーカーとしてもできる限りのことをしているが、民間だけでは対応しきれない点もある。これらの分野におけるサポートは日本国としてのメッセージともなるので、今後も官民が協力して対応していきたい。 (9)石油安定供給事業について ○ ベトナムでは新たに製油所を建設する計画がある。それに伴い、国内での石油製品のディストリビューションシステムも整備する必要がある。備蓄と製油所と流通システムを合わせて考えると、日本として有効な支援となるのではないか。 ○ 産油国との連携について、中東に対して技術協力や技術支援が実施されているが、アジア域内でも、製油所の省エネ化や石油製品の効率的利用といった点について情報共有など何らかの支援が必要ではないか。 ○ 石油安定供給事業は、アジア圏でのエネルギーセキュリティという点では共有していくべきものである。日本が蓄積してきた流通のノウハウやネットワークを活かしながら、安定供給やコスト削減につなげていくべき。この点は、民のみで実施できるものではなく、官のリードの下、民がついていくという体制がよいのではないか。
以上