経済産業省
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審議会・研究会

独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会(第12回) 議事録

  1. 日時:平成17年1月14日(金)10:00~12:00
     

  2. 場所:経済産業省第3特別会議室(本館17階西1)
     

  3. 出席者:
    <分科会委員>
    宮内分科会長、小笠原委員、速水委員、藤垣委員
    <独立行政法人経済産業研究所>
    岡松理事長、吉冨所長、田辺副所長、入江総務ディレクター、細谷研究調整ディレクター、米村総務副ディレクター
    <経済産業省企画室>
    佐味室長、足立企画主任
     

  4. 議題
    (1)独立行政法人経済産業研究所の平成16年度の業務の実績に関する評価の検討の進め方について(審議)
    (2)独立行政法人経済産業研究所の予備的中期目標期間評価の検討の進め方について(審議)
    (3)独立行政法人経済産業研究所の平成16年度の業務進捗状況について(中間報告)
     

  5. 議事内容

    ○宮内分科会長  おはようございます。ただいまから、第12回独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会を開催させていただきます。
     本日は、皆様方ご多忙のところをおいでいただきまして、ありがとうございます。
     それでは、議事に入らせていただきます。
     本日の議題は、独立行政法人経済産業研究所の平成16年度業務実績に関する評価の検討の進め方についてをご審議いただき、並びに、独立行政法人経済産業研究所の予備的中期目標期間評価の検討の進め方についてもご審議をいただきます。そして最後に、独立行政法人経済産業研究所の平成16年度業務進捗状況についてをご報告いただきます。以上の3件でございます。
     本日は、西岡さんがまだおいでいただいておりませんが、シェアード委員はご欠席でございまして、そのほかの皆様方はご出席いただく予定になっております。
     それでは、本日の配付資料などにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。
    ○佐味室長  本日の配付資料の確認をいたします。お手元の「配付資料」という紙に本日お配りしております資料の一覧がございますが、資料は、資料1―1から資料3―4まで合計10点ございます。また、参考資料として4点ございます。不足等がございましたら、議事の途中でも事務局までお知らせいただければと思います。
     本日は、今、会長からもお話がありましたように、初めに、独立行政法人経済産業研究所の平成16年度業務実績に関する評価の検討の進め方についてを事務局から説明をさせていただきまして、ご審議いただきたく思っております。
     2点目としまして、独立行政法人経済産業研究所の予備的中期目標期間評価の検討の進め方について事務局から説明をさせていただき、あわせまして、研究所からアウトカム指標について説明をしていただき、ご審議をいただきたく思っております。
     3点目としまして、最後に、独立行政法人経済産業研究所の平成16年度業務進捗状況について、研究所から中間報告をしていただきたいと考えております。この最後の点は、昨年の年度評価の際に、いきなり最後になって全体を評価せよといっても、途中の進捗を聞いていないとわかりにくいし、評価もしにくいというご指摘があった点を踏まえたものでございます。
     なお、配付資料、議事録及び議事要旨につきましては、独立行政法人評価委員会運営規程の定めに基づきまして公開することとなっておりますので、ご承知おき願いたいと思います。
     事務局からは以上でございます。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。ただいま事務局からご説明いただきました方向で進めさせていただくということで、ご了解いただきたいと思います。
     それでは、審議に入らせていただきます。
     平成16年度業務実績に関する評価の検討の進め方について、まず事務局からご説明をいただきたいと思います。
    ○佐味室長  それではご説明させていただきます。ご説明には、資料1―1と資料1―2をもっぱら用いたいと思います。
     まず、資料1―1でございますが、これは平成16年度の業務実績についての評価フォーマットでございます。真ん中の欄が大きく空欄であいておりますが、様式自体は、皆様ご記憶かと思いますけれど、昨年ご議論いただきました15年度分の業務実績を評価していただいた際のフォーマットと全く同じになっております。
     これは、この分科会あるいはいわゆる親委員会の方でも、15年度評価を進める中で、このフォーマットについて特に変更を要するようなご指摘をちょうだいしなかったこと、また、当通産省の評価委員会から総務省に出した後の、総務省での政策評価独法委員会の方でも特に指摘を受けなかったということから、全く同じフォーマットにさせていただいております。簡単に構成だけおさらいさせていただきたいと思います。
     1ページですが、1のサービスの質から始まっておりまして、こちらでクラスターの設定・改変に際してのニーズの把握等々、項目が順次並んでいくわけでございます。この真ん中のブランクができているところに実際の評価をしていただく際には実績を書き込んだものでごらんいただき、一番右側の評価とコメント欄にコメントとご評価を5段階でちょうだいする、こういう仕組みで流れていくわけでございます。
     その後のページでずっと今のサービスの質のところが続きますが、7ページからが2の業務の効率化に関する項目ということで、電子会議の活用を始め各項目が並んでおります。
     そして、9ページからが3の予算の話でございまして、予算と決算の乖離等々、予算にかかわる項目が並んでございます。なお、次の10ページの下の⑤受託収入(公的資金を除く)の規模及び内容は適切か、あるいは、⑥競争的資金(公的資金)の獲得は十分なされているかですが、これは一昨年、14年度評価をしていただいた際に出たご議論を踏まえて、昨年度分の評価からフォーマットを手直しした部分でございます。ご記憶はおありかと存じます。
     そして、その後やや細かい項目になりますが、12ページで4の短期借入金、13ページで5の剰余金使途、6の主務省令事項にかかわる話が並んでおりまして、14ページで最後に総合評価をしていただくということでございます。
     これがフォーマット自体についての説明でございまして、この後、春にかけて、16年度実績を整理してまいりまして、春以降にごらんいただくということになります。
     それから、それに伴いまして、資料1―2でございますが、これは経済産業研究所の実績評価をする際に、昨年度もやっておりますけれど、ここで出てきた研究活動のパフォーマンスにつきまして、一番メインの顧客でありますところの政策当局、経済産業省の各部局に対して、それぞれその政策研究として役に立ったかどうかといった点につきまして、問1ではテーマの設定について政策形成ニーズが反映されているだろうか、あるいは、問2では具体的なインパクトが与えられたろうかと、アンケート自体としては非常に簡素な構成になっております。
     ただ、ニュアンスですとか、細かく具体的にどのように役立ったとか、どのように食い足りなかったかといったお話は、アンケートでは十分把握できないことも考えられますので、今回はこのアンケートを記入していただく発注を省内各部局のとりまとめの部署に書いていただくと同時に、並行して、私ども企画室と研究所で一緒に省内を歩いて、具体的なニュアンスも含めてきめ細かなヒアリングを実施いたしまして、その結果をとりまとめたものを評価をしていただく際の材料として提供できるようにいたしたいと考えております。
     簡単でございますが、ご説明は以上でございます。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見等を承りたいと思います。
    ○小笠原委員  フォームに関しましては、昨年同様で私は問題ないと思っています。
     それで、1点確認ですが、昨年も評価をさせていただく際に非常に悩ましかったのは、資料1―2のアンケートの結果が、今までいろいろなところから得ていたレピュテーションに対してかなりの開きがあったような気がしております。どういう活動をされているのか自身も認識がないようなシビアなコメントなどもあったものですから、あの時点というのは、今ご説明のあったアンケート方法としては、口頭によるといいますか、フェース・トゥ・フェースでのインタビューでああいう結果を得られたのか、それとも、余りにも紙媒体だけで投げ込みの回答であったために、ああいう形だったのか。その辺はいかがだったのでしょうか。
    ○佐味室長  昨年は、若干補足的に伺ったものはあるかと思いますが、基本的には紙ベースで書いていただいて出していただいたという流れだったと承知をしてございます。
     昨年の評価の際に、「これはどう読めばいいのだ」といった印象を与えた部分に関しましては、1つには、今ご指摘のように、やり方の問題でやや機械的に調査をしたという点もあると思いますし、もう1点いえば、実質的にもやや政策テーマの選定なり遂行に際して、政策部局の当事者との議論なりやりとりが十分なされていなかったので、認識いただけていなかったという実態も多少あったかと思います。
     このあたりは、後で研究の進め方ということに関して研究所の方からも話があると思いますが、今年度はかなり心を砕いて、やること自体、研究所にとってはうるさい部分もあると思いますけれど、政策当局とのやりとりが単に役所の意向を反映するという意味ではなくて、役所と議論を闘わせるというプロセスは結構大事にして運営してもらってきていると思いますので、その意味では、今回、調べ方の問題と中身の問題の両方で、もうちょっと辛口の意見も含めてですけれど、評価していただく際にごらんいただいて、その評価に資するものをつくりたいと考えております。
    ○小笠原委員  では、質問内容はほぼ一緒だけれども、それに当たっては十分にご説明をされた上で回答を紙でいただくと、そういうスタイルですね。
    ○佐味室長  はい。
    ○小笠原委員  わかりました。
    ○宮内分科会長  私から感想ですが、今のご質問の今の議論のところは非常に重要で、インパクトを与えたかどうかということは、政策形成をなさるご担当の責任者というか、まさにかぎを握る人のところへ行ってこのアンケートの意味をわかっていただいて、十分意見を聴取するということでないと、なかなか実質といいますか、本音といいますか、実態といいますか、そういうものがわかりにくいわけで、そういう意味では、確かに去年は全然知らないみたいなことで肩透かしを食らったような感じがしましたが、このアンケートの部分につきましては、ぜひエネルギーを使っていただくことが重要かなという感じが私もしております。
    ○佐味室長  そのように心得てやりたいと思います。
    ○宮内分科会長  それでは、ただいまご説明いただきました資料1―1と資料1―2の評価フォーマットとアンケートの項目につきまして、こういう形で作業をしていただく、また動いていただくということについて、私ども委員会としまして了承させていただくということで、よろしゅうございましょうか。
         (「はい、結構です」の声あり)
     それでは、そのように決定させていただきたいと思います。
     次の議題に移ります。予備的中期目標期間評価の検討の進め方について、引き続き事務局からまずご説明をお願いいたします。
    ○佐味室長  それでは、引き続きましてご説明させていただきますが、先ほど参考資料の説明を飛ばしましたので補足させていただきます。参考資料1―1と参考資料1―2をごらんいただきたいと思います。
     参考資料1―1は、既に皆様にごらんいただいているものではございますが、昨年度の年度評価をしたプロセスと、最終的にこれを研究所の方に通知をした一連の資料でございます。これはまさに皆様にご議論いただいてとりまとめたもの、そして、またそれを踏まえて親委員会に報告をして了承されたものでございます。
     参考資料1―2は、各省が独立行政法人の評価委員会のこの評価というものをした後、総務省に設けられました政策評価独立行政法人評価委員会というところで、その評価について評価をするという仕組みになっているわけでございますが、これに対して、それぞれ各省の評価委員会へのリスポンスが年末に来ております。
     参考までに、うちの関係で申しますと、参考資料1―2の3ページに経済産業研究所の話が書いてございまして、「研究領域や研究プロジェクトで必ずしも時々の政策形成ニーズを踏まえたものになっていない」、あるいは「広範囲にわたっているじゃないか」といった指摘がありまして、そうした的確にニーズを反映した研究とか整理・縮小を図る研究が明確になるような評価が必要ではないかと、そういう指摘を受けております。
     この指摘を受ける前の段階で、私自身も、総務省の方のこの評価委員会のヒアリングを受けたわけでございますが、その際にも、「テーマが広い」というようなことをいわれて、それはそれぞれ重点化した結果、みかけ上は広いけれども、こういうテーマの展開になっていて、また総務省の委員会の中では、「いわゆる通産省の所掌事務との関係でもかなりはみ出ている部分もあるのではないか」といったみかけ上のテーマをとらえてのご指摘もあったわけですが、そこはむしろ通産省の政策テーマ自身も、経済構造改革の推進ということで広くなっておりますし、それから、もともともっている通商政策とか産業政策と、例えば財政問題にしても、社会保障問題にしても、あるいは農業問題にしても、必ずオーバーラップした部分があるものですから、「そういう広がりを重点化しながらやっているのです」というご説明をして、ややご質問とやりとりをさせていただきましたが、結果としてまた同じような指摘が紙でも出てきたというところでございます。
     ちょっと余計でございますが、補足をさせていただきます。
     それで、2つ目の議題についてのご説明でございます。資料は、資料2―1、資料2―2、資料2―3、資料2―4と4つございます。このうち、資料2―2につきましては、後ほど研究所の方から説明していただくという分担でまいりたいと思います。
     資料2―1からでございますが、この予備的中期目標期間評価ということですけれど、どこで切るのか読みにくいのですが、これは中期目標期間の評価を予備的に行うという意味でございます。もともと5年計画で今のこの経済産業研究所も計画期間を取り組んでいるわけでございますが、5年の計画であれば、5年目の途中で4年目までの評価を行って、それで5年目の後の中期計画に向けて、翌年度の予算等の作業に反映させるために最終年度の途中で評価を行いなさい、というのが独立行政法人制度全体の評価の仕組みとして決められております。そういう意味で、計画期間が終わる前にこの評価を行うという作業はかなり重要になっているわけでございますが、これを予備的評価と呼んでいるわけでございます。
     少しおさらいになる部分もあろうかと思いますが、順次、ご説明をしてまいりたいと思います。
     まず、予備的評価の実施についての考え方でありますが、(1)スケジュールの後段に書いてございますように、それぞれの主務大臣が評価委員会の意見を聞いて評価を行うことになっております。それを受けて、総務省の評価委員会――以降、審議会と区別をして呼びますが、審議会の方がまた主務大臣に対して主要な事務・事業の改廃に関する勧告を行う。こういう2段構えの仕組みになってございます。
     そのスケジュールといたしましては、先ほどちょっと申したことに関係ございますが、一番下の②の最後の3行に書いてありますように、主務大臣は、この場合は経済産業大臣でございますが、見直しの当初案を作成して、その実現に向けて予算要求をことしの8月に行うという仕組みでございます。
     これを受けて、次の2ページの上の方でございますが、審議会、つまり総務省の委員会が、その予算の編成作業に間に合うタイミングで方向性等について9~10月に指摘を行い、そういう趣旨を踏まえて主務大臣が予算の編成のプロセスを検討して、そして政府の行政改革推進本部にも説明をし、その議を経た上で決定をする。こういう仕組みでございまして、また、その際に、政府の行革本部は、審議会、すなわち総務省の評価委員会の意見を聞く。このように、経済産業省の評価委員会のプロセスと、主務大臣とのプロセスと、総務省及び行革本部とのプロセスとがキャッチボールをしながら進んでいくという仕組みになっているわけでございます。
     以上が全体の流れでございます。したがって、2ページの(3)にありますように、平成17年、ことしの8月末の予算概算要求までに予備的な評価を実施するという仕組みになるわけでございます。
     具体的な進め方が次の2番でございます。
     このうち、(1)は評価の手順についてでございますが、これは後ほどご説明します中期目標評価基準に基づいて行うことになっております。これは後でご説明いたします。
     (2)はアウトカムの評価というものでございます。これは昨年3月の評価委員会の制度ワーキンググループの議論を踏まえて入ったものでございますが、私の説明の後、研究所から具体的に説明をしていただく予定でございます。
     それで、3番の先ほど説明を後に回しました評価基準とその評価のフォーマットについてでございます。
     中期目標の評価基準でございますが、これについては資料2―3をごらんいただきたいと思います。これはもともと経済産業研究所が独法として発足をいたしました平成13年3月に、この分科会と親委員会の審議を経て既に決定しているものでございます。こういう基準で評価されることを前提に、経済産業研究所がこの中期計画期間に取り組んできたということでございます。
     今回これを、機械的な修正ではございますが、若干改正をするというのが、きょうのご説明のポイントでございます。具体的には、先ほどの資料2―1の3ページの(2)の①と②のところでございます。
     ①は判定基準でございます。皆様ご案内のとおり、各事業年度の評価基準につきまして、発足当初はA~Dの4段階となっておりましたが、5段階に改正をして毎年度の評価を行ってきていただいておりますので、これに合わせて、こちらも5段階に改正をするというのが1点でございます。
     ②は「指標類」の移しかえでございますが、こちらも各事業年度の評価基準で整理されている項目に合わせた機械的な見直しでございますけれど、個々には、3ページの下から4ページの上にかけて書いてありますように、幾つかの項目が事項としてややそぐわないところにサブの項目として整理されておりましたので、これをそれぞれ適切な事項の方に移しかえるという機械的な見直しでございます。
     この2点を中心に評価基準自体を整理し直したものが、先ほどごらんいただきました資料2―3になるわけでございます。
     そこで、資料2―3でございますが、1ページは全体の評価基準の根拠とか評価方法といったことについて書いてございますけれど、2ページ以降が具体的な評価基準でございます。それぞれ評価の対象となる項目に即して、評価の基準、評価する際の対象項目といったものが順次整理されております。
     最初が業務運営の効率化に関する事項、その次が業務の質の向上に関する事項、そしてこの3番については従前からご説明しております調査研究、政策提言・普及、そして資料収集・管理、統計管理という大きな柱に即してそれぞれ整理をするということでございます。そして、4ページですが、財務内容、業務運営に関する重要事項と、それぞれ評価基準と評価項目を設定いたしまして、それぞれの項目に沿って整理していただいたものを、5ページのような評価表にご記入をいただくことを想定してございます。
     今回、どの点をどのように見直したかというのを、6ページ以降に見え消しの形で改正の中身を整理してございますので、わかりにくい改正のところはそちらの新旧対照をごらんいただければと存じます。
     以上が評価基準でございますけれど、こういった形で評価していただいたものをどういうフォーマットに記入していただくかというのが、次の評価フォーマットの話でございます。こちらにつきましては、資料2―4をごらんいただきたいと思います。
     こちらも当初、既にフォーマットとしては想定されていたものでございますが、このフォーマットのつくり方としては、大臣から示した中期目標、それに対応する研究所のつくった中期計画、そしてその際にどういう業務実績があるかという、ブランクの多い欄が3つ目にございまして、最後はコメントと評価の欄となっております。大きなつくりは、形としては、各事業年度の評価フォーマットに非常に似た構成になっております。
     具体的に皆様にこの春以降ごらんいただく際には、この3番目の欄にそれぞれ具体的な内容を記述をいたしまして、例えば1番目にあります中長期的な経済システム改革ニーズと研究クラスターの設定というところに関していえば、この後ご説明いたしますアウトカム指標のうち、こういった政策研究提言活動の質的な充実度といった項目にも触れながら、各研究クラスターごとに記入をして準備をしておきまして、それを委員の皆様方にごらんいただいて、評価とコメントをいただく。こういう形になるわけでございます。
     全体の項目の並べ方の左側の中期目標の番号でいうと3番から始まっておりまして、ちょっと違和感がありますが、これはむしろ並べ方としては、中期計画の並びをある程度尊重しながら中身の話から入っていっておりますので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、全体として、サービスの話、運営の効率化というのは15ページから始まりますが、業務の効率化に関する話、17ページの財務内容の改善に関する話といった順序で、大ざっぱに申せば、各事業年度でごらんいただいたようなフォーマットに近い形で整理してございます。
     3番目の欄に丸や四角で幾つかの項目が入っていますが、ここには判断をしていただく際の指標なり、記述としてこういうものが入ってきますということを、項目として今記入させていただいているところでございます。
     そして、最終的には、評価とコメントをちょうだいした上で、21ページにありますように、一番最後に総合評価をしていただくわけでございます。こういう仕組みのフォーマットになっております。
     個々にご説明していきますと聞いていただくのが大変でございますので、非常に雑駁でございますが、このフォーマット自体についてはそのようなものということでご説明をさせていただく次第でございます。
     ちなみに、後で研究所に説明してもらいますアウトカム指標でございますが、これは今の評価フォーマットの中にも何回か顔を出しておりますけれど、これは先ほど申しましたように、昨年3月の評価委員会の制度ワーキンググループで導入すると決まったものでございます。
     ご参考までに申しますと、参考資料2―2をごらんいただきますと、4~5ページに中期目標期間の評価のやり方についての決定が書いてございますが、このうち、4ページの下から5ページにかけて、研究論文の発表回数ですとかセミナーやシンポジウムの開催といったアウトプットそのものとともに、アウトカムについてもみてみるべきではないかと。
     これは非常にわかりにくい用語で、必ずしもこなれていないとは思いますが、具体的には、5ページの5行目から※印でアウトプットとアウトカムのそれぞれについての若干の説明を補足してあります。いずれにしても、直接的に生み出されるものと、それが外部にどのような本質的影響を与えられたか、その両方みなければいけないのではないだろうかという議論が昨年もされたわけでございます。
     そして、このアウトカムにつきましては、後で研究所が説明いたしますが、なぜ評価される側からご説明するかにつきましては、5ページの一番上にありますように、まずは法人側が試行的にご提示を申し上げて、そしてこの分科会等の場で選定していただくというロジックになっておりまして、いうならば、評価のたたき台を法人側がつくるという仕組みになっていることもあって、研究所の方から説明をしてもらうということで、この後、ご説明をしていただく予定になっております。
     以上が、評価のフォーマットと評価の基準についてのご説明でございます。
     続きまして、今後の評価のスケジュールについてのご説明に戻りたいと思いますが、先ほどの資料2―1の4ページの4番の今後のスケジュールというところでございます。
     きょう以降、分科会では16年度の年度評価と今の中期期間の予備的評価と、2本の作業を並行してお願いしていくことになります。それで、本日1月14日がこの第12回分科会でございますが、この後、2~3月にかけまして、経済産業省の評価委員会の親委員会が開かれまして、こちらでうちを含む各法人の評価基準やアウトカム指標についてのご審議をしていただきます。
     それから、昨年も行いましたが、各研究テーマについての自己評価ということで、外部の当該研究分野の専門家の方々に研究内容をチェックしていただきながら、研究所自身で自己評価を実施すると同時に、先ほどご説明をいたしました省内のアンケート、ヒアリングを3~4月にかけて行います。
     そして、昨年も行いましたいわゆる年度評価におけるマネジメントのモニタリングというものも、企画室の方で実施をいたします。
     そして、これらをとりまとめたものを、5月に第13回のこの分科会を開かせていただきまして、16年度に関しましては業務実績報告とアンケート調査の結果報告、そして中期期間の予備的評価につきましても実績報告ということを、5月の段階でご報告をさせていただくことになります。
     そして、この5月の分科会の後に、昨年も作業をお願いして恐縮でございましたが、本年度も、フォーマットの評定、コメントのご記入、ご提出をお願いするというプロセスがございます。昨年度であれば15年度分の評価だけだったのですが、今回は16年度の実績評価のフォーマットのご提出と、中期目標期間の予備的評価に関するフォーマットの、先ほどご説明しましたもののご記入、ご提出をお願いするという作業になってございます。
     そして、こちらをちょうだいした上でとりまとめまして、5ページでございますが、第14回のこの分科会を開かせていただきまして、まず、16年度につきましては、財務諸表とか業務実績評価についての報告なりご審議をちょうだいするのが1つでございます。
     それから、中期目標期間に関しましては、今の中期目標期間の予備的評価と、中期目標をどのように見直すべきかといった次の期間に向けての素案についての忌憚のないご意見をいただくことになりまして、これを受けて、分科会の上の親委員会が6月か7月ごろに開かれますので、16年度についてはこちらで実績評価等の報告をし、また、マネジメントのモニタリングを審議していただくことが1つと、中期目標期間にかかわる審議と意見聴取をしてまいります。
     夏までの動きはこのような流れになっておりまして、したがいまして、特に5月と6月の分科会と、その間のフォーマットのご記入のところで、また先生方にお手数を大変おかけいたしますが、何とぞよろしくお願い申し上げたいと考えております。
     説明が長くなりましたが、この評価に関する基準なりフォーマットにつきまして、企画室からの説明は以上でございます。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまお話にございましたように、引き続き、経済産業研究所からアウトカム指標につきましてのご説明をお願いいたします。
    ○岡松理事長  それでは、アウトカム指標の説明に入ります前に、私の方から一言ご報告申し上げたいと思います。
     前年度の事業の調査研究活動を行いましたときに少し積み残しが出ていたわけでございますが、昨年度の年度内の最終成果物が得られなかったものにつきましては、ほとんどすべて現時点で終了いたしております。
     それから、会計的に申し上げますと、繰り越し分になったものもあったわけでございますが、これにつきましては、それを引き継ぐプロジェクトに充当するということで、7割以上のプロジェクトがそのテーマにおいて関係する後継プロジェクトに充当いたしまして、有効に活用いたしております。
     それが前年度からの引き続きどういう処理が進んでいるかということでございますが、本年度の予算執行状況、進捗状況はどうかということでございますけれど、12月末のものはまだ締めることができませんで、11月末時点で締めてみますと、昨年の執行よりも若干上回っているということで進んできております。
     ご存じのとおり、今年度当初に所長の交代がございまして、新しい体制でスタートするということで、今年度の研究活動の本格的着手が若干おくれた面がございますが、その割にはむしろ順調に進んでいるということを申し上げておきます。
     ということでございまして、今年度、新所長のもとで新しく、後ほどご説明申し上げます研究プロセスについてもみんなできっちり議論をして進めていくという体制のもとで、フェロー、スタッフが一丸となって研究活動を進めておりますので、今年度も引き続きご指導、ご意見を賜りたいと思っております。
     それでは、総務ディレクターの入江の方から、アウトカムという新しい概念でございますが、これについてご説明をさせていただきます。
    ○入江総務ディレクター  それでは、アウトカム指標につきまして、研究所として考えた案をご説明申し上げます。資料2―2をごらんいただければと思います。
     資料2―2の1ページ、1の背景等でございますが、ここは先ほど佐味企画室長からご説明がありましたように、独法評価委員会のご決定によりまして、予備的中期目標期間評価においては、研究所が直接的に生み出したアウトプットの評価に加えて、それが顧客や国民など外部にどのような影響を与えたかというアウトカムについても評価をするということが決められております。
     このアウトカムについての指標をどうとらえるかにつきましては、先ほどの評価委員会の決定――先ほど佐味室長からリファーされました参考資料2―2にございますが、その中で手順が決められておりまして、3段階の手順になってございます。アウトカム指標の選定というイタリック体で書いたところでございますが、まず最初に、中期目標、中期計画に並べられている指標の中から、どれがアウトプット指標で、どれがアウトカム指標かをまず選別をして、アウトカム指標の方を選ぶと。
     2番目に、それにつけ加えまして、中期目標、中期計画のアウトプット指標の方でも、その結果として考えられる効果までいろいろ考えた上で、よりアウトカムに近いものを考え出して――報告書の表現ですと、「論理的に想定され得るアウトカム指標」というものを考えよというご指示になっておりますが、かみ砕いていいますと、アウトプット指標の中でアウトカム指標に近いものを試行的に案を考えるということが第2段階でございます。
     第3段階は、今申しました中期目標・中期計画に掲げられているアウトカム指標、そしてアウトプット指標から論理的に想定をしたアウトカム指標の候補の中から、法人のミッションに照らして重要でかつ調査が可能なものを選び出すということでございます。
     こういう手順で、私ども研究所の中でもアウトカム指標の案を考えた次第でございます。
     この資料2―2の1ページの下半分でございますが、まず、今申しましたアウトプット、アウトカムにつきまして、研究所に即してどういうものがアウトプットとアウトカムになるのかということをまず頭の整理をしてございます。
     これにつきましては、中期目標の最初の部分にそのアウトプットとアウトカムの理念が整理されておりますので、いま一度整理し直してみますと、アウトプットについては、中期目標の中で、「当面の課題を見据えながら中長期的な経済システム改革の問題に関する調査・研究を行い」ということが掲げられておりますので、これを「調査研究アウトプット」という名前をつけてみたいと思います。
     それに続きまして、同じ中期目標の中で、「理論的・分析的基礎に立脚した研究成果や提言内容を、政策論争や政策形成プロセスに提供していく」ということが掲げられておりまして、これが「政策提言・普及アウトプット」というべきものだろうと思っております。
     この2つのアウトプットが理念的にあると思っております。
     それについて中期目標の中では、このアウトプットによりまして、「経済産業省における政策形成能力の抜本的な強化につなげていく」ということが書かれておりますので、これが「経産政策アウトカム」というべきものだろうと思います。
     それとともに、「我が国の政策論争の活性化と政策形成の質の向上を目指す」ということがもう1つ書かれておりますので、これが「我が国政策アウトカム」というべきものだろうと思っております。
     研究所におきましてのアウトプットとアウトカムはおよそこういった2種類ずつのものだと考えた上で、指標につきましては、同じ資料の2ページ目、3の指標の検討等でございますが、(1)として、中期目標・中期計画に掲げられている指標そのものの中から、どれがアウトカム指標だろうか、ということを考えた次第でございます。
     中期目標に掲げられている指標の中で、アンケート調査等によるユーザーの評価が政策形成にどのようなインパクトを与えたかをアンケート調査しているわけでございますが、これがまさにアウトカムに相当するのではないかと思っております。
     アンケートは2つとってございますが、1つは企画室の方から経済産業本省の評価を聞くというアンケート――先ほど佐味室長からご説明があって、今年度もやることになっておりますが、これがまさに「経産政策アウトカム」を知る指標になり得るであろうと。
     それに加えて、私ども研究所といたしましても、経済産業省のみならず、他省庁、他機関、そして一般の有識者の方々に幅広くアンケート調査を行っておりまして、これが「我が国政策アウトカム」を知る指標なのではないかと思っております。
     もう1つ、中期目標に掲げた指標類の中で、開催したコンファレンスやセミナー等の内容の充実度を参加者からアンケート評価等をとることによりまして調べてございます。これはまさに参加された有識者の方々がどのような反応を示されたかということでございますので、「我が国政策アウトカム」を知る指標になり得るのではないかと思った次第でございます。
     2番目に、中期目標・中期計画に掲げられているアウトプット指標の中から、その効果を考えてアウトカム指標と呼び得るのではないかというものを考えてみますと、1つには、アウトプット指標でありますが、対外的に発信しているという意味で、アウトカムに密接に関係するものといえる指標があるのではないかと思っております。
     大きく分けて2種類ございまして、1つは、単に内部で質の高い研究を行っているだけではなく、広く一般に受けとめられているということを示すような指標でございまして、2ページの真ん中から少し下にありますが、成果のとりまとめとしての経済政策分析シリーズ、経済政策レビューの出版数、学術誌・専門誌等で発表された論文数、以下、7つの項目が一般に受けとめられているという意味で、アウトカム的色彩のあるアウトプット指標ではないかと思っております。
     2つ目は、その下に掲げてございますが、私ども研究所の能力を見込んでそのリソースを活用しようという指標が3つございまして、政策部局等からの研究協力の依頼件数であるとか、外部との共同研究の実施件数など、こういった3項目についてもアウトカムの色彩の強いものではないかと思うわけでございます。
     次に、3ページ目に移っていただきまして、(ロ)ですが、中期目標の中には質的な評価をせよという評価基準が掲げられてございまして、これが5点ございます。
     最初は、現下の政策当局では発想できないような、あるいは取り組まれていないような、斬新な政策研究・提言活動を中長期的な経済システム改革の視点をもって行うことができたか。こういう質的な評価をするようにという基準が示されておりまして、これは定性的なアウトカム指標、アウトカム評価に対応するものではないかと思うわけでございます。
     先ほどの2ページ目で申し上げました2つのアウトカム指標、そして合計10項目のアウトカムの色彩の強いアウトプット指標、そして今申し上げました定性的なアウトカムの評価基準、これらの中から、どれが重要で、どれが調査可能かを考えてみますと、3ページの(3)でございますが、主として政策当局であるとか一般の有識者の方々の満足度、顧客の満足度のアンケートというものを直接的な主たるアウトカムとして、その評価度をアウトカム指標として認識をしたいという案でございます。
    それから、それを補完するものといたしまして、先ほど上げましたものの中から、1つは、定性的な評価についてはアウトカム指標になり得るのではないか。それから、先ほど上げました10項目のアウトカム的色彩の強いアウトプット指標の中から、とりわけ重要なものとして、経済政策分析シリーズ、経済政策レビューの出版数、あるいは論文数等、6項目が主たる外部への発信手段だと思いますので、これを補完的なアウトカム指標としていいのではないかと考えております。
     以上が、なかなか難しい検討でございましたが、研究所としてのアウトカム指標の案でございますので、これをご審議いただければありがたく存じます。
     以上でございます。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。ただいまの両方のご説明につきまして、ご質問やご意見等、どうぞご自由にお出しいただきたいと思います。
    ○藤垣委員  今ご説明のありましたアウトカム指標について、幾つかコメントがあります。
     まず、2ページの(2)の(イ)にございます「基本的にアウトプット指標であるが、以下のものは、アウトカムに密接に関係するものとして認識」のうち、特に学術誌と専門誌というのは、これは研究者にとっては非常に大事なものではあるけれども、アウトカムまでいってしまうと議論の混乱を呼ぶかもしれないと思われます。というのは、学者の集団の中での厳密性を吟味したものが学術誌・専門誌で発表された論文ですが、それを一般への影響を考えてかみ砕いて書くというのは、学術誌とは違う、大衆誌ですとか新聞ですとか、そういった媒体に発表することになりますので、その辺をもう少し分けて考えられた方がいいのではないかと思います。
     今の話は、3ページの(ロ)で、「斬新な政策研究・提言活動によって、効果の薄い政策の改善・廃止や新しい政策の導入に資する理論的・分析的基礎を提供したか」といった点などを吟味することによって、より明確になるかと思います。これが1点目です。
     もう1つは、これまで2年間、業務実績を評価してきた中で、どこかのクラスターの方が、過去の1年間にある雑誌の誌上で自分たちのクラスターの研究で提唱した何らかの概念が論争を呼んだといったことが書いてあったのですが、そういうことはかなりアウトカムに近いと考えられますので、(ロ)に書かれたものをもう少しかみ砕いて考えられるのだとは思いますが、そのときに、基礎的な研究が影響を与えたとは何かということを考えるときに少なくとも3種類の側面があって、1つ目は議論の喚起――どういう雑誌で今までにないこういう政策論争を喚起したということが質的にあらわせるかとともに、それはもしかしたらカウントできるかもしれない。それは恐らくはアウトカム指標になるかもしれない。
     2つ目は新しいコンセプトの提唱です。今まで、何か問題はあるなと思われつつあったけれども、新しい概念なりコンセプトなりが言葉として結晶しなかった。ところが、RIETIのある研究者がいったあるコンセプトがその状況を説明するのに非常に有効であったがゆえに、よく使われるようになって、それは専門誌の枠を超えて一般にも使われるようになったと。そういうものがあれば、それは非常に有効なアウトカムの1つであろうと。
     3つ目に考えられるのは、方法論なり技法なりを提供して、それが人々に浸透していったということがもしあるとしたら、それもアウトカムなのだろうなと考えます。
     今のは、今拝見しましたアウトカムに対する予測と、今までの業務実績評価の経験から、このRIERIのアウトカムを親委員会に対して非常にオリジナリティのある形で提唱するのだったら、そういう方向性が考えられるのかなと思います。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。理事長、何かご感想はございますか。
    ○岡松理事長  今の藤垣委員のご指摘の点は、確かに整理をしていっていただいたと思います。これらの点は、どちらかというと定性的なアウトカムの中を具体的におっしゃっていただいたのかなとも思うのですが、今の3点で、私どもの研究活動の中で心当たりのあるところもございますので、今のお考えを取り入れた形で、定性的アウトカムとしてそれを評価するということでよろしゅうございましょうか。
    ○藤垣委員  まず、定性的に拾ってみて、もしそれがたくさんあれば、数としてカウントすることは可能かと思います。
    ○速水委員  今のことと関連するかもしれませんが、これは実に難しい問題ですけれど、アウトプットとアウトカムというようにそもそも分けられるかどうかというのが大問題なのですが、一応分けるとするならば、アウトプットというのは、研究者が「これが自分がつくったものだ」として提出し、研究所を管理している方たちがそれを認めて、「これをアウトプットとして出す」と、そういうものをアウトプットとして考えて、それに対してアウトカムというのは、それがどのような影響をもったかということだろうと思うのです。
     ですから、そういうことを考えれば、アウトプットというのは、例えばディスカッション・ペーパーというメディアというものを研究所が決めて、それで研究者は自分がこういうことを研究したその成果をまとめたのだということで自分で提出し、それを何らかの内部のレフリーイングみたいなことでやって、「これが研究所としての成果ですよ」という形で出す。それが典型的にはディスカッション・ペーパーなどだろうと思います。
     しかし、ディスカッション・ペーパーは、我々学者仲間での考え方からいえばインターミディエート・プロダクトなんですね。それを学会その他で報告し、そしてそれをインプルーブしたものを最終的に学術雑誌に出していくわけですから、そういう意味では、ここで書いてある学術誌への出版というのは、私などが直接的に考えれば、ファイナル・プロダクトのアウトプットだろうと思います。ですから、これをもってアウトカムというのは、私には多少違和感があります。
     これよりももっとアウトカムに近い指標で、我々もよく使いなれているというのは、昔はジャーナルのページ数などでだれがすごいとかといっていましたが、近ごろもっとよく使われる指標というのは、サイテーション・インデックスというものがございます。主要ジャーナルに発表されたジャーナルがほかの人にどれだけ引用されたかというインデックスです。これなどは、プロダクトがどのようにアカデミック・サークルで評価されているかという、その影響力をはかる指標になっているのだろうと思います。
     ですから、アカデミックの中でやるとすれば、ディスカッション・ペーパーはインターミディエート・プロダクトのアウトプットだし、アカデミック・ジャーナル等ではファイナル・プロダクトであるし、サイテーション・インデックスのようなものがアウトカムの指標だろうと私は考えますが、問題は、アカデミックの世界を超えた影響力をはかるようなサイテーション・インデックスに当たるものがあるかどうかだと思います。
     それは恐らくつくり得る――新聞であるとか、オピニオン・ジャーナルであるとか、そういうものに対するサイテーションの頻度というのは理屈としては考えられ得るし、将来、そういうものをつくってほしいとは思いますが、現時点ではそれはないし、それをつくるのは大変な労力で、それはちょっと不可能だろうと思います。そうすると、どのようにするかというと、その中間的なもの、それにかわるような、我々の言葉でいうとプロキシーといいますか、代理変数みたいなものを何か考えていただかないといけないのではないか。そのアイデアを私が出せばいいのですが、無責任ですけれど、私にはすぐには思いつかない。しかし、やはりそれを考えないといけないのではないかと思います。
    ○宮内分科会長  大変重要なご指摘をいただいたと思います。
    ○岡松理事長  お二人の委員のご指摘に共通するわけでございますが、アカデミックな世界への発表、あるいはそこでのサイテーションというものと、我々研究所がねらうアウトカムというのは、ちょっとフェーズが違うということだと思いますので、我々のこのアウトカムの作業としては、先生ご指摘のとおり、現在、そのインデックスはないわけでございますので、数量的につかまえるのはなかなか難しいのかなと。したがって、事例としてどういうものが出てきたかを、先ほど藤垣委員のおっしゃったような観点から拾ってみると。3点ご指摘がございましたが、あるいはそのほかの点がございましたら広目に拾いたいと思いますけれど、そういうことで、定性的な評価として拾い、そこにご指摘のとおり数が出てくれば、それも数字を入れていくということでございますが、そこで何か数字の目標をつくるといったものでは対応できないかなと思います。今、お話を伺っていまして、まさにそういうことかなと思います。
     それから、今のお二人のご意見を踏まえますと、学術誌・専門誌等で発表された論文数そのものは、3ページの結論のところに載せてありますが、これはアウトカムではないのではないかというように受けとめたのですが……。
    ○速水委員  私などの考えではアウトプットだと思いますけれどね。
    ○岡松理事長  ここではまだインターミディエートだと。学術的にもインターミディエートだということで。
    ○速水委員  いえ、それは研究所としてはファイナルだと思います。けれど、それは学術サークルですら、どれだけ影響をもっているかというのは、それでははかれないわけですよね。ですから、サイテーションという話になると思いますね。
    ○岡松理事長  そうですね。サイテーションで評価されるということですね。
    ○佐味室長  分科会の事務局として、今のお話に関しての考え方ですが、これはこの経済産業研究所自身が公共政策の研究機関ないし提言機能をもった、発信力をもった機関として活動をしてもらった、そのパフォーマンスをみるわけですから、今の非常に精緻な議論を一歩離れてみますと、資料2―2のアウトカムの評価の3ページの(3)の前段で書いておりますように、一番大事なことは、やはりいろいろな意味での顧客満足度で、それは政策論争のいい切り口を提示してくれたということで評価する方もいるでしょうし、こういうフレームワークで分析するとおもしろいねと評価していただける、先ほど藤垣先生がおっしゃったようなこともあると思いますが、そこが、速水先生の言葉でいうと、アカデミックな分野でのアウトカムといえるサイテーション、インデックスをさらに超えた部分をつかまえるときの大事な視点ではないかなと考えております。
     研究所の考え方としても、「主として」と書いてあるのは、まさにそこをどうとらえるかということなのだと思います。したがって、確かに論文の中には、速水先生がおっしゃったように、中間生成物であるDP、そして最終成果物である論文というアウトプット自体も並べてありますけれど、あくまでそういうものを補完するものとしてみていく材料にはなるかなと。
     ここが入れてあることが事務局として結構大事だなと思いましたのは、公共政策に関する研究機関ではありますが、単なるPR機関とか宣伝機関、あるいはアジテーションの機関ではないわけで、やはりある程度アカデミックな水準として裏打ちのあるものがあって、それで初めて意味のある政策提言なり政策研究になるのだろうということを考えると、アカデミックなクオリティというものを押さえた上での発信力なり満足度というものをみなければいけないという意味では、参考指標としてこの論文数などを入れておくことは、この経済産業研究所にとっては大事なことではないか。
     要するに、これ抜きで、受ければよかったというように流れてしまうことがあるとすると、それは恐らく公共政策の研究機関としては逆に食い足りない部分が出てくるのかなと。その意味では、これ自身はいわゆるアカデミックな研究機関としてのアウトカムになり得ても、公共政策の研究機関としてのアウトカムにはなり得ない、サイテーションインデックスですらなり得ないという、速水先生のご指摘は非常におっしゃるとおりだと思いますが、言い方をかえれば、こういう点は押さえておく必要はある関連指標ということで、入れておくことに意味があるのかなと考えた次第でございます。
    ○速水委員  もちろんそれは大事なことで、啓蒙的な小さな雑文的なものであっていいわけはないわけで、アカデミック・ジャーナルというのは一番大事なものだと思いますが、それはアウトプットだと思うのです。ですから、アウトプットというものでこれだけのものが出ましたよということははっきりいわなければいけない。それは一番大事なことだと思います。アウトカムというものをどのように考えるかですけれど、「影響」だと考えると、それはアウトプットとは違うものなのじゃないですか。そこのところを分けなくていいのでしょうかね。
    ○佐味室長  分けなければいけないと私も思います。そこの苦心の表現として、「重要関連指標」という言い方で、アウトカムそのものとは言い切れないということの意識があるのだと思いますが、そこはおっしゃるとおり、分けなければいけない部分だと私も思います。
    ○速水委員  別に責めているわけではなくて(笑声)、私もアウトプット指標は考えられるのですが、アウトカム指標として適当なものがあるかといわれると、本当は困っちゃうんですね。ですから、これは一種の部外者の無責任な発言ではありますが、しかし、コンセプトとしては一応分けて考える必要はあるのではないかと思うわけです。ですから、アンケートなどは確かに大事だと思います。
     もう1つ、ダウンロードの回数というのは割に大事な影響力指標だと思います。恐らく評判が立ってくるわけですから。その場合に、私はITのことはよくわからないので、どういうものをウェブサイトに入れ込んでおられるか知りませんけれど、例えば、ディスカッション・ペーパーなどは当然入っているわけですね。それだけではなくて、近ごろは、研究機関なり大学の学部なりが発表したジャーナル・アーティクルスというものをダウンロードできるような形にしているケースがありますが、ここもそういうふうになっているのでしょうか。
    ○入江総務ディレクター  基本的には、ディスカッション・ペーパーをダウンロードできるようになっていまして……。
    ○速水委員  それは今まではそうだったのですが、近ごろはだんだん、パブリッシュド・ペーパーもパブリケーション・シリーズみたいなものでウェブに入れてダウンロードするような方向に今動いているんですね。
    ○入江総務ディレクター  パブリッシュド・ペーパーについても、転載しているものもございますが、必ずしも網羅的ではありませんので、基本的にはダウンロードされているのはディスカッション・ペーパーというベースになりますので。
    ○速水委員  ですから、今すぐにといっても間に合わないと思いますが、そういうふうにしてパブリッシュド・ペーパーもダウンロードするようにしておいて、それでヒットの回数というものがもしかしたら1つの指標になるのかもしれませんね。これは将来のことでしょうけれど、例えばということで。
    ○小笠原委員  これは私の頭の中の整理ということでもあるのですが、わかりかけて、また後退したりしている部分があるのですけれど、混乱するのは、アウトプット指標とアウトカム指標というものが全く別なのか、重複があるのかということがあるかと思います。
     私自身は、やっと最近、もしかすると違っているかもしれませんが、アウトプットというのはある種こちら側が情熱をかけて取り組んだ成果を数量化したもので、アウトカムというのはその「情熱」が「感動」となって返ってくるものだろうと(笑声)。そういうことで、「情熱」と「感動」ということで分けますと、ホームページからダウンロードされた論文数であるとか、そのもののヒット数であるとか、こういうものというのは何らかの形で、「感動」まではいかないでしょうけれど、興味をもったものが成果となってあらわれてきているのかなと。むしろそれを呼び込むためにどういう努力をホームページに対して日々行っているのか。そういうものが実はアウトプットなのかなと。
     ですから、きょうの資料3の中にもいろいろな項目がございまして、私はこういうものはすべてアウトプット指標ととらえていて、その概念が変えられないのであるとこういう非常に複雑なお話になるのだと思いますが、実はアウトプット指標といっていた中には、アウトカム指標が最初から入っていましたと。ですから、ホームページのヒット数とかというのも実はアウトカムなのですと。そういうことであると、非常にわかりやすくはなるんですね。
     そういう意味からすると、(イ)の項目に上がっているそれぞれの指標をそういう形で一度精査していただいて、速水先生がおっしゃったように、アウトプット指標はあくまでアウトプット指標でありますと。ただ、こちらにありますように、この数字というのはある程度の定性的な部分を加味した上で、ここに考えられるアウトカムを想起させるようなものがあるのではないかと、そういうニュアンスになるのではないかなと思いました。
    ○佐味室長  今、小笠原先生がおっしゃられたとおりではないかと私も思います。そもそもこのアウトカムなるものをあわせてちゃんとくくり出してみなさいという話は去年の春に出てきた話で、もともと中期目標とか中期計画あるいは評価基準をつくる際には、後で考えてみると多分ちょっと性質の違うもので、今おっしゃった「情熱」と「感動」の両方をいろいろな形で余り意識しないで並べていたので、その意味では、「アウトプット指標ではあるけれども」と整理しているものの中に、その「感動」の方に当たるようなものも一緒に入っていたのが、昨年の春の制度ワーキンググループの議論を踏まえて、ちょっと頭の整理が必要になったというのが実態でございます。
    ○宮内分科会長  さて、どうまとめさせていただいたらいいのか、なかなかわからなくなったのですが。「情熱」と「感動」というのは非常にいい表現で、音楽会で演奏をするというのは、演奏家が情熱をもってやっているわけですよね。それはアウトプットなんですね。そして、演奏が終わって拍手があるのがリスポンスなわけですね。ですから、演奏をしている人は「情熱」を持ってやっているというのは事実なのですが、それに拍手がないとそれは全然意味がないわけですが、この拍手の計測ができないというのが非常に難しいところではないかと思いますね(笑声)。
    ○速水委員  そこはちょっと口を挟ませていただければ、演奏のようなマーケットで販売されるものは簡単に評価できるわけですよ。つまり、拍手が少ないようなものは必ず客が来なくなるわけですから、そういうものはマーケットが評価するわけです。ところが、ここでやっていらっしゃることはマーケットで評価できないものだから、ものすごく悩ましい、難しいということになるわけですね。それをどのようにしてやるか。それが本当に悩ましい問題で。
    ○宮内分科会長  そうすると、やはり「賢者の評価」ということに頼らざるを得ないということになりますか。
    ○速水委員  そうですね。ですから、アカデミックスですと、我々の知識のフロンティアをどれだけ引っ張り上げているかというので、そのペーパーなり何なりは少しずつそれを上げているかもしれないけれど、例えば、 100人の人にサイテーションされる論文と、3人しかいないということだったら、恐らくその上げ方がすごく違うわけなんでしょうね。そういう意味で、ジャーナル・アーティクルの数というのはプロダクトではあるけれど、コントリビューションでウエイトした意味での本当のアウトプット――それがアウトカムということでしょうけれど、それはサイテーションの方がベターインデックスだというのは、そういうことだろうと思います。
     ですから、アウトプットとアウトカムを分けるというのは本当は無理な話で、どれだけ本当に日本の政策形成とか日本の国民の国益に貢献しているかという、それが本当の意味でのアウトプットなのでしょうけれど、それをあえて分けたわけでしょう。あえて分けて、研究所としてはこうだというプロダクトと、それがどれだけ外から評価されているかというのをアウトカム指標として計算したらどうかというので、現在おやりになろうとしているわけですね。コンセプトとしてはそういうことだろうと思います。では、それはどのようにやるかというのは実に難しいわけですね。
     ヒットなんていうのも、考えようによっては、トピックス性があるのでヒットされたとなるということもあるけれど、同時に、評判が立つと、「これはいい論文だ」という話になってくれば、どうしてもヒットは多くなりますよ。だから、我々の学問分野でも、「これはなかなかおもしろそうな論文だ」と評価が高い人の論文をみれば、「これは自分のやっていることと関係するのだから、じゃあ、読もう」ということになって、昔はジャーナルを引っ張ってきたわけですが、近ごろはダウンロードできるようになりましたから、そういう意味では比較的外からスコアがつけやすくなったというのが、このITテクノロジーの世界なのではないかなという気がしているんです。
     ですから、それだけというわけにはいかないですけれど、そういうものを利用されるようにされたらいいんじゃないかと思うのですが。
    ○宮内分科会長  そういうものを利用しながら判断していく、総合評価していくということにつながるのでしょうね。
    ○速水委員  そうですね。しかし、それはすべてプロキシーですから、それだけに頼ってはいけないので、やはり最終的には「賢者の判断」なのでしょうけれど、最大限、そういうデータを集めるような努力がやはり必要なのでしょうね。
    ○宮内分科会長  これは大変難しい課題をちょうだいしたわけでございますが、中期目標評価という作業をするに当たり、少しでも客観的なものに近づこうという努力の1つということでございますから、完璧なものは恐らく無理なのだろうと思います。
     そういう意味で、ここまでおつくりいただいたものでございますが、きょうは非常に貴重なご意見もちょうだいいたしましたので、そういうものももう1度踏まえて、事務局に再度お考えいただいて、一部修正できるものは修正していくという形で、大枠といたしましては、きょう提出していただいた考え方を取り入れていって作業を進めるということでやらざるを得ないかなという感じがいたしますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。
     それでは、一部修正をさせていただくということで、これにつきましては私も参加させていただきまして、また会議をするというのも大変かと思いますので、内容につきましてはご一任いただくということで、きょうのご意見をできるだけ取り入れて進めさせていただくことで、ご了承いただけますでしょうか。
         (「はい」の声あり)
     それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
     本件は、次回の本委員会である独立行政法人評価委員会でご審議いただくことになります。必要に応じまして、いただいたご意見についてもご紹介しつつ報告をさせていただきます。そういうことで、今後、体裁など所要の修正があった場合は、私に判断をご一任いただくことにさせていただきたいと思います。
     それでは、最後の議題でございます。平成16年度業務進捗状況について、研究所からご報告をちょうだいしたいと思います。
    ○吉冨所長  それでは、資料3の関係に基づきましてご説明させていただきます。
     資料3―1は、研究過程あるいは研究を深化していくプロセスを1枚の図にしたものでございます。
     資料3―2は、16年度の研究プロジェクトの概要で、これまでは90近かったプロジェクトが約半分強になりましたが、それぞれのプロジェクトについての概要を1ページ弱にそれぞれまとめて、皆様のご参考に期しているわけでございます。
     時間が15分ほど予定より超過してしまいましたので、本当は40数目ありますプロジェクトを駆け足で10秒ずつご説明しようかと思ったのですが、それをしても時間が足りないということがわかってきましたので、こういうプロジェクトの内容を前もってご説明するのは今回が初めてということで、既にお配りしてあるものとはその後精査して変えてありますが、基本的には内容的に同じであります。
     このプロジェクトの並べ方はクラスターごとになっております。先ほどからご指摘のあったように、政策形成との関連をより明確にするという要請もありまして、このクラスターを踏まえた上で、政策的にはどのように整理すればよろしいのかということを簡単にご説明いたします。
     お配りしております資料の一番下に、「RIETI Highlight 」というカラーの冊子がございます。これはRIETIの研究活動のハイライトの部分をご紹介するという目的で今回創刊したわけでありますが、その創刊に当たって、次のページを開いていただきますと、主要政策研究課題がございます。ここに6つの柱を立てております。このようにして、政策ニーズに見合った研究の整理をするということで、これまでのクラスターとこの研究政策課題を縦と横との関係で有機的に理解できるようにしたかったということで、これをつくっております。
     ちなみに、簡単に申し上げますと、第1の研究の大きな柱は、いわゆるロストディケードを総合的にマクロ経済面とミクロ経済面から研究するということであります。実際に、プロジェクトの中に、プラス面というのは生産性の上昇がロストディケードの前半と後半とでは違ってきているのではないかと。後半の方が高くなっているのではないかという研究が含まれております。
     それから、その中には当然デフレの研究もあるわけですが、この研究も進んでおります。
     構造改革の面では、電力などを中心とした構造改革についての研究があるということです。
     2番目のピラーにつきましては、基本的にはグローバライゼーションとリージョナルイシューを取り扱うということで、当面、こういった世界的な新しい、アメリカの赤字、アジアの黒字ということを中心としたグローバルな問題の中で、アジアの統合や通貨調整はどうあったらよろしいかという、今日の緊急の課題を取り上げております。
     3番目は、国の債務だけではなく、社会保障にかかわる問題を総合的に取り扱う必要があるということで、国民負担率という概念自身は、政府の50%という基準はどういう理論的な根拠があるかどうかは不明確であるので、そういうものをこの柱のもとで研究しております。
     また、年金のあり方についても、2005年の改革というものを再評価して、どういうところを直せば年金がサステイナブルになるかということを提案する予定でおります。そのときには当然、高齢者全体としての所得、支出、資産行動というものを調べる必要がありますので、医療、介護といった関係のものも取り上げて、総合的に高齢者の生活実態をみるという意味で、高齢化の新しい経済学をつくりたいと考えております。少子化対策も当然この中に入っております。
     4番目の柱は、金融市場の新しいあり方と、それに関連したコーポレートガバナンスであります。この中には、中小企業金融の新しいあり方とか、これまでの直接金融・間接金融といった切り口を超えた新しい流動性概念、あるいはそれに基づくセキュリタイゼーションの研究をやり、かつ、公的金融機関のあり方にも踏み込んでいきたいと思っております。
     5番目は、日本のイノベーションシステムの強い面と弱い面を総合的に洗おうとしているわけで、よくいわれる「科学と技術のリンケージ」というものも、サイエンスとテクノロジーのリンケージと、テクノロジーとインダストリー(産業創造、あるいは新製品化)のリンケージを2つのプロセスに明確に分けて、科学と技術のリンケージは、パテントにあらわれているテクノロジーの中で、学術論文がどの程度サイテーションされているかということでリンケージの特定を図る。そうすると、こういう産学連携の前半のリンケージのところが、何もアメリカとか日本に特有なリンケージではなく、産業の特性をあらわしたリンケージであるということがわかってきつつある。
     そして、新しい技術を製品化するときには、当然、企業のビジネスモデルのあり方、組織のあり方、そして地域クラスターのあり方ということが問題になってきますので、そういうことを最近のデジタル家電をも取り上げて調べていきつつあります。
     最後は、やや技術的ですけれど、経済産業省が抱えておりますたくさんのマイクロデータというものが企業でも貿易でも産業でもございますので、そういうものを駆使したマイクロデータの拡充と、それから、そういうものを使った生産性、貿易、エネルギー、環境についてのモデルの作成、モデル操作の進化を考えております。
     そういったことが、先ほど申し上げた40数個の新しいプロジェクトを今申し上げた6つの柱の中に整理して、政策課題とマッチするようにしてあります。
     今度は、そういう政策課題の中で重要なのは、でき上がりました政策をpros and cons
    の形でまとめて、政策当局者にわかりやすく説明するということをやっています。これは後で副所長から説明がありますが、このpros and cons をどうやってつくっていくかというプロセスが、資料3―1の研究プロジェクトの進行過程であります。これは基本的には1年を研究期間としておりますが、もちろん2年のものもあれば、1年半にわたるものもあります。
     まず、先ほどの問題の指摘の中にもありましたように、研究者自身の自己目的化しやすい研究と、政策ニーズとのすり合わせということが必要ですので、まず、研究そのものについての仮説の立て方、メソドロジーを中心に、ブレーンストーミング・ワークショップというものを初期の段階で行っております。
     これには経済産業省の関係部局の人も自由に参加するようになっていますし、私どもの中にいる常勤フェロー、これは10数名おりますが、その10数名の常勤フェローと、かつ、20数名のファカルティフェローがそれぞれ行う新しい研究プロジェクトについて、ブレーンストーミング・ワークショップを行います。ここでは思い切った議論をしようではないかということであります。
     それから、新しい研究プロジェクトを立ち上げるときに、とりわけ常勤フェローの場合がそうでありますが、ファカルティフェローと比べれば当然のことながら、必ずしも専門性が十分に高いわけではなかったり、その新しく始めようとするプロジェクトについての知見が十分に準備されているわけではないので、そういうときには、専攻論文のサーベイが十分できるような外部の講師の方に来ていただいて、ストック・テーキング・エクササイズと呼んでおりますが、そういうものを目的とした特別セミナーを開催して、研究プロジェクトが立ち上がるような体制をつくってきました。
     そして、1年のうちの約半分ぐらいのところで中間報告会を行って、ここでも研究者の研究の内容と政策技術との間のすり合わせも含めて、研究の深化を図っていくところであります。
     これまでは主にこういったことが国内の研究会を中心に行われてきた場合が多かったのですが、もう少し内外の外部の発表者も招いた中間段階でのブレーンストーミング・セミナーというものも行ってきております。
     こういう過程を経て、1年のうちの4分の3ぐらいのところに来ますと、1本のディスカッション・ペーパーが大体でき上がってまいりますので、そのディスカッション・ペーパーのレビューをいたします。これは基本的には内部レビューであります。もちろん、でき上がったDPは何らかの機会で外部の査読に回すということがありますが、この研究プロジェクトの進行過程で我々が今考えているのは、基本的にはこういったディスカッション・ペーパーは内部レビューに付するとし、それを通していい論文をつくっていくというふうに図っております。
     先ほどから議論がありましたように、この研究所はアカデミックな研究所そのものではなく、公共政策あるいは政策志向型のインスティテューションですから、内部レビューというときにそういった政策当局のニーズのようなもののすり合わせというのは非常に重要であります。
     そして、最後にそういうものができ上がって、かつ、研究チームとしてでき上がってきた幾つかの論文、それと関連する外部からのペーパーをあわせまして、国内外――これは国際という意味は外で行う場合もあり得ますし、国内で行う場合もありますし、外部からの講習もあれば、ペーパーのプレゼンテーションもお願いするといったものも含めて、国際・国内のコンファレンスを随時やっていくということにしております。
     これまでのところは、こういったコンファレンスをこの年度でやってきたのは、まず、先ほどのグローバリゼーションとリージョナル問題に関連したアメリカの赤字とアジアの通貨問題から始まって、農業政策のあり方、とりわけ直接支払いを中心とした政策提言、そして少子化問題、とりわけ女性の活用、そしてコーポレートガバナンス、そして電力の自由化、こういったことを中心にコンファレンスを催してきております。そういうときにはOECDなど外部からの講師も招いて、議論を活発化させているところであります。
     それが私がきょう申し上げたかった16年度の研究計画の進捗状況でございます。
    ○田辺副所長  引き続きまして、お時間の関係もございますので、私の方からは、主に対外的な関係、アウトプットの関係を簡単にご説明したいと思います。資料3―3をごらんいただきたいと思います。
     資料3―3は、先ほど来ご議論のありました私どもの中期計画におけるアウトプット指標を一覧できるようにしてございます。
     これについて過去の経緯を申し上げますと、一番左側にアウトプットの項目がございます。出版物から、ディスカッション・ペーパー、ホームページへのヒット件数など幾つか並んでおりまして、その次の欄に中期計画の旧指標とございますが、そこに中期計画を最初につくったときの数値目標件数が書いてございます。それを13年度、14年度と行いました上で、14年度が終わりまして、中期計画を改定いたしまして、目標数値を変更しております。目標数を変更したものに★印がついておりまして、基本的にこの★印の部分は、中期計画の目標数値をいわば上方修正したという目標を私どもは掲げているわけでございます。
     それに基づきまして15年度の実績がありまして、また、16年度の年度目標を私どもはもっているわけでございます。そして、現在、16年度の中間段階で、年末の段階で締めた数値が一番右側ということでございまして、ざっとごらんいただきますと、一番上の出版物につきましては、これまで5冊出しておりまして、年度内にあと3冊は確実でございますので、数値目標はクリアできるであろうと思っております。
     そういう形でざっと下までごらんいただきますと、ほぼ既に目標数値をクリアしているもの、それからクリアできるであろうものというのが並んでいるわけでございます。
     その中で、2番目のディスカッション・ペーパーでございますが、これは16年度目標70件以上という大変野心的な目標を掲げているわけでございます。それは真ん中にございます中期計画の新目標で 275件という、当初 100件だったものを野心的に上方修正しているわけでございまして、昨年末で締めてみますと、16年度は37件でございまして、この目標数値70件に対しまして、このディスカッション・ペーパーといいますのは、先ほど来ご議論のありますように、アウトカムを目指しますと当然クオリティを意識しなければならないわけでして、クオリティと数量というのはトレードオフの関係にあるものですから、このような数量目標ももちろんクリアすることを目指す努力をしながら、もちろんクオリティも維持をしてやっていかなければいけないというところで、私どもは現在努力をしているところでございます。
     そのほか、下の方にございますが、先ほど来のご議論とも関連いたしますような、コンファレンスの参加者の満足度は非常に高く、一番右側にございますが、83%というものがございますし、上から3番目にホームページからダウンロードされた論文件数といいますものも、既に16年度ではDP1本当たりの平均で 4,817件――これはDP全体ではなくて、DP1本当たりの平均ダウンロード件数でございまして、すなわち、非常に人気のある論文については数万件のダウンロードの実績もあるということで、私どもはそれなりにアウトカム――「感動」を呼んでいるのではないかと自負をしているわけでございます。
     あるいは、下から3番目にございますようなホームページのヒット件数というのも、これはホームページをごらんいただくとご理解いただけると思いますが、私どもは常に読者の方々にみやすいように、そしてフレッシュなコンテンツを提供するように意を配っているところでございまして、毎年30万件以上というのが目標ですが、16年度は途中段階で既に44万件ということでございまして、これは研究機関としては恐らく最大多数のヒット件数ではないかと自負をしているところでございます。
     これが対外的な関係の全体像の一覧表でございます。
     資料3以降につきましては、それぞれどういうものかというものが入っておりますので、お時間の関係がございますので省略いたしますが、ディスカッション・ペーパーのリスト、出版物のリスト、コンファレンスのこれまでやってきている実施状況、ブラウンバッグ・ランチセミナーという、昼食時にインフォーマルにポリシーのディスカッションをするセミナーでございますが、これも平均週1回以上のペースでやっておりまして、そういうものの開催状況。また、経済産業省との共同の研究会・勉強会のようなことをやっております政策形成プラットフォームの開催状況がその後の資料にございますので、ご参照いただけたらと思います。
     私の方からは以上でございます。
    ○宮内分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問やご意見等がございましたらどうぞ。
    ○速水委員  このことは大変結構なのですが、評価ということに関して、一般的な話でよろしいでしょうか。
    ○宮内分科会長  どうぞ。
    ○速水委員  ホームページのダウンロードの回数とか、ディスカッション・ペーパーなり何なり、こういう指標がございますね。先ほど、そのヒット回数は研究所としては恐らくトップであろうということをおっしゃって、これは大事なことだと思いますが、先ほどいいましたように、これはそれ自体非常に不完全な指標だけれど、やはりある意味をもった指標だと思いますので、そういうものは重要なのですが、では、ほかの研究所が一体どのくらいのものをもっているかということをデータとしてインフォーマルにでも出していただければ、これはセンシティブなことがあるので余り表面に出してはいけないのでしょうけれど、少なくともこの会ぐらいには、これと比較的似た研究所が幾つかあるわけで、その研究所はどのくらいのスタッフのサイズで、どのくらいの予算規模であるといったデータとともに、こういうものを少し比べていただけると大変便利かと思いますが、いかがでしょうか。
    ○岡松理事長  前年度も最終的な報告のときに、今のお話の、スタッフであるとか、予算であるとか、出版物であるとか、コンファレンスの回数などを整理したものを一覧表にしてお出しいたしましたが、そこにはヒット件数というのはなかったかと思います。これはとれるかどうかわかりませんが、逆にこちらからアクセスしてみると、「あなたのアクセスは何本目」とか出てくるものがございますので(笑声)、そういうことでとれるものがあれば、それがすべてであるかどうかはかわりませんが、やってみたいと思いますけれど、ダウンロードの件数というのは外からはわからないので、内部から教えていただけるかどうかですが。お話の趣旨はよくわかりますので。
    ○速水委員  先ほどここがアクセス件数がトップだとおっしゃったのは、何かお調べになったのでしょうか。
    ○田辺副所長  客観的に明らかになっているわけではございませんので、トップではないかと推定をしているというところでございます。
    ○速水委員  わかりました。
    ○小笠原委員  これは後になってくると重要な点だと思いますし、きょうの議題の中でもあったのでぶり返してしまいますが、こちらでコンファレンスなどに参加した場合の満足度とか、一般的なものの満足度とか、これはいわゆる定量的なアウトカム指標として扱うと思うのですが、今回、3月を期限として経済産業省の中で行うアンケートというのは、前回のように17のうち何件がどうというので定量的に扱うだけなのか、それともかなり定性的な一つ一つのコメントを重視して行うのか、そのあたりはどういう状況でしょうか。
    ○佐味室長  まだどれだけのものが聞き取れてというのがみえない段階なので、想定ではございますが、単に数で、いろいろ聞いてみたけれど結局何分の何でしたというだけの話にせずに、むしろここに出てきたご指摘自体も定性的には重要なものは拾って、評価のベースに提供したいと考えております。
    ○小笠原委員  ぜひそうしていただきたいと思います。
    ○宮内分科会長  質問ですけれど、例えば、出版物をおつくりになる場合には、そのテーマというのは、研究所でこういうテーマで非常に高い研究レベルにある人に書いてもらいたいといった、いうならば出版企画みたいなものがあって、それに最もふさわしい先生にお願いするという形なのか、フェローという形で、あるいは参加される先生の最も興味のあるものについてたまたまお書きになったということなのか。これは恐らくその両極端ではない部分があるとは思いますが、傾向としてはどういうことなのでしょうか。
    ○吉冨所長  研究のプロシージュアのところで申し上げましたが、最初にこの研究プロジェクトを立ち上げるときには、私どもの常勤フェローとファカルティフェローが大体チームアップをいたします。そして、ファカルティフェロー以外の方の研究員として参加なさる方もいらっしゃいますから、チームのメンバーの数は、ファカルティメンバー、プラス、常勤フェローよりも多いのですが、その中でこの研究プロジェクトに沿って研究していった結果、いいものが出てきたら出版物に回すということで、出版は今のところこういったディスカッション・ペーパーのよいものが出てきたものを、さらに精選してまとめて、出版会社と交渉して、出版会社自身のある程度のレフリーもありますので、それを通過した段階で出版するという計画に今のところしております。
     したがって、研究所はファウンデーションではないものですから、こういう研究をお願いして書いてもらって本にするという形態はとっておりません。あくまでも、先ほど申し上げた研究政策課題に沿った研究プロジェクトを立ち上げて、いいものができたら本にするという方針でおります。
    ○宮内分科会長  出版でなく、この研究課題をことし1年かけてどうしてもやりたいと、そういう非常に重要な課題が出てきたときに、現有の人的資源の中からその課題に取り組んでもらうということになるわけでございますか。
    ○吉冨所長  全く新しい課題が出てきたときは現有では間に合わない場合が多いですから、例えば、先ほどお配りしております資料3―2の「16年度プロジェクト概要」の冒頭にありますが、これはOECDを中心に出てきた問題提起なのですが、企業のintangible assets とかintellectual assets をどのように明示的にアカウンティングに示していくかという研究がありますけれど、これはそれまで考えていた要員ではできませんので、刈屋先生という方に特別来ていただいて立ち上げているということをしております。これは1つの例示でございます。
    ○藤垣委員  先ほど速水先生がご指摘された研究所間比較という表が参考資料1―1の最後のページにありますが、去年の分ですけれど、これをみながらの質問が1点と、コメントが1つあります。
     各研究所の中で、これは海外の同様の研究をしている研究所に比べて、利益がどういう位置を占めるか――例えば、ディスカッション・ペーパーの数はほかと比べると高い方だとか、カンファレンスセミナーの開催回数は高いとか、そういうことをみることができるのですが、海外の同様の研究所においてどういう位置を占めるか、あるいはどういう方向性をもった研究所かといった議論が、中期目標の中では何らかの形で言及されることになるのでしょうか。
     それから、もう1つはちょっと毛色が違いますけれど、研究所の研究者メンバーによる自己評価といいますか、評価の評価であったり、あるいはこの研究所は自分としてはこういうことを目指すべき、あるいは世界の研究所の位置づけとしてこういうものであるべきだから、こういうことをしている、だから評価の項目としてもこういうことをみてほしいと、そういう意見がそろそろたまっているのではないかと思われるのですが、そのあたりはもしかしたらいい聞き方をすれば、評価する側とされる側との建設的な議論になるかもしれませんので、もし実施していただければ、研究所員が、例えばたまっている不満をただぶつけるとかというのではなくて、例えばアウトカムとして研究員としてはこういうことを評価してほしいとか、上から落ちてきた指標はこういうものだけれど、実はこういう指標を使ったら私たちのアクティビティとしてこういうものがとれるのではないかと、そういう意見ももしかしたらあるかもしれない。
     あるいは、参考資料1―1の28ページのような表を研究所員がみた場合、この研究所はこういうものを目指すのだから、こういうところを強くした方がいいのではないかといった、もしかしたらそういう非常に貴重な意見が埋まっているかもしれませんので、もしそういうことを聞く機会があったなら、我々としても聞いてみたいなという気がいたします。
    ○吉冨所長  外国の研究所は、RIETIそのものを立ち上げるときに、ブルッキングスなどを中心に調べたことがあると思います。それは参考にしようと思います。
     もう1つ、今の自己評価の点は、実際に私どもがマネジメントサイドで研究者の業績などを評価するときの中に、自己評価というのはまず前提としてございます。それでマネジメントサイドとフェース・トゥ・フェースで話をしながら了解を得ていくという形をとっております。
     もう1つ、先ほど申し上げた研究のプロシージュアの中で、どういう研究プロジェクトを立ち上げるかというときに、論文の構成、そこで主に考えられる仮説、その仮説を論証するときの論文の構成とメソドロジー、そしてこれまでの主な参考文献、そういったものをこれまで要求してきておりますが、これはファカルティフェローの方には何でもないことかもしれませんが、私どもの常勤フェローにとってはちょっときつい基準かもしれません。ということで、今そういったことを実際に所内で議論をしております。
     したがって、ディスカッション・ペーパーの質の度合いをファカルティフェローの方が書かれるようなものに全部合わせるのか、もう少し別のものをつくってよりいい意味で自由な研究活動ができるようにするのかというのは、まだ改めて検討しているところでありますので、今の藤垣委員のご指摘は非常に的を得た、今、内部で模索している問題のご指摘でございます。
    ○宮内分科会長  よろしいでしょうか。時間が参りましたが、きょうは非常に中身の濃い議論ができたと思います。ただ、私ども評価委員としましてはますます荷が重くなったような気分もいたしますが(笑声)、きょうのお話を参考にしながら、今後、この会合を進めていくということにさせていただきたいと思います。
     それでは、きょうの会合はただいまの報告をもちまして終了させていただきたいと思います。長時間、まことにありがとうございました。

                                 ――了――

 


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最終更新日:2005.03.28
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