経済産業省
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審議会・研究会

産業構造審議会環境部会地球環境小委員会市場メカニズム専門委員会(第9回)  議事録



日時:8月2日(火)10:00~12:00
場所:三田共用会議所 1階講堂
出席委員:黒田委員長、金本委員、明日香委員、工藤委員、佐藤委員(稗田代理)、杉山委員、新澤委員、濵田委員、藤冨委員、松橋委員、椋田委員、山口委員、山田委員

 開会
 京都メカニズムの本格活用に関する基本的考え方
 閉会

○黒田委員長 今までの議論を踏まえて「京都メカニズムの本格活用に関する基本的考え方」を事務局でおまとめいただいたわけですが、きょうはこの基本的考え方についてご議論をさせていただければと思います。
○山口委員  この文書で最初に現状その他を入れるというお話なのですが、むしろ私はCDM/JIに関する日本の考え方を最初にもってくるべきだと思うのです。もちろん、日本としては京都議定書目標達成という手段としての位置づけはあるのですけれども、むしろ長期的に、基本的には技術の開発とその普及を通して地球規模で長期にCO2 の排出量を減らす、これが一番の認識だと思うのです。それに向けて京都メカニズムを位置づけるということをまずはっきりさせる。要するに京都目標を達成するということはその次の話なんだよ、この方が国際的には……。特にヨーロッパなんかはとにかく物すごくきれいな理念が出るわけですけれども、日本の場合、従来理念が余りないので、むしろそれを先に入れるべきだ。
 もう1つ、省エネの話がありました。日本政府がこれから予算をとって買い取りということもやるのだと思うのですけれども、そういう理念からして日本政府は省エネプロジェクトを非常に重視、優先するということも明記する。きょうの委員会でできるかどうかわからないのですけれども、これは前から私はいっているのですが、例えば日本がそういう理念からこの問題を考えていくと、もし買い取りをする場合でも省エネのCDMは高く買う。幾ら高くというのは別にして、そういう観点から日本政府としてはそういう考えでいくんだ、こういうことを打ち出すと外国からみると日本の考え方が非常にわかりやすくなるのではないかと思うのです。
 もう1つ、ちょっと気になったのが、これの最後の方なのですけれども、8ページの「クレジットの類型と取得の考え方」、「まずはCDM/JIのプロジェクト形成、及びGISの推進」、その「まずは」という意味は、これがうまくいかなければほかのテーマがあるよということを日本語としては示唆していると思うのです。
 先ほどの日本の理念からすると、もちろん京都議定書はできるだけ達成にもちろん努めますけれども、一番大事なのは長期にわたる地球規模の削減だということからすると、「まずは」という言葉をとった方がいいのではないか。ただしホットエアは買わないということを別に書く必要はないですけれども、これをみると最初にこれをやって、だめならその次にそっちへ行こうか、私が外国人でこれを読んだら日本政府はそう考えてるんだと思います。ですから、ここのところは「まずは」という言葉をとるべきだろうと思います。
 それから、今後の話として、先ほどODAの話がありました。日本のFuture CDMの話というのは国際的に非常に反響を呼んでいると思いますが、ODAについても、今のマラケシュ行動の決定そのものをもう一度見直すということは当然あると思うのです。というのはマラケシュの直前にEUが出した文書の中で、例えばアフリカなどがAIJの案件がほとんどないという中で、場合によってはそういうことについてはODAを使ってもいいのではないか。これはEUの公式文書には入っているのです。そういう動きが現実にあったわけです。ですから、今グローバルに排出を削減する、そういう究極の目的に向けて、例えばODAもそのように向けていく。今のマラケシュの内容を変えていくわけです。そういうことも視野に入れてはどうなのだろう。
 もう1つの問題は原子力なのです。原子力はパパッと一番最後に入っちゃったわけですね。ですけど、ごく最近の流れは、むしろ環境保護団体が温暖化のために原子力を推進しろという言い方がかなり出てきています。最近の「エコノミスト」の特集記事もそうですし、「フィナンシャルタイムス」にもそういう記事がかなり最近出ています。資源エネルギー庁なんかでも、きょうご出席ですけれども、そのようにご認識されている。この間、私、たまたま長官とお話しする機会があったのでお話ししてみたのですけれども、本当にやるとすると世界がそっちに流れてきている中で、もう一度その問題をここで見直したらどうだということを、どのタイミングでいうかは別にして、日本としては考えるべきではないかと思います。
 最後に、これはそういう大きな問題とは別に、たまたま先週、ISOの気候変動に関する会議があって、そこで政府と打ち合わせをして日本のFuture CDMのプレゼンテーションをしたところ、大変な反響です。ということは、みんな今のままじゃだめなんだ、個別に一つずつやっていくんじゃだめなんだ、どうもそういう認識が非常に強いですね。ISOのその会議には、例えばインドネシアのエグゼクティブボードのメンバーも入っているわけです。その中でついこの間、最終的に修正を加えて、例えばプロジェクトというのは、ベンチマーク方式あるいはパフォーマンス方式というのはセクターベースの一つのベンチマークで、例えばISOでそういうことを規格の中に入れたわけですね。そういう流れが世界にあるわけです。ですから、日本のFuture CDMというのは非常に受け入れるだろうし、ぜひこの方向で進めていただきたいと思います。
○松橋委員  我々の方ではかねてからリアルオプションなんかを使ってCDM等の案件活性化効果を分析してきたのですが、それとの関係できょうの文章を拝見しますと、全体的にとてもいい文章にはなっていると思うのです。一部、細かいところで気づくところがありまして、例えば9ページ目の下の方に「価格変動に対応した柔軟かつ機動的な意思決定」とありまして、「民間ベースで行われたプロジェクトからのクレジットで転々流通しているものを相対取引で取得することが必要になる場合も考えられる。こうしたクレジットは日々価格が変動するため、取得に当たっては柔軟性、機動性をもった意思決定が必要である」と。ここの意味がどういうことなのかつぶさにはわからないのですが、私たちは分析をするときに、CERを政府が買い取ることの1つの効果というのは、これは1つはCERが売れる先が出たと。CERが売れるか売れないかもわからないのに日本の産業界が一生懸命CDMをできるかといえば、とてもそういう状況ではないので、それが買い取りという制度に向けて動き出したというのは大変評価できることだと思うのです。
 もう1つは、そこにおいてCERの価格変動のリスクを低減できるという効果が期待できると私は思っておったわけです。すなわち市場の価格と連動して政府の買い取り価格が全く変動してしまいますと市場でCERを売りさばくのと同じになってしまいますので、丸ごとCERの価格変動リスクをプロジェクト実行側がこうむってしまうということになると思うのです。ですから、でき得るものならば固定価格というのがリスクヘッジという点からは一番いいかと思うのですが、それが不可能でもなるべく市場の価格変動よりも、政府が買い取る場合、あるいは政府の関係機関が買い取る場合には価格の変動を抑えた形で制度をつくっていただけると活性化効果が上がるのではないかというのを1つ感じております。
 それから、私どもは主にCERの価格変動リスクを中心に分析してきたのですが、最近段階的にして、例えば登録のリスク、ポスト2012のリスクを組み入れて最近分析を始めたのです。そうしたところ、CERの価格変動リスクより登録のリスク、あるいはポスト2012のリスクがプロジェクトの価値を減じる、そっちの効果の方がむしろ大きいというような結果が出てまいったわけです。
 もちろん登録リスク等々の確立等については、まだ定量的に詰まっていない部分が多分にありますので、まだはっきりしたことを外にいえる段階にないのですが、そういう意味からいいますと、こういう制度を始めると同時に登録のリスクを減じる。これはそこに書いてありますからそれでいいかと思うのですが、同時にポスト2012という点、これは9ページの上の方に書いてあって、「今後行われる次期枠組交渉の動向を踏まえつつ、2013年以降の排出削減効果の扱いを検討することが適切である」と。政府としてはこれ以上書けないといいますか、責任をもって書く文章としてはまさにこうだとは思うのですが、ここのところが産業界にとってみえませんと、2012までに完全に利益を得られるプロジェクトでないとちょっと怖くて実行できないというような格好になるかと思いますので、そこらあたりを――ちょっと文章には書けないと思うのですが、担保というと言い過ぎなのだけれども、何らかの形で継続できるような策が考えられるとリスクが減ってさらに実行しやすい、新たな案件、特に省エネ案件を日本の技術を生かすということを私も念願しておりまして、そういう意味ではここのリスクを何とか勘案していただけるとありがたいなと考えております。
○新澤委員 3ページの一番下のパラグラフについて、質問と確認も含めて3つほど意見を申し上げたい。
 「国内対策に最大限努力する」という文言がここに至るまで少なくとも3回目です。大変重視しておられるということはよくわかるのですが、最大限努力したということをどのように判断するかという点なのです。これはなかなか難しいと思うのですが、その点についてのお考えを伺いたいということです。
 2番目は、それに関連して、どれだけ京都メカニズムを通じて獲得したかという数量に関する情報とか――数量に関する情報はおのずと明らかになると思うのですが、もう1つは価格に関する情報の取り扱いについて何かお考えがあれば……。私は、海外から1トン当たり幾らで買ったというような情報は国内で同じ程度の努力をしたかということを考える上では基本的な情報なので、なるべく国民に広く知ってもらうのがいいのではないかと思うのですけれども、いろいろな考え方があるかもしれません。
 もう1つは、この文章のタイトルが「京都メカニズムの本格活用」ということで、政府が税金を使って調達するということのほかに、もう1つは産業界が自主行動計画の目標を達成する上で京都メカニズムを使うということが目標達成計画にあります。しかし、きょうお示しいただいた文章は専ら政府の調達について書かれたことであるように思うのですが、その点の確認です。例えばこの3ページの一番下のパラグラフですと、「特定の主体に対してその実施の責任と負担を負わせることは困難である」という文章を入れてしまうと、産業界が自主行動目標を達成するためにみずからの負担で京都メカニズムを使うということとの関係がちょっとわからなくなります。
○工藤委員  ありがとうございます。3点ほど。
 1つはJIのルールづくり等々についてのところなのですけれども、前半の方でCDMにいろいろな課題があって、いろいろなことを今後改善するように取り組みましょうという文が書いてある一方で、JIの取り組みに関してはCDMのやり方をある程度参考にしながら効率的な流れというふうに、逆にいうとちょっと弱くなっているのです。既にCDMのルールをリファーしながらこういうものをいろいろ検討していくだろうという1つの流れは認識しながら、CDMでこういう問題が明確になっているということであるならば、JIについてもこういったところはある程度留意しながらという具体的な、いってみれば効率的な姿を出しておいた方がいいのかなと。漠然としたというよりはJIとCDMはこういうことが違って、できるだけ効率的にするにはこういう制約といいますか、余計なことは要らないんだみたいなことを含めて、もうすぐそういった議論が始まるものですから、より具体的に示した方がいいのではないかなというのが1点です。
 それから、松橋委員がいろいろご指摘になったこととも若干ダブるのですけれども、ここで書かれている一つ一つの項目について今どう考えるか。例えばCDMなり何なりの供給量をふやす、もしくはマーケットからいろいろどうやって価格なり何なりを普及しながら調達するかという一つ一つの項目の考え方なのですが、もう一個考えなければいけないと思うのはシナリオ的な部分。ですから、早期に取り組むというのは、恐らくは供給量をいかにふやすかというのがまず中心になりますけれども、これが約束期間がどんどんどんどん後半になってきますと、プロジェクト開発という側面から、よりクレジットを市場から買ってくるという側面が非常に強くなってくる。多分ステージがだんだん変わってくると思うのです。
 その中で、先ほどちらっと出た価格のリスクであるとか、もう1つ国内対策との絡みの中で、いろいろな意味で国内対策のパフォーマンスがみえてきますと量的なリスクもいろいろまた変化してくるだろう。そうすると、それがそれぞれのさまざまなシナリオが多分あって、それに対応して、文章上では「柔軟」もしくは「機動性」という言葉で書かれているわけですけれども、公のところで実際に議論するかどうかは別としても非常にそういった戦略的なさまざまな対応シナリオはいろいろな段階で考えておく必要があるのではないか。そういった視点がどちらかといえば今後の課題の中で今後どういう形で戦略的なことをフォローアップしていくのかということが重要なのではないかと思いました。
 3点目は、やはり松橋委員がご指摘の2013年以降の話なのですが、例えば小規模のプロジェクトでなかなか収益性が上がらないようなものが12年ぐらいに切られる、なかなか大変だね、そういう現実等もあって、そういう個別のプロジェクトの特性に応じた対話がもし施策的にできるのであるならばそれはあってもいいのかなと思う一方で、将来枠組みの議論の中でCDM等の問題点はあるけれども、途上国との関係の持続性等も考えれば、ある程度有効に今後活用していくことも考えられるのではないかという視点が多分議論されていると思います。どちらかといえば国際動向を踏まえて検討することが適切という受け身の発想よりは、そういった将来枠組みでのCDM等をより有効に活用する枠組みを考えようという前向きな形の部分も多分一方の議論ではあると思いますので、そういった議論を踏まえながらというもう少し前向きな部分もこの文書に書き込めば、先ほど松橋委員がおっしゃったようなネガティブではなくて、もう少しポジティブな形の中で将来的な活用も描けるのではないかなという気がいたしました。
○佐藤委員代理(稗田氏) 2点ございまして、1点目は8ページの「クレジット類型と取得の考え方」の中で下から3つ目の○のところに「プロジェクトベース等のGISの推進をまず図る」という記述があるのですけれども、GISの定義あるいはプロジェクトの定義によっていろいろあるとは思うのですが、もしこれが本来JIでもカバーできるものをJIと比べてより簡明なルールでという意味のGISでやるということを先にまず考えようということであれば、私どもの考えではJIのファーストトラックの議論はもうマルチで始まるはずでございますので、その中でJIのファーストトラックでカバーできるものはこれ以上簡素にならないぐらい簡素な手続にしていただくということがまず優先だと考えております。
 むしろGISとして先に進めていただきたいものというのはプロジェクトベースでない――プロジェクトベースでないというのはベースラインをまず引いて仮想のラインと実際のものの差分を取引の対象とするという発想から離れて、もう少し広い意味での取引に根づいてGISを、むしろJIのマルチの議論から離れて早急にバイでそういう可能性のある国と協議をしていただきたい。その方がもう既にGISについていろいろな国で検討されている中で我が国が先んじてそのクレジットを確保するという意味からいっても、そういうプロジェクトから離れた意味でのGISの着手も早く図っていただきたいという気持ちがいたします。
 もう一点は、前払いか後払いかという購入方法の話なのですけれども、5ページあたりで先払い方式についても注目する必要があるというご認識を示されておりながら、後半の我が国の取得方針のところでは後払い方式が国際的に主流であるということで、前払いについてどう進めるかというところが余りはっきりと書かれていないという気がいたします。
 現在は確かに後払い方式が主流なのですけれども、価格を抑える、売り手に対してもう少し安い価格で交渉するというテクニック上の問題からも、ある程度前払いを組み合わせるというのは確かに流れとして出てきております。ただ、前払いには返還金、債権をどうやって確保するかというところのリスクがあるわけですから、後発で進めていく我が国の政府の取得としては、ほかの国に対して安い価格で、魅力的な価格で購入するという意味からしますと、高い値段で買ってくるか、あるいは前払いという条件面でいい条件を出して買ってくるかということになるわけですから、前払いのリスクをうまく回避しながら前払いを活用するということで、そういった取り組みが必要なのではないかと思います。
 その前払いのリスクの回避についても、相手方の信用を調査して、ある程度信用があれば前払いをするということだけではなくて、保険なり保証なり、債務の取り立ての簡便化なり、そういう制度的な工夫をしながら前払いという手法を活用していくという方針があっていいのではないかと思います。
 なおかつ、前払いのリスクを回避しながらクレジットを取得したいというのは、自主的取り組みを進める民間としてもそういうニーズはございまして、そういった前払いリスクの回避手段を考えるときにも政府だけが使える手段でなくて、民間もそれを利用できて民間も政府も利用できる人がふえることによってリスクのヘッジに対して払うコストも下げられる、そういった政府と民間の連携がとれるようなリスクヘッジのシステムを考えていただければありがたいなと思っております。
○椋田委員  まず、1ページのところで下から4行目に「補足性の原則を踏まえつつ」というのがあるのですが、この言葉について国内で極端に狭く解釈しようという意見もあります。京メカの現状についていろいろ書かれるということですので、ぜひオランダやスペイン等の取り組みについてしっかりと書き込んでいただければと思っています。
 あと、企業を動かして潜在的なプロジェクトをどんどん発掘していくためには、政府の方からクレジット取得の具体的な手続、予算、二国間協定、この3つを一体となって取り組むということで明確なメッセージを早く出していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 特にGISにつきましては、CDMやJIと違ってどういったプロジェクトを発掘していいのか、企業もなかなかわからないところが多いと思いますので、そういった点につきましてもできるだけ早く政府サイドから具体的な二国間協定、あるいは政府の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
 他方、政府が本格的な活用に取り組もうとすると、場合によってはクレジットの国際価格にもいろいろな影響を与えてくる可能性がありますので、どうすればそういった負の影響を回避できるのか、そういったことについてもどういったメッセージを出すことによって負の影響をできるだけ抑え込んでいくことができるのか、ぜひご検討いただきたいと思います。
 例えばこれはWTO協定の対象外ですので、日本企業によるこういったタイプのプロジェクトを優先するというようなことを明確に出していただくということも一つなのかなと思っております。
 最後に1つ質問ですけれども、10ページに「外部の専門的知見・能力」というのがあるのですが、この外部機関というのは具体的にどういったものを想定しているのか、もしわかれば教えていただければと思います。
○杉山委員  CDMが大変期待を担って出てきたのですけれども、現状としては期待ほどクレジットが出てきていない。その理由は、1つにはたくさんの願望というか、理念が入り込み過ぎているというところがあると思うのです。持続可能な開発に資するとか、追加性が厳密に証明されるとか、手続がオープンで透明であって多くの参加がある。このレッスンは私は非常に大事だと思っていまして、GISをつくる場合に、そこに余り願望を放り込むとそれだけクレジットの量は減ります。我が国の数値目標の達成、可能性の状況は正直申し上げて非常に厳しいと思いますので、GISの設計に当たっては、ほかの便益をそれほど押し込まない方がよかろうかと思います。その意味でみずからを縛ってしまいかねないようなことはやめた方がいい。
 政府としてなさねばならないことは私は3つあると思っていまして、1つは予算を組んで排出権を調達するということ、それから制度インフラの整備、これはMOUやSOI、CDMの方法論といったこと、もう1つが民間事業者が実施するに当たってのさまざまな支援ということだろうと思います。
 クレジットのクオリティー・コントロールをどうするかということが課題になるのですけれども、これはある意味では京都議定書とマラケシュ合意でもう済んでいる。少なくともCDMとJIについてはそういう了解で進んでいると思います。本当は国際排出権取引の方もクオリティー・コントロールはそれで済んでいて買ってくればといいという考え方もあるのですけれども、そこにあえてこのGISという概念でもう一段クオリティー・コントロールをかぶせようというのがこの発想だと思います。
 そうするとどうしたらいいのかなということなのですが、京都議定書の数値目標の達成が非常に厳しいという状況を踏まえると、必ずしも日本の事業者がもってくるクレジットでなくても構わないし、必ずしもこの支援措置の中から出てくるプロジェクトでなくても構わない。極端にいえばヨーロッパの事業者、オランダの事業者がもってくるクレジットでもいいし、彼らがロシアで何かプロジェクトをやってきたクレジットでもいい。その調達という側面とクオリティー・コントロールという側面をうまく切り分けないと、現状だとそこが日本として関与したクレジットを調達して日本の数値目標を達成しますという絵にどうしても私にはみえてしまうので、そこは切り離していただきたい。
 GISを実施するに当たって、では世界じゅうの事業者にとって何が必要かというと、この調達に関するガイドラインだと思うわけです。ロシアで発生するクレジットであれば、どこでも同じというのが一番いいですけれども、例えば8ページに挙げていただいている例は「温室効果ガス排出削減を伴うプロジェクトベース等」とここにある。クオリティー・コントロールというのは世界全体どの事業者に対してもひとしく適用されるものだときちんと明文化してしまうことが大事だろうと思います。
 その上で、先ほど稗田さんのご発言にもあったのですけれども、「温室効果ガス削減を伴うプロジェクトベース」、これだけを例示していますと、周辺の書きぶりはともあれ、これが日本のメッセージだと誤解されて広がっていく可能性があると思いますので、もう少し例示をふやした方がいいと思います。例えば私でしたらこのような文言、「具体的な温室効果ガス排出削減に伴うプロジェクトベース、民生運輸機器の効率基準整備のためのキャパシティービルディング、排出目録作成のためのキャパシティービルディング、そのぐらい幅を広げておいた方がいいと思います。
 関連するのですけれども、GISのメリットとして、JIで拾い切れないであろうより幅広い省エネや地球環境保全のための政策措置に対して対応することができる。そのことを前面に出すという考え方があるかと思います。
 その意味でエネルギー政策上の意義ももちろんあってもいいのですけれども、それがすべてだと思われてしまうと、どの国もエネルギー以外のところもGISにだんだん興味をもっていくはずであって、その人たちが入り口で関心を背けてしまうことにならないか、それがちょっと心配になります。
○山田委員  実際に排出削減当事者の立場から今どういうことを考えているのか、どういうことが足りないのかということについて少し申し上げたいと思います。
 当然ながら自分たちの産業あるいは企業の技術を発展途上国に普及させていく、CDMの活用ということを我々は考えているときに、CDMであれJIであれ技術の普及だということしかないと思っています。そのときに、今非常に不安定なのは、トータルの削減計画の達成のために補完的に当然使うわけですので、達成のシナリオを描けるようなCDMといいますか、そういう活用ができないと実際には活用が非常にしづらいわけですね。
 そういうことを考えたときに、ほかの先生からも出ていましたけれども、日本の産業の特徴ということを考えますと省エネ技術を推進していく、あるいはCDMの手続を簡素化していただく、なおかつ国ごとの対応をより明確にしていただく、あるいは業種別、産業別の必要な技術リスト、有効な技術リストについては、CDM化がしやすいような仕組みにしていただく。今までも出ている議論ですが、こういったことが前提になりませんと、我々は一生懸命申請書とかいろいろなことをやっても、3年後、4年後にこれが達成できるのかどうかわからないという状態で走らざるを得ないということですので、だめならだめということを早くはっきりしないといけないということも含めて、この辺の見直しをぜひともお願いしたい。自分たちでできることは当然しますけれども、特に国の支援がどの程度のことができるのかということが後押しとしては非常に有効だと思っております。
 もう1つは、CDM化できたとして、先ほども松橋先生からあったと思いますが、最後に余剰になった場合どうなるんだということです。その場合の売却可能性を高めていただくということがありませんと、先ほどいいましたように、シナリオを達成するためには当然プラスアルファの部分も予定しながら変化に対応できるような対応を我々はとらざるを得ないと思っていますので、その分が安定していませんとまたちゅうちょしちゃうという面がどうしても出てくるということでございます。
 価格の安定化に資するような施策、例えば政府の買い上げのCDMは当然日本の企業のCDMを優先するとか、先ほど省エネについては一定の価格以上を予定するだとかいろいろなアイデアがあると思いますけれども、余分にもたざるを得ない、結果それが負担になるようなことでは普通の企業としてはなかなか進めにくいという点があるということを申し上げておきたいと思います。
○明日香委員  何点かお話しさせていただければと思います。
 まず、国内での最大限努力ということなのですけれども、具体的に何を示すかということで、よく西條先生もおっしゃっていると思うのですが、外から単純に買ってくるのは経済的に非効率的だ、ヒカジュウ という問題もありますので、そのときによくいわれるのが、国内でのオフセット・メカニズムみたいなのを併用すれば、努力が国内で促進されることによって日本全体での効率性が上がる。という意味で、今環境省さんがやっている国内排出量取り組みというのは実際はオフセット・プロジェクト・メカニズムだと思うのですけれども、そういうのを併用していくことも大事だとは思います。
 もう1つ、多分これから買い取りで、イメージとしてはオランダのERUPT、CERUPTみたいなものも一つかなとは思うのですが、そのときにCERUPTの場合は省エネなり再生可能エネルギーは少し高めに買うというメッセージを出していました。先ほど山口先生がおっしゃったこともあるのですが、いろいろ議論はあると思いますけれども、少なくとも今日本は多分1周おくれぐらいで買い始める国でありまして、そのためには値段を上げるか、ある程度差別化するなりいろいろな努力をする必要があると思いますし、将来的に省エネなり再生可能エネルギーを重要視するという日本のメッセージを伝えるためにも差別化、クレジットの価格の差異化というのは検討課題だとは思います。
 あとODAについてなのですが、私も基本的にはODAを使うというか、流用性に関しては非常に厳しい方なのですが、まず文章がちょっとおかしいかなと思います。というのは、基本的に事業資金の調達難でODAというのはわかりやすいのですけれども、追加性の立証の難しさとODAというのはどうつながるのかわかりません。というのは、比較的商業性の高い案件が追加性の立証が難しいので困っているので、それに対してさらにODAというのでしょうか、それはちょっと矛盾するかなと思いました。
 あとODAに関してはいろいろな意味合いがあると思うのですが、現実的にはODAの使用を主張しているのはそれほど多くの国ではなくて、個別はまた別かもしれませんけれども、少なくとも途上国全体としては流用は反対をしていると思います。現時点、日本はいろいろな意味で京都メカニズムなり次の枠組み、ほかの外交問題でも途上国に対しては信頼を得なければいけない状況だと思いますので、暗にODAを使うということのメッセージはマイナスのイメージを外交的に与える可能性はあるかと思います。単純にいえばその他の公的資金もたくさんあるはずですので、そっちを使った方が途上国のためにも地球環境のためにもなるかなと個人的には思います。
 あとGISなのですが、多分非常に期待が高いGISだと思うのですけれども、杉山君がおっしゃるように、JIと同じようなものだと案件がないなり、ホスト国がそれほどやりたがらないというのが現状かなと思います。というのは、結局はAAU取引ですので後からやってもいいと。特に最初はJIをやって後から適当にやればいいのではないかというようなイメージがあるのかなと思います。
 ですが、1つ動けばかなりどどっと来ると思っていますので、例えば世銀なりEUなり、3カ国なら3カ国間、4カ国間で1つとにかくつくり上げるというのでしょうか、そういう努力がないと難しいかなと思います。
 ソフト、ハードなのですけれども、結局は私もソフトの方にかなり流れてしまうと思ってはいるのですが、現時点である程度ハードを中心にするというメッセージを与えた方が、あちらとしてはGISに対して早く取り組むというか、ソフトでしたら結局後でやれますし、ほかの資金もいろいろある。まずはクレジットを上げるまでソフトなGISをやるインセンティブが現時点であるのかなという気はします。
 最後に2012年、13年以降の扱い、松橋先生もおっしゃったように、私も何らかの担保が必要だと思います。だれが担保するかということなのですが、多分いろいろなやり方がありまして、それこそ2012年のコミットメントに使えるようにしてしまうというマラケシュなり京都プロトコール書きかえという話もありますし、ユニラテラルでとにかく宣言をする。日本だけではなくてEUも宣言をして2013年以降のクレジットも自国の何らかの排出削減、コミットメントに使えるようにしますよと政府が公に宣言するのも1つの手かなとは思います。
 いずれにしろ、私、ここら辺の話はEUの研究者と最近話をしているのですけれども、彼らも何らかの価値は早くフィックスしなければいけないということは同じ意見です。ですが、そのときに京都議定書の目標を弱めるような、いわゆるターゲット ダウンみたいなことはどうかという意見もありますし、それよりもCDMの命を救うというのでしょうか、もしかしたら2006年に案件がどっと減ってしまうので、結局トレードオフみたいな話もあるかと思います。
 もう1つ、将来の枠組みとの交渉と絡めるという話もあるのですけれども、多分将来の枠組みの交渉というのは2年か3年ぐらいは続くと思いますので、かつ2013年以降の話というのは、ことし、来年すぐ決めないとすぐ2006年になってしまいますので、ある程度切り離して議論するのも必要かなと思います。
○濱田委員  大変よくまとめておられて論点は網羅されている立派なとりまとめだと思うのですけれども、今の皆さんのご意見を伺っているとわかるように、GISの扱いとかプロジェクト物に焦点を合わせると介入期間が長い上に、特に省エネに焦点を当てればプロジェクトは基本的には長いですから、松橋先生等々がおっしゃっているように、リアルオプション的な考え方でやると2013年以降のコミットがないと成り立たないとか、そういう意味でさまざまな問題をはらんでいますよね。それについて論点はきちっと網羅されているわけです。ただ、このとりまとめの使い道というのは、大変恐縮ですけれども、来年度予算要求に当たって、クレジット取得に当たって予算をとろうということをまず当面書く。これについて反対している方は皆さんいらっしゃらないわけですよね。
 その後の京都クレジットという排出権をどう扱っていくかということについては、いろいろな問題、矛盾をはらみながら進んでいかざるを得ないですし、特に最大は2013年以降のリスクは非常に大きいわけで、それは実験やってもそこで無価値になれば大変なバブルが発生したりとかということも含めてあり得ないので……。ですから、私の感じでは、これだけ皆さん意見が違っていると、「基本的な考え方」と書いてあると未来永劫変えない、京都メカニズムの本格的活用に対するかなり長い間我が国政府を拘束する理念を示したかのようにみえますが、当面の考え方であればそういうことはないわけです。要するにいろいろなことが流動的なので、今はこのように整理をしておきましょう、ただ、今後検討する課題も非常に多いので、残された課題にもさまざま指摘があって、私はこういうことを本格的にやっていくべきだと思います。そういう意味では、その課題も多いので、きょうご議論があったのを全部書いてもう一回基本的な考え方を整理し直すといっても全く相対立する考え方が示されるように思いますので、私は、「当面」と書かなくてもいいのですけれども、「基本的」というのは抜いたらいいかなという感じがいたしました。
○藤冨委員  このとりまとめが当面の考え方ではなくて、ぜひ基本的考え方であってほしいと思うのです。特に技術に関することが、例えば5ページのところのCDMの下の方に「我が国の優れた技術」とか、最初の方に「我が国の優れた省エネ技術」と書いてあります。例えば2010年の時点であってもぜひ「我が国の優れた技術」といえるということがいいと思うのですが、ほかのヨーロッパの国もそれぞれ自分の国はすぐれた技術をもっていると思っているに違いないので、ぜひこういうことを外向けにいうときに、何をもって日本国政府が我が国はすぐれた技術かということを――もちろん私もあると思っていますけれども、より外向けに第三者に例証できるような証明の仕方を考えてほしいと思います。何らかのお考えがあったらぜひお聞きしたいと思いますが、ぜひこの考え方は2012年になってもこのようにいえる我が国の基本的な考え方であってほしいと思っています。ありがとうございました。
○山口委員  日本政府が買うという点については、さっきいろいろな意見があったのですけれども、これは世界どこからでもということだろうと思うのです。そこがちょっと確認をしたいと思った点です。というのは最初の私の理念にかかわることなのですけれども、日本としては地球規模で長期的な削減、そういうことを日本の基本方針にするのだ、これが恐らく今日本政府の考えていることだと思うのです。そういう意味では、もちろん日本企業が減らすのもいいしオランダ企業が減らすのもいいのですけれども、特に省エネということを考えますと、世界のどこでもそういうものがあって、それを日本政府が買うんだ、それ自身がコストエフェクティブなことなんだ、こういうことだと思うのです。
 そして、先ほど基本的な考え方云々というのがありましたけれども、この問題は、私は将来枠組みに関する日本の政府の考え方を外に出していくその一環として出すべきだと思うのです。これは最初に申し上げたことと同じなのですけれども、まず長期にわたる地球規模での削減ということが一番大事だ、それをやる。そのためにこのCDMという制度があって、日本の目標達成というのはもちろん大事なのだけれども、むしろ長期にわたるそういうことをねらっているのだと。その一環としてさらに国内の目標達成にも役立つ。そういうことからいくと、例えば政府が買ってくるというような場合でも、どこからでなくてはいけないということはないだろう。それを限っちゃうと日本としての理念がそこでちょっとおかしくなると思います。
○黒田委員長  このご提案いただいた基本的考え方という「基本的」の意味の根本的なことまでいろいろご議論いただいていると思いますけれども、ある意味で「基本的」というのは政府が京都メカニズムの使い方に対してどう関与するかについての基本姿勢を示すという意味では極めて重要なメッセージだと思います。そのときに、山口さんおっしゃったように基本的考え方の根本が環境問題に資するということを大前提、これはいうまでもないことですけれども、その上で京都メカニズムを使うことによっていかに効率性を達成するかというのも、幾つか言葉が入っていますけれども、日本の施策としての戦略性というのも重要だと。その辺をどう折り合いをつけるのかということだと思います。その場合に、その戦略性の中の一つとして、日本の企業、日本の民間との対応で政府がどういう基本姿勢をとるかということになろうかと思いますので、その辺の根本的な基本姿勢のネーミングのつけ方も含めて最初に事務局の方からご発言いただければと思います。
○岸本環境経済室長  まず、山口委員から冒頭ご発言がありまして、最後にも結んでいただきましたが、6%の達成という問題と長期的に京都メカニズムをどのように位置づけるか、これは根本論でございまして、きょうはまさに濱田委員からもご発言がありましたように、委員のご発言が完全に一致しているとは思いませんけれども、コンセンサスがどの程度あるかというのはもう一度ご発言を整理いたしまして、どういう案文にできるかということを考えたいと思っております。
 事務局としましては、京都議定書目標達成計画の中で検討が一番おくれている部分が差分についてどのようにクレジットを取得するのかという点であるというのが今回の地球小委にお諮りした基本的な問題意識でございますし、この専門委員会に審議をお願いしている基本的な問題意識でございますので、今回の中間とりまとめについては、この差分をどうするかというところを優先して扱いたいと思っておりますことはあらかじめご理解をいただければと思います。
 省エネプロジェクトについて、これは恐らく2013年以降のクレジットの評価と連動する形で議論する必要があると思っておりまして、とりわけ省エネプロジェクトについては、これから方法論を開拓していかなければならないということと、プロジェクトによっては契約から実際に稼働するまでの間の期間が他のプロジェクトと比べても相対的に長いということが想定されると思っておりますので、2013年以降のクレジットを一切考慮しないということで、実際にプロジェクトが動くかどうかという実態論があると認識しております。他方で6%の達成という観点から2013年以降のクレジットを評価しづらいということも、ルール上そうでございまして、差分についての達成という問題と別の次元の政策的な要請があるというのが私の認識でございます。
 GISの関係で「まずは」と書くかどうかとかソフトなものまで広げるかどうか、このあたりは後ほど山形参事官の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 ODAの部分に関しましては、今回ご議論をいただいて大変感謝をしておりますけれども、他方でこの部分については目標達成計画で一応の仕切りがついていると私どもは考えております。現在エジプトのザファラーナの風力発電についてCDM理事会の登録が認められるかどうかという問題があるわけですが、そうした動向をみながらODA資金の活用について政府としての対応策を検討していきたいというのが政府部内の状況でございます。
 原子力CDMにつきましては、これは従前から地球環境小委員会の方でもご議論がありますので、今回のとりまとめに記載するかどうかということも含めて検討させていただきます。
Future CDMについて非常に高い評価を諸外国からいただいているということであれば喜ばしいことでございますけれども、それは今回のとりまとめ上もう少し案文として工夫できないか検討いたしたいと思います。
 松橋委員からございました価格変動のところですけれども、これは従前から黒田委員長からもご指摘をいただいている点でございまして、政府による買い入れの価格についてどう考えるのがよいのかというところについて事務局としても十分な見識をもつに至っておりませんので、先生からいただいたコメントを検討させていただきたいと思います。
 新澤先生からございました国内対策で最大限努力した判断ですけれども、これは目標達成計画上それぞれの対策についてPDCを回すということが決まっておりますので、その総和として国内最大限努力がどこまでできているか、あるいはどこまでできそうであるかというのを次の見直しの時点、2007年度に評価をするということになろうかと思います。
 それから、政府が取得する場合の数量情報あるいは価格情報の扱いでございますけれども、公的資金を活用する以上、情報の開示を求められるということが基本かと思いますが、他方で民間企業の方からは買い入れ価格自身は保秘を重視してほしいというご要請もこの委員会でもあったかと思いますので、そのあたりのバランスについては実務上の観点から検討していきたいと思っております。
 民間の活用については、目標達成計画上、国内努力に変えて民間企業が京都クレジットを活用することができるという整理になっておりまして、今回の議論の過程では、国内努力をして6%の差分に充てるものとは別に、国内努力の一環として、あるいはそれにかわるものとして民間企業が京都クレジットの取得、あるいは活用ができるという整理にしております。
 工藤委員からJIのルールについて課題をもう少し整理してはどうかというご指摘をいただきました。これは事務局で検討いたしたいと思います。
 次に、シナリオの検討についてですけれども、シナリオの検討をこの場でするということではなくて、むしろシナリオの検討を政府としてやっておくべきではないかというご指摘かと思いますので、それは当然行政としてやっていかなければならない問題ですけれども、このとりまとめに書くかどうかということについては検討させていただきたいと思います。
 稗田委員からいただいた意見のうち、前払い、後払いのところですけれども、これは確かに報告書の中で5ページに書いていますことと後ろの間のバランスがやや不足している感がございますので、前払いの方式の活用について8ページ以降の記載について検討させていただきたいと思います。
 椋田委員からございました補足性の解釈のところですが、これはご指摘のとおり、諸外国の現状について記載する過程で欧州における補足性の運用実態についても必要な記載をいたしたいと思います。
 政府の取得によって価格が上昇することについての問題提起がございましたけれども、これは松橋委員からいただいた問題の一環として検討いたしたいと思います。
 それから、ご質問としていただきました外部機関の想定でございますけれども、これは1回目、2回目のプレゼンテーションをいただきました中で出てまいりました。例えば国際機関の炭素基金とか国内でも幾つか民間の基金があるわけでございまして、そうしたものを含めて外部機関の活用ということを考えております。
 それから、杉山委員からいただいたクレジットのクオリティー・コントロールの問題です。京都議定書上はクオリティー・コントロールの問題は当然整理が済んでいるということかと思いますけれども、そうしたことは認識した上で、それぞれのCDM、JI、あるいはGIS、エミッション・トレーディングのクレジットは議定書遵守という観点からの効果は同じでございますが、地球環境あるいはとりわけ長期的な削減という観点からは効果が異なる部分があるという基本認識のもとに、地球小委員会、あるいはこの委員会での議論が進んできていると考えておりまして、そこについて全く無差別で考えるべきではないかというのは必ずしもこの委員会としてのコンセンサスにならないのではないかというのが私の理解でございます。
 それから、エネルギー政策の意義をすべてに適用するのはおかしいということは全くご指摘のとおりでございまして、エネルギー政策の意義も踏まえて対応するという政策運営の一つの視点を明示したものとご理解いただければと思います。
 それから、山田委員からございました省エネプロジェクトの推進について、まだまだ民間企業として十分安心して取り組める状況にない、そういう問題意識は我々も共通のものとしてもっておるつもりでございますし、Future CDMを含めてなるべく早い時期に安心してこの問題に取り組んでいただけるように経済産業省としても頑張っていきたいと思っております。
 それから、民間で保有されたクレジットが余剰になった場合の問題につきましては、これは重要な問題だと思っておりまして、この委員会の論点整理メモにも問題としては記載させていただいたように思っておりますので、この委員会の審議すべきテーマとして受けとめさせていただきたいと思います。
 明日香委員から国内のオフセット・メカニズムとの併用というご議論がございましたけれども、これは前回の専門委員会でも少しご議論いただいたかと思いますが、今後の課題という整理にとりあえずはさせていただきたいと思います。
 それから、価格設定を高めにする、しないということについては、そのメリット、デメリットについて検討した上で、また改めてご議論をさせていただきたいと思います。
 ODAについて安易な活用ということは私どもの趣旨ではございませんし、その旨政府の目標達成計画に記載をしているところだとご理解いただければと思います。
 それから、2013年以降の問題について、国際的な議論と切り離して、とりわけ省エネプロジェクトなどを進めるためにも切り分けるべきではないかというご提案がございました。これは先ほどの松橋委員からのご提案とともに検討させていただきたいと思います。
 濱田委員から問題提起をしていただきました基本的考え方か当面の考え方かという点については、きょうの皆様のご発言をもう一回整理いたしまして、どういうタイトルが一番ふさわしいか、事務局で検討させていただきたいと思います。
 藤冨委員からございました優秀なすぐれた技術のリスト、あるいは例証という点ですが、これは特に省エネということになりますと方法論についてまだ十分なリストがない中でどういうものを書くのがふさわしいかという問題はありますけれども、すぐれた省エネ技術についての検討は省内でも相当しておりますので、実際に世界に普及させるべき技術という観点で、先日も日中の鉄鋼業界の協議などもございましたので、効果の大きい技術としてどういうものがあるかというリスト化について検討させていただきたいと思います。
 十分お答えができてないかもしれませんが、とりあえず以上とさせていただきます。
 続いて、GISについてお答えいたします。
○山形大臣官房参事官 残されましたGISの部分でございますけれども、GISというのはいまだに言葉だけが出ておりまして、実態が国際的に認知されているものが全くないわけでございますけれども、現状認識を申し上げますと、将来EUに加盟するであろうプラス10カ国につきましては、JIのファーストトラックも多分参加資格は得られるであろうと。それはすなわちエミッション・トレーディングはまず大丈夫であろうということになるわけですけれども、JIファーストトラックになれるようなプロジェクトであれば、多分EU ETSと競合するであろうという我々の認識がまずございます。
 そういう観点で考えますと、JIファーストトラックのポテンシャルは相当限られたものになるのではないかという問題意識をもっております。そうしますとより自由なクレジット取引を設計できるGISを我々は提案していかないといけないのではないか。特に省エネ関連につきましては、JIファーストトラックといいましてもクレジットの発行期間は5年に限られますので、省エネプロジェクトを促進するだけの十分な資金的インセンティブを提供できないのではないか。そういうことを考えますと、参考資料の方に含まれておりますけれども、GISというのはJIの5年間よりももっと長期的な排出削減効果がある。その分のクレジットを考慮するという方法で省エネプロジェクトなどを推進できるのではないか。そのような制度設計が長期的にも地球規模でも温暖化防止に非常に高い意義をもたせることができるのではないかと考えております。
 そのような背景がございまして、かつGISについては制度がどの国もまだ全く立ち上げられていないという観点から、まずはプロジェクトベースのものを提案して、明日香先生もおっしゃいましたけれども、まずは1つつくり上げることが重要ではないかという意味での「まずは」という言葉の使い方をさせていただいております。
○坂本地球環境対策室長 事務局からCDMの将来、ポスト2012年の枠組みにおけるCDMについて補足的にご説明させていただきたいと思います。
 実は地球環境小委員会には、この市場メカニズム専門委員会に加えまして将来枠組み検討専門委員会という専門委員会がまた別途ございます。ここで昨年12月に将来枠組みのあり方についてとりまとめをしていただきました。そこの場では、まさに山口委員おっしゃったように、長期にわたる世界全体での削減が重要だという基本的な認識のもと、今のCDMをさらに発展させた新たな制度が重要であるという指摘をしてございます。すなわちCDMを核にしてこれを新しくさらに発展させて先進国から途上国への技術移転のインセンティブとしてこれをさらに活用していこうという方針を明確にしてございます。
 一方で、そのCDMのクレジットの価値が2012年以降どうなのかという点については、この将来枠組みの専門委員会のレポートでは必ずしも詳細に記述されているわけではございませんが、今の数値目標のアプローチについて、これを補完的なコミットメントとしつつ、つまり途上国への技術移転の協力であるとか技術開発の取り組みといった具体的な行動のコミットメントを中核に据えつつも、数値目標のコミットメントも補完的なものとして引き続き続けようということを書いておりまして、これは裏返していえばクレジットの需要が引き続きある程度想定されるということを念頭に置いているわけでございます。
 また、いずれにしても数値目標の取り扱いがどうなるかということは不透明な面はありますけれども、例えばEUはEU ETSをポスト京都の枠組みの結果いかんにかかわらず続けるともいっておりますし、炭素制約的な社会が続く以上、クレジットへの需要というのは、日本も含めて各国で引き続きあるだろうと想定されます。明確には書かれておりませんけれども、そういったことを念頭に置いてCDMをさらに新しく発展させた制度が必要であるというのがこの産構審の別途の専門委員会で出された結論でございます。
 こちらのとりまとめの方にどのように書くかということについては事務局で別途よく議論いたしまして、皆様方にまたご議論いただきたいと考えております。
○山口委員  先ほどの「まずは」のご説明ですが、もしそのご説明でしたら、「まずは」という言葉を「GISは」という後の「国際的検討の進展や相手国の準備状況を踏まえつつ、まずは」と、こっちに移さないと誤解を招くのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○黒田委員長 もう一度確認させていただきますが、「まずは」をどちらの方にずらす?
○山口委員  2行下の「具体的な」という前に入れる。今のままですと、まずCDM/JI、GISをやって、だめならほかにいくと、このように読めるわけですね。先ほどのご回答はそうではなくて、まずはGISについてはプロジェクトベースだというお話でしたので、2行下の「具体的な」の前に入れてはどうかということです。
○明日香委員  まず確認なのですが、多分大事なところだと思うのですけれども、差分という言葉です。今までは多分、日本国内では1.6 %を京メカというようなイメージを皆さんもっていたと思うのですが、1.6 %ではなくて差分という言葉を使うということは1.6 %をある程度考慮しないというような意味合いになるのかというのがまず1つ。いい悪いは別にしまして、少なくともこれを英語に直して国際的なメッセージとして出すときに、見方によっては日本は国内動向をあきらめて全部政府が買い占めに走る、そういうニュアンスで受け取る方もいらっしゃるかもしれないのです。なので、そこら辺はマーケットがどう反応するなり、英語の言葉の使い方も含めて十分に検討する方がよいと思いますし、少なくとも国内対策も一緒にやる方が日本にとっても長期的にはよいと思いますし、いろいろな意味で経済効率的にもよいと思いますので、そこら辺は書き方も含めて十分に検討されたいと思います。
 もう1つ、国が幾らで買うかという話なのですが、いろいろ聞くと、よくあるパターンが市場価格で買うと国はいうしかないんじゃないかと思うのです。逆に松橋先生に質問したいのですけれども、どのように……
○明日香委員  、私も市場価格で買う以外に国としてどういう買い方、言い方があるのかなというのがちょっと、別に松橋先生との議論ではなくて、どなたかそういうアイデアがあればということです。
 あと2012年以降のクレジットをどうするかという話なのですが、多分いろいろなところでそういう価値を何らかの形でもたせなければいけない。CDMみたいなものが続くというようなイメージは皆さんもってはいらっしゃると思うのですが、まだ強いメッセージとしては市場は認識していないと思うのです。
 私、ちょっとEUの人に聞いたところ、意味がよくわからなかったのですけれども、EUは途上国のフューチャーの削減義務と絡めてバーゲニングチップとしてCERの2012年の価値の問題を今考えているんだというようなコメントを研究者からもらいまして、EUとしてもEU ETSを2012年以降もバチンと決めてCDMとリンクさせますとは公にはまだいってない状況かなとは思います。なので、いう、いわないは議論があると思うのですけれども、いうのだったら、もしそれが必要だという認識でしたらもっと強いメッセージを出さないと市場は認識しないのかなとは思います。
○黒田委員長  今おっしゃった点、第1番目の問題は英文に直したときの書き方だと思うのです。国内対策に最大限努力してなお生ずる差分ということの意味をどうとらえるかということだと思います。そこはなるべく誤解のないように注意深くやらなければいけないので、国内対策を全くしない、全部京メカに頼るとはいっていないわけですから、その辺の注意深さの問題だろうと思います。
 2点目の政府の買い方というのは、僕の意識するところは、政府がまずどういう形で価格形成に関与すべきかということに関して議論がまだ煮詰まっていないような気がしていまして、ある種安定化の手段として政府が関与することもあり得るわけです。そうしたときに政府がマーケットの中にどう関与していくかというのは非常に重要な課題だと思っていまして、そこに価格安定化に資するような戦略性を政府がどうやってもてるかというのはメカニズムのマーケットの設計の問題ですので、そこは将来もうちょっと煮詰めるべきだろうという気がいたしています。
 それから、そのことを含めて2012年以降のクレジットをどうするか、それが政府の関与であり、民間にどういうエンカレッジのシステムを与えるかということにつながると思いますので、そういう具体的な設計というのは、きょうの話はある種基本的な考え方が原則ですので、さらに詰めるべき点は多々あるのだろうという気がしております。
○杉山委員  将来枠組みをめぐる議論と京都議定書の数値目標を達成するという話を余り一緒にしてはいけない、もちろん関係はするのですけれども。将来枠組みというのは、そもそも論から出発してどういったやり方が本当に地球温暖化防止のためによいか、もう一回じっくり考えようという議論です。京都議定書は偉大な第一歩ではあるのですけれども、これが最善かどうかということは大いに疑う余地があると思っています。そういうことで京都議定書の中のCDMという一システムが動くか動かないかを決定するために将来枠組みのあり方を規定する、これは全く逆さまの議論で、私は受け入れられません。
 それから、反対に京都議定書の数値目標の遵守というのは国際法として確立しているので、これは達成に向けて誠心誠意努力しなければいけない。そのときに将来枠組みの方の理念であるところの技術移転の促進とか、そういったものを余り詰め込み過ぎると、仮にこれで不遵守になったとしますと全くいいわけにならなかろうと思います。今ある法は京都議定書であって、その数値目標達成の努力というのはそこの法に従ってやらなければいけない。ここに将来枠組みの理念を放り込むのは私は余り適切ではないと思っています。
 それから、先ほど室長の方からクオリティー・コントロールの話があって、誤解しないでいただきたいのは、私も排出権取引について、そのまま京都議定書、マラケシュ合意でクオリティー・コントロールは済んでるよといって政府が調達できるほど世の中の目は甘くないと思っています。ただ、実際にGISを設計するときの法的な制度的なニュアンスには広がりをもたせていただきたいと思っています。
 私がもっているイメージに一番近いのが国内のグリーン調達です。政府の方が備品を購入なさるときに再生紙を使っていますとかトップランナー機器でありますとか、そういった証明をつけるわけですけれども、あれのイメージが1つあるかなと。排出枠を余剰排出枠があると思われる国から買うときに、それがどのように温暖化防止あるいは地球環境保全に役に立つかという説明をあらかじめ定められたカテゴリーに沿ってしていただく。これが1つのグリーン投資スキームを国内グリーン調達になぞらえた形の組み方であるのかなと。
 排出削減量の話ですけれども、先ほど来議論になっているGISにおいて排出削減のプロジェクトベースに当面絞るというところですが、これはどうしてもそれでいかれるというのであればできるだけニュアンスは絞らないように広げていただきたい。それが英語になったときもそうなるようにしていただきたい。できれば例示として、私はこのプロジェクトベース以外にも複数入れていただきたい。
 排出削減量に関する交渉というのは非常に時間がかかるし、合意しにくいのではないかという懸念ももっております。というのは、これからロシアやウクライナ、例えば移転するクレジットの量を議論するときに、何がベースラインで何年後までのクレジットを日本に移転するという議論をやり始めますと、これは将来枠組みの議論に直結してきますので、多分余剰排出枠があるということ自体を認めないとか、そんなに安くないとか、そのようなところから交渉を阻害するような動機づけがたくさん出てくるのではないか、それを心配しております。
○山形大臣官房参事官 確かにGISのイメージがまだ固まっておりませんでして、多分、来年度以降どういうことをしていくかというのをこの秋にも具体的なものを詰めないといけないと思っておりまして、確かに将来的な足を縛らないようなものにしていきたいと思っております。その段階で改めてまたご意見を伺わせていただきたいと思っております。
○濱田委員  幾つか論点、相違点があったと思うのですけれども、GISの方はまだわからないならもうちょっとふわっとしておいた方がいいなというのが私の印象です。一番大きいのは、CDM取得に向かってもプロジェクトベースでやろう、省エネ技術を活用してというのが基本的スタンスだとすれば、何度もいいますけれども、皆さん何人かおっしゃっていますが、かなり介入期間も長いので2013年以降の枠組みがなかったら絶対成り立たないのです。だから、当面とさっきいったのは、そこがはっきりしないのだったらこの議論は当面そこら辺で転々流通しているものが変わってきますという程度の政府のコミットにしかならないんじゃないかというのでそういっただけで、さっき坂本室長がいったような将来枠組みのところで、そこはEUと並んで相当しっかりと2013年以降についても日本独自でCDMについてコミットしていくんだ、これは大きなメッセージです。非常に大きなメッセージだと思いますので、それがセットなら、これはまさに基本的な考え方ですね。我が国政府の基本的な理念を示すという意味では、将来枠組みとの連携でそこが書けるなら、私は「当面」というのは撤回します。それが非常に大きなポイントではないかと思います。
 杉山委員はそれは反対だとおっしゃっているように、非常に大きな論点だと思いますが、そこが不明確でこの排出権取引の取得の議論をしていくというのは、やはり予算措置的にも非常にあいまいになるのではないかという心配がありますね。日本政府が取得したそれは何なんだという議論も含めてですけれども。だから、そこはきっちり議論をしていただければと思います。ですから、そういう意味では「当面」ということは別に申すつもりはありませんけれども、その論点を詰めていただければと思います。
○黒田委員長 今の点は非常に重要なことだと思います。杉山さんの議論と必ずしも矛盾はしないようにも思うのです。杉山さんの議論は、もっと将来枠組みの理念系からスタートして設計すること自身に関して京都議定書の達成目標ということとは切り離しておかないと目標があいまいになるという議論だと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○杉山委員  そのGISも、制度の組み方によっては必ずしも2013年以降のものと関連がないということも1つ申し上げたいと思います。例えば排出量目録のインベントリ整備にお金を使うという話であれば、それは2013年以降の制度がどうであれ、関係なくGISとして制度設計ができることである。2013年以降どうなるかというのは日本1国で決められることではなくて世界全体で決めることですから。その一方で京都議定書第一約束期間の数値目標というのはきちんとやらなければいけない。ということで、仮に第二約束期間以降がすぐには設定されない場合であっても、GISが使えるような広がりをもった制度設計が必要であると考えております。
○黒田委員長 片方でかなりの部分が2012年以降のところにかかわってくるプロジェクトがいっぱいあるということも事実ですよね。そこの仕分けの問題だと思います。
○杉山委員  それもあるかとも思いますけれども、それが主流かどうかはこれからやってみないとわからない部分はあると思います。
○黒田委員長  相当活発なご議論をいただきまして、基本的な考え方をどういう形に据えるかということを、きょういただいたご意見を含めて事務局にもご検討いただき、またご相談をさせていただきたいと思います。
 
                                  ――了――


 

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最終更新日:2005.08.31
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