経済産業省
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産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会(第4回)‐議事要旨

日時:平成15年1月28日(火曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

議題

  1. 企業における環境経営のあり方についての討議
  2. その他

議事概要

  1. 事務局から「資料4 企業における環境経営のあり方(ディスカッションペーパー)」に基づき、
    1. 経営者にとって、環境保全に配慮した経営をどのように評価すべきか(コストか、競争力の源泉か)。
    2. 企業の自主的な環境保全を取り入れた経営(環境経営)は持続可能か。
    3. 世界市場に比べ日本市場のグリーン化が遅れているのではないか。
    4. 経済的で持続可能な環境経営の障害となる社会経済システムの是正が必要ではないか。
    5. 企業間連携や異業種間協力が企業の環境対策を進める上で効果的ではないか。
    6. 環境面での企業の役割や貢献を社会に定着させる、すなわち企業の社会性を高める上での市民や自治体と の連携が必要ではないか。
    7. 国による政策のあり方としては、環境問題解決に資する制度・技術開発・インフラ整備・人材育成・通商 政策等を一体として取り組むナショナル・プログラムや地域に立脚したプロジェクトの推進が必要ではないか。
      以上の論点について説明を行った。
  2. 事務局からの論点説明に対する委員からの意見は下記のとおり。
  • 環境負荷にかかるコストは、企業のみが負担したり、消費者のみが負担したりということはない。経済学的に言うと、価格が非弾力的であれば、消費者がコストを全て負担し、完全に弾力的であれば、企業がコストを全て負担するということになる。実際には、この中間になるので、かかった費用は企業と消費者の両者がある割合で負担するということになる。
    企業にとって環境対策は、利益があがったから取り組む、利益があがらないから取り組まないということではない。環境は社会にとって取り組まなければならないものとなってきており、企業は環境に取り組んだ上で、マイナスにならないようにすることが求められる。企業は株式会社であるので、株主が認める範囲で、できる限り環境に取り組むことになる。昔は、企業が先読みして環境に先行して取り組むと、株主が反対したりしたが、今は状況が異なる。社会が変わると、コストとして認められる範囲も変わる。企業はどこまで社会的費用として支払うかについては、リーガルなコストについては企業は必ず対応すると思うが、リーガルになるかどうかは、社会の要求で決定されるものであり、国民の関心が高まれば、要求レベルが上がって、リーガルになるものも増える。
    WTOの関係で、環境を理由に規制する場合は慎重になる必要がある。過去の研究結果では、環境規制による競争力への影響は小さい。税制・賃金水準の影響の方が大きい。日本が世界をリードする意味では、途上国からの輸入を増やすことを考えるべきである。輸入規制を厳しくすると、途上国の環境規制が向上しない。京都議定書が発効し、各国が環境規制を強化した場合、貿易上、最も大きい影響を受けるのは途上国である。これが逆に途上国の環境を悪化させることになるのではないか。輸入規制は、WTOと整合性がある世界に説明できる規制でなければならない。
  • 環境経営が競争力の源泉になるか、環境経営が持続可能かどうか迷っているような企業はSRI(Socially Responsible Investment)の投資対象になっていない。自主的に環境保全に取組む企業とそうでない企業との関係について、例えば途上国の環境に配慮していない企業が市場参入してきた場合、企業が環境に取り組んでいるかどうかの判断材料を投資家に説明をすることにより、これらの企業は環境投資の面からはマイナスと評価され、SRIの投資対象からは排除される。日本はグリーン化が遅れているとあるが、実際はグリーン化自体は進んでおり、企業の情報開示の努力が足りないのではないか。
  • 経済システム全体で総括的にアプローチしていくことが必要であり、今回の審議会報告書でも、施策を総括的・立体的にまとめて頂きたい。企業はどうあるべきか、企業とは何かについて議論をする必要がある。今、企業の意識が変わってきている。企業はニーズに応じて価値を創造するものだが、企業が創造すべき価値には経済価値、人間価値(顧客に代表される価値)、社会価値の3つがある。経済価値とは儲けるということである。マーケットが変化すれば環境負荷の低い製品で利益があげられる。人間価値とは顧客が求めるニーズは何かということである。社会価値とは、全循環的な仕組みに貢献する等を意味する。
    日本市場のグリーン化が遅れているとあるが、確かに価値観の比較調査を実施すると、環境配慮製品を選択する人の割合は、ヨーロッパの方が日本よりも高い。その故に環境教育の重要性が導き出せる。
    企業の評価の問題として、環境経営の指標化も必要である。
    NPOとのコラボレーションに関して、どういう形でコラボレーションするか、形態を詳細に調べる必要がある。NPOにも教育的なNPO、福祉的なNPO、事業的なNPO等いろいろある。まずはNPOを分析して、その上でNPOとのコラボレーションを考えていくべきである。NPOとのコラボレーションに際しては、人材の育成も重要になってくる。中小企業の人材育成方法をNPOに適用することができないか。
    国のプロジェクトしては、基礎研究が重要である。素材関係やバイオ関係が特に重要である。燃料電池の開発等の支援も必要である。
  • 環境保全にコストがかかるのは明らかに事実である。環境保全はコストであるが、ブランド価値を向上させ、企業力を向上させるものとして捉えたい。環境経営は持続させなければならないものと考える。ただ、大企業と中小企業の格差について、イニシャルコストの行政支援が必要になる。
    日本市場のグリーン化に関して、日本はエコファンドが少なく、欧米よりも遅れているという印象を持つが、過去には相当環境保全に取り組んできている。企業のアピールが足りないということかもしれないが、企業の環境保全に対する取組みを国としても国民へもっと周知する努力が必要である。
  • 環境と経済が矛盾しているというのは過去の見方であり、環境を度外視した経営を行うことを考えている企業は存在しないのでこの議論(環境経営はコストか競争力の源泉か、環境経営は持続可能か)は余り意味がない。環境対応が付加価値を生むのであれば、企業は勝手に取り組むはずである。環境対応が付加価値を生まない場合でも環境に取り組んでいるという矛盾は、各企業が技術や知恵で解決している。例えば、消費価格は国際市場で決まってくるが、ギャップは技術と知恵でカバーしている。今はフェアな勝負になっていないことが問題である。
    消費者の意識が高くなり、環境ポテンシャルが高まれば、環境商品が売れるようになる。国家間でギャップをできるだけ少なくすることが重要である。環境ポテンシャルが上手く競争力になる方法を考えなくてはならない。企業間においては、購買条件の中に環境条件が相当な速度で入ってきている。ヨーロッパと日本の企業レベルと比較した場合、ヨーロッパの基準は、日本から見ると10年先のレベルであるが、それをクリアした商品が日本に入ることで消費者の意識も変化して、すぐに技術レベルは揃うと思われる。国際間のフェアな競争を促進するため、EU指令のような方法を日本も考えてよいのではないか。
  • 環境経営を進展させるためにはリーディングカンパニーの役割が大きい。SRIの投資対象外の企業を引っ張っていくのがリーディングカンパニーの役割である。リーディングカンパニーが消費者を教育するという考え方があってもよい。
    国の政策として、新しいもの、イノベーティブなものに関して、大きな仕掛けをつくる国のサポートが必要。
  • 日本の企業の99%が中小企業であることを考えれば、環境対策が企業競争力になるかは疑問が残る。体力が無い企業にとって、環境保全はコストとして考えざるを得ない。経済と環境の両立のため、厳しい経済環境や中小企業の実態を考えれば、中小企業が環境に取り組むための弾みをつけるための補助金も必要である。補助金とグリーン調達の二者択一ではなく、補助金とグリーン調達の両立も考えられるのではないか。
  • 従来、企業は良い製品・サービスを提供するものであったが、地球規模の危機感が生じてきており、状況が変わっている。製品・サービスの価値を環境への影響で割る環境効率で評価することが必要である。リーディングカンパニーは、グリーン購入ということで、サプライヤーに有害物質のリストを要求するようになってきている。サプライヤーがISO14000を取得しているというだけでは信用せず、会社に立ち入って、生産過程で有害物質を出していないか調査している。
  • リサイクルに関して、一般廃棄物など税金を投入してリサイクルを進めているが、回収コストまで含めて消費者が負担すべきかについては、日本は政策評価があまり行われていないの現状。現状の企業の環境保全の取組みを更にもう一歩進めるために、仕組み作りが必要である。家電リサイクルや容器包装リサイクルは、仕組みがなかったら動かなかったのではないか。実際に動いている今、仕組みが要らないという人はいない。仕組みを利用しようとする方向になってきている。
  • 環境ビジネスをはじめ、企業立地に際し、住民同意や指導といったような明文化されていない規制が多い。一般廃棄物中の適正処理困難物が増加しているが、適正処理困難物のEPR(Extended Producer Respon- sibility)の仕組みが問題となってくる。国・自治体・産業界で話し合う必要がある。アジア全体を見ないと資源循環は議論できない。従来は環境に適合していない製品を日本に入れないことを考えていたが、入ってきてしまうのであれば、それを国内で扱う方法を考える必要がある。
  • NPOがごみ分別の指導をしている事例に代表されるように、消費者の意識を変革していく取組みは重要であり、また消費者に対する広報等が必要がある。環境配慮製品を選択するかどうかの意識の差については、意識の高い人と低い人が価値を共有することで解決は可能である。NPOとの連携や行政の支援が必要である。また、消費者にとっては商品を直接販売する流通業の役割が大きいと思う。
  • 仮に追加的な環境規制が導入された場合、企業はそれをリスクと思うか、チャンスと思うかというコンテキストで議論をしてみたい。コストはコストであっても、追加的な利益があるのかということが重要である。追加的な環境規制をリスクと思う企業とチャンスと思う企業に分類すると、政策的にもわかりやすくなる。リスクと思う企業にはリスク低減のための施策で対応し、チャンスと思う企業には、投資や技術開発等、チャンスを広げる施策で対応することになる。LCA、環境会計等を何のためにやってきたのかを捉え直し、立体的に整理することにする。コストか競争力かといった形で平面的に捉えていると堂々巡りになる。(以上事務局回答)
  1. その他

事務局から「資料2 産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会 これまでの議論のまとめ 「環境経営と環境ビジネスのあり方」についての方向性」、「資料3 環境経営・ビジネス関連資料」、「資料5 今後の検討スケジュール」を説明。次回は、本小委員会としての中間的なとりまとめを行い、その後検討を進め、本年春を目途に最終的なとりまとめを行うことになった。

[文責]経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 高橋

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