経済産業省
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産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会(第3回)‐議事要旨

日時:平成20年3月25日(火曜日)10時~12時
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

議題

  1. 専門委員からのプレゼン
  2. 「環境を『力』にするビジネス」成長戦略・骨子(案)

出席委員

石谷委員長、浅賀委員、足立委員、阿部委員、岩下委員、上山委員、逢見委員、大鶴委員、大野委員、熊野委員、桑島委員、笹之内委員、沢井委員、嶋津委員、辰巳委員、中島委員、永松委員、中村委員、西尾委員、細田委員、松井委員、松橋委員、宮原代理

議事要旨

《専門委員からのプレゼン概要》

<船橋専門委員>「企業の環境経営における現状と課題」
(エコプロネット、グリーンパフォーマンス事業、PIUS-Check等)

  • エコプロネットは、ものづくりの集積地である中部地域でエコプロダクツを創出していくプラットフォーム。エコプロダクツの見せ方に関する研究会等、中小企業の環境への取組を支援している。さらに、中部地域でLCA、DfEが普及したのは、エコプロネットとグリーンパフォーマンス事業があわさって相乗効果が出せたことによる。このように地域の現状に即してプラットフォームによりきめ細かな支援をすることが重要。
  • ドイツのPIUS-Checkというマテリアルフロー分析を用いた生産工程の環境改善、コスト改善プログラムを実施。製造業だけでなくサービス産業にも適用可能。ドイツでは国がコンサルタント費用の7割を補助しており、これが原動力となっている。
  • 環境コンサルを行う場合は、単独のアイテムだけでは企業にマッチしないので、いろいろなツールを用意し企業に選択頂き、実態に即した支援を行うことが重要。

(エコモチ)

  • 環境担当者がいくら普及セミナーやe-learningを行っても社員1人1人に浸透しないという悩みをどの企業も持っている。また、世界の飢餓、貧困、紛争等と環境問題はグローバルな視点からひもづいている。これに着目し、人づくりの提案として、エコアクションでためたポイントを世界のほっとけない問題解決のために寄付する「エコモチ」を実施することとした。企業や個人が重点的に行いたい環境アクションをメニューに組み込むこと、自分で選択しアクションする仕組みなので、企業人のエコモチベーションアップにつながるとともに、企業とNPOとの連携のプラットフォーム形成にも資する。

(環境経営の現状・課題と普及のポイント)

  • 概して経営トップの環境意識が低い。環境はコストという考えが主流であり、この誤解を解くべき。企業1社1社のニーズは様々なので、テイラーメードで解決を図る必要があり、現場に踏み込むことが重要。
  • 中小企業では何に困っているかも分からないのが現状。セミナーだけでなく、経営者の理解を促すべく、現場主義で行うことが必要。大企業でも取組が表面的で、人材が育たない、社員に意識が浸透しないという問題があるので、深く踏み込むことが必要。
  • 環境経営普及のポイントは、(1)コストダウンやパフォーマンスにつなげること、(2)プライスを安定させること、(3)スローガンから行動へのシフト、(4)中小企業でも行うことができるようなデータ取得ツールやフォーマットがあること、が必要。

<水口専門委員>「企業の環境情報開示と評価―現状と課題―」

  • SRIインデックスは、欧米が主体となって、欧米の価値観で作られているものが多いが、これは、ニーズが欧米にあって日本にはないことによる。しかし、SRIは特殊なものであり、いまや世界では環境への投資はすべての投資家が考えるべき基本的な原則になっている。そのきっかけは、ESG(環境・社会・ガバナンス)は長期的には企業の投資価値に影響を与え、社会目的とも整合するという国連の責任投資原則(PRI)である。このPRIには、世界の政府系の公的年金基金が署名している。日本の公的年金は200兆円の残高があるが、未だ署名していない。日本企業が独自の価値観で環境の取組を評価されるためには、日本の機関投資家も国際的に発言すべき。
  • PRIの範囲を越えて世界の機関投資家が注目しているのが気候変動リスク。その1つの動きがカーボンディスクロージャープロジェクト。このように通常の機関投資家が投資意思決定に組み込み始めており、情報ニーズがあるのだから、アンケートではなく開示を制度化すべき。さらに、既に気候変動リスクに関する情報開示のグローバル・フレームワークができつつあり、日本は遅れそうになっている。
  • 日本企業の気候変動リスクに関する情報はCSR報告書で開示されているが、制度化されていないものなので内容もバラバラであり、どこに何が書いてあるのか分かりにくく、比較可能性がなく、評価できないというのが現状なので、制度的フレームワークが必要。
  • EU指令により、ヨーロッパでは年次報告書で非財務情報を開示することが制度化されつつある。日本の有価証券報告書では、内閣府令で、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載することになっているが、これ以上具体的には定められていない。具体的なガイドラインが日本にもあるべき。
  • 温暖化対策推進法の開示制度は画期的だが、国を経由するため、6月報告データが3月公表となる。企業が有価証券報告書で直接開示すれば6月に報告できる。さらに情報にアクセスしにくく、排出の絶対量で開示するのはミスリーディングであることが問題。
  • 出てきた情報を正しく評価するため、業種・企業規模を勘案し、付加価値を基礎とした環境効率指標が必要であり、そのような社会的合意形成のプロセスが必要。

《委員からの発言》

(環境経営関係)

  • 情報の見える化のスタンダードを作る観点から、環境に関する表彰制度・顕彰制度というツールの活用が重要。
  • エコモチのシードのポイントがたまるという部分と、省エネ、リサイクル、温暖化対策等に関するNPOの活動とのつながりは何か。→(船橋委員)シードとNPOの活動と結び付けることを主眼に考えている。
  • 単に企業が寄付するというのでは社員がコミットするチャンスがないので、社員が努力した分しか寄付できない、選択先を社員が選ぶというエコモチのモデルは画期的。
  • 企業だけでなく一般消費者に広げるときに原資はどこが出すかは国の施策としても考えるべき。→(船橋委員)例えば子供エコモチや、エコモチバンクのようなシードマネーをプールするようなものを検討している。
  • LCA、DfEは単独では難しく、地域の現状にあわせた支援が必要。レジ袋削減等は、成功しているところは消費者の支持と金融機関からの評価というフィードバックがあって前へ進むという構造がある。もう少し詳しい事例はあるか。→(船橋委員)ウィーンのエコビジネスプランでは、いくつかのモジュールを作り、企業をほめるという、行政が下支えをして励まし型の政策を行っており、これにより地域で普及している。
  • エコモチを継続するためには、1年ごとに決算し翌年のアクションにつなげるインセンティブを与えるとともに、実際に森作りが実現した等、結果のフィードバック等による継続のインセンティブが必要ではないか。→(船橋委員)継続するポイントは面白さ。支援先からのコミュニケーションや、e-learningのような環境情報や、自分は今、日本の中でどれぐらいの位置付けか等、メニューを斬新なものにすることがポイント。結果のフィードバックについてはWEB上で細かく行っている。
  • エコモチのメニューの中で、消費者に浸透するような社会を変えるようなものがあればよい。温暖化防止に偏っているが、バランス上、持続可能な内容が反映されるべき。→(船橋委員)ご意見を踏まえ、早急にメニューの中に取り込みたい。
  • 本業を営みながら無理なく地域社会に役立つ経営を目指す、企業の延長上に社会がある、消費者も無理なく活動できるという自然な流れがエコモチベーションにもつながる。
  • 環境経営、環境マネジメントだけでなく、企業の経営理念、長期ビジョンがあれば、人が変わってもぶれない。→(船橋委員)企業理念がないと腹の底からの活動につながらないので、ご意見を踏まえ対応して参りたい。
  • メンテナンス等は、長い目でみれば得なのに、短期的には表面に出ず、いい加減になるので、経営理念が必要。国際比較を繰り返すことで理念も定着するのではないか。

(企業の環境情報開示と評価関係)

  • CDPの世界企業へのアンケートは、温暖化のパフォーマンスを比較できる情報になっていない。一方、ISOでエネルギー管理の国際規格の動き、国内でも省エネ等のベンチマーク作り等、国内外で指標づくりの動きがある。一方、企業の立場からは、いろいろな要請があり負担が大きい割に正当に評価されていないのが現状であり、せっかく情報開示するなら省エネ効率等をアピールしたいという動きもある。国益を考えながら、情報を統一化し、国内のみならず海外の同様の企業からも同様の情報が得られるような戦略が必要。セクター別アプローチの面でもアピールできるように規格づくりに参加すべき。→(水口委員)様々な日本にいいところを見える化するための仕組みが必要。ISO等の場により、統一的な整合性のある基準を作っていくことが必要。
  • 企業活動の評価のためには、排出権の経済的評価のためCER、VERを制度化すべき。
  • ブランディングという無形価値を会計上、バランスシート上で評価する方法を強くし、企業がそれにより評価されれば、このアクションは前に進むのではないか。→(水口委員)無形固定資産をバランスシートに載せるのは難しいが、例えばCO2の排出量に価格がついて資産になるように、目に見えなかったものをBSに載せていく制度が必要。
  • 欧米では企業評価のとき優劣という縦軸指向がある一方、東洋は社会構造のパターンの差異を認識・評価するという横軸指向があるが、このような東洋的な新しい指標が必要。→(水口委員)PRIは、社会はどうあるべきかという価値観を持ち、長期的利益に沿って投資自身も長期的なリターンを得ようという欧米的な優劣の理念であるが、日本の機関投資家が日本的な価値観で発言するようになれば、横軸の価値観も形にできる。
  • 「見える化」ということで言えば、消費者に見える形で製品からアプローチしてインセンティブを与えていく方法と、企業のイメージを挙げて全体としての努力を促していくという2つのアプローチが必要。自動車の燃費のように基準ができているものはよいが、フードマイレージ等、他の製品にも取り入れてスタンダード化を図るべき。
  • PRIを広めるには投資家の倫理性だけでなく政府のイニシアティブが必要。→(水口委員)欧米のPRIへの署名は政府系年金基金であるが、政府の資金は目先の利益のみで運用すべきではなく、責任をもって長期的にあるべき社会に向かって運用すべきという理念があるから政府が率先して実施しているのであり、日本も同じであるべき。
  • 温暖化防止に偏っているが、バランス上、持続可能な内容が反映されるべき。→(水口委員)PRIの理念は、気候変動リスクだけではなく、むしろ将来あるべき社会はどういう社会かということが始まりであり、例えば武器や地雷等も取り上げている。
  • 機関投資家だけではなく、仲介する金融機関もPRIに参加するのか。→(水口委員)運用機関はこの分野でノウハウを持っているので機関投資家を引っ張っている。
  • 評価方法の付加価値において、営業利益、人件費だけでなく、環境配慮型製品、LCA的な部分も指標に入れるべき。→(水口委員)改善効果は重要であるが、自分としては分母のCO2から引いていく方が効果が見えやすいと思うので、今後検討したい。
  • SRIの発達は85年のプラザ合意以降の経済基盤の変化によりEUの生活基盤が変化し、不安になったことにより、生活圏に見える範囲での社会貢献の見える化という部分で顕在化した。したがってEUのように内需循環モデルに日本がシフトしなければ、日本の公的資金もSRI化しない。この20年間のように日本が外需拡大モデルの方向性を持ち続ければ、海外のSRI資金に依存する状況が続くのではないか。→(水口委員)内需主導型の社会にすべき。投資だけで問題が解決するわけではないので、社会のあり方や一般企業のあり方と投資は車の両輪となって進んでいくことが必要。
  • 比較可能なデータがそろっていない。多面的に比べて評価する仕組みが必要。

《事務局より、「環境を『力』にするビジネス」成長戦略・骨子(案)を説明》

《委員からの発言》

  • 生産する産業と処理・浄化をする産業は別々であるが、利益を共有する形で両者が一体となって循環型社会が作られていくべき。
  • 消費者と事業者をつなぐとき、金融機関も含めて流通機関の取組も見えるようにすべき。
  • グローバリゼーションには、貧富の差の拡大、環境の悪化という負の側面があるので、それを克服していくことを戦略の視点として入れるべき。

以上

 
 
最終更新日:2008年4月22日
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