経済産業省
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総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会電力設備電磁界対策ワーキンググループ(第2回)-議事録

日時:平成19年8月20日(月)14:00~16:00
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

  • 森下電気保安室長

    それでは、定刻の少し前でございますけれども、全員そろいましたので、ただいまより、第2回「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」を開催させていただきます。本日は御多忙のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。

    まず、議事進行の前に、電力安全課の方で人事異動がございましたので紹介させていただきます。

    まず、7月に前電力安全課長の成瀬の後任として、櫻田が着任しておりますので紹介させていただきます。

  • 櫻田電力安全課長

    櫻田でございます。よろしくお願いいたします。

  • 森下電気保安室長

    また、私も7月に新しく電気保安室というものができましたけれども、そこの室長として着任しました森下と申します。何とぞよろしくお願い申し上げます。

    それでは、これ以降の議事進行を横山主査にお願いいたします。

  • 横山主査

    皆さん、今日はお暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。第2回の「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」を始めさせていただきたいと思います。

    まず議事に入ります前に、事務局から定足数と配付資料の確認をお願いしたいと思います。お願いします。

  • 森下電気保安室長

    本日は、全委員12人中10名の委員が出席されております。したがって、定足数を満たしております。

    続きまして、配付資料について確認いたします。

    まず座席表、その後に議事次第、それから、配付資料一覧。

    資料1「電力設備電磁界対策ワーキンググループ委員名簿」。

    資料2-1、大久保委員から用意していただきました「WHO国際電磁界プロジェクト-環境保健クライテリアとファクトシート-」。

    資料2-2、WHOが出したファクトシートの日本文と英文の資料でございます。

    資料2-3「世界保健機関(WHO)環境保険基準(EHC)モノグラフNo.238ELF(ELF)電磁界(概要/抜粋)」。

    資料3「疫学について」ということで、山口委員に用意していただいた資料。

    資料4「海外での商用周波磁界の規制導入状況」。

    資料5「IEC TC106における、電力設備周辺での電界および磁界測定手順の規格化作業について」。

    資料6「電力設備に係る電磁界対策を検討する上での論点」。

    参考資料といたしまして、青い冊子がございますけれども、東京電力を主体といたしまして各電力会社が実験したものをわかりやすい本にまとめた「要約版 電磁界の健康影響 その安全性を検証する」という冊子。

    「国際がん研究機関(IARC)による発がん性評価(2001年)」ということで、第1回ワーキンググループでもお出しした資料の抜粋でございます。

    それから、経済産業省の方から、白表紙の本ですけれども、平成10年度から動物実験をしてきました電力設備電磁環境影響調査、生体影響調査というもののすべてを18年度にまとめておりますので、その1、その2ということで論文そのものを配付させていただいております。

    資料確認は以上でございます。

  • 横山主査

    ありがとうございました。何か資料の過不足はございませんでしょうか。ありましたら事務局の方にお申し出いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

    (「はい」と声あり)

  • 横山主査

    それでは、早速議事に入りたいと思います。まず議事次第にあります議題の「1.世界保健機関(WHO)ファクトシートNo322と環境保健基準(EHC)について」と「2.疫学について」を続けて御説明いただきまして、それから質疑応答をさせていただきたいと思います。

    まず、1番の議題のWHOファクトシートNo322につきましては、資料2-1、2-2を大久保委員から御説明いただきます。

    資料2-3、EHCにつきましては事務局より御説明いただきたいと思います。

    議題の「2.疫学について」は資料3でございますが、これは山口委員から御説明をお願いしたいと思います。

    それでは、まず大久保先生の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

  • 大久保委員

    それでは、スライドの方をお願いいたします。

    (PP)

    お手元の資料2-1の方もご覧いただければと思いますが、これからお話しいたしますのは、WHOの環境保健クライテリアとファクトシートの位置づけについて少しお話しして情報提供をさせていただきたいと思います。

    私は、3月末までWHOの国際電磁界プロジェクトのスタッフとしてジュネーブに勤務しておりまして、この環境保健クライテリア、ELFに関するクライテリア、あるいは静電磁界に関するクライテリアの作成に携わっておりました。これまでの経緯を大体分かっているつもりですので、その位置づけについてお話ししたいと思います。

    (PP)

    もともと、WHOは国際電磁界プロジェクトで何を始めたかというと、もう12年前になりますけれども、1996年から電磁界の健康リスク評価を行うことにあります。健康リスク評価というのはリスク分析の一つに相当するわけです。このリスク評価の中で、「一番上」にございますけれども、疫学や生物学的研究によって有害性の同定を行います。有害性の同定というのは、危ないのか危なくないなのか。どのようなことが危ないのか危なくないのかということを、あるエンドポイントを設定して、電磁界の有害性を把握することです。

    2番目に、「暴露量と反応評価」というのがありますが、これは動物を使ったりして、高暴露群への影響から低暴露群への影響、あるいは動物での量・反応関係、つまり暴露量が増えれば、ある疾患なり、あるいは健康影響なり、生物学的な影響の反応が比例してくるか。それを量・反応関係といいますが、そのような反応関係があるのかどうかを評価します。

    更には、リスクを評価する上で不可欠なものとしては、実際にあるハザード、有害性が同定されたとしても、どの程度暴露されているかということがもう一つ重要な因子になりますので、どの程度の暴露量が実際に、WHOですと、世界中の人々がどの程度暴露されているか。何パーセントなのかその実社会での暴露実態を評価する。

    それら3つの情報に基づいて、リスクの総合的な判定をします。その判定した結果が、環境保健基準あるいは環境保健クライテリアと呼ばれている刊行物になります。

    WHOのリスク評価後は、リスク管理として、国際非電離放射線防護委員会、あるいはIEEEというような組織が電磁界暴露限界のガイドラインを作成することになります。現在、このワーキンググループもリスク管理を実行していると理解できると思います。

    (PP)

    前段の障害性の認定ですが、後で山口先生から詳しく御説明いただける予定の疫学研究があります。疫学研究は、ヒトを対象として、この場合には電磁界ですが、電磁界と健康影響との関連性を統計的に考察する学問です。

    次には、統計的な結果が、本当にそうなのかどうであるかということを把握するために、生物学的な研究で確かめる必要があります。例えば動物あるいは細胞を使って、その関連性のメカニズムを解析し、最終的には因果関係があるかどうかを把握することになります。

    その際、重要なのは、ヒトを対象とした研究。つまり、疫学研究の優先度が高く、重要な証拠と考えられます。次に長期的な動物実験、短期的な動物実験、そして、細胞実験の順に重要度が移行します。

    (PP)

    WHOは、そのようなリスク評価基準に基づいて、今年、超低周波電磁界の健康リスク評価を終えております。

    これまでにどんなことをやっているかと申しますと、2001年にIARC、国際がん研究機関、WHOの一つの機関ですけれども、ここで発がん性の評価を行っております。これについては次のスライドでお話しいたします。

    そのほか、静的な直流、時間的に変動しない直流電磁界の健康リスク評価についは2004年に行い、環境保健クライテリアは既に発表済みであります。

    そして、今年の6月18日に出されたのが、ELF、超低周波電磁界の健康リスク評価のモノグラフ、ELF-EHC、超低周波環境保健クライテリアを発刊したわけです。今後はRFに関して、つまり高周波の電磁界に関してIARCが発がん性評価、次いでWHOが健康リスク評価を行う予定であります。

    (PP)

    先ほど触れましたけれども、2002年に、実質には2001年6月に、ここにいらっしゃいます宮越先生もメンバーになっておられますけれども、IARCによる直流電磁界あるいは超低周波電磁界に関する発がん性評価を行いました。

    スライドに青色で書いてありますけれども、唯一、超低周波電磁界の中の磁界のみ、ヒトにとって発がん性があるかもしれない2Bという評価を下しました。

    スライドの下の方に書いてありますけれども、この2Bという評価は発がん性であるかどうかをさまざまな証拠を基に分類します。先ほど申し上げた生物学的な証拠とか、あるいは疫学的な証拠に基づいて分類したということになります。ただし、発がん性の強さ、あるいはその評価が社会的にどのような意味を持っているかということは評価しておりません。専門的な言い方をしますと、定量的な評価ではなく、定性的な評価を行ったということになります。

    (PP)

    この定性的な評価結果には、実は5つの分類があり、グループ1からグループ4まで分かれています。

    発がん性があるというのが、グループ1。

    グループ2はAとBに分かれておりまして、グループAはprobablyという英語を使っておりますが、日本語に訳しますと、「恐らく発がん性がある」ということになるかと思います。

    2Bというのは、possiblyという使い方をしておりますが、「発がん性があるかもしれない」ということになります。

    更に、その下には「発がん性を分類できない」があります。これは得られた情報が不十分である、あるいは得られた情報が統一していない、いろいろな意見があるということで「分類できない」の2つが含まれております。

    それから、グループ4というのは、「恐らく発がん性はないだろう」ということになります。

    (PP)

    具体的にどんなものがあるかと申しますと、IARCは約900の科学的な、物理的な、あるいは暴露環境等を対象にして評価しております。約1割が「発がん性がある」ということで、グループ1というのは疫学研究が十分な証拠がある場合と御理解いただければいいと思います。

    2A及び2Bというのは、疫学研究はともに限定的ですが、動物実験で十分な証拠がある場合には2Aになります。動物実験で発がん性に対し十分な証拠がない場合には2Bとなります。低周波磁界はこれに分類されています。

    ちなみに、グループ1にはどんなものがあるかと申しますと、例えばカドミウム、ダイオキシン、受動喫煙、能動喫煙、アルコール飲料等がございます。2AにはPCB、ホルムアルデヒド、紫外線、男性ホルモン等があります。2Bにはクロロホルム、鉛、コーヒー、ガソリンエンジン、漬物、それから、低周波磁界ががあります。グループ3には、例えばカフェイン、原油、水銀、お茶というようなものが含まれて、そのほかの直流電界、磁界、それから、超低周波電界がここに含まれている。

    これでお気づきのように、ここでは一般的な化学物質としての毒性とは全く違う切り口で発がん性評価を行っております。例えばグループ3の中に水銀というものがあります。水銀ですと、例えば漬物よりも、あるいはコーヒーよりも随分毒性があるという認識は当然お持ちだと思いますが、これは発がん性という意味で言うと、水銀の発がん性は分類できないということでランクが下になっているということになります。ですから、これはあくまでも発がん性ということを中心に評価をしています。一般的にはグループ1に対しては行政対応を取っているというふうに理解されております。グループ2Bが理由となって行政対応を取っているという事例を私は聞いたことはありません。

    (PP)

    これをもう少しわかりやすく分類いたしますと、先ほどから、申し上げておりますように、疫学研究と生物学的な研究との総合的な評価を行ったことになるわけですが、疫学研究では限定的であって、かつ動物実験の証拠が十分、限定的、不十分ということで分けていきますと、低周波磁界に関しては疫学研究は限定的であり、動物実験が不十分なので2Bという評価を受けたということになります。

    なお、先ほどから出ております2Bの中にコーヒーとか、あるいは漬物がございますが、これも同じような理由で2Bに落ち着いたというふうに理解できます。

    (PP)

    総合的な評価ということで考えますと、さまざまな試みがあるわけですが、1965年、たばこに関する発がん性の因果関係を求めるときに提唱されたHillの基準というものがございます。これには暴露とリスクとの間の関連性の強さ、つまり、ある疾患が暴露されていないグループに比べて何倍ぐらい罹患するのかどうかという倍率を指します。相対危険度やオッズ比という言い方をしますが、それが何倍あるかということになります。次に、関連性の一貫性はさまざまな疫学研究でやっているわけですけれども、それぞれの疫学研究が同じ結果を出しているかどうかという話。

    それから、量・反応関係は、暴露量が増えれば、この場合ですと、磁界強度が強くなれば疾患の発生が多くなるのかという関係。このようなものを考えていきます。

    更に、この1、2、3に示されたような疫学の関連性について、実験的にその証拠があるのかどうか、あるいはその実験的証拠があった場合、次には信頼できる生物学的なメカニズムがあるかどうかを判断する必要があります。

    そのほか、幾つかの項目がありますが、いずれにせよ、さまざまなハードルを乗り越えないと疫学で示された関連性に因果関係があるは証明できないのでます。これについては、また山口先生からもっと詳しく御説明いただけるかと存じます。

    (PP)

    それでは、環境保健クライテリア、WHOとしては十数年ぶりに出したわけですけれども、この中で第1章が「要約と更なる研究に対する推奨」です。第1章は私の方で日本語訳をしてありますので、ごらんいただければと思います。より詳しいことはそれをごらんいただければと思います。

    (PP)

    実は、ELFの環境保健クライテリアというものはどのようなステップでつくられるかと申しますと、WHOの事務局が世界各国、この場合にはタスク会議メンバーとして、世界各国から専門性、あるいは性別、地域等を勘案しながら21名をノミネートします。そして、それを上部組織であるADG(副事務局長)が承認する手続きが必要です。タスク会議は2005年10月に招聘されて、そして1週間ばかり会議を開きます。私はそのときはWHOのスタッフでした。WHOのスタッフは会議の世話はしますけれども、発言はできないという関係、オブザーバー的な立場で、この会議がスムーズに進行することをお手伝いするということが我々の役目であります。

    実は、この環境保健クライテリアで比較的見落としされやすいことがあります。それは何かと申しますと、これまでの環境保健クライテリアにはすべて同じことが書いてありますけれども、この右上の英語の部分ですが、訳しますと、この本はタスク会議を構成する専門家の見解をまとめた報告書で、ICNIRP、ILO、WHOなどの決定や方針を必ずしも代表しないというふうに書いてあります。このクライテリアは一応、WHOが出しておりますが、3つの組織から出されている本であります。したがいまして、WHOの見解と完全に一致しないこともあり得るということです。

    つまり、当時の私はスタッフとして、私どもがこうあるべきというようなことは言えないというところがありますので、場合によっては一致しない部分はWHOの見解としてファクトシートを示すという交通整理をしたわけであります。

    (PP)

    そこで、ちょうど同じ日に実はファクトシートも出しております。その様な背景から、ELF-EHCとファクトシートを出された日が同じ日であるということに御留意いただきたいと思います。

    一番下に書いてありますように、ファクトシートは、このWHOのプレスオフィスから出されたものです。つまり、ELF-EHCは専門家の見解を集めたものであり、ファクトシートはWHOの見解をまとめたものだと御理解いただければと思います。

    (PP)

    それでは、どのように分けているか。その最も大事な各国政府への勧告という部分が防護措置となっています。そこをとりまとめたものが、左側の「ELF EHC 第1章 1.1.12 防護措置」というところであります。

    グリーンになっているところは、まずは恣意的な基準には反対とか、さまざまあります。いずれにいたしましても、ここのスライドで御理解いただきたいのは、ELF-EHCの重要なことを否定はしていませんが、並び替えをしたということを御理解いただきたいんです。この中で重要なことについて並び替えをした。

    なぜ、こんなことになったかと申しますと、このタスク会議のメンバーの人たちは、それぞれ自分たちが主張していることがちゃんと載っているかということについては結構神経をとがらせてくれますけれども、全体として、それでは読んだときに本当に統一しているかというと、そういうところはちょっと目配りが足りない部分があって、後でまとめて本を読んだときに、この本は何を言いたいのかよくわからぬというようなことになり得るということがあるわけです。

    (PP)

    そこで、ファクトシートをつくってWHOの認識を提供したということで、ちょっと読ませていただきますけれども、ELFの電界と磁界がありますけれども、電界に関しては問題はないでしょうということであります。

    IARCの先般出された「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」と分類したことについては、そのまま踏襲するということになります。

    疫学的な、つまり、このIARCの2Bとなった根拠ですが、その証拠というのは、潜在的な選択バイアス等の問題がある。これについては山口先生から御説明いただけると思います。

    更に、大多数の動物研究では関連性を示唆されているような影響は示されていない。

    メカニズムに関しては、がんの進展に関して、受け入れられている生物学的メカニズムはない。影響があるならば、未知の生物学的メカニズムがあるはずであるということです。

    結局、どういうことを言いたいかというと、全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係とみなせるほど強いものではないというのが、まず第1点。

    (PP)

    第2点は、実際にどのくらいのリスクがあるのかということで、過剰リスクを評価しております。

    2000年の世界人口動態統計から考えますと、小児白血病の症例数というのは4万9,000人。かつ、平均磁界暴露が0.3μT。これは統計的に小児白血病になる確率が2倍になるという数字ですが、そこを超える環境というのは1ないし4%と推定される。ちなみに日本では、先般亡くなられましたけれども、兜先生のお話では1%未満というのが我が国の話であります。

    磁界と小児白血病との因果関係が仮にあると仮定した場合、発症率の全体の0.2ないし4.95%に相当するということですから、4万9,000から0.2%あるいは4.95%をかけると、大体、因果関係があった場合に、このぐらいの最大の数が相当するであろうということになります。

    結果としてWHOは、毎日何万人という人々が飢餓あるいは不衛生な生活環境に伴って亡くなっているということがあるものですから、そういう意味で言いますと、公衆衛生上の影響というのは最大で2,400人ということですが、2,400人というのはWHOの公衆衛生上のインパクトからすれば、やはり限定的であるという認識であります。

    なお、、そのほかの健康への悪影響というものについては、その科学的根拠は小児白血病よりも更に弱いということになります。

    (PP)

    この様な背景を踏まえて、WHOはいろいろなことを各国政府にガイダンスをしました。

    まずAですが、Aは高レベルの電磁界への短期的影響については、健康への悪影響が科学的に確立されており、これは国際非電離放射線防護委員会のとりまとめた本に記述されております。そこで政策決定者は、国際非電離放射線防護委員会などの提唱する国際的なガイドラインを採用すべきであるということです。採用すべきであるとの勧告は別に新たな知見が得られたというわけではありませんが、各国は短期的な影響は既に確立されているので、これに基づいてガイドラインを設けておくべきであるということであります。

    次にBの防護プログラムですが、防護プログラムには限度値を超えるかもしれないと予想される発生源からの暴露の測定を盛り込むべきである。この大電流が流れ出ていそうだと思われる、予見できるようなところについては、ガイドライン値をオーバーしていないかどうかを監視しなさいということであります。

    Cとしましては、今度は長期的影響ですが、長期的影響に関しては、ELF磁界への暴露と小児白血病との関連についての証拠が弱いことから、暴露低減によって健康上の便益があるかどうか不明であると指摘していますつまり、暴露低減の便益が不明であるということで、そこで以下の3つの提言をしております。

    (PP)

    まず1、ELFの科学的な根拠が不確かなので、その不確かさを低減するために、科学を注視し、研究プログラムを推進すべきである。まず、研究を行いなさい。

    次に、加盟各国には、すべての利害関係者との効果的で開かれたコミュニケーション・プログラムの構築が推奨される。これはリスクコミュニケーションというものをちゃんとやってください。

    3番目に、新たな設備を建設、または新たな装置を設計する際には、暴露低減のための低費用の方法を探索することがよいでしょう。ただし、恣意的に低い暴露限度の採用に基づく政策は是認されないということであります。

    (PP)

    これでWHOのガイダンスは終わりですが、どういうことになったかというと、要は、まずトップにガイドライン、基準を守る。

    次に、この磁界暴露のレベルを把握しなさい。ただし、ファクトシートとELF-EHCとの違いは、ELF-EHCではすべての発生源について測定しろと書いてありますけれども、そこまでする必要はないという認識があって「全て」というものを削除しております。

    次に、暴露低減の便益は不明である。これはそのままです。

    「よって以下を推奨」ということで、ELF-EHCでは、暴露低減が比較的上の方に5つの項目が提案されておりますけれども、それが一番下の方に行く。それで一番下に置いてあった赤色の研究を促進しろというお話が一番上に移動し、その間、7番目、8番目、9番目の項目を、リスクコミュニケーションに関する項目ですが、これを2番に上げた。

    3番の暴露低減の話ですが、ここも原文は、ELF-EHCではshould、何々すべきというところを英語として扱っておりますが、ファクトシートではmayという使い方をしておりまして、してよいでしょうというようなトーンになっているというところが、ELF-EHC、タスク会議の専門家であるメンバーの見解とWHOの見解というものの差異を御説明申し上げました。

    どうもありがとうございました。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。

    それでは、続きまして、資料2-3につきまして事務局から御説明いただきたいと思います。

  • 森下電気保安室長

    それでは、資料2-3について説明させていただきます。WHOのEHCのNo.238の超低周波電磁界の概要からの抜粋でございます。済みません、ELFのところに2回「ELF」と書いてしまいました。超低周波と最初の方を訂正させていただきます。

    「○研究に対する勧告(Recommendations for research)」でございますが、超低周波の電磁界への暴露による健康影響の可能性に対する知識のギャップを同定することは健康リスクの評価において不可欠。

    そういうことで、300Hz~100kHz。我々が、今、電力設備の方でお話をしているのは50Hzとか60Hzの話でございますけれども、さらなる研究が必要になるという領域として、300Hz~100kHzという、中間周波という言い方をされていますけれども、そこのところの研究が必要だ。

    そして、その中間周波のデータベースを構成するために暴露評価、疫学研究、ヒト実験室研究、動物、細胞研究というものが各分野で必要だということでございます。

    また、実験室の研究についても、このi)~iv)に書かれたような優先順位でやることが望ましいということが示されております。

    それで、各分野における研究として主要なものが挙げられておりますので、それについても簡単に御説明させていただきます。

    まず「発生源、測定及び曝露」についてでございますけれども、胎児あるいは小児の超低周波電磁界への暴露についてのデータ。

    1つ飛びますけれども、ガイドラインの制限値に近づく可能性のある一般公衆の暴露。ここに書いてあるような発生源のもの等々が、まだデータが不足しているということで出ております。

    次の領域ですけれども「ドシメトリ(測定、計算)」といいまして、人体とか実験用の試料が電磁界に当たったときに、組織とか試料内部でどんな電界の分布が生じるかどうかを計測したり解析するという研究でございますけれども、外部の電界・磁界と体内の電界とを関連付けるさらなるドシメトリの研究が必要だ。特に異なる方向を向いた、異なるベクトルを持った外部の電界と磁界の複合的影響による内部電界の計算というものが挙げられております。

    また、妊婦や胎児の改良モデルによって誘導電界とか誘導電流の計算をするというような研究が必要等々でございます。

    「生物物理学的メカニズム」の分野では、ラジカルペア、下に書いてありますけれども、磁界が特定の種類の化学反応に影響するメカニズムでございますが、ラジカルペアが発がんのメカニズムに関連するか判断するため、それが作用するような暴露の下限値が幾らかを求めるような研究。

    2ページにまいりますけれども、ヒトの脳の中にマグネタイト結晶という磁性粒子がありますけれども、これが特定の条件下で感受性を有するかについてのさらなる理論的・実験的なアプローチによる研究等々が挙げられております。

    「神経行動」の分野においては、kHzのレンジにおける暴露量反応関係の同定です。それから、小児あるいは職業的に暴露される成人を含む、超低周波電磁界に暴露される人々の認識作用とその脳電図の変化に係る実験室ベースでの研究などが挙がっております。

    「神経変性疾患」については、電気的職業における筋萎縮性側索硬化症という特別な症状があるそうですけれども、その原因と超低周波磁界との関連性の調査。

    あるいは超低周波磁界暴露とアルツハイマー病の関連性についてのさらなる調査などが挙げられております。

    「免疫学及び血液学」の分野においては、超低周波の暴露が未成熟な動物の免疫系や造血系の発育に及ぼす影響についての研究というものが挙げられております。

    「生殖及び発育」については、超低周波磁界暴露と流産のリスクの上昇との関連性に係るさらなる疫学研究。このようになっています。

    「がん」の分野におきましては、疫学データ、先ほども大久保先生から御説明ありましたけれども、超低周波磁界暴露と小児白血病のリスク上昇との関連性を示しております。それと、実験及びメカニズムに関するデータ。これは上記で述べた関連性を支持しておりません。この不一致の解決、そのための疫学者と実験科学者との共同研究というものを推奨しております。

    また、小児白血病に関する既存のプール分析にも新たな知見によって更新するというようなことが重要だと挙げられている等々でございます。

    「防護措置」については、電磁界に焦点を当てたリスクの認知及びコミュニケーションに関するさらなる研究。

    あるいは超低周波磁界の緩和に関する費用対便益、費用対効果分析の開発に関する研究。

    こういったものが、WHOのEHCの方で研究が必要な分野ということで挙げられております。

    以上でございます。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。次の「2.疫学について」の御説明を聞いた後、まとめて質疑応答をさせていただきたいと思います。

    続きまして、資料3の「疫学について」を山口先生から御説明をいただきたいと思います。

  • 山口委員

    紙で説明するつもりだったんですけれども、せっかくスライドが使えるので、急遽、スライドでもお見せします。全く同じものであります。

    (PP)

    疫学の不確実性を御説明するに当たりまして、基本的な疫学の研究の手法について、まずお話をして、その中でどこでそういう不確実性という問題が起こってくるかというふうなお話をしたいと思います。

    代表的な研究の手法というものは、特に今回の電磁界と、例えば白血病のリスクを見るというふうに特定の関係を検証する方法としましては、1枚目に挙げましたように、2つ代表的な方法がございます。1つは英語をそのままカタカナにして「コホート研究」と呼んでいる手法。2番目が「症例対照研究」と呼ばれている手法であります。今回の問題で行われた疫学研究はすべて、この2番目の症例対照研究なんです。ただ、症例対照研究というものは理論的にコホート研究と密接に関係していますので、最初にコホート研究を簡単にお話しして、次に症例対照研究の説明に行きたいと思います。

    コホート研究といいますのは、調査の対象になるような集団を設定して、それぞれ集団の個々のメンバーについて、事前に環境要因、この場合には商用周波数の電磁界の暴露の強さの把握をしまして、しかる後に追跡調査をして、どんな人にどのくらいの率で病気が起こってくるかを測定するというものであります。

    2番目の症例対照研究の方は、病気にかかった人とかかっていない人を比較する。何を比較するかといいますと、過去の暴露状況に違いがないかどうかを比較するという手法であります。

    (PP)

    2枚目にまいります。これは仮の話なんですけれども、今回の問題で、特に小児白血病の問題をコホート研究でやったとしたら、一体どんなことになるのかを書いたものです。

    まずは、恐らく100万人ぐらいの子どもさんを調査対象にして調査をしないといい推定値が得られないだろうというふうなことがございますので、ゼロ歳~14歳という一般住民の子どもさんを対象にする。

    大久保先生のお話の中でありましたように、今、問題になっています、例えば0.4μT以上というふうな暴露を受けている子どもさんのパーセンテージというものは日本で大体1%ぐらいとなっておりますので、高度暴露群が大体1万人で、軽度暴露群は99万人とやると計算が面倒くさいから100万人として、仮に5年間ぐらい追跡調査をしたというふうな想定で考えますと、こういう図式になる。

    この数字は全然本物ではないです。2倍という数字が何となくよく言われていますので、2倍という数字が出るとしたらこんなものかなというふうな数字を入れ込んだだけなんですが、それぞれの群、軽度暴露群と高度暴露群のそれぞれについて罹患率という発生率を計算する。それで、その違いを見るときには相対危険度といいまして、何倍ぐらい高度暴露群の罹患率が高いかというふうな倍率で見る。この例では、たまたま計算しますと2倍になりますねというふうな仮の図であります。これは疫学研究の中では一番素直な見方でありまして、信頼度も一番高いと言われているんです。ただし、やるのは非常に大変。100万人以上の子どもさんを一人ひとり、軽度暴露群に入るのか高度暴露群に入るのかを調べないといけないというのがまずありまして、しかも、その100万人のお子さんを5年間追跡調査をしなくてはいけない。その間には子どもさんは引っ越してしまったりするでしょうし、なかなか追跡調査も大変。

    それから、白血病にかかったときに、日本は白血病にかかったら厚生労働省に登録するとかそういうふうな病気の登録制度は公式のものはありませんので、自主的な努力でどなたが白血病にかかったかということを調べないといけないというふうなことで、非常に大変で、世界中で、これは実現が非常に困難ということでやられていないということです。ただし、やれれば非常に信頼度は高いということであります。

    (PP)

    コホート研究をやらないから、それではどうするかといいますと、症例対照研究というものをやる。症例対照研究は、白血病にかかったお子さんと、かかってない健康なお子さんに違いがないかどうかを調べる。なにを調べるかといいますと、インタビュー調査とか環境測定等々を行いまして、電磁界への暴露レベルに違いがないかどうかを調べるということであります。

    我々が日本でやりました、先ほど兜先生のお名前が出ましたが、以後、兜論文と呼ばせていただきますが、兜論文では対面式のインタビュー調査を実施したのと、環境測定はEMDEXという機械を、子どもさんが一番よく生活する場所、主として寝室になると思うんですが、そこにEMDEXという機械を1週間置いていただいて、実際に磁界のレベルをはかったということであります。

    病院の先生方に協力をお願いして、我々は直接患者さんにアプローチする手だてはありませんので、まずは主治医の先生に説明をしてもらって、そこからスタートする。それで、無理やり参加をしていただくわけにはいきませんので、自主的、ボランタリーな参加をしていただく。説明をした上で同意を得られた方に参加をしていただくということであります。それが症例群です。

    健康な子どもさんも基本的には同じなんですが、一般の住民の方から選ばなくてはいけないということで、こちらはむしろ、患者さんの群よりも参加をしていただくのがもっと大変ということでありまして、我々は住民基本台帳を閲覧させてもらって、そこに郵便で協力の依頼を出すというふうなことをしたわけであります。

    (PP)

    コホート研究と症例対照研究というものは、理論的に非常に密接に関わり合っているんですが、相対危険度の推定の方法は若干異なっていまして、500人、500人というのは、これもまた仮の数字ですが、その中で仮に白血病の患者さん500人中10人が高暴露群だというふうなことがわかった。残りの490人は低暴露。それから、健康な対照群の方の500人は、高暴露群が5人、低暴露群が495人だったとしますと、相対危険度というものが下の式で書いてあります10/490という数字と5/495という2つの割り算を更に割った値で、これを我々はオッズ比と呼びます。オッズとオッズの比になっているからオッズ比ということなんですが、このオッズ比をもって相対危険度を推定するということをやっておるわけであります。この数字だと大体2倍ぐらいになる。これも念のため申しますが、仮の数字であります。

    (PP)

    何でコホート研究と症例対照研究というものが密接に関係しているかといいますと、今のオッズ比が何で相対危険度の推計値になるかということなんですが、仮にこれはコホート研究だと考えますと、分母になっているのが、先ほどは101万人だったんですが、何万人かはわからないので、仮に高暴露群がX万人、低暴露群がY万人と書きましたけれども、そういうコホートを追跡調査した結果、この白血病の500人の方が把握できたと仮に考えると、相対危険度はコホート研究のときの相対危険度の計算の仕方を当てはめればいいわけで、高暴露群はX万人中10人、低暴露群はY万人中490人。ですから、その両者の比率を取ったものが相対危険度になるわけですから一番上の式になるわけですが、これは分母と分子を入れ替えますと、10/490というふうな比をX万/Y万という比で割った値に等しくなるということであります。

    症例対照研究は何をやっているかというと、このX万人対Y万人を、これは非常に莫大な、100万人ぐらいの子どもさんを調べないとわからないものなんですが、それを実際に調べる代わりに対照群で推計をしている。ですから、このX万人対Y万人のところを5人対495人という数字で置き換えているというのは、オッズ比が何で相対危険度を推計できるかというふうなことの理論上の根拠になっているということなのであります。

    ただし、101万人の中での高暴露群と低暴露群の比率を500人で推計しているわけですので、実はここのところで我々は大変気を使う。もともとのコホートが漠然としている中で、その漠然としたコホートを代表するような対照群をいかに正しく選ぶかということが、疫学の一番大変なところになるわけであります。

    (PP)

    その大変なところがうまくいけばいいわけなんですが、患者さんの子どもさんと健康な子どもさん。これは子どもさんに直接アプローチするわけにはいきませんので、親御さんあるいは保護者の方に協力をしていただくということなんですが、インタビューも両親あるいは保護者の方がインタビューを受けてくださるということなんです。

    ここに書きましたように、まず患者さんの方です。患児の御両親のすべてが参加してくださるとは限らないわけであります。これは、まず我々の経験で、担当医の先生、主治医の先生の理解と協力が非常に重要で、ここで主治医の先生にそっぽを向かれてしまうと患者さんにアプローチする手だてがないということになります。

    2番目に、親御さんは病気の子どもさんを抱えて余裕のない状況でありますので、そこでこういう調査にいかに協力をしていただくかというふうなことで大きな問題が出てくる。それが患者さんの子どもさんの方です。

    一方、健康な子どもさんの方も、両親あるいは保護者のすべてが参加してくださるとは限らない。これは今回、我々は手紙でお願いをしたわけですが、手紙を封も開けずに捨てられてしまうということが結構多い。ダイレクトメールと一緒に捨てられてしまう。開けて見てくださった場合でも、なかなか協力を得られるのが難しいというふうなことがございます。

    ただし、協力率、参加率が悪いこと自身は、我々は特にそんなに問題にしません。何が問題になるかといいますと、協力率、参加率が暴露の高い低いと相関していた場合に非常に困るということなのであります。

    (PP)

    次のスライドですが、患児の御両親の協力率が暴露の高低と相関していたら一体どうなるんだ。例えば、その下に書きましたように、高圧線などに強い関心を持つ御両親が、それでは研究に協力してやろうと言って協力をしてくださって、高圧線からはるか遠くに住んでいる御両親はそれほどの関心を示してくださらないというふうなことになると、これは協力率が暴露の高低と相関してしまうということになるわけであります。

    健康な子どもさんの両親の方も、高圧線の近くに住んでいる御両親が、高圧線の近くというのは比較的商業地域とか、いろいろそうではない地域と、社会経済的なバックグラウンドにいろんな違いがあるというふうなこともわかっていますが、忙しくて調査に協力できないケースが多かったら一体どうなるんだというふうなこともいろいろ考えなくてはいけないということであります。

    (PP)

    それを簡単に図にしたのが、次の2枚なんですが、例えばこれは暴露の低い群の白血病の患者さんの参加率が低かったら一体どうなるんだ。もともとは全く暴露と白血病のリスクに関係がないとすると、両方10対490という数字になるわけですが、これが例えば白血病症例群の低暴露の490人のうち半分しか協力してくれないというふうな事態が生ずると、490のところが245に減ってしまうと、それだけで誤って2倍という数字が出てくる可能性がある。

    (PP)

    逆もあるわけでありまして、今度は対照群の方で、暴露が高いところの人たちが参加率が悪いということになりますと、それだけで倍率が上がる。

    これは倍率が上がる方ばかり説明しましたけれども、勿論、逆で下げる方向に働くこともあり得るというふうなことでありまして、こういうのを我々はひっくるめて、横文字ではセレクション・バイアス。日本語では選択の偏りというふうな呼び方をしているわけであります。

    (PP)

    更に、今のは参加の問題なんですけれども、実はそれ以外にも問題がありまして、白血病のリスクを上げている真の原因がほかにあるという可能性です。例えば自動車等の大気汚染が原因ではないか。高圧線の近くというのは、幹線道路などが並行して走っている可能性が高いということ。これはデータ上、示されておりますので、そういうふうなことで、ほかの原因あるいは人口移動の激しい地域は白血病のリスクが高いという論文もございます。

    (PP)

    あるいは農地への農薬散布等々、ほかの原因が、この次の図で「交絡因子」と書きましたけれども、我々はそういう因子を交絡因子と呼ぶんですが、白血病の原因は実はほかにある。ただ、ほかにある原因が高圧線というふうなファクターと相関しているという場合には、この下側でブリッジができてしまいまして、本当は関係がないのに、関係があるかのように見えてくる可能性もあるというふうなことも心配をするわけであります。

    (PP)

    先ほど大久保先生のお話で、2000年にIARC、WHOの国際がん研究機関が電磁界の発がん性について総合評価をしたというふうなことがありましたが、その中で特に重視された論文が、このAhlbom先生の論文であります。

    それまでに、日本は入っていないんですが、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ニュージーランドの9か国で、今、申し上げました症例対照研究が行われているんですが、それぞれの症例対照研究は、やはり小児白血病はまれな病気ですので、症例数も対照数も十分には多くなくて、統計的な不確実性の問題を抱えていたということで、このAhlbom先生が中心になって9か国のデータを全部ひっくるめてまとめて、そうしますと、総症例数が3,203人、対照数が1万338人という大きな症例対照のグループになりますので、それで分析したというのが有名なプール分析と呼ばれているものであります。

    それで、磁界の強度を0.1μT未満、0.1~0.2μT、0.2~0.4μT、0.4μT以上というふうに分類したということで、0.4μT以上の高度暴露群は、このデータでは0.8%だったということです。

    (PP)

    この次のグラフが、そのデータの結果をグラフにしたものなんですが、0.1μT未満のところを1とした場合、残りのところが何倍高いかを見ていきますと、2番目、3番目のところはほとんど上がっていない。ところが、0.4μT以上のところで2倍というふうに上がっている。

    縦棒は95%信頼区間というもので、推計値の信頼の度合いというか、幅を示しているわけですが、これが1をまたいでいないということは統計的に有意に上がっているんだというふうなことを示している。

    ただ、数としては症例44例、対照62例というふうなことですので、対照で言うと1%を切るような人数だったということであります。

    (PP)

    それから、兜論文の結果もお示ししたいと思うんですが、我々の研究は2006年に論文になって公表されましたが、まれな病気だということで、全国規模でやらなくてはいけないということで、ただし、対面式のインタビュー調査をやるので、全国すべてを対象地域にはできないということで、この図で示しましたように、キャッチメントエリアを幾つか選びまして、北関東、南関東、関西・中部、中国・四国というふうにそれぞれ地域事務局を置きまして、そこでインタビュアー、調査員の方が症例と対照のインタビュー調査を実施したという研究であります。

    (PP)

    結果は、これは急性の骨髄性白血病という病気と、急性のリンパ性白血病という病気、両方を合わせた結果なんですが、残念ながら、協力をいただけなかったので、最初の想定ほど症例数が、全部で339なんですが、やはり0.4μTを超えたところで2.6倍ぐらいのリスクの増加が見られた。

    ただし、先ほどと違いまして、症例の数は6例対5例ということですので、統計的な信頼性の幅はぐっと広くて、統計的に有意ではなかったということであります。

    (PP)

    それで、何か同じような結果が出ていて、このグラフだけごらんになると2倍、あるいは2倍以上に上がっているんだろうみたいに思われるんですが、この2倍という数字をどう解釈するかというのは、先ほど大久保先生も説明してくださったHillの基準というものが、今、一番よく使われるんですが、私がお話ししたような、先ほどのセレクション・バイアス、3か月の偏り、あるいは交絡因子の影響で説明できないか。

    これは、疫学調査を評価するときには、こういうバイアスとか交絡因子の影響を超えて、そういう可能性を超えて、十分に因果関係をデータが示しているときに限って十分な証拠が得られているというふうなことを考えるわけですが、もう少しブレークダウンして、先ほどの基準と同じなんですが、1つは十分に大きな相対危険度かどうかというふうなことなんですが、2倍という数字は、我々疫学をやっている人間にとっては非常にごくごくわずかなリスクのオッズ比でありまして、これはたばこと肺がんなどですと10倍とか20倍とかという数字になるのと比べますと非常に数値が小さくて、参加率の偏りとか、交絡因子の影響を超えて高い値というふうなことは言えない。

    非暴露群でリスクが十分に低いかどうかは、もしも低ければ特異性があるというふうなことになるんですが、これもバッググラウンドとそれほど変わることではない。

    量反応関係が示されているかというのは、先ほど0.1μT未満、0.1~0.2μT、0.2~0.4μT、0.4μT以上というふうに言いましたけれども、そういうふうな暴露の増加に伴ってだんだん上がってくるという傾向、これを量反応関係といいますけれども、これが見られますと、これは交絡因子とか参加率の偏りではなかなか説明がつかないというふうなことになるわけなんですが、先ほどのは0.4μTのところで急に上がってくるということで、量反応関係を示しているとは必ずしも言えないのではないか。

    最後に、時間的前後関係というものは、これは原因と結果を見ていますので、最初に御説明したコホート調査みたいなものですと、最初に暴露の高い低いを調べて、それから、その後の白血病のリスクを見るわけなんですが、症例対照研究ですと、御家庭にEMDEXという機械を置いて暴露のレベルを実際に測定するわけですが、それは白血病にかかった後のことですので、必ずしも時間的な前後関係をクリアーしていないという、これは症例対照研究が常にはらんでいる矛盾になるわけであります。

    複数の疫学研究で整合性があるかどうか。同じような結果が得られているかどうかということについては、今、2つのデータを示しただけですが、何とも言えない。

    他分野の研究からの支持があるかというのは、因果関係を説明するメカニズムが存在するかどうかということについては、基礎的な実験で全く支持するものはない。

    それから、そういうものがないとしても、仮説としてもっともらしい説明をすることは可能かというふうなことについても、今のところ、今までにほかのいろんながんとか、ほかの病気で考えられるいろんなメカニズムを持ってきたとしても、なかなか説明がつきにくいというふうなことがありまして、こういうふうなことを全部調べていきますと、相対危険度が2というのは1ではないので、2倍なんだけれども十分な証拠を提示しているとは言えないということで、IARCのワーキンググループは、これは限定的な証拠を提示しているにすぎない、リミテッドエビデンスというふうな判定を下したということであります。

    (PP)

    仮に、2倍という数字が本当にリスクだと考えた場合に、一体、日本の白血病の患者の何%ぐらいが、この電磁界への暴露が原因で起こっているかというのは、先ほど全世界については大久保先生のデータがございましたが、最新のデータが2001年、大分前なんですけれども、日本の推計値がゼロ~19歳で560人という数字です。

    これはゼロ~4歳の罹患率が一番高くて、だんだん落ちてくるということなんですが、560人で、暴露群を1%というふうな数字で計算しますと、電磁界暴露が原因で起こっているに違いないというふうに、仮にこの2倍という数字を信じたとすると、1%、5人ないし6人という数字になるという結果でございました。これは5~6人だから無視していいとかそういう話ではないんですが、こういうものを寄与危険度割合と我々は呼ぶんですが、こういうものを普通に計算して疫学的な評価に使うということですので、御参考に提示をさせていただきました。

    以上で説明を終わります。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。非常にわかりやすい御説明を両先生にいただきまして、ありがとうございました。

    それでは、皆さんの方からいろいろ御質問・御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

    それでは、能見委員の方からお願いします。

  • 能見委員

    御質問というか、この後の議論を明確にするために、誤解の起きないようにという意味で、確認という意味で大久保先生に3点ほど御質問させていただきたいと思います。

    資料2-1でございますけれども、まず14ページのポツの2番目でございますけれども「IARCはELF磁界を『ヒトに対して発がん性があるかもしれない』と分類。その後に追加された研究は、この分類を変更するものではないと結論」。つまり、今回、WHOがEHCあるいはファクトシートを出されたというのは、最近の研究によってこういったリスクが増加して危険度が増したから、それを世の中に広める。そういったことではないと、リスク評価としては変わっていないんでしょうかという、この確認の意味の質問が1点でございます。

    2点目でございますが、今度は18ページの右側のAです。「国際的曝露基準を遵守」とございます。これもよく新聞報道等では混同されているところがあるんですけれども、このELFの影響で急性的な影響と長期的なものと明確に分ける必要があるのでございますが、このAで言っています国際的暴露基準というものはあくまでも急性影響に係るものであるというところを確認させていただきたいということです。長期的な方について、国際的な暴露基準はもともとないわけです。それをWHOが守りなさいと言っているわけではないということの確認でございます。

    もう一点、15ページといいますか、0.4μT、0.3μTという言葉がよく出てまいります。それで、今回のWHOのEHCとかファクトシートでも、そういった疫学的な関連性を示す論文はある。これは当然お認めになっていらっしゃるわけですが、それでは0.4μTを超えたら2倍になる。今の山口先生のお話にもありましたけれども、そのことを事実としてWHOが認めたということではないんでしょうかという、そういった論文もあるし、そうではない論文もある。それぞれ論文は尊重するけれども、トータル的な評価としては、先ほど来、大久保先生がおっしゃっているのは証拠としては弱い。そういう結論になった。こういう理解でよろしいんでしょうか。

    以上3点、確認の意味で御質問させていただきます。

  • 横山主査

    それでは、大久保先生の方からお願いします。

  • 大久保委員

    いろいろ御質問を受けたのでわからなくなってきたんですが、まず14ページの2番目のポツのIARCの御質問については、疫学的な意味では、傾向として兜先生がプール分析と同じ傾向を示した。そういう意味で言うと、疫学研究はやや強みは増したものの、相変わらず生物学的な証左がない。それを支えるような根拠がないものですから、結果的には同じところに落ち着いたということであります。ですから、これは変わらないということです。

    2つ目の「国際的曝露基準を遵守」というのは、勿論、これは前のところもお読みいただければよろしいかと思うんですが、この18ページの左側のところにELF-EHCの防護措置の段落の2番目に「認められている影響は急性影響のみであり、この影響からの防護のためにデザインされた国際的な曝露限度は二つある(ICNIRP,1998a;IEEE 2002)」ということで、この国際的ガイドラインを遵守しなさいということであります。短期的影響に基づく暴露限度ですが、これを長期亘って遵守すれば良いと理解されます。慢性影響での基準については全く違う話でその様な考えはICNIRPでは否定されています。

    もう一つは何でしたか。

  • 能美委員

    0.3μTとか0.4μTとかという閾値です。

  • 大久保委員

    0.3μTとかなどは、同じ18ページのところにありますように、仮に暴露低減をしたからといってリスクが減るという保証はありませんという見解です。

    もう一つは、ELF-EHCのファクトシート、番号は忘れましたけれども、0.3μTあるいは0.4μTというものが、それを超えたからといって直ちにリスクが上がるという見解は持っておりません。

  • 能美委員

    ありがとうございました。

  • 横山主査

    ほかに何かございますでしょうか。

    それでは、小島委員の方からお願いしたいと思います。

  • 小島委員

    確認なんですけれども、先ほどの大久保先生のお話を聞いていると、メディアの方で6月にいろんな報道があったんですけれども、そのときに多くのメディアは、WHOが各国に対して予防的な措置を法律で取るように勧告しなさいと言ったというふうになっていますね。それは先ほどのお話を聞いていると、そういうことを言ったわけではないというふうに取れるので、一体、WHOは各国に対してはどういうことを言ったのか、もう一度確認をしていただけると、勧告という言葉が正しくないような気がします。

  • 大久保委員

    そこのところは非常に大事な点でありまして、WHOは決して否定はしていません。ただし、プライオリティーはそんなに高くないということです。そのために研究が第1番にあり、2番目にリスクコミュニケーション、3番目に低減をしてもよいでしょうというふうになっている。

    つまり、ELF-EHCではshouldというような表現で、予防的な措置をすべきである、低減をすべきである、あるいは英語で言うとwarrantedという使い方をしております。very low cost、非常に低いコストで暴露低減をすることを保証するというようなことを書いてありますが、これ自体は別に否定する気はありませんけれども、WHOとすれば、それはだからといって、それを下げたからリスクが減るという保証はありません。ですから、そこがニュアンスは随分違うと思います。否定はしませんけれども、つまり科学的な不確実性に基づいて否定をするほどの説得力を持つほど、WHOは積極的に予防的な取組みを否定するという立場ではありません。しかし、積極的にそれを推奨するという立場ではないことも事実です。

  • 横山主査

    どうぞ。

  • 小島委員

    もう一つ、勧告という言葉はどうなんですか。勧告というと、何かしなければいけないみたいな意味に取れるんです。

  • 大久保委員

    WHOの勧告は、英語ではリコメンデーションという使い方をしますが、これはあくまでも各国の自由裁量です。例えば、たばこ規制枠組み条約というものがありましたけれども、これは出されてから承認されるのに日本で3年かかっております。それも、多くの国はまだ批准していないという状況です。

    ただ、枠組み条約とはまた違う話ですけれども、ファクトシートとELF-EHCは違います。ELF-EHCはエキスパートの見解であって、必ずしもというふうに書いてあるとおりであります。WHOはまず公衆衛生として何を取り組むべきか。科学的な不確実性に基づいて、それでは、まず低減をすべきなのか、研究をやるべきなのか、それとも、リスクコミュニケーションをやるべきなのかという、この3つの選択肢の中でどれが一番大切なのかということを判断した結果がファクトシートとして、いわゆる公的なプレスリリースとして出されたということです。

  • 横山主査

    よろしいでしょうか。

    それでは、飛田委員の方からお願いしたいと思います。

  • 飛田委員

    大久保先生にお尋ねいたします。

    御説明ありがとうございました。素朴な疑問なんですが、2ページ目のところでリスク分析の手法の説明のためにここに御用意いただいたんだろうと思いますが、WHOはリスク評価機関とみなすべきなんでしょうか。それとも、内容をお伺いしておりますと、リスク管理のところに踏み込んでいるように思うんです。

  • 大久保委員

    このWHOは必ずしもどれをすべきという機関ではなく、それぞれのプロジェクトに応じて、あるいは物によって、取り扱うテーマによってリスクマネージメントまで踏み込んでいる場合もあります。WHOが提唱するガイドライン値というものも、例えば水質基準などはマネージメントとして水質基準を提唱しています。

    この電磁界に関しては、マネージメントはしません。リスク評価を行うと同時にリスクコミュニケーションをしましょうということで、リスクに関する対話のハンドブックみたいなものも出しております。

    それで、リスクマネージメント、つまり科学的な根拠に基づいて、あるガイドラインを出すという作業は、プロジェクトが1996年に立ち上がった時点で既にICNIRP、国際非電離放射線防護委員会、多氣先生がメンバーですが、そちらが行うという交通整理をしてあります。ですので、EHCを読んでも、何μTなりそういう値が安全であるとか、あるいは遵守しなさいということは一言も出ておりません。

    それから、思い出したんですが、ファクトシートの中では予防的という言葉を一切取ってあります。要するに、WHOは予防ということについては消極的であるということです。

  • 横山主査

    どうもありがとうございます。

    どうぞ。

  • 飛田委員

    この質問をさせていただきましたのが、例えばファクトシートの中でも磁界対策のコスト低減、恣意的基準には反対というようなアドバイスがなされているわけですが、その対応策として、大変コストを大きく取り上げておられるものですから、そういう意味では、かなりそれは現実的な視点での表現になっているのかとは思うんですが、その辺はリスク管理をするべき行政とか、それから、事業者の方々の行動を相当左右しかねないような発言といいましょうか、踏み込んだ提案だということで、私がかつて抱いていた国際機関のイメージからしますと、やや違った印象を受けているんです。

  • 大久保委員

    ごもっともだと思います。そこでWHOとすれば、ELF-EHCで出ている内容に違和感を覚えたということです。それでファクトシートとして、それもno costとか、very low costというような言い方をやめて、low costな対策は「may be explored」してもいいでしょうという表現にしたということです。

  • 飛田委員

    ありがとうございました。

  • 横山主査

    ほかにいかがでしょうか。

    それでは、小島委員どうぞ。

  • 小島委員

    大久保先生にもう一つ教えていただきたいのは、先ほど暴露を低減させることによっても健康上の便益があるかどうかは不明だということでしたね。でも、一応、疫学である以上、0.3μTが、閾値という言い方はしないとは思うんですけれども、下げれば、一応、それだけのリスクが減るわけですね。だから、そうしたら、暴露低減によっても少しは健康上の利益があるような気がするんですが、不明というふうになっているのはどういう理由なんでしょうか。

  • 大久保委員

    それは先ほど来申し上げていますように、疫学データだけで、それが減るという保証はありません。

  • 横山主査

    山口先生、何かございますでしょうか。

  • 山口委員

    2倍という数字が、先ほど来、私も御説明しましたように、本当にリスクが2倍高いということを示しているのかどうかというところが不確実だということなんだと思うんです。ですから、不確実ということはリスクが高いのかもしれないし、もしかしたら、ただ人工的にそういうふうに見えているだけかもしれないという、両方の可能性があるということだと思うんです。

    ですから、後者だとすると、何かをやっても病気は減ることにはならないでしょうということだと思うんです。その不確実性がまだある以上は、不確実な事実に基づいて何かをするということは推奨できないというのがWHOの見解だというふうに理解しています。

  • 小島委員

    ということは、簡単に言うと、それだったらグループ3でもいいのではないかみたいなふうに素朴に思ってしまうんです。だけれども、多少の証拠もあるので、否定もできないのでグループ2Bになったんですというように、素朴に考えていいんでしょうか。

  • 山口委員

    そうですね。2倍という数字を全く、逆にそれがにせものだというふうに断言する根拠も何もないということなんです。だから、非常に不確実だということだと思うんです。ですから、2Bというところになった。

  • 小島委員

    よくわかりました。

  • 横山主査

    ほかにいかがでしょうか。

    それでは、大山委員の方からお願いしたいと思います。

  • 大山委員

    疫学研究のことをいろいろ御説明いただいて、ありがとうございました。何しろ症例が少ないので非常に大変だと思うんですけれども、今、御説明いただいた中で2つ伺いたいんです。

    1つはプール分析、9か国のものと、それから、日本でやりましたという2つの例を紹介していただいた。9か国の方は、それまでの研究をとりまとめたものになるかと思うんですけれども、ほかにはこういう研究というものはこれまでは余りなかったというふうに理解してよろしいんでしょうか。なかなかやるのは大変だと思いますので、要するに、例えば2倍でないような、もっと1倍に近いような結果を出したものもあったかとか、そういう意味です。

  • 山口委員

    そのプール分析というものは、あくまでも9つの症例対照研究をまとめたものなので、それぞれはそれぞれ論文になって出ていまして、それはもっと不確実性を反映して、ばらつきの大きいものだというふうに考えていただいていいと思います。

  • 大山委員

    ともかく、その精度をとりまとめたものがあって、その後で日本でやりましたというようなことですね。

  • 山口委員

    そうですね。9か国を一生懸命とりまとめて、3,000以上の症例をプールして集めても、今、申し上げましたように、断言するところまで行かないということで、日本も是非、疫学研究をやるべきではないかというふうな提案もWHO等々からあって、こういう研究を始めたというであります。

  • 大山委員

    あと、もう一つ、説明して同意しないとやらせていただけないということだと思うんですけれども、説明して同意していただくときを考えますと、普通で言うとELFの影響があって、それを知りたいからなどという説明になってしまうと非常に選択バイアスが増えてしまうような気がするんですけれども、その辺りは何か御苦労をされたというのはどうやられたか、もし御存じだったら教えていただきたいんです。

  • 山口委員

    我々、日本の調査では、タイトルを生活環境全般についてというふうな説明にしまして、説明する際には高圧線とか電磁界とかという言葉を使わないようにいたしまして、それはおっしゃるとおりで、やはり参加の偏りを恐れた上でのことであります。

  • 大山委員

    どうもありがとうございました。

  • 横山主査

    ほかにいかがでしょうか。

    それでは、飛田委員の方からお願いしたいと思います。

  • 飛田委員

    山口先生にお尋ねいたします。

    お話ありがとうございました。4ページ目のところで「わが国で実施された症例対照研究」なんですが、インタビュー調査が5ブロックで18都府県ということが紹介されているわけですけれども、ずっと続きで、Hillの基準等の御説明もありましたのですが、症例対照研究について、18都府県といいますと、やや私のような素人の感覚からいたしますと、関東以南のこの地域で、そして18都府県ということは少なかったのではないかという気がいたしますが、北の方のインタビュー調査、東北から北海道の地域が対象に入っていなかったということは何か理由があるんでしょうか。

  • 山口委員

    特に理由はないんです。いただいた予算と、先ほど申し上げましたように、調査員がそれぞれの御自宅に直接インタビューに出向く。それから、環境測定を、近くに高圧線がある場合にはそこからの距離を測定する等々、相当、綿密な調査を実施しましたので、そういうふうな実施の実行範囲と予算でこれが精一杯だったということです。本当は北の方ももう少し調査の対象に含めたかったということはあるんですが、現実にはそれができなかったということであります。

  • 横山主査

    それでは、どうぞ。

  • 飛田委員

    今のことの続きで、もう一つお聞きしたいんです。

    これから、例えば今回のWHOの中でも調査研究の一層の推進をということがうたわれていると思いますけれども、今後この疫学的な研究をなさる場合に、例えば病院の先生方の中でネットワーク化を図って、勿論、プライバシーに関わる部分がありますので慎重でなければならないと思うんですが、広く全国的な調査、また、ほかの要素なども、先ほどそばに電磁波を受けやすいようなものがあったとか、そういったことなどの条件の設定についても、私どもなどの感覚からしますと、一つのカルテがあって、そのお子さんの、特に小児白血病の場合にはこういうところに居住していて、このような病歴であって、周辺環境はこうだといったような、書き込むカルテの様式が統一されていたりすれば情報が共有できるのではないかという気がいたします。

    そういった今後の研究の可能性、私、素人ですので、いろいろな、もっと複雑な要素があるかと思いますが、可能性としてはいかがでございましょうか。

  • 山口委員

    ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりで、小児科の先生の御協力が大変重要でありまして、小児科の先生ともう少し個々の病院ベースで協力関係を築くことができたら、もうちょっとスムーズにいったかなというのは、今回、こういう全国規模の症例対照研究というものは日本で初めてだと思うんです。

    次に、仮に同じようなことをやるとしたら、こうしたらもうちょっとうまくいくというのはあるんですが、現実は小児科の先生は大変お忙しい。実際に調査は全国規模の小児白血病の研究グループが幾つかありまして、そういう研究グループの先生方に御協力をいただいたということなんですが、その研究グループというのは白血病の治療をよりよくするための研究グループということで、なかなか原因の方に時間を割くということが小児科の先生にとって難しかったというのは裏話的には現実でありまして、その辺は、次にやるとしたら、先生がおっしゃるように、もう少しネットワークをあらかじめきちっと築く等々の努力をすればもうちょっとよかったかなというふうなことは考えております。

  • 飛田委員

    ありがとうございました。

  • 横山主査

    たくさん御質問をいただきましたけれども、時間の関係がありますので、次の議題の方に進ませていただいてよろしゅうございますでしょうか。まだほかに特に御質問がありましたらお受けいたしますが、よろしいでしょうか。

    (「はい」と声あり)

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。

    それでは、続きまして議題の3と4を続けて説明させていただきたいと思います。まず議題の「3.海外での磁界規制状況について」及び「4.国際電気標準会議(IEC)、TC106と測定器の規格について」。これは事務局の方から御説明いただきたいと思います。

    それでは、お願いします。

  • 森下電気保安室長

    それでは、資料4と資料5を続けて説明させていただきます。

    資料4の1~2ページ目に、3ページ目をまとめたものを書いておりますが、まず3ページ目の詳細な資料を使って御説明させていただきまして、1~2枚目の方で分類分けといいますか、わかりやすく整理したものを説明させていただきます。

    それでは、3ページ目の「国内外の商用周波電磁界に対する規制(一般公衆)」という資料を出していただけますでしょうか。

    まず、国際的なレベルでは、先ほど何度も出てまいりましたけれども、国際非電離放射線防護委員会が1998年にガイドラインということで、50Hzについては電界の制限値として5.0kV/m、磁界については100μTというものを示しております。また、60Hzについては、それぞれ4.2kV/m、83μTということでございます。

    また、国際的なものについては、電気電子学会(IEEE)の方では2002年に、50Hz・60Hzについて5.0kV/m、904μTという値を示しております。これはICNIRPよりも数値としては緩やかなものということでございます。

    それから、地域レベルでは、欧州の方ではEU閣僚理事会の方で1999年に勧告という形で、50Hzについて電界5.0kV/m、磁界100μTというものが出されております。

    それぞれの国レベルではどうかと申しますと、日本については我が経済産業省の方で、1976年からですけれども、電気事業法による規制で50Hz・60Hzについて電界を3.0kV/mという規制を行っております。これは右の備考に書いておりますけれども「人に対する電線の静電誘導による電撃の防止」という観点から、送電線下における電界強度の許容限界を規制しております。

    米国、カナダにつきましては、連邦レベルでは規制は行っておりません。アメリカについては下の方で、州レベルで幾つか調べた限りのものを説明させていただきます。

    米国では、積極的な規制という形ではなくて、連邦レベルでは電磁界暴露の低減に向けた産業界の取組みや基礎的な研究の継続というものを提言しております。

    また、カナダでは、連邦レベルではありませんけれども、州レベルで自発的な基準を設けている例がケベック州等々についてございます。

    それから、同じく備考のところでございますけれども、連邦・州あるいは準州の放射線防護委員会では、Precautionaryなアプローチとして、情報提供や研究の実施というような措置で十分ということを2005年に表明しているというものでございます。

    ヨーロッパにまいりますと、英国の方は2004年にガイドラインという形で、50HzについてEUの勧告と同様に5.0kV/m、100μTということが示されております。それから、不確実なリスクに対するPrecautionaryアプローチの適用の可能性については保健省の方が利害関係者の諮問グループを組織して、今、検討中ということでございます。

    ドイツにおきましては、規制という形で1997年から、50Hzについて電界5.0kV/m、磁界100μTということが示されております。

    フランスにおきましても、2001年に法律の規制によりまして、50Hzについて5.0kV/m、100μTということでされております。それから、備考のところで、フランス高等保健審議会はPrecautionaryアプローチとして、暴露評価、研究、情報提供を2005年に勧告してございます。

    イタリアにおきましては、2003年に法律の規制という形で、50Hzについては5.0kV/m、100μTで暴露制限値を規制しておりますが、その下に注意値10μT、それから、安心目標3μTということも加えて規制がなされております。

    これは、備考のところに補足が書いておりますけれども、注意値というのは幼児の遊び場、住宅地域など公衆が1日4時間以上滞在可能な建物に適用するということで、24時間の中央値という形で10μTというものが規制されております。

    安心目標3μTというものについては、公園、住宅地域など公衆が1日4時間以上滞在可能な場所での新規の電力線の建設、それから、既存の電力設備のそばで新たに地域計画を行う場合に適用されるということになっております。また、一部の地域ではより厳しい規制、0.2μTなどを設けている地域もございます。

    オランダにつきましては、こちらは勧告という形で、法律ではございませんが、2005年に欧州と同じような規制値を設けています。

    その下に、0.4μTということで書いておりますけれども「高圧電力線の新設、及び、既存の高圧送電線の側で地域計画を策定する場合に、年平均磁界が0.4μTを超えるエリアに子供が長期に滞在するという状況を、合理的に可能な範囲で避ける」というような勧告が出されております。

    スイスにおきましては、2000年に法律の規制を行っておりますけれども、暴露制限値については、50Hzについて5.0kV/m、100μTでございますが、予防的放出制限値ということで、1μTというものが加えて規制されております。これは人が定常的にかなりの時間を過ごす住宅や公園などでの送電線・変電所、これは新設・既設両方ともが対象でございます。ただし、磁束密度を最小化するような相配置の最適化など適切な措置が施されていれば免除されるということでございます。

    スウェーデンにおいては、勧告あるいはガイダンスという形でございますが、暴露制限値としては同様なものが出されております。ガイダンスといたしまして、電気設備や建物の新設の際に、高暴露を低減するような費用対効果のある措置があれば、計画段階から設計・位置決めの努力を払うべき。ただし、具体的な磁界の大きさや費用に対する言及はございませんが、そういうふうなガイダンスが出されている。

    スペインについては、現在、規制がございません。

    ベルギーについては、1998年に規制という形で、50Hzについて10kV/mという規制値が定められております。

    オーストラリアの方では、1989年にガイドラインという、これも強制力はございませんが、50Hzについて5.0kV/m、100μTという暴露制限値が示されております。また、備考のところで書いておりますけれども「電気事業者は自発的に低費用での対策を実施中」ということでございます。また、連邦の放射線防護・原子力安全庁ではPrecautionaryなアプローチを含む新たな基準を策定中ということでございます。

    イスラエルにおきましては、2001年にガイドラインという形で欧州等の各国と同様な暴露制限値が健康ガイドラインということで出されております。また、ガイドラインですけれども、1μTということで、住宅密集地への電力設備の新設時に適用されるようなガイドラインが出されております。

    ロシアの方は、まだ実際がよくわからないところがありますけれども、我々が今、調べている限りでは、50Hzで0.5kV/m、10μTという、数値としては非常に厳しい規制がなされていると思います。ただ、この実態がどうなっているかについては詳細がよく把握できておりません。

    韓国については、2004年に規制という形で、60Hzで3.5kV/m、83μTという規制がなされております。

    米国の州レベルでございますが、フロリダ州では1989年から規制を行っておりますけれども、60Hzで電界については2kV/m、磁界については15~25μTということで、右に書いておりますけれども、まず電力線の施設用地の境界での規制値、それから、送電線の用量ごとに、先ほど申し上げた15μTから順次、25μTまで規制が段階的に設けられているということでございます。

    この中で特徴的な州について御説明させていただきますと、カリフォルニア州でございますが、1993年から規制を行っておりますけれども、右側に「低費用でできる磁界低減策の実施」ということで、具体的には「新規の送変電プロジェクトに対してプロジェクト総額の4%を目安に磁界低減策を施す」ということがなされております。

    同じくカリフォルニア州で、教育局というところが規制しておりますけれども、学校の新設に際して、既存の送電線から距離を設けるということがなされております。

    また、コネチカット州でも同様な、右側の備考に書いておりますけれども、送電線を住宅地、学校、公園等の近くの特定の緩衝地帯に新規立地することを禁止するというようなことがなされております。

    1枚目に戻っていただきまして、今、個々に御説明しましたけれども、分類いたしますと2つに分かれると思います。

    1つは「高いレベル(100μTより遥かに高い)での短期暴露に関連する健康影響」ということで、これは先ほど先生方から御説明がありましたけれども、科学的にメカニズムも確立されておりまして、国際的なガイドラインもできております。これは50Hzであれば100μTということで、それを法規制で行っている国はドイツ、フランス等々、書いてある国でございまして、勧告、ガイドラインという形でオーストラリア、イスラエル等々の国もやっておるということです。

    WHOのファクトシートでは「科学的に確立されている健康影響から防護するために規定された国際的なガイドラインを採用すべき」というのが、この6月に示されております。

    もう一つの「極めて低いレベルでの長期暴露に関連する健康影響」については科学的にまだ不確かということで「Precautionary approaches」ということですけれども、先ほどから何度か補足がありますけれども、リスクが科学的にわかっているものについての予防、preventionとは概念が違うものとして、リスクが科学的に不明な場合にPrecautionaryなアプローチを取るということで出ておりまして、それを採用していない国としては、先ほど御説明しましたけれども、カナダ、ドイツ、英国等々の国がございます。我が国も磁界自体の規制がまだ入っておりません。

    それから、採用している国については、先ほど御説明しましたが、予防的な暴露制限値ということでイタリア、イスラエル等。予防的放出制限値ということでスイス。それから、先ほどの慎重なる回避策ということで、カリフォルニア州、豪州とかスウェーデンの方のような話は先ほど御説明しましたけれども、そういう手法も取られている。また、受動的な規制対策ということで、米国では公衆への啓蒙がなされているということでございます。

    2ページ目にまいりますが「曝露制限値に基づく予防政策」については先ほど詳細に御説明したものを整理しております。

    「放出制限値に基づく予防政策」ということも、スイスの話を書いております。

    「人々を曝露発生源から遠ざける予防政策」ということで、オランダのような国で電力線と住宅の間に距離を取るとか、カリフォルニア州の話。それから、先ほど申し上げたようなコネチカット州の話を整理しております。

    「費用に基づく予防政策」ということで、カリフォルニア州の話を申し上げました。

    それから「定量的な目標に基づかない予防政策」ということで、豪州の電気事業者の自発的対策、あるいはスウェーデンでの、レベルは言及しないけれども、設計段階での電磁界の考慮というようなものが出ているということでございます。

    以上、WHOの環境保健基準のクライテリアに従ってわかりやすく整理いたしたものでございます。以上が資料4でございます。

    続けて、資料5の方の説明に移らさせていただきます。磁界の暴露レベルというものが何度か出ておりましたけれども、測定法というものも併せて考えなければならないということで、現状、国際規格の検討が進んでおりまして、その状況について御説明させていただきます。

    これについては、IECという電気・電子の標準化を行う国際機関がございまして、その中に、2.でございますけれども、TC(Technical Committee)106というものが設置されております。これは1999年からでございます。その中で、生体影響のための電磁界計測の標準化というものが検討されております。

    それで、全体を書いておりますけれども、ここに「(3)所掌するタスク」の中で「(2)測定法(測定器と手順)」というものがあります。それから「 (4)作業計画案(低周波関連のみ抜粋)」の「●縦割り規格(製品規格的意味合い)」というところで家電製品等々がありますけれども「(2)電力線-公衆」という規格の分野が設けられていて、検討が進んでいる。

    また、3.でございますが、国際的な動きに対応するように、国内でも国内委員会というものが設置されております。これは1999年11月に組織された委員会でございまして、事務局は電気学会でしていただいております。

    それから、その中に低周波国内委員会というものが設置されておりまして、2002年12月から電磁界の測定規格の開発を目的に「電力線WG」が活動を行っております。この国内委員会の委員長を、このワーキンググループの委員でもございます多氣先生が務められております。

    右側の方に移りますけれども「1.規格化のねらい」でございます。

    ICNIRPのガイドラインの方で、制限値ということで「ばく露された人の全身についての空間的平均値」が規定されておりますが、この空間的平均値の実際的な測定方法については、ICNIRPの方はIECなどの任務という認識を示しております。現在のところは国際的な規格は存在しておりません。

    したがって、電力設備の周辺での空間的平均値に関する測定方法を日本からIECに提案し、規格化ということで、現在、作業が続けられております。

    「2.規格案の進捗状況および概要」でございます。

    2004年7月に、TC106国内委員会からIECに対して新規規格の提案を行っております。それで2004年12月に新規プロジェクトとして正式に承認され、規格案策定のためのプロジェクトチーム62110という、右側に構成メンバーが出ておりますけれども、それが結成されております。

    そして、現在でございますけれども、今年の2月、第2次草案が各メンバー国に示されておりまして、現在、各メンバー国から寄せられたコメントを検討しているという状況でございます。

    今後の予定でございますけれども、その下に書いておりますが、来年の9月に最終ドラフトが完成する予定となっております。それから、来年度末、2009年3月でございますが、国際規格が成立する予定ということでございます。

    それで、日本から提案し、検討がされておる測定手順の概要でございます。

    まず「1.電界および磁界の、人体が占める空間の平均値の求め方」ということで、これは空間的に電磁界が均一な場合と不均一な場合ということがございまして、まず均一な場合、例えば送電線の下という状況でございますけれども、地面から1.0mという1点での測定値を空間的平均値とみなす。

    また、地中ケーブルの上などの不均一な電磁界の場合でございますが、例えば別の高さの3点、0.5m、1.0m、1.5mというところでそれぞれ測定を行い、3つの測定値の算術平均を空間的平均値とみなすということでございます。

    それから、電力設備から発生する電界・磁界の、設備周辺での発生最大レベルというものをどうやって決めるかということでございますが、これには2つの考え方が提案されております。

    1つは、一般公衆が接近可能な電力設備周辺での測定距離ということで、一般の方々の接近状況、例えば変電設備であればさくがされているとか、そういうふうな状況。あるいは、その設備周辺の電界・磁界の分布状況を考慮して、設備から合理的な距離を確保した地点で測定を実施するということでございます。

    それから、電力設備に沿った測定の実施ということで、例えば電線のようなものの最大レベルはどうやって決めるかといいますと、電力設備に沿って測定を行って、最大レベルが得られた地点を最大値とするというふうなことでございます。

    以上でございます。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして御質問等がありましたらお願いしたいと思います。

    それでは、まず藤村委員の方からお願いしたいと思います。

  • 藤村委員

    今の御説明で、一番最初に御説明いただいたA3の大きな紙なんですが、一応、国際基準として100μT、それから、60Hzの場合は83μTとありますけれども、先ほどからいろいろ議論のあった0.3~0.4μTというのは小児白血病が急に増えるという数値なんですけれども、この数値というのは、WHOではどういう扱いなんですか。要するに、今のICNIRPだとかそういうところの基準をベースにして100μTと83μTというものを一つのガイドラインとして示して、それを各国が採用するかしないかということであって、それ以外の数値というのは全く関係ないんですか。

  • 横山主査

    それでは、大久保先生からお答えいただきたいと思います。

  • 大久保委員

    ファクトシートのN゜322にもございますように、恣意的に下げるということでスタンダードは設けないでくれということは言ってあります。つまり、この予防的なフレーム、いわゆるPrecautionaryなアプローチというのは、どちらかというと政治的な決着でやっているということが多いわけです。WHOは、スタンダードとしてはあくまでもICNIRPあるいはIEEEをやってください。もしPrecautionaryなアプローチとしてやるのであれば、それはボランタリーにやったらいかがでしょうか。スタンダードには決してしないでくれということです。

  • 藤村委員

    それと、ついでで申し訳ないんですが、このファクトシートの中の「居住環境での0.3~0.4μTを越える商用周波磁界への平均曝露」という書き方をしていますね。それと、この100μTとか83μTというものも「平均曝露」という、全く同一条件の。

  • 大久保委員

    その平均というのは、どこでしたか。

  • 藤村委員

    資料2-2の2ページ目に「プール分析では、居住環境での0.3~0.4μTを越える商用周波磁界への平均曝露」という言い方をしているんですけれども、この「平均曝露」という意味がよくわからないんです。

  • 大久保委員

    常に磁界は電流の使用量によって変動します。その時間平均ということです。

  • 藤村委員

    100μTであろうと、83μTであろうと、理屈は同じなんですか。

  • 大久保委員

    あちらの方は、急性影響に関しては多氣先生がお詳しいところですが、今の考えは瞬時たりともそれを出てはいけないということの理解です。

  • 横山主査

    それでは、多氣先生の方から御説明をいただきたいと思います。

  • 多氣委員

    ICNIRPのガイドライン、100μTという数字が参考レベルとして示されているわけなんですが、それが本来の誘導電流とかなんとかという話が更に背後にあるという話は置いておきまして、時間については一応、原則として瞬時ということになっています。

    ただ、その根拠なんですが、ちょっと誤解されやすい点がございまして、例えば資料4を見ましても「短期暴露に関連する健康影響」と書いてあるんです。この100μTを守るのだと、短期暴露の影響は防護できるけれども、長期的にどうなんだということですごく心配される方が多いんです。これは根拠が短期暴露に基づいているということで、要するに100μTの基になっているのは、それより更に50倍程度高い、あるいは値が閾値として推定されているんですが、そういった閾値を超えたときに起こる現象というものは、実は非常にわずかな、例えば磁気閃光とか非常に短期的には感じるという程度のものとか、そういったものがなっているんです。ただ、それは短期で起こります。そういうことなんです。

    1つ、暗黙の過程がございまして、深刻な健康への悪影響というものは、実は低周波の磁界に関してははっきりしたものは見つかっていないといっているんです。だけれども、そういった一時的な感覚とかそういったものが常時続くということをもって悪影響になるでしょう。そういうことを想定している。これは実はガイドラインの本文には書いていないものですから、いろいろ質問が来たということで、2000年だったと思いますけれども、ICNIRPの方でステートメントを出しております。その中でそういうことを少し説明しているんです。

    ですから、そういった意味合いであるということで、規制というか、制限としては瞬時だけれども、それでは、それは瞬時で深刻な影響になるのかというと、そういう意味ではないというふうに御理解ください。

  • 藤村委員

    全く素人考えで恐縮なんですけれども、私は居住環境は、例えばうちの近くに高圧線があるとか、あるいは引込線があるとか、電力施設がたくさんあるではないですか。すると、常にそこから電磁波が発生している。

    一方、家電製品みたいにテレビだとか、あるいはドライヤーだとか、電気毛布だとかそういうものは使用するときだけ暴露するわけだから、その違いで100μTだとか83μTというものと、居住環境で常時出るものとの違いがあるのかと思ったんですけれども、解釈はそうではないんですか。

  • 多氣委員

    常時、100μTあって何か悪いことがあるかというと、そうではないです。ただし、疫学の言っている示唆というのは否定されていないわけですから、100μTどころか〇.幾つであっても常時であるならば影響がある可能性がないわけではない。だから、研究は注意して続けましょう。

    それでは、100μT以上、あるいはそれの10倍、50倍をほんの一瞬浴びたらどうなるかというと、先ほど申し上げたように、何も起こらない。それをずっと続けていると、これは恐らく大きなストレスになるでしょうとか、何か大きな健康への悪影響になるでしょうという考えがあるということなんです。

    それから、疫学で言っているのが0.3μT、0.4μTというのは、逆に言えば瞬時ではなくて、例えば兜先生の研究だと1週間の平均値を、ヨーロッパ、アメリカの研究の多くは1日の平均値というような数字ですので、これは先生のおっしゃるように、時間をならして平均したような数字で議論しているということになります。

  • 藤村委員

    よくわかりました。

    それで、経産省の方にお伺いしたいのは、やろうとすることは、今回、このワーキンググループで一定のガイドラインをつくるのか、規制をするのか、あるいはまた別の方法を考えるのかわかりませんけれども、基本的にはやはり、このICNIRPの100μTだとか83μTを基準にしながら、我が国においてどういうふうな規制を考えていくかということなんですか。

  • 森下電気保安室長

    まだ御審議いただいているので、その結論を得てから最終判断となると思いますけれども、このWHOのファクトシートを素直に解釈するならば、急性暴露については科学的なメカニズムはわかっておりますから、これは対応が必要だと思っております。

    諸外国でも、そういうふうなことを行っている国もございますので、日本の中でそういうふうな同様の対応ができるのかどうかということについて、ここで結論を、方向性を出していただければ、それを受け止めたいと思っております。

  • 藤村委員

    わかりました。

  • 横山主査

    今、論点の方に入っていますが、できましたら、後で資料6で論点を御説明いただきますので、そこでまた御意見をいただきたいと思います。

    それでは、飛田委員の方からお願いしたいと思います。

  • 飛田委員

    このA3の国内外の規制の表についてお尋ねしたいんです。

    これで、急性のものだけでなくて子どもたちに対する配慮をしている国もありますし、また電力会社さんが、例えばカリフォルニア州の公益事業委員会の例は総額の4%を目安に磁界低減策を施すというようなことが書かれておりましたり、あるいは現在、その対策を低費用で実施中といった国も、例えばオーストラリアなども書かれていたりするわけですが、具体的にこれらのようにもう少し、時代とともに規制も発展していかないといけないのではないかという考え方に立つならば、多様な配慮をしていくきめ細かさが求められると思います。

    その視点から申しますと、実際にいろいろな取組みをしておられる特色のあるところでは事業者の方はどうしているのか。そして、例えばオランダなどの場合「住宅・国土計画・環境省」となっているんですが、これが住宅のところと、国土計画のお役所と、環境省さん、3者が協力して、暴露制限値は別かもしれませんが、このような勧告として出されているのか。その背景をもう少し知りたいと思います。

    希望としましては、それと同時に国内の事業者の方々が、今、どのような低減策を講じておられるのか。以前、私が耳にいたしましたのは、3層構造にすると電磁波の抑制がきくということをおっしゃっておられる技術者のお話なんですが、そういった努力とか、国内の全体的な取組状況、急性のものもさることながら、慢性的なものに関する配慮は当然していただかなければいけないわけですから、そういったことにどのような現実のお取組みがあるのか、事業者さんサイドの情報もいただきたいと思います。諸外国における各省庁や事業者の方の取組みについても何か細かい、詳しいデータ等がございましたらお願いしたいと思います。

    また、この電磁波の問題を考える場合、自治体の取組みも大変重要だと思われますので、外国で自治体レベルでどのようにしているか。また、国内でも何かやっておられるか。そういった情報をいただいた上で規制の問題も新たに考えていきたいと思います。初めに結論ありきということでなく、せっかくですので、いろいろなデータをいただいて考えさせていただければありがたいと思っております。

  • 横山主査

    我が国の現状を踏まえて議論したいと思いますので、今日すぐと言っても準備の方がないと思いますので、次回に是非、電気事業連合会さんの方からも現在行っているような磁界対策、それから、今後の取組みとして考えられるようなことを次回御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

    それでは、ほかの論点についていかがでしょうか。

    どうぞ。

  • 森下電気保安室長

    あと、さっき飛田委員がおっしゃいました他国のものも、次回までにより詳細に、調べるだけ調べてみます。

  • 横山主査

    ほかにいかがでしょうか。宮越先生、どうぞお願いいたします。

  • 宮越委員

    このIEC/TC106で、測定に関しては私は素人なんですけれども、今の電磁界の測定手順の規格化というものは、まだ国際的に決まっていないわけです。そうすると先ほど、疫学研究をいっぱいされてきて、これは全部測定をされておるんでしょうけれども、その疫学研究個々の測定の違いとかそういうものは、私どもがぱっと論文を見たときには何μTの範囲でありますと書いてあるだけでわからないんですけれども、それでは、測定方法が個々で違ったものを比べたりするときには、先生、どうなんですか。

  • 横山主査

    それでは、まず多氣先生の方からお答えいただきたいと思います。

  • 多氣委員

    医学生物系の方に測定に関心を持っていただくと、非常にうれしい、心強いことなんですけれども、実は測定法で磁界という値をはかるといったことについての規格は既にできております。これがIEC61786というもので、TC106ができる前にTC85というところで既に国際規格になっていたものを、今、TC106が引き継いでいるんです。

    それで、現在審議しているのは、やはり非常に送電線等は広範囲にわたりますから、そういうところでだれがやっても同じ結果が出るというような実用的な、そして、それなりに防護指針との比較をするということを前提にした。そういったものを一定の約束にしましょう。こういうところの作業をやっているというふうに御理解ください。

  • 宮越委員

    わかりました。

  • 横山主査

    ほかにいかがでしょうか。

    どうもありがとうございました。それでは最後の議題でございますが、ちょっと時間をオーバーしておりますが、資料6の論点につきまして事務局から御説明をいただきたいと思います。

  • 森下電気保安室長

    それでは、資料6の御説明をさせていただきます。

    論点は大きく2つ書いております。1つは「○極低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応」ということで、少しはしょりながら説明させていただきます。

    WHOは、何度も出てまいりましたけれども、ファクトシートN゜322で「極超低周波磁界による曝露のうち、高レベル(100μTよりも遥かに高い)での急性曝露による生物学的影響は証明されており、認知されている生物物理学的なメカニズムによって説明されている」。また、ガイダンスとして「高レベルの電磁界への短期的な曝露については、健康への悪影響が科学的に確立されている(非電離放射線防護委員会(ICNIRP)2003)。政策決定者は、労働者及び一般人をこれらの影響から防護するために規定された国際的な曝露ガイドラインを採用すべき」と述べております。

    また、欧州を中心に、先ほど御説明しましたけれども、国際的なガイドラインを参考にした規制値あるいはガイドラインとか勧告という形で導入する動きが見られる中、我が国においても、電力設備に係る磁界の暴露規制値をどう扱うべきか。具体的には(参考)のところに書いておりますけれども、50Hzで100μT、それから、60Hzで83μTという暴露制限値でございます。

    2つ目でございますが「○極低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応」ということでございまして、繰り返しにはなりますけれども、説明させていただきます。WHOがファクトシートで「タスクグループは、その後の追加研究も踏まえた上で、2002年に国際がん研究機関(IARC)が公表した極低周波磁界による発がん性の分類『ヒトに対して発がん性があるかもしれない』(ヒトにおける発がん性の証拠が限定的であり、実験動物における発がん性の証拠が十分でないものを表す)を変更するものではないと結論付けた」と述べております。

    また、ファクトシートの中で「疫学研究のプール分析(過去の各研究で得られた生データをまとめて再解析)では、居住環境で0.3~0.4μTを超える商用周波磁界への平均曝露に関連して小児白血病が倍増するという一貫したパターンが示されているが、疫学的証拠は、潜在的な選択バイアス(対象の偏り)等手法上の問題があるため弱められている。加えて、低レベルの曝露ががんの進展に関係してることを示唆する、受け入れられている生物物理学的メカニズムはない。更に、大多数の動物研究では影響は示されていない」。「よって、全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではない」。更には「国際的な曝露ガイドラインを作成しているICNIRP及び、電気電子学会(IEEE)は、現時点では、極低周波電磁界への長期的な低レベルの曝露による健康影響の可能性に関連する科学的証拠は、これらの定量的な曝露限度を引き下げることを正当化するには不十分であると見なしている」と述べられております。

    また、ファクトシートで「長期的影響に関しては、極低周波磁界への曝露と小児白血病との関連についての証拠が弱いことから、曝露低減に健康上の便益があるかどうか不明。こうした状況から以下の推奨を行う」ということで、大久保先生から御説明がありましたけれども、3つ。

    研究プログラムの推進。

    情報を提示した上で、意思決定を可能とするためのコミュニケーション・プログラムの構築。

    それから、新たな設備を建設する、または新たな装置を設計する際の暴露低減のための低費用の方法が探索されることは推奨。この適切な暴露低減方策は、国ごとに異なるであろう。ただし、恣意的に低い暴露限度の採用に基づく政策は是認されない。

    この3点を示しております。

    これらWHOのガイダンスの推奨事項について、我が国において、実効性のある電力設備に係る磁界対策として、どのようなことができるのかということが2つ目の論点ではないかと思っております。

    以上です。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。論点で、短期的な影響と長期的な影響という2つの観点に分けて論点を示していただきましたが、これにつきまして皆さんの方から何か御意見がありましたらお願いしたいと思います。

    小島委員、お願いします。

  • 小島委員

    私、聞き漏らしたかもしれませんが、研究プログラムが必要だといったときの研究というのは、いわゆる不確かさを更に確かにするためですね。それで、いろんな研究がこれだけ行われていて、それでもまだ不確かですね。何かいい方法はあるんでしょうか。もし、それがあったら教えていただきたいと思います。

  • 横山主査

    先生方から、どなたかありましたらお願いいたします。

    それでは、大久保先生の方からお願いしたいと思います。

  • 大久保委員

    実は、お答えするのは非常に難しいんですけれども、事務局の方から今後の推奨すべき研究という中で、最も注目されるべき研究というのはやはり小児白血病の原因解明である。

    ただ、これは私、個人的な意見でもありますが、ELF-EHCに書いてある最優先事項としては、やはり疫学と実験的研究との共同研究ということが一番必要ではないか。つまり、その背景として、ひょっとしたら、この影響というものはヒト特有の影響、つまり動物で幾らやっても出てこないとすると、ヒト特異的な遺伝子が何かそれに介在しているという可能性が、ある意味で最も科学的にうなずける背景があるのではないかということがあるものですから、できれば、やはり、この研究というのは、今後の研究とすれば従来の研究の数を増やすとかそのようなアプローチの仕方をするよりは、ヒトに集中して、いわゆるヒト特有の病因学、遺伝子の背景を究明するようなものが最も望ましいと私は個人的に考えます。

  • 横山主査

    ほかの先生方はいかがでしょうか。何か御意見がありましたらお願いいたします。

    それでは、宮越先生お願いします。

  • 宮越委員

    小島委員のおっしゃることは本当にそのとおりなので、今の大久保先生のお答えがほとんど十分なお答えになっていると思うんですが、私の方がむしろ、ここ何十年もずっと遺伝子を扱ってきているものですからね。

    電磁波の病気との関連性で、放射線からずっと紫外線というふうに来ていますね。それぞれヒトの遺伝子が影響しているということがわかって、遺伝病との関係はつかまれているんです。だけれども、今、我々が議論している、こういう5,000キロもの波長の、こんなに長い電磁場に関して、それも磁界に関して、細胞レベル、動物レベルでは何の反応も示さない。

    この10年の生命科学の発展というのは物すごいもので、ようやく、今、大久保先生がおっしゃったヒトゲノムプロジェクトが完了しまして、ファンクションというか、機能がまだはっきりしていないものが結構ありますけれども、ヒトの遺伝子そのものも3万弱もわかっていまして、それは一挙にすべて調べられるという技術を、今、我々は持っています。だから、今、大久保先生がおっしゃったことは、我々としては、もし、小島委員のどうやったらわかるかというのは、真っ白ということを科学で証明するのは非常に難しいんですけれども、どこまで真っ白かということを証明するには動物ではなくてヒトの、それも小児白血病と、小児白血病ではないヒトの遺伝子を見比べて、どこが違うかとか、それが電磁場が当たってどこが違うかとか、そういったことをやれば少しでも疫学の結果に近づけられるような研究は可能ではないか。

    ただ、できるかどうかはわかりませんけれども、我々としてはそういうことだったら可能、少しは近づけるのではないか。今のままではいつまで経っても、疫学研究がいっぱい進んでも、また同じような結果になったら、それ以上のものは進まないと思います。

    以上です。

  • 横山主査

    山口先生、何かございますか。

  • 山口委員

    疫学研究で今までやられたものがすべて症例対照研究という手法で、この症例対照研究に頼っている限り、どうも不確実性から逃れられないというのは宿命みたいになっているというのは、疫学をやっている人間は多分みんな感じているところで、一つの解決策として、私の説明の中でコホート研究というのは莫大な費用がかかってとても無理だというお話をしましたが、コホートをベースにした症例対照研究というのは実はあるんです。先ほどの私の説明で、症例対照研究というのはコホートはX万人とかY万人とかといって、非常に漠としていてとらえどころのないものだという説明をしましたが、それをあらかじめきちっと定義した上で、その中で症例対照研究をやるという手法があって、私は疫学の中で、今の困難を乗り越える疫学の手法としてやれるとしたら、その辺かなというふうに考えています。

    それに、大久保先生、宮越先生がおっしゃったような基礎的な事実を有効に活用したようなマーカーとか測定というふうなものを加味して測定の不確実性を更に除去できれば、今のところ、疫学としてはやれる最高のことになるのではないかという印象を持っております。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。

    よろしゅうございますでしょうか。

  • 小島委員

    もう一つ、私、話を聞いていて、要するに暴露していなくても、現実問題、1人か2人の差ですから、ほぼ同数の人が白血病になっているわけです。ただ、暴露していないのになっているのはなぜかという方での研究は進んでいるんですか。

  • 山口委員

    白血病自身の研究ということについては、世界中の最先端の血液学の専門の先生方が日夜研究しているところで、でも、まだ不明の部分の方が多いというのが事実だと思います。

    何で小児白血病が、要するに先ほども私のデータでゼロ~4歳のところの罹患率が一番多いわけです。でも、何で生まれたての子どもさんが白血病になってしまうのかということについては、ほとんど何もわかっていないというのが実情なんです。そういう実情の中で電磁界がどうかを調べなくてはいけないという、物すごく大変なことでありまして、むしろ私は医者でいろんな病気を扱うのですが、病気というものはむしろ不確実なんです。病気の原因というものはむしろわかっているのが例外で、原因がほとんどわからない中で何かしらの関係を見ていかなくてはいけないという難しさがとにかく根底にある。ですから、頑張ればできるだろうみたいな話にはなかなかならないと思っています。

  • 横山主査

    ありがとうございました。ほかに何か御質問ございますでしょうか。

    それでは、飛田委員の方からお願いします。

  • 飛田委員

    今、山口先生から白血病についてお話がございましたけれども、子どもたちの白血病は大変深刻な問題でございますので、そういう意味では優先順位としてお取り組みいただくことはありがたいんですけれども、感受性の鋭い方々が電磁波の影響を受けて非常に苦しまれるということも耳にいたすわけです。そういう方々がどういう状況であるのか。その分野に関しての研究とか、治療法の確立とか、何かその辺のところの問題も、ここでは規制の問題を考えるということですから、ややずれてしまうかもしれませんが、やはりそういう感受性の鋭かったりする苦しまれる方々の問題を置いておくことはできないと思っているんですが、その辺はいかがでしょうか。

  • 横山主査

    どなたか御質問にお答えいただけますか。

    それでは、大久保先生の方からお願いします。

  • 大久保委員

    いわゆる、電磁過敏症という方々のお話という理解でよろしいですか。

  • 飛田委員

    はい。そのような通称で呼ばれるかもしれませんが、そのことでございます。

  • 大久保委員

    2004年10月に、WHOはプラハで電磁過敏症に関するワークショップを開きまして、さまざまな研究者から、NGOの方々も含めて、電磁過敏症が存在するのかどうか。それから、もし存在するとすれば、それが電磁界と関連するかどうかというものを目的としてワークショップを開きました。そのワークショップの結果は、WHOのホームページから出されております。

    それと並行して、WHOが2005年に電磁過敏症というファクトシートを出しております。そこでは、電磁過敏症という方がおられることは間違いない。ただし、電磁過敏症の存在と電磁界との関連性に科学的根拠はないという結論です。ですから、電磁過敏症の発症にはほかの要因があるだろう。例えばほかの作業環境だとか、居住環境、あるいはメンタルヘルス、そういうようなものが関連するのではないか。国際疾病分類でICD-10というものがありますが、そこに相当するような電磁過敏症というものはないということで、一つの定義として入れることができるとすれば、突発性の環境不適応というようなジャンルの中に入るかな。その中には化学物質過敏症とかそういうものも含まれているわけです。ただ、それが、冒頭に申し上げたように、電磁波と関係するという科学的な根拠はないというのがこれまでの私の承知している話です。研究者レベルではそれが一般的な認識ということになっています。

  • 横山主査

    よろしいでしょうか。

  • 飛田委員

    このことをお尋ねしましたのは、実は私、また個人的な体験でびっくりしましたことがありまして、それは電磁波に過敏な方ではないんですが、たまたま旅先で、その日は黄砂が日本にもたくさん注いできていた日だったんですが、関西の大津の方に行っておりましたときに町の人同士が、あなた、かぜを引いたのかと話していて、大声だったので、聞くとはなしに通り過ぎるときに聞こえましたら、今日は黄砂でということでマスクをしておられたんです。ほとんどの方といいましょうか、町を見渡してもマスクをしている方はほとんど見受けられなかったんですが、人によっては黄砂が降ってくると花粉症と同じようなのか、何か不快感があってマスクをされているということに、そのときにはっとしました。私などはわからないでそのまま歩いておりましたけれども、そういうこともあるので、個人差・個体差というのは大変大きいものがあるのではないかと思いまして、化学物質の過敏症の方のお話も伺ったことがあるんですが、そういったことが電磁波に関して、もし諸外国で病気として確立されていて治療法があるのであれば、また防護策もそこから見えてくるのではないかということを思ったものですから、お尋ねした次第です。

    今日はもう時間も過ぎておりますので、大きな問題でございますので、今すぐにということを申し上げるつもりはないんですが、そのようなことで、もし外国でそういう独立した課があったり、対応策を講じられたりしているところがあれば教えていただきたいと思います。

  • 横山主査

    どうもありがとうございました。それでは、ほかに何か御意見ございますでしょうか。

    それでは、小島委員の方からお願いします。

  • 小島委員

    これは私の個人的な意見なんですけれども、最後にリスクコミュニケーションをやるべきだというふうにWHOも言っていますので、要するにどうやったらいいかということを、利害関係者の中には市民団体も入りますので、市民団体の人たちにも御意見を聞く機会を是非設けたらどうかと思います。

  • 横山主査

    その辺は検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

    それでは、時間が30分ほどオーバーしてしまいましたけれども、皆さん今日は活発に御意見をいただきましてありがとうございました。

    次回のワーキンググループでは、本日お示ししました資料6の論点につきまして、我が国の現状を踏まえて議論をさせていただきたいと思います。先ほどありましたように、次回、電気事業連合会さんからプレゼンもしていただけるということで、論点を議論させていただきたいと思います。

    次回の日程ですけれども、事務局の方から委員の皆様に調整をしていただきました結果、9月28日金曜日の10時からということで次回のワーキンググループを開催したいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

    それでは、第2回の「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」を閉会したいと思います。どうも活発な御議論ありがとうございました。

 
 
最終更新日:2008年7月2日
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