経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会分散型電池電力貯蔵技術開発プロジェクト追跡評価ワーキンググループ(第1回) 議事録

平成20年1月29日(火)

【事務局(稲橋)】
WGの開会に先立ちまして、本WGの座長についてご報告をさせていただきたいと思います。本WGの座長につきましては、産業構造審議会運営規定の第15条3によりまして、平澤評価小委員長より、追跡評価WGの審議に長年に亘る実績を有しておられます菊池先生が指名されております。従いまして、委員の皆様からご意見等がございませんようでしたら、菊池先生に本WGの座長をお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり。)
それでは、菊池先生に本WGの座長をお願いしたいと存じます。菊池先生、よろしくお願いいたします。
【菊池座長】
平澤評価小委員長からご指名があったということで、本WGの座長を務めさせていただくことになりました。委員の皆様、よろしくお願いいたします。
それでは、「産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会第1回分散型電池電力貯蔵技術開発プロジェクト追跡評価WG」を開会いたします。
まず、議事次第の1番目、「追跡評価WGの公開について」ですが、事務局から説明をお願いします。
【事務局(稲橋)】
それでは資料1に基づきまして、ご説明をさせていただきます。

(資料1「追跡評価WGの公開について」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
ただ今の事務局からの説明につきまして、ご質問等がございましたらお願いします。
【中村委員】
本WGは、公開で行われるということですけれども、傍聴者はどのようにして決まるのでしょうか。
【事務局(稲橋)】
傍聴希望者は、経済産業省のホームページに事前に掲載された開催案内を見て、指定された期日までに傍聴希望のメールを事務局に送付することにより、傍聴登録を行います。傍聴の可否については、事務局から傍聴希望者に連絡しており、許可された場合に限り傍聴することができます。
【中村委員】
例えば、WG当日に傍聴の申し込みがあった時は、どのように対応しているのでしょうか。
【事務局(稲橋)】
傍聴席に余裕があれば、議事の進行に支障を来す恐れがある等の特段の問題が認められる場合を除いて傍聴を許可しています。
【中村委員】
審議で騒ぐとかいうのは論外として、例えばライバル企業とかが来られた時にはお断りするということになる訳ですか。
【事務局(稲橋)】
ライバル企業の方ということで傍聴に関しまして差別はいたしませんので、傍聴席に余裕があれば傍聴を許可します。
【中村委員】
ないのですね。分かりました。
【菊池座長】
よろしいでしょうか。それでは議事次第の2「追跡評価の実施について」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
【事務局(稲橋)】
それでは資料2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。

(資料2「経済産業省における研究開発評価について」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
ただ今の事務局からの説明につきまして、ご質問等がございましたらお願いします。
【中村委員】
今ご説明のありました資料の3ページ目の上から3行目に評価の理念として「継続性の確保」というのがありますが、追跡評価の場合には「継続性の確保」というのは余り重きを置かなくてもよいように思われますけれども、いかがでしょうか。
【事務局(稲橋)】
「今後に向けての継続性の確保」という意味でしたら、本ワーキングが行う内容としてはそうなります。
【中村委員】
そうですね。確認をさせていただきました。
【菊池座長】
皆さんもご承知のとおり、研究開発というのは、いろいろなその社会的成果が数年経ってから、または十数年経ってから、極端な場合は20年経ってから現れる場合がございます。そうした中で、研究開発が終了してから今日までに、どのような成果の波及の環境が創り出せてきたかというようなことから評価を行おうというのが追跡評価の基本的な考え方の一つとしてあります。
また、単に社会の中における利益相反的な利害関係の調整だけではなくて、より一層新しい動向をどのように把握していくのかといったような観点からも追跡評価をしております。この辺の詳しい話はこの後の議論の中で説明していく積もりでおります。
時間の方もございますので、それでは議事次第の3「評価対象研究開発プロジェクトについて」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
【事務局(稲橋)】
それでは資料3に基づきまして、ご説明をさせていただきます。

(資料3「評価対象研究開発プロジェクトについて」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
ただ今の事務局からの説明につきまして、ご質問等がございましたらお願いします。
(質問の声なし。)
【菊池座長】
ご質問等がございませんようでしたら、議事次第の4「追跡調査結果の報告について」に移らせていただきます。
なお、本日ご覧いただくのは時間的にかなり無理がありますが、参考資料1の事後評価報告書、それから参考資料2の中間モニタリング評価報告書の中に、当時に設定された目標、経過、技術的成果等について、かつ、それがどのような裨益を生じる可能性があったかというような記載もございますのでご参考にしていただければと思います。
それでは、実際に追跡調査を行っていただきました株式会社東レ経営研究所の岩谷シニアリサーチャーからご説明をお願いします。
【岩谷シニアリサーチャー】
それでは昨年度行いました社会的・経済的インパクトに関する調査の結果、及び昨年度の調査結果を踏まえまして、今年度行いました定置型に関します調査結果につきましてご説明させていただきます。

(資料4-2「平成18年度実施インパクトに関する調査、参考資料1.本調査の概要(アップデート版)」及び資料4-3「定置型モジュール電池開発についての調査(概要)」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
どうも有りがとうございました。ここで、本WGでの共通のコンセンサスにしておきたい点がございます。それは、資料4―2の「6.」の一番下の段には1985年から2007年までのエネルギー関連価格の動きとして原油価格と電力料金の推移が描かれております。その上段に政策トレンド、更にその上段に定置型電池関連トレンド、移動体用電池関連トレンドが描かれています。
こういう経緯といいますか、ヒストリーを踏まえた上で、ただ今の調査報告の中で事実誤認があるとか、この点については課題があるのではないかということにつきまして、忌憚のないご意見を先生方から是非いただきながら、追跡評価を行うための議論を進めていきたいと思っております。
それでは、議事次第の5の「追跡評価の検討について」に移りたいと思います。
【中村委員】
一つお願いあります。今、座長がおっしゃった資料4―2の「6.」の中で、移動体用にプロジェクト終了後の後継プロジェクトが幾つかあります。これらの後継プロジェクトについて、特に事前評価を行った際の評価書があれば送っていただければと思います。
なぜかというと、追跡評価をする上で後継プロジェクトがあった場合に、どういう観点で後継プロジェクトとして選ばれたのかということがすごく重要だと思いましたので、もし有りましたらいただければと思います。経済産業省のホームページに掲載されているのであればホームページからダウンロードしますが、それは掲載されているのでしょうか。
【事務局(稲橋)】
どの時点のものから掲載されているのか確認してお答えしたいと思います注)。
注)確認した結果
平成12年度補正予算成立時以降の事前評価書が経済産業省ホームページの政策評価のサイト中に掲載されております。
【中村委員】
ホームページのURLを教えていただければダウンロードして、参考にしたいと思います。もし、ホームページに掲載されていないようでしたらお送りいただければと思います。それから、もう1つ。東レの岩谷さんにお伺いしたいのですが、特に資料4-3で定置型のリチウムイオン電池のことについて調査されているのですが、その際、資源的な問題とか、リチウムイオン電池を造るときの投入エネルギー等を換算すると家庭用に導入してもこれだけの資源面・エネルギー面で節約できるというようなことは、特に調査の対象にはされなかったのですね。
【岩谷シニアリサーチャー】
この調査では、それは対象にしていないです。
【中村委員】
そうですね。
【菊池座長】
よろしいでしょうか。岩谷さんから、資料4―2と資料4―3の2つに分けて大きな課題を説明していただきました。それでは、全体的な追跡評価を行う上での資料としてお出ししております資料4―2の検討から先に始めたいと思いますが、ただ今の岩谷さんの説明に関しまして何かコメントまたは質問等がありましたらお願いします。
【金村委員】
1985年というと20年ぐらい前ですね。ちょうど私がまだ若いころからこのプロジェクトが始まっていますので、このプロジェクトは横目でずっと見ながら研究をさせていただいていましたので、今岩谷さんがご説明された内容は全くそのとおりだと思います。
確かにLIBESでやられた研究そのものは、現在のリチウムイオン電池の技術以外のものも多々含んではいたはずですが、ただやはり現在のリチウムイオン電池のベースとなっているのはLIBESの研究であるとも認識しています。また、LIBESの成果技術を使って燃料電池自動車等用の技術開発プロジェクトも立ち上がってきていますし、今年度には次世代自動車用高性能蓄電システムのNEDOさんのプロジェクトも立ち上がっています。これはLIBESなくしてはあり得なかったことだと思っていますので、そういう意味でのこの歴史の年表は全くそのとおりだろうと思います。
ただ製品化に対する移動体用と定置型の違いというのは、移動体用の方はトヨタさん、日産さん、ホンダさんを初めといたしまして、いわゆる実際の商品を売られるメーカーさんが非常に積極的にこのリチウムイオン電池の実用化のための研究を推進されたという点がまずあります。
それに対して、定置型の方は、例えばハウジングメーカーさんも実はいろいろ研究されておりまして、私もいろいろアドバイスもさせていただいておりますが、やはり最終的に資料の一番後ろに出ていましたコストの問題でどこまで行ってもなかなか難しい面があります。二次電池を入れてエネルギーをマネジメントとするのは良いことは分かっているのですが、ただやはりコスト的に見合わないということで、今のところ止まっているということです。
ただ、NEDOさんがやられているプロジェクトの中での材料は従来のものとは違っておりまして、2008年以降になると、低コスト化へ向けた技術開発といったことも可能になるのではないかと私は見ております。
定置型の製品化はもう少し時間がかかるかと思っておりますが、移動体用に向かいながら将来はいずれ定置型にもつながっていくという感覚はもっております。
そういう意味では、きょうご説明いただいた内容というのは非常に共感を覚えたという印象であります。
【菊池座長】
神戸委員、いかがでしょうか。
【神戸委員】
我々は実際に使っている立場もありますのでいろいろな思いで聞いておりましたが、まず総論的にいえば非常によくまとまっていると思いますし、大きな意味での事実誤認はないと正直いって感じております。
分散型電池電力貯蔵技術開発の果たした役割というのは正しくこのとおりでありまして、10年間の研究開発の中でやらなければいけない技術開発の大きな項目というのもそう抜け落ちたものはないところでやっていると正直言って思っております。
ただ、本当の意味でリチウムイオン電池が自動車移動体に投入されるようになるのは、市場インパクトも含めるとこれからだと思っているところがあります。実は、ここ数年、特に我々のやっている自動車移動体の技術開発はもの凄く急激に変わっている訳です。
そういう意味では、中間段階でもきちんきちんとプロジェクトの目標とかを見直しながら進めていかないと、終了した時にプロジェクトの成果が時代から少し取り残されたものになってしまうということも懸念されるものですから、技術のトレンドを今後きちんきちんと横でみながら今のプロジェクトを進めていただきたいというところに一番の関心を持っているところでございます。
定置型に関しても、私も正しく岩谷さんのご説明のとおりだと思っております。コストメリットというか、コストインパクトといった方がいいのかも知れないのですが、例えばガソリンだとすると、100円が110円になるだけで世間は非常に大騒ぎしますし、今150円、アメリカなどではもっと進んでいますが、インパクトはやはり凄いですね。
一方、電気料金というものは、それ自体が非常に大きなものの中で薄まったような感じになっておりますので、今はそういうところのインパクトが見え難い面があります。また、購入金の回収に20年以上かかるというのも当然こうなるだろうと思いますし、やはり自動車との差もありますので、定置型の場合、メリット、インパクトをどうやってアピールするのかというところが最大のポイントになるということは間違いないと思っております。
【菊池座長】
ありがとうございました。辰巳先生、お願いいたします。
【辰巳委員】
今回の資料というのは、非常によくまとめられていて、私もこの中で大きな事実誤認は基本的にないかと思っております。
最初に、技術を継続的に事後で見ていくことがやはりある程度必要なのかと思いますのが、社会の境界条件が刻々と変わっていく中で技術というものはどう評価されるかというのは、正にこの定置型と移動体用を見ると、その時点、その時点で大分変わってきているという点があるかと思います。
特に移動体用については、その時点、その時点で丁度環境問題と石油問題との関係でこの技術の必要性というものが非常に認識も高くなっていったということもある反面、定置型については、このプロジェクト終了時点では一旦社会のニーズとの関係で技術との乖離というものがあったのですが、ここに来て環境問題が非常に厳しくなってきたこともあり、また見直されてきました。
ですから社会と技術との関係を捉えていくということから言いますと、やはりその時その時で刻々と変わっていく部分があるかと思いますので、社会情勢の認識、まずこれは大事かなと思います。そうした点から見ると、この資料というのは非常によくまとめられていると思います。
次に、中村先生がおっしゃられたように、後継の各プロジェクトがそれぞれ国の施策として何故このようにやっていったかを事前評価書で確認したり、モニタリング評価の結果をどう反映していったのかということは非常に重要なことかと思います。
それから、神戸先生もおっしゃられましたが、このプロジェクトの途中でも中間評価というものが行われて、それでどう数字を変えたのか、変えていないのかということも検証していく必要がやはりあるかということもあります。ただ、時間も限られていますので、余り大変な作業になるようですと検討する必要があると思いますが。
ですから、例えば移動体用でいうと、この資料4―2の「4.」の上の方に開発目標が書かれておりますが、この数字につきましてもなぜこの数字になったかというのは、検討のベースになった議論があったかと思う訳です。もう既に各企業でやっている、産業界でやっておられるような目標であれば、国の施策としてやる必要はないと思います。
それから、その目標値の取り方ですが、余り高過ぎてもいけませんし、その取り方がどうであったかということも正にその事前評価書等を見てもう少し検討すると、この事後評価の意味が出てくると思います。全体的にそんな感じです。
【菊池座長】
中村先生、どうぞ。
【中村委員】
全体的な印象は、それぞれの委員がおっしゃったことと変わりません。一つお伺いしたいのは、資料4―2の「7.」のところで特許登録のグラフがございますけれども、その特許自体はどこで保有しているか、どこが主たる出願者になっているのかということが少しわかれば教えていただきたいと思います。というのは、特許は取るだけではなくて、保有してきちんと保持することが重要なことだと思いますので。
【岩谷シニアリサーチャー】
特許を出願されているのは、LIBESに参加されていた企業です。
【中村委員】
LIBES自体はもう存在していないのですよね。
【岩谷シニアリサーチャー】
LIBESとしては解散していて、もうございません。
【中村委員】
ですから、LIBES自体が特許をもっているということはない訳ですね。
【岩谷シニアリサーチャー】
はい、ございません。
【中村委員】
そうしますと、参加企業がそれぞれ特許を申請していると理解してよろしいですね。
【岩谷シニアリサーチャー】
はい。
【中村委員】
それならば結構です。
【菊池座長】
よろしいでしょうか。それでは堀場先生、お願いします。
【堀場委員】
LIBESの10年間で、いろいろ社会情勢が変わってきて、当初目指した定置型というか、ピークカットのニーズが現実的になくなった。それが状況の変化として一番厳しかったと思います。
その中で、軌道修正ということで「早期実用化開発」というようなこともやっているのですけれども、状況を変えるまでにはいかなかったという気がします。
リチウム電池を導入することによって、この位のエネルギーの節約、資源の節約になりますというような数値も確かLIBESの中では報告書が出ておりました。
それから、定置型の議論がいろいろありましたが、やはり現状でもかなり難しい。特に経済性とか、ユーザーにとっての有難みというインパクトが今一つない。それではということで、もっと大規模な系統連携円滑化のプロジェクトがありますが、あれはまた大き過ぎて30MW(メガワット)、7時間運転で210MWhなどというもので、当時の2kWh、トータル20kWhと比べても、4桁大きな世界になる訳です。
電力会社さんから伺った話ですと、自然エネルギーの太陽光発電とか風力発電が普及していって、そういったものから直接電力系統に5%以上入ってくると電力系統の安定性や定格周波数とか定格電圧が維持できないそうです。そういう意味であのような大きな電池が必要だと伺っております。
LIBESにあったようなエンドユーザーに小規模な蓄電システムを置くというのが一番極端な分散配置で、その対極にあるのが今回の系統連携円滑化のプロジェクトですが、その中間的なものがもう少し先に現実味を帯びてくるというようなシナリオも希望的観測ですが、あり得るのかと思います。いきなり数100MWhというのはちょっと話が飛び過ぎかという気がしますし、技術の発展というのはそんなにポンポンと行かずに積み上げていくステップ・バイ・ステップというのが普通かと思っております。
それから、実際に研究開発を行う組織としてLIBES研究組合があったのですが、最近は経済産業省の技術開発プロジェクトのやり方も変わってきて、研究組合というのはなくなっているのですが、現在と比べるとあったときの方が何となくプロジェクトとしての効率がよかったかなという気がします。今後は、プロジェクトリーダー制というものが導入されていますから、それがより効率的に働けばもう少しいい方向に行くかと期待しております。
【菊池座長】
足立先生、いかがでしょうか。
【足立委員】
移動体用に関しましては、やはりCO 問題でうまくその時代の流れに沿ってプラグインとか、ハイブリットというものが出てきそうな感じでプロジェクトが続いていたと思います。
逆に言いますと、2001年度にこのプロジェクトが終了した後も、後継のプロジェクトはずっと存続していっているのですが、まだ実用化になっていないというところもやはりあると思います。
また、定置型に関しましては、1つは規制の問題がありまして、電力貯蔵用電池を入れようとしますと発電所扱いということがありました。それに関しまして、先週の電力安全小委員会では規制緩和の方向で今動こうとしています。発電所扱いでなくなりますと、工事計画の認可という手続きがなくなります。そうするとコストが下がってきて家庭にも入りやすい雰囲気はできてくるのかなと思います。
先程、資料4―3の5ページの記載に4kWhで80万円という試算をやられていたと思いますが、この試算で行くと当然移動体用も4kWhで80万円という試算になりますが、そうすると移動体用も普及しないと思う訳です。ですから今後の方向性というものは、コストの置き方等を含めて検討する必要があるかと思っております。
鉛電池におきましても、大体今1,000台近くが貯蔵用として家庭にも入っています。そういうことを考えますと、鉛よりコンパクトで軽量ですから、コストが非常に安くなってくると入りやすい雰囲気ではあります。
【菊池座長】
この追跡評価では、研究開発プロジェクトが終わった後から約10年というか、数年たっているわけでありますけれども、その間の動きとして先程中村先生からご発言がありました「後継プロジェクト」の問題が1つあります。
それからもう1つは、資料4-2の7ページにもありますように知的財産、いわゆる「知財」というものと、人的な資源ということで「人材」という問題があります。そういった中で、2000年~2010年にかけての10年間というのは、その技術的なものが定着していって、一つの企業において事業体として活動していくという意味ではアーリーステージに位置づけられるのではないかと思っています。このアーリーステージの中で、人材の方は、いろいろな形で大学へ、それから他社へ、または国外へと移っていくときに、ある人たちは技術の流出ですとか、人材の流出ですとかという話もする訳ですが、こういう観点につきまして追跡評価という視点で、将来の施策として、または提言としてどういうことを考えておいた方がいいのか先生方のご意見等を伺えればと思っていますが、いかがでしょうか。
【辰巳委員】
その前に特許の知財のところでちょっと補足ですが、確かこのプロジェクトの途中位でプロジェクトの中から出た成果の特許の保有形態が変わってバイドールが適用されております。
私自身検証をしっかりやっていないのではっきりしたことは申しあげられないのですが、事業創出、もしくは雇用創出につながるのであれば、特許の保有自体は発明者が行ってもよいというバイドールの規定がプロジェクトの後半のところで入ってきたと思うのですが、これは無視できない効果を与えたのではないかということをちょっと補足させていただきたいと思います。
菊池先生がおっしゃられた、技術の流出であるとか、人材の流出であるといった話につきましても、例えば自動車用ということでありますと、それはもちろん国のプロジェクトとして遂行されているという資金的な、また施策的な意義があると思いますが、後継プロジェクトが次の施策として打たれていく中で、流出とか消滅とかがまだ済んでいなくて、次のいいものに変えていくというのでしょうか、次のものを生み出していくという方向につながっていったということも一つあると思います。
それからもう1つは、やはり国のプロジェクトでやっていく中でさらに新しい人を呼び込むためには、産・学・官のセクターの間でどういうことをやっていかなければいけないのか。この後継プロジェクトの施策というものが、その求心力になっていくのではないかという視点は大事かと思います。
それは唯リチウムイオン電池をやればいいのだというのではなくて、どのような方向に伸ばさなければいけないかという意味での目標の共有といいますか、何をやらなければいけないのかという目標の共有ということです。全部が全部いいという訳ではないのですが、また中には確かに抜けられていく方々も出てくるかとは思いますが。
あともう1つ、新たなプレーヤーを呼び込むという意味でも、新しく参入される方に、この分野ではどういうことが求められていて、それが数値目標としては大体どれ位なのかということを常に示していたことの効果も、この国のプロジェクトですとか、その後継プロジェクトが生み出していたという視点は大事かと思っております。
【菊池座長】
今、辰巳委員から出た「新たなプレーヤー」というのはインフォーメーションとしては評価報告書のどこかに書けますか。それは、必ずしも人でなくて、企業等でも結構です。評価報告書は、基本的にはプロジェクトに参加したメンバー団体を中心にして書きますので。
【岩谷シニアリサーチャー】
LIBESに参加していないリチウムイオン電池の代表的なメーカーというのはそんなに沢山はないです。ですからその意味ではリチウムイオン電池のメーカーのプレーヤーというのは、そんなに大きくは増えてはいません。
【辰巳委員】
私が言った「プレーヤー」というのは、例えば、LIBESの時には研究所も国立研究所ということで、ほぼ今の私どもの産総研のみのような状況だったのですが、この燃料電池自動車等用では他の研究機関として大学も参画しておりますし、それから次世代の自動車用の蓄電システム技術開発とか、それから系統連携の方も含めますと産業界のプレーヤーも確かに増えていたと思います。ですから、私は、そういう意味で申し上げた積もりでございます。
【岩谷シニアリサーチャー】
資料4―2の「7.」の右側の棒グラフをご覧になって頂きたいのですが、LIBESに参加したA社、B社、C社、D社に関しましては、LIBESの時に参加したメンバーの数とLIBESのときには参加していなかったけれども、後継プロジェクトから新たに参加した研究者の数がうまい具合にバランスがとれている訳です。前のことを知っているベテランと新たな人が大体ほぼ半数ぐらいの感じで続いていっている。
これはLIBESと後継の関係ですが、その後継とそのまた後継がどうなのかはちょっと分かりませんが、こういった形で少なくとも参加企業の内部においてはうまい具合に研究者のバトンリレーが行われているのかという印象は持っております。
【中村委員】
一つよろしいですか。
【菊池座長】
どうぞ。
【中村委員】
資料4―2の「7.」の特に人的資産の部分です。海外企業への転出ということで、恐らくヘッドハンティングされて移られた方が多いと思いますが、人数もさることながら、どういう立場の方が移られたかというのは把握されていないのですか。
例えば、プロジェクトリーダー的な方だったとか、実際に現場で研究されていた方とか、プロジェクトへの関わり方、ポジションというのは人によって差はあると思うのですが。
【岩谷シニアリサーチャー】
それは申し訳ございません。私も、詳しくは聞いておりません。人の数としては結構いるということは聞いているのですが、どのようなポジションの方だったかという具体的なところまでは私も聞いておりません。
【中村委員】
それに関連して事務局の方にお伺いできればと思うのですが、この国家プロジェクトの中で機密保持規定といいますか、例えば「国家公務員であれば2年間は関連する企業に天下ってはいけない」というような規定があるように聞いております。
プロジェクトの参加企業に対しての機密保持規定などは定められているのでしょうけれども、プロジェクトに参加した研究者の方には就職の自由、転職の自由というものがありますから、これは転職してはいけない、海外企業に行ってはいけないということはないとは思います。ただし、その場合はプロジェクトで得た知識については公表を避けるといった規定はないのですか。参考のためにお伺えできればと思います。
【吉村課長補佐】
多分この当時、もう10年以上前ですから良く分かりませんが、そういうことはないと思います。
そういう場合には特許で押さえるべき話であって、特許をとっていて特許によってきちんと押さえてあれば、あるいは基幹となる特許を押さえてあれば中国・韓国とかの追い上げにも役立ったのではないかと思うのです。このケースだけは評価として分かるのですが、特許をいかにワークさせているかというのは分からない訳ですか。
要するにこのプロジェクトは、我が国が先端的に手をつけた訳ですよね。だからその先端的に手をつけた先取の利益というか、そこがうまく生かされていて、取得した特許の数は沢山あるのですが、それが本当にワークしているのかどうかということです。それとも人が動いたために中国・韓国のリチウムメーカーの台頭を許しているのか、それ以外のまた別の方式等を使っているのか、そういうことはいかがですか。
【岩谷シニアリサーチャー】
特許に関しては、昨年度の調査のヒアリングでも結構聞いたのですが、LIBESのときにLIBESにおいて申請された特許の中でその後のリチウムイオン電池の根本の中核を握って、これなしではリチウムイオン電池の開発はあり得ないものとか、あるいはその後の開発に決定的な影響を与えるようなものが有りますかという質問をすると、大体「いや、それは多分ないでしょう」という返事でした。
ですから特許の数そのものは多いですし、それぞれ材料技術その他で細かい有用な特許ではあるとは思うのですが、だから特許で押さえてしまったからもう大丈夫という状況では、私の印象では恐らくないと思います。
【菊池座長】
国外出願ぐらいは分かるのではないですか?
【岩谷シニアリサーチャー】
それは分かると思います。
【中村委員】
先程のご説明で、人的資産で海外企業へ移られた方がいらっしゃるのですが、ポジションをお伺いしたのはそういう意味もある訳です。それは、かなり基本的なテクノロジーのノウハウとか知識を持って、特許にならないけれども、少なくともこれを知っていればかなりのところまでキャッチアップできるというようなことを持って、もしそのポジションであった方たちが海外企業へ移ることになれば、かなりの技術流出になる訳です。
ですから人の数もさることながら、どういうポジションの方が移られたのかが分かれば一番いい訳です。そうすれば対策というか、いろいろなことが考えられる訳です。
【岩谷シニアリサーチャー】
これは推測ですが、移られた方というのは若い研究者ではなくて、お年を召した研究者の方がウエートとしては多いはずです。そういったある程度お年を召した、キャリアを積まれた方ですから、ポジションとしては恐らくそんなに低いはずはないと思います。相当の経験と知識とか蓄積した頭脳が流出したと推測されます。
【中村委員】
ですから、技術流出というか、せっかく国家プロジェクトとしてやったものが濡れ手で粟ではないですがそのまま海外企業に移るということをある程度防がないといけないと思います。そういう智恵が求められると思いますが、その場合は余り強権的な方法でやるのではなくて、むしろソフトランディング的なやり方を選択しなくてはいけない。
例えば、ある一定のポジションにある方については機密保護協定を結ぶとか、何年間かは移籍をしてはいけないという方法も考えられる訳ですよね。これは職業選択の自由とも関わってきますから、それを余り強権的に行うことはできないかも知れないですが。
その研究プロジェクトのパーツパーツをやっていらっしゃる方でしたら、そんなに痛手にはならないだろうと想像されますが、キーパーソンの方が移られるとなると技術そのものが移転してしまう、流出してしまうという可能性もなきにしもあらずということになります。
【事務局(稲橋)】
機密保護の対象になっていない限り、研究開発プロジェクトで開発した技術というのは公開して活用していただくのが原則になっております。また、海外企業への技術流出を防ぎたくても、例えば海外企業の系列下にある国内企業に技術を公開すれば、そこから技術が流出することもあり得ると思います。
それから、仮に人事異動などで縛りを余りかけ過ぎますと、優秀な研究者の方にプロジェクトへ参加していただくことを阻害することになりかねないと思いますので、そう言った点からの検討も必要になってくると思います。
【中村委員】
折角の追跡評価ですから、当時どうだったのか、それから今後どうしたらいいのかということも含めて考えていかなければならないと思うのです。要するに広めることが重点だから、機密保持についてはかなり緩やかだったという説明があれば、我々も追跡評価をし易い訳です。
単に精査的にいろいろ事後評価をするのではなくて、当時はどうだったからこれからどのようにすべきかということも含めて評価すべきではないかと思います。
【事務局(稲橋)】
この点につきまして、堀場先生、当時プロジェクトに参加されていて機密保持に関しまして何か縛りというようなものはあったのでしょうか。
【堀場委員】
何もないです。
【中村委員】
当時は何もなかったのですね。
【堀場委員】
LIBES関係者で、現実に海外に行った人はいないことはないですが、A社のプロジェクトリーダー、B社のプロジェクトリーダー、C社のプロジェクトリーダーだった人達がぞろぞろ行ったとか、そういうことはないです。ですからリーダー格だった研究者で移った人はいないです。
【菊池座長】
分かりました。実は、きょうは短い時間の中で今非常に根本に関わるような課題を投げかけましたのは、研究開発というのは200億円に近い国の税金を投入した結果として知財と人材というものが生み出されてくる訳です。
そうして、そこから資源ナショナリズムということではなくて、大きな形で国の中に知財で国際収支が改善してくるとか、または新たなマーケットが生まれてくるということがあります。
それに対してフリーライドであるとか、どこへ行ったか分からないとか、それから10年もたって気が付いて見たらどこかの国で非常に大儲けしているといった、もったいないだけでは済まされないようなこともある訳でありまして、そこら辺についても追跡評価というのは、なるべく事実を誤認しない範囲でいろいろな課題を提言していこうではないかということだと思います。
その中の一つとして知財、人材の国全体としての戦略をどうするかは、こういうワーキンググループで検討する必要はもしかしたらない訳で、もっと大きな審議会等で検討していただいて、国としてどのようにスタンスを定めるかだと思っております。
ただ、国プロからの成果が数年たってからどのようになってくるのかという中で、当然これからそんなに遠くないうちに企業の競争が激化してくる訳ですので、特にその他の国々とのコンソシーアムまたは技術提携、それから国際プロジェクトをどのように展開するのかということも含めますと、追跡評価報告書の中に提言として書き込むところありますので、是非先生方の考え方を提言としてお示しいただければと思います。
この委員会として総論として書くところと、それから先生方個人のお名前を付記して書く場所等がありますので、これにつきまして配付資料の5―1及び5―2について事務局から説明していただきながら議論を進めていきたいと思います。
【事務局(稲橋)】
それでは、評価コメント票(案)及び質問票につきましてご説明をさせていただきます。

(資料5-1「評価コメント票(案)」及び資料5-2「質問票」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
資料6についても続けて説明をお願いします。
【事務局(稲橋)】
それでは、評価報告書の構成(案)についてご説明をさせていただきます。

(資料6「評価報告書の構成について(案)」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
先生方にこれからお願いしたいコメント票であります。
これをいただきますと事務局で整理をいたしまして、評価報告書案を作成いたします。そのプロセスの中で質問等がありましたら、先程の質問票に基づいて事務局にメール、またはファックス等でご連絡いただければ対応いたします。
それから、先程質問がありました情報もありますので、追加的な情報が必要である場合も同様にしていただければ幸いでございます。
評価コメントというのは、これまで数年にわたってやっております追跡評価報告書の過去の事例を踏まえながらお願いしているところですが、何か質問等がありましたらお願いします。
(質問の声なし。)
【菊池座長】
よろしいでしょうか。後からでも結構だと思いますので、何かご質問がございましたら事務局に連絡していただくということでよろしくお願します。
それでは、次の議事次第の7番目、「今後の予定について」、事務局から説明をお願いします。
【事務局(稲橋)】
それでは資料7に基づきましてご説明させていただきます。

(資料7「今後の予定について(案)」に基づいて、説明が行われた。)

【菊池座長】
まず先生方にお願いしたいところは、第2回ワーキンググループを3月3日~11日で開催するといたしまして、ご出席が可能かということが1つあります。
それから、評価コメント票の提出期限が8日までになっておりますが、かなり押せ押せという感じですので12日頃まで延ばしたいと思いますので、事務局にはできれば再考して欲しと思います。
まず、第2回ワーキンググループの開催日についてですが、いかがでしょうか。3月3日~11日の週で調整が可能でしょうか。

(各委員へのスケジュールの確認を行う。)

【菊池座長】
それでは3月7日の金曜日が、委員の先生方全員のご都合がよろしいということですので、第2回ワーキングを3月7日の金曜日に設定したいと思いますが、いかがでしょうか。
(委員から賛成の声あり。)
【事務局(稲橋)】
それでは次回第2回の追跡評価WGは3月7日金曜日の午後で、時間は14時から、一応2時間30分を予定させていただきまして、もし審議が早く終了するようでしたらその時点で終了ということにさせていただきたいと思います。
【菊池座長】
それでは具体的な場所等は後日ご連絡いただくとしまして、7日金曜日の午後2時からということで、時間は審議が長引いたときのリスクを考えて2時間半位を想定させてください。
【事務局(稲橋)】
第2回WGの開催日が3月7日ということになりましたので、座長から再考依頼がございました評価コメント票の提出期限につきましては、3月13日の火曜日までということではいかがでしょうか。
【菊池座長】
非常に助かります。それでは、3月13日までということでよろしくお願いします。
その他に何かご意見等ございませんでしょうか。
(意見等なし。)
【菊池座長】
もしございませんようでしたら、これにて第1回追跡評価ワーキンググループを終了させていただきたいと思います。本日は、長時間ご議論いただきましてありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2008年3月13日
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