経済産業省
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審議会・研究会

総合資源エネルギー調査会総合部会(第1回) 議事録



平成18年2月8日



【高橋調査官】 それでは定刻となりましたので、ただいまから総合資源エネルギー調査会総合部会(第1回会合)を開催させていただきたいと思います。

田中先生、橋本先生におかれましては、事前に、若干遅れられるというご連絡を頂戴しております。

おくればせながら、総合政策課の高橋でございます。よろしくお願いいたします。

皆様ご承知のとおり、エネルギーをめぐる状況は、近年急速に、かつ大きく変化していると存じます。そうした変化のもと、今後のエネルギー政策について検討を加え、それらを踏まえてエネルギー基本計画の見直しについてのご審議をいただくため、総合部会を開催することとなりました。委員の皆様方におかれましては、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとう存じます。どうぞ、委員の皆様の活発なご議論をお願いいたします。

まず、本部会の開催に当たりまして、小平資源エネルギー庁長官よりご挨拶を申し上げます。
【小平長官】 資源エネルギー庁の小平でございます。委員の皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

今申し上げましたとおり、世界のエネルギー市場は大変大きな構造変化の中にございます。先を展望いたしまして、こうした状況というのがずっと続くと考えざるを得ないと考えております。これは1つには、やはり中国、インドをはじめといたします発展途上国の急速な成長に伴うエネルギー需要の増大、さらにはアメリカにおいても引き続き非常に経済が好調であるという一方で、供給の確保がこれに対してなかなか円滑には進んでいかないという状況にあるということでございまして、そういう状況を踏まえまして、それぞれの国で改めてエネルギー政策の見直しが今進められております。

ヨーロッパは、従来から環境を中心といたしまして、エネルギー政策の見直しをしてまいりましたけれども、さらにそれを一歩進めて、省エネルギーをさらに推進する。それから国によっては原子力政策の見直しを既にし、あるいはこれから進めるというふうに言われている国もあるわけでございます。

アメリカにつきましては、ご存じのとおり、特にブッシュ政権になりましてからエネルギー政策を強力に進めてきておりますけれども、先般の一般教書で、先端エネルギー・イニシアチブというものを発表いたしておりまして、引き続き、特にエネルギーの安全保障に重点を置いたエネルギー政策の強化を図ることにしておりますのはご承知のとおりでございます。

我が国におきましても、従来からそれぞれの時の状況に応じましてエネルギー政策の見直し、強化等を行ってきておりますけれども、特に現在の世界のエネルギー情勢、及びこれからの需給構造の一層の変化というものを見通しまして、大臣のご指示によりまして、特に安全保障を基点とした新しい国家エネルギー戦略を構築するということにいたしました。この新・国家エネルギー戦略でございますけれども、経済財政諮問会議では、骨太方針が通常6月にまとめられるということで、それに向けて検討が進むということもございますので、それも勘案いたしまして、この戦略につきましては3月中に中間取りまとめを行いまして、5月の終わりまでには最終取りまとめをさせていただければというふうに考えております。

この部会におかれましても、その内容につきましてご意見、ご討議をいただきますとともに、その内容も踏まえながらエネルギー基本計画の改定案につきましてご審議をいただきたいというふうに考えております。

こうした考え方に立ちまして、2月から3月にかけまして、まずエネルギー政策全般につきます論点についてご検討をお願いいたしまして、4月から5月には、現在並行して検討いただいております原子力部会、新エネルギー部会、石油分科会等での検討状況につきまして報告をしていただいて、ご検討をいただきたいと思っております。そうした検討等を踏まえまして、夏ごろにエネルギー基本計画案、これは今年の秋に見直しをするということが決められておりますけれども、この計画の案につきましてご審議をお願いしたいというふうに考えております。

エネルギーの安定供給の確保、それからエネルギーと環境をめぐる問題というものがますます切実な問題になっておりますし、正にエネルギーは国の基本であるということで、将来に向かっての国の発展の基礎になるものでございますので、幅広く、率直に意見交換をしていただきまして、お取りまとめをいただければと存じます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
【高橋調査官】 本部会の部会長は、本部会に属されます総合資源エネルギー調査会本委員の皆様方によります互選を事前に行っていただきました結果、黒田委員に決定しております。部会長をお引き受けいただきました黒田部会長に一言ご挨拶をいただきますとともに、以後の議事をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【黒田部会長】 ただいまご紹介いただきました黒田でございます。今回、この総合資源エネルギー調査会の総合部会の部会長を務めさせていただくことになりました。ひとつよろしくご協力いただきたいと思います。

今、長官からのお話もありましたように、1月16日付で二階経済産業大臣より、総合資源エネルギー調査会の千速会長に対して、こういう諮問が参っております。エネルギー政策基本法第12条第3項及び第5項の規定に基づきまして、エネルギー基本計画について、昨今のエネルギーを取り巻く情勢、そういったものの変化を勘案して、この調査会においての意見を求めたいという諮問でございます。この諮問を受けまして、千速会長より、この総合部会でこの審議をしてほしいという付託を受けまして、本日からこの総合部会を開催させていただくことになったわけでございます。

ただいま、長官のごあいさつもございましたように、3年前にエネルギー基本計画がまとめられたわけでございますけれども、その後、エネルギーをめぐる世界の情勢は、ご承知のように非常に大きく変化をしております。原油価格が3年前の基本計画の後、相当高くなってきておりますし、それはおそらくアジアを中心としたいろいろな国々の発展に伴う国際情勢の中での需給の逼迫の反映ということであろうかと思います。また、京都議定書が発効いたしまして、第1約束期間、間もなく2010年を迎える状況、その後、環境問題とエネルギーがどういう形で共生をしていくか、これも極めて大きな問題でございます。

それよりもまして、幸いにして日本経済が相当に回復の兆しを見せておりまして、そういう中での内外のエネルギーの需給構造そのものが3年前の基本計画時よりも相当変わってきているということが、今回改めてエネルギー基本計画を再検討しなければいけないのだということのあかしであろうというふうに私自身は理解いたしております。

従来の総合部会はかなりの大人数でございまして、1回の会議で1回発言するのがせいぜいという大きな会議だったわけですけれども、今回、事務局のご努力によりまして、相当にメンバーを絞っていただきまして、比較的意見が言いやすい、多分、二度三度ご意見を賜ることもできるような場になったと思いますので、なるべく円滑に進行させていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

以後、進行は座ったままでやらせていただきます。

それでは、お手元の議事次第に従いまして進めてまいりますが、今回、第1回の会合ということでございますが、既にお手元の議事の中に名簿と座席表があると思いますので、ここで皆様改めてご紹介を省略をさせていただきまして、早速議事に入らせていただきたいと思います。

まずそれでは、議事に入ります前に、配付資料の確認を事務局よりお願いしたいと思います。
【高橋調査官】 それでは、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

資料一覧、議事次第、委員名簿、その後ろに本日の座席表をつけさせていただいておりますけれども、その次に、右肩に資料1といたしまして「会議の公開について」、次に資料2といたしまして、「総合資源エネルギー調査会総合部会の開催について」、次に資料3「総合部会における審議の今後の進め方について」、別紙といたしまして、各スケジュール等が書かれております。次に資料3の参考資料ということで「総合資源エネルギー調査会の主な審議事項」、続きまして右肩のほうに資料4「エネルギー基本計画について」、資料5「エネルギー基本計画に基づく主な施策の現状について」、右肩に資料6「今後のエネルギー政策を検討する上での論点について」、続きまして資料6の参考資料ということで「最近のエネルギー情勢」という資料をつけさせていただいております。

お手元に配付資料の漏れ等ございましたら、事務局のほうにお願いしたいと思います。直ちにご用意させていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【黒田部会長】 どうもありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、まず資料1、「会議の公開について」という資料をごらんいただきたいと思います。

本部会の公開につきましては、審議会の公開に関する閣議の決議等を踏まえまして、お手元の資料1の1から6までの原則に従いまして、公開をもって運用するということにいたしたいと思いますので、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」という声あり)
【黒田部会長】 どうもありがとうございます。

それでは、引き続きまして、お配りした資料のうちから、本部会の進め方等につきましてまずご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【立岡課長】 総合政策課長の立岡でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、配付資料の2から5を用いまして、冒頭、長官のほうからほぼ大宗をご説明申し上げましたけれども、この総合部会におきましてご検討をお願いいたしますスコープとスケジュール、段取りについてご説明いたしたいと存じます。

資料2でございますけれども、背景のところの情勢の変化は、先程来、長官、部会長からお話があったとおりでございまして、相当大きな変化が今進行しているという中で、新・国家エネルギー戦略というものを、大臣の指示を受けて、骨太のプロセスをにらみながら、3月、5月のタイミングでまとめていくということが課題としてございます。

それから、秋口には、3年前につくりましたエネルギー基本計画の改定作業ということが予定されてございまして、そういう中で、2ページ目にございますように、基本的には秋口のエネルギー基本計画の改定案についてご審議をいただくということを主たるテーマとしつつ、春先、夏前までに策定いたします戦略につきましてもご助言、ご意見を賜れればということで進めさせていただきたいと考えています。

そういう中で、資料3、今後の審議の進め方でございますが、基本的にはエネルギー基本計画の改定に向けて、現在、総合資源エネルギー調査会の中の石油分科会あるいは電気事業分科会等、各個別分野の検討が進んでおりまして、そういったものの報告を受けながら、全体の体系化、重点化、漏れのチェック等々の全体議論を行っていただきたいというふうに考えております。個別分野の議論の際には、適宜、関係業界あるいは関係省庁にオブザーバー出席を求めて意見をいただくことも考えたいと思っております。

また、実際の計画案、これは夏過ぎになると思いますけれども、その策定につきましては、本部会で大きな基本的枠組みをご審議賜った後で、ワーキング、小委員会で実際の案の策定を行っていくというような段取りで運びたいと考えてございます。

今後の大まかなスケジュールでございますけれども、別紙ということで、横長の広い紙でございますけれども、一番左側が当部会、総合部会のスケジュールでございますが、右手のほうに参りまして、戦略の検討スケジュール、省エネ・新エネ関係のスケジュール、石油・天然ガス関連、電力・ガス・原子力関係、でございます。左側で申しますと、本日1回目開催させていただいた後、5月29日の5回目までは、事前にご相談させていただいて日程を既に頂戴いたしております。3月には、本日の議論を踏まえまして、大きな課題の整理と戦略の素案についてご審議を賜った後、第3回目以降は、順次、右側にございます各分野の検討が進むのに応じまして、その検討状況をこの場にてご報告する形をとらせていただきまして、その上で順次、エネルギー安全保障、石油・天然ガス関連施策、それから第4回目では環境関連、省エネ・新エネ、技術開発、広報、それから第5回目では電力政策、原子力、それから特別会計の関係、それとエネルギー基本計画改定骨格の検討、といった順でご審議を賜り、6月以降、それを体系化していくというプロセスでご審議を賜れればと今の段階では予定をさせていただいております。

資料3の参考資料でございますけれども、こちらは詳細ご説明いたしませんが、現在の総合資源エネルギー調査会の各部会でのこれまでの最新の審議状況と今後の見通しをまとめたものでございますので、後ほどお目通しをいただければと思います。

それから、資料4のこのA4紙と、資料5のこの大きいA3紙でございますけれども、これは秋に向けてご議論賜ります基本計画についてのあらましのご説明でございます。内容は皆様方ご承知かと存じますので、簡単に触れるだけにいたしますけれども、エネルギー基本計画自体は、エネルギー政策基本法第12条に基づきまして、関係省庁の意見を聞きつつ本調査会の意見を伺い策定した上で閣議決定するということになってございます。法律上、エネルギー基本計画に盛り込むべき事項としては、基本方針、講ずべき措置、技術その他の施策ということが決められておりまして、策定の考え方は、基本的に10年程度を目安としてつくるということが決められております。これを受けまして、平成15年10月に最初の、1回目の計画を策定してございますけれども、3年ごとに見直すとの規定を受けまして、この秋に向けての見直し作業をするということでございます。

2ページ目以降には、計画の骨の部分だけがございまして、本体は後ろに白い冊子でとじてございます。その基本的な方針の部分で、いわゆる3Eの実現という課題を提起した後、講ずべき措置の中では、需要対策として省エネ、それから2ページ目に参りまして、多様なエネルギーの開発・導入、原子力の開発・導入、安全・安心の確保、新エネ、ガス体エネルギー、石炭の開発、それから石油の安定供給、電力・ガス事業制度のあり方、最後に研究開発、このような構成で現在つくられているものでございます。

それと、省略して恐縮でございますけれども、資料5は、今申し上げました施策の各項目ごとに、この3年間で、これまでどういう対策をとってきたかということを、右側のほうに対策の現状ということで整理させていただいております。本日は詳しくご説明いたしませんが、後々エネルギー基本計画のディテールに入る段になってまた詳しくご紹介したいと存じます。

以上でございます。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、ひとまず、今ご説明ありました資料の2から資料5でございますけれども、今回の総合部会の開催及び審議の今後の進め方につきまして、それからエネルギー基本計画そのものの性格につきまして、また、現在動いております基本計画の現状がどうなっているかということについてのご説明ということでございますけれども、何かご質問、ご意見ございましたら承りたいと思います。

恒例によりまして、ご発言のときはプレートを立てていただきたいと存じます。その上で順次、ご指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ぜひご活発なご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、佐々木委員。
【佐々木委員】 どうもありがとうございます。ただいまご説明ございました資料4のエネルギー基本計画に関連してでございますけれども、3.のところの、石油の安定供給の確保等というところに、産油国との関係強化をということが書かれておりました。多分この辺に国際協力という感覚が盛り込まれているのだろうと思いますけれども、もう少し幅広く、例えばアジア地域におけるエネルギー安全保障的な見方からの国際協力というものも、このエネルギー基本計画の中に盛り込まれてもよろしいのではないかというふうに考えておりますけれども、またその辺についてご議論を賜れば幸いでございます。
【黒田部会長】 多分次の議題で、今回のエネルギー基本計画の検討課題というのを事務局からご提案いただけると思うのですけれども、そこで今のご意見を含めてもう一度議論いただければと思いますが。

ほかにいかがでしょうか。
【河野委員】 資料6の話を聞いてから。
【黒田部会長】 そうですね。それでは、資料6の今回の進め方の話を伺ってからご意見を賜ったほうがいいかと思いますので、事務局、よろしくお願いします。
【立岡課長】 それでは、引き続きまして資料6及び資料6の参考資料、これはパワーポイントで相当大部になってございますけれども、新・国家エネルギー戦略あるいはエネルギー基本計画の見直しを進めていくに際して、基本的な視座をどう持つべきかということを論点形式でまとめさせていただいております。基本は、資料6の文章でご説明させていただきます。資料6の参考資料はやや大部になることから、関連するページをご紹介いたしますので、適宜ご参照いただければというふうに存じます。

論点は、基本的に現状認識のパーツ、それと基本的考え方の総論、それから各施策の各論という構成になってございます。

まず現状認識、1ページ目でございますけれども、国際的な需給構造の変化というところは、冒頭来、ご挨拶で触れたとおりでございまして、今、現状起こっていることは、相当な構造変化でございます。こういった状況というのが相当の期間、今後続くということで認識を持つべきではないかということが(1)の下段のほうに整理をさせていただいております。加えまして、今、さまざまな議論がございますけれども、オイルピーク論でありますとか、あるいは今後ますます高まってくるだろう中東依存度といったような不安定要素も同時に頭に置いておく必要があるのではないかというのを、まず需給構造の認識の問題点として書かせていただいております。

その次の(2)でございますけれども、そういった構造変化とあわせて、市場を取り巻くリスクというものがいろいろ多様化してきているということであります。かつては供給遮断型のリスクというものを中心に様々な施策を構築してきたわけでございますけれども、最近の状況を見ますと、先般のハリケーンに伴ういろいろな供給障害を含め、様々な面でリスクが多様化しており、テロリズムあるいはシーレーンの問題といったこと、さらに加えまして、地球温暖化の関係で、気候変動問題の深刻化、さらには原子力を推進するに当たっての地方との課題といった様々な課題がリスクとして多様化してきているのではないかという認識が書かれてございます。

そういった中で、2ページ目の(3)でございますけれども、世界各国で、冒頭紹介ございましたように、米国、欧州、中国、ロシアが、それぞれの立場からそれぞれの国益を守る観点から戦略をつくるという動きがございます。そうした中で、我が国として、今後政治商品性を高めていくことが必至であると考えられるエネルギー資源について、どういうふうなアプローチで物事を考えていくかということを基本的な現状認識として置いているわけでございます。

その認識に立った上で、今後、政策全体を考えていくときの検討のあり方でございますが、やや重複いたしますが、(1)で政策構築の必要性でございますけれども、まず1つは、考慮すべきリスク要因が増大、多様化しているということ。(2)で、そういうことを踏まえた上で、もちろん安定供給、環境適合及びこれらを踏まえた上での市場原理の活用という3Eの調和という基本方針に従いつつ、現時点で考えるならば、やはり安全保障というものを基点にしながら政策全体を再構築していくことが必要ではないかという問題意識を提起してございます。

その上で、そういう戦略を構築し、あるいは実行していくということのフェーズにおきましては、もちろん様々な課題によっていろいろな官民の役割分担のあり方があろうかと思いますけれども、やはり中期の大きな目標というものを、政府と、プレーヤーである民間の人たちが共有して戦略を具体化していくというようなアプローチが不可欠ではないかということで整理してございます。

そういう基本的な考えをもう一段仮にブレークダウンするということで、(2)の(1)では5つの理念ということで、ある意味では3Eの同時達成という大原則を踏まえた上での中間的な目標ということで5つ提起してございます。1つ目が、国民の視点に立った安全・安心の提供、2つ目が、将来を考えた場合に、やはり技術の力を使ってエネルギー・環境制約を克服していくということ。それから3つ目が、資源確保に向けた取り組みの強化をするに当たって、特に政府の中での連携あるいは政府全体と民間の連携というものが必要ではないかという視点。それから4つ目には、技術でありますとか、あるいは日本がボリュームが落ちていくとはいえ、まだまだ良質な需要を持った国であるという、そういう我が国の強みを生かした形でのグローバルな課題解決あるいは国際貢献といったようなことが大事ではないかということ。それから5点目に、需要がやや低迷したり、あるいは自由化、制度改革が進んだ結果、やや投資が停滞しているのではないかという議論がございますけれども、やはり未来への投資をしっかり確保するということを通じて、我が国経済全体が持続的に安定していけるという基盤を形成していくという視点が大事ではないかという、5つの理念ということで提起させていただいております。

その上で、基本的な戦略でございますが、ある意味では、第一に需給構造自体を柔軟で強いものにしていくという観点から、単に環境、CO2対策のみならず、やはり安全保障の観点からも需要対策としての省エネを進めることがまず大事である。一方で、石油以外へのエネルギーの転換ということで見ますと、やはり運輸部門の燃料の多様化といったことが大きな課題であるのではないかということで、そういう需給両面の国内対応をすることによって、柔軟なエネルギー市場を形成していくということがまず基本であろうということが書かれてございます。

第二に、こうした対応の選択肢を確保するためにも、安全確保を前提とした原子力あるいは核燃料サイクルの推進といったこと、それから当然ながら国際的にちゃんと資源を持ってくるというための戦略構築ということ、加えて当然ながら、それを担っていただく我が国のエネルギー企業が強いものになっていくということ、そういう要素が重要ではないかということが整理されております。

第三には、国際的なフェーズでございますけれども、やはりアジアの需要急増というのが非常に世界全体の不安定要因になっていること、加えて、日本の投資が相当アジアで進んだ結果、いろいろな形でインテグレーションが進み、アジアの変調自体が日本に及ぼすリスクといったものもますます大きくなっておりますので、そういった観点から、日本のすぐれた技術、ノウハウをアジアへ展開していくということを通じて、全体として域内の安定、協調、協力といったものを進めていくことが重要ではないかというような視点を盛り込んでございます。

そういったことを実現するに際しての1つの基盤として、やはり技術の開発、あるいはその成果の戦略的活用といったことがやはり鍵を握るのではないかということ。そして同時に、将来に向けての投資というものが、市場の状況は様々変化しておりますが、やはり安定供給への対応、環境への対応を考えますと、将来に向けてしかるべき備えがいるわけでございまして、そういった備えがしっかりできるような手当てをどういうふうにしていくかということが検討課題なのではないかという考え方で整理してございます。

こうした基本的な考え方を受けまして、4ページ目の3以降、省エネ等々から各論が始まってございます。省エネルギーにつきましては、これも繰り返しになりますが、我が国は、石油危機以降、随分産業構造が変わり、省エネを進めてきた結果、現在では世界で最もGDP当たりのエネルギー消費効率の高い経済構造を実現してきております。ただ、今般のエネルギー市場、需給構造の変化の中で、相当価格体系が変わっており、この体系の中でさらに一層エネルギーの利用効率を高めていき、引き続き世界最先端の省エネ国家を目指していくということが重要ではないか。

過去30年間を振り返りますと、相当程度、産業構造の転換ということで成し遂げた部分もあろうかと思いますけれども、将来を考えますと、やはり技術というものが絶えず新しく生み出されて、それが速やかに普及していく、そういう循環をしっかりつくっていくということが大事であり、そのためには、既に省エネ法なりさまざまな予算、税制度の措置があるわけでございますけれども、そういった施策が常に有効に機能し、サイクルとしてしっかり回っているかということを検証していくことが重要ではないかということを基本方針として謳ってございます。

それで、具体的な取り組みでございますけれども、産業部門に関しましては、これは参考資料にも付けてございますが、相当程度、第1次石油ショック以降取り組みが進んでおりまして、全体的にいいますと、ご案内のとおり消費量は横ばいということで推移しておりますが、先々考えますと、やはり産業競争力にもつながる問題でございますので、引き続きそこを進めていくということが重要であろうということでございます。しかし、2)にございます民生・運輸部門で見ますと、産業部門とは異なりまして、第1次石油ショック以降、一貫してその消費量が増えてきているという趨勢にあるわけでございます。機器単体の効率向上というのは相当程度進んできたわけでございますが、5ページ目の冒頭にございますように、今後を展望いたしますと、ITの普及あるいは高齢化、ライフスタイルの変化といったことでエネルギー消費がさらに増えていくという要因もまだまだあるわけでございます。運輸部門も同様に増加の一途をたどっているわけでございまして、この部分について長期的にも、また同時に、京都議定書の第1約束期間への対応も同時ににらみながら、長短両面での対応が必要ではないかということでございます。

そして3番目には、繰り返しになりますけれども、技術の重要性が書かれておりまして、特にそういう技術を通じて原単位を上げていくというアプローチは、日本はこれまでやってきたわけでございますけれども、さらにそれを進めていくと同時に、国際的にもこういうアプローチについての議論が起こっておりますので、日本からどんどん情報発信をしていくということも必要ではないかということであります。

2つ目の課題が石油依存度の低減でございます。(1)のところでございますけれども、ご案内のとおり、70年代には8割近く石油に依存していた日本経済は、今や石油依存度が5割まで下がってきております。とりわけドラスチックなのは、ご案内のとおり電力部門でございまして、現在は石油の割合が1割前後ということでございますし、それから運輸部門を除くその他の分野も、ユーザーから見て相当程度選択肢が増えてきているという状況に至っているかと思われます。

ただ、他方、運輸部門に関しましては、もちろん単体の燃費効率の改善、あるいは燃料の品質向上といった成果が上がってきておりますけれども、結果としては、まだほぼ100%石油系の燃料に依存しているという状況でございます。特に世界を考えた場合に、中国、インドをはじめとしてモータリゼーションが今後爆発的に進んでいくとなりますと、やはり運輸部門の需要というのが原油の不安定要因に大きく影響するという構造になってくることが懸念されるわけでございまして、そういった意味で世界各国も取り組みを始めておりますが、我が国としても、やはりこの運輸部門で、ある種の燃料の多様化といいますか、柔軟性を持つということを進めていく必要があるのではないかということが第1パラグラフに書いてあるわけでございます。

それから運輸部門以外のその他のセクターについては、様々な選択肢があるわけでございまして、今後志向すべきは、やはりベストミックスをどうやって実現していくかということだと思いますし、その中では、新エネあるいは非在来型石油資源の活用に加えまして、従来型の化石燃料につきましても、それをきれいに、かつ効率的に使っていくということも同時にあわせて進めていく必要があるのではないかということが第2パラに書かれてございます。

それから新エネにつきましては、先々、未来を考えた場合に非常に期待を持つべきエネルギー源でありますが、ご案内のとおり、足もとにおきましては、その経済性の観点からなかなか導入が進んでいないという状況があるわけでございます。そういった状況をどうブレークスルーしていくかということでございますけれども、大きく言って、技術を通じて爆発的に効率を上げて大量普及を図っていく、そういうサイクルと、それからもう1つは、ローカルといいますか、地場地場で、バイオ燃料を含めいろいろと使っていくというアプローチと、そういう新エネの特性に応じた普及の仕方というものを考えながら政策をつくってくことが必要ではないかということが5ページ目の一番最後のパラグラフに書かれているわけでございます。

それで、6ページでございますけれども、具体的取組、重複をいたしますけれども、運輸部門の燃料多様化ということで、趣旨は先ほどのとおりでございますが、やはり車両の更新に10年前後かかるということ、あるいは燃料供給インフラの整備には相当のリードタイムがいるということで、この分野の取り組みを進めるに当たって、やはり長期のシナリオをしっかり持って、車両側、あるいは燃料側、あるいは官でなすべきことをしっかり仕分けをし、絵をかいた上で進めていくというアプローチが必要ではないのかという問題提起が1)でございます。

それから新エネの導入促進につきましては、先ほどご説明をしたとおりでございまして、それぞれの特性を踏まえながら普及していくシナリオをうまくつくっていくということと、やはりブレークスルーする上での技術の重要性が高うございますので、それへの力の入れ方をさらに強化する必要があるということでございます。

それから3)では、化石燃料の効率的かつクリーンな利用も、石油代替を進めると同時に進めていくことが、柔軟な構造を持つ上では必要ではないかということで整理をしてございます。

それから(3)安定供給確保策でございますが、これは申し上げるまでもなく、やはり4割程度は数字の上においても日本は石油に依存せざるを得ないという状況の中で、世界各国が非常に取り組みを強めており、我が国としてもやはり安定確保ということを、省エネなり代替的な努力をする上でもなお必要であろうということでございます。

具体的な取り組みが7ページでございますけれども、1つが戦略的資源外交ということで、将来を展望いたしますと、我が国全体のエネルギー需要というのは、先般の需給部会の報告でも、2020年を過ぎればだんだんピークアウトするという議論がございます。その意味するところは、世界のマーケットの中での日本の購買力が相対的に低下するということだと思いますが、そういった中で、やはり日本が持っている強みというものをもう一回きちっととらえた上で、例えば技術でありますとか、低下しているとはいえ良質な購買力であるとか、そういったものを有効に使いながら、かつ、ODAや様々な民間の投資といったものを多面的に組み合わせながら、立体感を持って取り組んでいくことが重要ではないかということが1)で書かれてございます。

その上で、それを進めるに当たって、供給国側のいろいろな資源管理強化の動きやあるいはだんだん技術的に難しい領域に入ってくるということを踏まえまして、そのリスクを国が一定程度とりながら、官民一体となってやっていく体制をしっかりつくることが必要ではないかということが2)に整理されてございます。

加えまして3)でございますけれども、実際の調達を行うのはエネルギー企業でございますが、いろいろな市場環境が変わってきた中で、かつ、将来に向けて購買力が低下していく中で、日本のバーゲニングパワーが維持できるかという観点を考えた場合に、そこをもう少し強めていくという取り組み、例えば企業間連携を深めるとか、あるいは技術戦略を使うといった企業サイドの取り組みも必要ではないのかということが3)の第1パラグラフに書いてございます。

同時に、国内市場におきましても、やはりエネルギーの利用形態に対するニーズが多様化しておりますので、それに対してエネルギー企業がワンストップ的にいろいろなサービスを提供できる存在になることが、ひいては国際的な調達力ということにもつながっていくわけでございます。そういった方向での取り組み、場合によっては、それに対する政府の支援をどうすべきかに関しても検討する必要があるのではないかということが3)に書かれてございます。

それから4)は備蓄でございますけれども、ご案内のとおり、国家備蓄、民間備蓄とも今日におきましては相当な量が積まれてきておりまして、かつてに比べればかなり充実しているわけでございますが、他方、昨年の米国のハリケーンで起こったことを考えますと、やはり製品需給というものが部分的に逼迫することが国際的に波及していくということ、それに伴って全体の供給不安につながっていくということを経験したわけでございます。そういった意味で、国家備蓄の中で製品備蓄の取扱いでございますとか、あるいは機動的な放出の手続の問題など、量のみならず質の面からの充実強化を図っていくことが必要なのではないかということをここでは提起させていただいております。

それからあわせまして、そういう市場構造の変化の中で、緊急時に対応する制度も、一応法制的には整備をされておりますが、それが今日的にうまくワークするのかといったことの再検討も必要ではないかということをここでは提起させていただいています。

それから(4)原子力でございます。基本的な方針は、もう申し上げるまでもなく、さまざまな観点から意義がある原子力発電あるいは核燃料サイクルといったものを国家として進めていく。先般、原子力政策大綱で決められておりますのは、2030年以降も3割から4割あるいはそれ以上という目標が設定されたわけでございます。そこに向けて、それを現実たらしめるためにどうしていくべきかということが大きな課題だと考えます。

取り組みといたしましては、まず1)にございますように、原子力発電の推進についてですが、中長期的になかなか電力需要が伸びなくなっている中で、加えて制度改正も進み、市場環境としてはなかなか原子力フレンドリーな環境ではないのではないかというような議論がございます。しかしながら、将来のリプレースをにらみますと、やはりそういった投資がちゃんと進んでいくための投資環境を整えるということが1つの大きな課題ではないかということでございます。同時に、そういう投資環境だけではなくて、次世代の軽水炉の開発、あるいは人材の問題、あるいは産業基盤の維持、さらにはウラン資源の確保といったことについても、同時に公的な対応がいるのではないかということでございます。

それから核燃料サイクルに関しましては、2)にございますけれども、六ヶ所の工場の稼働を含め、様々なレベルで順次進展があるわけでございます。しかし、さらにこれをしっかり進めていくということから見ますと、やはり国民さらには地域社会の理解を得ながら進めていくという、まずそういう基本的な取り組みが必要ではないか。それから8ページの下にございますが、あわせて我が国の核燃料サイクルの自主性・安定性の向上を図るための1つの手段として、国内における技術開発の支援を通じた核燃料サイクル事業の強化、そして国際的にも、核不拡散に向けたさまざまな構想がございますが、そういったことにつながる国際貢献といった内外の取り組みを進めていくことが必要ではないかということが書かれてございます。

同時に、将来の高速増殖炉サイクルに向けて円滑にどう移っていくか、そのための技術の課題あるいは官民分担の議論、さらには国際協力についてもどう進めていくかということがございます。

それから4)の科学的・合理的な観点に立った原子力安全増進についてですが、平成15年には新たな検査制度が導入されておりますが、その定着を図ると同時に、引き続き安全規制の実効性を高めていく取り組みが必要ではないかということが書かれてございます。

次に、(5)のアジア・エネルギー協力でございますが、先ほど申し上げましたように、やはりアジア諸国の石油需要の増大というものがいろいろな角度、パスを通じて不安定要因になるわけでございます。これに対して日本の持っているいろいろな技術、ノウハウをどう使い貢献していくかということが課題でございます。

その際、一番下の「また、」以下でございますけれども、こういった協力を進めるに当たっての視点として、こういう取り組みが、ある意味では我が国のエネルギー産業にとってのビジネスチャンスになり、さらには技術基盤の維持・拡大にも貢献するということがございます。そういう視点に立って、協力を進めるに当たっては、基本的には民間ベースの協力あるいは市場を通じた移転といったものを基本にするべきではないのかということが書かれてございます。

具体的には、10ページでございますけれども、省エネさらには化石燃料のクリーン利用、特に石炭でございますけれども、こういった課題につきまして、中国やインドという大消費国との関係では、2国間での取り組み、同時にASEAN+3などのマルチリージョナルな場を使ってその両面での対応を進めていくということが必要ではないかということが1)、2)に書かれてございます。

あわせまして、石油備蓄制度をASEANの国の中に取り入れていきたいということで、これは既に私どもからいろいろな形での協力を始めておりますけれども、そういった取り組みをさらに進め、アジア諸国全体が石油の供給不足に対して備えができることに対して協力していくと同時に、当面は、それぞれの国がそれぞれの備蓄を運用するということなのでしょうが、備蓄の運用に関しては、協調的に対応していくということがその効果を出す上で非常に大事であり、そういうことを長いレンジでは視野に入れていくことも必要ではないかということがここでは書かれてございます。

それで、最後に(6)でございますが、今申し上げた取り組みを進めていくに当たっての、ある種共通的あるいは基盤的な事項として、それを担うことになるエネルギー企業に強くになっていただくということと、それから我が国のその強みの源泉の1つである技術に関する取り組みをしっかりやっていくための戦略が要るのではないかということが(6)に整理されてございます。

多様化するリスクに対応していくとなると、当然投資もかさみ、コストもかさむわけでございますが、そういったことに十分対応していけるような強い企業の形成に向けて、基本は民間における取り組みがベースになるわけでございますけれども、政府が行うべき環境整備としてどういうことがあるのかということだと思います。それから技術につきましても、やはりエネルギー問題を解決する上で重要のみならず、日本の経済全体を考えたり、産業競争力という観点からも非常に重要でありますので、そういった点につきましても、選択的に、長期目標を持って、長期と短期のうまいバランスを考えながら進めていくというアプローチが必要ではないのかということがここには整理してございます。

それと、(7)は、以上のような目標を進めていくに当たっての政策手段の在り方でございます。こういった幾つかの目標に対して、主立った項目については、もちろん達成の度合いの難易度がございますし、それから目標を持つ意味の性格の違いも多々あろうかと思いますが、ある種、メッセージ性のある数値というものを政策目標として提示した上で、その達成度合いを見ながら政策の重点化、めり張りを絶えず検証していく、そういうサイクルをつくっていくことが大事ではないかということが(1)に書かれてございます。

その中で、(2)でございますけれども、現在、既に法制度あるいは税制さらには予算と様々な措置を組み合わせているわけでございますけれども、目標の達成度を見ながら、これを組みかえていくということが大事でございます。特に来年に向けて、エネルギー関係には、予算面では特別会計が2つございますけれども、これについての改革を行うということを昨年末に方針で決めておりまして、まさにこの戦略目標を達成するためにこの制度をどうするかということもあわせご議論をいただければと考えております。

最後になりますが、(3)で、広聴・広報・教育活動については、我々も努力してきてはおりますが、エネルギー問題についての理解が深まり、そして一人一人が物事を考えてもらえるという環境に至っているかということについて、いろいろご議論がございまして、やはりどのような主体がどのような内容のことを、どういう手段を通じて情報として報じているかといったことをよく見ながら、効果的、効率的な広聴・広報活動をしていくことが今後ますます必要ではないかということを最後に整理してございます。

省略致しましたけれども、以上が私どもとして準備させていただきました戦略、ないしはエネルギー基本計画の改定を議論するに際して、考えておくべき問題意識、論点ではないかということでご紹介をさせていただいた次第でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。事務局のほうから今回ご検討いただきたい論点の整理をしていただいたわけでございますが、相当、かなり広い総花的な論点になっておりますので、まとめて、一度に議論というわけになかなかいかないかと思うのですが、今回初回でございますので、むしろ、今回の基本法を練るに当たりまして、どういう観点から今回のエネルギー基本計画をつくっていくかということも含めて、少し抜本的なご意見を賜った上で具体的にどう進めるかという議論に入ったほうがいいかと思います。現状をまずどう認識するか、将来をどう認識するか、それから現在既に動いているエネルギー基本計画というのは、どういう点で現状に照らして問題があると考えるのかということがおそらくベースだろうと思います。その上で、おそらく今回初めてかなりはっきりと国家戦略という言葉がこのシナリオの中に入ってきているということでございますので、戦略というものを考える上では、当然戦略の目標があるわけで、何を目標にして何を解決するためにどういう戦略をとるのかということだと思いますので、その辺について、初回でございますので、ざっくばらんにご意見を承ればということでございます。どうぞ、ご自由にご発言をいただければと思いますが。

それでは、柴田委員、どうぞ。
【柴田委員】 ただいまの基本的な物の考え方について、非常にうまくまとまっていると思うのですけれども、1点、パワーが足らないというふうに感じる問題がございます。といいますのは、昨年の暮れに経団連で奥田会長に同行いたしまして、インドへ参りました。シン首相にお目にかかったときに、中国の非常に国策的な資源獲得についての、もうオーバープレゼンスと言うに近いような態度について、ある程度インド側も、自分の今後の発展について相当なエネルギーを確保しなきゃいかんという観点から非常に危惧を抱いているとお述べになられました。至急、中国とインドとの間でその問題についての話し合いをするという態度でおられて、非常に心配しておられました。

一方、日本は、確かにこれに書いてある、今の立岡さんの説明の7ページですか、ここの中に、戦略的資源外交と権益の確保強化に向けた官民一体となっての取り組みというふうに、かなりきちっと書いてあるんですけれども、かつて日本というのは、石油なり資源の問題については石油公団という国として非常に明確な戦略を持った機関をつくって、それなりに強い意思で行動してきた。ところが現在は、ODAだ、貿易だ、いろいろな技術的な多面的なそういうやり方で穏やかにやろうと。ところが世界の他の国々は、相当強い国家意識を持ってその問題についての解決を図っているわけですから、この程度のことでほんとうに資源が確保できるのかどうか、ほかのところの表現、あるいは技術の問題、セーブ・エナジー、すべて賛成でございますが、この辺についてのもう少し明確な強い意思をどうあらわしたらいいのかということについて、どんなご見解を逆に当局としては持っておられるのか、それがちょっと心配であり、かつ私の心配事といいますか、そういうところなんですが、その辺はいかがでございますか。
【黒田部会長】 まず一わたりご意見いただいてから事務局のほうからまたご回答いただきたい。

河野委員、どうぞ。
【河野委員】 ここのところ、20年、短く言えば十二、三年間、資源エネルギー庁あるいは経済省に総合的なエネルギー戦略というのはなかったんですよ。資源外交という言葉は、今ちょっとお話あったけれども、ほとんど死語になっている。資源財界人というのは名だたる人はほとんど鬼籍に入りつつある。しかし、その間何もエネルギー施策やらなかったか、そんなことはない。何をしたといえば、1つは、ここにも書いてあるけれども、やはり高コスト構造打破論というのは、経済省の大きなテーゼであって、規制緩和の流れの中で、それを個別業界に全部適用しながらやってこられた。それは相当の成果を生んだことも天下に明らかなんです。ただ問題は、マイナスもあるんですよ。いずれそれはここで議論しなくちゃならん問題だと思いますけれども。

もう1つは、ここ10年間、エネルギー政策を表に出さなかったけれども、実際はそれを裏に置きながらやったことは環境対策です。地球環境論、温暖化論、これは先進国の負い目をこれによって何とかしてカバーしたいなということがベースであって、日本が、全体から見れば小さいシェアしかないのに、一生懸命始めて、これだけ熱心に政策体系をつくった国は世界じゅうのほかにどこにもないと思っていますよ。口で言うことはヨーロッパは平気で言うけれども、裏づける政策体系はほとんどゼロなんだから、あの国は。それに比べれば日本はくそまじめにやってきた。それはそれでいいんです。

ただしかし、表面からエネルギー戦略論としてまとめて原子力、石油、新エネルギー全部位置づけを明確にしなきゃならん。総合的にやった議論はないんです。黒田先生がおっしゃったように、需給計画何遍もやりましたよね。あれは需給計画なんですよ。その中に戦略論は密かに入っていたけれども、明らかにそれは個別のあれを積み上げただけであったんですよ。それはそれで意味があったと思いますけれども、今、ちょっと最初の立岡さんの指摘もあったみたいに、客観的な状況の激変でそんなこと言っていられなくなったんですね。だから、市場原理による高コスト構造対策は今も必要だしこれからも継続する。しかしそれはナンバーワンの政策じゃない、環境問題、これは50年、100年の計の話ですからね。体系ができ上がっていて、いよいよ本格的な実施段階に入るんだけれども、それはやるのは当たり前。しかし、新しくここで政策のアジェンダとして一番上のほうに来るべきは、安全保障論をベースにした、これはきな臭い話が随分入るんですけれども、そこに踏み込まないと、エネ庁なんか存在理由がないというところに今来ているわけですね。だから今こういう戦略を大臣の指示で急遽勉強会が始まった、きょうはその第1回だ、こういう位置づけなんですね。僕は、時宜にかなったというか、いずれそういう展開が来るべきときに来ちゃった。その点について皆さんの意見はほとんど全く変わらないと思っているんです。

それで、今お話あったけれども、結局、経済省関係の審議会のところで大きな声上げたって、内閣を動かすかどうかはわからないのです。今、経済省の内閣における比重というのはうんと小さいからね。だけど、せっかく次の政権構想があるわけで、いまの総理は間もなく辞める。現首相はほとんどエネルギーに関心持たなかった。これからはそうじゃない人が登場する可能性がある。それなら、これも日程表に書いてあったけれども、しかるべき時期に政府は次の内閣の重点施策の1つに、必ずセキュリティーをベースにしたエネルギー戦略論というのを持ち上げる必要があるんですね。その時機を失すると、また二、三年間時間が浪費されてしまうんじゃないかと私は思っているんですよ。

だから今、ここでこんな議論が2月から始まったことは、タイミングもまあそんなことかなという気がしますね。いずれにしてもそこに官邸の中枢のテーマに持ち上げなきゃだめだ、この話は。そのために一体皆さんがどういう力を発揮できるのか、役所がどういうふうに力を発揮するのか、二階さんをトップに据えて。それが勝負どころですよね。各論は、これから議論すればいくらでもあると思いますよ。政府系金融機関の統合・合併問題がある。これは下手をすると、この議論に全部抵触するかもしれない。ちょっと立岡さん言っていたけれども、2つの特会を1本にするんでしょう、経済省は。この金、どう有効に使うんだという話です。前の大蔵大臣が言ってたけれども、今まで経済省の特会はすきやき食っている、一般会計はおかゆすすっているけれども。そんな贅沢なことやってきたのか、経済省は。むだがあると言われて国会で随分騒がれたことあるんです、去年の春ごろから。大きな理念と高い目標を掲げてやらないと、特別会計の金を有効に使うことさえできない。有効な手段がなければ、全ては絵にかいた餅です。一番最後に、政策あたりに書いてあるところは本音の中の本音なんだ、これは。前のほうは、前説みたいなものです。そこに焦点を絞って議論ができれば、こういう部会をつくって半年ぐらい議論することは意味があるなと私は思っています。まず最初にそれだけ。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、田中委員、どうぞ。
【田中委員】 どうもありがとうございました。

一番最初に、大きな今後の検討について私の思うところを申し述べさせていただきたいのですけれども、やはりこのエネルギー基本計画を見直す国際状況の変化等は、先ほどおっしゃられたとおりなんですけれども、ある種、戦略という形で物事を提示するということだとすれば、非常に大まかに言うと、もう少し戦略らしく整理していただきたいという感じがするんですね。というのは、やはり非常に単純に言うと、戦略というのは、ある種の特定された目的に対してどういう手段を有効に組み合わせるかというあり方ですね。ですから、今回のこの論点も、論点はほとんど多分これで尽きているんだろうと思うのですけれども、この論点のそれぞれの項目がどういう上下関係の目的、手段関係の中に位置づけられるのかというのをもう少しはっきりさせていただきたい。

やはり、安定供給の確保、環境の維持、それから日本は市場経済であるというわけだから市場経済やめないということは大目標だろうと思うのですけれども、その間にも、市場原理の有効利用というのは、これはどちらかというと手段的な感じがすると思うのですよね。それからその中にいろいろな手段が入ってきますが、それぞれの大手段というのが、それ自体がまたある種の下位の目標になるわけですから、この目標、手段関係の連鎖というのをもう少しはっきり書いていただくということが、より戦略的にするということからすると必要じゃないかなと思うのですね。そうしないと、何に重点を置くのかというのがちょっとはっきりしてこないという感じがします。これが一応非常に大まかなところでありますが。

私、国際政治を勉強しているものですから、こういうものを安全保障的に考えると、目標の中で非常に重要なのは、脅威が発生するのをどうやって予防するかということと、発生しても大丈夫なような体質をどうやってつくるかということと、それにもかかわらず発生したときにどうやって対応するかという話ですね。ですから、病気がはやらないようにするということも大事ですけれども、はやっても風邪にならないような体質をつくるということも大事です。また、それにもかかわらず、やはり風邪を引いちゃったらどうするかということは考えなければいけないわけで、その3種類のようなものをそれなりにやる必要がある。割と私は日本のエネルギー政策のかなりは、体質強化というのは大変うまくやってきたと思うのです。ですから、現在のように原油価格がこれだけ上がっても、それほどみんなパニックしないというのは、それなりの体質がよくなっているから、そんなに気にならなくなっているわけですね。

ですが、やはり依然として予防ということからすると、もうちょっと考えなきゃいけないということと、それからやはりそれにもかかわらず風邪を引いちゃったらどうするかという危機管理というか対応の部分、この辺が大事だと思うのです。特に予防の観点というと、やはりこれはご指摘のように、中国、インド、アジアにおける需要の爆発的増大といった中でどういうことが起きるのかということは非常に考えておかなければいけない。ですから、安定供給といった場合でも、この国際的な面というのは非常に重要で、今まで安定供給と言ったら、日本は大体国内のことだけ考えているんですね。ですが、今、日本企業は世界中で生産やっているわけで、日本の中が仮に安定供給できても、例えば中国の工場に全然電気が行かなくなるということが突然起きるとか、あるいは日本企業だけ電気を供給してくれないとかいうようなことが起きるのは、それ自体ぐあい悪いわけですから、やはり安定供給といった場合の地理的なスコープというのも相当考えていかなきゃいけない。ですから、やはり望ましいのは、日本で安定供給がディスターブされないこともそうですけれども、やはり日本近隣、周辺においてもそうでなければいけない。だから、周辺の体質強化もしていかなきゃいけないということがかなり重要じゃないかなと思うのです。

危機管理の面では、前回の基本計画のときには、その直前に原子力発電所がとまったりして、そういうことがかなり書いてあったと思うのですね。これは引き続き重要ですし、地震が起きたときにどうするかとか、台風とか、それからまた発電所の事故とかということは依然として考えておかなければいけないし、それからテロリストが非常に重要なネットワークのハブみたいなところを何とかした場合にどうするかということも考えておかなきゃならないということです。

ただこれは、この間エネルギーの安全保障のワーキンググループでも申し上げたので、またかと思われるかもしれませんけれども、非常に短期的に、例えば新型インフルエンザが蔓延したときに、エネルギー供給はストップしないでいられるのかということは、よくよく考えておかなければいけないと思うのですね。もちろん、東電にしても、その他電話会社、ガス会社、みんな全力を尽くしておられるからとまらないと思いますけれども、通常4人に1人が感染すると言われるような新興の、今のじゃない新しいインフルエンザが仮にはやったとしたときに、すべての発電所やその他のインフラはちゃんと動くのかということは、それなりに考えておかないといけないと思うのですね。今年起きないかもしれません。大規模なインフルエンザは、20世紀は1910年代のスペイン風邪で、その後1世紀ぐらい起きていませんから、100年に一度ぐらいのことですけれども、100年に一度でも4人に1人がかかっちゃって、みんな家にいるとか病院にいる、そのときに病院に電気が届かなくなったなんてなったら、ますます大変な話なわけです。

危機というのは、これは心配のし過ぎかもしれませんけれども、やはり起こる可能性、特に最近トルコとか中東で鳥インフルエンザがはやっていますから、これが新型のものに変異するということになったときに何が起きるかというのは、やはり相当考えなきゃいけない。ですから、起きないことを望みますけれども、そういう視点も、危機管理ということで言うと必要じゃないかなと思います。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、岡村委員、どうぞ。
【岡村委員】 石油分科会の会長を仰せつかっております東芝の岡村でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

これからの議論の過程の中で、いろいろ石油の問題が取り上げられてくると思うのですけれども、石油政策小委員会というのを設置いたしまして、昨年の12月から検討に入っておりますので、その検討の内容を逐次ご報告申し上げながら全般の議論をしていただきたいと、まずお願いをしたいと思います。

基本的に向こう3年間、あるいは向こう10年間、何がやはり最も重要なのかというところにポイントを絞るとすれば、やはりセキュリティーという問題だと思いますので、まずそういう意味で、どこに焦点を置くかということについての議論をしっかりとやっていただきたい。皆さん方からいろいろご提案がありましたけれども、この直近の3年間は何が最も重要なのかということで、政策のめり張りをしっかりつけた形でぜひこれからの議論を進めていただきたいと、これはお願いでございます。

もう1つは、先ほど柴田さんからインドのお話が出ました。私も先々週ですか、ダボスへ行ってまいりまして、インドの財務長官と話をしてまいりました。インドの電源のソースは石炭が60%というのですか、水力が30%、残りが原子力だ、こういうふうな話でありました。石炭については、向こう300年分の備蓄があると豪語しておりましたけれども、たちまち環境問題という問題にインドも立ち向かうわけでありますし、中国の環境とエネルギーとの関係というのも、これまた非常に深刻な話になってまいりますし、また東南アジア、インドネシアを含めたASEAN各国のエネルギーをこれからどう確保するかという問題も、先ほど田中先生おっしゃったように、日本企業はもうグローバル展開をしておりますので、そういう意味で日本の企業自体にも大きな問題にもなりかねないという状況にあるという認識をまずしておきますと、今、ASEAN各国とのFTA・EPAの話が進み、またASEAN+3という感じでの東アジア共同体という話も進んでいるわけですけれども、この中で外交的に東アジア共同体あるいはASEAN+3という関係の中で、エネルギー問題をどう位置づけて、どうFTA・EPA交渉の中で取りまとめていくのかという意味からしますと、これはやはり資源エネルギー省のみならず、外務省、あるいはEPAの交渉の当事者との綿密な連携が必要になってくるということで、これもお願い事になりますけれども、1つは、冒頭申し上げましたように、安定供給の問題をまず一緒に考えるということと、やはり地域でのエネルギー問題をどう日本がリーダーシップをとって解決していくのか。ある意味で環境的に考えれば、日本が最もリーダーシップを持っているわけですから、そういう技術開発面でのリーダーシップという1つの我々の武器をベースにして、中国、韓国、東アジアをどうやって引っ張っていこうかというふうな視点からの、外交的な面も含めて議論をして、ぜひ重要なテーマとして議論していただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

ただいま、札の立っている方、佐々木委員、山地委員、鳥居委員、内藤委員の順でご発言いただきたいと思います。

佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】 どうもありがとうございます。

既に各委員のご発言がございましたように、エネルギー需要については、むしろ、価格の高騰もさることながら、争奪戦の段階に入っているという認識が必要なんじゃないかと思っておりますが、そういうことと関連して、日本としてエネルギーの自給率というのをどう設計するのか。時間軸上と、それからエネルギー源とのマトリックスの中でどういう自給率というものを将来に向けて考えていくかということが1つ重要ではないかと思うわけでございます。

特に、新エネルギーと申しましても、例えばバイオエタノールの場合には、おそらく日本で供給できる限界というのはあると思います。例えばブラジルから輸入するにしましても、既にブラジルからは輸出余力がなくなっているというようなのが現状かと思いますし、そういうことから、やはり自給率をどうデザインしていくかということは、1つご議論いただいたらよろしいんじゃないかと思います。

以上でございます。
【黒田部会長】 どうもありがとうございます。それでは、山地委員、どうぞ。
【山地委員】 3点ほど申し上げたいと思います。1つは、先ほど田中先生もおっしゃったのですけれども、国家エネルギー戦略と言うときと、エネルギー基本計画というときは、やはり大分、言葉も違いますけれども、ニュアンスも違う。やはり戦略の場合は、当然重点化というところがあると思います。基本計画になると、やはりある程度目配りをしてまんべんなくというところがある。そこの差は当然つけて議論していただきたいなということです。

もう1つは、この資料の2ページ、3ページの検討のあり方のところ、特に基本的な考え方のところなんですけれども、私も、いわゆるエネルギー安全保障が焦点になってきているという認識はもちろんあるんですけれども、それに対する対応として、例えば資源確保に向けた戦略的な資源外交とか、強い国家の意思とかという話になってくると、本当にそれがエネルギー安全保障にとっていいのかどうかということに関しては、多少疑問があります。

というのは、今、石油の値段が上がっている大きな要因の1つは、中国ですね。中国は石油需要を満たすためにすごくいろいろなところに権益確保に動き回っている。東シナ海とかシベリアとかサハリンとか、日本と争う点も多い。それはそうなんですけれども、よく考えてみると、中国というのはオイルショックというのは経験がないはずなんですね。石炭の国で、しかも東側の共産圏だったので。ところが、我々はオイルショックを2回経験して、エネルギー安全保障はどうだったかというある程度経験があるわけですね。値段が上がったけれども、市場機能は長期的に見ると働いて、安定的な価格が回復してきたということを経験しているわけです、特に、第2次オイルショックの後で、多分、もう少し市場を信頼して良いのではないかと思うのです。

あのときに、例えば石油の値段が上がりそうだからといって、第2次オイルショックのときは備蓄を増やして、需要がますます増えて、ますます値段が上がってということを起こしたのです。だから、中国が石油の権益を目指しているから、同じように日本も目指さなきゃと資源外交で対抗しようとすると、これは状況を一層悪くする可能性があるのです。むしろ中国に、この中にも書いていますけれども、省エネの可能性もあるよということを見せるとか、そういう協力をするという、やはり私はむしろそういうほうがいいんじゃないかと思います。また、備蓄もいいんじゃないかと思うのですね。だから、戦略的資源外交という余り勇ましいのじゃないのをお考えいただいたほうがいいかなと思っております。

第3点は、セキュリティーの問題というのは、市場原理の重視というところと非常に対立する概念みたいに思うかもしれないのですが、多分そうじゃないんだと思うのです。この各論のほうにも書いてありますけれども、強い企業をつくるというのは非常に重要なことです。競争すると、競争で疲弊して弱くなるみたいだけれども、ヨーロッパを見ていますと結構強い企業ができていますね、ドイツの電力会社とか、電力会社という範囲じゃなくて総合エネルギー企業という強い会社になっている。そういうことを考えて、市場と政策で補完し合いながらセキュリティを確保する、それがよろしいんじゃないかなというふうに、説明とともに皆さんのご意見を伺いながら考えました。

以上でございます。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、鳥居委員、どうぞ。
【鳥居委員】 最初に質問を兼ねて、我々のマンデートというか、仰せつかった仕事は、1つは、新・国家エネルギー戦略を策定する、これは骨太方針に合わせて5月までにはまとめると。一方、エネルギー基本計画の改定を行うということですね。その、今説明のあった資料6のスケルトンは、どっちの話をしているのか、実は両方にまたがっている話なのか、この後、スケジュールを見ると、次回は3月22日で、そこではもう新・国家エネルギー戦略の素案が出てくると書いてありますから、その素案とこれとがどういう関係になっているのかを自分の頭の中で整理しながらこの後の議論をしたいというふうに思います。

それから、全体の話なんですけれども、私は、もう少し危機感を持った国家戦略を経済財政諮問会議にぶつけたい、骨太方針の前にぶつけたい。そのほうがいいのではないか。

それから、このエネルギー基本計画の改定を行うという側面で考えても、今我々はかなり危機的な状態が起こり得る、そういう時点に立っているということをうたうべきだと思います。例えば、石油にせよガスにせよ、あるいはウランにせよ、供給がストップしてしまう可能性というのを余り想定しないで、マーケット・メカニズム、あるいは市場の信頼度でもって何とかなっていくという前提で計画をつくり、戦略をつくるのか、それとも危機的な状態が起こったときにどうするという戦略や計画をつくるのかでつくり方は違ってくると思います。

それから、例えば備蓄にしても、国際的な視野で備蓄を見ないといけない。つまり、例えば日本が1年分持っている。ところが韓国は6カ月分しか持っていない。中国は1か月分しか持っていないというようなアンバランスが現に存在しているわけで、その中で供給がシャットダウンしたときに備蓄の取り合いということが起こるわけですね。そういうような問題についてビジョンを、戦略を描いておく必要があると思います。

それから、今我々が気がついていない問題でかなり危機的な問題がいろいろあると思いますけれども、1つは、例えば電力の送配電のネットワークが崩れたときに大きなブラックアウトが起こる可能性というのはいつでもあるわけで、絶えずそれに備えてはいますけれども、ほんとうに起こらないという保証はないわけで、起こったときにどうするのかという、そこまで戦略を描くのかどうするのか、問題になると思います。

原子力についても、意外に国民に知られていない事実ですけれども、燃料棒の生産拠点というのは、久里浜のGNF1カ所しかないわけですね。バックアップはウィスコンシン州にあると。日本の燃料棒のバックアップ工場がウィスコンシン州にあるというような事態をいつまでほったらかしておくのか。一応、東海村にもほんのわずかの供給はありますけれども、それはとても日本全体の燃料棒の供給から見れば10%以下、おそらく1%か2%だと思いますので、GNF1社に頼っているという状況をどういうふうにしてこれから打開していくのか。

それからこれも同じことで、原子力、核燃料サイクルで言えば、今は入口の話をしたわけですが、今度は出口の、反対のバックエンドのほうも、結局青森県1カ所しかないということですから、いつまでこの状態を続けるのかということを考えると、もう今度の戦略の中にももう少し広範囲な核燃料サイクルの見方をにおわせる。それからエネルギー基本計画の改定の中でもそういうものを織り込んでいくというようなことが必要なのではないかというように思います。
【黒田部会長】 どうもありがとうございます。

それでは、内藤委員、どうぞ。
【内藤委員】 今まで皆様方がおっしゃった、パワーが足りない、あるいは危機管理が徹底していない、あるいは危機感が不足している等々の、同じ問題意識を私はまず共有をいたします。そういう観点から申し上げたいと思います。

それで、その前に、ここで提示されておる問題意識あるいは論点というのは、非常に網羅的でよく整理されていると思うのですけれども、一言、先ほどの皆様のおっしゃるように、パワーが足りないという点だと思います。特に私思いますのは、この1か月半の間に何回も海外に行きまして、きのうも台湾から帰ってきたわけですけれども、アメリカ、ヨーロッパ、中東、それを回ってきて、非常な危機感を私は感じます。ところが、日本の安穏とした感じを共有しているというのは唯一台湾という感じで、これでいいんだろうかという思いがいたします。

しかも、そういうところでの議論というのは、実は非常にハイレベルの大臣経験者クラス等重鎮と議論しておるものですから、この人たちがどう考えるかという中で、ヨーロッパとアジアの状況という中で、アジアは日本で考えろという非常に冷たい考え方という中で、日本が自分のことを自分で考えるという必要性を非常に感じております。

そういう点で、とりあえず申し上げたいのは3点であります。この計画の戦略のつくり方に当たって、目標設定に当たっては、リスク・マネジメントの観点から問題を明確に整理していただきたい。それから2点目は、世界の最先端の動向を踏まえて、国際的な動向に非常にセンシティビティーを持った形で対応していただきたい。それから3点目は、よく言われるロー・トラスト・グローバリゼーションということで、グローバリゼーションが変わった中で、日本国民、日本国は自分で守るということを、先ほどヨーロッパから言われたような話を申し上げましたけれども、必要であろう、この3点をぜひ徹底をしていただきたいと思います。

それで、まず1点目のリスク・マネジメントの考え方で、例えばヨーロッパの国際機関の長と議論をいたしました。それで、そこでまず議論になったのは、徹底的に今はイランの問題でございました。その前に一般論を議論しようということで、ピークオイル論という議論をいたしました。そうしたら、その前にヨーロッパの石油企業で議論したときには、ピークオイル時期は2015年ということの前提で企業の経営戦略をつくろうと。それで、国際機関の長とは、実は、私はピークオイル論を信用していないんだということで、では、一昨年発表したあの文章は何かねという議論になったわけですけれども、その中で結論は、やはりリスク・マネジメントという観点からの目標設定というコンセプトとしてとらえるべきだなと。かつ、25年というものが長期を見得る限界であるなというのは、アメリカのQDRでも常にそれをルールにしているねということで、2030年ということを目標にした場合に、彼の言うのは、21世紀は石炭の世紀ということで、例えば第二次大戦の末期のときにドイツが何をCTMで利用したか。したがって、石炭の液化というのがどれだけ意味があるかという種類の議論で、フォーリン・アフェアズの論文と同じことを国際的な機関の長が裏では私に言うというのが非常に驚きでした。それで、それは何かというと、自動車という観点から絞るとこれしかないと。

それから他方、電力という点から言うと、原子力だと。それから自動車といった場合には、石炭のほかにバイオだ、エタノールだという話で、先ほどエタノールの話も出ましたけれども、そこではGMOを利用した場合に食糧との競合が起こる。そういう中で、茎のような食べられないものを利用するということで、今から30年までに増える自動車のエネルギー供給をやるとすれば何%かという試算をしておりまして、30%というふうなことで、GMOについて、おっしゃるとおり非常に世界的に広がり得る新しい種が非常にあります。それで、コスト的にも100万BTUで4ドルで可能になっております。したがって、現在の8ドルの天然ガスに比べれば非常に効果があります。しかも、今でもヨーロッパの化学会社で化学原料というのはやはりナフサ、あるいは天然ガスだというのに対して、いや、そうではないということで、芳香族系のものでしたらできるようになっています。

そういうことで、何を申し上げたいかというと、用途別に、かつリスク・マネジメントという観点からベストミックスの中身を、原子力、石炭、それからアンコンベンショナル・オイル、あるいはバイオマスというふうなものについて、ぜひ詰めていただきたいという点がまず1点であります。

それから2点目は、リスクの広がりであります。これも田中先生がおっしゃったのとダブりますけれども、実は私の体験は、やはり9・11以降のリスク意識というのが国家段階から企業の経営戦略から個人まで入っているという状況の中で、そこのところが日本が非常に弱いのではないかというのが今度ヨーロッパで議論したときも言われます。例えば原子炉とかLNGの基地というのは非常にアタックしやすい。それで非常にみんなプロテクトしているのに、日本はあれで大丈夫なのかという議論が向こうから出ます。

それから非常に驚いたのは、これもいろいろなところで申し上げているのですけれども、私の関係しているアメリカの会社は、9・11で、2つのあの貿易センタービル、ニューヨークで倒れました。あの後の全部の官僚、これはちょっとブランドに影響するのでそこには行っておりませんけれども、国防省から全部管理を受けて処理したのが私の関係しておる会社であります。そこのところで私が感じたことというのは、一昨年の暮れに、日本が中東・イラクへの人の派遣をさらに続けるかどうかということで、そこにどういうテロリスト・アタックがあるかというところのいろいろな議論をいたしました。その1つが、順番は後のほうになりますけれども、例えば東京のある地点、数地点でした。そうしたら、そこの子会社が日本にあるわけです。それで、数日後にそこへ行ってみたら、そこで議論したのと同じことを前提にしてプロテクトの対応策をとっているわけです。それで、数日後に私が本社に行ったときに、あの情報はどこからかというと、国のしかるべき機関からだ、したがってそれを指示したということで、東京の都心にある立派なビルで、多くの有名財閥企業が入っておられるところで、ほかのところはそういうプロテクトをしていない。アメリカの子会社がプロテクトしておるということで、リスク、危機意識の個人ベースの格差というのを肌で感じて、私は非常に驚きました。したがって、そのリスクの広がりというのを国家レベルだけではなくて、そこのところまで落とし込んで考えるということが欲しいと思います。

それから2番目に申し上げたいのは、世界の最先端の動向を踏まえるということで、やはり先ほど外交についてのいろいろな議論がありましたけれども、私は、ジオポリティカルな外交戦略というのを基本的には持たざるを得ないと思います。したがって、そういうことから言うと、そういうシステムは、後で申し上げるように、国内でもつくる必要がある。

例えば今、端的に言うと、イランです。そうすると、イランについての非常にいろいろな議論があり、かつ、イランからも私のほうへはアプローチがあります。それからイランがどうなるかということによってイスラエルからのアプローチもあります。なぜ、私のような私人に対してしかるべきところがこれだけアプローチしてくるのかという思いがあるのは、それだけニーズというのが日本にもあるわけです。日本の意見も求めたいわけです。それに対して日本が必ずしも体系的にこたえていないということなのかもしれないという思いがいたします。

したがって、そのイランの段階でも、例えば先ほど議論出ましたけれども、4段階での対応があります。その中でロシアと中国というものをいかに切り離すかという中で、ロシアさえ説得できれば中国は孤立するということで、ようやらないとか、そういう戦略から、サンクションについても3段階。ミリタリー・アクションをとった場合にどこにどういう影響が出るかということで、どうもいろいろな議論をしている。そういう種類の議論は、やはり個別の、この戦略づくりだけではなくて、その対応のときに必要である。それで、国際機関と私が合意したのは、要するに世界の国備というのは15億バレルありますね、世界の備蓄は現在50億バレルありますねと。それで、イランが輸出をとめたといった場合、280万バレルですねと。そうしたら、国備をみんな放出するわけで、400日ありますねというふうな議論をして、それをもっとそういうときにこそ国際的に情報を流してスペキュレーションが起こらないようにやろう、これが腹だねというふうなことを実は議論をしているわけです。

したがって、そういう意味でやはり戦略のきれい事という点ではなくて、ネットワーキングをほんとうに持っている。ビビッドに動くということが必要だというふうに思っております。

それから2点目は、日本のウエートが非常に落ちているということをいろいろのオイル・メジャーズの対応等で思いますけれども、今回2つのことを思いました。1つは、カタール、ドーハに行ったときに、王様も出てこられて、お子さんたちも、2度食事をしました。それで、エネルギー大臣等々も一緒に雑談する中で、日本に非常にいま協力を得ている。けれども、日本にカタールに投資してほしいと真剣に思ったのは2年前で過ぎたねと。あとはどんどん中国でもインドでもいくらでも投資してくれると。それから我々も金があるということで、日本がいかにもソフトパワーとかいうことであるようなことを言うけれども、時代は流れているよということを言われたのには、私は非常に、そうかというのを改めて思いました。

それから、ヨーロッパ、アメリカの関係で、G8の関係を議論いたしました。今のサンクトペテルブルグ・サミットがどうなるかという状況の中で、欧米での共通の話は、G8というのは、何ももう決められない過去のスキームになったねと。したがって、サイドイベントとしてやるBRICsとの会合が重要だねと。したがって、あれをリストラクチャーしないとだめだけれども、そんなことオープンに言えないねと。したがって、今回も成功、成功というアナウンスだけをして、後で動かないとということになるねという議論が大分ありました。そういう中にほんとうに将来ともに日本が残っていけるのかというところは、先ほどの時間の経過の中で日本の魅力が薄れる中で、これが非常に必要だなという感じがいたします。

それから、アメリカでいろいろな有名なシンクタンクが、それぞれ今関心を持って2年計画でやっているのが、1つではなくて3つの機関が、NOCが1つ。それからもう1つはLNGで、LNGはわかるんですけれども、NOCという中で、いかに投資をタイムリーに必要な金額をやるかというときに、それとの協力を考えなきゃならないというところで、NOCの戦略から財務状況から政府との関係から、ここまで細かくそれぞれの専門家が調べているのかという思いがいたします。日本の場合は必ずしも、例えばそういうこともやっていない。

それから中国との関係が例えばあります。そうすると、例えば中国というのは変わったなと思いますのは、4年前に中国から日本にエネルギーの議論を求めてきましたので、そういうスキームをつくった。それで、その後日本が韓国を呼んでやったと。去年の9月に韓国でやったということになりますと、韓国経団連の会長が、日中をまとめるのは大変だったという話で、僕は何だと。4年半前は中国が頼んできたんじゃないかと。ところが今度は何だという思いがしまして、それでそういうことで話が大変なんだったら、共通の利益はあるんだから、それをシンクタンクが3階層で入っているものですから、シンクタンクが外で発表しようというのに対して、その中国の首脳企業の長は、ノーと。我々は共産党との関係で連携しているんだから、我々が参加しているところでそんなもの発表されたら困るというふうな動きになります。

それから、そんなことで日中関係というのはほんとうに再調整が必要だと思うのですけれども、そういう中で、例えば石油の関係者と議論すると、例えばシュランベルジュは、中国とインド人を今どんどん雇い始めていると。その背景というのは、15年後にアメリカの石油のエクスプロレーションをやれるほんとうの技術者が定年になって半減する。他方、中国では1万人の卒業生を毎年出しているということで、日中で争っていると言いながら、中国人に掘ってもらわないと世界じゅうで出なくなるんだよというふうな話を、15年後の例えば人口構成、研究構成も出てまいります。

そういうことで、世界の中で動く場合のそういうセンシティビティーのある最先端の情報でいかに対応するかということを考える必要があると思っております。

それから3つ目は、先ほど申し上げましたようなことで、私は、自分の国は自分で守るということですから、先ほどの外交関係、環境も含めて言った場合には、やはり総理主導のスキームじゃないとだめだと。そういう総理主導の会合はあるけれども、あれは形式に堕しておるということで、それをほんとうに強く出す必要があるという感じがいたします。

それからやはりプレーヤーが重要なので、強い企業をつくるという一般論ではなくて、じゃ、石油の上流でどうするのか、資本を政府がお呼びしている以上、それでやらないかというふうなこと、あるいは原子力基金の話、あるいは電力の話、いろいろなところがあって、ほんとうに強いプレーヤーをつくるというのが、プレーヤーが必要であるという単純な話では終わらないというところの詰めが必要だと思います。

以上です。長々と申しまして済みません。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

それでは和気委員、どうぞ。
【和気委員】 全体として2点ほどコメントさせていただきます。第一に特に、エネルギー基本計画と国家戦略をどう考えるかについてです。余り青臭い議論をしてもしようがないのですけれども、戦略論を議論する場合には、自分が持っている手札の中からどの手札を出すか、どう使うか、それに対して相手がどう出るか、すなわち世界のマーケットを含めた相手の反応を想定しながら、日本のエネルギー政策、あるいは戦略を考えるということになります。リスクの問題をこうした戦略論の中でとらえるとすれば、わが国の戦略がリスクそのものに影響を与え得る可能性もあります。わが国のバーゲニングパワーを含めて、その影響によってはリスクが低下するか、あるいは上昇することもありえます。少なくとも日本のエネルギー政策のありようが世界のエネルギー市況にそれなりの影響を与え得るというところまで想定した上で、わが国の政策どうするかを考えるのがエネルギー戦略だろうと思います。

そのときに、とても重要な視点は、既存の技術体系のもとで資源制約を考えてしまえば、当然、ゼロサムゲーム的な資源争奪戦が起こるということです。そこで、革新的な技術によって、わが国国民一人一人を含めて、世界がそういう制約条件からどのぐらい開放されるのかという、まさに革新的技術に対しての熱い思い入れが戦略の中ではとても大事だろうと思います。

それからもう1つの視点は、先ほどほかの委員がおっしゃられたように、地理的な状況の中で、例えばアジアとの関係をどうするかということは重要だと思います。日本の企業はすでにサプライ・チェーンのグローバル化を進展させ、とくにアジアへの生産シフトが起こっています。こういう生産活動の側面でエネルギー安全保障をどうするかということは重要ですが、加えて、需要の側面から考えることも重要だと思います。国民の一人一人から見れば、たとえばエネルギー効率の悪い海外の地域から財・サービスを輸入するということは、間接的にエネルギーを日本が消費しているということになります。したがって、貿易活動を含めますと、貿易パートナー国におけるエネルギー効率の改善が直接・間接の意味での日本の消費活動、つまり需要サイドから見た省エネルギーに寄与するということになります。すなわち、供給と需要の両面から、国境を越えた経済圏、あるいは地域統合的なものを想定したエネルギー戦略論を考える必要があると思います。たとえば具体的に提言するとすれば、FTA交渉の中にエネルギーについての協調メカニズムあるいは技術協力なりを明示的にコミットすることが重要ではないかと思います。

他方、エネルギー基本計画について、先ほど山地委員がおっしゃられたように、ある計画を立てて、その計画は当然不確実性のもとで実行していくわけですから、さまざまな政策リスクが伴います。海外の市況リスクや経営リスクもありますし、気候変動リスクもあります。多様なリスクのもとで、その計画がどの程度のデュラビリティーをもって実行できるかというところを粛々と国民に知らせていくということがエネルギー基本計画ではないかと思います。

そこで私がとても気になることは、リスク表現についてです。ほかの委員の方々の論調に反するようで申しわけない気持ちもあるのですけれども、あえて申し上げれば、リスクを危機感とか脅威とかそういうものに直結するような表現の仕方は、専門家はよくわかっておられるから不要な混乱はないと思いますが、一般的には他の不安要素と整理されないままに混同され、不必要に危機感や脅威をあおり立てるのではないかと危惧いたします。もちろん基本計画の中であおる必要はないと思います。その辺は慎重に客観的なリスク・ファクターを盛り込むということが重要ではないかと思います。

次に、第二のコメントは公共性に関する視点です。エネルギー基本計画の基本方針として環境保全、安定供給、そして市場原理の活用の3つがあげられています。現在、再度確認しなければならないことは、エネルギーをめぐる公共性という観点ではないかと思います。公共財、クラブ財、あるいは準公共財などといった考え方、つまり、環境にやさしいとか、安心してエネルギーを利用できるという便益を享受するうえで、その消費の非競合性や非排除性などがある程度成立していれば公共性を有していると考えられるわけで、こうした観点からエネルギーをめぐる公共性を再評価する必要があると思います。
こうした方針のもとでエネルギー政策が有効に運営されるためには、このような公共的な便益に対してマーケットがどのくらい評価する、どのように評価するかという問題が重要ではないかと思います。たとえばコーポレート・ガバナンスにもかかってまいります。資金調達面において、そういう外部性、あるいは公共性・公益性に対してきちんと手だてをし、研究開発をし、投資して、長期にわたってそういう経営をしている企業に対して、金融市場あるいは資本市場がきちんと評価するというが重要です。基本方針の中の市場原理の活用を、金融・資本市場においても活かされるような仕掛けを考えていかなければならないと思います。さもなければ、いつも直接的な政策手段によって資金的フォローしていくということになりかねません。

以上です。
【黒田部会長】 どうもありがとうございます。

それでは、橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】 遅くなりまして、申しわけございませんでした。極めて素朴な立場から少しお話を申し上げたいと思います。1つには、人口減少がもう既に始まりまして、2030年までに1千万人減ると言われている。状況の中で、科学技術創造立国で1人当たり生産性を上げて成長を維持するんだという話が言われておりますけれども、果たして外貨を今のようにエネルギーの8割、食糧の6割を買えるだけ獲得できていくんだろうか。特に人口減少が現実のものとなってくると、例えば看護師さんをはじめとして相当な外国人労働者も入ってきて、そういった面からの外貨の流出というものも考えられる。そうすると、基本的に相当日本がそういう状況になっても生きていけるような体制をつくっておかなければいけない。

そうするためには、先ほどもエネルギー自給率の話がありましたけれども、自給率を考えるかどうかは別にして、省エネというのが、この資料にも大胆な省エネ施策の導入というのがほかの国であると書いてありましたけれども、これに徹底して力を入れていく。特に、機器とかそういうものは一生懸命やっている面は十分出ているのですけれども、やはり使うほうがどう使うか。国民意識に一般的に浸透していかないと、効果が出ない。いろいろなものを考え出してもその効果が半分しか使われてないとかいうことになってしまう。そういう国民を巻き込んだ体制をどうつくるかということ。

あとはRPS法がありますけれども、新エネルギーなどの政策誘導というものをどうやっていくのか。今ぐらいの割合でいいのだろうか。風力発電は今急激に増えてきておりますけれども、もうちょっとこういう面でも力を入れていって、何とかこの低成長の中でも日本がエネルギー、食糧を買えるような体制をつくる、そのためのエネルギーの消費量を減少させていくということが必要じゃないかなということを感じております。

それからもう1つは原子力に関して、これは前々から私どもは安全面について徹底して取組んでおりますが、原子力政策というのは比較的、高速増殖炉を中心に今進んでいるように見えますけれども、これは大分先の話であります。相当先、四、五十年先の話になってしまいます。そういった点で、なるべく早い時期に効果が得られるようなもの、これに対して戦略的に集中してやっていくということも必要ではないかということを強く感じておりまして、例えば高温ガス炉でも結構ですし、いろいろな方法があると思いますけれども、そういうものを50年先考えていたって、どうなるかわかりません。それよりも、せいぜい2030年、基本計画もそういうところを目標にしているわけですから、そのころまでには例えば水素が使えるようになるとか、いろいろな形が今言われているわけでありますから、それをもうちょっと何で集中して投資しないんだろうかというのが1つの疑問としてありまして、そういうことをぜひ考えてほしいということ。

あと、電力会社の体力その他の面で、投資環境ということがさきほどありましたけれども、今の状況で、公共料金とかその他から言っても、料金引き下げを一生懸命何とかやっていくよりは、企業の体力をつけさせてきちんと長期的な投資ができる体力にしていくとか、あるいは安全面への投資ができるようにするとか、あるいはまた電柱の地下化とか、公共的な部門にお金を回せるようにしたほうが国民へ還元できると思うのです。原子力についてはどこかの集中戦略的な投資ということと、それから投資環境をつくっていくということについて、ぜひ打ち出していただけたらなと思っております。

それから石油についても、これから低質油といいますか、そういうものをどんどん使っていく状況が予測されますので、精製技術について、特定の会社は低質油を使いこなせる技術を持っているわけでありますから、そういった技術をどうやってほかの会社にまで広めていって、これからの世の中に対応できるようにするかということも大事なのかなという感じを持っております。

以上です。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。

一わたりご意見を伺ったと思いますので、初回、いろいろな形でのご疑問が出てまいったわけですけれども、まず、私なりに大きく一応整理させていただきますと、事務局が提案された問題、課題ということに関して、今回、もしエネルギーに関するセキュリティーを含む戦略ということを問題意識として持つのであるとしたら、現状認識がまずあり、それに対して、どういう意識を持っているかということの議論が必要なのではなかろうかと思います。これに関しましては、非常に危機感が足りないというご意見から、いや、エネルギーの戦略を練るときに余り危機感はあおるべきではないというご意見までいろいろ委員の方で分かれていたと思いますので、これは私の視点ですけれども、危機感をあおる、あおらないではなくて、まず全くニュートラルに、もしくは客観的に見たときに、どういうシナリオを念頭におくかについて、ここでエネルギー基本計画を練るに当たってある種のコンセンサスをつくっておくかというのは非常に重要だろうという気がいたしますので、事務局のほうとご相談して、またそういう議論の場を持たせていただければというふうに思います。

その上で、一たびある前提を置いた上でのエネルギー・セキュリティーの戦略ということになりますと、国内の対策、国際での対策、技術での対策、安全保障面での対策、いろいろなものがあり得るわけで、その対策について、これから議論していくということでございますけれども、今回事務局からのご提案の内容はちょっと総花的で、パワーが足りないんじゃないか。これは皆さん持たれた印象ではなかろうかというふうな気がいたしております。

それから、そのほか重複された意見も相当ありまして、ある種、このエネルギー基本計画というものと、骨太計画に向けての新・国家エネルギー戦略と言われている部分をどういう形で折り合いをつけるのか、これも最初の段階ですので、事務局のほうのご意見を伺っておきたいというご意見があったかに思いますけれども、その辺で少しまとめてご回答いただければと思います。
【立岡課長】 大変広範なご意見を賜りましてありがとうございました。とてもすべてにお答えをすることはこの場ではできないのですけれども、まず枠組み的なところで、鳥居先生からお話のございました計画と戦略の関係でございます。山地先生がおっしゃったように、基本的にエネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づいて施策をしっかり書いていくという体系になってございます。そういった意味では、ある種すべてのことを広範にカバーするというような性格のものとして現にできておりまして、それをこの3年間のいろいろな措置の進展あるいは状況の変化ということを踏まえてさらに充実させていく、こういう性格のものだというふうに考えております。これは閣議決定をするものでございますし、総合資源エネルギー調査会のご意見をいただいて決めるべしという法律になっておりますので、極めてフォーマル、リーガルな形で処理をしたいと考えおります。

他方、戦略でございますけれども、これは今日も正に迫力がないというお言葉をいただきましたけれども、もう少し、ある意味では大胆につくっていくべきものだというふうに思っておりまして、エネルギー基本計画ほど網羅的なものである必要はなく、かつ、エネルギー基本計画はある種10年間の施策を整理していくということであるのに対して、戦略は、むしろ今の状況を考えれば、やはり25年あるいは30年ぐらい先を見て、何を今やるべきかというような視点に立って、かなり重点化をした形で整理をすべきものだと考えております。加えて、冒頭ご説明いたしましたように、いろいろなプロセスを考えますと、取りまとめのタイミングが若干エネルギー基本計画とずれるということがございますので、こちらにつきましては、本日あるいは次回のこの場でのご意見を承りながら、私どものほうで責任を持ってつくっていきたいと考えております。

それで、きょうお出しした論点メモは、実はその両方を頭に置きながらお出ししたものでございますから、まさに鳥居先生がおっしゃったように、どちらの論点メモなのかというようなご疑念があったのかもしれませんけれども、まず1つ全体のスコープをそろえた上で、今言った戦略と計画の違いに応じてこれから議論を運んでまいりたいというふうに考えております。

次に、危機感が足りないという議論があったわけでございます。私ども、危機感は持っておるつもりなんですけれども、なかなかそれが十分に表現できなかったことは大変至らなかったというふうに考えております。

他方、余りあおることによって資源ナショナリズム的になっていくことがいいかどうかということは、これは多分ご議論があると思いますし、きょうのお話全体をお伺いして、やはり非常にクールなというか、冷静な危機感を持って何をすべきかということを議論すべきだと考えますし、それを取りまとめ、世の中にお出しをしていくというのが基本姿勢なのかなというふうに考えます。

その上で、幾つか論点を出した項目について、田中先生の方から、やはりレイヤーの立て方が不十分だという議論がありまして、そのとおりかと存じます。いろいろなメニュー、措置を並べるときに、施策目標ごとに整理をしていくのか、あるいは時間軸ごとに切っていくのか、あるいは先生がおっしゃったように、予防、体質、事後対応というような形で整理していくのがいいのか、そこは少し考えてみて、工夫をし、何に対して何を備えるのかといったところは、よりクリアに出るような工夫はしてまいりたいと考えております。

とりあえず総論的なところでございますけれども、私のほうからは以上でございます。
【黒田部会長】 きょうは1回目の議論ですので、結論というのはなかなかいかないですけれども、いただいたご意見を少しずつ整理をさせていただいて、次回以降、論点をもう少し絞って、具体的にパワーがあるようなエネルギー基本計画をつくっていきたいと思いますので、ぜひご協力いただきたいと思います。

何か。はい、どうぞ、内藤委員。
【内藤委員】 一言だけ。私、リスク・マネジメントを協調したら、それが誤解されているようで、あおるという話ではなくて、リスク・マネジメントの原理というのは当たり前のことですけれども、リスクを明確に感じて考えて想定をして、それが起こっても対応できると。したがってこのスキームは安全なんですよという安心感を与えることであって、何もリスクをあおることではない。したがって、リスク・マネジメントと言っているという基本に返っていただきたいと思いますので、私の発言が悪かったようで、誤解を与えたようですが。
【黒田部会長】 どうもありがとうございました。今、内藤委員がおっしゃったとおりでございまして、私としては、やはりエネルギー基本計画を練るということは、現状をどう認識するかということをきちっと押さえ、そして現状の認識に立って、将来、10年というスパンでどういうことが起こり得る可能性を持っているかということに関して、いろいろな考え方があると思いますけれども、それを何らかの形で、できればコンセンサスを得たい。それないと、おそらく戦略というのはあり得ないだろうというふうに思いますし、そういう議論も将来すべきかなというふうに考えております。

それでは、大体時間が参ったわけでございますけれども、本日は活発なご意見をいただきましてありがとうございました。いただいたご意見は、各総合エネ調の分科会、部会のほうにフィードバックもさせていただきますし、それから先ほど来出ておりますように、新国家エネルギー戦略の策定の中にも反映をさせていくということになろうかと思います。本部会としては、冒頭、事務局から説明がありましたように、関連の分科会や部会等の進行状況をご報告を受けながら、また議論を深めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

次回の会合は、3月22日の水曜日、午後3時から5時、場所はホテルオークラということで予定されておるようでございますので、よろしくお願いしたいと思います。また詳細は後日事務局のほうからご連絡をさせていただきたいと思います。

以上で、第1回の総合部会を閉会といたしますが、特に何かご発言ございますでしょうか。

どうぞ。
【河野委員】 次回に戦略ペーパーというのをお出しになるんでしょう。せめて3日か4日前に、各委員に、これを読んでいらっしゃいよと、このペーパーを説明するんじゃなくて。説明は短くていいけれども、読む時間を与えてもらいたいというのが1つ。

もう1つ注文があるのは、今、主要国で、ブッシュを含めて、小泉を含めて、エネルギー戦略論というのを随分どぎつくというか、強くというか、いろいろ立場があって議論しているんだけれども、強く出していますよね。最近のあれでいいんだけれども、今、例えばブッシュはこの前こういうことを一般教書で言ったと、それはバックは何なんだという簡単な解説でいいから、一般的にはもう皆さん全部わかっていることかもしれないけれども、頭の整理のためにね。よその国で、例えばフランスの大統領が何か言った、そのバックは何なんだ、どの程度先を読んでいるのかという、簡単な分析を願いたい。

あわせて、いいですか、我が国総理大臣は、オイルショックのときからずっと今日まで随分たくさんいるんだけれども、どこの時点で、どれだけ、一般演説の中で、エネルギー戦略らしきことに触れてきたのか。今度の施政方針では軽くふれているだけでした。それが事実なんだ。原則はそこから始まるんですよ。

だから、我が国の総理大臣は我々の上で何をしゃべってきたのか。いま何であんなありきたりのことしかしゃべらないのか。ということは、我々が判断することだけれどもね。データを出してもらいたい。
【黒田部会長】 なるべくご希望に沿うようにペーパーを用意したいと思いますが。

ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。

どうも、長時間ありがとうございました。
 

―― 了 ――


 
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