トップページ > 審議会・研究会 > 商務情報政策局 > ITによる「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会(第2回)議事要旨

ITによる「情報大航海時代」の情報利用を考える研究会(第2回)議事要旨

日時:平成18年3月24日(金)13:30〜15:30

場所:経済産業省本館17階西7第1特別会議室

出席者

喜連川座長、小川構成員(奥代理)、片山構成員、國尾構成員、 佐々木構成員、佐藤構成員、棚倉構成員、千葉構成員 (千葉代理)、津賀構成員、筒井構成員、中川構成員、 原田構成員、福永構成員、藤元構成員、藤原構成員、 松本構成員、宮田構成員、山名構成員、和田構成員

議題:中間とりまとめ

議事の経過

(1)各分科会中間報告(資料1、資料2)について各主査から説明を受けた。その後、中間論点整理案(資料3)と「情報大航海時代から情報ルネサンスを目指して」(資料4)についてそれぞれ座長と事務局から提案があり、承認された。

(2)今後の具体的な進め方のイメージについて、自由討議。構成員からの主な意見および事務局の発言要旨は以下の通り。

  •  情報を正しく検索するという技術の問題と、検索した情報を正しく評価して判断するというプロセスと両方がなければ、社会的・制度的な問題については対応できないのではないか。一方で、両者は矛盾する場合もあるのではないか。情報を国家がコントロールすることは好ましくないし難しい。だが、検索ができなければ困るので、検索した後、だれかが評価することになるだろう。この社会的・制度的な問題をサーチエンジンという技術の中でインクルードするのか、それとも、別の問題と考えて、制度的な別の対応を考えるのか。これらは、方向性が分かれると思うが、論点整理では、2つの問題がそのまま挙がっている。
     検索の技術という問題と、情報の評価、ないしはそれに対して第三者が意見を正しく述べて、誤らない方向に導くといった、例えば第三者評価機関みたいなものをつくり、ブログの発言が社会を混乱させないようにするための工夫が必要ではないか。
  •  評価は、テクノロジーサポートがないとできない側面もあるため、セパレートするというよりは、両方のシナジーによる部分が大きいのではないか。今後、第1分科会(次世代知的情報アクセスに関するビジョンと技術を考える分科会)と第2分科会(知的情報アクセスがもたらす文化・社会・経済的影響を考える分科会)が一緒に議論する機会を持ちたい。
  •  第2分科会でも、技術的にできること、それから制度として考えなければいけないこと、また、個人が努力してやっていくべきことがあると考えている。ここでは課題の方向性を挙げたが、今後は、何がどこで可能なのかという点を、技術も含めて議論したい。
  •  情報の発信については、第1分科会で別途検討されていた。重要なポイントとして挙がっていたので、くみ上げたい。
  •  個人の安心・安全の確立は重要なことであるが、一方で危険性もはらんでいる。安心・安全を確立しようとすることによって、新たな恣意的な影響が生じるかもしれない。また、国のほうが危険なこともあるため、外資系の企業がコントロールするのは問題だが、国なら問題ないということは言えない。個人の安心・安全の確立という言葉を使うと、正しいことを行うように聞こえるが、必ずしもそうではないのではないか。
     今までの日本では、産業や金融や通信など、保護をするとだめになった。保護をしなかったオートバイやカメラなどは世界制覇できたようだが、保護をすると怠けてしまうという特性があるようにも思われる。保護は一切しないと宣言して、国は一切面倒を見ず、個人は自分でそのリスクを認識するという形での対応もあるのではないか。
  •  最終的に出てきた情報の信頼感については、見る人が個人でジャッジするしかない。問題なのは、出てくる情報があまりにも大きな情報空間であるため、ジャッジする際、一方の視点の情報のみにオーバーウエルムされてしまうこと。今のサーチエンジンが提供するメカニズムとは違うメカニズムを提供し、ユーザーに選択の広がりを与えることが技術的に必要ではないかと思う。企業はエコノミクスのみで動くため、検索キーワードの売買や広告のランキングに注視せざるを得ないが、そのようなものから離れたら、どのようなことが考えられるのかエクスプロアすることが、ここで考えているプロジェクトのコンテキストだと思う。国で情報の価値を判断する、あるいは強く保護をすることはあまり考えてないだろう。
  •  言葉はトリッキーなものなので、個人の安心・安全の確立というと、完全無欠に正しいことのように聞こえるので、行き過ぎがあるといけないなと思った。
  •  「米国企業に集中され」というところで、日本が産業としてがんばらなければいけないということを一方では言いつつ、「安全・安心の情報を担保」というようなところでは、やや適切な表現を欠いた発言があったかもしれないが、今の説明のとおりにご理解いただければと思う。よりナチュラルな方向に持っていこうという試みであり、絶対感を与えるものではないため、その点は表現上の工夫が必要。
  •  今後の話だが、経済産業省のスタンスとして、ビジネス的な産業がこの中からどう生まれていくかというイメージを、もう少し強く出しても構わないのではないか。情報をためるプレーヤーと、ためた情報を活用するプレーヤーがいるとすると、一番ドラスティックに、ダイナミックに出てくるのはデータを活用する人たち。一番難しい、ためるところや、ためた情報を整理するところ、それにアクセシビリティーをつくるところの技術は官民挙げて開発する。すると、ベンチャーはそれを使いやすいし、さらにその一部の技術を活用して、新しい情報を流通させるビジネスを生み出す。そのような、ビジネスがプラットフォーム上からどんどん生み出されるイメージを描くと、産業がそこから花咲いていくイメージができると思う。集めるプレーヤーは、体力のある大きいプレーヤーかもしれない。集めるところも、例えば制度的にデータを集めやすくするため、データを開放するなど、国として関与する部分があるかもしれない。
  •  ためるところはコストがかかるため、ベンチャーではやりにくい。ウェブはクローリングでできるため、資本がなくてもそこそこできるが、すぐに体力勝負になる。センシング第2世代、第3世代、第4世代となったとき、ベンチャーは自分でセンサーを張ってデータを集めることができないため、集めたデータを使ってビジネスをすることになる。ベンチャーには、集まったデータにいろいろな付加価値をつけて、個人にさまざまなおもしろい付加サービスを提供していくところが多いだろう。集めるところをやるのは、センサーをたくさん張れるとか、デバイスを持っているなど、体力があるところ。出やすいようにするには、センサーをいろんなところに設置する基準を緩和するとか、自治体の持っている監視カメラを借りられるなど、別の話があるだろう。
  •  ウェブのデータは、簡単に集められると思うが、世の中にはいろいろなデータが存在していて、いろんな会社がいろんなデータを持っている。そのようなデータを外に出すことによってもうかる、という流れができると、楽しいのではないか。例えば、あるバス会社は、今バスがどこにいるか把握して、実際にサービスしている。それは利益につながっているとは思えないが、例えば、ほかの会社がその情報を使って、融合したサービスを提供する。情報を1カ所に集めることができればいいが、できない情報もあるかもしれない。1カ所に集めなくても、各社が持っている情報を個々に出すような仕組みができれば、いろいろなビジネスが出てくると思う。
  •  いろいろな情報を融合することによって今までにはない価値観が飛躍的に生まれると考えて、東京大学の生産技術研究所に情報融合研究センターをつくった。このようなプラットフォームをつくることによって、そういう価値観を体感する機会がスティミュレートされると、おもしろいサイクルが回るのではないかという気がする。
     無料で大きな情報はウェブしかない。ウェブの情報はある意味で言うと特異点であり、ほかに大きい情報を買おうとするととてもお金がかかる。情報をそれぞれ出し合うことで、価値が出るというものも、この枠組みの中でうまく回すことができれば、わくわくする形になると思う。
     あまり広げると、共通プラットフォームをつくるのも、大変になるかもしれないので、今後3カ月ぐらいの中でいろいろ練り込んでいく必要があると思う。
  •  こういうものがあったらいいだろうというものの幾つかを紹介すると、ウェブの検索エンジンのランキングが既存の検索エンジンのランキングなのは、あまりうれしくない。検索結果は、結果があれば1,000件、場合によっては何百万と出てきてしまうが、それを全部見ることはできない。だが、自分の欲しい情報は、もっと下位に表示されているかもしれないというときに、どのようにランキングしたら、その人に合ったランキングができるかというと、文脈依存的なランキングやパーソナライズされたランキングという考え方がある。これは技術もありそうだが、ネックになると思うのは、ランキングを、集める側と使う側とを分離した形で進められるかということ。これは技術的な問題であり、第1分科会で考えていただければいいが、集める側、使う側を分離できるかどうかについて、踏み込みが足りない気がする。
     類似するテーマとして考えなければならないのは、何が正しくて正しくないかという議論にはあまり意味がないかもしれないが、マジョリティーかマイノリティーかという意見について。マジョリティーかマイノリティーかについては、定量的、数量的にわかるため、結果としてマジョリティーの意見だけが出てくる状況はよくなく、その気になればマイノリティーの意見を見つけることができる技術も必要だと思う。それは、安心・安全を確保するために、マイノリティーの意見にも触覚を張っておくということだろう。この問題も、使う側と集める側が分離可能であるかというところに、突っ込みが必要。
     最後に、近い未来に可能になるだろうチャレンジングなテーマが、言語も違って特殊な日本の国の情報が外の世界にどう見えているかということ。外国から見たときの自画像はなかなか得にくい。一般の人には、マスメディアのニュースを通じてしかわからないが、それには日本人のフィルターがかかっていて、ほんとうのところはわからない。外からどう見えているのかが見えれば、例えば企業では、製品開発の指針を与えてくれるかもしれないので、重要なテーマだと思っている。
     その逆に、外国で起こっていることで、将来、日本に対して大きな影響があることを、できるだけ早くキャッチしたい。例えば最近であれば、鳥インフルエンザなど。これをできるだけ早い段階にチェックすることができないか。世界ニュースコーパスという名前で、我々はそれを考えようかと思っているが、その言語の壁をどう越えるかということと、世界の隅々までクロールしなくても、メジャーなニュースサイトを世界中からクロールしてくるだけで、我々が今知っている以上のことは得られるだろうと考えている。
      このようにいろいろと議論をしているが、やはり、使う側とつくる側をどれだけ分離して、分離したらどこまでできるか。また、分離してはいけない、分離しないでやらなければ実現できないものは何かということを、技術的な観点から、もう少し突っ込んでおきたい。それによって、航海地図のどの辺にこぎ出したらいいか、方向性が出てくるのではないかという気がする。
  •  センサー等いろいろな情報があることや、ウェブ、非ウェブ情報については、漠としていて、明確な境目がない。非ウェブ情報であってもウェブから見えた途端にウェブ情報になってしまうため、非ウェブ情報の定義は難しい。そのため、クローリングのターゲットを戦略的に考えなければ、価値を引き出せない。既存の検索エンジンでも、情報をとり切れていない。ソリューションと情報をとる側との密な連携が重要であり、それが、マッシブ・クローラーではできないおもしろみを勝ち得るためのオポチュニティーになるのではないかということ。
  •  既存の検索エンジンが、何十億ものページを集めランキングして、検索結果を提供しているが、そのランキングの評価は、判断が難しい。インターネットは、当初、専門家だけが使っていたため、検索エンジンを使うときも、ランキングのしかたを想定することができた。ところが、今はいろいろな人が使っていて、一般の人はランキングのアルゴリズムをほとんど知らないし、また、専門家にもほんとうの方法はわからない。さらに、今の検索エンジンは、世界中の情報のうち、わずかな一部だけをクローリングしてインデックスしているにすぎない上、結果として表示されるのは上位1,000件ぐらいである。使う側は、どのようにランキングされているのか、知らなければいけないのではないか。提供する側は、ユーザーにランキング方法を伝え、ユーザーは、それを知った上でその検索エンジンを使うかどうかを判断するというサイクルにしていかなければならない。そういった観点で、このようなプラットフォームをつくることは重要だと思う。
  •  今の日本が置かれている状況から考えると、成功するフィールドのひとつに、言語の問題があるのではないか。日本語の特殊性を、今後のプラットフォームづくりなどにどのように生かしていくのかというポイントがあるだろう。もう一つには、携帯を含むモビリティーがあると思う。日本の携帯電話は世界的に見てもかなり特殊であり、日本独自のものができるかもしれない。それを今回のプロジェクトにどのようにうまく生かせるか興味がある。
  •  ウェブではないデータでは、道路の情報処理で、VICSのデータをオープンにし、解析して交通情報を出せないかという話や、500ギガバイトのハードディスクを、各家庭に1台ずつ展開するとどうなるかという話がある。また、車に積まれるカメラの数は先端のものでは8台くらいになるが、それに車の台数を掛けると、大量のデータが通信につながることになるかもしれない。ネットワークにつながっている約17万台のエレベーターからもデータが上がってくるし、火力発電所や原子力発電所はセンターにつながっているためそこにもデータが集まっている。これらは、外へ出したくないデータがほとんどではあるが、それを出させれば、大量のウェブベースのデータだけでなく、ノンウェブのリアルタイムデータなども集まってくる。その処理について考えると、日本から発信するようなものになるだろう。ラッセル役となって展開すると、日本らしい、いろいろなソリューションができる可能性があると思う。
  •  地球環境の仕事で、データを出してもらおうとしても、データが各省庁のいろんな部署や各自治体にまたがっていてなかなか出してもらえないとき、ソリューションを提起すると、ポジティブに出してもらえる。そのソリューションの一つは、人がもっとも亡くなっている干ばつと集中豪雨に関するもの。各所の情報から、ダムのコントロールを最適制御するような話になると、楽になることを体感してもらえ、情報の提供がカインドになってくる。このように、いろいろな情報ソースを融合することによって、夢の広がるような、新しいものができることを提示すると、うまくいくような気がする。
 

最終更新日:2006年4月10日