経済産業省
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医療機器に関する経済社会ガイドライン準備委員会(第5回) 議事要旨

日時:平成18年3月13日(月)10:00~12:00

場所:経済産業省本館17階東4(第5共用会議室)

出席者

池田委員、大日委員、鎌江委員、菊地委員、佐久間委員、 茅野委員、土器屋委員、福田委員
厚生労働省医政局経済課
社団法人日本画像医療システム工業会
日本医療器材工業会
在日米国商工会議所
米国先進医療技術工業会
アイ・ビー・エムビジネスコンサルティングサービス株式会社
経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室

概要

  1. 本委員会のとりまとめ
  2. 日本における医療技術革新等
  3. 日本における取組の現状(補足)

1.本委員会のとりまとめ

配布資料に沿って、事務局より説明

a)背景と目的
(背景)
この委員会の背景として、医療機器の合理的な経済評価が不十分であるという意見が多く、その状況が医療機器の研究開発意欲や産業振興を妨げる一因ではないかということがあげられる。
(目的)
議論の目的は、医療保険財源の適正化や医療機器産業の振興に資する経済的・社会的な評価、社会経済評価を適用すべき対象分野とその評価手法や基準、社会経済評価を導入するための制度や体制についての基本的な考え方を整理検討することにある。
b)検討を行った内容と議論で整理された内容
(検討の内容)
これまでの検討内容は、国内外の医療機器の経済評価システムの概況整理、国内外の医療機器の経済評価事例の動向整理、我が国の取組の現状整理の3点となる。
(議論の整理)
経済評価システムについては、先進国で医療制度に対する医療機器の経済評価の役割や比重が異なる。例えば、その経済評価機能は保険収載の判断支援が中心で、価格決定には直接的に利用されない場合が多いと考えられる。また、公的機関が経済評価を行う事例もあり、市場流通価格に影響を与える場合も見られる。
経済評価事例については、カテーテル、MRIなどの医療機器に対して、海外を中心にCEA、CUAなどの学術的な研究成果が見られる。なお、日本での実績は少ないと考えられる。
c)報告書の構成
報告書の構成は、1.経済社会ガイドラインの重要性、2.国内外の経済評価制度の動向、3.国内外の経済評価事例の概況、4.経済社会ガイドラインへの期待を案として考えている。

質疑応答

(質問)
医療機器は、大型の装置や小型の用具など種類が多く範囲が広いことから、経済社会性を評価するのにその特性を考慮して整理する必要はあるのか。
(回答)
評価方法は、医療機器の技術特性によって異なるため、経済評価事例についても種別毎に分類を行って整理している。
(質問)
業界の取組の事例は、既に具体的なデータが取れている、又は、研究が進んでいると考えてよいのか。
(回答)
個別の事例について結論が出ているという意味ではなく、議論された一つの例を提示しているという位置付けである。

2.日本における医療技術革新等

配布資料(日本における医療技術革新)に沿って、在日米国商工会議所及び米国先進医療技術工業会より説明

a)概要
ここでは、医療技術革新の重要性、医療技術開発の成功要因、HTA(Health Technology Assessment)などについて説明し、医療技術評価に関して主に米国の制度との比較の観点から日本への提言を行うことを目的としている。
b)医療技術産業と医療技術開発の成功要因
現在の医療技術産業を見ると、日本が優れている点は、国際レベルでの工業技術力、デザイン力、製造能力があげられ、さらに高齢化人口が生み出す需要も特徴的である。
他方、日本で不足している点は、効率的で予測可能な透明性のある規制環境、予測可能な価格決定の仕組み、臨床研究の基盤、生産的で費用効率の高い病院経営、大規模な専門医療センターなどがあげられる。
日本の規制制度に関しては、現在のところ先進諸国中で最も承認を取得する時間と費用を要すると言われている。
日本の保険償還や価格決定に関しては、製品の特異性や改良点はもとより、独特な市場構造と高コストなどが考慮されない制度の存在が挙げられる。
臨床研究の基盤に関しては、非常に高い資金投下により平均的なR&D経費が売上の約12%となっている米国に対して、日本の場合は売上の約4.6%となっており必要な基盤が小さいと考えられる。また、米国には、医療に関する全国的で広範囲なデータの基盤が存在し、有効活用されている。
c)HTA(Health Technology Assessment)
HTAは、医療技術の特性、効果などを評価することを意味し、臨床上の決定、政策上の決定を支援するための客観的情報を提供することを目的としている。
現状では、正式な(国家レベルの)HTAにより評価される医療機器は一部に過ぎず、医療機器の費用対効果研究も稀である。ただし、臨床経験が得られた市販後の調査においては比較的実施されていると考えられる。
なお、HTAの基盤を有していても、試験の症例数が少ない、信頼できる比較データを利用できないことが多い、臨床的・経済的な変化がはやい、などの課題が存在し、その基盤が十二分に活用されていない。
米国のメディケアプログラムにおける保険償還においては、妥当性と必要性のある医療機器が収載されることになっているものの、費用対効果に関する条件や基準は明確ではなく、特に支払額の決定には用いられていないと考えられる。なお、FDAの承認後は、ほとんどの医療機器が自動的に保険適用となる。
欧州におけるHTAでは、臨床的な有用性、最適な使用方法、技術の経済性の確認を目的として評価が行われる場合が多いと考えられる。

質疑応答

(質問)
日本に独特な市場構造とは何を意味し、その特徴は何か。
(回答)
日本においては、製品の承認を得る費用が高く、特定の製品しか承認されていない場合には、日本のためだけに製造等のラインを残す必要があり、そのサポートをするための営業経費や流通コストなどがかかるという点があげられる。
(質問)
全国的な医療及び経済に関するデータの基盤があるという点に対して、アメリカには全国的なものがないという意見も伺うことがあるが、どのような解釈なのか。
(回答)
アメリカのメディケアシステムでは、公衆衛生を対象としたデータ、全国病院のデータ、長期間の調査結果のデータなど、複数のシステムやデータベースがあり、そこから得られた結果を用いて、経済的モデルが設定され調査が行われている。このように、メディケアなどの公的な保険支払に関するデータには、患者、病院レベルでの調査を可能にする広範なものがあるという意味である。
(質問)
アメリカでは、医療技術評価は保険の収載等に使われておらず、そのような動向も見られないのか。
(回答)
そのような活動は活発ではない。アメリカでは、一般的に、製品が市場で流通した後に医療技術評価が行われるため、市販後の評価が中心になる。
(質問)
アメリカの医学雑誌などにみられる経済評価は、保険収載等に利用されていないとすると、どのような目的で行われているのか。
(回答)
医療技術評価HTAの役割は、医療技術についての情報を医療機関に提供することにあり、その結果が、実際の医療の提供方法に影響を与えたり、民間レベルでの治療ガイドラインの作成をもたらすことがある。また、民間の保険会社ではその技術に関する支払の意思決定の基礎情報として利用する場合がある。
(質問)
HTAで医療機器の有効性などが認められる場合、革新的な技術につながる点が特に重視されるのか。
(回答)
それはケースバイケースであるため、一般的なルールがあるとは言えない。例えば、薬剤溶出ステントは確かに革新的な技術ではあるが、それは評価のためのエビデンスが十分であったために有効であると認められている。

3.日本における取組の現状

配布資料(急性期脳梗塞診断におけるCT、MRの評価)に沿って、(社)日本画像医療システム工業会より説明

CTとMRIの評価を行いたいと考えており、対象疾患は急性期脳梗塞とし、適用技術はCT灌流画像とMR拡散強調画像で検討している。
その理由としては、発症直後の早い段階では脳細胞が完全には死んでいない部分があることが判明しており、画像診断ではこの部分の有無確認が重要なテーマとなっていることがあげられる。また、医療費の1割近くが脳卒中治療に費やされており、日本では患者の4分の3が脳梗塞であるという点もあげられる。

質疑応答

(質問)
発症から3時間以内という基準は、脳梗塞などの場合はいつ発症したのかが把握しづらいため、基準として用いるのは難しいのではないか。
(回答)
救急センターの場所などにより議論が異なる可能性もあり、現時点では明確に議論されていない。
(質問)
灌流画像や拡散強調画像などはソフトであるがソフトの評価を行うのかハードの評価を行うのか、また、ソフトの優劣の差をどう捉えるのか。
(回答)
ソフトだけではなくソフトとハードを合わせた評価を検討し、また、灌流画像の点で言えばメーカー間による標準化の動きもあり、その点なども含めて整理する予定である。

配布資料(虚血性心疾患に関する冠動脈CTアンギオグラフィーの評価(仮))に沿って、在日米国商工会議所より説明

CTは、近年の技術進歩により、従来のX線による撮影と同等な画質を持ち、また、短い検査時間や侵襲度の低さなどを特徴とした心臓の三次元画像が可能となっており、医療経済学的な効果が期待できる。
この診断技術の経済評価の検討においては、虚血性心疾患の患者を対象と考えている。また、この有効性評価の方法では、心臓カテーテル検査との比較で、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)やPTCA(経皮的冠動脈形成術)、CABG(冠動脈バイパス術)に対する、在院日数、合併症、患者QOLなどの測定を行いたいと考えている。

質疑応答

(質問)
評価を行うためには、病院間の差を考慮する必要はあるのか。
(回答)
病院毎の要素、特に技術や技能などを含めて検討しなくてはならないと考えている。

※今後の展望について

厚生労働省

今後、平成20年度の診療報酬の改定に向けて、医療機器の価格設定は大きな議論になっていくと考えられるため、より良い医療機器、革新的な医療機器の評価方法を提示していただくことを期待している。

経済産業省

各国の状況も踏まえて現状を把握してきたが、コンセプトの設定に各国も悩んでいる点であると言える。関心が高まる分野であるため、来年度以降、分野を定めて、より具体的な内容で進められるよう期待している。

 
 

最終更新日:2006年4月26日
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