経済産業省
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総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会(第9回) 議事要旨

日時:平成18年3月29日(水)14:00~16:00

場所:霞ヶ関東京會舘 ゴールドスタールーム

出席者

委員

田中部会長、秋庭委員、秋元委員、井川委員、伊藤委員、 植草委員、内山委員、大橋委員、長見委員、河瀬委員、 神田委員、木場委員、木元委員、河野委員、児嶋委員、 齊藤委員、佐々木委員、末次委員、末永委員、杉江委員、 鈴木委員、武井委員、築館委員、殿塚委員、内藤委員、 中島委員、松村委員、山地委員、山名委員、和気委員

事務局

小平資源エネルギー庁長官、細野資源エネルギー庁次長、 菅原電力・ガス事業部政策課長、 野口大臣官房参事官(原子力立地担当)、 柳瀬原子力政策課長、櫻田核燃料サイクル産業課長、 後藤電力基盤整備課長

オブザーバー

文部科学省研究開発局原子力計画課 中原課長 経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部鉱物資源課  朝日課長 経済産業省貿易経済協力局貿易保険課 富吉課長

関係者

大西次長(国際協力銀行)、 逆瀬川理事((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構)、 鈴木社長(三菱原子燃料工業(株))、 鈴木副社長(日本原燃(株))、船矢部長((独)日本貿易保険)

議事概要

(1)冒頭

  • 柳瀬原子力政策課長より配付資料の確認の後、関係者としてご出席いただいた方々とオブザーバを紹介。

(2)原子力産業のあり方について(前半)

  • 柳瀬原子力政策課課長より、資料1-1「原子力産業のあり方について」P.1~P.4、資料1-2「原子力産業の全体像」について説明。
  • 各委員からの意見。

○プラントメーカとしては、基本的に資料のとおりの認識。エネルギー安定供給確保や環境問題への対応として、原子力発電の重要性が高まる中、発電プラントのみならず、濃縮、転換、燃料加工、再処理を含めた原子力産業全体が国際競争力を持つ健全な事業活動を展開することが重要。原子力はプロジェクト規模が非常に大きく、開発に相当な時間を要するので、中長期的な見通しをもった事業展開が必要。原子力政策大綱が策定され、本部会で方針の具体化のための様々な課題について議論され、原子力の見通しが明確になることは、たいへんありがたく、また期待したい。原子力産業は発電プラントの建設、メンテナンスを考えても、非常に裾野の広い産業であり、安全性と品質の高い原子力製品を提供し、人材と技術の維持を図っていくためにも、安定した仕事の確保が必要。これについては関係者のご支援をお願いしたい。

○原子力発電所の建設は、かつては大電力を発電し、良いものを作ることが重要だったが、ここ数十年で状況は変わり、建設だけでなく運転期間中も通した見方や、開発途上国への輸出を考えると、どのような形で産業を興し、人を育てるか、という側面もあり、高経年化や規制の問題も複雑に関係しているので、メーカが良い設計をして、良いものを作る、という判断をするだけでは、実際の設計、建設とはそぐわない。多面的な見方が重要。オールジャパンとしてわかりやすいものを次世代炉で作るのであれば、競争だけでなく、少しまとまって一つのものを作ることも必要。輸出を考えるのであれば、アメリカや東アジア諸国をターゲットとして、WIN-WINの関係を築けるよう相手のメリットを考える必要がある。近年、ナショナリズムが再び台頭しているように思うが、それに変な巻き込まれ方をせず、最近の合従連衡傾向を反映して、アメリカに注力しながらブランドを確立することが望ましい。

○資料にある分析は非常に良い。海外の原子力産業が寡占化している中、日本の原子力産業が生き延びるには、中国だけでなく、メーカ、国、電力が一体となって、アメリカに向けて働きかけることが必要。

○電力としては、世界的に汎用性の高い技術を開発・保有している、国際競争力を持った国内メーカの存在が必要。電力のニーズを今まで以上にメーカに伝えることが重要。当面は、来年度以降予定されている次世代炉のフィージビリティスタディに対して、ユーザ側の意見を提示することで協力していきたい。また、既設炉のメンテナンス需要の中長期的な発注見通しを提示し、プラント輸出に関しては、輸出先への運転ノウハウの伝授等のニーズがあれば、協力していきたい。

○アメリカへの対応に軸足を置くことには賛成。アメリカ、日本、フランスの3か国が世界をリードしながら、原子力平和利用の秩序を作ることが望ましい。アメリカの出したGNEP構想についても、日本はサービス供給国側に組み入れられており、日本の実績がそれだけ認められているということ。それを保持するためにも、国際的な政治的リスク等に耐えうる競争力を持つ、一定規模のシステムを持つ必要がある。システム全体として、日本がサービス供給国の最低条件を保ち、他の供給国とも国際的な関係を築けるようになることが、国全体がこれから原子力に軸足を置いていく上では重要。政策的なリードをお願いしたい。

○今日の資料の分析はたいへん良くできているが、原子力産業の全体像を見る時には、中心に心臓部である原子力発電所、電力会社をもってくるべき。原子力産業全体の強化、国際競争力を強化した上での海外展開を主張するには、もう一度電力会社が主導性をもつ必要がある。全体として、電力会社のコミットメントが弱いと感じるので、今後の姿勢を明確にすべき。海外において、これだけ寡占化が進んでいるのだから、国内の原子力産業の構造も寡占体制にするなど、今後の体制の議論をすべき。

○本日の資料で印象的だったのは、輸出面での日本のプラントメーカの実績が乏しいこと。アメリカでは1社だが、日本には3社があっても良いのではないか。3社の原子力分野を一本化するようなアプローチもあっって良いのではないか。

○提案されている様々な原子力産業への支援策については、ぜひ、推進していただきたい。国が明確な目標を示して、業界をリードしていくべき。前提として、原子力そのものへの理解を深めることも必要。産業の活性化には、産業そのものやそれを支える企業の知名度も重要。働く人々のモチベーションも高まる。そのためにも、具体的な数値目標を掲げて国民や事業者にアピールしていくことが必要。

○これだけ包括的に原子力産業の議論をまとめたことを評価。日本のプラントメーカは個別には長期的な戦略でやってきたと思うが、今後は三者間で役割を決めながら、全体の戦略を話しあって欲しい。重要なことは、ここ10年程度である程度の基数を作ることがベースである、ということで、国と電力で共通理解をもっていくことが必要。対外戦略については、国が腰を入れてやっていくことは極めて重要。アメリカと違って、中国その他に出るときには、国のバックアップが不可欠。

○技術者の立場としては、しっかりした技術力を持った技術者が日本に安定的に存在し続けること、技術が継承されること、そのような技術者が社会の一部として原子力を安全に維持する文化があることが重要。  技術者の雇用窓口など日本国内に技術者を確保する産業体制が必要。そのために新規建設の目標が必要であり、国内と海外戦略を分けて考えるに、国内プラントを考える際には、規制側の合理化や共通品質保証、技術者の有効利用など、統合的なアプローチが可能。海外輸出では、コスト競争力についてはかなり厳しいと思うが、アメリカと重点的に組むとなると、コストダウンが最重要目標になり、産業が空洞化することを懸念。技術倫理、安全文化、技術継承を維持していくためにも、しっかりした学生を受け入れる産業体制の構築を総合的に判断して、海外戦略に打って出てもらいたい。

○まずは今後10年の国内市場に対して、安全性、環境性について世界第一級の炉を提供することを基礎とすべき。同時に国際市場で日本のABWR、APWRなどについて、国際ブランドを手に入れるための国際展開が必要。国際市場において、日本の原子炉が実力相応の評価を受けていないのは、核燃料サイクルサービスを提供している国かどうか、安全保障上外交的なサービスが確保できるかどうか、という計算が絡み、純粋な産業力以外のファクターでも評価されるため。国と民間を挙げて、炉以外の周辺的な部分でも一流になるよう仕上げて行くのか、選択しなければならない。リプレース炉・次世代炉の開発については、外国のブランドを使ってでも進めなくてはならないが、多額なR&D費を使用するのに、BWRとPWRの二つの型を残したままでいいのかどうか、議論が必要。

○国際競争力を持続的に有する必要があるのであれば、もっと具体的に考える必要がある。例えば、核燃料サイクル政策は国内の自主性の確保を目的としているため、再処理事業やウラン濃縮の規模は国内の需要に合わせている。そのため、海外事業者とのスケールの差があり、不利になっている面もあるのではないか。再転換にしても国内需要に必要規模の整備はなされていない。国際的な視野に立っていこうとする前に、国内需要への対応が既に遅れているように思うので、まだ国内の問題を考えることが必要。国・事業者が各業種の国際競争力の現状を分析し、事業者を縛りつけることのないように、システマチックな目標を立てておくべき。原子力政策大綱では原子力発電についての明確な目標が立てられていたが、原子力部会では核燃料サイクルについての一定の目標を設定しても良いのではないか。今後、原子力部会等々において決定された方向性がどのような形で推進されていくのか、お聞きしたい。

○メーカ、電気事業者、国は、私のイメージでは、二等辺三角形ではなく、適度な緊張感をもった、正三角形を結ぶものと思っている。ここへ国民の理解という頂点が入ることで、正三角錐となり、どう転んでも国民が頂点の一つとなるので、その理解や同意を得ることが必要不可欠になる。そんなイメージを持っている。

○プラントメーカ3社が国益を持って競争力のある産業に集約をする、という原点に戻って欲しい。買収等の報道が全て本当であれば、集中的にやっていかなければ時間がかかるのではないか。また特にコストダウンを考えるのであれば、規格が統一されていないことの差も大きいので、一本化によって標準化の徹底とコストダウンが実現できる。受注のやり方にも問題がある。

○原子力産業が一定の力を維持していくことが重要で、メーカ・国・事業者が協力してやっていこう、ということだけで、どういうふうに維持していくかがほとんど書いていない。原子力発電所を作れば儲かって、部品を専門的に供給する産業形態にしたり、メンテナンスをやるだけでは儲からない、というが、それが具体的にどのくらい儲かる、儲からない、という話なのか、これからいくつ作る当てがあるのか、という事が全くわからない。原子力産業がどこを目指していくのか、ということを今後も具体的に説明していただきたい。

○個別企業の経営戦略や商売の話については、この場の議論ではないので控えたい。世界で寡占が進んでいるのは、1980年代以降、日本以外でプラント建設が無かったため。日本では、国と電力会社の計画により、仕事が安定的に確保できたことで、現時点で技術・人材面で健全な事業が維持できている。今後も一定程度の仕事が確保できればありがたい。20年前にスタートしたABWR、APWRという日本ブランドができてこなかったのは、出て行くマーケットが世界になかったからであり、日本に型式をブランド化する仕組みが欠けていることも原因。アメリカではデザインサーティフィケイトという設計認証システムがある。日本はアメリカの設計認証をとらねばならず、よしんば取ったとしても、ニーズがないまま今に至っているのが実態。ABWRの国際競争力についてだが、従来の軽水炉をジェネレーション3とすれば、ABWR、APWRは、それを超えた世界トップの原子炉システムであるが、かなり昔のニーズで開発がスタートしており、経済性で海外と戦えるかといえば、やや不十分。経済性と資源の有効利用性を突き詰めた、発展型のジェネレーション4につないでいく必要がある。海外ではABWR、APWRを超えるAP1000、ESBWRといった軽水炉の開発が進められているが、日本の技術でこれらに打ち勝つ原子炉システムを開発することが必要。アメリカ市場に対しての個別の議論は差し控えるが、日本の各社がアメリカのパートナーと組んで、新たな中核的な技術を担当しようと個別の動きがあるところ。今後とも社会的な使命・責任を持って事業活動をしていきたい。

→(柳瀬原子力政策課長より)
 国内メーカ3社を1つにという議論があったが、単純に国境線の内側 で規模を大きくするだけでは、国際競争力上マイナスになりかねないので、どういった炉で勝負し、どのマーケットを狙うかを先に考えた上で、それを実現するための組合せを考える、という順番でいくべき。海外マーケットを狙う上でサイクルサービスの提供と安全保障の政策パワーとを動員せよとの指摘があったが、この一年で国は原子力産業の国際展開を支援するという方針転換をしており、実際に中国に対して意志表明を行ったところ。ベトナム・インドネシアに対しても来年度予算を新規にとって支援するという手当をしている。フランス・ロシアがやっているからといって、使用済燃料の引取りや再処理を行うのは本末転倒。まずは国内のサイクル事業をきっちりやることが先決。原子力部会で決めたことについては、まずここで具体策について議論し、例えば次世代軽水炉の開発、現場技能者の育成、ベトナム・インドネシアへのノウハウ支援のように、有る程度固まった内容については、予算措置や制度改正等の手当を行っている。最終報告に向けて、まとまったものは随時政策として実現し、原子力委員会にも報告して議論に反映していただく予定。

  • 一点、委員より補足

○経済性の議論について日本の建設単価が高い、という数字が独り歩きしているが、中味をよく揃えずに議論するのはミスリーディング。実際問題、海外のプロジェクトと遜色ない勝負もした実績があり、コストという場合にも規制やスペックによって影響を受けるので、一概にキロワットいくら、という比較は不適切。今後の次世代炉のターゲットはさらに高い経済性、資源の有効利用、廃棄物、使用済燃料の削減というニーズがあるので、それに応えるような、我々の創意工夫を結集したシステムを開発したい。

(2)原子力産業のあり方について(後半)

  • 櫻田核燃料サイクル産業課長より、資料1-1「原子力産業のあり方について」P.5以降、資料1-2「原子力産業の全体像」について説明。
  • 関係者より発言

○濃縮事業については、他のいわゆるGNEP5カ国と異なり、当初から 平和利用目的で濃縮事業を進めてきたことが、実はハンディキャップとなっている。新型遠心機に関しても開発に10年を要しており、投資回収等、事業の成立性には神経を使う。遠心機開発、カスケード試験に関する支援は今後も是非お願いしたい。再転換についても今後、事業規模拡大やMOX燃料加工開始による需要拡大など、重要な課題になっていくと認識。バックエンド費用については電力会社との検討課題と認識。回収ウランの活用、利用については、新型遠心機の対応可能性の必要があり、まずは計画中の濃縮事業計画を進めることを第一とした上で検討することとしたい。

○燃料加工業は、再転換も含めて核燃料サイクルの中でも埋没してきた感があったが、今回取り上げていただき、一定の指針を示していただいた事は歴史的な出来事と感じており、深く感謝したい。再転換についてだが、燃料加工全体がエネルギーセキュリティの中で重要な役割を果たしているという意識をもって働いている。現在、再転換の自給率は40%という状況であり、再転換の自給率を今後どの程度まで高めていくか、ということは六ヶ所の再処理、濃縮の進展とも密接に関連する重要な問題。需要に対する長期戦略を作る必要があり、国際競争力も大事。少なくとも日本の燃料品質は世界でもトップクラス。今後も議論が必要。  ウラン廃棄物については、クリアランスレベルの決定と国民からの理解をいただく事も含めて議論していただきたい。現状、10年分程度の貯蔵能力があるものの、早急に対応しなければならない問題。業界一体となって研究しているところであり、議論が必要。

  • 各委員からの意見

○この資料は良くできている。原子力発電の競争力を高めること、最終的には消費者に安くて安定した良いエネルギーを供給するという目標を持つことを、まず考えていただきたい。また、この資料で提示されている支援策が発電コスト上昇につながらないように配慮が必要。そのためにも、技術開発の必要性を強調したい。日本がやってきた技術開発が本当の競争力につながっていない事が問題。MOXも再処理も日本の研究開発は実際の事業に採用されず、海外から輸入していることを明確に自覚して、軽水炉の次世代炉も含め、技術開発をやっていくべき。廃棄物と、使用済燃料の貯蔵も原子力産業の全体像では非常に重要な地位を占めるので、その部分の体制論も必要。核燃料サイクル戦略を考えると、核不拡散上の意味が非常に強い。一国では難しいので、核不拡散を優先した多国間協力の方向に行く中で、使用済燃料や廃棄物処理処分についても戦略的な考え方で進めていくということではないか。フロントエンドの原子力発電の競争力問題と核燃料サイクルの国際的体制の動きとは異なる方向に行く可能性がある。

○今日の資料は原子力産業について細かい点まで非常によく考えられている。劣化ウランの取扱いや、ウラン廃棄物、クリアランスレベルの問題について、今後、是非取り扱っていただきたい。

○原子力産業が目指すべき方向という視点からコメントしたい。核燃料サイクルは成長期に入っており、まずは技術的な信頼性と安全性の確保が何よりも優先すべきこと。その次のステップとして、国際競争力のあるコストでの確立。自由化の流れの中で、電力産業はコストの安い方を選ぶと思われるので、国内市場の確保も非常に大事な問題。プルトニウムの利用について、基本的方向は原子力政策大綱でも決まっているが、昨今のウラン価格の上昇によって、濃縮価格も影響を受ける。また、2015年頃にはウランの需給逼迫も非常に厳しくなってくるので、ウランは有る程度備蓄だという考え方が必要。とかく厄介者扱いされがちだが、ウランの有効利用という視点から、回収ウランなどは中間貯蔵と同様の見方をして欲しい。原子力発電プラントについては、既設炉のリプレースと新規発電プラントの記述が多いので、既存プラントのメンテナンス技術の高度化と廃炉技術の確保についても触れて欲しい。

○濃縮、再処理、MOX燃料加工、次世代再処理技術開発など、国や原子力研究開発機構が支援または関与すべき、と書かれている分野について、ぜひ実際の支援、関与をお願いしたい。

○回収ウランの海外提供を検討すべき、というところについて、核不拡散体制下では二国間協定等によって、元々の資源提供国や濃縮サービスの提供国の同意を求められるのではないかと思うが、どう考えているのか。また、原子力のメリットとして、リサイクルによってエネルギーセキュリティの確保することを強調しているが、ウランを海外に提供するのであればその点の論理的整合性はどうとるのか。同様の議論が劣化ウランについても言えるわけだが、大量に発生する劣化ウランの量的バランスを考慮して、どう対処するか。リサイクル性によって原子力のエネルギーセキュリティ上のメリットを活かすということと、回収ウラン・劣化ウランの対処との間の理論的整合性をとっていただきたい。

○同じく回収ウランについてだが、天然ウラン価格がポンド40ドルまで上がっており、濃縮の役務価格が100ドルを超えることが多いということなので、一昔前、回収ウランの再濃縮利用は経済的に見合わないと言われてきたが、今はむしろ、海外の再濃縮プランを使えば、経済的にも何とかなるぐらいのところまできている。そうなると、海外に備蓄している7,000トンの再濃縮利用は、積極的にビジネスライクにやっても良いのではないか。そうするのであれば、国としてはロシアやカザフスタンと何らかの外交的措置が必要になるので、積極的に支援していただく。これは、我が国のエネルギーセキュリティを高め、濃縮ウラン市場に対するバーゲニングパワーにもなる。次に濃縮規模についてだが、回収ウランの利用やプルサーマルをやると、濃縮ウランの需要が多少下がる。海外の濃縮価格や天然ウランの高騰、今開発中の新型遠心機のコストがどの程度になるかということを含め、今後、多少原子力発電規模が増えることを考えると、従来1年で4,400トンSWUに対して、1,500は日本で持つという方針だったが、全体的な役務量が多くなるので、枠組みがかなりフレキシブルになる可能性がある。そうなった時、国内濃縮の最適規模は、刻々と変わる条件に応じて考え直す時期にきていると思う。再処理については、我が国は技術的にGNEP対応をしていかなければならないことは間違いない。文科省ベースでは、FBR再処理の技術を使ってGNEPに供給するという議論をやっているが、軽水炉の再処理技術としてどう対応していくか、という技術的検討がまだ不足している。民間のメーカから次世代再処理技術のさまざまなアイデアが出ているので、こういった新技術の提案をGNEP対応のような形で開発に向けていくべき。

○資源開発について、具体的な枠組みが見えてきたことについては、前回の討議から前進しており、たいへん感謝したい。資源確保は非常に重要なことであって、エネルギー資源の保有率が現状15~16%程度しかない。これを2030年までに40%に上げたいという数値目標を経産省の別の部会で掲げる話が出た。目標の達成には、日本が積極的に資源外交に踏み出す必要があり、政府がその姿勢を示してくれることは、たいへんありがたい。核物質であるウランは他の金属鉱物資源と異なり、国際管理下に置くことが必要で、需要家は電力会社しかないので、民間の論理だけに頼っていても、供給保障を果たすには不十分。国の立場に立った安全保障論理が必要。また、ウランの備蓄効果も重要。ウランは燃料として使用しながら、3,4年の備蓄効果にもつながるが、こういった備蓄効果は外部コストとして価値体系の中に組み入れられていない。エネルギーセキュリティを考える上では、備蓄効果の価値を換算することも必要。石油備蓄コストに見合うウラン資源開発費は供給保障の根幹なので、国の支援する理由としても合理的。資源技術については、人材確保という面で、他の分野に比べても非常に惨めな状況。動燃からサイクル機構に組織替えされて以来、全く国内で人材が育っていない。民間の活力が利用できればそれに越したことはないが、海外で日本が権益を持っている鉱山についても、実際のオペレーションは海外の鉱山会社に任せていて、日本の技術者が現場操業や技術開発に関与していないのが現状。昔の動燃のように日本の技術者が出て行くことが必要だが、民間資源会社の枠組みだけではできない問題なので、例えばJOGMECに出向して海外で研修を重ねるなどして、将来の資源外交で海外と太刀打ちできる技術者を育成することが必要。回収ウラン、劣化ウラン、プルトニウムも長い目で見れば長期的な備蓄資源。供給保証能力、資源のバーゲニングパワーという意味で、国の貴重な戦略資源である、という考え方も必要。技術移転については、基礎研究は国、実用化段階では民間、というリニアモデルで研究開発が行われてきたために、開発という面で穴が開いた。技術を民間に渡して実用化になってから、本当の意味での研究開発が始まるので、その時点での支援研究や革新技術に対する研究を、むしろ強化した形で、国が民間とともに進めていく枠組みを作っていただきたい。新機構の中でもその枠組みがうまく見えてこないので、施設的・予算的・人材的にもきちんと確保できるような仕組みを考えていただきたい。

○濃縮・再転換については今後も国でウォッチしていただきたい。燃料分野はあまり日は当たらないけれども、なければ原子力は動かないものなので、一定程度の経営がうまくいっているかどうか、業界について常々把握し、必要とあらば高度化に対して国が支援することも含めて、円滑な業界の運転、操業を見守ってほしい。

○濃縮は9割が外国ということだが、濃縮のコストがどのくらいになるのかが資料からはわからない。新型遠心分離機ができるとその程度のコストダウンになるのか、などのデータができれば欲しい。日本原燃に対して、2分の1の補助金を出していくということで、今年度は29臆円、来年度は10億円ずつ足していって、1,500トンスケールでやっていくということだが、GNEPの考え方の中で、濃縮ウランの供給、再処理の責務が日本に来るとすると、このスケールでは足りないのではないか。もっと濃縮規模について具体的な議論をする必要がある。

○原子力産業の全体像の話が出たが、JCO事故の時もこのような全体像を作り、原子力産業全体で安全性を確保する体制を作るべき、と提案した。安全体制について記述が無いので、言及しておいて欲しい。

→(櫻田核燃料サイクル産業課長より)
 濃縮の技術開発の価格目標については、具体的な数値は差し控えるが、国際価格並みということで、目標設定を考えている。何人かの方々から濃縮・再転換等について事業毎の目標規模を定めるべき、とあったが、濃縮については実際の技術開発が今後どう進むか見極める必要があり、再転換についても関連して需要がどう動くか見極めることが必要。
 現時点で具体的な数値を出すことには議論もあると思うが、関係者で議論の必要がある、ということで今回議題に提示した。サイクルの各事業分野については、海外市場への展開をどのようにやるか、というプラントメーカの議論とは異なり、まず国内の需要をどのように賄うかを優先して考えてみた。いずれにしても国内のエネルギーセキュリティの確保が最初の目標ということを踏まえ、最終的な報告をまとめたい。

→(柳瀬原子力政策課長より)
 かつては、世界の核不拡散体制の中、燃料は広がらない方が良い、という発想だったが、世の中の動きが変わっていて驚いた。当時GNEPの前哨戦として燃料供給保証構想があり、現に燃料を供給している6か国だけで途上国への燃料を供給するという話になっていた。日本は燃料供給に協力することは歓迎されたが、肝心の燃料を持っていないので参加できない、と評価されていた。欧米は、兵器用の高濃縮ウランから輸出用ウランの提供を考えていたが、日本の回収ウランは国有財産ではなく、民間財産だということで配慮したのが本日の資料。ウランをリサイクルして備蓄することと海外提供との関係についても同じ背景になるが、タイムラインの話であり、世界が動いているときに日本として即効性のあるもので何が出せるかというと、英仏にある回収ウラン、となる。燃料供給保証体制について、日本に本格的な依頼があった時、備蓄だから50年間、一切国外へは出さない、ということではない、と考えている。

(3)その他

○事務局より次回以降のスケジュールの連絡。

  • 第10回は4月18日(火)14時より。議題は、広聴・広報のあり方、国と地方のあり方について。
  • 第11回は5月30日(火)14時より。議題は、原子力と自由化についての2回目と、高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズIIの結果についての議論。
    第10回、第11回ともに、開催場所は霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム。
(文責:事務局)
 
 
最終更新日:2006年6月15日
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