経済産業省
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総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会(第10回) 議事要旨

日時:平成18年4月18日(火)14:00~16:20

場所:霞ヶ関東京會舘 ゴールドスタールーム

出席者

委員

田中部会長、秋庭委員、秋元委員、井川委員、伊藤委員、 植草委員、内山委員、大橋委員、長見委員、河瀬委員、 神田委員、木元委員、神津委員、河野委員、児嶋委員、 齊藤委員、佐々木委員、末次委員、末永委員、杉江委員、 鈴木委員、武井委員、築館委員、殿塚委員、内藤委員、 中島委員、古川委員(田代代理)、松村委員、森嶌委員、 山地委員、山名委員

事務局

小平資源エネルギー庁長官、細野資源エネルギー庁次長、 野口大臣官房参事官(原子力立地担当)、 安達資源エネルギー庁電力・ガス事業部長、 後藤電力基盤整備課長、柳瀬原子力政策課長、 櫻田原子力立地・核燃料サイクル産業課長、 成瀬エネルギー情報企画室長、 岡野原子力発電立地対策・広報室長

オブザーバー

内閣府政策統括官付 戸谷参事官
文部科学省研究開発局原子力計画課 中原課長

議事概要

(1)国と地方について

柳瀬原子力政策課長より、資料1「はじめに」、資料2「国と地方の信頼関係の強化」について説明。

各委員からの意見。

  • 全般的には地方の意見が取り込まれているものと評価でき、概ね賛成である。
     国の「地方」という言葉の概念における市町村の割合については、「知事など」を「知事はじめ立地市町村の」にするなど、市町村にもう少し重点をおいて頂きたい。また、敦賀市も地域住民との懇談を行っているが、行政の中だけの議論では気付かないような意見が出てくることがある。国においても、今後も住民との対話を続けてもらいたい。国の検査に地方が立ち会うことについては、国の安全確認に加え、地方の安全確認が行われていることが、住民の深い安心につながると考えている。随行でもよいので検査現場に行かせてもらい、国の検査について住民に対し報告させて頂きたい。地域振興への不満については、固定資産税に係る減価償却制度の撤廃及び耐用年数の見直し、高経年炉の運転継続、電源三法に係る一般会計の直入体制の可能性、サイクル交付金の市町村への配分等の問題などがある。また、玄海のプルサーマルについて、立地地域同士互いに連携を持ちながら地域対応をとってきており、トップランナー方式をとられてしまうと、その結束が薄れてしまうことになる。全原協としてはこれを国に謙虚に受けとめてもらいたい。
  • 国が前面に出るという提案には賛成である。「もんじゅ」の改造工事の判決が下される前、旧サイクル機構が県や地元に対し説明を行った際に、文部科学省研究開発局長が説明会に出席し説明してくれたことにより、国と地方の信頼関係が築かれたものと感じている。また、国の検査に立地地域が立ち会うことは非常に良いことだと考えている。国と地方の信頼関係の上で行われれば、二重、三重の規制となることはないのではないか。
  • 青森県民としては、本資料に提案された政策を今後どう実施していくか、中身の詰めが必要である。六ヶ所の再処理工場は3月31日からアクティブ試験に入っている。これに先立ち、県は、県民、地元住民への説明会を実施しており、国の担当官も必ず出席し、政策及び安全規制について詳細に説明してくれた。国の貢献には感謝をしており、国の役割が明確になったと思っている。明確な役割分担の上で、国、事業者、地方自治体の間での信頼関係を築いてもらいたい。広聴・広報については、地元のニーズを知ることも当然であるが、核燃料サイクルの世界動向、高速増殖炉の動向、核不拡散の問題などの原子力政策上、重要な事項を国が示し説明することが重要であると考えている。
     また、隣接地域からアクティブ試験についての説明を求められ、これまでに説明会を2回開催しており、国の担当官にも参加頂いている。さらには隣々接地域からも説明を求められている状況であり、事業者だけでは対応できなくなっている。立地当該県については事業者が、その他の県については国が責任をもつべきであると感じている。
  • 事業者の立場の意見を述べれば、国に求められることは地域毎bに異なるが、基本的な事項としては、国と地方と事業者の協力である。そのためにも国、地方、事業者のコミュニケーションが大切であり、地元住民の意見に耳を傾けることも重要である。発電所の職員が住民との対話を持つ取組を行っているが、安全規制における判断など当事者である事業者からの説明では限界があり、国からの説明が必要である。原子力には厳格な安全確保が求められており、また、国のエネルギー政策を基本として原子力政策に貢献しているという状況があるが、地方のニーズに応じた政策上の必要性や事業者の保安活動を国が責任をもって確認することを継続していくことが、住民の方々の理解を深めていく上で重要である。これまでも事故故障等があった際など、原因の究明と対策の妥当性について、県、地元に対し国から説明を頂いており、住民の方々の理解を深め、安全・安心につながっていくと考えている。
     今後とも安全運転はもとより施設情報の透明性の向上に努め、日頃から国と地域とのコミュニケーションを図ることにより、円滑な原子力の推進に努力をしていきたい。
  • 今回の資料は立地地域との関係に視点が置かれているが、他の地方自治体との関係も重要である。電力大消費地域である東京においては、エネルギー問題、環境問題に対する取組、住民への説明状況が全く見えてこない。立地地域は、風評被害など消費地域の反応を非常に気にかけている。消費地域の行政の役割も重要であり、立地地域と同じ目線で政策を考えることが必要である。原子力だけでなくエネルギーに対する総合的な考え方、環境問題に対する考え方にも取り組んでもらい、国が後押しする政策が必要である。
  • 信頼関係の強化のアプローチ方法として、ソフトなアプローチを挙げているが、ハードアプローチも必要であり、国策に関わるようなインフラ建設については、国と地方の役割分担を明確化することが効果的な場合もあると考えている。また、立地地域においては、国あるいは地方の資源が入っており、雇用創出効果、インフラ整備率、スピルオーバー効果、住民の収入増加状況など、アウトプットの分析に基づく評価があってもいいのではないか。さらに、立地地域に国などが支援を行っているのは我が国だけではない。同様な取組を行っている他国の施策状況と日本の特徴の比較を行った方が説得力は増すのではないか。ソフトアプローチについては、現実的かつ継続性がある点で評価するが、今後維持していけるのか懸念があるため、ハードアプローチについても、検討を進めておいて欲しい。
  • 地方には、国のエネルギー政策を踏まえた自主的な判断の下で実施にご理解を頂いていると考えている。従って、国と地方、各々の主たる目的は一致している。原子力推進の観点からは、安全と信頼の確保について役割分担を明確にし、実体的に取り組んで頂くことが大切である。国家戦略であると同時に個別政策であるとあるとのことであるが、国と地方の担当者が形にこだわらずに、本資料に提案されている取組を徹底的に実施していって欲しいと考えている。国が前面に出ることについては、二階大臣が六ヶ所再処理工場や玄海発電所を訪問した例など、現場のモチベーション向上につながっており、非常に評価したい。なお、全戸訪問については、重要かつ意味のあるものであるが、事業者の自主的判断により実施されるべきものであり、義務的に行われるべきものではない。地域ごとのコミュニケーションの取り方を行っていきたいと考えている。
     広聴・広報については、立地地域と消費地域の原子力への意識に格差がある。消費地域における広報こそが、国と地方が一体なって取り組んでいく上で必要があるものと考えている。
  • 国、地方、事業者の三位一体の関係の再構築の方向性として、国と地方の直接対話を強化していく、安全確保を共同で行うことが提案された。問題は、これらをいかに合理的な実施していくかである。地方と事業者が結ぶ安全協定は、運転停止の要求、運転再開への合意、検査への立ち会いなどの事項が盛り込まれている。これが、事業者と地域のきめ細かい対話の増強措置であればよいが、国の安全規制体系への不信に起因し、協定が事業者と地方の間の安全性のという本来の枠組みを超えて、経済資源の配分など国の統治システムに大きな影響を及ぼすこととなってはならない。
     また、直接対話などの取組が双方の権限強化とならない三位一体の信頼関係の再構築が必要である。
  • 現在建設中、着工準備中である原発13基の稼働を実現するためには、国と地方の信頼関係を強化する方法としてハードアプローチは選択すべきではない。また、直接対話も大切だが、大臣が地域に赴くならば、政治的形成が秘められていなければ、意味をなさない。本提案の具体的な検討を行い、実施していってもらいたい。
  • 本資料には事業者の取組が書かれていない。ここに記載されている事項は、本来、国は支援する立場であり、一義的には事業者が行うべきことである。事業者の取組を推進するような事項についても記載してはどうか。
     また、現状の地域振興を継続できるか非常に疑念がある。国から住民へのアプローチも大切だが、国頼りの傾向が散見され、住民が自ら自分の地域をどうしていくかを考える環境を作ることが必要。地域の方に幅広くより高度な発展をしていただくためには、地方自治体の方に留学制度を作るなど、住民への幅広い支援などについて考えて頂きたい。
  • 立地地域の方と消費地域の方と交流を図る活動をしているが、立地地域の方は国策に協力しているというプライドがあるように感じられたが、近年、国に頼るのではなく自ら町作りを考えていかなければならないという傾向になりつつある。自ら発言し、もっと情報を知りたいと考えるようになってきている。国が住民全員と直接対話するのは難しいので、オピニオンリーダーと住民が話し合う仕組みも大切である。また、「住民の方からの意見や質問に耳を傾け、これに答えることを主眼とし、国の担当者による資料などの説明は必要最小限に留めることを基本とする」というのは重要なことである。まずは住民のニーズとそれに対する対応について考えて欲しい。必要にてからの対応ではなく、日常的なコミュニケーションが大切。地元に常駐する国の広報官が日常的に情報提供を行い、信頼を得ていくことが大切である。
     また、韓国の中低レベル放射性廃棄物の処分地を見学して話を聞いたところ、周辺五キロ以内の住民が自ら交付金の使用用途を計画立てている。処分地が国民投票に非常に高い支持率を得たのは、自分たちの町作りを中心に実施していくということが寄与しているのではないかと思う。

(2)広聴・広報について

岡野原子力発電立地対策・広報室長より、資料3-1「原子力広聴・広報について」について説明。

成瀬エネルギー情報企画室長より、資料3-2「エネルギー広聴・広報・教育事業について」について説明。

木元委員より、資料3-3「木元委員資料」、広聴、広報の考え方、不正確な情報に対する対応について「もんじゅ」の記事を例に説明。

各委員からの意見

  • 全国の自治体を対象にエネルギー政策に関するアンケートを行った。回答は47都道府県すべてから回収され、市町村を含めた全体の回収率はほぼ半分であった。結果の1つとして原子力の情報に対して、立地地域では肯定的、消費地域では否定的となっている。大都市圏では、エネルギー政策、原子力政策についての認識が非常に低く、原子力広報としての問題が非常に大きい。立地地域では様々な方法で広聴・広報活動が実施されているので人々の認識が非常に高いという特徴がある。次に、情報提供の信頼度について、電気事業者と専門家に対する信頼度が非常に低い。根本的な問題は教育にあると思う。日本の教育活動において、エネルギー問題が重要視されていないのではないか。今後の教育活動をあり方が今後の大きな課題である。また産消交流活動の問題として、立地地域では産消交流をやるという意識が非常に高いが、消費地域においては、エネルギー問題そのものに関心を持っていないという実態がある。今後、立地地域と消費地域の交流をどう図るかを考えなければならない。交付金の問題についても、交付を受けている都道府県は、今後も交付金制度は重要であり、効率的・効果的に活用していきたいと考えている。一方で、交付を受けていない、大半の都道府県は交付金制度に関心がない。どのように全国民に理解してもらい、どのように活用したらいいのかを検討していく必要がある。
  • 間違った情報への初動対応の重要性についてもんじゅを記事の例に挙げられたが、誤った記事にはペーパーですばやく対応し、責任者同士きちんと見解を示しておくことが重要であること、広聴・広報の重要性を改めて認識した例であった。鳥取県方面地区のウラン残土問題を例にあげれば、反対派が抗議を行う都度、記者会見を行い、安全性の説明をしてきた。新聞はそれをほとんど取り上げない場合が多いが、間違った情報には毅然とした態度をとることが重要である。
  • NPOとして草の根活動をしている者としては、今回、草の根の取り組みが大変重要であり、適切な情報提供を行っていくことが必要と書いていただいたことは有り難い。
     原子力部会においては、原子力ありきで議論がなされているが、日常生活の中では、原子力に対して何となく不安というレベルで、原子力政策について論じるようなことがまだまだ少ない。少しでも正確な情報を伝えたいといろいろな活動をしてきているが、自分たちのできる範囲での小規模な取り組みであり、大きなネットワークとしていくことができない。それぞれの地域にはそれぞれの生活にあった活動をおこなっていることを踏まえ、地域の自主的な取組を尊重しつつ、国が支援してくれるとありがたい。そこから、政治的なものとは別に徐々に政策的な大きな情報について広報していけたらと考えている。
  • 今後の施策としてどうするかが重要。昨年の策定委員会で、広報予算の使い方について意見が出され、予算も削減されたと聞いているが、今日の議論を聞くと、やはりきちんとした予算をつけて、広聴・広報活動を積極的に行うことが求められているのではないか。特に、市民と話す機会が多いのだが、テーマは「原子力の必要性は何か」、「安全性はどうか」の2つに絞られる。必要性については政策担当課が説明して理性的に理解してもらうことになるが、安全性の説明は市民との対話も難しく、より重点をおくことが必要。政策的に予算を増やして広聴・広報活動を実施していく必要があると考えている。内閣府、経済産業省など、どういう組織でどう予算確保し、広聴・広報を実施していくかについて、次回あたりに説明していただければありがたい。
     また、原子炉等規制法が改正され、核物質防護の強化により原子力施設内部の情報の提供が制限される状況にある。情報の制限は住民の不安を招く。過度に情報を制限することなく、かつ適切にテロリスト対策で情報を制限するという、適切な基準を担当部署で検討していただきたい。特に住民の不安を煽ることのない情報公開のあり方を考えていただきたい。
  • 国への期待は、教育活動と広報活動の2点である。教育については、我々事業者も副読本の作成・配布、出前授業を実施してきているが、その範囲はまだごくわずかである。昨今のエネルギーセキュリティーや環境問題の重要性の高まりを踏まえれば、次世代を担う若者に関心を持ってもらい、理解してもらうということを、国としてきちんと踏み込んでいくべき時期にきているのではないか。我々事業者も理解増進に取り組んでいくが、文部科学省においても教科の中に取り入れるなどの体系的なエネルギー教育を本格的に検討していただきたい。
     広報については、一般国民が情報を入手する先はメディアが大半である。マスメディアの影響力の大きさを考えると、原子力の報道については、正確な事象を伝えて頂きたいところであり、事業者としてもわかりやすく丁寧な情報発信を心がけている。各種報道をみると、話題性が重視した報道に偏り、全体を捉えず一部の事象を大きく扱われ、結果として原子力が正確に理解されにくくなることがあるのではないかと危惧している。また、我々事業者としては、誤解を招く報道がなされた場合には、即座に当該メディアに対し申し入れを行い、説明に努めているが納得が得られにくい。そういった際は国にも積極的な情報発信を行っていただきたい。国が客観的な立場から説明を行うことによって一般の方々が正確に理解を深めることにつながるのではないか。さらには報道機関においても今後の報道のあり方について考えていただけるきっかけになるのではないかと考えている。
  • 地方新聞社の立場として、不正確な情報が報道されることがあるという点は耳の痛いことであるが、不正確な情報は許さないという、緊張感のある関係が築かれるのはいいことである。立地地域の地方新聞が、地方紙エネルギー勉強会をつくるなど学ぶ努力をしている。しかし、勉強不足とは言い換えれば情報不足ということである。東京に地方新聞の支社は60近くあるが、原子力スタッフをかなり置いているのは例外であり、東京での広告関係の出先としての機能が大きい。地方それぞれで、あらゆる機会を通して、地方での情報を伝えるような場を作ってもらいたい。
  • 反対派が海外の原子力反対派を国内の反対活動に招き入れ、宣伝活動を行うことがある。国内的な問題ではあるが広聴・広報活動における海外連携をお願いしたい。また予算について、一議員の一声で予算が左右されるのは広報の継続性に問題を生じる。広報は継続性が第一であるので、ビジョンをもって予算確保に望んでもらいたい。教育問題についても、文部科学省や中教審などに協力を依頼しており、総合学習などでエネルギーを取り上げてもらっているが、点と点の教育で線にはならない。
     学習指導要綱に盛り込み、教職員にエネルギー政策の必要性を示さなければ効果がない。具体的に言えば、環境とエネルギーは非常に関係深いものであるので、環境指導要綱を環境エネルギー指導要綱とするなどエネルギー教育を体系的に行っていってもらいたい。
  • 広聴を行った上での広報ということだが、非常に難しいと思う。一般の方が原子力政策の理解を得るためには、まずより深く情報を提供していくことが必要。広聴を行うとしても何を知りたいのかがわからないというのが現状である。学びたい人が知りたい情報をすぐに引き出せるような体制をしっかり構築することが重要である。
  • 教育は非常に重要である。文部科学省と経済産業省の連携のとれた教育活動を実施して頂きたい。原子力立地の地方自治体はエネルギー教育の先進市町村であると言えるような支援を行えば、これに倣う地域も出てくるはずである。

(3)その他

事務局より次回以降のスケジュールの連絡。

  • 第11回は、5月30日(火)14時より。議事は、原子力と電力自由化の2回目、高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究のフェーズIIの報告、本部会の報告書骨子(案)について。開催場所は、霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム。
  • 第12回は、6月16日(金)14時より。議事は、本部会報告書(案)について。開催場所は未定。
(文責 事務局)
 
 
最終更新日:2006年6月15日
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