経済産業省
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総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会(第19回)-議事録

日時:平成21年4月22日(水)13:00~15:30
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

議事概要

  • 田中部会長
    それでは定刻となりましたので、ただいまから総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第19回原子力部会を開催させていただきたいと思います。ご多忙中のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
    本日は約2時間半の時間をいただくことを予定しておりますので、できるだけ効率的に審議を進めていただきたくお願いいたします。
    それでは審議に先立ちまして、今回から新たに委員にご就任いただきました方をご紹介させていただきたいと思います。事務局からお願いします。
  • 高橋課長
    事務局の原子力政策課長高橋でございます。本日はお忙しいところをありがとうございます。新たに委員になられた方をご紹介させていただきます。原子力発電関連団体協議会会長兼石川県知事の谷本正憲委員に新たにご就任いただいております。本日は、所用のためにご欠席でございます。なお、これまで本部会の審議にご尽力いただきました村井委員は、ご退任になっておられます。現在の委員名簿につきましては、資料1として配布をしておりますので、ご覧いただければと存じます。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。なお、本日は所用のため、井川委員、宇佐美委員、内山委員、大橋委員、金本委員、河瀬委員、木場委員、鈴木委員、谷本委員、寺島委員、松村委員、和気委員がご欠席となっております。続きまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
  • 高橋課長
    本日はお手元に座席表、議事次第、出席者名簿のほか、資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、資料4、資料5-1、資料5-2、資料6、合計11点の資料をお配りしております。不足あるいは乱丁等ございましたら、お知らせいただければ事務局の方で対応させていただきます。よろしくお願いいたします。
  • 田中部会長
    よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。議題(1)といたしまして「新増設・リプレースの円滑化と既設炉の活用について」でございますが、まず事務局からご説明をお願いいたします。

新増設・リプレースの円滑化と既設炉の活用について

  • 高橋課長
    それでは、ご説明させていただきます。前回の原子力部会で、今年の夏ごろまでをめどに、原子力発電の推進強化策をとりまとめたいということでご議論いただきまして、本日はそのうち「新増設・リプレースの円滑化」および「既設炉の活用」をテーマにご議論いただければと思います。
    資料2に今後の全体のスケジュールをお示ししておりますが、今申し上げました点について本日ご議論をいただきました後、大変恐縮ですが、5月にもう一度、この部会で核燃料サイクルの推進、国民との相互理解、それから地域共生ということを主なテーマとしてもう一度ご議論いただきまして、それらのご議論を踏まえた上で、6月に原子力発電推進強化策をとりまとめたいと考えております。全体の流れはそういう位置付けの中で、本日のご議論・ご審議をいただければと考えております。
    それでは本日の中身ですが、資料3-1に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。これは事務局で整理いたしました新増設・リプレース、および既設炉についての論点メモでございます。これに限られているわけではございませんので、委員の先生方のご意見を合わせていただければと思いますが、一応、論点ということで提示させていただいております。
    まず論点の一つとして、将来の電力需給に対応していくということで、新増設・リプレースを進めていくということですが、四角の中に書いておりますように、原子力発電は非常に地球温暖化対策として重要であり、エネルギー保障・セキュリティーについても重要であるということで、引き続き基幹電源を担う。それで2020年を目途に、「ゼロ・エミッション電源」を5割以上にするという目標に向けて、発電比率を向上させていくことが課題となっております。
    一方、電気事業者におきましては、将来の電力需要の伸びに適切に対応できるような電源開発を進めていくことが求められておりますが、一方で需要面では更なる省エネルギーを進め、あるいは、供給面では太陽光発電の大量導入を政策的に進めておりますので、将来の電力の需要と供給がどういう形になるのかということについても非常に不透明で、予測が非常に難しいという状況になっております。そういった中で、長期的な視点に立って、長いリードタイムを要する原子力発電を着実に開発していくためには、そういった投資に伴うリスクについて対応できるような、原子力発電の運用についての柔軟性を持たせていくことが重要となると考えられるということで、幾つかの論点を示しております。
    ちなみに、この点につきましては、資料3-2、横長のパワーポイントの資料を参考にご説明させていただきたいと思います。これは現在、政府で地球温暖化対策に向け、中期目標について議論が進められており、それを整理したものです。
    2ページ目に、中期目標検討委員会で提示された複数の選択肢(1)~(6)を示しております。長期需給見通しに基づいた努力継続ケースが(1)です。(3)が最大導入ケースを基本とするもの、それから例えば(5)はさらにそれを強化するものといったオプションが今議論されているわけですが、ここでは細かな内容の説明は省略させていただきたいと思います。
    3ページをご覧いただきますと、それぞれ今申しました選択肢の(1)(3)(5)について、2020年までの電力需要がどのように推移するかということを書いております。努力継続ケースですと、電力需要はまだ右肩上がりで伸びていくという形になっておりますが、最大導入ケースをより強化するケースの場合には、電力需要が減ってくるという状態になっています。一方、供給側では太陽光発電が大量に入るという中で、原子力を着実に進めていくためには、やはり原子力の導入に当たってのさまざまな課題について、一つ一つきちんと丁寧に対応を考えていく必要があるという問題意識でございます。
    資料3-1にお戻りいただきまして、その各論ですが、一つ目が「リードタイムの短縮」です。これはご承知のように、原子力発電は、計画から実際の運転開始まで非常に長期の時間がかかるということですので、これをできるだけ円滑に進めていくことが課題だということです。そのためには、何よりも電気事業者において、また国が原子力発電の必要性をきちんと説明して、立地地域との信頼関係を強化するということ、それから安全審査などについては、電気事業者において最新の知見を取り入れて、これを進めていくことが当然のこととしてありますが、さらにこれらを短縮するために、どういう取り組みが考えられるかということが論点としてございます。
    2ページをおめくりいただきまして、2点目が「原子力発電比率の高まりに対応した運転」ということでございます。これは新増設を進め、原子力比率が高まった場合に、例えばお正月のように需要が一時的に落ち込む時期においては、定格出力以下での運転が必要となる場合も多分生じるだろうと見込まれます。
    こういった運転パターンについては、例えば原子力発電所を起動する時期とか、あるいは設備の調整時などで定格出力以下の運転が行われているということで、新しい運転方法ではないわけですが、地球温暖化対策を進める上で、原子力を太陽光などと両立しながら進めていくには、こういった取組もエネルギー政策上必要なものとして整理すべきではないかということです。
    それから、さらに原子力発電比率が高まって、いわゆるフランスで行われているような日々の負荷に追従して運転するようなことが必要として高まった場合には、そうした運転方法が安全に実施されるには、どういった対応が必要かということも、整理をする必要があるだろうということです。
    次は、「広域的運転の推進」ということでございます。これは電力需給の現状、あるいは将来見通しは、電気事業者ごとに異なるために、広域的に運営をすることによって原子力発電の導入可能性が高まってくるということでございます。これ自体は、基本的には電力業界において自主的な取り組みが重要ですが、これを進めるために国としてどういう環境整備が必要なのかという点です。
    次は、「出力向上の推進」です。これは既存の原子力発電所の出力を向上させるという取組で、現在、日本原電の東海第二発電所において計画が進められております。この点については原子力安全保安部会の下でも、安全性におよぼす影響や許認可手続きについて整理が行われているというところでございます。こういった取組につきましては、東海第二以降の取組についても、具体的な計画の検討を進めるべきではないかと。それから国としても、それをどういう形で支援するかということが課題だろうと思います。
    次に、「第二再処理費用の今後の料金原価算入に向けた検討」でございます。ご承知のとおり、原子力政策大綱におきまして、日本の原子力政策としては全量再処理という基本方針が確認されており、現在、竣工を目指している六カ所再処理工場で再処理される以外の使用済燃料につきましては、その後の再処理施設で再処理することになっております。ただ、その費用につきましては、現在、料金原価に算入されていないという状況にあります。ただ一方、バックエンド事業は極めて長期の事業であること、それから費用が大きく、将来の第二再処理工場で再処理されるべき使用済燃料はすでに発生しており、このまま原価算入されない場合には世代間の不公平という問題も生じることから、そういった問題点もこれまで指摘されているところでございます。第二再処理につきましては、2010年ごろから検討を開始されるということになっておりますので、その検討を速やかに行うとともに、料金原価算入に向けた今後の検討を進めていく上で必要となる料金制度のあり方についても、電気事業分科会の料金制度小委員会において議論して、その上で料金原価算入を認めるということの妥当性について整理することが重要ではないかということです。
    それから、大きく2点目ですが、これはリプレース事業を見越した対応ということです。2030年ごろからと予測される本格的なリプレースが円滑に行えるよう、財務会計面をはじめ対応していく必要があるということです。
    具体的には、1点目として「廃止措置技術に関する検討」です。今日本原電の東海発電所で廃止措置工事が進められているところですが、さらに国際的にもさまざまな技術、あるいは国内でも開発された技術を使いながら、これを合理的に進めていく。そのための技術の適用性の検証に取り組む必要があるということです。またその上で、そういった技術的な知見によって、あるいは実際の廃止措置の経験上分かった知見を反映する形で、原子力発電施設の解体引当金制度の費用の見直しというものも速やかに検討すべきではないかということです。
    それから、クリアランス制度につきましても整備が進められておりますので、この廃止措置に当たっては、同制度の活用をきちんと進めていくということも必要ではないかということです。
    次に、「次世代軽水炉開発の計画的推進」でございます。次世代軽水炉につきましては、国内リプレース事業をにらみながら、一方で世界でも通用するものということで、研究開発に着手をしたところです。ただ、リプレースがうまく円滑に進むためにも、リプレースが本格化する前に、そういった技術をきちんと実証していくことが必要であることから、全体のプラントを導入する前でも、要素技術については先行プラントで実証し導入していくことが必要ではないかということです。
    それから、大きく3点目が運転保守高度化の取組でございます。これは既設炉の活用ということで、現在、設備利用率が60%程度に落ちておりますが、これを高めていくことが必要だということです。そのための取組の課題としては、1点目が電気事業者の品質保証活動の充実・強化、立地地域との信頼関係の構築等でございます。とにかく、原子力発電所の安定・安全運転のためには、事業者の品質保証体制の強化、不正の根絶、事故・トラブルの防止、それから耐震安全性の評価、高経年化対策など事業者としての取組、それから地元への説明責任の履行など、立地地域での相互理解が基本中の基本ですので、こういったところに注力していく必要がある。さらにこういった取組を強化するためにも、日本原子力技術協会(JANTI)の活動などをうまく活用しながら、事故情報の収集分析及び水平展開、それを品質保持活動への反映していくことが重要だと思っております。
    次は、「新検査制度への円滑な対応」です。ご案内のとおり本年1月から新検査制度が導入されておりまして、プラント一律の検査からそれぞれの特性に応じてきめ細かな検査に移行するという制度が導入されております。これにより、従来一律13ヶ月を超えない範囲で義務づけられていた定期検査の間隔につきましても、それぞれのプラントの特性に応じて設定できるという道が開かれております。この制度の円滑な導入に向けて、電気事業者における取組と、一方では国の制度の理解促進が重要ではないかということでございます。
    それから最後のページになりますが、「運転中保全の導入」でございます。これはいわゆるオンラインメンテナンスといわれているものです。これにつきましてはアメリカで導入されており、充分な実績があるということですので、これを積極的に取り入れて、段階的にその適応範囲を拡大していくということが重要です。そのための事業者としての導入方針を明らかにすべきではないかということです。また、国はこういう事業者の取組を円滑に実施していく上での、安全性を確保するためのリスク情報の活用などの取組をすべきではないかということです。
    次に、「計画外停止後の円滑な立ち上げ」について、日本は計画外停止の件数は低いといわれておりますが、トラブル等によって、計画外停止が発生した後に、的確な措置を講じた上で立ち上げを円滑に行うことは、設備の利用率を向上する上でも非常に重要であるということです。そのためにどういった取組が必要なのかということも論点になるかと思います。
    最後に、今申し上げました論点につきましては、原子力安全規制当局との関係も非常に重要になってきているわけですが、ここでは「産業界から見た規制課題の明確化」という論点として整理をしております。例えばアメリカなどでは、産業界と規制当局が対話をしながら、将来のビジョンを共有して、それぞれの立場を明確にしながら、先駆的な取組が計画的に行われているという状況でございます。そういった事例も参考にしながら、安全規制の高度化のための規制上の課題や取組方針について、事業者としての、産業界としての考え方をまとめた上で、規制当局との共有を図っていくことも重要ではないかと考えられます。
    それから、そういったことを進める上で、産業界におけるさまざまな団体を活用しながら、そういった取組を進めていくことも重要ではないかと考えております。なお、原子力安全保安部会では、基本政策小委員会におきまして、本日ここで掲げられている論点も含めまして、産業界を含むステークホルダーの意見を聞きながら、今後の規制課題についての議論も開始されたところです。私どもとしてはこの原子力部会でのご議論も踏まえながら、適宜、原子力安全保安部会の方にも、原子力部会ではこういう議論がされているということをお示ししながら、そちらの検討も進めていただければと期待しているところでございます。
    取りあえず、事務局からの論点としては以上でございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。では、続きまして、資料4につきまして、森本委員からご説明をお願いいたします。
  • 森本委員
    ありがとうございます。関西電力の森本でございます。これから電気事業者の原子力発電の推進に向けた取組についてご説明いたしますが、その前に一言述べさせていただきます。
    地球温暖化対策やエネルギー安定供給確保の観点から、国内外において原子力エネルギーへの期待が高まっている中、昨年度、平成20年度の国内の原子力発電所の設備利用率は60%と、3年連続で60%台に低迷しております。先般の原子力白書においても指摘がございましたが、国民の期待に充分に応えたとは言いがたい現状を、電気事業者として大変重く受け止めているところでございます。
    われわれ電気事業者は、安全性と安定性に優れた原子力発電の実現に向けて、まずは不祥事などで失った信頼の回復やトラブル低減対策など、現下の課題に対して着実に取り組み、継続的な改善活動を愚直に積み重ねてまいる所存でございます。この4月には北陸電力の志賀原子力発電所1号機が2年ぶりに発電を再開するなど、設備利用率の改善に向けて明るい兆しも見えております。まずは、自らの足元をしっかり固めてまいります。その上で、高経年化対策や予防保全対策の実施、中越沖地震を踏まえた耐震安全性評価や裕度向上工事、検査制度の見直しなど、喫緊の課題についても着実に取り組んでいくことにより、皆様のご期待にお応えしたいと考えております。
    こうした取組に加えまして、これからご説明させていただく内容について、国をはじめとする関係機関のご指導・ご協力を得ながら、原子力発電の更なる高度利用の実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。また、原子力発電所の新増設・リプレースにつきましては、地元の皆様との相互理解をベースに、円滑な推進に最大限努力してまいります。昨年12月には中部電力の浜岡発電所におけるリプレース計画、それから本年1月には九州電力の川内発電所の増設計画がそれぞれ公表され、またこの4月からは中国電力の上関原子力発電所準備事務所が設置されるなど、全国的にも新増設・リプレースにかかるプロジェクトが動き出し始めております。引き続き、これらのプロジェクトの推進につきましては、国のご支援をよろしくお願いしたいと考えております。
    最後に、われわれ電気事業者は関係者との相互理解の下、非化石エネルギー比率50%の達成を目指し、その中心的な役割を果たす原子力発電の推進に、使命感を持って全社一丸となって取り組んでまいります。引き続き、委員の皆様方のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。また、原子燃料サイクルにつきましては、先ほど、次回にご議論していただくことになっているという紹介がございましたが、次回よろしくお願いいたします。それでは電気事業者の原子力発電の推進に向けた取組につきまして、電気事業連合会の高橋原子力部長からご説明申し上げます。
  • 高橋部長
    電事連の高橋でございます。本日は原子力発電の推進に向けた取組と題しまして、既設原子力発電所の活用とそれから新増設・リプレースの円滑な推進に向けた取組ということにつきまして、お手元の資料に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。
    2ページ目に、電気事業者として目指すべき方向を示しております。電気事業者は低炭素社会を実現するために、エネルギーの安定供給、環境保全、経済性の同時達成を目指しまして、電源のベストミックスということを基本として、最大限努力をしていこうということでございます。良質で低廉な電気の安定供給ということを大前提にいたしまして、原子力発電を基幹電源として、2020年までに原子力を中心とする非化石エネルギー比率50%を目指しております。
    次の3ページ目は、原子力発電の推進のための取組について図で示しております。三つの大きな柱となりますのは、既設原子力発電所の活用、それから新増設・リプレースの円滑な推進、サイクル・バックエンドの確立です。電気事業者は目標達成に向けて全力で取り組むとともに、すべての取組については、国民の皆様との相互理解が不可欠であると考えております。本日はこの中より、既設原子力発電所の活用と新増設・リプレースの円滑な推進に対する取組についてご説明したいと思います。
    次の4ページ目は、既設原子力発電所の活用における取組についてのご説明の前に、日米の原子力発電所のパフォーマンスを比較したいと思います。どのグラフも赤が日本、青が米国を示しています。左側の上下の二つのグラフは設備利用率と発電電力量、それから右上のグラフは定期検査期間、右下のグラフは原子炉の自動停止回数をそれぞれ示しております。グラフが小さくて大変恐縮ですが、右上のグラフで2006年度の実績を見ていただきますと、日本の定期検査期間は、米国に比較して、約4倍の期間を費やしているということが分かります。また、米国は年々、停止日数を短縮してきていることが分かります。また右下のグラフで原子炉の自動停止回数を見ていただきますと、日本の方が少なくて、高い信頼性・安全性を示していることが分かります。
    次の5ページ目は、日米の原子力発電所の運転サイクル当たりの運転実績をまとめたものです。比較の期間が少し異なりますが、サイクルごとに比較してあります。この表から読み取れるのは、日本は米国と比較しますと、1運転サイクル当たりの運転期間が平均約13カ月と短いこと、それから停止頻度は少ないことが分かります。また日本は一旦停止しますと、停止期間は平均約37日と長く、また定期検査の停止日数も平均約43日と長いことが分かります。この点を改善していくことが必要であると考えております。
    次の6ページ目では、米国における近年の取組についてご説明しています。米国では、1979年のスリーマイルアイランドにおける事故以降の原子力を取り巻く厳しい環境という中で、1990年代から官民双方で改善に向けた努力が行われてまいりました。
    上の囲みですが、産業界と規制当局との共同の取組として、米国原子力エネルギー協会(NEI)を通じて、産業界の統一した意見を発信し、その上で規制側である米国原子力規制委員会(NRC)と意見の調整を行ってまいりました。
    左の囲みですが、事業者側では状態監視保全や運転中保全の拡充によって、適切な時期に適切な保全を行うことにより、運転サイクルを伸ばしてきたということでございます。
    右の囲みですが、規制側では確率論的なリスク評価などを取り入れた科学的・合理的な安全規制の導入が進められてまいりました。
    これらの取組の結果、長期サイクル運転の実現、燃料交換停止期間の短縮、それから計画外停止回数の減少、停止期間の短縮が達成されてきております。この結果、設備の信頼性の向上、設備利用率の向上を同時に実現するということで、高いパフォーマンスを示すようになりました。
    次の7ページ目では「今後日本における既設の原子力発電所を最大限活用していくために必要な取組」について記載しております。安全・安定運転の着実な推進という点、科学的・合理的な規則、制度への改善といった点から、私ども電気事業者はこれらの取組を推進していくことが必要と考えております。
    前回の部会でもご説明申し上げておりますが、原子力に対する社会の信頼を回復するために、トラブルなどの再発防止にしっかりと取り組み、品質保証体制を強化し、今後とも継続的な改善を進めていきたいと考えております。
    次のページから、これらの取組についてご説明していきたいと思います。8ページ目は「保全プログラムの充実」です。図が少し小さいのですが、真ん中の図では設備の点検データを基に、適切な保全を計画的に行う保全プログラムの取組を示しております。この保全プログラムをしっかりと行うことで、更なる信頼性の向上を目指しまして、プラントごとにきめ細かな設備の管理を行うことにより、信頼性と両立した長期サイクル運転の導入を進めていきたいと考えております。併せて、私ども電気事業者の保全に対する取組を、立地点の皆様に引き続きしっかりご説明していきたいと考えております。
    また、産官学合同で、より燃焼度の高い燃料の実機への導入に向けまして、今、開発を進めているところです。この知見は、長期サイクル運転の導入に資するものであることから、国におかれましては、高燃焼度燃料の導入の促進に向けて引き続き検討をお願いしたいと考えております。
    次の9ページ目は「運転中保全の拡充」についてです。運転中の機器の状態を監視することなどにより、実施すべきと判断した機器の点検を適切な時期に、柔軟に実施する、いわゆる運転中保全の範囲の拡大を目指しております。図に示しておりますとおり、運転中保全の範囲の拡大によりまして、定期検査期間に集中している年間の作業量が平準化して、能力の高い作業員が安定的に確保されることにより作業品質も向上することから、運転中保全の拡充に向けまして、国と検討を開始したところでございます。
    次の10ページ目は、「計画停止後の立ち上げの円滑化」についてです。プラントの計画外停止を起こさないことが大前提ですが、日米を比較すると、日本ではトラブル等による計画外停止が発生した場合に、その後の立ち上げ期間が米国に比べて長くなっております。これはトラブル復旧プロセスに差異があるからと考えておりまして、例えば米国では直接的な原因究明と対策検討を行いまして、安全性の確認を行った後に、原子力発電所をスムーズに再起動しているということです。日本においては再起動に先立って、事業者が安全を確保しながら、原因究明、対策検討、水平展開、それから補修工事までを迅速に行うことが必要です。併せて、この復旧プロセスに関しては、柔軟な運用を目指していくことが必要と考えております。
    次の11ページ目に、「出力向上への取組」でございます。東海第二発電所での導入に向けまして、電気事業者一体となって協力をしております。また後続プラントへの運用を円滑に進めるという観点から、プラント共通の課題の整理を行っているところです。今後、東海第二発電所に続いて計画的に導入していくためには、例えば安全審査内容の整理や理解活動が重要ですので、この辺についてしっかり進めていきたいと考えております。
    次の12ページ目は「高経年化への対応」についてです。既設炉を長期にわたって活用していくことは、低炭素社会づくりの推進に資するものです。図に示しますように、来年には40年目に入る発電所も出てまいります。このため安全性・信頼性の確保を前提として、長期にわたっての既設炉の活用が国の方針に合致することを発信するなど、地元のご理解に資する取組をしたいと考えております。
    次の13ページ目からは、「科学的・合理的な規制・制度の改善」についてご説明したいと思います。最初に、原子力法規制の検討についてです。原子力発電所は、電気事業法と原子炉等規制法による複雑な規制体系となっておりますので、長期的には見直しが必要と考えておりまして、日本原子力学会での議論の場がありますので、現在、電気事業者はこの議論に参加しているところです。
    事業者の立場からは、ここに示しているような改善項目などについて検討を進めていきたいと考えております。例えば、(1)設置許可、工認要件の改善というところでは、原子炉の設置許可申請の変更が必要な要件が、記載事項を変更するという形式的な要件から、実質的な安全性にかかわる変更のみを変更要件対象にするといった改善ですとか、(3)検査制度の改善等は、設備を直接確認するというような検査から、事業者の活動をチェックする事後監査型検査へ移行するといった改善などを、私どもとしては考えているところでございます。
    次の14ページ目は「トピカルレポート制度の適用範囲の検討」についてです。日本におきましても、米国において導入されている安全審査の実効性及び効率性向上を図るために、技術的な審査事項のうち共通的な事項について、あらかじめ技術文書として審査・承認していただくトピカルレポート制度が導入されております。現段階では、制度運用が開始されたところということで、適用範囲がまだ限定的です。今後は制度の拡大・導入の目的に従い、適用範囲の拡大、それから事業者の評価のプロセスについての認証の制度化といったことについて、引き続き検討をお願いしたいと考えております。
    次の15ページ目は「リスク情報の活用」と「規制当局と事業者間のコミュニケーションの改善」ということです。リスク情報については、米国において取り入れられておりますが、安全性の向上や品質の向上、説明性向上ということで、この図に描いてあるようなことを図るために、リスク情報を活用していくことが必要と考えており、現在、国とともに検討を進めているところです。
    それからコミュニケーションの改善の点で、実効性のある安全規制の構築や技術進歩を踏まえた規制の改善を進めていくために、関係者の間で透明性を確保しながら、コミュニケーションをしっかり図っていく必要性があると考えております。また私ども電気事業者のみならず、原子力産業団体である日本原子力産業協会や日本原子力技術協会においても、規制当局とコミュニケーションを深めていく必要があると考えているところです。
    次の16ページ目からは、「新増設・リプレースの円滑な推進」の取組についてご説明したいと思います。原子力発電所の建設は、この図にありますように、計画から運開までに長期間を要していることから、低炭素社会づくりを推進していくには、新増設・リプレースを円滑に進めていくことが重要と考えております。
    17ページ目では、「新増設・リプレースのリードタイムの短縮」についてご説明しております。原子力発電所が運転されるまでの手続きの流れを、ちょっと見にくいのですが、右の図で示しております。地点選定、建設準備、建設の各々の段階における法令による手続きについて、その合理化や運用の柔軟化を図っていただくことで、リードタイムの短縮を目指して、国とともに検討を進めていきたいと思っております。
    また既設のプラントのリプレースという際には、既存のプラントのデータがございますので、このあたりを有効に活用するということも必要ではないかと考えております。併せて、計画的な新増設については、16ページの下の図にございます送電線の円滑な建設も必要です。低炭素社会の推進という観点からも、円滑な建設を進めることができるように、環境整備をお願いしたいと考えております。
    18ページをご覧ください。今度は原子力発電の投資という観点です。先ほど高橋課長からもございましたが、世代間の負担の公平性の確保という観点から、中長期的な事業環境の整備が必要であると考えております。前回の部会においても課題として挙げておりますが、六ヶ所再処理工場の処理量を超える使用済燃料の再処理費用につきまして、まだ費用回収ができていないという状況ですので、今後低炭素社会の実現に不可欠な原子力の推進という観点からも、当該費用の料金原価算入に向けた検討を進められることをお願いしたいと考えております。
    次の19ページ目では、リプレースを着実に進めていくために廃止措置を円滑に行えるという点が非常に重要だということについて述べております。電気事業者は国内外の技術を踏まえた廃炉技術をレビュー中でありますが、今後、国の検討会などの場でも最新の技術の検証が進められるということをお願いしたいと思います。原子力発電所の柔軟な運用につきましては、低炭素社会の実現に向けて、原子力発電が今後もベースロードを担っていくように考えております。しかし、省エネルギーの推進等の社会環境の変化によりまして、原子力発電比率が高まるということも想定しておく必要があると思います。そういう意味で、出力を計画的に低下させる運転方法を考慮するなど、運転計画の柔軟な運用が必要になることも想定されるということですので、スムーズに社会に受け入れられるための理解活動も必要と考えております。
    ご説明は以上のようになりますが、最後のページには、低炭素社会の実現に向けての大前提として、原子力発電所の安全性と信頼性の更なる向上ということに向けて、着実に取り組む所存でございます。その上で、本日ご説明した課題に事業者としてしっかりと取り組み、また原子力に対する国民との相互理解に向けまして、いっそうの信頼確保に努めてまいりたいと考えております。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局および電気事業者からのご説明につきまして、委員の皆様からご意見・ご質問等ございましたらお願いします。なお、多くの委員の方がご出席ですので、各委員とも、ご発言は3分以内でお願いしたいと思います。ご発言の際にはネームプレートを立てていただけたらと思います。それでは西澤委員、お願いします。
  • 西澤委員
    部会長、ありがとうございます。柏崎刈羽原子力発電所の現状につきまして、説明させていただきます。最も復旧の進んでおります7号機ですが、設備の健全性評価や耐震安全性の確認が完了し、本年2月には国からプラントの起動につきまして安全上問題がないとご判断いただきました。その後、新潟県、柏崎市、刈羽村に運転再開のお願いをいたしました。
    しかしながら、3月5日に1号機で、原子炉隔離時の冷却系ポンプの分解点検に伴う準備として、洗浄剤の小分け作業を行っておりましたところ、火災が発生しました。さらに4月11日、7号機から150m離れたところにある予備品の倉庫内で、空調機のファンベルトが劣化・過熱し、それを起因とする火災が発生しました。中越沖地震発生以来、9件の火災が発生し、地域の皆様をはじめ国民の皆様に大変ご心配をおかけしましたことを、心よりおわび申し上げます。
    当社は、3月までに発生しました8件の火災発生を重く受け止め、社外の専門家4名を含む「防火管理体制特別委員会」を社内に設置いたしました。特別委員会では、火災リスクのある物品の持ち込みは制限し、防火教育を更に強化することに加えて、防火組織体系の改善などを含めた、いわゆる防火管理の抜本的強化試策を取りまとめ、3月19日に国に原因と再発防止策を提出し、改善策を実施していたところでありました。
    しかしながら、4月11日に発生した火災は、発電所構内の一般設備に設置されました空調機の不具合という、いわゆる設備管理面での不十分さに起因したものであります。このため、直ちに発電所内に設置されている電気機器の総点検を実施し、火災発生につながるような異常がないことを確認しております。
    その結果や、特別委員会での検討を含めまして、4月17日に国及び柏崎市の消防本部へ「原因及び再発防止策に関する報告書」を提出しました。さらに、この報告書につきまして、新潟県から留意事項のご指摘をいただいたため、これを踏まえた追補版の報告書を昨日、柏崎市の消防本部へ、それから本日、国並びに新潟県へ改めて提出しております。当社は火災の再発防止対策の徹底に全力で取り組むとともに、今後も引き続き防火に関する社内の特別委員会等、専門家の方からの助言もいただきまして、火災リスクの低減のために必要な対策等を継続的に実施してまいります。その上で、一日も早く地域の皆様に安心していただけるよう、全力で努力していきたいと思っております。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。それでは、まず末永委員、お願いします。
  • 末永委員
    今ご説明のあった新増設・リプレースの円滑化、および既設炉の高度利用ということに関してまず申し上げたいのですが、事務局の方からありました主な論点に関しても、基本的に全部、賛成であります。さらに今、高橋部長から極めて具体的なご説明がありまして、意を強くしたということでございます。ただ、事務局の方のご説明は、論点整理ですから限界があると思いますが、すぐにでもできるような課題とやや長期的に検討していく課題、それらが混然として出てきておりますので、この辺をきちんと整理しながら、今後どのような形で進めるかという点を、これからやっていっていただきたいと思います。
    ご承知のように、原子力発電所は低炭素社会の実現の中核を担っているわけでして、例えばそういう中において、極めて即効性を持つ対策としては、既設発電所の最大限の有効活用といいますか、稼働率を高めるということだと思います。
    そういった意味においては、高橋部長からご説明のありましたとおり、10ページを見ても本当にがく然としたわけでありますが、アメリカに比べても、停止してから復旧までがはるかに時間がかかっている。そのことは西澤委員がおっしゃったように、柏崎の事例をとっても、ある意味では少し当てはまるのではないかという気がいたします。したがいまして、この日米の計画外停止後の復旧プロセスの差異を分析し、復旧までに要するプロセスを少なくともアメリカ並みにしていくことは、わが日本にとっても必要だろうと思います。
    また、同じようなことにおいては、稼働率を高めるという中において、すでに日本も原子力発電所を非常に長い時間稼動させている経験があり、いわゆるトラブルやさまざまな問題に対しては充分な知見・情報があるので、これらをきちんと共有ツールとして整理し、それを活用していく。そのことによって、長期間にわたる停止状態を防ぐことができると思います。これらのことに関しては比較的短期に、きちんと議論すればできる課題だと思いますので、それはよろしくお願いしたいということです。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。次に佐々木委員、お願いします。
  • 佐々木委員
    2点申し上げたいと思います。全体としては、この資料3-1は非常に包括的な問題を扱っていて、うまくまとまっていると思いますが、まず一つ少し気になったのは1ページの四角の黒ポツの2番目で、「需要面」と「供給面」のことが書いてある。もちろん将来の電力事業の対応については、双方をうまく考えながらやっていかなければならないわけですが、特に気になるのは「需要面」の省エネルギーについてです。ここに書いてあることは、ちょっと狭すぎるのではないか。もっと広く問題を扱う必要があるのではないかと思います。
    例えばどういうことかというと、水道の分野では、家庭用の需要もそうなのですが、特に「節水」という、ここで言えば「省エネルギー」に相当するものですが、そういう節水機器の導入がかなり進み、水の需要が非常に落ちてきている。それに対して水道事業者は、日本の場合ほとんど公営で、いわゆる地方公営企業でやっているわけですが、彼らにとってそれは「収入減」となるわけです。つまり一方で環境という分野について、省エネあるいは節水ということを励めば励むほど、一つの公の企業としては収入が減ってくるということがある。これは非常に矛盾しているという面です。これは各地方の自治体の水道に関する審議会等がいろいろありますが、そういうところで消費者から絶えず、その辺の問題が指摘される。つまり、自分たちが節水に頑張っていると、他方で収入が減るから、そうすると水道料金の値上げということではね返ってくる。矛盾ではないかということを言うわけです。
    この問題は、今の地方公営企業法そのものの独立採算制の特に「収入」の概念に非常に問題があるわけですが、それと同じようなことがここでもあるのではないかと思うのです。つまり、電気事業者は公益企業といえども民間の企業ですから、本当に「省エネ」を進めると言っても、どこまで本当にやるのだろうかということがあるわけです。やはり今の水道と同じように、本気でやろうとすると、これは「収入減」を伴うわけです。それにもかかわらず省エネを進めるには、それが必ずしも電気事業者にとって、収入減に直接に結びつかないようにするための何らかの制度的な工夫というか、省エネルギーの方で頑張りましょうという気にさせるインセンティブを与えながらでなければ、現実にはできないのではないかと思うのです。
    そのときに、単なる「消費者」だけではなくて、「株主」や、もちろん「電気事業者」も含めて、非常に包括的なそれぞれのステークホルダーというか、今挙げた三つは、それぞれの利害が非常に部分的に衝突するのですね。「partlyにconflictingなinterests」といいますが、この三つが部分的に衝突する。その三つの衝突を、どういうふうにうまく調整するか、あるいは調和できるような枠組みや新たな制度を作れるかということが非常に大きな問題だと思います。
    もう一つは、5ページまでのところで、大きな三つの点について論点が挙がっているわけですが、最後に「規制課題の明確化」があります。われわれ社会科学の立場から見ていると、本日の問題である規制課題の明確化は、別に5ページ、6ページの「運転保守高度化の取組」だけではないのではないかと思うのです。例えば1ページの「リードタイムの短縮」という問題についても、あるいは2ページの「広域的運営の推進」という問題についても、すべて現行の規制にはなお課題はいろいろあるのではないかとわれわれは理解をしています。そういう点からいくと、単に3だけではなくて、1の問題についても2の問題についてもすべて、規制課題を明確化する必要があるのではないかと思います。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。服部委員、お願いします。
  • 服部委員
    ありがとうございます。本日まとめに入られました原子力発電の推進強化策にかかわる論点整理ですが、資料2に記載されている次回テーマと合わせますと、大体論点としてはカバーされているのではないかと考えているところです。こういう議論が公開の場で、また関係者が、課題と対策についてベクトルを合わせて取り組むことは大変重要で、この成果をぜひ社会に向けて分かりやすい形で提供することが大事ではないかと思っているところです。私ども原子力産業協会としましても、原子力を推進するという立場から、この中にも一部書かれているところがありますので、そういうところはしっかり踏まえて、関係機関でよく役割分担をしながら、必要な役割を果たしていきたいと考えております。
    3点ばかりコメントしたいのですが、まず1点目は、国も電力もゼロ・エミッション電源50%以上ということを目標にしておりますが、この目標達成のための中核電源というのは原子力発電であるということを、広く社会あるいは国民全体にご理解いただくための取組が必要ではないかと思っております。先日、私どもの原産年次大会におきまして、今申し上げたように目標達成のための中核は原子力であると斉藤環境大臣から明確におっしゃっていただきました。ところが、まだまだこの認識は、世間一般に充分に浸透していないのではないかと思っているところでございます。キロワットアワー(kWh)とキロワット(kW)を混同しているようなところがありますので、ぜひここのところを分かりやすい形で情報提供する必要があるのではないかと思っております。ぜひ、国におかれましても、省庁の枠を超えて積極的な取組をお願いしたいところでございます。
    その関連で、資料3-2は中期目標ということで議論されて、パブコメに付されているような段階ですが、2ページに6つの選択肢があって、原子力発電の利用率について例示されております。81%から90%というものがあるのですが、81%というのは、いかにもこれは物足りないといいますか、われわれが目標にしている値からすると、かなり低いのではないかと思います。世界439基の平均が80%ですので、ようやく世界の平均を目標にするのは、いかにも低いと思っております。これはもうすでにこういうことで決められているということで、今更という感じがいたしますけれども。
    それからもう一つは4ページに、原子力の貢献が目に見える形で書かれているわけですが、(3)と(5)を比較して、確かに(5)のところで、アディショナルに(3)から最大導入ケースが、この赤の部分がプラスになるということが書かれているのですけれども、実は最大導入ケースの9億9400万トンの中に、すでに原子力の貢献があるのです。3000億とか4000億のkWhは出していますから、それだけで二億数千万トンの原子力による貢献度合いがあることを、もう少し明示的に出された方が国民の理解が進むのではないか。これにアディショナルに、さらにプラスアルファの二千数百万トンがノックオンされるということなので、ぜひそういう点も含めて取組をお願いしたいというのが1点目であります。
    それから2点目で、個別の問題ですが、計画的な定格出力以下での運転だとか、設備改善による出力向上というようなことが打ち出されております。ただこの点につきまして、国民やあるいは立地地域への説明の仕方、打ち出し方をちょっと間違えると、過去に苦い経験があります。二つありまして、1点は出力調整運転ということで、昭和60年代の初頭にそんなことがございましたし、プルサーマルにつきましても、ことさらプルサーマルということを構えて打ち出したものだから、何かと特別なことをやるのではないかというふうに理解をされてしまったということがございます。ですから、ぜひこの点は注意深く、立地地域の皆様も含めて分かりやすく、また何をやろうとしているのかということを丁寧に説明するようなことを、工夫していただきたいというのが2点目でございます。
    それから3点目というのは、設備利用率の関連ですけれども、先ほど電事連の方から説明がありましたように、諸外国に比べて、異常ともいえるほど低いという状況にあるということですが、現状がなぜここまで低いのかと、私もにわかに電事連が説明された定期検査と米国の停止期間の比較を見て、なぜここまで違うのか。2006年のデータですが、米国は39日で日本は163日と。これはどう考えても理解に苦しむというところでありまして、この中身をきちんと説明する必要があるのではないかと思っております。普通にいけば、これだけでできているのだけれども、これこれこういう改造、予防保全工事があったからプラスアルファになっているのだと。日本も標準はこれで、アディショナルにこういうことをやったから、これだけになっているのだということをきちんと説明していかないと、これから取り組む方策によって、どこまで米国といいますか、グローバルスタンダードに近づけるのか、理解できないということになります。ですので、ぜひとも事業者サイドも規制当局におかれましても、説明責任を果たしていただきたいということをよろしくお願いしたいと思っております。
    それから最後に、資料3-1の6ページの最後のくだりのところで、「関連産業界団体の活用」ということが書かれております。冒頭に申し上げましたように、私ども産業界の関連団体の一員として、ここで取り組むさまざまな課題について、よく役割分担をして、適切な貢献をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。
  • 田中部会長
    秋元委員、お願いします。
  • 秋元委員
    大変よくご説明をいただきまして、内容は把握できたわけでございますが、特に将来の電力需要への対応のところで、高橋課長からご説明がありましたところのパラグラフの2なのですが、太陽光の発電が大量導入されることが政策的に進められているので、不透明性が高まっているというような、非常に微妙な言い方であります。不透明性というのは、これで原子力が少なくなるかもしれないし、あるいは原子力が多くなるかもしれないという意味なのかどうなのか。といいますのは、結局、社会が必要としているのは、常に安定した電源であるわけです。ところが、太陽光のような不安定な電源が入ってくると、それに対してのバックアップ電源がどうしても必要になってくるわけで、そうなれば、太陽光が入ったから原子力の比率が低くなるといった、そういう簡単な話ではないのだろうという気がします。あるいは電気自動車等が増えていきますと、プラグインその他で、結局エネルギーの中での電力の比率が高くなっていくようなこともあると思うのです。そういう細かい、いろいろな要素につきまして詳しく検討していただいた上での電力需要でないといけない。先程電力需要が炭素ガス排出の目標によって、上がったり下がったりというお話があったのですが、そのあたりの検討も含めて、あまり電力の質についての議論をしていないのではないかという気がいたしまして、そこはもう少しつめていただければありがたいという気がいたします。
    それから、もう一つは稼働率、運転保守の高度化の件でありまして、これも何回も、先ほどからも議論をされているわけで、服部委員もおっしゃいましたし、私も前回も指摘したのですが、81%の稼働率というのは低いと思います。とにかく1980年代には、アメリカが日本の保守の勉強にやってきた時代があり、それで1990年代にアメリカが先進的な制度、運営面での改善をし、高い稼働率を達成出来るようになってきて、韓国あたりもすでにそのやり方を取り入れて、アメリカ並みの稼働率を達成している。日本だけがこのような状況にとどまっているわけです。問題点がどこにあるかということの、把握はほとんどできて、いろいろな検討は始まっているわけですが、それを実施に移すことがなかなか進んでいない。一日も早く、やはりアメリカをはじめ、世界のスタンダードまで日本が回復していくということは、喫緊の課題であろうというふうに思います。
    それを進めていく上で、もちろん法規制その他の改正も必要なのですが、制度の弾力的運営が欠かせない話でありまして、特に安心というような非常に主観的な理由で、ブレーキがかかるようなことが、日本ではいろいろなところで起こってまいります。何層にもブレーキがかかってくるので、結果的に検査にアメリカの4倍もの時間がかかるようなことになる。
    町、村、県あるいは県の議会というようなところで、一つ一つ安心を盾にチェックをされておりますと、これは何日かかっても話が進まないということがあるわけです。やはり、国がこのあたりをきちんとまとめて、一つの総合的な判断を下していく。それに社会が従っていくというシステムを作っていただくことが、非常に大事なことではないかという気がしております。
    それから、これは次の会議でも議論されると思うのですが、第二再処理の費用の点が出てまいりましたので、このあたりについて、次の会議でもご説明いただくときに考えていただきたいと思っているのです。第二再処理について、今まで行われている議論はどちらかというと技術的な中味で、技術的な議論は少し進んでいるのだけれども、今度は財務的にどうするかという話なのだろうと思います。もう一つ遅れているのが国際的な議論だと思います。
    今度アメリカが新しい政権になりましてから、やはり再処理については非常に微妙な姿勢が見えてきているわけでありますし、今までのIAEAその他のいろいろな試案から見ましても、今後再処理その他の燃料サイクルを進めていく上で、国際的にどういう立場でやっていくかという議論は欠かせないと思います。
    例えば第二再処理の時代になってきたら、マルチでなければ燃料サイクルがやれないというような分野が幾つも出てくる可能性もあるわけでして、やはりそういう意味でこの制度をご検討いただくときには、国際的な視野で日本としては第二再処理をどうやっていくのか。例えば、お隣の韓国あたりでも、すでに燃料は満杯になっているわけで、それをどうするかということは喫緊の課題であります。日本が、これからアジアにおいて原子力で主導権をとってリードしていくということになりますと、そのような問題については、ある程度は解決策を日本側から提示しなければいけないのだろうという気がいたします。そういう面でのご検討も、次回あたりに示していただければ大変ありがたいと思います。以上になります。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。秋庭委員、お願いします。
  • 秋庭委員
    ありがとうございます。私から3点申し上げたいと思います。まず一つ目なのですが、原子力発電が低炭素社会において、中核電源であることは明確なことではありますが、あまり低炭素社会、低炭素社会と、必ず枕詞のよう出てくるのもどうなのかと思います。先程の電気事業連合会のご説明の中でも、揚げ足取りのようなのですが5回も出てきております。私たちは本当にそのとおりだとは思うのですが、やはりそういう思いがきっとすごくおありになるので、それをもっともっと、先ほど服部委員がおっしゃったように、外に向けてしっかり言っていただきたいと思いました。下手をすると、次に出てきました運転保守高度化のための新検査制度やいろいろなことがすべて、低炭素社会のためにやらなくてはならないのかとなると、それならちょっと考えてしまうことにならなければいいのだけれどなと、不安に思いました。
    2番目はそれに関してなのですが、運転保守高度化のために、新検査制度、あるいはいろいろなことがここに書かれておりましたが、このようなことを規制当局側と推進側とが、どういう関係の下に考えていくのかということをきちんと考えておかないと、そこの辺がうやむやになるような気がするのですね。本日もこのような話は、保安院の側からご説明があるのかと思いましたが、そうではなかったので、そこのところのことを、きちんと考える必要があると思います。このようなことは安全第一のために、安全で安心のためにやっていくことであって、究極的には安全と推進というのは同じかもしれませんが、決してそこがあくまでもどんどん推進していくためにやるわけではないという、その辺のところの仕切りをきちんと考える必要があるのではないかと思いました。
    3番目は、また今後、検討される課題ではありますが、資料3-1の2ページの第二再処理費用の今後の料金原価算入に向けた検討というところで、まずこれを考えるに当たっては、2010年から検討すると、すでに決められているからこそということもありますが、今その時なのかなということをちょっと考えました。  それはなぜかというと、三つ理由があって、一つはまだ何といっても再処理工場が動いていないということで、動いていないのに、なぜまた次を考えていかなくてはいけないのか。しかも、私たちの電気料金のことになるわけですから、そこのところはちょっと釈然としないということが一つ目です。
    二つ目は、アメリカが再処理工場施設とFBR建設を断念したという情報を新聞で読みましたが、そのときにこれをやるためには、日本はそれでもやるのだという強い説明をもう1回きちんとやらないと、どうして日本だけがやるのという気持ちが、やはり社会の中から出てくると思います。
    3番目には、今、秋元委員もおっしゃったように、太陽光発電の設備について、今大変な勢いで普及しております。そのために、全員参加型や一人一人が何とかといって、国民の私たちが電気料金として負担をしていくことになっていますが、その負担は、やはりこの経済状況にあって大変重いものだと思います。そういう中にあって、そうすると第ニ再処理工場の分も、また電気料金の中に積み上げられていくと、一体どこまで国民は負担をしていかなければならないかという負担感がすごく重くのしかかってまいります。そんなことを考えて、ぜひこの検討を進めていっていただきたいと思いました。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。河野委員、お願いいたします。
  • 河野委員
    今、2020年の削減目標を、どこの水準で決めるかという議論が行われているのです。しかも、国民レベルに案を示しながらやっている。こんな国は日本だけなのです。それを消化、選択できる能力が国民にあるかどうか分からないが、形式にはそれが進んでいる。最近の第1回の東京でやったときの報道を聞けば、極端に理想論的な大幅削減論を言うグループがあって、片方で電力・産業界全体で、そんな跳ね上がった議論をやっても、実際は負担が大きいですよということで慎重論が対立したということになっている。これから地方をずっと回るのだそうですが、間違いなく基本的にこの対立構造は、どこ行っても交わることはないような姿でいくだろうと思います。しかし、これは困ったことではなくて、当たり前のことが起こっているだけで、そんなことは別段驚くことでも心配することでも全くない。予想されたことが起こっているだけです。
    いずれ麻生総理の下で、6月下旬に目標は決まるのでしょう。問題はそこから先の話なのです。それが決まると、外交戦術上どう諸外国と渡り合うかという議論を、また別途、官邸その他中心でやらないといけない。けれども、それはまた別の話にして、おそらく目標の決め方にもよるけれども、だれもがみんな腹の中で思っていることは、目標が決まったら途端に国内論議の中心は、排出量取引と環境税の二つになる。われわれは過去2年間、延々とやったのですが、中途半端になっているのです。この議論が表面化することは間違いないです。しかし今日、私はここでは、その議論に口を突っ込む気は全くないのですよ。
    それよりはむしろ、どういうターゲットを政府が採用しようとも、必ずこれだけはやらなければいけないことがあるのです。幾つかありますけれども、今日、ここは原子力部会だから、それにちなんで言えば、どういうふうな甘めの目標をやろうが、高目の目標を作ろうが、まずやることは稼働率を上げること。今は惨憺たる状態です。もう一つは、各電力がそろって出している増設の9基。この数字は全部どこにもはまっているのです。
    問題は、この1月以来、経産省の政策転換があったことが随分効いているのだけれども、とにかく太陽光発電を中心にしたような再生エネルギー、新エネルギーというものに対する大合唱が起こって、事実、政策転換は正しい方向に進みつつある。問題は、そのことによって、原子力にそんなに依存しなくても、そこそこいくのではないかという思いを持つ人が結構、一般大衆レベルでは、ないわけではない。僕に言わせれば幻想なのだけれども、それがあることは間違いない。その間、この仲間内だけのこの審議会の中で、いつも原子力は中核的な存在として同じ言葉でお互い繰り返し確認し合っているのだけれども、こんな話は仲間内だけの話です。外部には必ずしも伝わっていない。太陽光発電の記事がイヤと言うほど出ているけれど、原子力の役割についての前向きな解説や主張は、ほとんど見たことはなかった。これが今のマスコミの風潮なのです。だから、私はこの機会に、この風潮を一気呵成に払いぬぐうことはできないけれども、その方向に向かって事を起こさなければならないと思います。
    問題は、そこから先にあるのです。そこまでは当たり前ですから。二つ問題があって、少し前にも触れたけれども、稼働率をこのミゼラブルな状態になっている理由についていろいろな議論があると思います。共通の問題もあるし、それぞれ個別の特殊なケースがあって、こうなっているということもあるかもしれない。いずれにしても、こんなことで中核的な役割を果たすなどと言葉に書いてあっても、全く空文なのです。
    もう一つ、各電力が、自分でこういう計画でやりますよと全部公表しているわけですが、これがなかなか進まないのです。これまた、いろいろな理由があるわけです。それでここのところについて、また抽象的なペーパーを書いたところが、事態が早急には改善しないのです。
    例えば80%を目指すのだったら、いつごろまでに保安院とよく相談し、コミュニケーションをとりながら、事態を進めるかというスケジュール表がなければ、だれも信用しません。個別の電力が、それぞれの責任において新増設をやると宣言しているわけだから、それは遠からず、責任ある電力がみんなステップを踏んでやってくれると私は思っている。ただ、問題はその二つについて原子力関係の人の発言を聞いていれば、もっぱら注文は全部、経産省に向いている。自己責任でやるが、これだけはお願いしたい、これだけは何とかと、全部そういう言葉が並んでいる。経産省からは、こういうことをやるから、君ら、しっかりやってくださいというのは、いろいろ書いてあるけれど、もっぱら、受けて、どうこなそうかという姿勢です。
    繰り返し申し上げていますが、どのぐらいの時間帯の中で稼働率を上げる、9基についてもぼちぼちと行動が各地域で起こると、具体的な行動で見えてくれば、この議論は大いに進むのです。2~3年の間にそこまでいかないと、この部会だけの自己満足に終わってしまう。そういうことを絶対やりたくない。今まで何度も繰り返した話ですからね。それだけ注文をつけています。締め切りがないと、やはり物事は進まない。
  • 田中部会長
    分かりました。次に中川委員、お願いいたします。
  • 中川委員
    どうもありがとうございます。私の方からの発言は、福井県から来ているのですが、原子力発電所で現在、運転中のものが13基あるという土地での感じ方というか、その辺のところを含めてちょっとお話しさせていただきます。
    今日、最初に説明いただきました論点の整備に関しては、論点としては非常によくまとまっているもので、これを国が主導しながら具体化されていくことを願っています。そういう中で、福井県では耐震安全性の問題、もんじゅの運転の問題、そして高経年化発電所の問題、こういうところが今重要な課題になっています。
    本日の議題との関係では、高経年化発電所の安全性の問題があるわけですが、福井県では運転開始後30年を経過した、いわゆる高経年化プラントが現在で7プラント、今年中に8基になります。さらに来年度には40年を経過するプラントが、敦賀1号機と美浜1号機で2基になってきます。こういう中で、高経年化プラントの安全性ということが重要な課題になってきています。
    これに関しては、さまざまな対応が取られてはきていますが、地元の住民にすれば、高経年化プラントが良いとか悪いという問題ではなくて、これが安全かどうかというところに一番の関心があります。さらに、既設発電所でのリプレースの問題や運転期間の長期化の問題、出力増強の問題などについても、地域で議論していくときに中心的な問題は、その是非だけではなくて、やはり安全性がどう担保されるかというところが一番重要な課題になっています。
    こういう点に関して、いろいろな施策が実行されているわけですが、そういう施策が国民や県民にとって一体どういうメリットがあるのか、あるいはそれをやっていく必要性というものがどの程度のものかということを、国の方も積極的にアピールしていただいて、国民の理解というか世論の形成というものを、継続的にやっていっていただきたいと思っています。
    特に40年を経過するプラントが出てくるわけですが、そのときに今、一応60年までは原子炉の基幹部分は安全であるという評価が30年評価の際になされていますが、そういうところが県民の理解の中に充分浸透していないところがあります。それについての説明は、電気事業者がいろいろやっておられますし、これからも続けていく必要があるとは思うのですが、やはり国の姿勢というか、そういう高経年化プラントに関する安全性の考え方の基本というか、その辺を国がどう考えているかというところを、継続的にアピール、説明していただくことが非常に重要だろうと思っています。その辺は、地元にとっては結構、緊急の課題になっています。
    それから、論点の中でいろいろなことが言われているのですが、例えば稼働率を上げる問題にしても、先ほどの委員からのお話もありましたように、稼働率を上げるということを単純に言っても、それが実際にできるかどうかということとは別問題だろうというふうに思います。それで稼働率を上げることが可能になっていない一つの原因は、いろいろな事象に対して、運転中でも対応できる事項と、それから停止して対応しなくてはいけない事項の、切り分けが充分にできていないのではないか。その辺を国の方も、それから電気事業者の方も明確にしていって、そして住民に説明していくという姿勢をとっていただければいいと思います。  最近では、住民の方もきちんとした説明がされれば、きちんと受け入れられるような状況になってきていますので、その辺をぜひ継続的にやっていただきたいと思います。以上です。どうもありがとうございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。次に神津委員、お願いします。
  • 神津委員
    二つ質問をさせてください。私が不勉強なのであまり分からないことなのですけれども、なかなかホットな話題にならないものですから、エネ庁さんの方にお願いすればいいのか、電事連さんの方にお願いすればいいのかちょっと分からないのですが、もし何かで資料を作っていただけるようなことがあれば、二つほど教えていただきたいと思います。
    一つは廃炉のことです。アメリカの軽水炉の廃止措置は、もうすでに30基着手または完了とございましたが、アメリカを含め、EU、世界の軽水炉の廃炉の現状というのがどのようになっているのか。それから既存の技術と複数の最新の技術というようなことがございました。これは、あまり細かいことだと私には全然分からないですが、例えばそれぞれの技術的な差異、それから措置の流れ、あるいは土地の再利用までの時間がどのぐらいかかっているのか。それから、予想される産業廃棄物や低中高レベルの放射性廃棄物の量が一体どのぐらいなのか。その行き場はどうなるのか。それから廃炉に関して、1基当たりの予算が大体どのぐらいで、高経年炉の保全と廃炉の経済的な対比の分岐点は、どの辺にあるのかというような感じです。すみません、変なことなのですが、これは後ろ向きな話なので資料等がなかなかないのです。ちょっと廃炉という話も、この既設炉の話の中にいろいろと出てきているので、この辺のことについても一度、流れとして教えていただければありがたいなと思っております。
    もう一つは系統のことです。今、電事連さんの資料の中にも、発電所のみならず、送電線を作ることがいかに大変かというようなことを述べられておりましたが、1月8日にヨーロッパで、ヨーロッパ系統信頼度会議というのが行われたとありました。これは非公開の会議なので、あまり表には出てこないのですけれども、漏れ聞くところによりますと、系統運用のことについての議論が随分盛んで、再生可能エネルギーが大量導入されるとなると、送電インフラの投資が2020年までに12兆円かかるというような文言が出てきているようです。これで現実的にはドイツとベルギーの、それはニュースにもちらりと出てきておりましたけれども、系統の不安定のために、ベルギーの方に非常に迷惑がかかったというようなこともあって、この系統のことでは、ヨーロッパの中では相当ぎくしゃくした問題が起こっているような気がします。
    ただ、非公開だったりで、植草さんがいらっしゃいますけれども、こういう系統の話というのはなかなか出てこないので、私たちにとっては非常に見えにくい話だと思うのですね。先ほど、河野委員がおっしゃいましたが、中期目標に6つの選択肢があって、いろいろなコストの対比が出ています。その中でよく見ていても、日本がもし太陽光を大量に導入したときに系統運用や、系統インフラの投資をどのぐらい用意しなければいけないのかとか、それがどのぐらいコストに跳ね返ってくるのかというのは、太陽光の買い取りのところには出てくるけれども、系統のお金のことまでの計算が果たして考えられているのかどうか。その辺のところも、私にはちょっとあいまいで、その2点、廃炉に関しての資料と、それから系統のインフラ投資ということについて、どのような考え方をしていればいいのかということについて、教えていただければありがたいなと思います。
  • 田中部会長
    ありがとうございます。質問がありましたけれど、いろいろなことがありますから、また後ほど。では、山名委員、お願いします。
  • 山名委員
    秋庭委員から、幾つかご指摘があった点について、少し私の方から補足したいと思います。まず低炭素と言い過ぎだということですが、私もある意味ではそれに賛同しておりまして、原子力はエネルギー安全保障である。基本的に、私はそう思っております。当然、低炭素のエネルギー安全保障に、極めて強い大規模電源であることが、この特徴的なキャラクターでありますので、そういうスタンスで主張する必要があると思います。
    次に、米国が再処理を断念したということを、おそらくここ数日の新聞記事をご覧になって、今おっしゃったと思うのですが、オバマ政権の原子力バックエンドに対する取組というのは、すでにこの1月に、新しいDOEの長官が姿勢表明をしているわけです。そのときに、基本的に彼は、「カーター政権はワンスルーを選択したが、現在の状況を踏まえると、より拡散抵抗性の高い核燃料サイクルを追求すべきだ。ただし現在、技術は研究段階である」という主張を行っております。つまり、ブッシュ政権は、何年にどういう先進的な核燃料サイクル施設を建てるという具体的建設目標まで挙げていたのですが、オバマ政権はそこまで言及しないけれども、このバックエンドにおけるリサイクルの重要性は強く認識しているということを、1月に表明しているのです。その姿勢は変わっていない。
    ですから、わが国はエネルギー安全保障と、つまり資源と、それから廃棄物の合理的管理の両面から、リサイクル路線を選定しておりますが、その理念は、やはり米国オバマ政権も維持しているということであります。ですから、オバマ政権になってすべてをやめた、投げ出したという話では全くございませんので、新聞記事には注意しましょう。これがお勧めでございます。
    それから今、キロワットアワーの話でいろいろ設備利用率の話が出てきました。実はこの低炭素に向けての電力の在り方というのは、今日おいでになっています吉野電力基盤整備課長、あるいは山地先生のご尽力で、どういう電力構成がいいかということを今、鋭意検討の段階にあるわけです。その中で私が常に思いますのは、原子力というのは、それのキャラクターがあって、その特徴を最大限に活かすことによって、エネルギー安全保障、CO 2、いろいろなところで貢献しようとしているわけです。
    そのときに、やはりこれから省エネルギーに向かう中で、どういう電力の利用パターンが出てくるかというのが非常に重要なのです。これは俗に言えば、負荷率という言い方をしますが、ベースロードがどれぐらいの割合で、ピークロードがどれぐらいの割合で、太陽光がそのうちどこに入ってきて、火力発電はどこを担えるのか、原子力発電はどこを担うのかという議論なのですね。大きな絵の中で原子力が担うところは、まさにベースロードなのですよ。
    それで一番大事なことは、わが国が今後、省エネをしながら、その負荷のパターンをできるだけ改善していく、負荷率を改善していく。今、先進国の中で日本の負荷率というのは最低に近いのですよ。この負荷率を改善して、そのベースロードを原子力がきちんと担う。そのためには、先ほどの設備利用率が80%~90%ぐらいは必要になるわけです。そうすると、総発電量の中で半分ぐらいを担う、そして太陽光は太陽光でピークロードのところにできるだけ入ってくるというピクチャーができるわけです。その役割分担をよく認識しながら、つまりどう転んでもきちんと原子力の役割を果たせるような、できるだけの努力をしておくことが今大事なわけです。これを資源エネルギー庁に言わせると、エネルギー推進強化策といいまして、私はこの名前は気に入らないと前回発言したのですが、あまり共感を得られなかったので取り下げます。けれども、私が言いたいのは、原子力を今後の低炭素社会に向けて、いかなる状態に転んでも最大のポテンシャルを発揮できるような整備を最大限努力しようという計画、ちょっと長いですが、そういう計画であるべきなのです。
    そのためには、先ほど言った設備利用率の話も出ますし、出力状況の話も出てくるわけです。それで設備利用率の向上は極めて大事です。先ほど服部理事長がお話しになりましたが、80%と90%のエネルギー比というのは、ちょうど今、低炭素で入れていこうとしている太陽光が、今、最大導入ケースで2030年に500億kwhぐらいで、大体10%の差がそれに相当するということです。ですから、10%の差というのは極めて大きい。
    それで大事なのは、設備利用率をアップするために、先ほど停止期間の短縮やオンラインメンテナンスというような提案が出ておりました。それから科学的な規制というお話が出ておりました。ただ、これは科学的な規制が大事だというと、今の保安院の規制は非科学的なのかと、ちょっと失礼な言い方になるのですね。
    私は決して、それは非科学的ではなくて、現在、規制側が持っている、あるいは推進側が持っている技術的なデータベース、それで国民に対する安全を担保するには大きなマージンを入れないといけないと考えるわけです。ですから保安院は慎重にならざるを得ない。そのためにどうしても大きな安全マージンのために期間が長くなったりしているということなのですね。大事なのは、推進側つまり事業者側も規制側も、きちんとした科学データに基づいて物事を運ぶことです。
    河野さんがまさにおっしゃったように、今までの設備利用率の低さは、逆に事業者側が、例えば耐震の見通しで誤っていたというような問題、つまり非科学性に基づいていたという失敗もあるわけです。ですから、今後は両者がきちんと科学的なデータに基づいて事業を設計し、規制を行う。これをやっていけば、自動的に85%ぐらいの設備利用率は達成できるのだろうと思っております。
    ですから、大事なことは、日本はすでに40年の経験を原子力で持っておりますから、その間に蓄積されたトラブル、いろいろな設計の失敗、そういったデータをきちんとデータベース化して、事業者側も規制側もそのデータに基づいて、まさに科学的・合理的にやっていくという体制を構築することにあると思うのです。大事なのは、過去に学び、データはしっかりすることに尽きるというふうに私は思っております。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。あと5名ぐらいの方がいらっしゃいますので、要領よくお願いします。次は末次委員、お願いします。
  • 末次委員
    原子力発電所が高稼働のアメリカから何を学ぶかということだろうと思う。今日、事務局からも電事連からも提起された問題でも、やはり基本的には民族性、国民性、それから伝統的な慣習が違うということが基本にある。おそらく抽象的にいろいろアメリカからのレッスンを引っ張り出してきても、われわれ日本の国民の社会体質では、すぐにはアプライできない深い溝があると思う。その深い溝をどう埋めるかという手を、いろいろと考えなければならない。
    事務局のいろいろなご提案の中には、それも含まれたご提案だと思いますけれども、そこのところをもっと考えないといけない。山名委員、中川委員もおっしゃっていたことともかかわりますが、日本には53基を何十年にもわたって運営してきた実績データがあるわけですから、この徹底的なパフォーマンス評価が先決。そしてこれから起きることも、今までに起きたことの類型の中にあるに決まっているわけです。人間のやること、産業、テクノロジーの体系が、一朝にして変わるわけではありませんから、そこのところをどうやって将来のリスク管理に活かすかですね。
    原子力発電所であるイベントが起きたときに、慌ててまた最初から、初期から評価をし直す、作業をし直す、最初から新しいエンジニアリング対応を考えるということをやっていたら、幾ら時間があっても足りない。これをやっているので、おそらくアメリカの停止時間1に対して日本がいったん止めたら、再開するまで停止時間が4になっているのだろうと思う。これが日本の低稼働の一番大きな根源だと思いますので、そこのところで大きな意味の転換、試みをターゲットとして示さないといけない。
    本日示された問題提起の中で、非常によかったと思うのは、炉の寿命が30歳の炉、40歳の炉、50歳の炉がありますが、世界の趨勢は60歳炉、それ以上にどうしようかということにある。人間の寿命と同じことを考えているわけです。中には幼少のころから健康に恵まれずに、これから随分通院も加療もしなければいけないという人もいるし、そういう原子炉もあるでしょう。しかし多くは健康で来ている。しかも、十分なメンテナンスのコストをかけてきているわけです。七中川委員がおっしゃっているように30歳、40歳になったところで、地元に経年化炉のテクノロジーの安全性・信頼性について懸念があるということについては、重く受け止めて、これに対する対応策をすごくやらないといけないだろうという感じがします。それにはやはり徹底したリスクに対する想定と、この程度のことをやれば今までの知見からいってできるのだということについて、国民的なコンフィデンスを持つようにすることが大切ではないかという感じがいたします。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。神田委員、お願いします。
  • 神田委員
    ありがとうございます。先ほどから設備利用率の話が盛んに出ていますので、ちょっと思い出話みたいなことをします。
    NRCでジャクソンさんという方が委員長になったときに、話があるから来てくれと言われて、大激論をしたことがあります。そのとき、ジャクソンさんが言ったことは、NRCは一流業界ではない原子力界を見ているから、一流組織にいるという気がしないし、みんなの士気が上がらない。原子力産業を一流業界にするためには、その当時アメリカは60%台の設備利用率だったので、それを90%に上げたい。それにはどうやったらいいかということを議論した。ジャクソン委員長よると、NRCの検査官が出かけていって、電気事業者とともに設備利用率を上げることを共同にやるべきだと言うのです。それについて意見を求められて、そのようなことは無理だと言ったのですが、とにかくNRCは設備利用率を上げることに最大の努力をすべきであると。それでその結果として、ジャクソンさんの結論は「dialog first」という、とにかく検査に行ったら対話をして帰ってこいと、2日検査をしたら1日は対話だけしてこいという方針を立てた。そうしたらその後、ジャクソンさんと話したところによると、NRCの職員の士気が非常に上がったと。それは今までは規制、規制とやってきたのを、一緒になって一流企業を作ろうではないかというので、共に働いたという意識ができて、検査官と電気事業者が共同で作業をするという気持ちが高まったのが、非常によかったと言っていました。  確かにジャクソンさんになって、みるみる設備利用率が上がっていって、60%だったのが、まもなく90%までいきました。それは彼女が言った「dialog first」がうまくいったのではないかなという気がしました。今すぐ日本にやれと言っているのではないのですが、検査官と電気事業者がみんなで一緒になって、一流産業をつくろうではないかという、その共同作業という意識が非常に大事ではないかと言われたことが印象に残っています。ちょっとそれを紹介しました。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。では、お隣の木元委員、お願いします。
  • 木元委員
    ありがとうございます。皆様いろいろおっしゃったので、重なるところは省きますが、まず、今日の資料に感謝いたします。それから電事連の資料もありがとうございました。その上で改めて申し上げさせていただくのは、山名先生が全部お話しくださったことでもありますが、やはり低炭素社会において原子力の優位性が、目立って語られる昨今です。それはもう、あえて言わなくてもみんな分かってきている。それよりも、例えば日本は資源のない国で、自己完結型で資源でまかなうという観点を、農業・食料と一緒のレベルで考えた方が早いのです。つまり、エネルギーの自給率を高めようという観点から入っていく方が、原子力を話しやすい。これからずっと原子力を考えていくときに、自分たちが自分たちのものとしてまかなうという形が見えてきますので、ぜひその点から主張していきたい。
    それから先ほど、大規模でパワフルな原子力ということで、山名先生のお話もありましたが、今度、新検査制度の導入により、定期検査の間隔が24カ月以内と延びますと、供給安定性がもっと高まると思うので、その辺のことを地元と、大消費地にきちんとお話ししていく必要があると思います。
    また、一方では地産地消型のマイクログリッドで、自分のところで発電し、自分のところで消費するという動きもあります。それも絶対否定はできませんし、その考えも非常に重要なことだと思いますので、それも認めながら、けれども日本の電力のベースロードとしての原子力はこういう優位性があるということを、きちんと踏まえた上での話だと思います。
    それから、二つ目は資料3-1の2ページになります。一番下の第二再処理工場のことですが、この費用をどうするかと秋庭さんの方からもご質問がありました。しかし、ちょっと申し上げにくいのですが、費用は以前に、昨今、原燃にしても、もんじゅにしても、ちょっと事業が長引いています。そういう状況の中で、電力消費の世帯数は増えますから、ある程度までは伸びますけれども、それ以上はそんなに増えていかないのではないか。その中で、第二再処理工場まで考える必要があるのかという声があります。原子力政策大綱で、2010年からきちんと考えようということになってはいるのですけれども、そのときに、政策大綱策定委員会でこの再処理について、かなりシビアに議論を重ねました。
    四つのシナリオがありまして、一つが全量再処理するというものですが、もう一つは、六ヶ所なら六ヶ所で再処理するが、再処理能力を超えるものは直接処分するという二つ目の案。それから、三つ目の案は、もうそんなことはやめよう。すべてワンスルーで直接処分する四つ目もありました。それはモラトリアムで、今、結論を出すのはやめて当面貯蔵し、将来のある時点で、再処理か、直接処分かを選択する。そのときになったら改めて考える時間はあるということでした。でも、結論としては全量再処理になりました。
    ところが今回、この第二再処理の話、それから六ヶ所の問題やもんじゅの問題が出てきたときに、先が見えない、高速増殖炉の商業化は本当に出来るのか。先ほどの新聞情報もありまして、それなのに、なぜこれをやるのかという声がふつふつと沸き起こってきているのは事実です。それでもう1回、四つのシナリオの中のモラトリアムを考えてはどうかというご意見もありました。それをどう考え、受け止めるかというところが、私としては重要なことだと思うので、その第二再処理を今考える必要性をもう少し分かりやすく、きちんと説明しなければならないと思います。
    それからもう一つは5ページになりますが、「3.運転保守高度化の取組」の一番下です。「新検査制度への円滑な対応」というところで、ここはご質問になるのですが、これまで13カ月を超えない範囲で義務付けられてきた定検ですが、今度は24カ月以内でという話が出てきました。これは十分分かりますし、ほとんどの方が納得してくださると思います。私も十分理解しているのですが、ではなぜ、当時は13カ月だったのか。今、健全に運転すると24カ月でも大丈夫だということですが、なぜこれまで13カ月だったのかということです。当時13カ月にしたのは、かくかくしかじかの理由であった。今回24カ月に延ばそうというのは、かくかくしかじかの理由であると、対比をして、ぜひご説明願いたいということです。
    それからもう一つ、最後になりますが、これは6ページの三つ目のパラグラフです。「計画外停止後の円滑な立ち上げ」というところで、これは電事連からご説明があった資料4の5ページにも関連するのですが、「既設原子炉発電所の活用」、(米国との比較)で横長の図が出ておりまして、これは大変参考になったのですが、ここのところでちょっとまた考えなければならないと思ったのは、また卑近な例で、ちょっと問題があるかもしれませんが、柏崎刈羽が地震で「計画外停止」になりました。その後、耐震補強や機器の点検を終え安全を確認し、保安院も安全委員会もオーケーを出しました。地元の柏崎市長も刈羽村長も再開容認を表明しました。そして知事を含めて3者会談をやりました。その件は既にご存知だと思うのですが、知事も安全は確認されているとおっしゃったと記憶していますし、翌日の新聞にも、7号機立ち上げ・再開という報道が出たのですが、知事がちょっと待て、もう少し検討する。ということになり、再立ち上げは先に延びました。そうなりますと、せっかく運転保守高度化に取り組み、設備利用率を向上させようと、しっかり点検して円滑に立ち上げようと考えているのに、知事という存在、その首長さんの判断によって、それが延びて、もっと長く停止してしまう。そういう要因が、ここのところ、ちょっと続いているような気がします。
    それは一方で、高レベル放射性廃棄物の処分もそうですが、処分地候補の手を挙げると、やはり村長さんや町長さんの段階以上に、知事が否定的なことをおっしゃいます。わが県には入れないと。高知県もそうでした。そういうふうに、知事の権限というか一声によって、せっかく積み上げたものもだめになってしまうというケースがまま見聞きされますし、今後も予想されるということなのです。そうすると、このように「計画外停止後の円滑な立ち上げ」と言っても、他の要因で立ち上げが難しくなっている。これをどう考えるか。
    高レベル放射性廃棄物の処分に関するキャラバンをやっているときに幾つか出たご意見の中にも、文献調査だけでもやりましょうと手を挙げるけれども、3段階ある調査の中で知事が否定すれば、これは全部ないことになりますということが書いてあります。
    これなら、必ず全てだめになるのではないか。なぜ知事が否定すれば文献調査すらできなくなるのか。そういう話が声として随分出てきました。それを今後、原子力部会ではどの程度考えられるか分かりませんが、そういうご意見を受け止め、きちんと知事と話し合いをしながら、施策を進めていくのが正道でしょうけれども、そこをどうしたらよいか、少し勉強したいと考えました。以上です。ありがとうございました。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。まだ手が挙がった人がおられますが、時間をよろしくお願いします。内藤委員、お願いします。
  • 内藤委員
    ありがとうございます。時間がないので、1点だけ設備利用率の話に絞って、あとの話は国際的な話のときに申し上げたいと思います。
    中期検討委員会で掲げた設備利用率81%が低いというのが、皆さんのご発言でしたけれども、内閣府の方で検討する際に、あの数字を中心にモデルを回そうといったのは、われわれの研究所でございます。従って、何を考えて81%と言っているかということを申し上げたいと思います。
    中期目標検討委員会では、もっぱら環境理想論者と価格市場万能論者との議論が半年間ございました。例えば価格万能論者というのは、今CO 2トン当たり2000円~4000円を外国からクレジットで買ってこられるのに対して、それを日本は9万円で課税をしろという議論まである中で、3Eのバランスを考える必要があるということを、私たちは考えました。
    もう一つは、2020年を目標としておりますから、浜岡原子力発電所1号機、2号機の廃炉の話を含めて、本当にどれだけ立ち上がるのかという余裕を見なければいけない。それから地方公共団体の一部にも話を聞きました。そうしましたら、本音を言えば雇用の安定のためのニーズもあるので、85%ぐらいの設備利用率で、雇用を確保してほしいという議論もいろいろありまして、現実可能性ということで、私たちは設備利用率81%というのを置きました。もし、それで削減81%を更に85%に上げた場合に、CO 2の排出量が更にマイナス1.25%追加になる場合の計算として置いているわけです。
    何を申し上げたいかというと、ここで皆さんが原子力の設備利用率をもっと高い数字に上げるべきと主張されることに私は大賛成です。しかし、その結果として、CO 2排出削減の中期目標のターゲットの数字が高くなるが、それは受け入れることを覚悟した上でおっしゃっていただきたいと思います。それだけを申し上げておきます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。澤委員、お願いします。
  • 澤委員
    ありがとうございます。原子力プラントの新増設、並びにリプレースの円滑化と既設炉の高度利用について、資料3-1は非常に論点を明確に整理されていると思います。また資料4では、電気事業者が現在抱えている具体的な課題が非常に明確になっているのではないかと思います。制度面での環境の整備あるいは改善については、すぐにできるものと、時間がかかるものがありますので、プログラムを組んで段階的に改善に取り組んでいただきたいと思います。
    一方で忘れてはならないのは、やはり技術面であると思います。メーカーとしては技術面で社会の要請にお応えしていくことも、非常に重要なことであろうと考えております。メーカーとしての自助努力は当然でございますが、別途、原子力委員会研究開発専門部会での各種議論を踏まえて、資金面あるいは環境面での整備を図っていただき、わが国の原子力の技術基盤維持強化に努めていただきたいと思っている次第でございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。
  • 武井委員
    はい。ありがとうございます。ほかの委員も言われていますので、論点については特に異論もなく、これについてはこのとおりやっていただければと思います。私の方からは自由化と原子力について、今回の本題とはちょっとずれるかもしれないですが、ぜひ念頭においていただきたいことを申し上げたいと思います。
    原子力については、低炭素社会で重要な役割を果たすことは、国のこれまでのご努力、それからこの部会のいろいろな活動によって、かなり浸透したと思っています。これは委員の皆さんも先ほどから言っているとおりだと思いますし、これからポスト京都を考慮すると、電力事業を行う者にとって不可欠な電源になっている。こういう中で、新規参入事業者も当初はマージナル的に、持っている電源をもって参入すればいいという話だったのですが、だんだん電力会社さんと同じような電源ポートフォリオを持って、CO 2についても排出係数を同じレベルにしていかなければならないというような論調が強くなっております。そのために、われわれも自主行動計画を作って対応しようとしているわけですが、この中でいろいろわれわれに意見を言われる方が、先程、河野先生が言われたように、原子力なしでもPPSは電力会社並みの排出係数を達成できるという幻想をもって言われる方が結構いるのですね。われわれからすると、電力さん並みとは言わないまでも、それに近い排出係数を維持していくためには、原子力は不可欠であると思っています。
    仮にPPSが原子力なしでいけるということになりますと、原子炉なしでもポスト京都はいけるのだという変な誤解を与えることにもなりかねません。われわれは何もしないで原子力をくれといったようなただ乗りをする気はございませんので、ぜひ応分の負担のもとに利用させていただきたいというふうに思っています。また、これから太陽光あるいは需要減等で、原子力の負荷調整・出力調整運転が必要な場合も考えられるわけですから、出力を下げるくらいならその前に、PPSにも原子力を使わせることをぜひ考えていただきたいと思います。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。次は植草委員、お願いします。
  • 植草委員
    ありがとうございます。今回の3-1のレポートは総合的によくまとまっているとは思いますが、それぞれに具体性が非常に乏しいというのが私の率直な印象であります。
    先ほど河野委員が、設備利用率向上についてタイムスケジュールを明示せよとまでおっしゃったわけですが、それらを含めて、政策の具体的な内容がほとんど分からない。例えばリードタイムの短縮というのは、至難の業ですね。それについて、ここに書いてあることで、本当に短縮するのでしょうか。一つ一つ全部挙げていくと時間がないので、1,2点申し上げます。
    まず、新検査制度について。本年1月から導入されましたが、一体その後、これが適用されたケースはあるのですか。私の知るところでは、ないと聞いています。しかし、この秋には、相当程度の原子力発電所が定検に入る。来年の春、それから来年の秋に、定検は相当程度入る。ESCJ(電力系統利用協議会)は、定検がどこに入って、それが系統にどう影響を与えるかを常に注視し、統計も出しています。相当程度入るのですが、これらについて新検査制度を採用したいと電力会社から申し出ている件数は何件ですか。まだ1件もないのです。これらを全部出していただいて、そして検査制度が有効に使えないのなら、どこに問題があるということを具体的に出さなければ、何の進歩もないのではないですか。
    それからもう1点、私は今回読んで大変評価したいのは、原子力発電比率の高まりに対応した原子力発電所の運転について、定格出力以下の運用、それから、日々の需要の変動に対応した運転の必要性を今回出されたこと、しかも公式の文書で出されたことは、大変評価します。しかし、先ほど服部委員が指摘されたように、これは過去に苦い経験があります。電力会社は、このために随分努力もしたけれども、結局ずっとできないままに来ている。この苦い経験をどう生かして、この新しい時代の原子力発電所の運転の在り方を考えるかということについても、もう少し具体的なことをきちん書いてもらわなければ具体的な政策になりません。
    それからもう1点は、先ほど神津委員が指摘されましたが、太陽光等を入れた場合に、系統に相当大きな負担がかかり、投資が必要になるのではないかというご質問ですけれども、実はそういう資料が一部出ております。私のところでそういう研究をもちろんしておりますけれども、まだ具体的な内容はできません。
    申し上げられることは、太陽光を相当程度導入しますと、配電分野には非常に大きな影響を与えます。しかし送電線にはそれほど大きな影響を与えないということだけは結論として申し上げたいと思います。しかし一部の地域では、送電線について、また連系線についても、今後いろいろ手を打たなければいけないところはあると思っております。それらについては、今後、適宜発表してまいります。ヨーロッパについては、吉野課長が団長で最近調査をし、近く報告書が出る。いろいろ問題があるところも書かれているようでありますので、そこをご覧になるといいのではないかと思います。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。南雲委員、お願いします。
  • 南雲委員
    ありがとうございます。中期目標の選択ごとの実現性や、国際的な公平性を求められる政策や対策技術には、それぞれ大きな差異はございますけれども、いずれにしてもわれわれエネルギー関連産業に働く者の職場にも大変大きな影響のみならず、わが国の経済産業活動や一人一人の国民生活に大きな影響を与えるものでございます。
    併せて、原子力政策との関連で留意すべきは、いずれの選択肢においても長期エネルギー需給見通し、低炭素社会づくり行動計画における、2020年までのゼロエミッション電源50%以上との政策目標の達成を前提条件としていることだと思います。
    つまり、近年低迷するわが国の原子力発電所の設備利用率を、少なくとも80%以上に引き上げるとともに、約9基の新増設など、供給計画に沿った新増設の着実な推進を同時達成することが必要不可欠とされていることは極めて重要だと思います。
    先般の会合でも申し上げましたとおり、柏崎刈羽電子力発電所の戦列復帰や、プルサーマルの実現、六ヶ所再処理工場の本格操業、高速増殖炉原型炉もんじゅの運転再開など、今後のわが国の原子力政策の安定性や持続可能性を確保する上での正念場の年でございます。後ほど議論される予定のわが国の原子力発電の海外展開に関連しても、今後、ジャパンブランドの原子力発電所のブランド力を高めるためにも、今、極めて重要な時期を迎えていると受け止めております。
    このように今後、この場で議論される原子力発電推進強化策(仮称)については、わが国の原子力政策はもとより、わが国の経済産業活動や雇用情勢も含めた国民生活を大きく左右すること、ひいては地球規模でエネルギー問題と地球環境問題の一体で解決を図り、世界全体の持続可能な成長基盤を確立していく上でも、極めて重要な政策であることをしっかり認識した上で、実効である政策としてとりまとめることを期待して発言といたします。ありがとうございました。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。時間がオーバーしますが、高橋課長の方から、何点か質問に対するお答えはございますか。
  • 高橋課長
    それでは、幾つか質問をいただいて、神津委員から廃炉の話と、それから系統の費用ということで、今ちょっとデータがありませんが、これは多分、電力さんのデータになると思いますので、後ほど、お答えさせていただきたいと思います。
  • 田中部会長
    分かりました。ではちょっと時間オーバーしていますが、いろいろなご議論をありがとうございました。最終報告書に反映すると同時に、具体的なところが不十分だという意見が何点かありましたことを強く受け止めたいと思います。どうもありがとうございました。はい、どうぞ。
  • 本部次長
    次長の本部でございます。中期目標計画の観点で、先ほどの80%の稼働率のことについて何点かご意見があったかと思います。先ほど、内藤委員の方から、この80%と推定したという根拠についてご説明いただきましたが、私はもう1点、交渉を担当している観点からご説明申し上げますと、現在の京都議定書は京都議定書とともにマラケシュ合意という合意がセットになった議論をしております。それは何かというと、もし目標を守れなかった場合には、ペナルティーが付くということが前提になっているわけでございまして、もし、この80%の稼働率を守れないケースですと、今の京都議定書のパターンでいきますと3割増で、次の期にペナルティーが来る、もしくはお金で買ってくることが要求されるのが目標でございますので、目標はそういうレベルの議論をしているということを、ぜひご認識いただけたらと思います。もちろん、ペナルティーが次の期にどのように適用されることになるかということは分かりませんけれども、国際的な目標設定はそういう議論が行われているということでございます、念のため。

国際戦略検討小委員会報告書(案)について

  • 田中部会長
    ありがとうございました。それではかなり時間オーバーしておりますが、次の議論に移りたいと思います。国際戦略検討小委員会報告書案についてでございますが、まず事務局から簡単にご説明いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
  • 高橋課長
    はい。それでは、資料5-1と5-2が用意されておりまして、5-1が報告書の案の本文ですが、時間の関係がありまして、5-2の1枚紙でポイントだけご説明をさせていただきます。
    国際戦略小委につきましては、この部会の下に昨年秋に設置をされて5回ご審議を賜りまして、先週、報告書の案を整理していただいたところでございます。田中部会長に小委員長もお務めいただいております。それで前回、中間的な整理、そういう状況について状況報告させていただきましたけれども、その後、ご審議をいただきまして、報告をまとめていただいております。
    ポイントだけ申しますと、国際的な原子力をめぐる動向、いわゆるルネッサンスの本格化という中で、世界的な原子力の拡大、それに伴うウラン燃料需給についての不確定要因の存在、それから核不拡散の懸念というようなことから、世界的な原子力をめぐる環境は大きく変化している。その際、日本に対して世界から原子力協力に対する期待も高まっていると。これ自体は世界的なエネルギー安全保障や地球温暖化の解決の貢献にもなるということですし、日本に対する期待というのは、ここでもご議論いただいておりますけれども、日本の産業界が蓄積した技術に対する期待であるということです。したがって、日本の国際的な原子力の協力は、産業の国際展開ということと表裏一体であるということで、産業力を活かした積極的な国際協力をしていくことが世界のためにもなるし、また日本のためにもなるというような基本的な方向感の下に、どういう課題があって、そのための基本的な戦略は何かということを整理していただいたわけでございます。報告書では、課題につきましては、5点に整理していただいております。
    1点目が、核燃料サイクルの確立ということでございます。日本ではプラント建設には高い技術があるということですけれども、国内の核燃料サイクルの産業基盤という意味では、更なる努力が必要だということでございます。また、燃料の供給保証をするという意味でも、そういう核燃料サイクルの確立というのは重要だということでございます。そのための基本戦略といたしまして、サイクル産業の国内基盤強化と国際連携ということで、六ヶ所の再処理工場の早期竣工はもとより、濃縮設備の早期導入や設備の拡充、それから再転換設備、それから第二再処理の検討などが課題であるということです。それから、ウラン資源核燃料サイクル推進局との国際連携によって、グローバルなサプライチェーンを構築する。そのほかJBIC、JOGMECの機能強化、あるいは電力メーカーのウラン燃料事業参加への支援、それから国際貢献の観点を踏まえまして、ウラン燃料の備蓄の在り方についても検討していくことが必要ではないかという提言でございます。
    2点目が、産業体制の在り方でございます。これまでの日本の原子力産業体制というのは、国内の電力事業者に設備燃料を納めるという体制だったわけですけれども、今後メーカーが国際展開をしていく上で、やはり燃料を含むサプライチェーン、それから運転保守についての課題があるということでございます。その対応のための基本戦略としては、国のリーダーシップ、それから電力メーカーの連携の促進ということでございます。例えば電力会社の燃料の調達とメーカーの供給力が同時に満たされるような相互補完プロジェクトを政府が支援していくといった形の資源外交、それから電力会社の国際展開、それから今後、国際協力をするに当たってはオールジャパンとして総合力を発揮すべく、官民協議会の立ち上げ、あるいは中核的支援機関の創設などを、基本的な戦略として整理していただいております。
    3点目が、核不拡散などへの対応と、相手国との関係強化ということでございます。核不拡散については、世界的な原子力の広がりに基づいて、国際的な関心が高まっています。それから、2国間原子力協力も機動的にやっていく必要があるということです。そのための基本戦略といたしましては、積極的な原子力外交の推進ということで、アメリカをはじめとする主要原子力利用国、あるいはIAEAと連携しながら、日本として3Sの確保のために国際協力を進めていく。それから燃料供給保障についても、国際的な議論に具体的かつ積極的な貢献を進めていくべきではないか。だから原子力協定につきましても、より機動的に協定締結を進めていく。そのために、相手国の3Sを含めた環境整備に協力していくということ、それから原子力協力は何も原子力のためだけにやるということではなくて、より幅広い資源エネルギー外交などの視点を含めて進めていくべきであるということでございます。
    4点目がビジネスリスクへの対応ということで、これは海外建設における現場の人材、資金、安全確保、それから原子力の損害賠償といった製造的な枠組みが必要だという課題でございます。戦略としましても、そういった面での環境整備ということで、現場人材育成など、日本のものづくりの強さを活かしながら、産業協力を進めていく。それから金融面ではJBIC、NEXIなどの積極的な活用や、OECDガイドラインの見直し、それからいわゆる原子力CDMなどの追求ということです。それから原子力損害賠償につきましては、国際的な枠組み、条約としては具体的にはCSC条約ですが、その加盟についての深遠かつ迅速な検討、それから安全規制面での国際調和という課題を進めていくということでございます。
    最後はグローバル競争の進展ということで、各国とも積極的な研究開発、設備投資を進める中、日本としても、ものづくりの力を維持発展させていく必要があるという課題でございます。それらに対する基本戦略としては、素材部材産業を含む技術力強化ということで、プラントメーカーのみならず、それを支える素材部材メーカーの技術開発を支援していく必要がある。それから、次世代軽水炉、高速増殖炉については、より戦略的に官民の力を糾合しながら進めていく必要があるということです。以上部会長のリーダーシップの下、おまとめいただいたものでございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。私の方から補足することはございませんが、もしあるとすれば、報告書案の20ページの終わりのところに書いているところかと思います。もう一つあるとすれば、これはやはり、わが国が国際的にどのような観点でもって、国際協力あるいは国際貢献をするのかという大きなグランドデザインの下に、これを行う必要があるのだと。そのような観点では、経産省だけではなくて、いろいろな省庁が連携結合してやることが大事だと感じたところでございます。時間も充分にはございませんが、委員の皆さんから質問、ご意見などがございましたらお願いしたいかと思います。まず内藤委員、お願いします。
  • 内藤委員
    簡単に2点だけ申し上げたいと思います。報告書は、全体としてよくとりまとめられていると思います。しかし、あえてここで2点申し上げたいと思います。第1点は核不拡散・核軍縮と原子力平和利用の関係をさらに詰めてほしいということであります。
    具体的には国全体の司令塔を作ってほしいということです。なぜこのようなことを申し上げるかと言いますと、私たちの研究所は3月にパリで、米国防省等の支援した非公開の原子力と安全保障ラウンドテーブルに招かれたほか、複数の同種のクローズの会合に招かれております。そこの議論で感じることは、核不拡散・核軍縮と原子力平和利用の関係を、今までにはなかったことですが、一体的に論じるということが世界的に明確になってきているということであります。
    原子力の平和利用には核不拡散戦略で大枠が決められ、米国の核不拡散戦略に適合しない原子力発電の利用・展開が行えないというのが現実である点は皆さんご承知のとおりであります。ところが、日本で見ますと、外交は外務省、核物質管理は文科省、国内平和利用は経産省ということで、必ずしも完全には一体化していないと思います。最近の国際動向を踏まえて考えれば、これを全て一体として考えて対応を考えるという司令塔をぜひ作ってほしいと思います。
    例えばインド・北朝鮮への対応についても、日本のスタンスをどう決めるか、それから核燃料バンク等の流れに適切に対応しなければ、先ほど話題になっていた第二再処理工場の建設も本当に実現しないのではないかという懸念を持っております。
    また、原子力新興国への輸出の可否も今後のスキームいかんで大きく変わるという可能性があります。従って、平和利用のところだけに焦点を当てるのではなくて、核不拡散との一体的検討をお願いしたいというのが第1点でございます。
    それから第2点は国際的なビジネス展開の点ですが、今後の原子力産業ビジネスの国際的・継続的な維持発展のためには、海外展開が不可欠であることは皆さん共有の意見と思いますが、海外向け人材の確保、政府と企業が一体となって戦略的外交活動と経済支援を行うというシステムを具体的に作り、ワークするようにしてほしい。いつも申し上げますように、私は定期的にフランスでトタール(TOTAL)、アレヴァ(Areva)等と議論いたしますけれども、ここまでやるのかというほど、大統領と民間が一体となった継続的・意欲的な外交活動等、非常に目を見張るものがございます。従って、そのよい点をぜひ学んで、骨太の政策を作り上げるとともに、諸外国に官民一体となって、フランス並みに活動するということを実行することをお願いしたいと、その2点でございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。次に末永委員お願いします。
  • 末永委員
    ありがとうございます。先ほど3分ルールに限りなく近く守ろうとしたのは私だけだと思いますけれども、あのときは非常に早口で二つのことだけ申し上げまして、そのときにちょっと言い忘れましたが、次回のときでも結構なのですが、実はいわゆる定期点検のあり方などをきちんと変えていくことは、実は地元の雇用にも非常につながる。また、リードタイムの短縮ということも地元の雇用、経済発展に非常につながるということはご理解いただきたいと思います。
    それでリードタイムのことだけ言いますと、例えば極めて卑近なことでありますが、ご承知のとおり、むつ市に今、中間貯蔵が立地しようとしております。ところが、むつ市はいつまでたってもなかなか許可が下りないということで、建設もままならない。その結果、むつ市民あるいはむつ市あたりが、財政的に非常な問題が起きてきている。こういうことも時として起こり得るわけです。それで、むつ市民は時には保安院が悪いのだという声を上げる人もいるのです。それはもちろん誤解だということにはなるのですが、その辺はやはりきちんと、そういうことにならないように今後、充分にご配慮いただきたいと思っています。
    さて、その上で今の課題でありますが、幾つかのことを読ませていただいて話そうと思いましたら、田中部会長を前に恐縮ですが、昨夜手に入れたのが「WEDGE」というJR西日本で出している月刊誌です。このオピニオンというところに田中部会長が「原子力の国際展開を阻む内向き思考から脱却せよ」という3ページにわたる論文を書かれています。これは飛行機の中で拝読しまして、まさにこのとおりだと思います。
    ちょっとだけご紹介いたしますと、まず一つは日本が強みを持つフロントエンド、その中においては、原子力発電所の建設において国際貢献できる、まさにそのとおりです。それから同じフロントでは、第2は燃料の供給だろう。まさにこれもそのとおりだと思います。それからさらに3番目としては、将来的な課題でありますが、第二再処理工場では、なおさらわが国では将来的には、他国の使用済燃料も再処理することを視野に入れて、そういうこともやらなければいけないというふうなことも以下書かれております。いずれにしろ、その中においては、技術を生かして国際貢献に前進せよということであります。これはまさにそのとおりだと、後できちんとお読みください、私のご紹介は大変まずいかもしれませんので、きちんとお読みいただければ、まさにこのとおりだと思います。私はこれ以上に付け加えることはございませんし、付け加えるとは大変生意気ですが、本当に教えられることが圧倒的に多いわけです。
    また今、高橋課長からありました、これも概要でございますが、ほとんど基本的に間違いない。間違いないというか、これでよろしいかと思います。ただ、その中で若干だけ申し上げますと、一つはやはり人材の問題であると思います。これは原子力の技術、あるいは原子力発電所の建設等々をやっても、それをきちんと運転していく、あるいは保守していくのは人材でありますので、その場合、特にアジア諸国においては、それぞれにおいてかなり温度差がある。その辺は日本において国際貢献の一環として、きめ細やかな人材育成をなすべきではないかというのが一つです。特にわが国においては、ご承知のように非常に長年の経験で培った、いわゆる原子力の安全文化というものがございまして、あるいは安全規制に関しても、きちんとしたものがあるわけですので、そういうものをベースにした人材育成ということでも、ぜひ貢献していっていただきたいというのが一つであります。
    それから第2番目としては、これは内藤委員も申されましたが、これはよくいろいろなところで何回か山名先生からお聞きしましたが、やはりわが国は原子力の平和利用の優等生である。まさにそのとおりでありまして、わが国こそが原子力の平和利用をやっているわけでありまして、この点を強く示しながら世界をリードしていく。そういう中において、国やメーカーあるいは電力事業者、研究機関等々が各々の役割を果たしながら、かつまた内藤委員が申されましたが、そのための国のリーダーシップが重要であろうと思います。
    この点に関しまして、先ほどの田中部会長がおっしゃっていることを、また引用させていただきますが、「わが国もIAEAの保障措置を厳密に重視しているから大丈夫ということにとどまるのではない。世界規模での核不拡散システムの向上のために率先して検討を始めるべきだ」と主張されておりますが、まさにそのとおりです。その点も、やはりこれは国のリードなくしてできないと思いますので、二つ目として申し上げたいと思います。
    それから第3番目としては、何としてもこれは前回のときも申し上げましたが、やはり六ヶ所の再処理を一刻も早く進行させる。このことが、これからのさまざまな国際貢献のためにも極めて重要なキーポイントとなりますので、これを何としてもやっていただきたい。そのために、あらゆるオールジャパンといいますか、チームジャパンと言ってもいいかもしれませんが、そのような形で、これを何としても早く進行させる努力をさし当たってはすべきであるということを申し上げたいと思います。以上であります。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。次は岡崎(崎の字は山へんに立・可)委員、お願いします。
  • 岡崎(崎の字は山へんに立・可)委員
    ありがとうございます。内藤委員、末永委員と重なるところがあるし、全く同意をいたすわけでありますが、一言だけ申し上げたいと思います。
    今、国際原子力機関IAEAの、次の事務局長を選ぶ選挙が行われています。日本から天野大使が立候補されておられるわけであります。何回か行われた選挙の中で、あと1票さえあれば実はもう当選が確定したというところまで来ましたけれども、残念ながら大変今、難航をしているという状況ではないかと思っています。この流れの中で、日本の原子力開発は世界の原子力開発支援に対する方針や存在感が、やはり少し薄れてきているのではないかという印象を受ける発言が海外から伝わってきております。
    IAEAというのは、もちろん安全や不拡散という大事な任務があると同時に、実はIAEA加盟の多くの国は、将来の原子力開発に対してIAEAに対する期待が大変大きいわけであります。こちらの分野に対して、果たして日本が本当に明確な方針やあるいは行動を取っているかということに対して、少しやはり懸念を抱かざるを得ないという観点から、今回この国際戦略を取り上げていただいたのは大変いいことだし、内容はすばらしいことであろうかと思います。
    従って、ぜひこれを実現していくということで、もちろん当面、原子力発電システムの海外への提供であるとか、あるいは資源外交面からの日本のこういう戦略は大事であるのです。これはお二人からもお触れになりましたが、決してフランスの大統領並みとは言わなくても、本当に日本の一体感を持った明確な原子力開発に対する支援の方針を、ぜひ政府一体化して発信していただくということが非常に大事なことではないかということを改めて思います。
    さらに加えて、最後に一言だけお願いしたいのは、ぜひ現下の当面する、こういう懸案だけではなくて、将来の第4世代原子炉システム開発や、もちろん核融合の開発も含めて、将来の世界の原子力開発に対する日本らしいビジョンをやはりきちんと示し、そこに責任や役割をしっかりと果たしていくというメッセージもぜひ出していただければと思います。ありがとうございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。佐々木委員、お願いします。
  • 佐々木委員
    ありがとうございます。3点だけ申し上げたいと思います。簡単に申し上げます。まず一つはこの報告案が、スタートのところで「原子力立国計画」とか「原子力政策大綱」から解き起こしておられるわけで、これは非常に重要だと思うのですが、せっかくそういうふうにしているのに、「国際協力」と「国際展開」、ここの二つをもっと峻別して明確に書いた方がいいのではないかと思います。この『まとめ』は私の理解では、国際協力や国際貢献ではなくて、「国際展開」、つまり「ビジネス」についての今後のわが国の戦略を記したものだというふうに私は理解しています。ですから、そういうものだということを、まず冒頭ではっきりとさせた方がいいということが一つです。
    第2点は、その点からいくと、5つの課題、5つの基本戦略がありますが、私はやはりここには濃淡をつけた方がいいと思います。これは5つのものが単に平面的に並んでいるべきものではないだろうと思います。基本的には何が大事かというと、これは内藤さんのご意見とも関連しますが、要するに日本の「国際展開」、「ビジネス」は、この第3の課題で挙がっている「核不拡散」と衝突するようなことはしないよということが基本ですから、これをないがしろにしてまでビジネスはやらないということを、まず書いておくべきかと思います。それがまず一つです。
    あとは四つの課題が残されています。あるいは戦略が残されています。この四つは全部、一番最後の「グローバルな競争の進展」に対する、日本としての体制づくりに全部関連するのです。つまり、「核燃料サイクル」の問題、「産業体制」の問題、「ビジネスリスク」の問題、あるいは「人材」やいろいろな問題、これら全部、要するに、どのような体制で出ていったらいいかということに過ぎないと思います。ですから、その辺のところをもっとすっきりと書いた方が分かりやすいのではないかと思います。
    それから最後に、ここにはあまり書いていないのですが、私は重要だと思っているのは、やはり国や公は、オーガナイザーやサポート役に徹した方がいいと思います。基本的にはビジネスですから、「民間」が主力になって、ドライビングフォースになって世界に出ていかなければいけない。ですから、「国」の方はあまりちょっかいを出さない方がいいということです。ただし、非常に重要なところは、それにもかかわらず、国がいろいろなところでサポートや支援をしますから、やはりある段階では、国がどういう役割を果たしてきたのかということの透明性は、やはり必要だろうと思います。ですから、それは10年後とか20年後とか、後日ある段階になったときでいいですから、そういうときに国がどういう役割を果たしたのかというものは、情報公開をする必要はあるだろうということです。つまり、一方では「民間」を主体にして、世界に出ていかなければならないということを担保しながら、しかし他方においてオーガナイザーや他国との折衝などで国の果たす役割については、後日、10年後、20年後、30年後でもいいですから、どこかでやはり情報公開や透明性を確保すべきであると思います。以上です。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。大体意見をいただいたし、時間でございますが、大変貴重なご意見をいただきまして、私も同感のところがございます。特に平和利用と核軍縮をセットにしてということとか、国全体の司令塔が必要だということ、それから人材の話や、協力と貢献と展開とは違うから、その辺を明確にしようとか、何点かありました。この小委員会の報告書ですけれど、一応、部会の方での意見をまたいろいろ聞いて、小委員会としてその報告書をまたバージョンアップして、パブリックコメントというステップにいきたいかと思います。
    今日いろいろあったことについて、私もかなりのところ同感できるところがありますので、その辺を反映した形で修正案を、私、小委員長の責任で作らせていただいて、それでもってパブリックコメントにかけて、その後、また再度、この部会で報告するということで進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。それでは、今後のスケジュール等について、事務局の方からご説明お願いいたします。

その他

  • 高橋課長
    先程、資料2でお示ししたとおり、次回は5月を予定しております。日程は至急調整して、皆様にご連絡を差し上げたいと思います。今日はいろいろなご意見をいただいたものも含めまして、次回の議題にも関係する部分が多々ございますので、特にこれをどう具体的に持っていくかという話も、実は地元対策をどうするかというところにも絡んできますので、そういうものを含めて、次回でまたご議論させていただけたらというふうに思います。ありがとうございます。
  • 田中部会長
    ありがとうございました。皆さんの時間的な協力も得まして、時間どおりでございますが、これにて第19回原子力部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月4日
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