ゲーム産業戦略研究会(第2回) 議事要旨
1.国内、海外市場における需要拡大に向けて
- 日本市場は低落傾向という数字も出ているが、海外市場は逆に、90年代半ばあたりからかなりの規模で大きくなっている。若年層向けのゲームから、大人向けまでコンテンツの内容はかなり多様化しており、いろいろなゲームが出てきている。
- 地域性の高いもの、あるいはローカルなテーストが反映される分野も少なからずあるので、そういうものに対応していくべきではないか。
- 海外のスタジオの体制についても、全世界統一してものをみて、ポートフォリオを組む、予算を組む、技術リソースを共有していくということに取り組み始めた。
- これまでのビジネスは、日本のマーケットが大きかったため、日本向けのリッチなコンテンツを海外のお客様にも広めていくというのが一つのパターンであった。
- ゲームのコンテンツの内容が多様化しているので、ビジネスの成功のパターンは過去と随分変わってくるのではないか
- アメリカのハードメーカー、アメリカのプラットフォーマーがマーケットの大きな位置を占めるようになってきた。また、現状は世界のマーケットの中心はアメリカになっていて、半分はアメリカになっている。
- レーティングについて、日本は、欧米と比べると、導入が遅かった。ゲームは、子供の遊びだけではなくて、いろいろな嗜好をもった人向けに、いろいろなメーカーがいろいろなものを出していくことがありうるというポジションに立ってものをみていかなければいけない。
- ユーザーに新しい刺激を提供するという観点からは、例えばネットが活用できるのではないか。
- シリーズタイトルは、回を追うごとに本数が減っていくため、従来にないタイトルを提供することによりマーケットを活性化させていくことが必要。
- オンラインゲーム事業でタイトルを投入していくことも必要。通信インフラの向上により新たなビジネスが開ける可能性があるのではないか。
- 携帯コンテンツ事業は成長率が高い。パッケージソフトだけに物事を限定しないで、オンライン携帯にも力を注いでいきたい。
- 中古問題への対応として、例えばオンラインでのダウンロード販売等でお客様と直接つながる、ソフトの貸与権を有効に使ってレンタル事業を展開するといった対応ができるのではないか。
- 海外展開については、背景にしている大きなマーケットに密着している方たちに開発してもらうということが、海外市場開拓の一つの解になるではないか。
- エンターテインメントビジネスの成否は文化レベルの話になるため、社会が変わっていくということも重要。そのため、ゲームは子供にとっては良くないものだというマイナスの風潮を何とか払拭していきたい。
2.アジアにおけるゲーム産業について
(1)アジア全般の動向について
- アジア全体の潮流として、ゲーム産業はICT産業振興政策の一環という位置づけで振興されている。また、ゲーム産業は高度知識集約型の産業と捉えられており、高い位置づけになっている。
- ゲーム産業をより広義な視点からとらえて、戦略目標を立てることが必要であり、例えば、ゲームの技術を他分野へどのように応用できるのかも考えていくことが必要ではないか。
- 新興国への展開にあたっては、その国のインフラに応じて過去のコンテンツをうまく活用することができるのではないか。その際には、現地の人材をうまく活用してローカライズするなど現地で許容されるゲームを提供することが必要。
- アジア全域で 1,000億円以上の規模であることを念頭におきながら、ローカライゼーションを行うことや現地パートナーを探すことの必要性が出てきている。
(2)中国の動向について
- 中国のオンラインゲーム産業規模は非常に幅広いデータが出ているが、日本円でいったら 800億円ぐらいであると思われ、成長が非常に大きい状況にあるようだ。
- アイテム課金のビジネスモデルも徐徐に試行してきているが、一方でアイテム課金のシステムも限界があるのではないかというのがみえてきている。
- 中国ではオンラインゲーム産業規模が大規模になりつつあるが、一方で家庭用ゲーム機は非常にグレーな市場になっており、非合法なネットワークによるコンテンツのダウンロードも行われている。
- 中国では産業クラスターに近い国家オンラインゲーム動漫産業発展基地があり、ソフトウェアハウス、デジタルアニメーション及びオンラインゲームの産業振興地区が認定されており、具体的には4つの都市が挙げられている。また、もう一つのタイプである国家動漫遊戯産業振興基地では、ファンディングやコンサルティングを行う機構が中心となった産学官連携が行われている。
- ゲーム開発人材増強の必要性がいわれており、「1+10計画」ということで、1つの高等なゲームの研究施設に対して、10の小さい研究機関を置く、2万人のゲーム開発人材が必要であるため今後さらに 1.5万人の育成が必要であるといった計画が出されている。
- 日本企業の中国での産学官連携も進んでおり、各社で教習所用の運転シミュレーターを開発したり、清華大学継続教育学院での教育プログラムを支援したりという形で連携が進んでいる。
- 中国ではゲームをしている人たちがゲームにはまらないための防止策ということで、「名前登録制度」を本格的に開始するのではないかといった報道も行われている。
- 遊ぶ場として、ネットカフェと自宅がほぼ同じぐらいの重要性で使われており、情報交換などの社交的な場としてのネットカフェの位置づけが確立しているのではないかと考えている。
- 台湾でもゲーム産業は非常に重要な産業として位置づけられており、バイオとデジタルコンテンツが2兆双星という位置づけで、これからスターになるであろう産業として、挙げられている。
- 台湾では、2003年に設立したデジタルコンテンツ学院を設置し、大学院や企業と連携しながら開発研究に取り組んでいる。
(3)韓国の動向について
- 韓国では、2005年のオンラインゲーム市場はついに 1,000億円を突破したという報告も入っている。
- 韓国では、2010年に国内のゲーム市場全体として1兆円、輸出を10億ドルに、そして8万 6,000人を雇用するという目標を既に立てており、このための戦略をいろいろと行っている。2005年はゲーム市場全体で 4,000億円、輸出は3億 900万ドルということで拡大が非常に進んでいる。
- 何よりも重要なのは、1990年代後半に陰地産業という印象があったゲーム産業を戦略的に花形産業に位置づけたということである。
(4)シンガポールの動向について
- シンガポールでは、エンターテインメント産業を自国に誘致して、この産業を育てて、彼らの国家の隆盛につなげたいと考えているようだ。
- シンガポールでは今後、6億ドルの投資をしていくという話を進めており、また、R&D、ファンドの確立なども進めている。
- 産学官連携という点においても、南洋工科大学という技術力の高い大学にゲーム研究室がおかれている。
- インターンシッププログラムを運営して、シンガポール出身者を日本のゲーム企業に派遣するといった取り組みも積極的に行っている。
(5)その他
- ベトナムは戦略的な目標をもっており、2010年までに83社のオンラインゲーム会社を設立して、目標雇用数は 3,000人だということを言っており、アジア各国のオンラインゲームパブリッシャーは既にその足をベトナムの方に向けているという現状がある。
- マレーシアでは、マルチメディアスーパーハイウェイというのを計画しており、2020年までにナレッジ社会のリーダーになろうとしている。その前に、2010年までにマレーシア自体をナレッジ社会にし、2004年から2010年までにマレーシアをナレッジハブにするという段階的な計画がある。このような状況から、インド、中国に続き、オフシェア開発の人気の拠点になりつつある。
- インドの場合は、テクノパークの中にフィルムアンドビデオパークというのがあり、その中でデジタルアニメーションとゲームの経済特別区域を作ろうとしていると聞いている。
- インドの教育については、企業主導型で専門技術者を育成する教育施設が設置されている。
3.技術開発について
- 実写と3DCGの自然な融合、あるいは自然現象の違和感のないリアルワールドというのが、将来的な向いていく一つの方向であり、
- それを実現するためのミドルウェア、ゲームエンジンといった映像コンテンツ制作の環境整備が、重要になるのではないかと考えている。
- 映像産業の高度化・高機能化という中で、今まで日本が比較的優位を保ってきたところのゲーム産業を支える一つの技術的な基盤が失われてきており、そのような観点から映像コンテンツ制作環境を整えていく必要があるのではないか。
- 高度な質の高い映像コンテンツ制作技術、高度な臨場感を実現できるヒューマンインターフェイス、製作環境の整備の3つが大きな課題であると考えている。
- 将来的には他産業からのバーチャルリアリティー、あるいはインタラクティブなフォースフィードバックといった形での技術の応用も考えられるのではないか。
- ミドルウェアが全て欧米製になっている中、技術のブラックボックス化が日本のゲーム産業にどのような影響を及ぼすのかは考えておくことが必要。
- ものづくりの基盤を確保しているのは、中小企業、中小ゲームソフトメーカーであり、中小企業の人達に活躍の場所を提供できるような、標準型のゲームエンジンや構築支援ツールを考えていく必要があるのではないか。
- 技術開発について、産業界や学界関係者を交えてフィージビリティースタディーを行いたいと考えている。
- ゲームをメディアという見方で捉えたときに、メディア経験を拡大するには技術として、ミドルウェアの汎用化といったことが必要になると思う。
4.戦略の方向性について
- 本当にゲーム産業を振興させなければならないのかということについての大前提を考えることが必要。その上で、政府としてこの産業をどうやって国家戦略の中に組み入れていくかという視点をもっていくことが必要ではないか。産業振興という視点では政府に期待したいと考えている。
- 技術開発という点については、今後のゲーム産業を考えたときに必要なものがあれば、十分検討の課題になるのではないか。
- オンラインゲームについては、現時点で、国で何をどのように関与しながらやっていくべきかという固まった考え方はないので、この研究会での議論をしていきたい。
- 遊び以外のところでゲーム産業のプレゼンスや社会的役割を高めていくということはこの研究会の一つの視点でもあり、掘り下げて議論をしていきたい。
- 本研究会で何について議論するかということはもう少しシャープに決めた方がいいのではないか。
- コンテンツの中でのゲームをどうとらえて、それを戦略的にどう位置づけるかというデザインが必要。例えば、ITという観点で捉えた場合には技術的な先進性をどのように確保するかという点が議論になるであろうし、ネットビジネスという観点で捉えた場合にはオンラインゲーム等のインフラをどのように整えていくかという点が議論になるのではないか。
- ゲーム産業は成長により、IT産業としての側面やエンターテインメント産業としての側面、日本ブランド発信のスタイルとしての側面など多面的な顔を持つようになっている。短期的な課題と長期的な課題があると思うが、短期的な課題に対応していくことだけではなく、長期的な課題についてもこの研究会を通じて問題の本質を明らかにしていきたい。
- ゲームについては、例えば技術なのか、メディアとしてのゲームなのか、玩具としてのゲームなのか、見方によってそれぞれの戦略的な拡大方向があるのではないかと考えている。それぞれの要素に分けてそれぞれの方向性で拡大方向を見つけていくことが必要ではないか。
- 海外のパブリッシャーの人との出会いとか、海外の中小のディベロッパーとの共同制作みたいなものを模索していくべきではないか。
- 国として何をすべきかが具体化され、それに対する施策が出てきたとしたら、これは大きな成果だと思う。そのため、ゲーム産業の現実をどう改善していくかという議論をしていくべき。
- ゲーム業界の阻害要因になっている喫緊の課題をまずは議論してはどうか。その先の問題として次回の課題になっている人材の問題は大きな問題だと思う。
- ゲーム産業は、外貨獲得という意味で日本の経済に対する影響があり、コンテンツ産業全体にいえることであるが「日本ブランド」を発信しているということだと思う。これについては戦略の中で明記していくことが必要だと思うが、具体的な対策についても書いていきたいと考えている。課題を洗い出した上で、国がやるべきこと、業界でやるべきことを整理する中で戦略を作っていくべき。
最後に事務局より、資料2に沿って今後の進め方について説明の後、次回は6月下旬に開催を予定しており、日程調整は追って連絡する旨説明があった。
最終更新日:2006年6月28日
