経済産業省
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独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会(第17回) 議事録

日時:平成18年6月2日(金)16:00~18:00

場所:経済産業省第3特別会議室(本館17階西1)

出席者

分科会委員

小野分科会長、小笠原委員、シェアード委員、藤垣委員

独立行政法人経済産業研究所

及川理事長、吉冨所長、田辺副所長、河津総務ディレクター、細谷研究調整ディレクター

経済産業省

森川経済社会政策室長、小林経済社会政策室室長補佐

議題

  1. 独立行政法人経済産業研究所の平成17年度の業務実績について(報告)
  2. 独立行政法人経済産業研究所の第1期中期目標期間にかかる業務実績について(報告)
  3. 今後のスケジュールについて(報告)

議事内容

小野分科会長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第17回独立行政法人評価委員会経済産業研究所分科会を開催いたします。
 本日は、ご多忙のところをおいでいただきましてありがとうございます。
 議事に入ります前に、当分科会の委員を務めてこられました西岡委員が、事情がおありになって辞任されましたのでご報告させていただきます。そういう意味では、委員のメンバーは、私を入れて4人になってしまいますけれども、よろしくお願いします。
 きょうの議事ですけれども、3つ議題がありまして、「17年度の業務実績についての報告」、「第1期中期目標期間にかかる業務実績の報告」、「今後のスケジュール」となっております。お手元に膨大な資料が配付されておりますので、事務局から説明をお願いします。
森川室長
 この4月1日から経済産業政策局に経済社会政策室ができまして、こちらがこの分科会を担当することになりました。そちらを担当しております森川でございます。よろしくお願いいたします。
 まず配付資料ですが、配付資料の一覧がございます。枝番もありますけれども、資料1~5まででございます。参考資料とCD―ROMがお手元にあるかと思います。前はフロッピーでお渡ししていたかと思いますけれども、フロッピーが読めなくてCD―ROMの方がいいという声もございまして、今回からCD―ROMにさせていただきましたのでよろしくお願いいたします。
 もし不足などがありましたら、お知らせください。
 本日は、独立行政法人経済産業研究所の評価に当たり、初めに研究所の研究員から研究成果等について説明をいただき、次に経済産業研究所の第1期中期目標期間及び17年度の業務実績について研究所から報告をしていただき、最後に今後のスケジュールについて私から説明をさせていただきます。研究員からの説明については、たしか委員から、ご要請があったと伺っております。
 議事録・議事要旨につきましては、「評価委員会運営規程」の定めに基づきまして公開することとなっておりますので、ご承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、説明に続きまして審議に入りたいと思いますが、まず初めに、前回の分科会で研究員の方から直接お話を伺おうということをお願いしましたので、今日はお2人の研究員にお越しいただいております。お2人からお話を伺う前に及川理事長からご挨拶をいただいて、その後、山下さんにお願いしたいと思います。
及川理事長
 及川でございます。委員の皆様方におかれましてはお忙しいところを、また暑い中をありがとうございます。先ほど会長からもお話がございましたけれども、お手元に膨大な資料がございます。今回は、17年度のみならず第1期、過去5年の実績につきましてもご評価をいただくことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。本当に恐縮でございます。
 現在、第2期をスタートいたしておりまして、おかげさまで順調に滑り出しているかと思います。吉冨所長を中心に多くのブレインストーミングなど行っているところでございまして、経済省からいただきました研究領域を中心に研究の枠組みを現在つくっているところでございます。
 本日以降、ご審議いただきますご評価を踏まえまして、第2期も私ども高い学術水準を維持することによりまして引き続き政策立案のプロセスに最大限貢献してまいりたいと思っておりますので、ご叱正のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 ご紹介ございましたように、本日は山下上席研究員と植杉研究員からお話をさせていただければと思っております。
 若干ご紹介を申し上げますと、山下上席研究員は農水省のご出身でございます。行政経験においてもベテランの域に達している方でございますけれども、研究業績につきましては、主として農政改革について研究を行っております。一方植杉研究員は、私どもの研究所では最も若い研究員でございまして、出身は経済産業省でございます。主として金融、中小企業分野等についての研究を行っておりまして、それぞれ対照的な分野を研究し、かつ世代的にもそれなりの行政経験を踏まえての研究になっておりますので、ちょうどよい対照ではないかと思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
小野分科会長
 それでは、シェアードさんもお越しになられましたので、山下上席研究員から研究のご報告をお願いいたします。
 きょうは暑いですから皆さん上着をとっていただいてどうぞ。
 それではお願いします。
山下上席研究員
 山下でございます。よろしくお願いします。
 きょうは、こういう機会をいただきましてどうもありがとうございました。何をやっているのかという話と研究所にいることのメリットとデメリットをお話しするということでありますので、簡潔に説明したいと思います。
 今、理事長からお話がありましたように、私は農林水産省から出向してほとんど3年間が過ぎようとしております。私がやっている仕事は、基本的には農業政策についての提言でございまして、世の中に私の業績として出ているのは99%がこれで、新聞とか雑誌、あるいはラジオ、テレビ等に出ているのは農業とか食糧政策についての話でございます。
 ただ、実際にやっている仕事、研究は若干異なっておりまして、それが資料1の「平成17年度研究概要」でお示ししているところでございます。1~3に書いているところも、いずれ世の中に出ていって、それなりの注目は浴びるテーマではないかなと思っております。
 1の「環境と貿易」というテーマですが、実はアンチグローバリズムの一番の急先鋒は環境NGOでございまして、シアトルのWTO閣僚会議が失敗した理由は、環境NGOが極めて活発に活動したということだと思います。ところが、この貿易と環境の問題はウルグアイ・ラウンドの時から、今からいうと何十年もやっているような感じですけれども、いまだに結論が出ていない。さらに最近では、WTOの交渉の場でも若干関心が薄らいでいるという面が無きにしもあらずという状況です。
 ただし問題は、京都議定書が2008年から発効になりますが、EU、日本は入っていますけれどもアメリカは入っていない。豪州も入っていない。そうすると、環境を十分守った国が国際競争力で不利になってくるのではないかという問題が再熱するおそれがありまして、今ドーハの交渉をやっているわけですが、次のラウンドではこれが一番の交渉事項になるのではないかという話すらあるので、それに目がけて研究をやって、できれば今年度に一冊の本として仕上げたいなと思っております。それが1の「環境と貿易」です。
 それから次の「食品の安全性と貿易」ですが、実はこれも、世界の消費者グループから貿易の利益を追求するために食品の安全性をおろそかにしているのではないかと、WTOに対する批判が結構多い分野でございます。要するに。BSEの問題にもありますように消費者は安全なものを食べたい、ところが貿易の方は、化学的に安全だといわれているのだから食べろという話になってくるわけです。そこの調和をどうやって図るのか。
 これについては、実はウルグアイ・ラウンドの時にSPS協定というのがつくられて、これは一応の結果をみているわけですが、その後、EUのホルモン事件をめぐってアメリカとEUがWTOの紛争処理手続きを利用するとかいろいろな事件及びそれに対する法律的な判断が出ているので、それを踏まえながら、望ましいSPS協定の解釈はどういうものであるべきかとか、こういうようなことを今は研究しております。
 これは、1と3の中間的な領域なので1の方にくっつけるのか3の方にくっつけるのか、ちょっと今迷っているところですが、いずれにしてもそういう形で世の中に出していきたいと思っています。
 それから3については「WTO農業協定」、今ドーハ開発アジェンダをやっているわけですが、この中で農業は焦点が一番当たっている分野でございます。これについて私もいろいろなところに呼ばれて話をしたり、あるいは新聞のインタビューに応じたりして、出身省庁の農林水産省の方から抗議の電話をもらったり、そういうことをいろいろやっているわけですが、WTO農業協定というのは、実は意外と国際経済法学者の中でも十分な知識を蓄積していないということがありまして、最近出ている国際経済法の本、2冊ぐらいありますが、その本をみてもかなり不正確な記述があります。そういう観点から、WTO農業協定についてもう一遍きちんとした解説書を出そうではないかと、RIETIに関係している国際経済法学者の方から問題提起がありまして、実は6年前に、『WTOと農政改革』という本を出しまして、日本語でしか出していないんですけれども、これはワシントンの法律家の間でもある程度評判になっている本で、まだ引き合いはありますけれども絶版になっていますので、この改訂版を、最近のWTOの法律解釈も踏まえながら出していこうと考えています。
 そこが、いわゆる研究をやっている分野でして、実は、世の中に出しているのは私の農政改革についての提言でございます。これは農林水産省にいたときからかなり激しいことをいっていました。激しいことといっても大したことではなくて、次のペーパーに書いているんですが、要するにWTOとかFTA交渉もあるし、それから農業の衰退傾向に歯どめがかからない、そのために何をしなければならないかというと、関税の引き下げに対応するように価格を下げて、ただ、下げたら本当の専業的な農家が困るので、専業的農家の対象を絞って直接支払い(政府補助金)を出すことによって、あわせて構造改革を進めようと、こういうアイデアです。これはアメリカもEUもやっているような政策ですけれども、日本の場合には、構造改革という色彩を直接支払いという施策にビルトインしました。
 これは私のオリジナリティーがあるところだと思っておりますが、そういう意味で、これは随分前から提言しておりまして、やっと最近になって農林水産省が行った農政改革も、数年遅れではありますけれども、私が主張した改革のラインに方向は向かっている。ただ、残念なことに、アメリカやEUが行っているように国内の価格を下げて直接支払いをする、そこまで全然踏み切れていないものですから、したがってWTO農業交渉でもイニシアチブをとれない、いつもノーとしかいえない、こういう状況になっているわけです。私の場合にはそこをはっきり、ちゃんと国内の価格を下げて直接支払いをやれ、しかもそれを対象農家を絞ってやれというふうなことを申し上げているわけです。
 次の「グローバル化と人口減少時代の農政改革」というのは、実は昨年の2、3月ぐらいでしたか、正確な時期は忘れましたけれども、人の紹介がありまして、当時の与謝野政調会長、今の与謝野大臣に1時間半ぐらい、昼飯時を使っていただきまして説明をした資料、そのときは1枚紙の資料でしたが、それを膨らませたものです。大体これに沿って話をしているということです。
 次の最後の「農協の解体的改革を」という、昨年の6月に日経の「経済教室」に出した論文ですが、これは「対象者を絞って農政改革をやれ、専業農家に限って直接支払いをやれ、これに対していつも反対するのは農協という勢力である、それはおかしいのだ」ということを書いたペーパーでございます。
 これについては、農協系の新聞とかかなり激しい反論がありまして、いまだに、つい最近も農林中金総合研究所とかいうところから、かなり大部の反論文書が出されたということで、私はまだ、読んでいませんが、相当なものが出されているということです。
 それで、メリット・デメリットを簡単にいわせていただきたいと思いますが、メリットとしましては、私は農水省で、狭い農業グループの中でいろいろ発言をしてきたわけですが、農業課の中では、ある程度有名になったのかもしれませんけれども、全国的な、あるいは世界的な面からいうと余りインパクトはなかった。RIETIに来たときに、私が昔からつき合いのあった役人出身の研究者がRIETIにたまたま何人かいらっしゃったし、それから私がBBLなどでしゃべっていると、これはおもしろい、こういう人に話をしたらどうかとかいうふうなことがありまして、与謝野政調会長にもそういうつてでお話をさせていただいたのですが、そういう意味でものすごくネットワークが広がって、今では「直接支払いによって農政改革をやる」というのは、多分マスコミ関係者の中では定着したアイデアになったのかなと思います。そういう意味でしゃべる場、相手が広がったというのがメリットだと思っています。
 田辺副所長からは、「RIETIのエースだ」とかとおだてられていろいろ過激なことをいうのですが、これは若干デメリットにもなるかもしれませんけれども、そういうことをいえばいうほど、実は農政批判をすることになりますので、親元の農林水産省からは結構恨まれるということがありまして、私、エースだエースだといわれて図に乗ってしゃべっているんですが、実は経緯がありまして、私の給料は決して多くなくて、エースでありながら今年入ったルーキーの人の方が私よりも給料が大きいという問題もあるので、そういう意味で、私は一たんは農林水産省に帰って、また次に来られるかどうかわかりませんけれども、普通の人並みの給料を得たいと思っているんですが、こういうことをいえばいうほどますます農林水産省に帰れなくなるということで、つい最近も何回か復帰の話があったのですが、そのたびにつぶされているということで、次のチャンスを逃したら多分帰れないのではないかなという感じすら受けていますけれども、そこは、事務次官に何とか帰してもらえるようにということでお願いしているところでございます。それがデメリットといえばデメリットかなと思います。
 若干長くなりましたけれども、以上でございます。
小野分科会長
 ありがとうございました。農水省のご事情もいろいろあるようですけれども、頑張ってください。
 それでは植杉研究員お願いいたします。
植杉研究員
 ご紹介に預かりました植杉でございます。手短にご説明をさせていただきます。
 私自身は2002年の11月に研究所に参りまして、それ以降3年半ぐらい研究所におります。今回お話をするのは企業金融、特に中小企業に対する金融がどのようになっているのかという事象分析の話でありますが、これに関しては2年ほど前から企業金融研究会という研究会を一橋大学の渡辺努先生と一緒に立ち上げまして、10名ほどの実務家や研究者と一緒に研究会を開いて論文を書いて世に問うという形で発表をしております。その過程でRIETIでのシンポジウムを開きましたし、国際的なコンファレンスで発表しましたし、最近ではOECDが中小企業金融に非常に関心をもっていて、先日もブラジルで大臣などが出席する中小企業金融会合を開くというので私自身も行って発表をしました。
 日本の企業金融は、ひところ不良債権問題が激しく批判をされて貸し渋りや追い貸しといった事象が非常に話題になっていたわけですが、実際のところ企業がどのような金融環境に直面しているのか、どれぐらい困っているのかということに関しての事象的な知見はほとんどありませんでした。特に中小企業に関してはデータがなかなか手に入らないということがあってわからない部分が多かったんですが、実は最近中小企業庁やその周りの人たちがいろいろ努力をしてその整備をしておりまして、そこのデータを有効に活用して、一体中小企業金融がどのようになっているのかを知ろうということを進めています。
 それで、かなりのことがわかってきたのではないかなというのが、これまで2年間やってきた感じでありまして、いろいろなことを私たちの研究会ではやっておりますが、今日はその中で2つの話題を話したいと思います。資料2としてお配りしております「発表内容紹介」の一番最初にその概要を簡単に書いております。
 1つ目は「金融機関による企業の選別は効率的か」という話であります。
 これは、特に金融機関の方からみた場合に、90年代の後半から2000年の初めにかけて不良債権処理を先送りしようというインセンティブが彼らにはありましたから、市場から退出すべき企業を追い貸しなどの形で延命させたというような指摘が多くされています。特に幾つかの大企業、名前はあえて挙げませんが、経済産業省も関係しているような大企業が延命させられたと批判されているわけであります。
 ただ、実際のところ中小企業はどうなのかといいますと、今銀行が多く貸しているのは大企業ではなくて中小企業ですから、中小企業に対してそのような不必要な延命が行われているのかというのを知りたいと思いまして、大規模なデータで調べたところ、実は「不自然な淘汰」と我々はいっていますけれども、不必要な延命が行われているわけではなくてきちんと悪い人たちが淘汰されているプロセスがみえているのではないかというのが1点目であります。
 2点目に関しては、政府の役割が中小企業金融で果たして有効だったかどうかという話です。ここでも政府は、金融機関と同じように批判されることが多くて、公的資金を注入するのも遅かったし、中小企業金融に対してはいろいろな助ける措置は講じたわけですけれども、これも企業もしくは金融機関のモラルハザードを助長するだけで本当は役に立っていなかったのではないかなというエピソードがよく語られていたわけであります。それは本当かということを調べてみたのがこのリサーチでありまして、実は効率性を上げるという意味で中小企業の利益率のようなものはちゃんと上がっているのだということを、データをもって示したものであります。
 それぞれを簡単にご説明をしたいと思います。2ページ以降でご説明しておりますのは、金融機関による選別は有効か、効率的であったかという話であります。
 3ページ、4ページで書いてありますのは、これまでの議論は、いわゆるゾンビ企業が多くて、特に大企業にそういったものが多かったがために日本経済で意味のある新陳代謝、経済活動における新陳代謝が行われずに日本経済の活力が低下したという批判であります。こういった批判を裏打ちする実証分析も数多くなされていたわけであります。ここで、経済財政白書も含めて、有名な経済学者も含めて、特に大企業においてゾンビ企業がたくさんいて、それが日本経済における効率的な参入ですとか全体の効率性の改善を妨げていたという議論がされているわけであります。そういった議論が中小企業において当てはまるのかどうかを知りたいというのが私たちの問題意識であります。
 5ページにあるように、大企業ではなくて中小企業が金融機関にとっては大きなターゲットでありまして、そこをみることで日本経済全体で本当に正常な新陳代謝が行われているのかどうかがわかるわけであります。そこを、大規模なデータベースを使ってみてみようというのが我々の研究の目的であります。
 どのようなデータを使ったかを簡単に書いてあるのが6ページでありますが、法人企業は日本の企業全体で大体160万社あるんですが、その中の20万社以上のデータベースを6年間にわたって追跡をしております。これはCRDのデータベースですけれども、ここを6年間追跡していくと、やはり倒産する企業が毎年毎年6,000社とか8,000社ぐらいのスケールで存在するわけです。そういった存続する企業と退出する企業はどのように違っているのかを見ることによって、日本の企業、特に中小企業で正常な新陳代謝もしく自然な淘汰が行われているのか、それとも不自然な淘汰が行われているのかをみるのが私たちの研究手法であり目的であります。
 どのような仮説があるかというのが7ページに書いてあります。不自然な淘汰が起きているのであればこういうことが起こっているはずだということを仮説を立てまして、それがデータによって裏付けられるかどうかを検証しております。
 私が考えたのは不自然な淘汰、すなわち日本経済の効率性を下げるような淘汰が行われているのであれば、存続する企業の業績の方が退出する企業の業績よりも悪いはずだと。なぜかわからないけれども悪い企業が市場に残ってしまって、いい企業が退出しているはずだと。もしくは企業が支払っている金利に着目をして、存続している企業の支払い金利の方が退出する企業の支払い金利よりも高くなっている、すなわち退出する企業がなぜか低い金利で優遇された上に、最終的に倒産することがみえるのではないかということで、このいずれかが成り立っている場合に不自然な淘汰が起きていると考えて、不自然な淘汰が起こっているのかどうかをデータで検証しています。
 その結果が、実はいろいろな業種をとってみても、もしくは企業の年齢をとってみても不自然な淘汰は起きていないという結論が得られているわけであります。
 金利の方からそれをみた結果が8ページの「実証結果」に載っている話でありまして、ここで、細かい数字で恐縮ですけれども、一番右上のAllと書いてある行、列でもAllと書いてあるところに 0.613と載っていますけれども、これは退出する企業の方が存続する企業よりも全体で平均して0.6%ぐらい高い金利を払っているということであります。当時の大体の金利水準は2%ぐらいですから、かなり差をつけられた上で、金融機関は1年後に倒産する事をきちんとアイデンティファしてやって高い金利をつけているということがいえているわけであります。そういったことが全体のサンプルだけではなくていろいろな業種もくしはいろいろな企業の年齢においても共通して観察されるということであります。
 ここからいえることは一体何なのかということを9ページに簡単に書いてありますけれども、中小企業では不自然な淘汰ではなくて合理的な企業の選別のメカニズムが機能しているはずだということであります。もちろん大企業では、ゾンビ企業の存在はなかなか否定できませんけれども、実はゾンビ企業が経済全体に与える影響は限定的であったのではないかというのが我々の結果の解釈であります。
 これがまず最初の話であります。
 その次に2番目の話としまして、政府介入は果たして正当化されるのかということを簡単にご説明したいと思います。特に中小企業に対する政府介入ということを扱っておりまして、そこのところで、我々が過去を振り返ったときに非常に大きな措置であったと考えられるのは、特別信用保証制度であります。
 特別信用保証制度は、民間の銀行がお金を貸したときに、政府、信用保証協会が、銀行が貸した元本と利子分をデフォルトした場合、中小企業がそれを払えなくなった場合に立てかえてやるという制度であります。日本の場合には、立てかえてやる率が100%、すべて立てかえてやるというすばらしい制度であったわけですけれども、それが本当に効率的であったのかどうか、特に98年から2001年に特別制度を導入してほとんどすべての中小企業にそれを提供するということをやっていたわけであります。それは、いろいろな意味でモラルハザードを生んだはずだというのが当時の批判でありました。もちろん貸し渋りを緩和してやるのが制度の目的ではありましたので、そういった効果を指摘する人もいますけれども、どちらかというとモラルハザードがひどくてこの制度はうまく機能しなかったというのが、これまでの皆さんの何となくのエピソードに基づく認識だったと思います。それをデータに基づいて検証してやろうということであります。
 それを、どういう仮説に基づいてやったかというのを14ページに書いております。特別信用保証制度を利用することによって、まず正の効果が期待されるわけです。正の効果を期待される一方で負の効果もあり得るわけで、そのどちらが大きいのかをみてやろうということであります。
 特別信用保証制度は、今申し上げたように金融機関の貸付債権がデフォルトした場合に、そのリスクを全部政府が背負ってやりましょうという制度ですから、貸し手の銀行は心置きなく、デフォルトリスクを心配することなく中小企業に貸してやることができるわけです。そういった意味で、デフォルトリスクを100%負ってやるはずだから金融機関は量においても金利の面においてもかなり有利な条件で中小企業に貸付を行えるはずだというのが、プラスの効果を期待するときの見方であります。ただ、その反対側の効果というのも100%保証してやるだとか誰にでも保証を提供してやるということに伴って起こっていたはずであります。それがここに書いてあります「逆選択効果」という負の効果でありまして、それは、100%保証してやるわけですから、金融機関は貸出先をまじめにモニタリングする必要がないわけです。いいかげんにモニタリングをしていて、企業が事後的に破綻してしまったとしても、金融機関はその債権は弁済してもらえるわけですからまじめにみる必要はなくなるわけで、そういったことが情報の非対称性を悪化させて、全体の企業の効率性を悪化させるのではないかという可能性であります。
 そういった2つの可能性のどちらが大きいかを、データに基づいて示したのが15ページ以降の話であります。
 ここでは、やはりデータに基づく検証ということで、全体で 3,500社ぐらいのサンプル企業をもってきてやりまして、その中で制度を利用した人、利用していない人を選びまして、彼らが事後的にどういうパフォーマンスの変化をしたのかというのを調べています。例えば利益率だとか借入比率だとか投資をどれぐらいやったのかということがそれぞれに関してわかりますから、それが事前と事後でどのように変化したのか、それは特別保証利用企業と非利用企業の間でどれぐらい違っていたのかをみることによって、保証利用企業がどれぐらい便益を被ったかということがわかるわけであります。
 その結果が16ページに書いてありまして、ここでいえるのは、保証利用企業がどのような信用リスクに属する人たちでも借り入れが増えているという話であります。特に短期ではなくて長期の借入金が増えていることがわかるわけであります。負債比率で全体に関して4.06%ポイントという数字がみえていますけれども、これは信用保証制度を利用した企業において、利用していない企業よりも4.06%ポイント分だけレバレッジのレシオが上がったということであります。それで借り入れが比較的しやすくなったということがいえると思います。最終的には、それが意味のある投資を通じて、使用した企業のROAを上げるのにつながったということであります。
 そこで、私が最初に提示したプラスの効果とマイナスの効果はどちらが大きかったのかという検証については、どちらかというとプラスの効果の方が大きかったのではないかという結論が得られるのではないかと思います。
 最終的に、17ページの結果の解釈としましては、モラルハザードといった問題はもちろんありますけれども、全体の借入制約の緩和というプラスの効果の方が、私たちが見た限りでは大きかったのではないかということであります。もちろん制度の問題点は改善する必要があるんだけれども、そういった意味で政府の貸出市場への介入は、非常に大規模なクレジットクランチが起こっているような状況では正当化させることができるのではないか、もちろん財政コストが非常に大きなものがかかりましたから同じことができるかどうかということについては議論の余地がありますけれども、介入に関するある程度の正当性が示されたのではないかというのが、今回のもう1つのお話であります。
 こういった研究をしていますけれども、最後に研究所に在籍したことのメリット・デメリットを簡単に申し上げます。
 まずメリットとしては、時間的な制約がものすごく緩いというのがあります。大学に比べても教授会に出なくてもいいですし、学生さんに教える必要はほとんどないです。もちろん役所から幾つか問い合わせがあってそれに答えなければいけない、意見をしなければいけないという暗黙のプレッシャーはありますし、実際それはやるわけですけれども、それ以外に関しては時間的な余裕は非常にあるわけであります。そういった意味で、自分がやりたいと思ったことをとことんまで突き詰めることができるというのは非常に大きなメリットかなと思っております。
 なおかつ資金制約も余りないなというのもあります。今回データを大々的に使って分析をしたわけですけれども、こういったことを大学でやろうとすると、手続きの面でも、本当にお金が取れるかどうかという点でも煩雑だと思います。RIETIはかなり柔軟に、必要性が認められる限りにおいてはお金を使うことができますので、そういった意味でも非常にありがたいなと思っております。
 デメリットとしては、この機会ですので2つほどいいたいと思います。
 1つは、研究者の数であります。常勤研究員がどれぐらいいて、私たちと日常の交流をもてるかという意味において、RIETIはもう少し改善の余地があるのではないかなと思います。特に私より若いような若手の研究者、大学院を出てこれから仕事をしようというような人たちは、時限の法人であるという制約もありますけれども、なかなかRIETIに来ないので、そういう人たちに来てもらって切磋琢磨をしたいなということはあります。
 それに関連した点としては、経済産業研究所に限らず政府系の研究所は同じような問題を抱えているのかもしれないですけれども、研究機関、リサーチの機関として必ずしも大学と同列に評価されていないということであります。例えば私たちはいろいろな形で大学で勉強しているリサーチアシスタントに来てもらって仕事をしてもらうことがあるわけですけれども、そういったことをしてもらうときに、親元の大学の方から、RIETIに来てリサーチアシスタントをするということが研究活動の一環だとみなされない場合が多いわけです。大学で働く場合は研究をしていると思われるんだけれども、RIETIだとそうは思われないということもありまして、そういうところは、我々の研究成果をちゃんと世に問うて評価を高めるというのも一つの解決策だと思いますけれども、そこはデメリットといえばデメリットかなと思っております。
 長くなりましたが以上でございます。ありがとうございました。
小野分科会長
 どうもありがとうございます。
 今、山下さんと植杉さんからお話をいただきましたけれども、それぞれご質問、ご意見がありましたらどうぞ。小笠原さんにご発言いただいて実現しましたから、どうぞ。
小笠原委員
 そういうお話で、私は当然質問しなければいけないのかもしれないと思いますので、発言させていただきます。
 両研究員の方にご質問したいのは、今、こちらの評価委員会の中で話題になっているのは、単純なアウトプットだけではなくてどれだけ政策立案に寄与したかとか政策に反映したかというようなところのアウトカムが、今非常に悩ましいんですけれども、評価上、どのように定量化できるかとか定性的に表現するかという話が話題になっていると思いますけれども、先ほど山下さんから、ルーキーに比べると、エースといわれながらなかなかその辺のあれが……、というお話でしたけれども、それが金銭的なものになるかというのはちょっとこれは別としまして、今現状、評価としましてはアウトカム的な評価としてこういうことをみてほしいなとか、こういうものが定量的に決まっていれば研究員の間でもしのぎを削る形、仕組みになれるかなとかというのがもしあればお聞かせいただきたいなということが1つです。
 あともう1つは、先ほど、資金的には余り気にする必要はないとか、非常に時間が自由だというお話があったんですが、資金、時間が自由な場合に、あとはテーマ設定、テーマについてRIETIは政策にいかにヒットさせるかというところに力点があろうかと思いますので、そのテーマ設定のプロセスで、それもフリーなのか、そのあたりはディスカッションされていらっしゃるのか、質問させていただきたいと思います。お願いします。
山下上席研究員
 私の方からまずお答えさせていただきます。
 アウトカムですが、私は純粋に研究者ではありませんので、大学を卒業してすぐ研究者として何十年も活躍された方と違いまして、私の場合は行政を30年近くやって、その間アメリカに留学して、一応大学院で修士号を2つもらいましたけれども、去年は東大から博士号ももらったのですが、基本的には行政マンですし、RIETIは政策研究所だということもありますので、どうやって政策にインパクトを与えるか。私の目からすると、私も自分のプロジェクトでいろいろな大学の先生からの報告も受けるんですが、確かに理論的にはものすごく優れているのだと思うんですよね。だけれどもそれが、この理論を使ってWTO交渉で日本政府としてはどういう提案につながるのかというと、残念ながら経済理論の場合は制約条件、前提条件がものすごくあって、こういう場合にはこういうことがベストかもしれない、こういうときになるとこれがベストかもしれないということで、なかなかインパクトのある提案にはならないときが多いわけですね。
 要するに、我々役所から来ている人間のメリットとしては、我々は役所のニーズとか政治あるいは行政のニーズはよくわかるわけです。ずっとアカデミアにいる人たちはそこら辺がよくわからないので、そういう意味では、我々が問題提起をして、それに答えるような形で学者の先生、研究者が答えてアウトカムをつくっていくというのがベストだと思います。そういう意味で、若干タコつぼ的に入っている感じもなきにしもあらずで、そこは我々みたいな人間と本当の研究者とのタッグマッチがこれからもより一層必要だと思います。
 それと、やはり政策提言の場合には、世の中の人がどれだけ評価してくれるか、幾らいい論文を書いてもそれを世の中の人が評価してくれない。世の中の人が評価するというのは、それなりのニーズがあるものだと思いますので、そういう意味で、マスメディアを含めてどれだけの人が、この政策提言なら聞きたいなという……、残念ながら私の提案は注目はされていますけれども、100%農林水産省あるいは与党農政が採用しているかというと、私の目からすると10点ぐらいの評価しか、今の農政は評価できないわけですけれども、我々研究者が提案して「右向け右」といったら右向くというほど世の中は甘いものではないので、ただ、農林水産省のやっている農政がおかしいんだという人がそれに注目してくれるような、そういう政策提言をやっていく必要があるのではないかと思います。
 評価の方ですが、幸いなことに私はRIETIの中では評価はしていただきまして、2年連続A評価をいただいて、3年目は今年ですが、どうなるかわかりませんけれども、評価は高いんですけれども、ただ、RIETIのルールとして、役所から来た人間は、その来たときの給料ベースにするというのがありまして、私はいわゆる部長とか審議官になる前に来たものですから、RIETIの中で私の役所のときの同期とか、あるいは1年下で今年来られた人から比べると数百万の所得の格差が多分あるのではないか思います。A評価をもらって上げてももらっているんですけれども、10年間かかってやっと追いつけるかなというペースですので、そこら辺はちょっと改善する必要はあるのかなと。私も、もうすぐ帰れるかなと思っていますので、こういうことをいうのは今となっては私の利益にも何もならないんですが、そういうところは改善する余地はあると思います。
 前の理事長のときにそういうことを申し上げたことがあるんですが、RIETIのルールからすると、あなたが農林水産省に戻って部長、審議官になって、その後また戻ってくれば上げてあげるんだということをおっしゃったんですが、それではRIETIで頑張って評価を受けるというよりは、役所の序列で報酬が決まってしまう。それはやはり問題ではないかなという感じが、私は今はしております。そういう意味では、別に高い人の給料を下げろということではなくて、それなりに頑張っている人は評価をするというメカニズムは必要かなという感じはします。
 それと、テーマの設定ですが、前に申し上げたことと関連しますが、我々は役人ですので、基本的には今どういうところでニーズがあるのか、どういうところが今後問題になるのかというのは、役人をやっている以上は問題意識としてずっともってきているはずなわけですね。そういう意味で私の場合には、WTOの農業交渉とか、それを乗り越えるためにどういう農政改革が必要なのか、あるいは農業の衰退に歯どめをかけるためにはどういう農政改革が必要なのか、これはいつも頭にありますので、その面からいろいろテーマを設定しています。
 「貿易と環境」というのは、これは独自に、昔からWTO、ウルグアイ・ラウンドに参加したときから、これは将来重要な問題になるなということで今研究させてもらっていますが、ただ、そのときに、フリーに設定できるわけではなくて、吉冨所長が来られてからテーマの設定についてはブレインストーミング・ワークショップということで、そこで理事長、所長もご出席のもとで、今年はこういうことをやりたいんだということを説明して、それについて了解をいただき、そのときにいろいろなアドバイスもいただきながら研究を進めていくということで、一応発案としては個人の発案ですが、所内のクリアを受けたテーマ設定になっているということだと思います。
植杉研究員
 山下さんがされている研究よりも私の方がもっと抽象的なレベルにとどまっていて、直接的に政府がやる施策に具体的な中身として貢献はまだしていないと思います。ただ、政策担当者や世の中で企業金融に関心がある人たちの想像力を高めるということには明らかに役に立っているという自信はあります。
 例えば日本の企業金融というのは、今本当に真剣に対処しなければいけない問題なのか、銀行の尻を叩けば物事は解決するのかというようなレベルにおいて何らかのイマジネーションもしくは答えを与えているのではないか。そういう意味において私は貢献しているのではないかと思います。
 ただ、もう少し具体的な中身に関して、例えば私が今ご説明したような信用保証制度を例にとると、4月に今回改正があったわけですけれども、そういった具体的な制度の改正においても何らかの役に立てるのではないかなという可能性は感じております。そういうことを実際にするためには役所、ここの場合でいうと中小企業庁とフォーマル・インフォーマルを問わずに積極的に意見交換をしなければいけないなと思います。ただ、これは研究員のレベルでこういうことをやってくださいといっても、向こうは日々の仕事で忙しいといわれるところで終わってしまう場合が多いので、組織としてそういった場を設定することは必要ではないかなと思います。もちろんそれがRIETIとして重要だと思うかどうかという判断は先にあると思いますけれども、そういった場を設定することによって、より私たちのデータをもとにして得た知見ですとか理屈上考えた意見といったものが反映されるのではないかなと思います。
 テーマ設定に関しては、山下さんから今お話しいただいたようにブレインストーミング・ワークショップがあるので、一応スクリーニングはあるということだと思います。私の場合は、今回のブレインストーミング・ワークショップのような制度が始まる前からおりましたので、私の経験を申し上げますと、何となくの無言のプレッシャーがかかりますので、経済産業省にとって重要だと思うテーマ、もしくは世の中として重要だと思うテーマに何となく関心がシフトしていくということは、研究員の体験からもプレッシャーとして感じますし、実際に私も、前はもっとマニアックなことをやっていたのですが、今の企業金融研究にテーマを変えたという経験もございます。
 以上です。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 せっかくお越しいただいていますから、シェアードさん、あるいは藤垣さん、ご質問、コメントがございましたらどうぞ。
シェアード委員
 ありがとうございます。お2人の報告は大変参考になりました。ありがとうございました。
 植杉さんに質問をぶつけてみたいと思いますが、この2つのテーマ、ここから出てくる結論というのは、極論すれば政府にとって都合のいい研究結果であると映りかねないと思いますね。でも、それはたまたまそういうふうになっているだけだと思いますが、1つ問われているのは、RIETIみたいな研究機関の独立性とか、あるいは学術レベルの高さ、これをどう維持するのかということですよね。ですから、つまり外からみて、あの研究所は、政府にとって、あるいは関連省庁にとって都合のいい研究をやっておいて、理論武装できるようなものを提供しているという批判が当たらないような工夫とか、どのようにその辺のことが防止できるのだろうかというところをお聞きしたいと思います。
 植杉さんのお話の中でちょっとびっくりしたのは、最後の方の、大学と同列のレベルの研究機関として余りみられていないということ、その兼ね合いで考えると、そういう危険性が出てくるのかなと危惧しております。
植杉研究員
 それは非常に重要な話でありまして、今回のリサーチからいうと、私たちも今回得た結果その反対側の予見をもっていまして、信用保証をやった企業はとんでもないことになっているはずだということを思っていて始めたんですけれども、何度やってもその結果が反対なので、いろいろ考えたあげく今回の結論になったのであって、そういった意味で試行錯誤の結果やったのであって、何か先見があってやったわけではないということであります。
 ただ、そういったことのプロセスがわからない他の人たちに対してRIETIがちゃんと客観的な分析をする機関だと認めてもらうには、やはり学術的に真っ当なことをやる機関であるというレピュテーション、そこでしか対抗できないと思います。例えば今回のこの2つのテーマに関していえば、NBERという全米経済研究所が日本に関するプロジェクトを毎年1回やります。シェアードさんも去年はいらっしゃっていたと思いますけれども、そこで、去年1つ目の論文は発表しましたし、もう1つの論文も今年発表する予定であります。NBERのプロジェクトは日本に関心のある外国人を含めたコンファレンスとしては最も権威が高いものの1つだと思いますので、そういった意味で学術レベルは達成できているのではないかと思います。なおかつそういった論文を、ちゃんと経済学の学術誌に投稿して載せてもらうというプロセスを地道に続けていくことによって真っ当に客観性のある分析をするんだというレピュテーションが確立されるのだと思います。
小野分科会長
 ありがとうございます。
 藤垣委員どうぞ。
藤垣委員
 山下さんに質問しますけれども、先ほどの小笠原委員からの質問に対してご返答されたときに、ある場面では「我々研究者は」と話されて、違う文脈では「我々は基本的に役人なので」とおっしゃるので、聞いている方としては、このRIETIの研究者というのはアイデンティティとしてどこにあるのだろうというのが、ちょっと混乱したので、その辺、どこら辺にあるのかを伺いたいのと、それが山下さんだけの問題なのか、それともRIETIの研究者はどのような分布になっているのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
山下上席研究員
 基本的には、私は頭が悪かったということもありまして役人の道を、まあ頭のいい人もいらっしゃいますけれども、研究者の道ではなくて役人の道を選びました。それで留学はしたんですけれども、例えば経済学とか行政学とか、そういうものを実際の行政にいかに応用しようか、適用しようかというのがいつも頭にあったので、そういう意味で私のアイデンティティは、基本的にはずっと役人だと思っています。ただ、今の職業上の身分はもちろん研究者なので、例えば国会の議員会館に行くときも、あなたの身分は何ですかと書くところがありますけれども、そこには公務員ではなくて研究者だと書いていますが、ただ、基本的にはそれがうまく融合したような研究者なのだろうと。もちろんアカデミックな論文も本もたくさん読まなければならないということで研究者ですが、視点としては行政のニーズがどこにあって、それにどのようにこたえていくのか、あるいはどういう政策提言をしていくのか、そこがやはり基本にありますので、多分そういう機関としてRIETIがあるのだと思います。そうではなく本当の研究機関だけであれば、それは大学でもどこでも、例えば野村総研でも何でもいいわけですよね。そこはやはり霞が関にあって、役所の人もいて本当のアカデミックの人も来ている、そこでうまくお互いのコミュニケーションが図られて、設立当時ではシナジー効果という、役人と研究者がうまく融合して1+1が2になるのではなくて1+1が3にも4にもなるような効果があると。
 そういう意味で、私としては、それを活用させていただいているという側面があります。現実に全く純粋のアカデミア出身の人といろいろ議論を交わすことによって、自分はこういうことを理論的に説明できないかという問いかけをして、彼らが数学を使って極めて美しく理論を出してくれた、それを私の本の中でも紹介するとか、そういう意味で、あなたは研究者なのか役人なのかと聞かれると、それはアイデンティティはどこかというと、私個人としては基本的には行政官だと思います。ただし、今やっているのは、行政だけではなかなかうまくいかない、幾ら霞が関の中、役所の中で自分の説をいっても、結局課長がノーといえばだめだし、局長がノーといえばだめだし、自民党がノーといえばだめだということになるわけです。そういう意味では自由自在に物事を、本当の純粋にあるべき農政とか、あるべき行政という姿から物事をいわせてもらっていると。こういう意味では、若干行政を離れた立場で活動できているというのは幸せな状況だと思っております。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 私、気になったのは、給与がどうして反映されないのかなというのは非常に不思議ですけれども、RIETIで業績を上げてRIETIの給与でもらうべきところを農水省の給与がずっと持ち込まれているというのは、仕組みとしておかしいなと思うんですけれども、それはそうなっているんですかね。
及川理事長
 山下さんのおっしゃるとおりでありまして、これはかなり複雑な問題でございます。私どもが採用するときの基準は、それまでのその方の前職における処遇をベースにするということになります。したがって、例えば派遣でお見えになるような契約の場合は別にして、非常勤の職員であろうと常勤であろうと、採用する場合にはその前職で幾らもらっていましたかということをベースに、かつ仕事の内容で評価する形をしておりますので、山下さんの場合、若干特殊なのは、課長のポストの形でお見えになったので、課長のときのベースですから、幾らAでも、我々もそうボーンボーンと上げていくわけにはいかないので、Aをつけてもどの程度というような幅があるわけです。
 ですから、それ以上はなかなか、ペースとしては山下さんはかなり早いんですけれども、一方役所の方では、例えば課長から審議官になりますと、そこのところで大きく上がるわけですね。したがって、山下さんのご同期の方で審議官から来られると、審議官の給与が前職の給与になりますので、どうしても落差が出てくる。その点はどうするかという議論は確かにあります。大学の先生などに比べると研究員の給与はRIETIは相当高いと思います。しかし一方、退職金はつかないとか、いろいろな問題はあります。役所の賃金体系と我々とでは、交流人事になりますので、どうしてもそこのところを断ち切る形がなかなか難しいという問題はございます。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 もう少し制度的に議論をする余地があると思いますけれども、これはちょっと当評価委員会のテーマではなさそうですので、事情はよくわかりましたけれども、RIETIの成果が中心だというのは原則だと思いますから、頑張ってください。
 それでは、お2方のご発言を大変おもしろく聞かせていただきました。ありがとうございました。お2方にはご退席をいただきます。
 続いて資料に移ってまいります。17年度の業績と中期の業績について、事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
森川室長
 先ほど及川理事長からもお話がございましたけれども、本日は中期の評価と17年度の評価と2つございます。資料3―1が中期の期間についての評価の進め方、資料4―1が平成17年度の業務実績の評価の進め方ということでございます。
 これは皆様何回もご経験のことでございますが、AAからDの5段階で、これからRIETIから説明する資料に書き込んでいただくということですが、もし疑問の点がありましたらお問い合わせいただくということでやっていただければと思います。
 ポイントだけ申しますと、6月15日までに郵送、ファックスまたはメールで私どもの方にお送りいただければというのが一番のポイントでございます。
 それからもう1点は、資料3―1中期評価の方でございますけれども、一番下に書いてございますが、既に予備的な評価を昨年度にやっていただいておりますので、これと変更がない場合には「同様」あるいは空欄にしていただければ、私どもの方で昨年の評価をそのまま第1期の評価とさせていただきます。また、17年度の実績を踏まえて少し変えたいということがございましたら、変わったところについては評価を記入いただければと思います。
 資料4―1は、特につけ加えることはございませんので、以上でございます。
河津総務ディレクター
 引き続きましてRIETIの実績についてご説明させていただきます。資料がいろいろございますので恐縮でございますが、まず5ヵ年の評価につきましては資料3―3、A4でカラーのものがありますので、これを中心にまずご説明をさせていただきます。その後、今の資料の前にあります「アウトプット指標」、A3の大きな一枚紙がございますので、これを言及させていただきまして、さらに17年度につきまして若干の補足をさせていただく形でできるだけ重複を避けた形でご説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料の3―3でございます。この資料も、1年前に予備的調査をしていただきましたときにほぼ同様の資料をご説明してございますので、そういう意味では1年前のおさらいのような形になりますが、ご説明をさせていただきます。
 1ページ、「序 第一期中期目標期間評価とアウトカム評価について」というのがございます。1年前の予備的評価の段階では、中期目標、中期計画に、いわゆる数値目標がいっぱいあるけれども、アウトカム指標で評価をしようという結論になったかと思います。その際、真ん中にございますが、政策当局等の満足度、これは数値としてあらわれるものを1つ、それから数値にはなかなかしにくいけれども定性的評価というものを中心に評価をしていこういうことで、ご評価を1年前にいただいたわけであります。その際に、その補完として数値指標の中でもアウトカム関連指標ということで、論文のダウンロード数、あるいはホームページのヒット数等、関連する指標というのをみましょうと、こういうことになりました。
 今申し上げました(B)の定性的評価という意味では、2ページ「政策研究・提言活動の質的な充実」ということで、先ほど研究員からのお話にもございましたけれども、ブレインストーミング等をやっておるわけでございますけれども、そういうものを通じて「定性的アウトカム」ということで、役所でやっていないような斬新な提言ができているか、あるいはそれによって政策当局にとってみて政策の改編、導入についての理論的、分析的な基礎をちゃんと提供できているか、さらにはそういう意思決定の過程、あるいはそういうのに影響のある諸表等にちゃんとインパクトを与えることができたかというような点をご評価いただいたわけでございます。
 具体的には、3ページ以降にどのような研究をやり、それがどのような内容でインパクトを与えたかということにつきましてS―T―Iネットワーク、TAMAの地域クラスター、不良債権問題、こういうものをご紹介させていただきました。
 4ページには、先ほどの山下研究員のWTOと農業政策、こういったものをご説明させていただいてきたわけでございます。
 資料といたしまして6ページからは「政策提言・普及活動」ということで、ここら辺は数値のところにつながってまいりますけれども、論文の発表数でありますとかDPの本数でありますとか、こういったものを記載させていただいております。この点につきましては、先ほど申し上げましたA3の大きな紙でもう一度言及させていただきます。
 その後、出版した本でございますとか、先ほどの山下研究員も農業の本を16年度に出したりしておりますけれども、そういったものが資料としては続いております。この辺は、今までも何度もご説明をさせていただいたものでございますので、少し省略をさせていただきます。
 今回、この資料で、1年前と特に大きく変わった、つけ加わった、差しかわったところが17ページからでございます。17ページから「成果に関する外部評価」という部分がございます。RIETIとしては、15、16、17と3回、大きく3種類の外部評価を実施してございます。その1つが学術水準の評価ということで、17年度に関しましては76名、延べでいいますと232件だったと記憶しておりますが、レビューをしていただきました。5点満点の配点をしていただきまして、平均しますと3.66という結果でございます。
 18ページ、これはいわばアウトカムの指標として重要であるということでありますけれども、「政策インパクト」ということで、これはプロジェクト単位で関係の深い、経済産業省の課室、平均2課室ぐらいにお願いをして論文、本、シンポジウム報告書、そういったものを今一度読んでもらい、トータルとして5点評価でどうだというものをつけてもらったのがベースでございます。17年度に関しては3.73という結果でございました。
 19ページ、これは「国民各層の評価」ということで、大学当局、経済団体あるいは地方行政庁、類似の研究機関といったところに、RIETIの認知度から始まりましてどういったものが参考になったか、あるいはそういった立場からみてRIETIの研究が政策に反映されたと理解しているのはどういうものがあるかといったことをアンケートをさせていただきました。それに、下の注でございますけれども、新聞の掲載でありますとか、あるいはホームページのアクセス、そういったようなものも加味しまして集計をしたものでございます。17年度に関しては3.58点ということになっております。
 これら過去3ヵ年をやっておりますので、この3ヵ年の変化を一覧にまとめましたものが20ページでございます。これをみていただきますと、15、16と全体的に上昇傾向、17年も比較的その傾向でございますが、学術水準につきましては若干下がっておるというのが結果でございます。
 年によって評価をしていただく論文等々は当然変わりますし、評価をしていただく先生もそれぞれの分野のご専門の方にお願いをするわけでございますので変化もあります。そういう意味では、常に上がり続けるようなものが理想かもしれませんけれども、多少のブレは当然あると思っておりますので、私どもとしてはそこそこの水準は確保させていただいているのではないか、学術水準も遜色のない水準を確保させていただいているのではないかと、自己評価ですけれども評価をさせていただいております。
 次のページで、こういった研究の中身のほかに「業務の効率化」ということで、これも過去5年間、一貫して弾力的な組織ということで任期付き採用を基本として行う、あるいはコンピューターシステムをフルに活用することによって効率的に事業を進めるというようなことをやってきております。ちょっと余談になりますが、ホームページでDPを全部公表するというのも非常に画期的だったと思っておりますけれども、最近はどの研究所、大学もホームページを充実させてきておりますので、そういう意味での先行性というのは相対的に縮まってきてはおると思いますけれども、派手に目立って変わるということはなかなかないかもしれませんが、今もホームページを少し改訂を始めておりますし、できるだけこういう優位なところは維持しながらやっていきたいと思っております。
 最後のページ、事業規模はおおむね20億弱、18億~20億弱ぐらいのところで毎年割にコンスタントに執行させていただいたと思っております。
 次の資料3―2―2「アウトプット指標」、先ほどのアウトカム関連指標も含めまして中期計画で定まっております指標についての状況をご説明させていただきます。
 一番左にアウトプット指標の項目があり、次に中期計画の指標、途中で改定されていますので改定後の指標、それから5ヵ年の実績の合計値、結果として達成したかどうかでございます。
 結論から申し上げますと、おかげさまでほぼ達成をしてございます。真ん中あたりに、「転籍後の博士号の取得」という項目がございまして、これは17年度に関しまして、残念ながら転籍をされた後に博士号を取られた方は確認ができませんでした。ただ、先ほどの山下上席研究員が在籍中に博士号を取っていただいたのは、私どもとしては大変うれしく思った次第でございます。
 それから、その後13年度から16年度までの実績がございまして、右の方に17年度目標と17年度実績がございます。これもほぼ達成をしてございますが、今の博士号のほかに2件、残念ながら若干の未達がございました。上から5つ目の「商業誌・政府系広報誌で発表された論文」が、330件以上に対しまして 296件でございました。それから真ん中のちょっと下に「政策部局等からの調査研究業務依頼件数」が 185件、200件以上に対しまして若干の未達でございました。
 まず上の商業誌等につきましては、第2期の中期目標、中期計画のご議論のときにもお話しをさせていただいたかと思いますが、基本的には受け身なものでございますので、最初のころは、ある意味プレゼンスをみせるというところで非常に重視しておったと思いますけれども、16年度、17年度からはDPのクオリティの方に重点を移した関係上、若干未達になったのかと思っております。
 それから政策部局等の調査研究依頼でございますが、これもDP検討会等々の場での政策当局との交流というものが徐々にふえてきている結果として、ある意味そういったような対話の中で、ある程度消化をされてくる、あるいはばらばらと来るというよりも、役所の方も、ある程度まとめて、まさにこの点について、審議会で、研究会で、あるいは先ほどありました与謝野先生のところでとか、そういうような形で、ある意味まとまった形で来るというようなことも結果として起こっているのかなということでございます。検証ができているわけではございませんけれども、そういったような印象を受けておりまして、結果として若干の未達になってしまったのかと思っております。
 以上が数値目標関連のご説明でございます。
 5ヵ年の評価という意味では以上でございますが、17年度につきまして、数値関係では今ご説明をしてしまいましたけれども、資料4―2―1で、1点だけ従来なかった項目がございますので、それだけご説明をさせていただきます。
 分厚いもので恐縮でございますが、19ページの下の方に、効率性の一連の中でその他の項目があればという欄がございます。例年は私どもとしてはここは空欄なわけでございますけれども、今回は私どもの契約、特に随意契約について記載させていただいております。今回は「参考」という扱いにさせていただいておりますので、評価欄には斜線を入れていただいております。この点について、今回は評価をお願いするわけではございませんが、ご承知のとおり今政府レベル、役所の随意契約というのが議論になっておりますし、当然私どもとしてもその状況を世の中に公表する、あるいはそれについて評価をいただくというようなことも今後あり得ることかと思いますので、今回は「参考」という形で17年度の現状を一言だけご説明させていただきます。
 1つは、どういうルールになっているかというところでございますが、そこにいろいろ書いてございますけれども、一言で申し上げますと少額のもの、会計細則の第4条に書いてある少額のものは随意契約でいい。そうでないもの、それを上回るものは基本的には一般競争入札に付しなさいというのがルールでございます。これは役所もそうですし、独立行政法人も基本的な規程の構造は恐らくどこも同じ構造になっているかと思います。
 これについては、私ども既にホームページでは出しておるわけでございますが、20ページ、「注2」と小さい字で書いてございますが、18年度からは、個別の随意契約の中身についても、こういう理由で随意契約にしたというのを、実はこれは政府レベルでは17年度の途中から取り組まれておりますので、私どももそれにならいたいと、今検討しております。
 結果として17年度にどのぐらい契約があり、その中身はどうであったのかというのが次でございます。私どもの少額随意契約、小さい金額のものも含めておよそ2,000件の契約が17年度にはございます。その中で少額なもの、あるいは企画競争、いわば内容コンペといいますか、そういう形をしたものを除きますと113件がいわゆる随意契約でございます。金額が張るのに随意契約にしたというものでございます。
 しからばどういうものを随意契約の中身としてやっているのかというのが、下の表でございます。多いのが研究調査の委託でございます。実際にアンケートをとるであるとか、あるいはモデルをつくってもらうであるとか、そういうのがいろいろあるわけでございますが、これが113件中43件、金額的にも44%を占めてございます。それから派遣職員の派遣会社への支払い、あるいはデータベース、ソフトウェア、書籍。書籍も1冊1冊はばらばらですが、洋書のようにまとめて発注をするとこの基準に入ってまいります。あるいはコンピューターのネットワーク。昔、まだRIETIが役所だったころに入札にかけて競争入札でつくったシステムのメンテナンスの経費、そういったものもございます。
 そういうふうに分けさせていただきますと、結論からいくと、形式的にというと恐縮でございますが、ルールとしては一般競争入札にかけなければいけないのですが、実際にそういうのはなかなか難しいというのが今のところの検討の結論でございます。調査委託なども、安ければいいというわけではございません。派遣も安ければいいというわけではございませんし、データベース、ソフトウェアは「このデータベース」ということで購入するものでございますので、一般競争入札、安くてというのはなかなか難しいところがございます。
 ただ、一番下に3.として書いてございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、企画競争というやり方もRIETIでも1件だけでございますがやっておりますし、役所の方でもそういうやり方を取り入れております。こういう調査をやるんだけれども、いいノウハウ、いい工夫のアイデアがあるところがあれば応募してほしいというのをとりまして、そこと話し合いをしながら一番いいところを選んでいくというやり方でございますので、そういったようなものを今年度から少し多めに取り組んでいくというようなことを今検討させていただいているところでございます。
 やや細かい話で恐縮ですが、随意契約問題というのが結構独法の中で今話題になっておりまして、ご説明をさせていただきました。
 私からは以上でございます。
森川室長
 続きましてちょっと補足でございますけれども、今の河津ディレクターからの説明に関連して、評価フォーマットの中で斜線が書いてございますけれども、これは私どもいろいろな独立行政法人を横断的にみています政策評価広報課というところの指示を受けて、これについては対応することになっていますけれども、17年度については、これを評価の対象には基本的にしないというのが今のところの方針でございまして、今後18年度とか何かで事情が変わってくる可能性はございますけれども、そういう意味で今回ここは斜線になっているということでございます。
 それから資料4―4が、私ども経済社会政策室の方で省内のいろいろな関係課に対してヒアリングをしたアンケートの結果でございます。これは、基本的には補佐レベルの各局の何人かの方に伺った話に基づいて整理しているものでございます。
 まず1ページの問1で、「研究クラスター、研究プロジェクトの設定に当たって、政策ニーズが的確に反映されていますか」という点でございます。これは数字よりは定性的なところに意味があるのではないかという気もしますけれども、十分に反映されているというのが6つのセクション。反映されているものもあれば反映されていないものもあるというのが7つのセクション。ニーズが研究クラスターあるいは研究プロジェクトの設定に反映されていないというのが4つでございます。ただ、そのうちの1つは、そもそも研究テーマになりにくいというのが原子力安全・保安院というところで、そういう声がございました。
 2ページが、具体的なコメントの内容でございます。(1)は十分に反映されているという6つのところでございます。十分に反映されているということですので、コメントを説明しても余り意味がないかもしれませんが、サービスの生産性の問題ですとか、情報政策の制度論といった横断的なところについて今後やってほしいとか、あるいはクレジットカードとか消費者の決済が流通に与える影響とか、中小企業の諸制度について引き続き検討してほしいとか、このような意見がございました。
 3ページは、適切に反映されているものもあるしそうでないものもあるという7つのところでございます。これもいろいろございますけれども、例えばコーポレートガバナンスの研究とか資金関係のテーマ、こういったのは非常に適切なテーマ設定であったというのが私どもの所属している局の声でございます。1つ飛ばしましてサービス産業のところがございますけれども、そちらでJIPデータベースを使った分析が非常に価値があったという声がございます。それからRIETIでマイクロデータの開発をやっていますけれども、これは、地味だけれども数年後には成果になるのでぜひ続けてほしい、やってほしいという声がございました。
 4ページですけれども、特許庁もいろいろあるわけですけれども、知財政策の経済成長への寄与度分析など、実際の現場ではなかなかできないような重要な課題があって、そういった点の研究を期待しているという声がございました。
 3つ目が、必ずしもニーズが反映されていないとっているところでございますけれども、貿易管理部からは、従来の貿易体制が崩れることを想定した今後の貿易政策のあり方とか、特殊関税の導入を求める動きが出ていることについての是非等をやった方がいいのではないかと、このような声がございました。
 4ページの下に枠で囲ってございますけれども、2つ目のヒアリングした項目が、「実際に政策形成にインパクトがあったかどうか」という点でございます。5ページの一番上にございますけれども、政策形成にインパクトを与えた具体的な事例があるというのが9つの部局、具体的な事例がないというのが8つの部局でございました。
 コメントですけれども、具体的な事例があるというところでは、それぞれ具体的な事例について書いてございます。またインパクトとして研究成果そのものではなくて、先ほどもゲストで来られていました出向している研究員とか一部のファカルティーフェローなどにいろいろ相談に乗ってもらって有意義な政策立案につながっているというような声もございました。
 6ページの真ん中辺から下が、政策形成にインパクトを与えた具体的な事例がないということでございまして、2つのセクションについて定性的に少し書いてございます。
 7ページが3つ目のアンケート項目で「RIETIの活動について評価すべき点、改善すべき点」ということでございます。ここにいろいろ書いてございますけれども、今後新しい中期計画の中で、こういったテーマについて取り組んでほしいといういろいろなサジェスチョンをいただいているところでございますけれども、これは17年度の評価というよりはむしろ今後ということでございますので、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 今、事務局から資料のご説明をいただきましたけれども、ご質問、ご意見がございましたらどうぞ。
 従来のやり方とそんなに変わっているようなことではないですけれども、何かありますか。納期が6月15日といわれていますから15日ぐらいしかありませんけれども、藤垣委員どうぞ。
藤垣委員
 今ご説明のあったアンケートに関してですが、9ページの(2/50)というのはどうみたらいいんですか。
森川室長
 これは、要するにプロジェクトが50本立っていて、そのうちの2つが大臣官房に関係するプロジェクトであるという意味です。ですから、例えば次の経済産業政策局はやっている仕事も非常に多いものですから、50本のプロジェクトのうち24本が経済産業政策局の仕事に関係があるようなプロジェクトであると、そういう意味でございます。
藤垣委員
 もう一件ですが、原子力安全・保安院がそもそも研究テーマになりにくい、ニーズがないと書いているのは、RIETIに対してニーズがないといっているんですか。そもそも研究テーマはあると思うんですよね。原子力安全に関するファブリックアクセプタンスをどうするかとか、安全性をめぐるコミュニケーションだとか幾らでも立てられると思うんですけれども、それをRIETIにやってもらうつもりはないという意味ですか。
森川室長
 私も、率直にいってRIETIがこういった分野に貢献し得る余地は少しあるような気もしているわけですけれども、これは実際担当のところの課長補佐の方がこういうふうにいっておられたので、どういう意味でおっしゃっているのかはわかりませんけれども、経済分析的なものというか、そういうものを今すぐRIETIにやってもらうというのはなかなか難しいのではないかと思っておられるのかなという気はしますけれども、済みません、本当のところ、他でやってもらった方がいいと思っているのか、そこまではクラリファイしていませんので、申しわけございませんが。
小野分科会長
 今の資料の一番最後のページに50本のテーマが記述されて、担当のフェローの方の名前も書いてありますけれどもね。
 そういう意味では、このアンケートの方だけをみると、問1と問2も「役に立っていますか、役に立っていませんか」みたいな聞き方で、半分半分だというのは非常にいい答えなのではないかという気はしますね。基盤研究が半分で自由研究が半分みたいな言い方からすると、半分はお役に立っている、半分は少し別のこともやっているのかもしれないというようなことの評価かもしれない。余りみんながいいいいというのも、逆にRIETIの自由な研究を、というようなテーマからすると、この程度がいい結果として出てきているのかなとも思いますけれども、いかがですか。
 シェアードさんどうぞ。
シェアード委員
 このアンケート、これは経済産業省のいろいろな部局に限ってのアンケートですよね。
森川室長
 そうですね。
シェアード委員
 以前にも同じような発言をさせていただいた記憶があるんですが、この50の研究テーマをみるまでもなく取り組んでいる研究内容は、政策絡みの話としていろいろなところに絡んでくるわけですよね。例えば公的債務の話なら財務省とか、社会保障研究の問題なら、当然ながら厚生労働省とかですね。ですからもっと広く、網羅的ではないにしてもこの研究テーマならあの省庁のあの部局にものすごく関連しているからそちらの方にも声をかけてアンケートの対象にするというのは、将来の課題としてはいかがなものでしょうかね。
 そうすると、2つの利点としては、1つは、RIETIの方からそういうところにリーチアウトするという志と、もう1つは重要なフィードバックをそこで得られるというのがあると思いますが。
森川室長
 先ほど河津ディレクターから説明があった中に、RIETIの方でそこはむしろやっておられまして、アンケートの結果があったと思いますけれども、経済産業省の課にやったアンケート以外に大学当局とか経済団体とかシンクタンクとかNPOとか、こういった国民に対する評価とかいったことについても聞いている。それから後は大学の先生に対してDPの評価をしていただいているというようなことでございますので、私どもの方は、比較的関係課が特定しやすいとかいうこともございますし、それからおっしゃるように事後的にこのテーマはここがどう思っているかみたいなことは聞く余地がもしかするとあるのかもしれないのですが、そもそも研究テーマが適切な設定がどうかというのは、ちょっとだれに聞いても、ほかの省などですとなかなか適当な答えが返ってこないような気がしますので、これと河津ディレクターから説明があった割と広めのアンケートというのは補完的なものだというふうにご理解いただければありがたいと思っていますけれども。
河津ディレクター
 1点だけ補足させていただきますと、お手元にカラフルなバインダーがありますが、緑色のものの一番後ろに、今森川室長からもお話がありました私どもが実施しましたアンケート結果の概要がついてございます。申しわけございません。集計が今日の時点まできちっとまとまっておりませんで、定性的な評価という意味では、自由記載とかの部分がある意味ではご関心があるのかもしれませんが、その部分までは集計しきれておりませんけれども、どういったところにご返事いただいたというようなところの大まかなものではございますが、載せさせていただいております。有効回答299でございまして、そのうちの30%ちょっとぐらいが霞が関と、それから自治体も入れて集計してしまっておりますけれども、そういったところからの回答もいただいているというところでございます。
 この中に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、60ページの問11、政策形成にインパクトを与えた具体的事例があると答えていただいたところと、そういう事例があることを知っていると答えていただいたところに、具体的にどのプロジェクトでございましょうかと聞いておりますのが、ここにあるものでございます。具体的にどなたが回答していただいたかというところまでは確認しておりませんが、恐らく霞が関なり自治体の方ではないかと思いますけれども、他省庁関連の部分も含めてこういう事例があるといっていただいておりますので、私どもとしてはそれなりの、いわゆる他省庁案件といいますか、分野にもインパクトをもっておるのかなと思っておるところでございます。
小野分科会長
 ありがとうございました。
 これは新しい資料ですね。
河津ディレクター
 従来もありました。言及していなかっただけかと思います。
小笠原委員
 ちょっと1点だけ確認で、資料3-3の18ページ、政策インパクト、アウトカム指標、経済産業省の関係課に聞いたということですが、これと今回のアンケートはどういう関係があるんですか。
河津ディレクター
 18ページに集計をしましたアンケートは、先ほど申し上げましたように私どもの方から、DPでありますとかコンファランスの報告書でありますとか、都度都度お届けはしているんですけれども、再度ワンセットにして、これをいま一度読んでというか、いま一度読み思い出してというか、あるいは関係が薄かったところは、初めてもってきてと怒られながらですが、渡して、5段階評価をつけていただきました。これは、すなわち経済産業省の関係課室ですから、例えば何とか産業課であるとか何とか政策室であるとか、そういうところにもっていってつけていただいたものでございます。論文等を読んでトータルとしてどうでしたかというプロジェクト単位で聞いたものでございます。
 それから、先ほど森川室長からお話がございましたのは、役所の中は17の局とかユニットと称するものに分かれておりますが、それのそれぞれの庶務課というんでしょうか、筆頭課の筆頭の課長補佐、政策調整官補佐を呼んでおりますが、そこに行って局内、ユニット内全体を見渡している立場からみてRIETIはどうかというのを、まさに定性的な相対のインタビュー形式でやっていただいたものでございまして、そういう意味では全く独立をしてそれぞれ実施をしております。問いかけ先も基本的には同じMETIの中とはいいましても、向こうの方はいわば総務課、庶務課、私どもの方はそれぞれの実務セクションというんでしょうか、そこにお願いをしているという違いがございます。
小笠原委員
 時期的には大体同じ時期ですか。やはり4月、5月とかですか。
河津ディレクター
 私どもの方は、基本的には4月中にというお願いをしたのですが、5月にずれ込んだものもございます。そういう意味では、同時並行というよりもやや重複はございますけれども、METIの方がもう少し遅いタイミングであったと思います。
森川室長
 私どもの方は、大体5月上旬ぐらいから始めて、最終的には5月末ぐらいに全部終わったという、そのような感じでございますけれども。
小笠原委員
 最近終わったということですね。
河津ディレクター
 まさに1年を振り返っているということです。
小笠原委員
 そうですね。
小野分科会長
 ほかにご意見がなければ、最後に「今後のスケジュール」という資料がございます。これの説明をお願いしましょう。
森川室長
 資料5に「今後のスケジュールについて」とございますけれども、くどいようでございますけれども、15日までにご提出いただきまして、その後、21日の10時~12時に分科会、それから7月11日に親委員会の方でございます。その先になりますけれども、1月から2月にかけて、新しい中期計画の最初の年であります18年度の評価について例年と同じように評価の進め方についてご議論をいただくということを現時点では予定をしております。21日には、この評価に関しまして、いただいたものを集計いたしまして評価の審議をいただくということでございますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
小野分科会長
 あと資料で、お手元に4―2―2という17年度の財務諸表の資料が行っておりますけれども、これは次回の分科会で審議をしていただこうということで、今回、事前に参考配付として配っていただきました。ご参考にしていただければありがたいと思います。
河津ディレクター
 紙ファイルで3部お配りしておりますが、先ほど申し上げました緑は成果・普及関係のいろいろなリストでございます。BBLセミナーをどういう項目でいつやったかというものでございます。それからピンクのものは、それぞれのプロジェクトごとに、先ほどDPが何本であるとか学術誌に載ったものが何件という数字だけ申し上げましたけれども、それぞれのプロジェクトについてそれぞれどういったものを発表したのか、あるいは政策当局との共同研究あるいは協力はどういうものかというのが、プロジェクト単位でそれぞれ細かく載っているものでございます。水色は、それをある意味プロジェクトごとに、そういう細かいところは抜きにして、どういうような研究で、主要な成果という意味でディスカッションペーパーであるとかコンファランスは何であったかというのを、いわばぐっと圧縮をして、かつ研究の中身の概要を書いたものでございます。ディファレンスとしてご使用いただければと思います。
森川室長
 資料についてもう一点申しますと、参考資料としてお配りしていますのは昨年の評価でございまして、特に参考資料1は、予備的な中期目標期間評価の実績について、委員の皆様がどういう評価をされて、どういうコメントをされたかというのを改めてお配りしてございます。先ほど申しましたように、これと同じでよいという場合には「同じ」とか空欄にしていただければ、それをそのまま採用させていただくということでございます。
小野分科会長
 よろしゅうございますか。大部の資料をお渡しして、6月15日によろしくというお話ですので、消化するのに時間はかかるかもしれませんけれども、お願いいたします。
 今日はお暑いところをお集まりいただきまして2時間、ご審議をいただきました。本当にありがとうございます。10分ほど早いのですが、これで終了させていただきます。
 ありがとうございました。
――了――
 
 

最終更新日:2006年8月15日
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