経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会産学連携推進小委員会(第8回)‐議事録

日時:平成20年11月25日(火曜日)
場所:経済産業省本館17階東3第6共用会議室

議題

産学連携の課題と先進的取組について

議事概要

  • 谷大学連携推進課長

    本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。私、経済産業省大学連携推進課長の谷でございます。まだ御到着されておられない委員の方もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会産業技術分科会第8回産学連携推進小委員会を開催させていただきます。

    本小委員会の審議に先立ちまして、経済産業省を代表いたしまして、大臣官房審議官産業技術・環境担当の西本からごあいさつをさせていただきます。西本審議官、よろしくお願いいたします。

  • 西本大臣官房審議官

    ただいま御紹介いただきました経済産業省の西本でございます。よろしくお願いいたします。局長の鈴木が途中からの参加になりますので、一言ごあいさつさせていただきます。

    本日は、中村委員長初め多数の皆様にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。申すまでもなく産学連携の分野というのは、最近10年間で大きく進展してきたと思います。平成10年にはTLO法が制定されて、各地でTLOができて、その後、学内の組織として知財本部等が設置されて、組織的に技術移転というものを考えていこうということになってきたと思います。平成16年には、国立大学の法人化等によって、大学が研究成果を社会に還元するというミッションが明確になってきました。一方で企業のほうも、国際化はもう数十年ずっと進展しているわけですけれども、この中で、よりオープンイノベーションといいますか、外部のリソースを活用して研究開発を進めようという取り組みもだんだん進んできて、産と学との連携というのも、産のほうからのニーズに基づいて大きく進展してきたと思います。

    このときに我々が考えないといけないのは、産も学も今大変国際化しているということであります。日本の産業界から日本の国内への大学等の研究機関に対する資金の流れと同時に、日本の産業界も国際化しておりますから、現地でのいろんな外国の研究機関にも、この資金の流れはもっと太いものになりつつあるとも思っております。こういった動きの中で、どういうふうに対応していくのかというようなことも十分考えていかなければならないと思います。技術移転等を通じたロイヤリティー収入とか大学発ベンチャーとかどんどん膨らんでおりますけれども、これからは、より中身を充実させていくということもまた考えないといけないと思います。

    この委員会も、前回の開催から2年経過しておりまして、その後の情勢もさらに変化いたしております。一番の変化は、産学連携に対する期待が技術移転の分野だけではなくて、優秀な人材の教育とか育成、成果の出せる産学連携、さらには社会に向けた大学のより積極的な活動、こういったものに対する期待も高まっているのかなと思うわけでございます。

    産学連携というのは目的ではなく、手段でございますが、ただ非常に有効な方法である、可能性を有した手段ではないかと思うわけでございます。本日は、多くの御経験、御見識をお持ちの委員の皆様方に御参集いただきましたので、どうぞオープンな議論、屈託ない議論をしていただければと思います。

    簡単でございますけれども、私のごあいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。

  • 谷大学連携推進課長

    どうもありがとうございました。

    資料の関係で座って御説明させていただければと存じます。

    本委員会は、平成18年2月8日に開催されました産業構造審議会第10回産業技術分科会の議決により設置されました。また、小委員会の委員長につきましては、産業構造審議会運営規則第13条第3号の規定により、分科会長が指名することとされており、中村金沢大学学長に本委員長に就任していただくことで御了解をいただいております。

    それでは、中村委員長から一言お願いいたします。

  • 中村委員長

    ただいま紹介をいただきました金沢大学長の中村でございます。よろしくお願いします。

    一言、2~3分だけごあいさつを申し上げたいと思います。こういう言葉があります。「あなたは、次のような意見を忘れてはなりません。有用な結果を生み、その影響を広めるために、理科大学での教育は化学学説の最高水準を保ちながらも、リール地方の実際的要求にこたえることができるよう、できるだけ多くの応用研究を行うべきであります」。この言葉は、1854年にパスツールが新設のリール理科大学の化学教授兼部長になったときに、お祝いに、1855年の3月に文部大臣がパスツールに対して警告の意味合いで言った文章であります。また同時に、「理論の伴わない応用は単なる習慣の適用にすぎません。理論こそが発明の精神を生み、発明を発展させることができるのであります」と述べています。私は、ここに産学連携の大学のとるべき姿があるんじゃないかというふうに思っています。

    そういうことでありまして、この小委員会では、産学連携による高度技術人材の養成、産学連携によるものづくり人材の養成、成果の出せる産学連携、理科離れ・理系離れ対策、大学による地域活性化を主な論点といたしまして進めたいと思います。どうぞ活発な御議論をよろしくお願い申し上げます。

    簡単でございますが、ごあいさつといたします。よろしくお願いします。

  • 谷大学連携推進課長

    どうもありがとうございました。

    続きまして、本日御出席の委員の皆様方の御紹介を五十音順、座席反時計回りにて御紹介させていただきたいと思っております。

    まず、北海道大学副理事、女性研究者支援室長・有賀早苗委員でございますが、きょう朝一のフライトでお越しになられるということですが、多分、気候の状況で少々遅れておられるのだと思います。

    次に、株式会社東芝顧問であられます有信睦弘委員でございます。よろしくお願いします。

    同じく、少々遅れておられるようでございますが、文部科学省宇宙開発委員会委員の池上徹彦委員でいらっしゃいます。

    続きまして、和歌山県工業技術センター所長であられます請川孝治委員でいらっしゃいます。

    次に、東京大学大学院工学系研究科教授及び日本学術会議会員であられます笠木伸英委員でいらっしゃいます。

    次に、立命館大学総長川口清史委員代理の中谷研究部長でいらっしゃいます。

    続きまして、三菱電機株式会社上席常務執行役久間和生委員代理であられます、田井産学官連携国際標準化推進グループマネジャーでいらっしゃいます。

    続きまして、日産自動車株式会社執行役員総合研究所所長であられます久村春芳委員でいらっしゃいます。

    続きまして、国立高等専門学校機構理事長でいらっしゃいます河野伊一郎委員でいらっしゃいます。

    産学官連携学会会長、徳島大学教授であられます佐竹弘委員でございます。

    群馬大学大学院工学研究科長であられます宝田恭之委員でいらっしゃいます。

    株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメント代表取締役社長、また株式会社イーベック代表取締役社長でいらっしゃいます土井尚人委員でいらっしゃいます。

    味の素株式会社技術特別顧問、経団連産業技術委員会産学連携推進部会長であられます西山徹委員でいらっしゃいます。

    新潟工科大学学長・布村成具委員代理でいらっしゃいます宮沢産学交流センター長でいらっしゃいます。

    協和発酵キリン株式会社名誉相談役でいらっしゃいます平田正委員でいらっしゃいます。

    株式会社旭化成顧問でいらっしゃいます府川伊三郎委員でいらっしゃいます。

    東京医科歯科大学技術移転センター長でいらっしゃいます前田裕子委員でいらっしゃいます。

    京都大学産学官連携本部長であられます牧野圭祐委員でいらっしゃいます。

    山口大学副学長であられます三木俊克委員でいらっしゃいます。

    九州大学副学長であられます村上敬宜委員でいらっしゃいます。

    毎日新聞科学環境部副部長であられます吉川学委員でいらっしゃいます。

    なお、本日は、所用のためご欠席でございますが、イノベーション・エンジン株式会社代表取締役社長・佐野睦典委員、慶應義塾大学医学部教授・坪田一男委員、東北大学大学院工学研究科教授・原山優子委員におかれましても、委員就任を御快諾いただいております。

    また、本委員会の議事の公開に関しましては、産業構造審議会運営規則第4条に基づき、特段の理由のある場合を除き、議事録、配付資料を原則公開とさせていただきます。

    次に、配付資料の確認をさせていただきます。

    本日、お手元に議事次第、委員名簿を含め合計3種類の資料を用意いたしましたので、御確認をお願いいたします。

    それでは、以後の議事の進行を中村委員長にお願いしたいと存じます。中村委員長、よろしくお願いいたします。

産学連携の課題と先進的取組について

  • 中村委員長

    それでは、早速、本日の議題に入りたいと思います。

    まず、初めの議題でございますけれども、産学連携の課題と先進的取組につきまして、事務局から御説明ください。

  • 谷大学連携推進課長

    それでは、皆様方のお手元の資料3に基づきまして御説明させていただきます。

    まず、2ページにございます本委員会の開催趣旨でございますが、先ほど西本審議官からのあいさつにございましたので、時間の省略のため、再度の説明は省略させていただきたいと思っております。

    次に、3ページをごらんください。本委員会の位置づけでございますが、産業技術分科会には、本委員会のほか、基本問題小委員会と研究開発小委員会が設置されております。基本問題小委員会は技術政策すべての課題を審議されますが、同委員会だけでは議論が尽くせない分野、つまりライフサイエンスやナノテクノロジー等の分野別開発論、産学連携の推進策は、各委員会で掘り下げた議論をいただき、その結果を基本問題小委員会へインプットいただきます。

    タイムスケジュールでございますが、第4期科学技術基本計画の議論が来年度から開始されます。本委員会で御審議いただきました内容は、順次実施するとともに、平成23年度から5年間をカバーいたします第4期基本計画に反映させていただく予定でございます。

    次に、4ページございますが、産学連携によります人材育成に関しまして、課題と先進事例を説明させていただきます。

    まず、5ページのように、かつて高度経済成長の時代は、大学は優秀な人材を選抜し、産業界はオン・ザ・ジョブ・トレーニングなど時間をかけて企業内で人材育成することが可能でございました。しかし、グローバルな企業間競争により、産業界は社内教育に十分な時間、労力をかける余裕が少なくなり、競争に勝ち抜けるような人材を確保することが大きな課題となっております。今後は、産業界から教育への積極的な協力を通じ、産学のミスマッチを着実に解消することが求められているわけでございます。

    6ページでございますが、ポスドク問題でございます。科学技術創造立国を支える博士号取得者は、毎年、最近15年間で3倍以上に増加しております。しかし、アカデミアポストの減少等により、10人に4人が職についていないとの調査結果がございます。

    続きまして、7ページございます。理科離れに関してでございます。数学や理科が楽しいと思わない生徒の割合は、国際平均の約2倍、同じく資源を有さないシンガポールとの比較では3倍近くとなっております。

    次に、8ページでございます。エンジニアリング離れでございます。工学部の志願者が減少するとともに、工学系の卒業者も非エンジニアリング企業への就職が増加傾向にございます。

    次に、9ページでございます。9ページは、我が国の女性研究者比率が国際的に非常に少ないことを示したグラフでございます。我が国の女性研究者比率は、全国の約3分の1、英国の約2分の1にすぎません。人口の半分を占める女性の能力が研究の分野で生かされていない状況です。

    10ページは、企業における理系人材の処遇についてです。右の表のように、年収の高い企業ランキング20社のうち、理系企業は2社のみでございます。また、右下のグラフのように、文系出身者と比べ理系出身者は平均年収の面でも劣位となっております。

    続きまして、11ページでございますが、米国における学位取得者の平均年収でございます。米国では、博士号取得者の年収が、学士、修士と比べ5割から3割程度高く厚遇されている傾向がございます。

    続きまして、12ページは研究人材の流動性についてでございます。我が国では、そもそも研究者の生涯移動回数が少なく、かつ大学から企業や公的機関への転出が少なくなっております。

    13ページ以降は、我が国の先進的な取り組み事例を順次紹介させていただきます。まず、産学総合のトップレベルで人材育成に関しまして、大学と産業界の連携を強化するため、昨年より産学人材育成パートナーシップが開催されております。本日おいでいただいております西山委員、府川委員も分科会議長として参画されておられます。また、大学院の今後のあり方に関しましては、西山委員が部会長をされております経団連産学官連携部会長が本年3月、大学院改革に向けた取り組みに関する報告書を発表されました。また、日本学術会議でも、笠木委員が委員長として、大学と社会の連携による人材育成について議論が進展されておられます。

    14ページでございます。14ページは、東芝と9つの大学の間で実施されている実践的インターンシップの紹介でございます。単なる企業体験型の1週間程度のインターンシップではございませんで、社内から研究テーマを募った後、大学からの候補者を選考し、最長6カ月のインターンシップを行うものでございます。参加された学生の中からは、企業の現場体験を通じ、自身のキャリアパス実現のために一体何をすべきか認識できたというような評価がございます。

    15ページでございます。15ページは、日産自動車等と横浜国立大学等との間の実践的教育プログラムの例でございます。例えば車両設計や新規エネルギーデバイス材料設計といった実務的な研究テーマに沿って、大学院生を対象として、最長8カ月の長期インターンシップが実施されております。

    また、東京大学21世紀COEでございます機械システムイノベーションでも、個別指導教官による論文指導が今まで中心であった大学院教育を、組織として人材を育成する体制にという運営に着手中でございます。

    16ページでございます。16ページは、博士課程を対象とした取り組みでございます。早稲田大学では、文科省振興調整費によりまして、産業界で活躍できる博士号取得者を養成するため、毎年100名の博士課程大学院生、博士号取得者を対象に、企業、研究所の一線級の講師により実践カリキュラムや実践プログラムを実施中でございます。従来アカデミア志向に強かった博士課程の学生の方が、産業界で活躍できる素養を高める試みでございます。

    次に、17ページも産業界に貢献するポスドク養成の取り組みでございます。産業技術総合研究所では、ポスドクを特別研究員として採用し、広い視野を持ち、異分野の専門家とのコミュニケーション能力や協調性を養うイノベーションスクールを運営しております。研修内容は専門知識だけではなく、知的財産、技術経営、産学連携、研究倫理等も対象でございます。

    また、日本化学会主催、経団連の後援で、博士号課程の学生が知る機会として、博士セミナーも開催中でございます。また、東京工業大学では、修士課程と博士課程を連結させ、博士号取得の標準期間を5年から4年に短縮する博士一貫コースの設置など、どんどん先進的な動きが生まれておるところでございます。

    18ページからは、大学が中心となり、企業からの研修生を再教育している例でございます。現在、団塊世代の大量退職に伴い、日本の製造業の国際競争力を支えるものづくり人材の継承が非常に深刻化しております。この工場長養成塾は、当省の産学連携製造中核人材育成事業の1つとして、名古屋工業大学が主催し、将来の工場長を養成するための実践教育でございます。参加者は、みずからが勤務している工場の問題点と解決方法を探る等、徹底した実践を行います。みずから問題に気づき、みずから考え、行動できる工場長を育成するため、豊田自動織機、デンソー等の一線級の工場長クラスの講師が派遣されております。

    19ページも、同じく産学連携製造中核人材育成事業でございます。徳島大学イノベーション人材育成センターが中心となり、企業からの受講生が抱える課題から抽出した共通課題を解決するためのプログラムでございます。198時間の講義、実習を習得すれば、テクノマイスターの称号が授与されることになっております。

    次に、20ページは、地域を支える優秀な技術者を体験型教育で養成している例でございます。新潟工科大学におきましては、地元企業と除雪ロボット、海浜清掃装置など地域ニーズに即した共同研究やインターンシップを通じ、実践的人材の育成と地場産業の振興に寄与しておられます。

    21ページは、函館高専の取り組み例でございます。企業が求める総合的スキルは企業人が教育するのがベストであるとの考えのもと、企業の技術者を特専教授に任命し、納期やコストを意識して、グループリーダーとして計画的に仕事を進める総合的スキルを高めさせるプログラムでございます。イカロボットの制御や環境啓発キットの開発など、ユニークなテーマを異なる専攻の融合チームで取り組んでおられます。

    22ページは、産業人の方による理科離れ対策の取り組み例でございます。協和発酵キリン株式会社では、実験機材一式を詰め込んだ専用車で小中学校を訪問し、遺伝子の組み換えや役に立つ微生物をテーマにした出前実験授業を実施中でございます。当省としても、このような取り組みを文科省と連携して支援中でございます。

    23ページでございますが、群馬大学工学部における工学クラブの設置でございます。本クラブの構想は、トップスターのサッカー選手が子どもたちに直接指導ができる欧州のサッカーリーグにヒントを得たそうでございます。工学部大学院生が小中学校や高校生を対象にさまざまな理科に対して興味を持てるような指導を行うもので、会員は3万人に達しているというふうに聞いております。

    次に、24ページは、北海道大学におけます女性研究者支援プランでございます。本プランでは、2020年までに学内女性研究者比率を20%にするとの数値目標を掲げ、その実現のための取り組みが展開されております。例えば産休、育休の人材需給システムや若手研究者カップルの同居支援などを振興調整費及び自己財源を組み合わせて実施されておられます。先ほど有賀委員がお着きになられましたが、本日、皆様方のお机の上に、有賀委員よりキャンペーン関連グッズをお持ちいただきました。どうもありがとうございました。

    次は25ページございます。25ページは、企業と大学の人材交流の例でございます。A社では、現役の方も含め全国に367名の教授を派遣中でございます。産業人が大学教育や産学連携にて経験と知見を生かし、活動されておられます。

    次に、26ページ以降は、成果の出せる産学連携に関しての取り組み例等でございます。まず、27ページでございますが、27ページは技術移転機関、TLOの組織形態でございます。国立大学の法人化以前は、旧国立大学等が法人格を有さず、特許を保有することが困難なため、大学の外部に株式会社等の形式でTLOが設立されました。しかし、大学内に知財本部等の整備以後、TLOと知財本部の一体化が進んでおります。今後とも、時代の変化に応じた柔軟な組織変更が望まれておるところでございます。

    28ページは、中小企業の技術開発に関してでございます。この左の図のように、中小企業と大学との産学連携は全体の2割程度にすぎません。しかし、中小企業の技術開発は、残念ながら大企業に比較して活発ではございません。このため、大学と中小企業との連携が期待されているわけでございますが、大学の研究テーマと中小企業のニーズがかなり乖離していたり、技術相談や技術指導の比率が高い中小企業との産学連携は、手間の割には大学教官の方の評価に反映されないといったような実態がございます。

    次に29ページでございますが、今までの産学連携をより強力かつ効果的に推進するため、点ではなく面といった拠点を形成し、その拠点を支援すべきとの政府方針でございます。現在、文科省と当省の担当部署で本構想実現に向けて調整中でございます。

    次に、30ページは大学発ベンチャーに関するデータでございます。大学発ベンチャーの数は、現在1,773社まで増加しており、事業段階の起業もふえております。しかし、31ページのように、経営人材、資金、販路開拓、顧客の確保等の面で苦戦している企業が数多い状況でございます。

    32ページ以降は、産学官連携に関する新たな段階における取り組み例でございます。

    まず、32ページは、京都大学とNTT等5社の間で、今後5年間、有機系エレクトロニクス・デバイスに関する包括的な研究契約が締結されております。現在、18研究グループにて150名の方の研究者が取り組んでおられます。

    33ページは、立命館大学の連携活動の例でございます。シーズ発掘から成果の還元まで一気通貫で取り扱う「End to End Management」を導入され、研究者と職員が一体となった、「教職協働」研究開発展開モデルが実施されております。理工リサーチオフィスが多様なメニューにより、連携企業と学部学科を縦断する橋渡し役を果たしております。

    次に、34ページでございます。従来の産学連携は、企業の一部門と大学の一教授の個別連携でございましたが、三菱電機では、社内の複数部門と大学の複数研究者が組織連携を行い、連携窓口担当者が調整を図るスタイルを導入中でございます。例えば東京工業大学との間ではパワーエレクトロニクス、京都大学との間ではセル生産ロボットシステムの次の次の次の製品を生み出すことをターゲットに、それぞれの役割に応じた機能分担を行っております。短期の製品開発は企業が単独で実施し、長期的な研究を産学連携に期待することにより、大学の自由なアイデア、基礎研究等が生かされております。

    35ページは、東京医科歯科大学の事例でございます。産学連携も、業種、分野、技術の成熟ステージにより非常に状況が異なっております。多種多様なアプローチが必要となっております。本取り組みでは、医学系大学に特化した共通の悩みを解決するために、1校だけでは実施が困難な相談窓口や研修会を開催するものでございます。全国に現在医学部を有する大学は80大学ございますが、この半数が一堂に会する研修も実施されております。

    次に、36ページは広域TLOの取り組み例でございます。単独の大学や単独のTLOでは優秀な製薬大学のランセンス業務経験者等のすぐれた人材の確保が困難であったため、金沢大学と新潟大学のTLOが中核となりまして、日本海地域の7つの大学が連携し、TLO未設置大学の埋もれた研究成果の技術移転も図るための仕組みでございます。広域連携することによって、若手人材の育成や他の分野の技術移転の拡大も容易になるメリットがございます。

    また、山口、岡山、沖縄、四国、長崎、5つのTLOが、技術移転活動の広域化のために技術移転協力に関する協定書を締結し、広域での技術移転業務を開始されました。それぞれの大学が特徴を生かしながら、相互補完型連携が開始されております。

    37ページは、地方公設技術センターによります中小企業の支援例でございます。和歌山県工業技術センターでは、地元中小企業のニーズに沿ったペットボトルのケミカルリサイクル技術や、ニット生地上に柄を形成する技術や、柿の皮を化学物質でむくような技術開発を実施中です。実際に中小企業者との密接なやりとりが非常に重要となっております。

    38ページは、大学発ベンチャーに関する明るい話題でございます。近年、金融不安の影響で投資マネーの縮小等により、多くのベンチャー企業が苦労している状況でございますが、イーベック社は、北大の教授が関与したバイオベンチャーでございますが、このたび、ドイツの大手製薬企業と5,500万ユーロ、本日のレートでこの文章に書いてあるレートより若干落ちてしまって残念ですが、66億円に及ぶ完全ヒト抗体のライセンス契約を締結されました。

    次に、39ページ以降は、経済社会のニーズに応じた大学の役割でございます。

    40ページにございますように、地域社会におけます大学の存在感は大変大きいものがございます。文科省委託調査によりますと、群馬大学の県の経済に与える効果は約600億円とされており、これは九州新幹線開業の地元経済への波及効果166億円、さらに楽天イーグルスの波及効果97億円と比べても非常に大きくなっております。また、雇用創出効果の面で見ますと、山口大学で9,007名と、他の地元企業をしのぐものとなっております。さらに、20歳前後の活力ある若者で、知的レベルが高い教職員とともに、非常にポテンシャルが高い方たちの融合組織でございます。大学が象牙の塔ではなく、キャンパスを超えて活動を行ったり、学び直しの機会提供や小中学生を対象としたサイエンスイベントなどで地元住民をキャンパスの中に招き入れることにより、さらなる相乗効果が期待されている例でございます。

    次に、41ページの例でございます。41ページは、九州大学の伊都新キャンパスで世界最大級、最先端の水素研究拠点を形成している例でございます。産業技術研究所等とのコラボによりまして、各種の実証事業など、伊都が水素の町として発展する可能性が大いにあるのではないかと思われます。また、学生の比率が高い町では、学生がICカードを地域通貨として使用するような大規模な社会実証実験も可能で、先進的なモデル事業の先駆けとなることも期待されております。

    42ページは、高専によります広域地域連携の例でございます。現在、55の高専が技術シーズと各地域のニーズをマッチングするため、スーパー地域産学間連携本部の設置や、高専機能とJSTの間での包括協定の締結により、ネットワークの強化が図られております。

    次に、43ページでございますが、大学が地元ブランド力を引き上げる取り組みを行っている例でございます。京都工業繊維大学では、京都の町家をキャンパスに使用するとともに、京都商工会議所と共催で、京都のブランドの価値向上に関する講義を開催中でございます。

    44ページは、大学が社会人の学び直しの機会を提供するとともに、過疎地の地域活性化に貢献している例でございます。山形県の最上地域の山形大学のエリアキャンパスでございますが、ここでは現場教育が実施されており、社会人対象の里地里山活動プランナーの養成や学生のフィールドワークを通じまして、地域再生を目指しております。例えば、30人の学生が村を歩いて気になったものを1日メモとして記録、それをマッピングしますと、200以上の観光ポイントが入ったウオーキングマップが作成可能でございます。

    以上、産学連携に関します課題と先進事例の紹介でございました。本日御報告させていただきました例以外にもすばらしい例は多々ございますが、本日は、時間の関係で省略させていただきます。後ほど委員の皆様方から、追加の御説明や先進事例を今後発展継続する上での政府としての望まれるアクション等もお聞かせいただけましたら幸いでございます。

    次に、本委員会の論点整理をさせていただきたいと思っております。46ページには、産学連携による人材育成に関する論点。47ページには、成果の出せる産学連携及び地域社会のニーズと大学の役割、機能に関する論点を列挙させていただいております。先ほどまでの説明と重複になりますので、時間の節約のため、繰り返しの説明は省かせていただきたいと存じますが、共通するポイントといたしましては、成功事例を分析し、集中的に応援し、さらに広げる仕組みをつくるべきではないかということでございます。

    最後に、48ページをごらんください。今後の本委員会のスケジュールでございますが、来年の1月から5月まで毎月、御多忙中まことに恐縮ではございますが、テーマを絞って御審議いただけましたら幸いと存じております。

    以上、長くなりましたが、事務局からの説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。

  • 中村委員長

    ただいま事務局からの説明でありました。ありがとうございました。

    それでは、事務局の説明に関しまして、御質問あるいは今後の進め方、論点や作業内容の追加等、御自由に発言をお願いいたします。しかし、本日は初回でございますので、あいうえお順で御発言をお願いいたしたいと思います。

    事務局の説明の中で、先進的事例として紹介されておられました方には、適時、追加の御発言も含めて御発言いただけたらというふうに思います。なお、原則、事務局からの回答は、すべて意見をいただいた上で、まとめて御返答するというふうにいたしたいと思います。

    また、本日は、御列席の21名全員の方より御発言をいただければ幸いというふうに思っております。このため、恐縮でございますけれども、3分で21名、ほぼ1時間になりますので、済みませんけど、3分程度でよろしくお願いいたします。

    それでは、順次、あいうえお順でございますので、有賀委員からお願いできませんか。よろしくお願いします。

  • 有賀委員

    北海道大学の有賀でございます。遅刻してきて最初に発言させていただいて申しわけないんですけれども、私は、北大でふだんは分子生物学を教えているわけですけれども、そのほかに全学的な取り組みとして、女性研究者をもうちょっと活用しようということで、その役割を担っているところです。

    産業界のほうが、男女共同参画がもっと進んでいるところはたくさんあると思うんですけれども、また大学は少し事情が異なるところもあって、企業のものをそのまま取り入れることはできない。また、大学のほうから少し企業のほうへ向かって発信できることもあるかなと思っているのですけれども、そういう男女共同参画なんていうことを取り上げても、産学でもって共有できたり、あるいはお互いに啓発し合ったりできることがあるのではないかというふうに感じているところです。

    あと、今、理工系では非常に女性が少ないから、そこをもっとふやしていきましょう、埋もれている人材もたくさんいるはずだから活用していきましょうということでやっておりまして、先ほどの資料24ページのところに紹介していただいているんですけれども、今せっかく支援策をやっても次世代を育てていかないと意味がないので、理工系離れの進んでいる中高生たちに向かって、特に女子を中心にしてということでやっていますけれども、女子に限らず中高生の理系進路選択支援というのも活動しているところです。

    女性は、数が今理工系は非常に少ないので、少ない人がより働きやすくとか、あるいは興味を持ちやすくということを考えていくと、全体が働きやすく、あるいは興味を持ちやすくというところにつなげていかれると思いますので、そんなことを核にしてやっていかれたらなと思っています。

    人材育成ということでは、大学は、私が申し上げるのも僣越ですけれども、大学の教員の後継者を育てようというような機運がどうしても強くて、多くの教員が企業へ行くことをドロップアウトするみたいな意識をまだまだ持っているので、とんでもない、外へ出られなかった人が大学に残っているのだ、くらいの意識でやっていければと、そういう視点を広げていかれればと思っています。ただ、職業訓練校にはならずに即戦力を育てるというところの整合性をどういうふうに見出していくかということが課題ではないかと思っています。

    以上です。

  • 中村委員長

    ありがとうございました。

    それでは、有信委員。

  • 有信委員

    有信です。それでは、御要望ですので、最初に東芝の取り組みを簡単に補足させていただきます。

    ここには研究インターンシップ制度を取り上げていただいていますけど、これ以外に、もともと東芝はイギリスとフェローシップという制度をとっていて、イギリスの大学でPhDを取った人、あるいはPhDでイギリスの研究機関で働いている人で若手を、東芝の研究所に1年ないし2年招聘して研究をしてもらって、これは別にジョブ・オポチュニティーを与えるということではなくて、その後、イギリスに帰って、イギリスでしかるべきところで活躍してもらう。こういう趣旨でここ10数年続けています。

    また、ブタペスト工科大学のPhDコースの1年間を東芝の研究所でやってもらうという契約を結んで、その中で、こちらからテーマを与えて、応募してくるPhDの学生を選抜して、1年間東芝の中で研究をしてもらう。これをPhDの仕事の1つにする。こういうことで、これも数年続けてきています。これも特に東芝に就職するということではなくて、そのまままたハンガリーに帰ってもらって活躍してもらうということでやっています。

    今回の研究インターンシップも、ある意味で就職活動ということよりは、研究開発センターでやっている先端的な研究テーマを提示して、それに興味ある人たちに応募していただいて経験してもらう。こういうやり方でお互いがよく知り合えるようになればということで進めています。

    基本的に産学連携ということで私たちが考えているのは、やはり大学がどういう役割を果たすべきかということを、もう少し大学自身がきちんと明確にすべきだろうということです。産学連携でどんどん企業の意見を出すと、大学の先生方は非常にまじめなものですから、それをそのまま真っ正直に受け取っていただいて、企業が言うようにやらなければいけないと、こういうふうに思われる方もたくさんおられる、たくさんではないんだけど、かなりおられるようでして、これは明らかに間違いだと思っています。

    少なくとも大学は、先端的な研究で先を走っていて、その結果、どんどん世界に論文を出し、あるいは世界の中で切磋琢磨して先端的な研究成果を上げるということが産学連携の前提になるわけでありまして、そうでなければ、企業にとっても産学連携の相手としては余り意味がない。労働力としてだけだったら、別にほかに手だてもあるわけですから。大学としては、1つは地域社会とのかかわり合いのあり方、あるいは産業界とのかかわり合いのあり方、あるいはアカデミックソサエティーの中でのかかわり合いのあり方、これ全体をやはり大学がきちんと考えて、企業にきちんとした物言いをする、企業も大学に対して企業のスタンスできちんとした物言いをする、こういう緊張関係を保ちながらやっていくということで進めるべきだろうと思っています。

    最後に理工系離れについて言うと、盛んに理科離れという言い方をするんですけれども、一番深刻なのは、私は実は工学離れだと思っています。これは初等中等教育の教え方の問題もありますけど、これに対してさまざまな努力をしてきていますが、少なくとも中学校までは、基本的には理科あるいは工学に対してみんな非常に興味が高いんですけど、これが高校に行った途端に、なぜか興味が薄れてしまう。ここの問題をやっぱりきちんと考えながら、これは産業界も協力しながら、具体的にまたそのうち紹介するチャンスもあるかもしれませんが、それぞれ企業も学会もこういうことに対してはそれぞれ努力をしていますので、そういうことをぜひ国としてはバックアップをしていただくようなことも考えていただけると、全体的な広がりを持ってくるのではないかと思います。

    以上です。

  • 中村委員長

    それでは、請川委員お願いいたします。

  • 請川委員

    それでは、大きくは2点お願いをしたいと思います。

    1つは教育に関して。まず、我が国の全大学は金太郎あめにならないで欲しい、なるべきではない、それぞれ特色を持った教育機関になって欲しいということ。それを前提にしましてお話をしたいと思いますが、ドクターコースの学生を採るときに、まず何のためにDCに入ってくるのかと、その意識をやっぱり明確にさせるべきであると思います。

    私、前職の産総研におりましたときに、文科省の第1期のDCの人材多様化プログラム、あれを北大の理系と一緒になってやりました。そのときにわかりましたことは、一番の問題は、院生の問題よりも大学の先生、教官側の問題が非常に大きいと。先生方のデータをとるための道具として使うのではなくて、本当に役に立つ人材を育成するにはどうやればいいのかということを真剣に教えるべきであると。そのためには方法論を教えるべきであって、データをつくる機械にすべきではないというふうに思っております。

    2つ目は産業育成ということですが、全国500万社近い企業の中で、その98%は中小企業です。ですから、ここで議論する場合に、産業育成という場合に何%の企業を育成する気なのかということがなければ、その先の議論は進まないと思います。ほとんどの議論が、大企業さんをお相手にした議論に終わってしまっていると思っております。ですから、中小企業の育成、地域の活性化なくして我が国の活性化はあり得ないというふうにおっしゃっている先生方が多いわけですから、それを実際にどう具現化していくのかということが重要になってまいります。

    その中で、やはり大学の使命。地域の中小企業というのは大きな格差があります。中小企業の家庭の事情も知らずに中小企業の育成なんて言うのは、本当は無理です。社長が自分の息子に会社を譲る気があるのかどうか。譲る気がなければ、自分の代でつぶしてしまう気ですから、もう先行投資をやる気はありませんから、そういうところに幾ら支援しようとしたって無理な話です。ですから、中小企業を育成しようとするならば、どのレベルの中小企業がという問題はありますけれども、やはり中小企業のことがよくわかっている現場を活用すべき。簡単に言いますと、公設試を初めとする現場のいろんな組織、これを最大限に大学は活用すべきというふうに考えております。

    以上です。

  • 中村委員長

    次、笠木委員お願いします。

  • 笠木委員

    東京大学の笠木でございます。私は現役の教員で、現在も40人ほどの学生諸君、若い人たちと一緒に教育研究を続けている者でございまして、そういう者から見た最近の状況について、お話ししたいと思います。

    日本の人材育成というのは、最近の状況を見ると、色々な戦術が出てくるのですが、戦略がない。文科省なり経産省から大学におりてくるものというのは1年、2年のプログラムでして、その終了後に充実して持続性のある形にしなさいというようなことです。これだけでは戦術であって、戦略がないなというふうに私は感じております。

    2点ほど申し上げたいのですが、まず第1点は、是非ここで御議論いただきたいと思っておりますが、国としてきちっとした人材のデータベースを整備すべきではないか。最近、日本学術会議で理工系博士後期課程について議論をした結果を、提言としてまとめて公表いたしましたが、その中の1項目です。我々が博士後期課程の人たちの進学動向、あるいはポスドクの動向を調べようと思ったら、データがなかなか見つからないし、見つかっても調査によって分類方法が違ったりします。要は国民、我々が共有して議論するためのベースになるデータが整備されてない。状況は欧米と比べて非常に貧弱でございまして、いろいろな個別データは、省庁等のWebを掘っていくと、どこかで見つかるんですが、それをもう1回探そうと思っても、2度といけないようなところに置いてあったりして、これは非常に具合が悪い。従って、やはり政策的な対応が必要で、そのためにも、特に省庁を超えてある御努力をしていただき、それにまた大学なり産業界がきちっと応えて整備をしていくという方向に是非進めていただきたい。それがないと、長期的な戦略がなかなか立てられないのではないかという風に感じております。

    2点目ですけれども、最近は1、2年の教育改革プログラムが大学等におりてきますし、私は21COE拠点リーダーとしてやりましたけれども、これでも5年間です。5年間というと、一世代の学生が通過するぐらいの短期間でございまして、それをその後持続的な形にしなさいということなんですが、なかなかこれは財源的に難しい。日本の教育予算というのは、OECD諸国と比べて少ないということは何度も指摘されているわけですけれども、正しくこういうところにも困難が出てきておりまして、本日冒頭で御紹介いただいた産学連携の素晴らしいプログラムが色々あるのですけれども、それらが継続してやっていけるかどうかが問題なんですね。

    私が知る、非常に充実したインターンシップについて、企業の御担当の方に伺うと、学生1人、大体100万円とか200万円かかるとおっしゃるんですね。日本の技術者、研究者というのは200万人以上いて、毎年、多分工学系だけでも10万人ぐらい卒業していますから、半分の5万人としても、その人たちが例えば100万円の経費を必要とするとなると、500億円ぐらい要るわけですね。それを産業界が支えられますかというと、これは大いに議論のあるところでしょう。また、それを産業界が支えるべきなのかどうか。あるいは、支えるとしたときのインセンティブはどうするか。多分それは税制などにも関係してくる課題だと思うんです。

    こうしたことから、きちっとした予算というか財政的な負担を覚悟し、誰がどう負担していくべきなのかという議論をして、それを具体化する方向で進めていただきたい。すぐさま制度が始まるということは難しいかと思いますけれども、やはりそういう観点がないといけないわけです。施策が始められる、そうすると、それがおりてきて教育現場で大変な思いをして、2年たったら財源もなくなるというような状況だと、続かないだろうと思います。

    人を育てるということに関しては、実際、財政的な負担が出ますので、それをどうするかということも表裏で議論していただけると大変有り難いというふうに感じます。よろしくお願いします。

  • 中村委員長

    中谷委員代理お願いいたします。

  • 川口委員代理(中谷)

    立命館大学の中谷でございます。私は、私立大学で、かつ地方にある私立大学というふうな観点から、特に人材育成についてのみ、少しお話をさせていただきたいと思います。

    人材育成といいますと、こういう産学連携の場では、ほとんど大学院生だとか学生あるいは社会人の方をどうするかというお話が中心なんですが、私どもの大学は、それなりの小さなまだまだの規模でございますので、1つの考え方として、先ほども御紹介ありましたように、産学連携あるいはほかの活動すべて教職協働ということで、できるだけ教員と職員がセットになってやっていって、研究なり教育の生産性を上げようというふうな考え方でやっています。

    そうしますと、やはりそこのスタッフ、我々は連携スタッフと言っているのですが、連携スタッフのこれからの人材育成というのは、地域イノベーションも含めて非常に重要なポジションといいますか重要な位置づけになるはずですが、余りこれの議論が、少しはあるのですが、まだまだ低い。将来的に私どもは、そういう人にまさに地域と大学、あるいは産業界と大学の間にイノベーションを起こしていただく。単なるコーディネートだけではなくてプロデュースするような方々の人材育成もあわせてやっていくということも非常に重要ではないかなというふうに思っております。

    そういった意味で私どもは、先ほど御紹介ありましたように、一気通貫というような言葉がありましたけれども、そういうのをできるだけ担当させて、そういう方が地域の連携の機関とかほかの機関に行かれて、そういうコーディネーションあるいはプロデューシングをしていただくというような形での人材育成を一方でやらせていただくと同時に、そういう方に大学で活躍していっていただくというようなことを考えていきたい。これは我々だけではできませんので、ぜひ行政の方々あるいは地域の自治体の御協力も得てやっていきたいなと。

    ただ、残念ながら、日本においてそういうコーディネーターといいますかプロデューサーといいますか、そういう方々の社会的地位だとかステータスというのはまだまだ低い、認知されていない。例えばシリコンバレーのインキュベーションマネジャーとか、ああいうふうな海外におけるスタッフといいますか、そういう方々の地位というのは非常に高くて、社会的にも認知されている。

    したがって、我々大学でも、そういう方のポジション、職制を専門職化して、専門職として位置づけて、職員として今後育成をしていこうということも一部考えております。これは単に経済産業省さんや文部科学省さんだけではなくて、いわゆる雇用の問題等々が絡んできますので、厚労省さんも含めた形で議論していただきたいなと。日本のイノベーション、地域イノベーションあるいは産学連携のためには、単に教員と企業の研究者あるいは公設試の研究者だけでなくて、そういう仲を取り持つインターフェースになるファンクションを増強して、社会的ポジションを高めて、ステータスも高めていくということも必要ではないかというふうな考え方でやっているということを御紹介させていただいて、コメントとさせていただきます。ありがとうございました。

  • 中村委員長

    それでは、田井代理よろしくお願いいたします。

  • 久間委員代理(田井)

    三菱電機の田井でございます。34ページの図面を使って、当社の産学連携のやり方を簡単に御説明させていただこうと思います。

    まず、大学と企業の役割の違いを明確にして連携をしようということで進めています。具体的な課題の解決は企業で行うということで、大学には特殊解ではなくて一般解をつくっていただくと。要するに新しいコンセプト、学問のコンセプトをつくっていただくということを大学にお願いしています。ということで、共同研究をする際にも、当社の研究員の受け持つ課題と大学の先生方にやっていただく課題を明確に分けて進めさせていただいています。

    もう1つは、限ってはいませんけど、当社の主力事業にかかわる課題を選んでいます。その理由は、長期的に展望の持てる、長くおつき合いできるということで、当社の事業も長期にわたって持続するようなものじゃないといけませんので、そういうことで主力事業の次の次は研究所でやりますが、その次の次の次、もっと先の、5年以上先のことを大学にやっていただいています。

    そういうことで、例えば東京工業大学とはパワーエレクトロニクスということで、パワーエレクトロニクスの中の例えば太陽電池とか燃料電池等々のデバイスも含めて、それに関連する先生方と連携させていただいています。

    京都大学はロボットのシステムということで、これは大学院の機械工学系のロボットのシステム関係のすべての先生方と連携させていただいています。

    それから、尼崎の研究所のほうに大学の連携室というのを設けまして、ここを拠点にしまして大学との組織連携を行う、あるいは長期のインターンシップの学生さんの拠点にするというようなことで大学と連携を進めています。

    以上です。

  • 中村委員長

    それでは、久村委員。

  • 久村委員

    日産自動車の研究所の所長をしています久村と申します。車会社の研究所という視点で、少し産学連携について触れさせていただければと思います。

    車というのは、御存じのように知の集約で、いろんな知識とか材料とかをまとめて車に積め込んで商品にしていくという過程で一番大事なのは、知の集約をするということのところの産学連携への期待というところと、それをリードする人材という点の2点が大きなところだと思います。

    知の集約で言うと、単発のイノベーションの何かブレークする1個というものがそのままなかなか製品につながりにくくなってきているのが現実で、τからπ、πから今はпとか言っていますけど、3つあると、順列組み合わせでは6通りとかいろいろありますけれども、何通りかのいろんな形の組み合わせができますが、1つ2つだと1個か2個しかできないということになりますので、専門分野を広く持つということがかなり大事だと思います。これについてどうやって、社内で育てていくのかという話もありますけれども、例えばポスドクの方の、何か1本立っている特性を横に展開できるようなことをできる人材を我々も獲得したいし、育てていきたいというふうには思っているので、ここに課題があるのではないかなと思っています。

    それからオープンイノベーションという意味で、先ほど言ったようにまさに知の集約だと思いますので、これを弊社の場合は、日本だけではなくてグローバルに拠点を持っていますので、グローバルにやるという観点の中で日本をどうしていくのか。人材も同じですけれども、リーダーシップをとれる人材を日本としてどう持つのか、みたいなことが観点としてはあります。

    御紹介いただいた15ページの横浜国大さんと弊社との例で言いますと、ほかにもたくさんありますけれども、創造力、マネジメント力、コラボレーション力、コミュニケーション力とか、いろんな能力が要求される中で実務型に近いことをちょっとやっていまして、我々の若手の研究者のエンジニアを1人出して、それに学生3人か4人をつけて、5チームぐらいでトレースする車をおもちゃでつくって競わせるみたいなことをやっています。そうすると、チームビルディングだったり、リーダーシップだったりとか、目標設定だったりとか、それに向けてプロセスをどうするかという、いわゆるハウ系ですね、仕事の仕方を学んでもらう。それをやることで、大学とはまた違う企業での経験みたいなことが結構できて、我々が人材を見きわめる上でも、リーダーシップをとれる人、もしくはブレークスルーできる人、工夫をする人といろいろと見られたりしますので、お互いにとっていい経験になってきていると思います。

    あと、笠木先生もおっしゃいましたが、そういうプログラムなんですけど、財務面でのバックアップがなくなるという話もあったりとしかしまして、結構つらかったりしますので、一企業としてできることと産学連携、こういう場でできることというのを継続するなり何なりということも、考えていかなければいけない課題の1つではないかというふうに思います。

    あと、インターンシップにつきましては大変重要だと思います。弊社でも、どっちかというと個別ですけれども、日本だけではなくて海外からも随分インターンシップを受け入れていますし、そういう方々は大変優秀であったりします。有信さんは帰られるとおっしゃいましたけど、残りたいという方も結構いますので、そういう方々と、採れる人材の数が限られている今は、国内の人材との競争にもなってきていると思います。そういう意味で、垣根が随分ない状況の中で、どうやって産学連携を広めていくのかというのもあわせて課題の1つだと考えております。

    以上でございます。

  • 中村委員長

    河野委員お願いします。

  • 河野委員

    私は、国立高専機構というのができまして、そこにおります。この小委員会にも恐らく高専関係者として初めて入れていただいたのではないか、こういうふうに思っています。先ほど課長の話にもありましたが、科学技術基本計画にもずっと高専という名前は入っていなかったのですけど、第3次からは高専という名前を入れていただきました。

    高専というのは、なかなか個性ある、魅力ある高等教育機関ですが、一般に余りよく知られていないというところが最大の問題でして、実は私も40年も大学におりまして、工学部長、学長もやりましたけど、そのときには高専というものにほとんど意識がなかったんですが、高専へ来ますと、先ほど言ったように個性があるんですけど、いろんな課題もあるんですね。そういう課題をどうするかというふうにいろいろ考えておりますと、それはすなわち大学の課題でもあり、日本の工学教育というか技術者教育も含めてそういう課題と共通点がありまして、今、私は非常に楽しく仕事をしているわけです。

    恐らくここにも高専のことを余り御存じない方もおられると思いますけど、法人化したときに、大学もそうですしほかの独立行政法人も、大体その前の組織そのままの大きさで法人化しているわけですね。国立高専というのは全国に55ありまして、各県に1つずつぐらいあるわけです。独立しておったのですが、これが1つになっての法人になったわけですね。だから55倍になった。すなわち、日本全国にネットワークを持つ技術者教育の高等教育機関である。学生は6万人おりますから、国立では最大の規模になったわけで、予算も東京大学に次ぐ2番目になっておるということでありまして、私どもはそういう認識をちゃんと持って、これから社会に貢献はもちろんですけれども、人材育成をしっかりとやっていく。

    大学に比べますと、これまで高専がやっていたのは人材育成が中心なんですね。文科省なんかは、あんたのところは教育をやっていたらいいので、研究はやらぬでもいいと、そういう話が最初にある。それはおかしいわけで、これからは、創造性のある実践的な技術者を育成するというのが私のところの使命なんですね。創造性のある人材を育成するためには、先生方が研究活動をやらなかったらだめなんですね。ですから私のところは、研究といっても大学と同じ研究でないほうがいいと。技術開発というところに重点に置いた研究活動をやって、人材育成をやろうと。こういうことを一応確認しまして今やっているわけで、先ほど言いました特徴という個性は、全国にそのネットワークを持っておる。

    それから、先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、大企業よりも、むしろこれまで私どもは中小企業といろんな技術連携をやってきておるというところで、実践的な技術者の育成というところに重点を置いているわけですね。そういう特徴を生かしながら、先ほど、それぞれが個性を持たなきゃいかぬという話をだれかおっしゃいましたけれども、私のところは大学と同じようにと、そんなことは考えていない。私のところの特徴、個性を生かした人材育成をやる、その中で、もちろん技術開発も含めて地域連携をしっかりとやっていくということを伸ばしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

    私のところも、先ほど言いました課題もあります、それが日本の課題ではないかと私自身が考えておることもたくさんありますけど、その1つは、連携による研究成果に余りにも期待し過ぎる。人材育成という連携、もっとウエートをそっちのほうにもかけていく必要があるのではないか。産業経済ですから、すぐに成果の上がるもうかる技術は何かとか、材料は何かとか、これは非常に重要ですけれども、それが余りにも重くなり過ぎて、この間の第3期の科学技術計画では、それまで全然人材育成と書いてなかったんですけど、今度書くようになりましたからそれはいいと思いますけれども、私たちは、日本が2番が3番になったとか、学力が3番が7番になったというようなことを余り一喜一憂せずに、文科省に言っているのですけれども、もう少し基本的な、例えば子どもたちに勉学意欲をちゃんと培うためにはどういう教育内容なりシステムが必要とか、もう少し長期的なビジョンを、高等教育機関もそうですし、日本の教育で人材育成をしていく、そういうことも感じるわけであります。

    私どもは、これまでも創造力のある実践的な技術者の育成というのを使命にしていますから、先生の3分の1ぐらいは、現場で経験された技術者で優秀な方を先生に迎える。そういう人たちをできたら3分の1ぐらいにしたい。その人たちは学位がなくても結構ですと。今は、私どもはほとんど学位を持っている人しか採用しませんけれども、そういう人たちにとっては、学位はもう必ずしも必要ありませんと。そういうことで人材育成、産業界で技術の経験なりやられた人を積極的に採用する。そういう教官側の人事交流も、またこれから非常に大切であるというふうに私どもは考えておるわけであります。高専は、また大学と違った個性を伸ばして、技術者の育成というものに特化した高等教育機関としてやっていきたい、こういうふうに思っていますので、よろしくお願いしたいということでございます。

  • 中村委員長

    佐竹委員お願いします。

  • 佐竹委員

    私は産学連携学会として、地域の活動の総合的な支援とか、産学連携を行う専門職の育成とか、また産学連携活動から発生する成功事例、失敗事例を解析して、学問的な体系としてまとめていくということをやっております。今回、こういう産学連携に直接タッチする、直接活動している方々の研究成果の解析をした結果をこの委員会で紹介させていただいて、今後活用していただければとは思っております。

    先ほどから人材育成ということですが、地方の徳島の地域での人材育成について少し紹介させていただければと思っております。笠木委員のほうから、人材育成に継続性を持たせてほしいというのがございましたけれども、地方において、産学連携において何を一番多く、強く望んでいるかといいますと、やはり中小企業の方々の技術者の養成とか、人材の育成というのを非常に要望しております。というのは、人材なくして地域の工業技術の発展はないというのが地域の人々の考え方でございます。それらの方々は、自分らの技術のノウハウを見せてでも、地域全体の技術力をアップしていきたいというのが徳島地域でございます。

    そのために、私ども大学といたしましても、中核人材育成事業の経産省の採択を受けて、それの終了後、19ページですけれども、徳島大学にイノベーション人材育成センターというのを学長に申告してつくっていただきました。ここの運営に継続性を持たせるということで、やはり笠木委員もおっしゃいましたように、経済的な裏づけがないとなかなか継続をすることはできませんので、地域の方々、産業界、金融界、そういう方々にお願いをして、これを運営する資金を提供していただいて、その一部を使って運営をするというような体制をしております。

    そういうこともございますが、それだけではなかなか地方において継続をしていくということは難しいところがございます。これらについて政策的に御支援をしていただければと思っております。例えば一例としまして、NEDOのマッチングファンドのようなのがございますけれども、地域で幾ら集めたらその2倍か3倍は出してやるよとか、そういうような支援の仕方もあるんじゃないかと思っております。そういう継続的な人材育成をしていくということに支援をいただきたいと思っております。

    それから、地域の人材育成というのは地域に特化した教育システム、教育プログラムを構築するというのは、これは非常にメリットがございまして、非常に関心のある企業から参画がある。また、大学の先生が企業人と接触をする。その中に、そのプログラムをまた大学の授業に採択をしていくというようなことで、教育面においても人材面においても非常に交流が深くなっていくということがございます。そんな中に、企業に就職したいわば大学院の人を派遣するというような事業をして、学生の教育にもこういう事業が非常に生かされているところがございます。

    それと、こういうプログラムを本当に必要としている企業ってどういうクラスなのかといいますと、大企業ではございませんし、また非常に小さい企業でもございません。結局、あと一つ、一歩前進をして地域で活躍というか発展していきたいという中核的な中小企業が非常に人材育成に興味を示しておりまして、非常に協力的でございます。こういうような地域に必要な教育プログラムを開発して、地域に広めていく。それを通じて人材育成をする、交流を深めていくという方法。もう1つ、中核人材の中で多くのプログラムが全国で開発されておりますので、それを横断的に利用するような政策支援というのも考えていただければなと思っております。

    要は、地方では研究開発も重要ですけれども、人材育成というのが非常に重要視されているということを知っていただいて、それに対するいろんな御支援策をつくっていただければと思っております。

    以上でございます。

  • 中村委員長

    次に、宝田委員お願いいたします。

  • 宝田委員

    群馬大学の宝田でございます。私、地方大学の工学部長、工学研究科長を務めております。そしてまた、現在、まだ現役の教員で研究教育にも携わっております。もう1つは、大学を出まして企業に勤めておりまして、また大学に戻った者でございます。そういった観点から、考えていることと群馬大学の実情を少しお話しさせていただきたいと思います。

    私ども地方の大学で、工学離れ、理科離れという話が最初にありましたけれども、それを何とか払拭して人を集めようと言っているときに、やはり工学の魅力というものを何とか出したいと言っておりますが、私はまず最初に、本当に日本の将来をどこがどうビジョンを出しているのか。例えば、科学技術創造立国であるとかそういったことでずっと展開されてきたわけなのですが、本当にそれが必要なのかというところが、どうも国民一般に私は認識されてないのではないかというふうに思います。

    その証拠ということでもないでしょうけど、先ほど谷課長からも説明ありました、文系より理系のほうが処遇が悪いと。本当に日本を科学技術が支えていくのであれば、当然処遇も高くなって当然だと思うのです。それがどうもそうなってないのは、本気になって日本の将来ビジョンがきちんと設定されていないのではないかというふうに思います。日本が本当にこれから21世紀、どういうところで生きていくか、そして何が大切か。私、実は20世紀に大学を出て企業に入ったのですけれども、そのときは企業に非常に魅力がありました。そこに行くと何か仕事ができて、しかも一生これで、理系だったら何とかなるだろうという、そういった気持ちにもなりました。その後、事情があって大学に戻ったんですけれども、そういったビジョンがないということが、実は工学離れを根底から払拭するのに非常に害になっています。

    というのも、私どもは、先ほど紹介ありました工学クラブというものを立ち上げました。これは、小・中・高・大・企業すべてが1つの組織として成っているものでございます。こういったところで工学の魅力を訴えようということで、小中学生にもさまざまなイベントを行っております。幸いにも非常にうまくいっておりまして、会員も、先ほどお話ありましたように3万5,000人ぐらい集まってきております。小中学生に例えば現場の研究を見せると、皆さん、目を輝かせて楽しいです。これは本当に楽しい、楽しいで終わるのですが、先ほどの話にありましたように、それが後まで続いていかない。高校になったら、どっちかというと、やっぱり文系へ行くかとかそういう話になってしまう。

    私どもはそれをいろいろと議論しているのですけれども、その中では、1つは小中学生だけの問題ではなくて、お母さん方の影響というのは非常に強いということがわかってきました。ある新聞社さんと対談したときに、その新聞社さんの局長さんがお話しした例が非常におもしろかったのですけれども、ちょうど私の対談の前の日に、君津に取材があって行ってきたと。そしたら、お母さんとお子さんが手をつないで歩いていた。お母さんが何か話をしている。何げなく聞いてみたら、何を言っているかというと、「○○ちゃん、ちゃんと勉強しないとああいう人になっちゃうよ」と。それがお母さんの認識なのですね。こういう審議会でも何でも、大体お父さんの発想でやっているものですから、ここも女性が何人か、なかなかここを払拭できない。

    結局、少子化で男の子が少なくなってくると、家での影響力が非常に強い。最終的にはそういったところの影響もかなり出ているということで、我々このクラブとしては、すべてそういう人たちも巻き込んだイベントを今やっています。そこでの説明は、ただおもしろさだけでは難しい。将来的に本当に科学技術をやっている人たちが日本の骨格になって、それだけの処遇が与えられるというところまでぜひやっていただきたいと思います。

    本当に産学連携では、人材育成と技術開発とはっきり分けるべきかなというふうに私は思います。技術開発は、ある年限でやらないといけないということはわかりますが、人材育成となったら、やっぱりこれは未来社会をつくるための人ですから、もっともっと長期的に戦略的に、本当に何十年先の日本をどうするんだということまで考えてやっていくべきだと思いますので、ぜひ長期的なビジョン、そして支援というものをお願いしたいと思います。

    もう1点お話しさせていただきますと、私どもは群馬県の桐生というところに工学部がございます。非常に地方の都市なんですが、その隣に太田市さんがございまして、太田市に実は産学連携でキャンパスをつくりました。平成19年から活動しております。これはものづくりに特化した専攻学科でございまして、定員が70名、夜間30名、全体で100名のキャンパスをつくりました。まさに太田市の要請と産業界、大学が連携してつくったところでございます。そこでものづくり人材を育成していくことを始めたわけなんですが、もう1つそこの中で高度な人材育成となりますと、博士の育成になります。

    私どもは、ことしから「1社1博士プロジェクト」を行っております。これは先ほどから何度もお話に出てきておりますが、中小企業、規模の小さな企業さんが非常に多い。大企業といいますと、群馬県の太田市周辺ですと富士重工さんであるとかサンヨー電機さんなんですが、そのほかはほとんど小さな企業さんです。ただ、その小さな企業さんのレベルが上がらないことには、日本の科学技術のレベルは上がらないということ。そこの技術の高度化をやるために、今、「1社1博士」というプロジェクトを展開して、そこの太田のキャンパスで教育をするということをこれからやろうとしているわけなんです。

    ただ、規模の小さな会社さんですと、いろんな面で大企業と違う困難さがございます。いい人というのは、その企業の中の一番の中心の人ですので、規模が小さいとその人が出ることによって、なかなか企業そのものがうまくいかなくなる。ですから、そのあたりの支援を我々も今一生懸命やっているところなのですが、ぜひ産業界全体でもそういう御支援をいただきたいというふうに思います。

    長くなりましたので、最後1点だけお話しさせていただきますと、中小企業というネーミングが非常に私は悪いというふうに思っておりまして、群馬県内では中小企業というものを使わないようにしようとしております。なぜかというと、県内に実はうちの卒業生も余り残らないのです。大きな会社さんへ行っちゃうのです。それは、中小・零細というネーミングが非常に学生にも受けが悪い。しかも企業さん自体も、うちは中小だから、零細だからという、規模だけでレベルの差まで云々しているケースがございます。私は、ここが専門企業、やはり規模が小さいところは高い専門性を持ってないとこれからは生き残れませんし、まさに世界にも展開できないということで、規模の小さいところは専門企業、大企業は総合企業というネーミングで何とかやっていきたい。

    ただ、これは省庁にも中小企業庁、いっぱいあるものですから、名前を変えるのは非常に難しいのですが、企業さんにも非常に支援を受けているものですから、何とかそういったところもぜひこれから考えていただきたいと思っております。

    以上でございます。

  • 中村委員長

    では、土井委員よろしくお願いいたします。

  • 土井委員

    きょう北海道から参りましたので、10時に遅れて申しわけございませんでした。

    私は、北海道で事業のインキュベーションの会社を経営しております。北海道に行ってから大学の先生と知り合うことが多くて、大学に技術が余っているなというのが前提にありました。この余っている技術をいかに地域経済に還元するかというときに、大企業さんとの共同研究は非常に重要で、やはり効果が出ると思うのですが、地域に何とか事業として技術を残したいなと考えると、ならば大学発ベンチャーだろうということで、大学発ベンチャーなどを中心にしたインキュベーションを行う純民間の企業を立ち上げました

    先生方といつも話すのは、大学にある工学や医学の技術だけでは事業になりませんよと。経営の技術と工学や医学の技術が一緒になったときに初めて事業になるんですよという話をして、納得してお互いの立場とか役割を明確にして進んでおります。そうしたところ、地域の大学とか地域の企業にある技術が事業の収益に変わっていく変化を、現場を見ていておもしろいなというふうに思っています。

    その中の1つが、38ページで御紹介いただいたイーベックという会社なのですが、なぜ55ミリオンユーロという金額で、海外の製薬企業に対してこの1商品が売れたかということなんですが、これはまさに経営の戦略によるところで、きょうは時間がないからそこは全く触れませんが、戦略と研究員ですね。北海道の場合、先ほど有賀委員からもありましたが、女性の技術者が少ないということなのですが、一方で、卒業したバイオや工学の技術者は、職がなくて余っています。ほとんど医学やバイオの企業がないので、そういう企業の職につけずに全然違う職をやっている。その子たちを利用できればいいだろうということで、10人の研究員のうちの8人は女性です。非常に優秀な女性がいて、その女性が次々に研究開発で成功してくれたというのが、この1つの成功事例。

    それと、大企業さんが地域にない中で、大企業とアライアンスを組むときに、どうしても大企業さんの仕組み、大企業さんが買うために必要なレベルをつくらなきゃいけない。そのときに、スキルエンジェルという制度をつくりました。大企業出身で北海道に帰ってくる方々にスキルエンジェルと称してベンチャー企業に協力していただいて、そういう方々の本当に地道な、例えば品質保証だったり、安全性、標準化とか、そういった技術を加えていただくことによって、研究開発企業が徐々に受託開発工場に変わってきたというところが1つの成功要因だったのじゃないかなと思っています。

    以上です。

  • 中村委員長

    次に、西山委員お願いいたします。

  • 西山委員

    産学連携といったときに、やっぱり産と学というのは本質的にもともとミッションが異なるという大前提に立っておくことが必須であります。ともすると、その大前提が揺らいだ中で産学連携の話ばっかりしちゃう、これは間違いだと思っております。もう釈迦に説法なんですけど、大学の本質は、今回4人の日本人の方がノーベル賞をもらわれましたけど、本質的には大学はそっち側にあって、企業というのはテクノロジーを生み出したり、活用して事業を展開したり、事業を新しく目指すという役目ですね。ですから、本質的に異なります。でも、基盤的な力が、例えば湯川さんのノーベル賞というのは、じゃ産業に発展しましたかというと、そうじゃない。中間子を予測したということは、日本の底力、科学の飛躍的な力、活力を日本に与えるという価値があると。そういうものが、じゃイノベーションに行きますか。もちろん全く無関係じゃないけれども、直接的にはイノベーションに行ってはいませんね。だから、そこのところを抜きにした話をし過ぎているような気がしますということですね。

    産業界が言っている産学連携は、そういう部分については全く言っておりません。大学は本質的な使命を果たすということが、まず第一義的に大事であると思っています。しかし、目的基礎研究の段階あるいは純粋基礎研究だとしても、産業界と大学がかなり早目にいろんなことを共有しておく価値は非常に大きいと思います。そこに産学連携の出発点がある。産学連携というのはあくまでも手段でありますから、目的は、1つ目、イノベーションを達成するのに極めて有効な手段であるということ。2つ目は、人材育成をするのに極めて有効な手段である。この2つが最も有効に手段であるというふうに考えております。

    人材育成について申しますと、たまたま13ページに例が挙げられておりますけれども、これは文科省さんと経産省さんが主管して産業界が参画し、私もその一部として参加しておりますので、どんなことをやっているかというと、ともかく高度理工系人材の特にドクターに焦点を当てたときに、ポスドク問題も発生しておりますけれども、やはり産業界としては、ドクターの方々に産業界でどれだけの活躍の場があり、どれだけ期待していて、どれだけ魅力があるかということを、過去それほど強く意図的に取り組んでこなかったということは、どこの分科会さんも言っております。今後は、そういうことをもっと積極的にやろうということになっております。

    イノベーションにつきましては、各所に先進的事例が既に出ております。わかりやすい三菱電機さんのような例を、もっと産業界としても展開、広めていこうという取り組みを考えております。

    最後になりますけれども、論点ということについて若干補強があったほうがいいんじゃないかと思いますのは、国内のみの感じになっているんだけれども、やはり日本という位置づけを海外の中で考えていくという論点を入れないとよろしくない。要するに、日本は人材育成するときに今おもしろくない仕組みになっちゃっていて、もっと多様な人材が日本に来て、日本というのは土俵としてはおもしろい国であって、そういうことをつくり上げた中で人材育成をしていくという考え方に立たないと、日本のみでいろんなことをやるという時代ではもうないという視点を取り入れるべきだし、その中には留学生等をどう取り込んでいくかということを考えるべき時代に来ている。

    一方、産学で大学を考えるときに、のべたんの大学というのはもう意味がなくて、大学別に役割がみんなばらけてこなきゃいけない、個性化して多様化してこなきゃいけないにもかかわらず、全部が大学という言葉で産学連携を議論しようとしている。大学別に相当個性、多様化する、もっともっとばらけなきゃいけない、そういうことを視点として入れるべきだろうと考えております。

    以上です。

  • 中村委員長

    次に、宮澤代理お願いいたします。

  • 布村委員代理(宮澤)

    新潟工科大学の地域産学交流センター長を務めています宮澤と申します。きょうは学長の代理ということで、こういうことを話すようにとかいろいろの指示はありませんでしたので、私の個人的な考え方なんですが、20ページに本学の資料が事例としてあります。ただいまの方の多様化という面でいきますと、新潟工科大学は地域の就職者、新潟大学とか医大とかたくさんあるんですけれども、みんな東京に出てしまう、地元に技術者が残らないということで、地元の企業の皆さんがつくられた大学でございます。

    私も5年前にこちらに来まして、専門は情報ですけれども、今こういう立場に立ちまして、企業の方々といろいろ進めております。私立大学ですので、外からお金を持ってくる共同研究、委託研究というもののほかに、この大学は今200数十社の支援組織というものに支えられておりまして、私の仕事は、そちらの方々といろいろなことを連携して事業をやっております。この除雪ロボットとか海浜装置とかゲージとか、いろいろなこともやっておりますけれども、皆様のほうに紹介するには細か過ぎるかと思うんですけれども、全体から見たときには、すごく大学の役に立っていると。例えば、今回のショックで内定取り消しというのも何人か出ましたけれども、そうかということで、企業さんが締め切った採用枠を広げて、今みんな対処していただいているとか、まず一番基本的なところで精神的な連携ができている。

    柏崎というところにありまして、原発は今とまっておりますけれども、この問題も、他の県では原発産業があるのに柏崎はないじゃないかというので、私、そちらのほうにも出させられているんですけれども、皆さんがいろいろなことを考えていくところの大学というふうにとらえていただければと思います。

    いずれにしても、産業界に輩出する人材育成というのが大学の本命だと思っておりますけれども、どんな人材がいいかということは、企業と先生、学生3者が交流する必要があると思いまして、私自身は今そういうことを推進しております。企業の方が大学にブースを開いて説明して、2~3年生からみんな企業を勉強するとか、大学の先生が企業を訪問する、20社くらい毎年計画して行っていただく。科とかそういうもの関係なしに行く。それから私たちも、地域に行って交流会を開く。みんな忙しいと言うんですけど、喜んでやっていただいています。あと1~2年はそういうことをしておく必要があるかなというふうに思っております。いずれにしても、私たちはそういう行動の中で、補助金とかそういう外部資金を得るわけですけれども、今の行政というのは縦割りが基本ですから、もうちょっと横で見た補助金政策とかそういうものが必要だと。

    それから、本学も女性が少ないのですけど、私は女子の採用というのが大事だということを言っていまして、今回ちょっとした改良のときに和室をつくったり、いろいろなことをしていく必要があるということが反映されて、非常に満足しています。私自身は、ここの会員もそうだと思うのですけれども、工学系、理工系の方々が集まっていらっしゃると思うのですけど、私は情報でして、情報通信電子学会の会誌の10月号の巻頭言に書かせていただいたのですけど、「人文の知に学ぶ」ということで、そちらのほうもやっぱり理系とか何とか系とかいう縦割りで人材育成をしていちゃいけないんじゃないか、もう少し我々が人文のほうに、というようなことを書きました。

    いずれにしても、横糸、縦糸、きめ細かな政策。それから、学科間でも先生たちの科目。「情報にCADがない、何でですか。機械のほうにはあるじゃない」「機械が動いているのは情報で動いているのです」と。だから、文科省の制度というのがありますけれども、もっとコース別とかいろいろ柔軟な対処でやったらどうでしょうかということで、いろいろなことを今考えておりますけれども、地域産業に生きる大学ということで、すべてに縦糸、横糸、きめ細かな行政をお願いしたいというのが私の考え方でございます。

    以上でございます。

  • 中村委員長

    まことに恐縮でございますが、12時までの時間ということでありますので、御協力をよろしくお願いいたします。

  • 平田委員

    協和発酵キリンの平田でございます。私も、これまで産業技術分科会の基本問題小委員会でいろんな観点から意見を述べさせていただいたわけで、もういいのではないかと思ったのですけれども、今回は人材育成が主力なテーマということで、また引き受けさせていただきました。

    先ほどからいろいろお話にありますように、日本の産業の将来を支えるといいますか、産業だけじゃなくて、日本という本当にこの国を支える将来の理系人材の確保という面をおもんばかると、非常に厳しい状況にあるということは皆さんの認識のとおりでございます。確かに私も今、月2~3回、中学校や高校へ行って出張授業をやっているんですけれども、理系を例えば進学のときに選ぶ、職業としてそういう技術系を選ぶというときに、やはり職業のキャリアパスというのが理系というのは非常に見にくいんですね、子どもたちにとっては。父兄にとっても見にくいです。医学部から医者になるというのは見えやすいのですが、それ以外の理系って非常に見えにくい。そこで産業界というものが初期の初等中等教育にかかわるというのは、私は非常に重要だと思います。

    皆さんの中には認識がどのぐらいあるかは知りませんけど、実はまさに大学連携推進課の中に、初等中等教育で産業界というか外部講師が入った理科教育の推進というプログラムが2つございまして、私もそれにこの2~3年ほどかかわっておるわけですけれども、今ここの事例に幾つかございましたように、各企業で非常に熱心に取り組みが行われています。このような出前授業とか、いろんなプログラムをカリキュラムに沿ってつくって、教育界と連携している。しかし、確かに実績の上がっている例は多々あるわけですけれども、これがなかなか継続的に横に展開していきにくいと。確かに産業界が教育というのは非常に戸口に大きなバリアがありまして、実際行ってみると、教育委員会によっては、とてもそういうのをお呼びでないところはまだまだあるわけで、非常に温度差もあるわけですね。

    ですから、やはり制度としてしっかりつくっていかないといけない。今、経産省の中で、そういうところを取り持つコーディネーターを試行的に全国で10件ぐらい選択してやっていますけれども、これをさらに広げていくということは非常に重要と思います。この辺は余り触れませんけれども、私はもうちょっと抜本的に重要なのは、各企業の努力というのはやはり限界があるわけで、企業というのは教育が主体ではございませんから、これを継続的に進めていくために、こういう理科教育の補助員として、産業界というのは人材が非常に豊富なわけです。各分野があるわけですね。特に子どもの教育に身近な生活等の場で、やっぱり地域の各独特の技術を持って産業を起こしている企業の技術者が、教育の現場に入るというのは非常に重要ですけれども、そういう中、理科教育の補助職として全国的に、例えば各学校または各地域でもいいですよね、ちゃんとリストアップして、そういう常置するような制度というものがやっぱり必要じゃないかと思います。これは文科省の仕事だと思いますけれども。

    さらに抜本的なことを言えば、日本は公教育の予算は本当に不足しているわけで、まさに今国家存立の危機にあるという認識を持てば、これを単なる問題視するだけじゃなくて、本当にこれを政治的に動かすようなことで抜本的に変えていかなきゃいけないし、理科教育教員の採用システムからして非常に大きな問題があります。この辺も、ぜひこういう機会に変えていくような動きになればと期待しております。

  • 中村委員長

    それでは、布川委員お願いします。

  • 府川委員

    旭化成の府川と申します。化学分野で人材育成のことに今携わっておりますので、それについてお話しいたします。

    1つは、先ほども御紹介がありました博士セミナーというのを、化学企業20社ぐらい集まりまして、日本化学会が主催で博士の2日間のセミナーをやっておりまして、東京、大阪でこれで4回やりまして、延べ300人くらいの博士の人に、企業のことを知ってもらうということとか、企業に入ってのキャリアパスはどんなものかを話しております。企業のことをやっぱり知らない人が非常に多いので、参考になったという話を聞いております。

    私は個人的に、博士人材がこれからイノベーションを担うべきだし、ちょっと修士では新しい分野を切り開く力は弱いのではないかというふうに思っています。そういうことで、各企業に博士を積極的に採用してほしいというメッセージも出しているのですが、大手企業ではかなり、特に化学の大手ですが、20%ぐらい博士を採用するようになってきていますから、中央研究所ぐらいに入る人の中でいうと、40%ぐらいがもう博士ということで、かなり世の中変わっていくのではないかなと思っていますが、どうも博士が大企業中心で、中堅どころの企業になると、急激に採用数が減るということがちょっと課題としてあります。これはインターンシップとしても、短期の集中型インターンシップといって、成功事例を中心に、企業の割にマル秘の話も話せるような内容を話してもらっています。

    あと、大学と企業全体で言うと、企業のほうは前、私が入ったところは技術導入ぐらいで、習えばいいと、導入した技術を学べばいいと。その後は、お手本があって、化学で言うとデュポンとかそういう化学のトップメーカーの後を追っていけばいいと。最近はもうそういうこともできなくなったので、フロントランナー研究って非常に難しいわけですね。学生さんのほうも、我々のころはサイエンスもそれほど進んでなかったので学ぶことは少なかったのに対して、学問がどんどん爆発的に発展しているので、非常に学ぶことが多い。だから、企業側のニーズは非常に高くなって、過去よりより高い人材を求めて、学ぶほうは非常に学ぶ量が多くなってきている。この事実は厳然としてあって、その問題をどこで埋めるかですね。企業に入ってから一人前になるのに少し時間がかかるのか、大学でドクターまで学んで出てきたほうが有利なのか。その辺の議論がトータルでは要る。必ずそのギャップは大きくなっているという認識の上で話をすることが必要じゃないかなと思っております。

    あと、もう1点は、先ほどから理系の処遇が悪いということがありまして、部長、課長とか年収というと、何か割に文科系の人が高いと。うちの会社でも文系の役員のほうが多いとかいうことがあります。研究開発をした人の成果を職務発明で報いる制度がありますが、あれが青色ダイオードで裁判沙汰になりまして、むしろ企業はそれに対して非常に臆病といいますか、裁判なんか起こされたら大変だということで、むしろ金額を抑えぎみになってきているのですけれども、特許法の改正も含めて、もう少し妥当な金額あるいは助言をある程度決めることによってリスクを減らして、研究開発をした人はそういうことで報われるということをPRすることがいいのではないかなというふうに思っています。

    以上です。

  • 中村委員長

    前田委員、よろしくお願いします。

  • 前田委員

    東京医科歯科大学の前田です。約10年前にTLO法とか日本版バイドールを経済産業省さん中心に起こされてから、産学連携がすごく進んできて、特許の数やライセンスが順調に伸びてきたと思います。でも、それはほとんど工学系で、医学系の大学はまだまだです。東京医科歯科大学も、平成15年の9月に私参りまして、よちよち歩きという状況で、今、工学部に並ぶように頑張っている段階です。

    大学の産学連携というのは、特許を出して、その特許をライセンスするというよりも、その特許をえさに共同研究や受託研究につなげるのが一番いい姿だと思っています。さっき西山委員が、もともと産と学はミッションが別とおっしゃっていましたけれども、そのとおりで、大学の出す特許というのは大変アーリーフェーズなものが多いですから、それをすぐビジネスに結びつけようという考え方よりも、そのユニークな考え方やオリジナリティーをいかに企業さんに温めてもらって、採用してもらって、伸ばすかというところで産学連携があるべきなんじゃないかなというふうに思っています。

    医科歯科大も、手前みそなんですけど、平成16年と平成15年を比べると、共同研究も受託研究も金額で5倍以上になっていまして、いわゆる文部科学省さんとかが泣いて喜びそうな棒グラフが書けるみたいな形になっています。これからもどんどん共同研究とか受託研究、どちらかというと基礎的なところを大学がやり、そこにユニークさを酌んでいただいて、企業さんと組むという形が一番いい産学連携ではないかなと思っています。

    人材養成のことですけれども、現在、医科歯科大では、技術移転の目ききを育てる主に社会人、大学院生向けの授業をやっています。社会人の方はたくさん応募されて、5倍ぐらいの応募があったりして、すごく活気があるのですけれども、私が今すごく有効だなと思っているのは、ドクターとか大学院生の方が評価担当技術員といって学内の制度を設けているのですけど、特許を教えて、その後、私たちのところでアルバイトで知的財産のところの仕事をしていただく、半分インターンシップのような仕事をしていただいています。理科大の知財の大学院生さんも1年以上入っていただいて、身につけて社会に出るというような形がたくさん行われています。

    ドクターの方というのは専門性が大変高いのですけれども、社会性がどっか欠落していたり、バランスがちょっと、そういう言い方をしたら申しわけないですけれども、知財本部というのはほぼ100%企業人で構成されていますので、目が点になるような行動をとられると、「何やっているの、一体」みたいなのがいっぱいありますので、そこで少し企業の方が採りたくなるようなドクターを育てて外に出せればな、なんていうふうに思っています。

    以上です。

  • 中村委員長

    それでは、牧野委員お願いいたします。

  • 牧野委員

    京都大学の牧野です。私は、福井謙一のところで理論化学を学んで、それから今バイオをやっていますので、その間のことは大概理解できると思っています。会社はカネボウという会社で、昔々8年間働いた経験がございます。どうぞよろしくお願いします。

    私どもの大学では、32ページに書いてあるのと同時にiPS細胞、山中先生の研究とか、アステラスと発がんに関する研究、キャノンとのイメージングに対する研究等々やっております。私が今やっておりますのは、国際的にこういうものがどういうふうになっているかというのをやっております。西山委員が先ほどおっしゃいましたように、大学と会社は違うんだということを認識しないとやはりまずいのではないかなというのが、まず思うことです。企業の開発の確率が1,000分の1と言われた時代から、1万分の1ぐらいになっている、あるいはもっとそれ以上になっているわけで、そこに企業はお金を注ぎ込むことが、人材的にも数を放り込むことができない。それを大学というリスクを余り気にしなくて済むようなところに求めているのだろうというふうに思っております。

    その証拠に、海外では、そういう非常に高度なものが今ライセンシングをされている。先ほど60億円の話がありましたが、既に1兆円というのが一発で出ているわけですね。そういうところで日本は大変遅れている。そのためには、笠木先生おっしゃいましたように、やはりいろんなところの整備をしていかないと間に合わないと思います。企業が恐らく効率を求めて研究をされていかれるだろうと思いますが、それでは後ろから来る発展途上国の効率には及ばないわけですから、これは日本の優良企業も含めて8割つぶれると言われているのは、実際、あながちうそではないのではないかなという実感を覚えるわけであります。

    そうするために、例えばどういうことが行われているかというと、海外では、アジアもそうですが、ホールディングカンパニーをつくっている。これによって、大学の言うことを聞かずにやれる。大学は、ホールディングカンパニーが倒産すれば、別に大学に何も害は及ばない、そういうシステムを、いいかどうか知りません。あるいはサイエンスパークは、ヨーロッパ等々でもたくさん出てきておりますが、小規模でディベロッパーによって専門的に戦略的に開発される。これがサイエンスパークであって、官主導型のものは単なる現在のインキュベーションでしかないだろうというふうに思っています。大事なことですが、最後に、要するにそういうことをきちんとしていかないと、日本でベンチャーというのはまず育つことはないだろうというふうに思っています。

    それで、国際化というのは非常に大事で、秋田の国際教養大学というのが、小さいんですが非常に立派な評価を受けておられるというのは、そういうところにあるのではないかなと思っております。国際化をどうやってやるか。

  • 中村委員長

    では、三木委員お願いいたします。

  • 三木委員

    イノベーションと産学連携のことがずっと議論されているんですけれども、有信委員、西山委員、前田委員、牧野委員、皆さんおっしゃられたように、ビジネスセクターとノンビジネスセクターをはっきり分けて考えないといけないと思います。ノンビジネスセクターである大学、それから公設試、いろんな機関がございまして、そういった機関の間のある程度似通った、いわゆるパブリックで税金を投入されて動いているような機関、こういった機関が、今イノベーションがオープンイノベーションと言われるのと同じように、ディシプリンがインターディシプリンになっていく。アカデミムズでもそっちが求められているわけです。それとの関係で見ても、それぞれの機関のところの十分な相互協力関係というのは、私はまだできてないと思っています。

    そういう時期に今あって、さらに、これは提案ですけれども、大学にとっては今非常に大事な時期だと思います。といいますのは、各大学、国立大学法人、高専法人もそうですけれども、第2期の中期目標、中期計画の策定作業に入っている。このときに大学は、将来像も含めて自主的に何らかの方針を決定する時期に入っています。そういうことで考えると、次の科学技術基本計画云々ということを待たずに、今日こういうふうに配付された資料は、全学長、理事、強制的に経済産業省もしくは委員長名でお送りするぐらいのことをしないと。多分、情報が十分に大学では浸透してないと思います。その点が、まず第1点目として私が言いたいことです。

    第2点目は、人材育成のことですけれども、特にテクノイノベーションの話が中心ですけれども、ビジネスにおけるイノベーションというのは必ずしもテクノイノベーションだけではない。そう考えますと、現在の社会科学系の人材育成に関してもかなり問題を私は持っていると思っています。文系とか理系とかいう分け方というのは本来ないはずでして、将来のイノベーション人材ということになると、チームの中の一員になったり、個人であったりして、「受け取る力」、「つくり上げる力」、「変える力」といった大きな3つの要素が大事だと思うんですけれども、そういったことについても、この時期に、大学が次の6年間の教育方針とかを出そうという時期に、やはりしっかり情報を提供することが今大事だろうと思います。

    それから、地域発イノベーション、グローバルなイノベーション、こういったところでも、先ほど言いましたように、各セクター間でまだ十分にはそれぞれの特徴と補完関係とかいろんなことができていないと私は思います。地域発イノベーションというのは非常に大事だと思います。この点は今後の検討課題ということで私の意見とさせていただきます。

    以上です。

  • 中村委員長

    それでは、村上委員お願いいたします。

  • 村上委員

    九州大学の村上でございます。既に多くの委員の方からいい御意見も出ましして、時間もありませんので、私は2~3、事実だけをちょっと申し上げたいと思います。

    固有名詞を申し上げて申しわけないのですが、企業が求める人材ということです。A社は、即戦力を下さいと言います。B社は、そのうちじわじわ力を出してくれればいいと言う。C社は何も言われません。それぐらいの違いがあるということですね。それでは、大学は何をすべきかというと、先ほどの有信委員の御意見、あるいは西山委員の御意見ということが非常に参考になるではないかというふうに思います。

    それから、オーバードクターの問題が谷課長から御紹介ありましたけれども、九州大学で調べてみますと、オーバードクターが出るところは先生が決まっているわけですよね。ですから、具体的に問題の一番根源はどこにあるかということをやっぱりとらえないと、オーバードクターがふえている、ふえているということを言っても、解決につながらないというふうに思います。ですから、学生のインターンシップの話も出ましたけれども、先生のインターンシップも必要ではないかなというふうには思っているわけです。

    それから、設備の利用の話ですけれども、メールでいただいた資料には42ページに、きょうの資料には含まれてないのですが、地域イノベーション拠点としての大学の役割強化というのがございました。これの企業さんから大学に求めている役割、機能等というので一番多かったのは、大学が保有している試験機器や研究設備の利活用というのがございますが、これはなかなか進んでいません。文部科学省も非常に大学にプレッシャーをかけてやっていますけど、進みません。

    この原因はどこにあるかということを分析しない限り、ベンチャーも中小企業も使えないということがあります。文部科学省もいろいろルールをいじったり制度をいじったりするんですが、私たちは10月に九州地区の大学の産学連携の先生方を全部集めて、この問題が提起されました。九州経済産業局の方も同席されておられたので、既に情報は入っているかもしれませんけれども、最近のいろんな競争的資金で、日本もかなり最先端の設備が大学に入って充実してきているのですが、一番の問題はオペレーターの問題です。人をふやせない。人をふやすというのが大変今の国内の状況で難しくなっておりますから、各講座あるいはセンターで機器は有しておりますけれども、そこに入り込んだときに、その人たちが動かないということがあります。ですから、中小企業の方とかベンチャー企業の方が使おうと思っても、そういうところの人が動いてくれない。一番のネックはオペレーターがいないという問題であります。ですから、人がふやせない今の時代、設備は上げるけれども人はふやせないという時代で、これをどう解決するかという問題があるかと思います。

    カナダでは、水素のほうの研究で、4大学に国が最先端の設備を整備して、ベンチャー企業、中小企業がそこを使っていいようにしている、そういう政策をやっていると聞いておりますけれども、そういうことが必要ではないか。一番ネックになっているところはどこかを見つけて解決する、具体的な解決策を出していくのが必要なのではないかというふうに考えております。

    以上でございます。

  • 中村委員長

    それでは、吉川委員お願いします。

  • 吉川委員

    毎日新聞の吉川と申します。2002年から「理系白書」という連載をやっていまして、自分で思うと幅広いテーマをやっていると思っているんですが、この2年、講演を頼まれるテーマというのは、理系人材の育て方、あるいは博士人材の有効活用にはどうするかということばかりです。主に行くのは地方の国立大学の工学部、農学部。そういうところで話をいたしますと、そういうところの方々は、有賀先生のお話にもありましたが、旧帝大系の大学は、大学の外に行くのがドロップアウトだというような傾向がまだ強いうちに、自分のところは学生が修士に上がるとき、博士に上がるとき、企業で働くことも強く念頭に入れて人材を育てたい、そういうのは早目に手をつけたほうが絶対よいのだというような話をして、私みたいなものでもいいから話してくれというように言われることが多いです。

    実際に話をしますと、ただし学生さんは、どこに行けば自分を雇ってくれる企業があるのかというのがわからない、どうしたらいいのかということを聞かれます。その点につきましては、例えば笠木先生が言われた人材データベースの整備などということで、どこの大学に企業に就職する博士課程の人がどのぐらいいるのか、その人のスキルはどういうものなのかというようなことを整備して、一方企業側は、自分はどういう博士だったら採るのかみたいなことを、やはりこれも整備しまして、双方でマッチングを進めていくみたいなことは有効なことではないかと思っています。

    もう1点、女性研究者の活用についてですが、私のいる科学環境部という部は13人の記者がいまして、7人が女性です。うち1人が育休中。私は立場上、彼女たちの上司に当たりますので、彼女たちがどう働けば働きやすいかという環境づくりを考えています。これには自分の生活というのがかなり役立っておりまして、私の妻は大学病院で腎臓内科医をしております。幅広い意味では研究者ですが、彼女がやりやすいように私はいろんなことを分担しています。保育園に子どもを送るのは私の役目なのです。必ず間に合うはずだったのですけれども、まだ2歳なもので、家を出るときにすごく嫌がりまして、今日はちょっと遅れてしまいました。申しわけありません。男性の委員ばかりで女性の委員は少ないのですけれども、私は、そういう意味では女性の立場もかなり代弁して発言していけるのではないかと思っています。よろしくお願いします。

  • 中村委員長

    ということで、ちょうど12時になったのですが、あと5分か10分だけ延長させてください。

    今さまざまな御意見を出していただきました。大学と企業の役割をきちんと明確にした上で、いかにして連携をきちんととるかということが非常に重要であるような気がいたします。

    現時点で事務局のほうから、説明が必要なところがありましたら。

    その前に、局長さんが、どうしてもまた時間の制約がありますので。

  • 鈴木産業技術環境局長

    済みません、ちょうど今税制の季節でございまして、ぐるぐる走り回っておりまして、今日また遅れまして、まことに申しわけございません。また、中座をこれからさせていただきます。申しわけございません。

    本委員会におきまして、これからさまざま御議論賜ることになるわけでございますけれども、その際お願いしたいことを2点だけ申し上げさせていただきたいと思っております。

    1つには、やはり私どもは、せっかく皆様方からいただきました御意見を実施したい、政策として実現したいと考えております。したがいまして、これまでさまざまな施策を講じてまいりました。正直言いまして、私の目から見ても、これは効果がなかったのではないかという施策もございます。やはり長年やってきまして、また効果があれば継続することは大事でございますけれども、ぜひとも効果がなくなっているもの、また、いろいろな経緯だけで続けている政策、これは思い切り整理をしたいと思っておりますので、皆様方からも御意見を賜ればと思っております。

    それから、2番目でございますけれども、ぜひお願いしたいのは、薄く広くという施策もある面では必要かと思いますけれども、私ども今回、とがった施策を次の科学技術基本計画にぶつけていきたいと考えております。とがったと言っては大変語弊がございますけれども、安倍元総理の言葉によれば、出る杭は打たれるのではなくて育てるという言葉がございましたように、とがった施策をぜひとも打っていきたいと思いますので、皆様方からさまざまな御意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

  • 中村委員長

    どうもありがとうございました。

  • 谷大学連携推進課長

    全員の委員の皆様方から貴重な御指摘をいただきましたので、論点に追加させていただくべき点、多々ございますので、次回までの論点整理に反映させていただければと思っています。

    特に西山委員、牧野委員のほうから、国内のみではなくグローバルな観点も含めて国際化の中で、先進国、アジアとの関係で、その視点をより重要に位置づけるべきだというところに関しましては、ぜひこれを盛り込みさせていただきたいと思っております。

    また、有信委員、笠木委員、久村委員、平田委員のほうから、必要な事業については単にポイントでやっているだけではなく、その必要性に応じた量、質を見据えた上で財政論、組織論も議論すべきというところに関しましても、ぜひ貴重な御意見として賜れましたらと思っております。

    また、中谷部長のほうからは、イノベーション創出人材に関しましては、そのステータスが問題であるということで、この辺に関しましては、例えばポスドクのキャリアパスの多様化も含めまして、よい人材が招き入れられるような、私どもとしてもステータスの改善策について考えていきたいと思っております。

    また、宝田委員のほうからも、「1社1博士」に代表されるように、ドクターが必要とされている場に幅広く活用していただくその仕組みづくりについても、考えさせていただけたらと思っております。

    また、三木委員のほうからは、情報提供を広く周知するということでございますので、ここは吉川委員のお力もかりながら、いろんな局面でこの問題を、きょう、あすにでも発信できるようにしていきたいというふうに思っています。

    また、村上委員のほうからは、大学の設備の利活用というところに関しましては、論点から落ちておりましたので、ここはもう1度データを整理し直させていただいて、その論点に盛り込ませていただければと思っています。

    以上、簡単ではございますが、論点の追加事項でございます。

  • 中村委員長

    どうしても御発言ございますか。

    ないようでありますので、それでは、どうもありがとうございました。

    以上をもちまして、第8回の産学連携推進小委員会を閉会といたします。本日は、御多忙の中、御出席を賜り、どうもありがとうございました。次回からもぜひよろしくお願い申し上げます。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月7日
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