経済産業省
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産業構造審議会 環境部会地球環境小委員会(第3回)-議事要旨

日時:平成13年5月30日(水曜日)14時00分~16時00分
場所:ホテルニューオータニ 麗の間(本館地下1階)

出席者

茅委員長、石谷委員、秋元委員、大國委員、海部代理(太田委員)、岡部委員、小宮山委員、河野委員、坂本委員、竹居委員、千速委員、飯塚代理(中澤委員)、宗内代理(中西委員)、新澤委員、福田代理(西室委員)、福川委員、藤村委員、松井委員、松尾委員、安原委員、山本委員、鷲尾委員

議題

  1. 最近の国際情勢について
  2. 地球温暖化対策に関する産業界への支援策について
  3. 排出量取引について
  4. 京都メカニズムについて

議事概要

委員からの発言、意見の概要は以下の通り。

1. 最近の国際情勢について

  • 米国の状況も含め情報が偏っているのではないか。ブッシュ政権のスタッフは温暖化問題よりも人口、食料、貧困対策を優先していると聞いている。またサウジのように米国をサポートしている国もある。日本は6%削減を達成可能であるかの如き前提で米国の参加を求めているが、シンクや排出量取引など国際ルールが不透明な中では、我が国自身の目標達成も困難なはず。COP3やCOP6の議論も踏まえ、交渉の姿勢について国内で事前に十分議論し、体制を整えることが必要。(岡部)
  • 温暖化問題は、地球規模で取り組むべき課題であり、日米欧が手を取り合うべきだが、一方で産業の国際競争力についても真剣に考えるべき。海外のある試算によれば我が国の国際競争力は26位とのこと。2010年や2020年といった長期のスパンで国際競争力について真剣に考える必要がある。その際は、公平でコストミニマムとなる対策を打ち出すべき。(坂本)
  • プロンクCOP6議長が提示したという5つの要素については、これらが満たされれば京都スピリッツが守られるという意味で言っていると受け取るべきなのか。ただ、このラインだと、非常に大きな見直しが必要となる可能性もあり、議長として無責任ではという気もする。
    米国の戦略は、過去の国際連盟等の対応も念頭に置くと、覇権主義的であり、大きな戦略を描いているのではないか。途上国参加という主張の裏に中国の存在が強くあるのであれば、今回の決定は簡単に覆されるものではないと考えられる。米国に呼びかけを続けていくのは当然であるが、同時に何が現時点で実現可能なのかを探る準備を陰でやるべき時期に来ている気もする。米国の考えを変えようとするのであれば、議会か大統領に働きかける必要がある。大統領自身の意思が固い中、議会を動かしていこうとすれば、各州レベルへの働きかけをNPO等も巻き込んで草の根で進めていくなど、総合的な戦略を描く必要がある。(福川)
  • 地球温暖化対策に関する日本の国益を考える必要がある。地球温暖化対策には、(1)廃棄物対策のように、地球温暖化問題がなくても対応が必要なものであるが地球温暖化にも資する取組、(2)地球温暖化対策であるが、日本の産業競争力の向上につながり得る取組、(3)地球温暖化対策であって、ややもすると日本の産業競争力にもマイナスの影響を与えかねない取組、の3つのレベルがある。
    廃棄物対策は、地球温暖化対策の観点からも重要。例えば、紙や木くずは、ただ埋めると将来的にメタンになってしまう。分別の徹底等を進めることは、地球温暖化対策に資する。 家電や自動車の省エネは国益になりうる。一方で、製造業の省エネはこれ以上全くできないということではないが、日本がこれだけ省エネを進めているのに、他国が日本の1970年代レベルにあるという状況下では、より一層の対策というのは非常に厳しい。もう一度原点に戻り、対策の順位を考えるべき。(小宮山)
  • CO2排出量全体の1/4を占める米国が参加しない地球温暖化対策はあり得ない。地球温暖化対策は、エネルギー問題であり、産業の国際競争力そのものに関わる問題であるので、慎重に対応すべき。(山本) 
  • 地球温暖化対策は、国際競争力に係わる問題であり、国益に絡むもの。長期的に対応すべきものであり、各国がマイナスの方向で公平な対応を図るという議論をすべきではない。一方で、全ての国が公平に参加することが重要。短期的には難しいかもしれないが、米国の世論を動かしていくことが重要。
    先般開催されたOECDの労使諮問会議では、米国の労組はブッシュの地球温暖化対策への姿勢は問題だと言っていた。米国の世論にもいろいろなものがある。
    OECDのBIAC等も巻き込んで発展途上国を含めた総合的な議論が必要。(鷲尾)
  • 米国抜きの批准は意味がない。今後の交渉において、米国が京都議定書に戻るよう要請する決議を行うなどの積極的な姿勢が必要。(千速)
  • 今後の交渉に望む上では、米国が持つ重要な役割を見失うべきではない。最大のCO2排出国である米国が抜けるとなると、将来的に途上国も参加しないおそれが高まる。日本にとって、国際競争力、国益という観点が重要であるというのは御指摘の通り。
    また、現在の日・米・欧・途上国の関係は、現在大きくクローズアップされているが、気候変動枠組条約、COP3の時も同様の構図であった。
    米国のスタンスについては、非常に固いことが日を追って明らかになってきた部分もあるが、一方で米国の議会、産業界でも様々な意見があるのも事実であり、多面的な働きかけをして参りたい。(事務局)

2. 地球温暖化対策に関する産業界への支援策について
3. 排出量取引について
4. 京都メカニズムについて

  • 省エネルギー・新エネルギーへの支援策については、誰が負担するのか、どの部分がインセンティブになるのか明確にして欲しい。ノー・リグレットの取組を優先すべき。自主的な排出量取引については、そもそも目標の妥当性について検討すべき。また、努力目標としてならば原単位目標もあり得るが、原単位目標は物事を複雑にするということを念頭に置くべき。最終的な目標は総量目標とすべき。(石谷)
  • 廃棄物対策は重要。国でもRDF等の取組を急いでいるとは思うが、進捗動向が遅い。もう少し後押しをして欲しい。
    排出量取引制度は、自主的枠組とはいっても、制度の枠組みを国が作るのであれば、結局規制的、統制的制度になるのではないか。各事業者が相当程度省エネを進めている中での国内排出量取引制度の導入は、公平性確保が大変困難なのではないか。一方、国際的な排出量取引については、当然検討していくべき。シンク、原子力の問題等についても、対象に含まれるよう交渉を進めて欲しい。(大國)
  • 国際交渉の動向は不透明ではあるが、京都メカニズムという仕組みは将来的にも残っていくだろうということを考えると、自主的な排出量取引について検討するというのは大変良いこと。
    排出量取引制度は産業部門のみに枠がはめられるので不公平という議論があるが、上流部門を対象とすれば民生、運輸部門も間接的に対象とできる。
    原単位の改善だけを繰り返すのは経済的に非効率。イギリスは、原単位部門と総量目標部門を併存させているが、これは産業界との調整が困難を極めた結果の妥協の産物。そもそも、総量目標を設定している京都議定書を前提とした取組としては奇異。
    モノの売買には法的な保証が必要。目標を守るという前提がなければ排出権の価値は生じない。その意味で業界単位というのは実施可能性に疑問。(新澤) 
  • 我が国は省エネ技術が進んでいるが、今後省エネの基準を作っていく上で、どの分野で、どの省エネ技術について、どのくらいのコストがかかるのかという点について整理することが重要。効率的なエネルギーの活用プロセスについて、産業、民生、運輸の部門を超えた、広い視野での検討を進めていくべき。欧米のスタンスは最近変化が見える。欧州は、これまで税による対応をしてきたが、最近排出量取引に目を向けてきた。米国は、排出量取引を重視していたが、技術による対策にシフトしてきた。こうした中、我が国は省エネ技術の導入・普及で米国や欧州より進んでおり、その強みを活かすべき。CDM事業等は国益として得る所の多い分野ではないか。(松井)
  • 今般、あらゆる可能性の選択肢が示されたことは有意義。頭から何で何%削減と決めつけてかかるのではなく、最も安価に目標を達成できる可能性を産業界、政府が一体となって追求していくべき。自主行動計画のみの対応では、限界費用が高くなる懸念があるので、排出量取引がうまく活用できれば安価にすることも可能になるという意味で、排出量取引について検討すべき。
    米国は京都議定書の枠組みを達成不可能と考えており、それを達成可能なルールに変えようと考えているのではないか。米国の提案の仕方次第では、国際的枠組みは変わり得る余地がある。日本では京都議定書の目標は達成不可能というのは言いにくいとは思うが、できると言っておいて結果的にできなかった、というのはアンフェア。どんな手段を使ってでも京都議定書の目標を達成すべきなのか、真摯かつフレキシブルに議論してほしい。(坂本)
  • 産構審と別途検討中の総合資源エネルギー調査会との連携に配慮すべき。 新エネルギーの太陽光発電など、今のままでは普及に限界がある。利用者への支援だけではなく、発電事業者が自発的に取り組めるような対策に転換すべき。
    排出量取引制度について、よく整理いただき評価したい。これに関しては、当面自主的枠組を基本としながらも、必要に応じて更なる強制措置の導入も視野に入れた段階的アプローチとすべき。取引単位については、実際に削減努力をするのは個別企業の問題。業界単位としてインセンティブが働くのか。目標も総量目標とすべき。(安原)
  • 自主的な枠組みというが、これで自主性を確保できるのか疑問。目標設定となれば、強制的な側面がでてくるのではないか。目標設定に関して言えば、企業の製品やシステムは常に変化するのだから、これに柔軟に対応できる仕組みとすることが必要であり、自主行動計画による現行の枠組みがベストだと思う。
    排出量取引については、今後の選択肢の1つとして、自主行動計画を補完する形で活用することは検討に値する。但し、国内排出量取引では排出削減の余地が少ないので、国際間の排出量取引も条件に加えるべき。(福田)
  • 今回提示された排出量取引は、なかなか難しいという印象。今後どういったスケジュールで検討していくのか。 CDMや共同実施に、原子力が含まれるよう努力して頂きたい。
    先般総合エネ庁において燃料転換を促進するための税制が案として提示されたところだが、これは導入することを決定しているというのではなく、京都議定書の目標達成がいかに難しいかということを表すものと理解している。(海部)
  • 国際ルールが成立し、CDMやシンク等が整備され、途上国より安価に排出削減クレジットが獲得できるようになった上で、こうした国内対策の議論を行うべき。安易に国内対策先行型の議論をするのは適当でない。(太田)
  • 漸く自主的排出量取引が議論の俎上に乗ったという印象。統制的であると入口で嫌悪感を持つ人もいる中で、一刀両断に結論を出すのではなく、しっかり検討をすべき。例えば別のWGを設立して技術論を詰め、その上で導入の是非について判断すべき。(河野) 
  • 排出量取引については、硬直的な仕組みを導入すると進化が停滞してしまう。
    また、本当に公平な枠組みとなるのか疑問。遅れて参加した者が得をしないような仕組みとすることが必要。これは経済競争政策であり、諸外国は日本に色々な枠組みで足枷をはめようとしているのが目に見えている。日本の省エネ・環境技術は進んでいるのだから、CDMやシンクといった仕組みが組み込まれたシステムとして欲しい。また、原子力についても、これを押さえ込むのは欧州のエゴであり、積極的に評価すべき。(秋元)
  • 環境、特に地球温暖化問題は21世紀の鍵であり、長期的に考えるべき問題。産業界が懸念するのは当然だが、旗は降ろすべきではない。日本は省エネを進めており、今後も進むであろうが、進めるに当たっては我が国の国益に適うものから順に取り組んでいくべき。
    21世紀環境が本流であると考えている欧州に引っ張られて、米国も近い将来態度を豹変させると思う。現状のブッシュ政権の行動に拙速に対応すべきではない。(小宮山)
  • 国際的に縮小している業種や、競争に敗れた企業は排出量取引に参加できるのか。公平性の確保が重要。我々も引き続き勉強するが、是非とも柔軟性を保てるしくみとなるよう御願いしたい。(山本)
  • 総合資源エネルギー調査会は6月に概ね方向性が出るが、この小委員会はそれを受けて更に検討を行う。整合性には配慮。(茅小委員長)
  • 今回提示した自主的な排出量取引は、自主行動計画に基づく対策を柔軟なものにするためのものであって、統制的なものではない。(茅小委員長)
  • 排出量取引については、柔軟性が必要というのが大きなメッセージだったと思う。削減目標の妥当性について議論があったが、排出量取引は手段であるので、この検討を進めていく結果目標まで変更するというのはいかがなものか。社会的公約である自主行動計画目標で取引がどれだけ起こるのかは不透明だが、日本独自のスタイルとして定着する可能性もあるかもしれない。また、国際的な視野で幅広い選択肢を模索することは重要であり、原子力、シンク等についても日本の主張が受け入れられるよう努力したい。税制については、多くの諸外国でインセンティブに絡めているが、そもそも税制自体導入すべきかについて、議論があり得る。
    支援措置については、政府、民間の役割分担が重要であり、特に民間活力の活用という視点は重要。
    いずれ必要となれば、強制的な対策も必要かもしれない。段階的なアプローチが重要。どういった分野でどういったエネルギーが消費されているかについては、なかなか検討するのは困難を伴うが、技術等でブレークスルーすべき。(事務局)
  • 次回は、7月上旬に開催予定。(茅小委員長)

以上

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