経済産業省
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産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会(第5回)-議事要旨

日時:平成13年9月17日(月曜日)13時30分~15時30分
場所:虎ノ門パストラル新館1階鳳凰西の間

出席者

茅委員長、山下代理(秋元委員)、栗原代理(植松委員)、大國委員、角田委員、河野委員、坂本委員、弘津代理(千速委員)、飯塚代理(中澤委員)、鳥居代理(中西委員)、新澤委員、福田代理(西室委員)、福川委員、長藤代理(藤村委員)、松尾委員、光川委員、海部代理(南委員)、安原委員、山本委員、米本委員、高橋代理(鷲尾委員)

議題

  1. 最近の国際交渉の動向について
  2. 地球温暖化対策と我が国経済への影響
  3. 経済産業省における地球温暖化対策
  4. 「中間整理」取りまとめに向けた主要論点
  5. 産業構造審議会 産業技術分科会 研究開発小委員会革新的温暖化対策技術ワーキング・グループ中間報告について

議事概要

【委員からの発言、意見等】
  • COP6再開会合での政府の努力に敬意。一方、約束期間リザーブ制度が適正な排出 量取引の妨害となることは考えられないか。また、COP7で、CDM及び共同実施における原子力利用の差し控えは巻き返しができないのか。(海部代理)
  • 本小委員会として、米国抜きの京都議定書批准をどのように考えていくか、十分議論すべき。米国抜きの京都議定書批准は、米国に温室効果ガス排出削減コストを負わせない一方、省エネが進んでいる日本へは更なる負担が求められる。また京都議定書は、そもそもEUの削減目標の達成が容易な枠組みとなっている。このように、米国抜きの批准は、平等な競争を阻害する可能性があり、このような経済への影響を十分評価していく必要がある。(坂本委員)
  • 米国の中も一枚岩ではなく、また、米国の政情は中間選挙を控え変化している。米国抜きでの合意が、これまで歩調をそろえ交渉を行ってきた日本にとって、外交政策上よい選択肢なのかという点も疑問。米国抜きの合意が今後の米国の政策の選択にどのような影響を与えるかも議論すべきではないか。(坂本委員)
  • テロの影響もあり、米国がCOP7までに代替案を出すとは考えにくい。一方、米国では一国主義への反省も出てくる可能性がある。よって、COP7においては、米国の道を空けておき余裕のある外交ポジションをとる方が賢明である。(河野委員)
  • 世界が協力して温室効果ガスの排出を削減するのが中長期的な目標である。よって、そのための国際的な枠組みを作ることがまず必要である。GDP当たりの二酸化炭素排出は、日本に比べ、米国は3倍、EUは2倍、中国は28倍であり、日本における▲6%の排出削減は諸外国と比較し大変なコストを強いられることが予想される。よって、遮二無二京都議定書の批准を行うことは将来に禍根を残すことになると考えられる。(山本委員)
  • 政府と民間の役割分担が不明確ではないか。(山本委員)
  • 産業界はこれまでも自主行動計画を策定し、積極的に取り組んでいる。更に対策を強化するのであれば、経済活動を縮小させなければならない。温暖化対策は、まず、最大の排出国である米国を含め、EU、ロシア、日本が取り組み、将来的には、中国、インド等を巻き込まなければ温暖化問題は解決しない。(山本委員)
  • 産業活動にはエネルギーが不可欠であるが、日本のエネルギーコストは現状でも非常に高い。これに更に環境税まで追い打ちをかけるようなことが起これば、産業活動がさらに低迷し、雇用にも大きな影響が現れると考えられる。このような状況を踏まえて国際交渉に臨んでほしい。(山本委員)
  • 米国抜きでは、実効性のない温暖化対策の枠組みができあがってしまう。米国に対し、ヨーロッパが作った枠組みを押しつけるばかりではなく、米国が具体的に何を問題とし、何を解決すれば米国が乗ってこれるのかについて検討を行い、米国を引き込む具体的な努力をすることが必要。(弘津代理)
  • 京都議定書を批准した後に、法的強制力を議論することになっていると聞いている。しかし、京都議定書の削減目標を守れるのかという議論を棚上げにしたまま、批准の議論を進めていくのは疑問である。また、日本が一番削減コストがかかると言われているが、そのようなことは考慮されず、義務の議論のみが進んでいる。京都メカニズムの活用可能性につき十分な議論が必要。英国では排出量取引が行われつつあるが、業界の義務のレベルが、日本の産業界が達成している熱効率に比べどちらが高いのか大変疑問に思っている。英国は日本より悪い熱効率しか達成していないとしても排出量を売却できるが、日本は追加的な 対策がとれず熱効率の悪い国から排出量を購入しなければならない事態も予想され、このような事態になると、地球温暖化防止とは逆の方向に寄与するのではないかと危惧している。そのよう制度を設計してもよいのか疑問である。このような問題は貿易財では特に顕著である。このような問題をもっと明らかにすべきである。国際標準の取組 は必要であるが、効率の悪い生産行程が促進されるのは問題である。鉄鋼を例に取ると、ロシアが西側に対する輸出を4000万トン増やしたが、この鉄鋼は、大変古い設備で生産されており、生産能力にはまだ余裕があるため、もし先進諸国に厳しい温室効果ガス排出削減義務がかかればこのような古い設備が動き出すことになる。このような状 況では、日本の温室効果ガス排出削減量が達成されても、地球環境にはむしろ悪影響を与えることになる。(弘津代理)
  • 地球温暖化問題は2010年以降も続くものである。中国の温室効果ガスが問題となる将来の時点で、日本には既に打つ手が無くなっているということがないよう、皆が同じコストのレベルで取り組めるよう、国際交渉の場で主張すべきである。(大國委員)
  • 京都議定書をベースに、いかに各界の納得を得られるか難しい局面。米国はどのような条件を満たせば乗ってくるのか、よく考えて対応すべき。民間では、長期のスパンで考えていきたいとの意向があると見受けられるが。(福川委員)
  • 京都メカニズムについては、具体的な制度ができてからではなく、どのようなメカニズムになるのか想定して今の段階から対策を十分検討しておく必要がある。(福川委員)
  • 産業の海外移転が進み、貿易収支も悪くなっており、日本のものづくりの将来を危惧している。京都議定書が経済に与える影響を十分検討していく必要がある。その上で、最適の方策を考えていくべき。(福川委員)
【茅委員長回答】
  • 京都議定書の目標達成が非常に困難だということは周知の事実。一方、関係審議会合同会議の答申をベースに、政府の温暖化対策推進本部がCOP3の合意をできるだけ早い時期に実施するという方針を打ち出している。米国に関連する対応について、この審議会としてどうするのかご指摘については、事務局とも打ち合わせる。
【事務局回答】
  • 政府としても米国の参加が極めて重要と考えており、引き続き最大限取り組んでいきたい。
  • 政権としての準備ができていない、国内外の批判を消化できていない等により米国は方針が打ち出せていないが、代替案を出すならタイミングが重要であると言い続けている。
  • どのような条件が満たされれば米国が参加できるのかについては、米国内でも引き続き検討中と聞いている。
  • 各国の削減措置の内容は、京都メカニズムやシンクに関する国際交渉に左右されるところが大きいが、COPにおける作業はかなりのところまで進んでいる。
  • 約束期間リザーブについては、初期割当の90%以上の留保か、あるいは、直近年の5倍の留保が求められており、あまり大きな制約にはならないものと見られている。
  • CDM及び共同実施における原子力の差し控えについては、ボン合意が成立しており、仕切り直しは困難である。但し、本合意はあくまでCDM及びJIについてであり、国内での原子力利用は引き続き極めて重要と考えている。
  • 我が国における削減措置のあり方に関しては、次の議題に関連するのでそちらでお答えしたい。
【委員からの発言、意見】
  • 米国に案を出せというのは無い物ねだりではないか。総理が渡米したときにも一緒にやっていこうと言われたと報道されている。その後の日本がそのとおりに行動しているかということを米国は見ていると思われる。今後の選択として、米国に案を出せと言うのではなく、米国が参加しないから、この枠組みに入るつもりはない旨明らかにすることが、残された交渉のレバレッジではないかと思われる。対応をよく考えるべき。(坂本委員)
【事務局回答】
  • 政府の公式見解として、全ての国が一つのルールの下に行動することを目指す点は変わっていない。引き続き、最大限の努力をしていきたい。
【委員からの発言、意見】
  • 石炭火力からLNGへの燃料転換については、従来の国内政策との関係上、直ちに実現することは困難な所がある。具体的な取り扱いについては、今後十分に調整させてほしい。(海部代理)
  • 海外との排出量取引のルールについては、実行性が担保されるようにしてほしい。国内の排出量取引については、強制的な割当はコストの問題もあり困難であると考えている。規制ではなく、自主的な取組の延長線の中で考えてほしい。(海部代理)
  • 原子力の活用については、利用率の向上によって貢献していきたいと考えている。(海部代理)
  • 自主行動計画を基本とすべき。また、今後の対策としては、技術開発が鍵となると思われる。目標達成と支援措置を絡めるのではなく、技術開発そのものを積極的にやるべきである。第2段階の取組としては、京都メカニズムをいかに上手に作るかが日本にとっての最大のポイントである。このような点について民間の意見を聞いていただくことが重要である。国内対策では、どのようなセクターがどのような責任を負うのか明確になっていない。例えば、原子力は国内で13基必要であると言われているが、これがうまくいかない場合の責任の所在が不明確である。それにもかかわらず、民間に新たな義務をかけるような方向ばかりの議論になるのは問題。(弘津代理)
  • モデル計算が様々なところで行われているが、産業構造や消費者の行動がわからないにも関わらず、産業に枠を決めて義務をかけることがどのような意味を持つのかについて十分な議論がなされていないのではないのか。欧州のように緩やかな目標であれば、このような手法もあり得ると思うが、我が国は温暖化対策としてぎりぎりの取組を行っている上に更に最大限の努力を行わなければならない。規制等をかけることの経済的な影響は十分考えてもらう必要がある。民生・運輸の排出量がのびると製造業に負担がかかるのではないかと危惧されるが、そのようなことになるとますます空洞化が進む。このような議論抜きに、方法論ばかりが議論されているのではないか。第2段階の前に実施すべきことがあるのではないか。(弘津代理)
  • 共同実施活動について調べたが、今のところ外交上の柔軟性措置として案出されただけのレベルと思われる。日本として過大に期待するのはつじつまが合わなくなる可能性があるのではないか。共同実施では条約事務局に削減量が通報されるが、プロジェクト実施後実際に削減目標が担保されるのかは不透明。十分レビューする必要がある。欧州で行っているのは、旧東欧圏に対する省エネの支援活動の付け替えである。成果としてやりやすい部分を行っている。日本がアジア地域でCDMを実施するときは、もともと右肩上がりになっているベースラインからどの程度削減できるか論証しなければならない。本格的に日本は勉強しなければならない。(米本委員)
  • 地球温暖化問題は国民の間でも関心が高い。排出実績等を国民に広く知らせ、次に何を国民がすればよいのか、国民に課されるべき負担とは何なのか、国民の更なる努力というものについても具体的に議論のテーブルに載せていかなければならない。(角田委員)
  • 2002年に京都議定書を発効させるというのが国際的な流れである。日本においても批准することを考えて、逆算すると、時間はあまりない。是非COP7に向けて仕上げをしていただいて、国際合意が得られるようこれから数ヶ月の努力をお願いしたい。どのような対策が必要であるか、すでに積み上げがなされてきている。年内にまとまることが期待される。段階的な取組とあるが、第1に合わせて、第2、第3も合わせて議論をすべきではないか。メニューにあげられている全ての施策を検討すべき。(安原委員)
  • 第2段階の取組というのをCOP7での合意を前提に、検討すべき段階にきていると考えている。労働組合としては、雇用に配慮した、持続可能な発展が成し遂げられる環境対策を期待したい。現在の地球温暖化の状況を省みると、京都議定書については、より踏み込んだ具体的な対策が必要な段階にきていると考えている。京都議定書については、我が国政府が議長となって取りまとめたという重みがあると思う。そのような意味で、京都議定書の中身については異論はあると思うが、10年の歳月をかけて、最後は我が国政府がまとめたという重みを踏まえて対応すべき。産業界と労働界のパートナーシップを守った形での環境対策というのが世界的に行われている。産業界と労働界のパートナーシップの重要性についてもフォローしていただきたいと考えている。民生・運輸の対策が進んでいないことに鑑み、国民意識の変革が重要だと考えており、労働組合としては、環境委員会等を作り、労使のパートナーシップを大切にして、LCAの観点に立った製品の製造等に取り組んでいきたい。一方、温暖化問題の重要性に鑑み、ライフスタイルの見直しフォーラムを昨年実施した。本年も企画している。産業界からも是非このフォーラムに参加してほしいと考えている。将来的には、国民運動としてライフスタイルの見直しに取り組んでいきたい。(高橋代理)
  • 事務局で用意した資料として特に意味があるのは、経済への影響を客観的に把握して、今後の検討を進めていこうとしている点である。信条的、理念的に議論を進めるばかりでは不十分。EUですらきちんと考えて論理を展開している。米国が抜けると言っているのは、きわめて当たり前のことを言っているにすぎない。理念先行型では最後に躓く。今回、これだけは認識しておくべきだという項目として、経済への影響についての検討が提案されている訳であり、このような議論がなければ意味のある議論は出来ない。(河野委員)
  • 対策を検討する際は、必ず選択肢を様々に並べて議論すべきであり、決め打ちは避けなければならない。幅広いoptionを提示してもらって議論すべき。(河野委員)
  • CDMが使いやすい制度になるのかは、国際機関のプロジェクト審査にかかっていると思われる。また、ホスト国がどのように評価するのかについての筋道も必要である。排出量取引を国際間で行う際に、実施した主体がどのような形で参加できるのか関心がある。是非議論していただきたい。(山下代理)
  • 米抜き批准については疑問。国益とは何かを考えて、冷静にもう一度議論すべきである。(坂本委員)
【茅委員長回答】
  • 坂本委員の御指摘の趣旨は理解しているので、今後事務局とも相談して方針を決めたい。
【事務局回答】
  • 燃料転換についての調整は、総合資源エネルギー調査会、資源エネルギー庁と十分な調整をとりたい。
  • 京都メカニズムについては相談窓口を設置し、実務担当者から産業界の意見を伺いたいと考えている。
  • 原子力は、国内対策として引き続き重要であると考えている。安全性に万全を期して進めていきたい。
  • 技術開発が重要であるというのはご指摘のとおりである。
  • 第2段階の検討は早いという指摘があったが、温暖化問題が経済問題であるという認識を国民に持っていただきたい。その上で、国がどのような選択をとるべきかを十分議論していただきたいと考えている。その際に、削減のためにはどのようなコストがかかるのか等、正確な情報を提供したうえで色々な対策について検討していただきたい。
  •  CDMについては、人材育成等も来年度から行うべく予算要求しているところ。
  • 年内に対策をまとめるべきと言う指摘があったが、まずは国際合意が大切である。また、米国の動向も注視すべきである。このような動きを見た上で、国内対策の選択を行うことになる。ただし、検討のメニューについては、今からでも積極的に議論をしていただきたい。
  • 対策の検討の際は、できるだけ選択肢を出すようにという指摘を受けたが、今後のまとめ方の中で検討させていただきたい。
  • CDMを使いやすいようにして欲しいという依頼があったが、先ほど紹介した京都メカニズムの相談窓口を設置するので、そこで受け付けたい。
【茅委員長】
  • 次回は中間整理の案を議論したい。
【事務局】
  • 次回は10月上旬を考えている。

以上

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