経済産業省
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産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会(第30回)-議事要旨

日時:平成18年6月29日(木曜日)15時00分~17時00分
場所:経団連会館11階国際会議場

出席委員

茅委員長、秋元委員、石谷委員、佐藤代理(植松委員)、佐々木代理(逢見委員)、角田委員、勝俣委員、 潮田代理(菊池委員)、黒田委員、神津委員、河野委員、二瓶代理(鈴木(正)委員)、添谷委員、内藤委員、大野代理(名尾委員)、南學委員、福川委員、中田代理(千葉委員)、馬田委員、片岡委員、山口委員、鮫島委員、吉田委員、米本委員、山浦代理(渡委員)

議事概要

(1)京都議定書目標達成計画の進捗状況の点検

  • 今回の温室効果ガス排出に関する分析結果では、業務・旅客・家庭部門が良くないという結果になっており、非常に残念。消費者も色々と学習して温暖化問題には取り組んでいるところだが、これからも一層の取組を進めていかなければならないと感じている。
  • 温暖化問題は、理念と実利が揃っていないと話が進まない。今回の結果では、民生・運輸部門が落第となってしまうが、企業サイドは環境への取組が企業イメージにもつながり、省エネ対策などの実績を上げることで利益も出ることから、取組が理念と繋げやすい。一方で、家庭は、企業のようにはいかないのが現実。昨今の原油価格の高騰でも化石燃料の消費が落ちなかったが、家庭部門には性急に税をかけたり行政指導をするといったことで対策が進むものではなく、結局、長い時間をかけて取組を進めていくしかない。そして、不足分はCDMなどで補っていくということだろう。
  • 温暖化問題の鍵を握るのは、原子力稼働率が低下をどうするかにある。電力会社は自力で稼働率向上を図ろうとしているが、稼働率が80~90%で回れば利益が十分生まれるので、2~3年はかかるかもしれないが、稼働率向上は実現するのではないかと見ている。
  • 運輸部門では、温室効果ガスの排出量を2.5億万t-CO2にすることを目標としており、現在、1,200万t-CO2が不足しており、対策の効果が発揮されれば、あともう少しで目標が達成できるかどうかというところにある。
  • 効果が大きい対策は、乗用車のトップランナー基準の導入であり、この対策は順調に進んでいる。今回の資料では出てこないが2005年度の走行距離も伸びが頭打ちになっており、新車のエネルギー効果改善の累積的な効果が出てくると考えられる。業界でも、残りの1,200万t-CO2を達成できるかどうか、対策効果などから分析を進めているところである。
(事務局)
  • GDPとCO2排出量の関係は、2000年を過ぎてから傾向が変わってきており、日本の産業構造等の体質がどのように変わって、GDPとCO2排出量の関係に影響しているかをきめ細かく見ないといけないと考えている。例えば、業務部門ではCO2排出量が、ホテル・旅館や劇場・映画館で大幅に増えているが、細かく、どのように構造が変わっているかを見ていくことが必要。
  • 京都メカニズムは、今後、民間企業も不足分を補うため多用されることが予想される。鉄鋼業界も団体として京都メカニズムの活用を考えているが、クレジットの価格が高騰するのではないかという点が危惧される。民間と国の間でも不足分等を相互融通できるような制度も検討していくべきではないか。
  • 電力業界では、kWh当たりのCO2排出量原単位を1990年度比で20%改善するよう努力をしていきたい。原子力発電の稼働率が鍵を握るが、原子力自体の安全・品質の向上を図ると共に、定期修理期間に関する規制の問題も考える必要がある。まず、電力業界が自主的努力で原子力に関する信頼と安心を取り戻し、その後、規制をどのようにしていくかということが鍵だと考えている。
  • 昨今、石炭の問題が取り上げられることが多く、悪者にされている。石炭なしでのエネルギーセキュリティはあり得ず、現在の石炭が悪者という議論は、将来のエネルギーセキュリティに禍根を残すことになるのではないかと危惧している。石炭の位置づけをきっちりと整理した上で、CO2排出の問題との関係を考えるべきである。
  • また、電力業界としての要望としては、CDM/JIに民間も積極的に取組ができるよう、使いやすい制度となるよう、国が力を入れて欲しい。
  • 民生・運輸部門に課題があることがわかったが、企業以外の部分での対策はなかなか難しい。その点を踏まえて、日本が温暖化対策にどのように取り組むかという心づもりを持っている必要がある。具体的には、目標達成をどんなにコストがかかってもやるのかというと、そういうことではなく、経済政策やエネルギーセキュリティなど他の重要な問題と併せて、総合的に見て判断しなければならない。
  • 国際的な場面でも、温暖化問題以外にも貧困対策などが重要な課題としてあるが、それらの問題との兼ね合いで、温暖化対策を効率的に講じていくことが必要であり、限りある資源を有効に活用することを考えなければならない。
  • 温暖化問題は、少子化問題と同様で即効性のある手だてがなく、お金をかければ解決するわけではなく、積み重ねが必要となってくる。積み重ねていって効果がみえないからといって取組を止めてしまうと元も子もなくなるので、取組は地道に進めていかなければならない。
  • 自動車については、最近、軽自動車のセンスが非常に良くなってきており、軽自動車の普及が進めば良いと思うが、回りの人に聞くと、軽自動車の黄色ナンバーが嫌だという人が結構いる。そういった規制を変えることでも、案外と簡単に普及が進められるのではないかという気がする。
  • CO2排出量の増加で、ホテル・旅館、劇場・映画館で増えているという結果が示されていたが、ホテルや劇場に行ったときくらいは涼しく快適な時間を過ごしたいという気持ちがあるからではないかという印象をもった。データをよく見ると、人の思いや嗜好が表れていることがわかる。
(事務局)
  • GDPとCO2排出の間にどのような関係があるのかをしっかりと分析をして、2007年度の見直しに向けて反映させられるようにしたい。また、ホテルや劇場などでのCO2排出が増えているといったように、細かく業種などを見ていって対策を検討するようにしたい。
  • 京都メカニズムのクレジット価格については、上がることもあり得るかもしれないが、国としてやるべき事は、供給サイドを増やすことにあると考えている。CDMのルールが省エネ対策について厳しいといったこともあり、国際ルールを良くして、幅広く対策が認められるようにするといったことや、2国間での協力体制を構築するといったことで、供給サイドを増やすように努めたい。
(事務局)
  • 原子力の稼働率改善は、目標達成計画に掲げられているとおり、政府としても対応を進めていきたい。
  • 石炭火力については、エネルギーセキュリティの観点から、ベストミックスを考えていかなければならないことは重要である。業務や家計部門の排出量変化は電力部門の動向に大きく連動しているため、電力のCO2排出係数の改善への取組に期待している。
(事務局)
  • 景気回復やエネルギー問題、環境問題といった各種政策のバランスが重要であり、政策目標を安いコストで達成することが課題。
  • 石炭の問題については、国内だけで解を見つけるのは難しく、議論を広げて国際的に考えていくことが必要。

(2)最近の国際動向について

  • 国際戦略として大切なのは、新しいコンセプトを売り込んでいくことである。日本は、その点、プレゼンが下手であり、もっと日本の努力を世界に発信していくべき。日本は、もっと腰を据えて国際交渉のポジションに沿った国内政策を考える必要がある。
  • また、G8やアジア太平洋パートナーシップ(APP)の成果を、2008年のG8日本サミットの成果につなげていくということは大変重要なことであるが、日本がコントロールするという戦略が必要。この戦略を視野にいれたコンセプト作りが大事。
  • 国連の枠組みに中国が入らないのは実利が無いから。一方、APPでセクター別の取組をするということは、中国にとっても実利があるから話に乗ってきている。中国、インドといった国を取り込むためには実利がなければ物事は進まない。国連における地球温暖対策の取組の話は、聞く度にその実効性に悲観的になる。他方で、APPのような国連以外の別のアプローチが、10~15年後になって有効だったと評価される可能性はあり、実利で動かせるので、温暖化対策に大きな突破口を開けるかもしれない。
  • APPがうまくいっているのは、気候変動問題だけに限定していないため。国連における日本の交渉ポジションに賛成であり、サポートしていきたい。この国際交渉においては、交渉ポジションがぶれないことが重要。
  • 温室効果ガスは長期的にはグローバルに減らしていく必要があり、そのためには技術移転が重要な役割を担う。交渉においては、技術移転やCDMが重要であるとの立場を変えるべきでない。
  • 温室効果ガスをどのレベルで安定させるかといった議論については、日本の学者からの発信が少ない。文献なども欧米からのものばかりであり、日本も戦略的に文献を出していくことが重要。
  • 途上国との議論では、「共通だが差異のある責任」という文言が印籠のように用いられているが、それは産業革命以後の先進国のCO2排出量に着目して作られた文言。今後、CO2だけでなく土地利用や今後の途上国の排出量なども含めて総合的に責任を勘案すれば、かなり絵が変わってくる。途上国が逃げられない数字を出して、本当の「共通だが差異のある責任」は何か議論すべき。
  • 国連の交渉が難航している中で、APPやG8といった取組が大事になってくる。国連の交渉では、国内でこうした日本のスタンスをきちんとサポートすることが大切。また、途上国を含めた対策を求めるからには、適応措置がより重要になってこよう。
  • 次期約束期間の交渉では、今までの反省を十分踏まえるべき。日本経済の現状・予測を分析し、我が国は何ができて、何を他国に求めるのか戦略的に考える必要がある。
  • APPのポイントは、エネルギー技術に焦点を当てた点である。エネルギー技術への支援は、エネルギーの供給・需要の両サイドにとってプラスに働くものであり、APPの枠組みは京都議定書よりも先に進んでいる。
  • CDM、JIについては、日本が考えているような形に決まらない。エネルギー技術を前向きにとらえなければ国連の将来はない。APPを進め、APPを後ろ盾として京都議定書の交渉に臨むことが重要。
(事務局)
  • 委員の皆様から、次期約束期間の交渉に当たっては論理的分析を基に、腰の据えた戦略を取るべきとの御示唆をいただいたと認識している。

以上

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産業技術環境局 環境政策課
電話:03-3501-1679

 
 
最終更新日:2006年7月20日
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