経済産業省
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産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会(第32回)・中央環境審議会 地球環境部会(第38回)合同会合(第1回)-議事要旨

日時:平成18年11月14日(水曜日)15時30分~17時30分
場所:全電通労働会館2階全電通ホール

出席委員

須藤部会長、茅小委員長、青木委員、碧海委員、浅岡委員、浅野委員、天野委員、飯田委員、石坂委員、潮田委員、及川委員、大塚委員、川上委員、黒田委員、神津委員、河野委員、小林委員、鮫島委員、塩田委員、清水委員、鈴木正委員、鈴木基委員、関澤委員、大聖委員、武内委員、富永委員、中上委員、永里委員、長辻委員、南學委員、馬場委員、福川委員、桝井委員、山口光委員、横山委員、吉田委員、米本委員

議事概要

  1. 経済産業省小島産業技術環境局長から挨拶の後、茅地球環境小委員長、須藤地球環境部会長から挨拶。
    • 両審議会の合同会合は大変意義が大きい。政府の温暖化対策を策定する際にも関係審議会の合同会議において審議が行われているが、その中で産構審・中環審は主要な役割を果たしている。双方の連携による建設的な議論が期待できる。
    • 温暖化は人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題である。我が国が長期的・継続的に排出削減を行うためには、まず議定書削減目標を達成する必要があるが、2005年度排出量速報値は基準年比+8.1%であり、目標達成は非常に厳しい状況にある。第一約束期間が開始する前に、聖域を設けずに政策パッケージを議論して頂きたい。その際には、産構審と緊密に連携し、多角的に検討を進めたい。
  2. 環境省南川地球環境局長から挨拶の後、茅小委員長から地球環境小委員会委員長代理として石谷久委員を指名する旨の説明がなされた。
  3. 続けて、環境省小川地球温暖化対策課長から、資料1に基づき検討の進め方について、経済産業省藤原環境経済室長から、資料2に基づき温室効果ガス排出の要因分析について説明が行われた。
  4. 委員の発言、事務局の応答は以下のとおり。

合同開催について

  • 産構審と中環審の合同開催は、両審議会の委員が現状認識を共有できる点で非常に意義深い。
  • 産構審と中環審の委員で現状に対する共通認識をもつのは重要だが、それをどう理解し、どのような政策を立てるべきかについては、中環審・産構審それぞれの立場で固有の議論がありうる。この会合は政府そのものの審議ではないため、必ずしも完全な合意を作る必要はない。中環審として固有の議論が必要な場の確保はお願いしたい。
  • 産業界自主行動計画フォローアップについても、数年間かけてようやく関係者の意見がかみあってきた。この審議会の議論も認識の摺り合わせに時間がかかる可能性がある。

検討の進め方について

  • 目標達成計画は2010年を目標にしているが、議定書約束は2008~12の5年間の平均で6%削減することである。計画策定に当たっては、この5年間で確実に目標達成できるようなものにすべき。経団連の自主行動計画も同じく2010年を目標にしているが、5年間で削減できる計画にすべき。
  • 目標達成計画に明記されているPDCAサイクルを回す際には、評価見直しを迅速に行って次の段階へと移る必要がある。2006年7月に進捗状況をとりまとめた際には2年前の2004年度実績を使ったが、PDCAをより迅速化する仕組みを検討すべき。
  • 我が国が議定書約束に対してとりうる姿勢としては、(1)6%削減を何としても実現する、(2)誠実に費用対効果を考えて政策を実施する、の2つがある。(2)の場合には、最終的に約束が達成できなくなる可能性もあるが、その場合にも我が国が温暖化問題に誠実に取り組んだと国際的に評価されることが重要。手を抜いてよいというわけではないが、実効性の観点からは、後者をとるべきと考える。
  • 我が国として、誠実に努力したから目標を守れなくとも仕方がない、というような次元で考えるべきではない。更に、第一約束期間だけでなく、その先も見据えて温暖化対策を検討すべき。
  • 目標達成に向けて、コストの視点なしにどのような対策でもやろうとすると、どこかで破綻する。どの対策でどれだけコストがかかるかを明らかにし、安いものから順にやっていくべき。
  • コストの安い対策から順に実施すると、高いものは絶対に行われなくなる。安い対策を行う際にあえてコストの高い対策も併せて進める等の工夫が必要。
  • 現行目標達成計画では、個々の対策と部門ごとの排出状況とのマッチングが明確にできていない。見直し作業について、どの対策がどの部門の排出削減につながっているのか、明確化を図るべき。排出量の計算の内容を分かりやすく示すことが必要ではないか。
  • インベントリ統計上の部門の区分と実際の排出主体の区別がずれている場合がある。例えば、企業からの排出は、統計上は一部産業部門、一部業務部門として計上されている。政策を考える際には、このような主体別の切り口から検討することも必要。
  • 京都議定書の目標達成は当然のことであるが、6%削減は通過点に過ぎず、2030、50年の長期的な視野の中に温暖化対策をどうするかを考えなければならない。その際には、CO2だけではなく、社会・産業の構造を大きく変化させることも視野に入れつつ、資源循環、生態系を含め総合的に検討を進めなければならない。
  • 議論のタイムホライズンを明確にする必要がある。第一約束期間の対策のみを検討するのか、もっと長期的な方向性も議論するのか。
    • →環境省)基本的に第一約束期間を審議対象とするが、京都議定書は中長期的な削減も含んでおり、その審議の中で必要性が生じた場合には、適宜長期的な視点も入れて御議論頂きたい。
  • 長期的な視点は必要であるが、合同会合の役割はまず2007年度の目達計画見直しのための審議であることを確認すべき。また、単なる数字だけの評価ではなく、主体別の取組や土地利用の話など、計画の目玉の施策がどうだったか評価が必要。
  • 温暖化対策のコストを考える際、第一約束期間をゴールととらえるか、より長期的な期間を視野に入れたスタートととらえるかで、投資の意思決定も大きく変わってくる。
  • この審議会のテーマは目標達成計画の評価・見直しということだが、京都メカニズムをいくら活用して目標達成するかという議論も行うのか。
  • 将来見通しの作業では、一定の不確実性が伴い、見通しの「幅」が出る。今回の見直し作業においては、その幅の中で、できる限り堅めの数字を前提として厳格な検討を行うべき。
  • 地球全体の温暖化について考えるときにはグローバルな要因分析が必要。日本の省エネの現状は世界に誇って良い。他方、中国の鉄鋼生産は10年前は日本と同程度であったが、現在は3倍になっている。このような産業活動の増加に伴い、中国の排出量も増えているが、こうした国が削減義務を負っていない等の問題がある。現状の枠組みで、地球温暖化対策が本当に進むのか、ということが本質的な問題である。
  • 今後の検討においては、資料2の分析以上にきめ細かく分析を行い、目標達成計画に掲げられた対策を一つずつ細かく分析する必要がある。
  • 資料1に目標達成計画上の約60項目の対策の評価見直しを行うとあるが、そのうちどの項目の評価見直しを行うのか。また、計画に含まれていない対策は対応しないのか。
    • →環境省)評価については、現行の目標達成計画に列挙されている60項目全てを想定している。見直しの中で対策の追加が必要ということになれば、それも含めて検討する必要がある。
  • 目標を達成できなかった場合の責任について、財政負担を含めどう考えていくべきか、議論する必要がある。

業務・家庭部門について

  • CO2排出量/活動量をみると、業務・家庭・産業部門のいずれも類似の循環型変動が見られる。要因分析とあるが、これはどのような要因によるものかの分析が必要。例えば、エネルギーに実質価格の変動等の影響が生じている可能性もあるのではないか。
  • 自動販売機は、業務用・産業用どちらに含まれるのか。
    • →環境省)設置場所により、家庭又は業務に分類される。
  • 単に排出量の数字だけを見ると、温暖化対策が進んでいないということになるが、この間、生活ははるかに豊かになったことを含めて評価していくべき。また、業務部門の増加について言えば、経済が製造業からサービスへシフトすれば業務部門の排出量が増えるのは当然。要因分析をしっかりと見ないといけない。

住宅・建築物対策

  • 業務・家庭部門の排出量が増えているが、建築物に削減の余地がある。例えば、経団連自主行動計画の対象範囲として、各社の会員企業の店舗やオフィスを含めるのも一案。イギリスが新たに行おうとする温暖化対策計画には、建築物に係るキャップアンドトレードが含まれている。キャップアンドトレードが政策手法として良いかどうかはともかく、国際的にも建築物分野への施策が着目されているのは事実。
  • 業務・家庭部門について、建築物の省エネはその効果が20~30年と長期に及ぶことからも重要。現行計画の対象から外れている、既設の建築物や、2,000m2以下の戸建て住宅、集合住宅等にも対策を講じるべき。
  • 建物対策は削減余地が大きく、国民の財産を充実していく観点からも重要。特に既設建物については、きめ細かな分析を行ったうえで、誘導策を講じるべき。また、新築建物についてはできるだけ早く強制的な導入手段を考えるべき。
  • 既存建築物への対策は非常に難しい。平米あたりの建築コストは数十万円かかるのに対し、エネルギー料金は約2千円であり、エネルギー代料金節約のために改築等を行うことについては、合理的に見て容易に進むはずがない。ESCO事業などでは、白熱灯を蛍光灯に入れ替えるなどの小さな対策を積み上げているのが実情。また、その際、経済効果の高いものだけを優先すると、その後は、経済効果の低い技術は導入されなくなるおそれがある。従って、経済効果の高いものと一緒により難しい省エネルギー技術も同時に実施することが重要なポイントである。
  • 住宅・建築物に省エネラベルを貼って、間接的に省エネ化を進めていることも重要。この場合、国土交通省が推進しているCASBEEのような評価システムを有効に活用していくことが期待される。たとえば、賃貸ビル等の場合、オーナーにとって省エネ投資が賃料に上乗せしにくいため、省エネ化が進まないのも現実である。

国民運動

  • 温暖化対策への国民の参加を得るには、気候変動問題全体の意義及びその中でのCO2削減の必要性について、国民に知ってもらうよう、政府が重点的に取り組みを進める必要がある。
  • 皆が最低限できることをやった場合にどれだけ効果があるか試算をすべき。
  • 家庭関連の排出量が40%も伸びている現状は問題。ただし、企業といっても家庭人でもある。環境教育を行うとともに、ライフスタイルそのものから見直す必要がある。
  • 家庭・業務部門の削減対策として、環境税を導入すれば解決するというものではない。国民も自らの問題として十分意識してはいない。国民運動を通じ、身近なものを含め、ありとあらゆる対策に取り組むべき。産業界としても協力できることを考えていきたい。

家電機器の買い替え

  • 家電機器の買い替え促進は、まだ使えるものを廃棄物にするという面を持つが、「もったいない」という価値観と整合するか。
  • 家電機器の買い替え促進により製造過程時のエネルギーや廃棄物が増えるが、循環型社会形成と矛盾しないよう整理しなければならない。
  • 家電機器の買い替えを促進するのは、持続可能性を追求する政策とはいえない。
  • 家電機器の買い替えについては、耐用期間が過ぎたときに効率の良い機器へ買い替えるようにしていく、というのが基本的な考え方ではないか。また、省エネ型でもより大型の機器に買い替えてかえって消費量が上がることもある。その点も考慮に入れて効果を試算し、対策を検討する必要がある。

運輸部門について

  • 乗用車の燃費については、2015年までに行われる燃費規制強化を前倒しするなどの加速的な対策が必要。また、2009年に行われる排出ガス規制の強化は燃費の悪化要因となることにも留意すべき。
  • バイオマス燃料の導入にあたっては、農業政策等他の面にも配慮して取り組んで欲しい。持続可能な施策とするための長期的視点が必要。
  • 自動車に係るソフトの対策の定量化を進めて、対策の実効性を高めて欲しい。

産業部門について

  • 産業部門の排出量は微減の傾向にあるが、計画目標にはまだ3千万トン減らさなければならない。主要な対策として自主行動計画が挙げられるが、カバー率等に問題があり、参加していない企業、業界への拡大が必要。また、「乾いたタオルを絞る」といった議論があるが、さらなる排出削減が必要。自主行動計画のフォローアップでもしっかり対応すべき。
  • 中小企業の対策も必要であるが、排出量の大半は大規模事業者からのもの。経団連自主行動計画の目標は1990年比でも0%となっており、目標達成計画における産業部門の目標より緩いものとなっている。経団連自主行動計画の拡大と深掘りの可能性を十分に議論すべき。

エネルギー転換部門について

  • 発電部門の直接排出量は約4億トン、総排出量の約3割を占める。電力原単位の悪化は各部門の省エネ努力を相殺している。原子力設備の利用率向上、石炭からLNG等への転換を進めるべき。また、一般電気事業者のみならず卸業者、PPS等も自主行動計画を策定してCO2削減を進めていくべき。
  • 石炭火力の発電量の伸びがあまりに大きい。抑制するための枠組を考えるべき。また、再生可能エネルギーや自然エネルギーをどう伸ばすのかについても議論していくべき。
  • 業務、家庭部門で省エネ機器の導入を進めるだけでは限界があり、エネルギー供給側でも自然エネルギー、再生可能エネルギーの導入促進はぜひしっかりやってほしい。
  • 中・長期的には先進国で5%削減するだけではすまず、より画期的な対策、革新的技術の開発等が必要。更に原子力も無視できなく、いつまでもタブー視しないで議論すべきではないか。

分野横断的事項

  • 目標達成計画の中に、「省CO2型の地域・都市構造や社会経済システムの形成」にかかる対策が示されている。今後、部門別の検討に加えてこのような対策についても分析を行うことが必要だが、環境省と経済省に加えて国土交通省とも連携して、都市の膨張による排出量増加等について検討することが適当ではないか。
    • →環境省)今後、必要に応じ、国交省・農水省等とも連携して審議を進めていきたい。
  • 国民がより費用対効果の高い対策を実施するよう、情報開示、税の加重・軽減等によるインセンティブを設けることも検討していくべき。
  • 2005年の排出量の増加を見ると、現行目達計画は失敗しているのではないか、と思わざるを得ない。目標達成のためには、もっと抜本的な対策が必要。(1) 環境税、(2)道路特定財源を一般財源化した上で使途を温暖化対策に充てる、(3)国内排出量取引、(4)業務部門も含めた産業界の対策の深掘り、の4点を検討することが必要。これらの対策については、概して言えば、環境省が賛成し、経産省が反対しているという構図になっている。家庭部門に努力を要求する前に、まず政府が一体となって対策をまとめ、構造を変えるような政策を行うべき。
  • 環境税については、産業界はわがままで反対しているのではない。日本だけが特殊な税制を導入すれば、国際競争力が低下し、企業としては海外に移転せざるを得ない。企業が国を選ぶ時代になっているという実情を理解すべきであり、産業が無い国からは何も生まれてこない。
  • 日本にとって、議定書約束を達成する意義は、次期枠組の国際交渉をリードするという点にある。問題は目標達成には時間がなく、また削減対策にも限界があること。従って、政府としては京都メカニズムを積極的に活用することを明らかにし、腰を据えて取り組むべき。
  • 世界におけるCO2の排出増は、エネルギー転換部門と森林減少に起因している。森林を生み出していくことに対して真剣に議論すべき。

次回以降のヒアリングについて

  • 今後のヒアリングを効率的・効果的に行うため、的確なヒアリング対象者を選定するとともに、これらの者がヒアリングの趣旨を充分に理解し、準備を整えた上で、本委員会に出席するよう、周知徹底を図られたい。
  • ヒアリングの対象を選ぶ際には、明確に審議会としての問題意識を設定して、選定に当たるべき。
  • 英国のスターン卿が、温暖化が経済・社会に及ぼす影響についてレポートをまとめられたが、本審議会でも同氏を呼んで話を聞くような機会を設けて欲しい。
  • 家庭部門のヒアリングは誰に聞くべきか非常に難しいので工夫頂きたい。
  • ヒアリングについては、定足数を満たさなくても懇談会の形で機動的に開催することで良い。

5. 最後に、須藤部会長から、今後の検討について資料1に沿って進めてよいか議場に確認したところ、全員異議なく了承された。その後、閉会が告げられ会議が終了。

以上

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産業技術環境局 環境政策課
電話:03-3501-1679

 
 
最終更新日:2006年12月5日
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