経済産業省
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新流通産業研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成19年5月14日(月)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室

議題

報告書案について

議事概要

事務局より報告書案につき説明したのち、自由討議を行った。主な意見は以下のとおり。

  • 短期間にこれだけのものをまとめられたということで、事務局の学習能力の高さと生産性の高さに敬服しております。僕らがやったらきっと1年かかってもできないのではないかと思います。25社ヒアリングしてこれだけのものをまとめるというのは。
    そういうことで、網羅的にいろんな問題を指摘なさっているという点で、私は余り細かいところでは違和感を感じませんでした。ほとんどよろしいのではないかなという感じなんです。
    ただ、せっかくここまできているわけですので、もう少し欲張ってこの報告書の性格づけとかそういうことを議論する余地はまだあるのではないかなと思うんですね。結局60年代の流通近代化の課題と展望から始まって、80年代の流通産業のリーディング産業論とか、いろんなものがございまして、この会議の冒頭に松井審議官の方からこれは10年ぶりのビジョンらしい報告書になるということで、もちろん新しい世紀に入って初めての報告書なわけですね。そうすると、そういう意味での社会的なメッセージというのがどこにあるのかなというのが網羅的で包括的なゆえに、逆に、特に1枚目ですね。そういうメッセージがあらわれているのかなという点で、そこらあたりに議論の余地があるのではないかなというふうに感じました。
    私自身は、この研究会、最初に多くの経営者の方がおっしゃったことに、なぜ流通産業の社会的な地位が低いのだという御指摘があったのですね。僕は結構最近は評価されているのではないかと思うんですけれど、でも、実務家の方が、例えば今学生さんが就職活動やっていても、確かにメーカーさんの方に先に行きますし、流通業でも最近はディベディベロッパーとかモールが人気がありまして、小売業のテナントさんの方には行かないとか、いろんな現象があるようですけれども、そういう意味でなぜ社会的評価が低いのかというのをもう1度考えたいなと思うんです。それは別に役所が悪いわけではなくて、やっぱり業界の皆様方、あるいは企業のあり方が社会的評価を得られていないという、そういう側面も私はあるのではないかと思っているんです。
    ですから、それについて私が一貫して申し上げている点が2つありまして、1つは国際的な水準で批判にこたえられるような経営をやっているかどうかということですね。これは世界水準の経営の質というところとか、グローバルな流通の整備というようなところできちっと盛り込まれているので、その点は申し分ないのですけれども、メッセージとしてそこのところをどうやって最初の方に持っていくるかという点があるのではないかなと思うんです。私は別にお店を出せとか、海外から商品を調達しろとかと言っているのではなくて、企業のあり方としてグローバルな市場感に立って企業価値を最大化していくという、そういう企業や経営者が流通業は私は少ないと思うんですね。消費財メーカーでもそうだと思います。食品なんか特にそうです。流通と同じように、やっぱりそれぞれの国の文化とか生活様式とかそういうものを色濃く反映している産業というのはどうしても内向きになってしまうんですね。しかし、産業や企業は既に国境を越えて展開されているわけですので、当然そこで企業価値、具体的に言うと例えば時価総額とか、あるいはグローバルパスを歩むことによって新しい経営資源を人材を含めてどうやって獲得していくか。そういう点で日本の流通企業というのは、特に新世紀に入っているわけですので、長期的に見てその点を考えていかなければいけないのではないか。ですから、商業統計ベースでいっても13兆とか14兆、この10年でなくなっているわけですので、利益が低いのは当たり前ですよ。だったら、市場が伸びているところにどうして経営資源を移転しないのか。この25社のヒアリングを聞いても、国際的に通用する事業モデルをお持ちの企業が幾つもありました。単品管理経営による非常に経営密度の高い経営をやっている会社、あるいはサプライチェーンでもって非常にローコストオペレーションでやっているチェーンもございましたし、ローカルな市場に合わせた新しい業態をつくっているホームセンターさんなどもありましたし、ボランタリーチェーンもそうだと思うんですね。あるいは百貨店の場合であれば、接客小売業としてのカスタマーケアとか、そういうものをどうして国際的に移転しないのかなというのが疑問なんですね。そういうメッセージがどこかに、日本企業のあり方、社会的評価が低いのしか出ていないわけで、世界規模の競争の試練を受けて考えていく必要があるのではないか。
    それから、もう1つは雇用だと思います。社会的評価を高めていくためには、先ほど浜辺課長が丁寧に御説明いただいたような多様で柔軟な就労形態を通して、小売業は消費需要では地域にまちづくりという形で貢献しているわけですけれど、労働市場に対して女性とか、再就職する人とか、あるいは高齢者、適切な事業機会を提供している例が芽としては既にたくさんあると思うんですね。そういうのをもっと引っ張り出して、それでそういう形で多様で柔軟な就労形態によって少子高齢化時代に、消費の面ではなくて、労働市場の面でも貢献しているという点をもっと積極的にアピールしてもいいのではないかと。
    だから、そういう点で何か考えて、そうすると、それは政策マインドとしてどういう方向があるのですかということなんですけれど、私は浜辺さんのお話を聞いていて、流通を動かしていくソフトウエアについて、日本をアジアや世界のセンター・オブ・エクセレンスですね。そういうものとして位置づけて、今回挙がってきたそういうエクセレンスですね。すぐれた実践行為というのを集めて、例えば関連している研究所でもいいですし、民間のシンクタンクでもいいですけれど、そういうところに集めた上で、あるいはパートタイマーの活用を含めて、そういう日本の流通業のエクセレンス、卓越性というのはこういう点であるのだということを社会的にアピールしていく。それを企業が技術供与の形で出していくか、品質という形でもって企業価値を高めていくかというのはそれぞれの企業の選択肢とするとして、そういう政策的な発想が今の新しい世紀に入ったメッセージとして何かという形で出てくるのではないかなと思いました。
  • 渡辺教授今の矢作先生のお話で終わりでもいいような気もするのですけれど、あえてつけ加えさせていただきます。

    私もやはり社会的地位をどう上げるか、社会的評価をどう上げるかというところが冒頭の研究会で各経営者の方々がおっしゃっていたことでありますので、そこにどうこたえていくのかということが1つのポイントになると思います。

    その際、グローバルな市場でどう戦うか、あるいは戦えるものをどうつくっていくのかということが一方であると同時に、もう1つ、働く人をどう使うかだけではなくて、働きがいのある場であることをどうつくっていくのか、それを労働市場に対してどうアピールしていくのかということも必要なのかなという感じがしております。働きがいのある場である、働きたくなる場であるというようなことを、流通業というのは学生のイメージですと、頭より体を動かす場みたいなところにややありがちなのですが、そうじゃなくて、ソフトであるとか、センター・オブ・エクセレンスというふうに矢作先生はおっしゃいましたけれども、そういった知恵をつくっていくといいますか、そういう場であるということをより強調して、アピールして、より多くの人たちがこういう場で働きたい、あるいは自分の能力を生かしたいという、そういうようなものにしていくのが大きな方向としてもう1点ぜひつけ加えていただきたいと思います。

    もう1点は、この報告書では企業の社会的責任とか、社会貢献というような視点で論じられている部分なのですけれども、責任があるよとか、貢献しなくてはならないよという観点で小売業、企業の方々に言うのはある種、役所として必要な部分かもしれませんが、それだけではなくて、こういったことをやることというのは、企業価値の向上になるのだよと。企業価値向上を目指して環境問題への取り組みであるとか、フィランソロピーであるとか、そういったものを、いろいろヒアリングを今回させていただいて、いろんなことをやっていて、私も知らないことがいっぱいあったのですけれども、そういったことをもっと積極的にアピールして、社会の中で評価されるような存在になる。そういう企業価値を上げるための努力というのは、今回お見えでないですけれども、川本先生に言わせると、製造業だとかなり一生懸命やっている。あるいはサービス業、ANAだとかシャープだとか一生懸命やっているのに、小売業というのは余りやっていなんですねなんておっしゃっていましたが、そういう努力をすることによって企業価値を上げる。どちらかというと、小売業、流通業だと合併をして大きくなって、海外からの買収の脅威に対応するみたいなことが多いような印象も受けるのですけれとも、そうじゃなくて、そういう企業価値を上げる中で株価を上げて、買収に対抗するというのも1つの手なのかなというようなこともありますし、冒頭言いました社会的地位を上げるという意味でもそういうことをやっている業界なんだということを世間というのか、社会に対して広くアピールしていく。あるいは国際社会にアピールしていくということが必要かなと思います。

  • 全体にこの「はじめに」から最後まで一応事前に予習はしてきたのですけれど、説明していただいて、すごく網羅されているなという印象を受けます。ここまで細かくいろんなところまでお話といいますか、まとめていただければ、そこまでやっていただかなくても大丈夫だよというぐらいのところまでやっていただいていると思いますから、十分だと思いますけれども、全体のこの話の中で特に最後の取り組むべき課題の中で出てきたところで、今お話もありましたけれども、小売業の社会的責任と雇用の場としての対応、ここの中では確かにおっしゃるとおりのお話だと思すまか。こういったことはきちんやっていかなければいけないことだろうなということですから、それをどこまでアピールするかどうかという問題だと思います。
    同時に、この中であえて言いますと、自治体の規制のあり方等々について軽く触れていただいていると思うんですが、まちづくりへの貢献ということを言ったときに、果たして小売業がまちづくりに貢献しなければいけないという、そういう立場ではなくて、やはりまちづくりの中に小売業というのは入っているものだと思うんですね。ですから、自治体の方も大型の小売店を目のかたきにするというようなことではなくて、当然まちづくりの中のプランに入れていっていただいて、いいまちをつくっていくためにお互い知恵を出し合って、これは必要なことだと思いますから、ぜひとも規制の対象ということではなくて、一緒によいまちにしていくのだということでお話を持っていっていただけるとありがたのではないかと感じたところでございます。
  • 私のような駆け出しの研究者からすればすごく今回の研究会で社長さんたちのお話を伺って勉強になりしまたし、今回のこの報告ももうほとんど言うことなく、すばらしいできにまとまっているのではないかと思います。
    一番最初のときに申し上げたのですけれど、これからの小売、10年、15年の日本の小売のことを考えると、1番が労働コストの問題だと思っていますし、もう1つはコミュニティー、地域への貢献、その2つだと考えておりまして、そういう意味で先ほど流通業、小売業の社会的地位の話が出ていましたけれども、皆さんから尊敬される、学生が就職したくなるような小売業といったときには、やはり生産性が上がって、かつ、生産性が上がるということは企業の手にするお金がふえるわけですから、そこからの労働分配率の問題もあるにせよ、それで単に製造業に比べて3割減のお給料しかもらえないということではなく、やっぱりお給料が上がっていくということは大切だと思いますし、もう1つは、トップが考えたとか、本部が考えたことを実行する部隊というのは、先ほど矢作先生や渡辺先生もおっしゃっていましたけれど、それだけだと職場として魅力がないということだと思うので、そういう意味では今回書き込まれているような現場への権限委譲みたいなことまできちん書き込まれていたのはとても評価できると思います。それについて、先ほど聞いていて、若干「うんっ」と思った面であって、細かいことで恐縮ですけれども、14ページ以降の「小売業が目指す方向性」の1の中が「高効率化」というものと、「高付加価値化」に分かれているのですけれども、「高効率化」の方に「(2)店舗業の効率化」という形で、先ほど権限委譲、現場も大切にしましょうということが書かれていて、「高付加価値化」の方は「メーカーとの共同商品開発」という形になっているのですけれども、ちょっとこれはどうなのかなと思って、単に現場が実行販売部隊として効率化していくだけではなくて、むしろ現場でのアイデアですとか、あるいは地域コミュニティーと一緒になって店舗レベルで何か新しいものを考え出して、それを本部の方に返してきてということで、開発機能みたいなものを現場にどんどん委譲していくという、先週ローソンの新浪さんのお話などにも入っていたと思うんですけれども、そういうことも入っていた方が何となく働き手にとっても、あるいは地域住民にとっても豊かな小売業といいますか、そういうニュアンスが出ていいのではないかと思います。
    もう1点、すごく細かいことなんですけれど、23ページにある「フリーター等の就労訓練の場」というところに「若年無業者(いわゆるニート)やフリーターといった若年の低所得者層が近時増加している」と書かれているのですけれど、これはことしの統計だと減少という形で多分出てくると思うんです。今、どんどんはけていると思いますので、いつ報告書が外に出るかわからないのですけれども、ちょっとここもニュアンスを変えられた方がいいかなという気がしました。
    以上です。
  • 特にありませんが、全体的に、今もお話がありましたように、ポイントがきちっと押さえられてまとめておられるというように思います。
    今いろいろ出ていましたけれど、小売業界、メーカーと比べて、言われるようにそんなに労働条件が悪いというようなことはありませんよ。給与水準もそんなにメーカーと比べて全体的に物すごく流通業界全体が落ちるというようなこともありません。それから、営業時間は確かに長いですが、一方で労働時間の短縮というのは結構各社いろいろ知恵と工夫でやってきております。一方で、メーカーに比べて、メーカーもそれはいろいろ競争があるのでしょうけれども、小売業界というのは物すごく競争が厳しいですからね。そのことを今後十分、別に甘えじゃないのですけれども、今後市場が国内はシュリンクしていく中で、ますます競争は厳しくなってくる。こういった中で、どういうことを考えてやっていかなければいけないのか。個別の企業でどういう努力が必要なのか、また流通業全体としてどういう努力が必要なのかという、こういった視点が非常に重要だというふうに思います。
    特に、全体的にこういうふうにおまとめになったことがすべて重要なのですけれども、業界全体としての基盤の整理という部分がありますね。ITを含めたですね。この辺のことが今後そういう意味では非常に私は重要ではないかというように思います。流通業界全体として、チェーンストア、百貨店、それぞれの小売業態の中で産業全体としてどう生産性を上げていくかという、この辺を行政とも連携して取り組める部分が何かということの中で、この25ページ、26ページ、27ページ、この辺のところが非常に大きなポイントになってくるのではないかなというように具体的に言うと思います。
    今、ちょっと気がいた点だけ申し上げました。
  • 小売業が目指す方向性の中で生産性・収益性の向上ということがよく言われるのですけれども、この中で、今回余り触れられていないのですけれど、日本独特の商慣習ですね。これはよく言われることで、ここに対するある程度の示唆が必要なのではないか。例えば食品業界で言うとメーカーと小売業との直接取引を阻害するような商慣習があるわけですよね。これは制度が二重構造ぐらいになっていますので、きょうはいらっしゃらないから、大商社がいて、そしてその商社の傘下にいる卸店がいて、それを通さないと加工商品は手に入らないという、とても欧米では考えらないような、例えば食品で言うと、そういう商慣習があるわけですね。これはある程度切り込む必要があったらなと私は個人的に思います。あえて生産性の問題を言う場合に、これを切り離しては私は考えられないのだろうと思います。直接的にメーカーと折衝を商談という形ではしていますけれども、実際の取引上の交渉は1対1に直になっていない。きょうは特に横に岡田さんがいるので言いやすいのですけれども、全くそういう方向性がない中で、生産性云々という話はおかしいのではないか。もしそこに切り込むならば、その問題を入れるべきだと思います。これは全く個人的な意見です。
    次に、生産性の向上の中で、ここにいわゆる情報化を使って個人情報を集めて、16ページですね。「顧客情報を活用した総合的なライフスタイル提案」というのですけれど、これは果たしてここに持ってきていいのだろうかと。今、個人情報の問題がありますので、果たして流通業の使うカードが本当に個人情報として流通業が今後も、例えば個人の氏名とか住所とか生年月日とか、そういものを集め続けてやっていくということは今の個人情報の問題から言っても余りよくないのではないかと。私どもの会社ではこれは磁気システムでは全部捨てようということですね。個人情報についてはすべて捨ててしまうというふうな方向で考えております。
    それから、生産性の問題なのですが、生産性という言葉が正直言って我々実務家にとってみるとあいまいで、これはこの間ちょっと浜辺さんにお話ししたのですけれども、もう少しはっきりと定義をすべきだと。11ページの後ろにある図6の付加価値をもってして生産性というのか、もし言うとすれば、これが生産性の本来の意義なのではないのかと思います。そうした場合に、いわゆる日本の小売業というのが本当に欧米に比較して生産性が低いのかどうなのかどうか、いわゆる人件費、利益、これの総和、それにあと減価償却ですか、この総和が本当に欧米の流通業に比して低いのか、私はクエスチョンマークだと。これは学者の方がたくさんいらっしゃる中で申しわけないのですけれど、常に思います。
    今のこの表を見ても小売業519万円ということで、平成17年で上げています。この表ともう1つ、7ページの後ろにある図3の右上の表ですね。「売場面積(1m2)あたりの販売額推移」、この表は大幅に下がっている。にもかかわらず、1人当たりの生産性、付加価値は下がっていないという、これに対してどう評価するのかという、大変つらい時代を流通業はこの十数年間過ごしてきたわけですけれど、その流通業が過ごしてきた中で、そういう意味での実質的な付加価値の向上はかなりやってきたと私は思います。ですから、そういう評価も必要なのではないか。そして、本当に日本の流通業が付加価値が低いのか。これはもう少しきちんとした検証をした上で、フランスだとかイギリスだという中くらいの所得ぐらいの国の流通業と単純に比較して日本が低いのだと言われたのでは日本の流通業をやっている我々としてちょっとこけんにかかわる。そういうふうに思っております。
  • 今、生産性についていろいろ御説明があったので、ちょっと言いづらいのですが、しかし、それでもサービス産業全般に生産性の問題というのはやっぱりあると思います。ただ、それを語るときに、前提として、軸足として例えば消費者主義だとか、競争ということがないと、これはどんな産業でもそうですれども、生産性について語るのは非常に難しいのではないかという気がします。
    現在も我々の競争は非常に厳しいのですけれど、しかし、それはある意味で同質競争をやっているので厳しいだけで、専門店さんの隆盛を見ると、我々の方に非があるなというふうに思っているのですけれど、小売業の業界としての地位、その他の話で感じるのですが、結局、以前の70年代、80年代の小売業の政策と今回で最大の違いは何かというと、結局サービス産業化しているということだと思うんですね。言うならば、前2回は製造業時代の小売業、あるいは小売業の役割というようなことだったのだろうと思いますが、今回サービス産業時代の小売業。小売業自体もサービス産業に入るのでしょうけれども、サービス産業が主体となっているのときの小売業の苦しみ、不適合している苦しみではないかなというふうに感じるんですね。
    つまり、サービス産業化に小売業自体がついていけていないという面がいろいろなところに出ている。もちろん残念ながらマスコミやいろんなところでものづくり礼賛というのか、過去のレガシーを引っ張っている部分がいっぱいあって、それが世論をつくっていて、小売業の、あるいはサービス産業の評価が低いというようなこともあると思いますけれど、私どものグループの中で一括して人の採用をかけるのでけれど、一番人気がイオンモールで、それからイオンクレジットで、あるいはイオン銀行なんかまだできていないのに非常に人気があったり、電子マネーとか、そういうところを見ると、やっぱりこれはサービス産業的側面を打ち出せずにいて、何か小売業が影が薄くなっているのではないかなという気がします。あとは私どものグループで言うと、人気があるのは、例えばボディショップとか、いわゆるブランディングに成功したようなところが非常にいいわけです。
    したがって、そういう新しい時代の中で小売業がどのように変わっていくべきか、あるいは小売業は何を求められているかというようなことについてもう少し踏み込んでもいいのではないかなというようなことを一番感じました。
    全般的には非常に網羅的ではありますけれど、よくカバーできているなという気はいたしました。
  • 先ほど駆け出しの研究者という言葉が出ましたので、私は老境に至る研究者から一言申し上げたいんですけれど、小売業、流通業というのは、実は今まで与件としていたものが与件とできなくなってきた。例えば具体的に言うと、生産者と消費者があって、まちがあって、グローバル化がある。これを今まで与件としていた中で、生産者を前提として、消費者を前提として流通していたのが、そうじゃなくて、そういうところにまで積極的に手を伸ばさざるを得なくなった。そういう側面があるんですね。だから、私は一番最初に言ったのは、生活産業というのはそういう意味だろう。つまり、ただつくられたものを流すのではなくて、メーカーにも大きな影響を与えるし、場合によってはメーカーから機能を必要なものを持ってきて、消費者もどんどん消費者教育を含めてどんどん提案して、変えていく。今まで与件と思っていたのをだんだん広がってきた。このころを少しとらえれば、矢作先生とか、岡田委員がおっしゃったことを少し含んでいるので、そういう気がしました。

    →実はこの「はじめに」を書いていまして、まだ頭がうまくまとまっていないのですけれども、当然こういうのを出すと、ここに副題を普通つけるんです。その副題をどうするかということを連休の間いろいろと考えていて、ああしよう、こうしようと。結局考えていくと、いろんなのが出てきて、副題が普通は2行ぐらいでおさまらなくてはいけないのですけれど、10行ぐらいになってしまうので、それで実はうまく書けていなくて、それで矢作先生からもちょっとメッセージがあって、「はじめに」の文章の中、あんまり明確なメッセージが出ていないというのはまさにそう言われるだろうなというふうに思っております。
    それで、私が今一番ここで世の中に発信したいメッセージ、ちょっとまだきれいにまとまっていないのですけれども、ポイントだけ申し上げると、小売業というのは、だれかメーカーがつくったものを消費者にお渡しするという、こういうのがメインの役割だったのが、そうじゃないと。世の中をつくっている。文化をつくり、社会をつくり、ライフスタイルをつくり、むしろつくり手になっているのだというニュアンスを出したいというのが1つと、もう1つは、ビジネスですから利益を上げるのは当然なんですけれども、最近の風潮は企業価値といったときに、株主のものだとか、何とかエモンとか何とかが言っていますけれども、短期的な利益を上げるということがビジネス上の最優先課題だというふうに言われているような風潮がございますけれども、私の問題意識はそうじゃなくて、社会をつくり、例えばコミュニティーをつくるのだとか、安心・安全を提供するのだとか、人々の消費文化をつくっていくということになると、短期的な利益ではなくて、やっぱり消費者、国民の中、日本の社会における信頼の拠点になるのではないのかなと。現に今少し変わっていることは、物を流す拠点だったところが逆に流れることもあるわけですね。先ほど公共サービスのあれとかですね。だから、人もそこに流れている。この間のローソンの新浪社長のお話だし、コミュニティー、一番無人化が進むであろうと思われていたコンビニでコミュニティーを開きたいんだとか、セブン-イレブンは御用聞きで、高齢者のお宅にまで入っていくのだとか、ですから何か物が流れるだけではなくて、逆方向に情報も人も世の中のものが全部流通業を通って双方向に全部流れていく。その結節点になる。それはやはり世の中の信頼というのが物すごく重要なのではないのかなと。それが日本的な新しい流通業界の新しいあり方なのではないかなと。そういう新しい価値を生み出す。企業価値を高める。こういう行動であれば、例えば今いろいろな地域で行われているようなまちづくり三法がらみの相当規制的な概念に対するアンチテーゼになるなと。つまり、世の中に貢献している、世の中をつくっている、世の中の信頼の中心になっている小売業を規制するという概念はおかしいのではないか。そういう方向に世の中に貢献しているのだから、準工業地帯ではまちづくりとは関係なく規制するのだとか、そういうおかしな方向に対する1つの歯どめにしていきたい。
    さらに、もう1つは矢作先生等々学者の方が特におっしゃったのは、ソニーが、トヨタが世界ブランドになるということは、その企業の、あるいはその産業のステータスアップにつながるわけで、やっぱり世界のイオンになり、世界の高島屋になっていくということが、学生の採用活動でも随分変わってくると思いますので、そういう意味ではただ海外に出ればいいというのではなくて、日本の消費文化なり、今申し上げたような新しい価値づくりを世界に発信するということが日本の国民に対する尊敬につながってくる。そういうような役割もついでに、ついでにいうといけない。それも担っているのだと。
    何かそんなようなことが私の頭の中にある全部で、それを1行でうまくあらわせないので、苦労しているのですけれども、何かそんなような問題意識に御指摘なり、何かあったら教えていただきたいと思います。

以上

 
 
最終更新日:2008年8月15日
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