経済産業省
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新流通産業研究会(第4回)-議事要旨

日時:平成19年5月31日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室

議題

報告書案について

議事概要

事務局より報告書案につき説明したのち、自由討議を行った。主な意見は以下のとおり。

  • 前回も申し上げたのですが、とてもよくまとまっていて、特に生産性の部分を中心に、グローバル経営とかコミュニティ構築の部分まで目配りされていて、すばらしいまとまり方ではないかと思います。それで、私も、きょうつけ加えていただいた26ページのところが若干気になるのですが、生産性/収益性の向上のこのデータは、今、渡辺先生がおっしゃったように、労働者の人数当たりで出しているんですね。給料当たりではなくてですね。
  • それだとしても、2つ目の・の「この背景として」のこの4行の表現がちょっと誤解を招くのかなと。「労働集約的な産業であり、低い賃金水準のパート労働者を大量に雇用するビジネスモデルを継続してきたことが、労働生産性の低下に影響している」という、これを経済や経営分野ではない普通の人が読むと、パート労働者なので働く時間が短くて、でも、時間当たりではなくて、これは時間を正規雇用者と同じようにあわせて計算をしていると思うのですが、ここの書き方だと、一瞬それがわからないで、人数がふえるから、売上高をパート労働者の多い人数で割っているので低くなっているなんて書かれているんじゃないかしらと思われると損だと思いますので、書き方を少し工夫した方がいいかなという気がします。
    それから、もう1つきょうつけ加えられたところで、69ページの顧客満足のところですが、この書かれていることはすごくいいことだと思いますし、顧客満足を向上させることによって、高付加価値化というのは、当たり前のことだと思いますが、ここで一般的に、小売業で顧客満足を向上させるというと、今までの対面販売のスキルがどうのこうのとか、あいさつをきちんとしましょうとか、商品紹介をきちんとしましょうとか、そういう能力開発のプログラムというものだけに流れてしまうと、何となく新規性がないという感じもしますので、せっかくなので、三越さんの靴のICタグの実験のお話も聞きましたが、あれは最初、お客さんが自分で靴を台に載せてサイズを探してみにいくということを想定していたけれども、実際には販売員がお客さんに商品紹介するときに一緒にあれを使うということで、それで商品紹介点数がふえたし、売上も上がったしという話だと思いますので、ああいうITの話がここにも入ってきてもいいのかなと。そういうものも含めて、顧客満足を向上させるという話がありなのかなという気がしました。
    タイトルについては、これってセンスの問題じゃないかなとも思うので、確かに「生活文化創造産業」とか「提案産業」とかというのを昔もよく使っていたような気もするんですけれど、でも、内容的にはこういうタイトルでいいのではないかなと思います。
  • 膨大な資料を非常にコンパクトにまとめられて、作業をなさった事務局には賛意を表したいと思います。それで、3点申し上げたいと思います。
    まず、横長の紙の要約版ですけれど、検討の背景のところに注として、このビジョンをまとめるのは12年ぶりだと書いていらして、では、この12年間は何をしていたんだという感じがあって、さぼっていたのか、逆に申し上げると、なぜこの時点でビジョンを出すのかということをもうちょっとわかりやすく書いていただいた方が親切ではないかなと思います。
    2点目は、細かいポイントですけれど、「はじめに」のところで、読んでいきますと、ふんふんそうなのかと思うのですが、生活文化とか国際競争とかとおっしゃって、最後に中長期的な観点にとって地域の信頼を得ることを目的として事業を展開してくださいみたいになってしまうんですね。では、一番ここがいいたかったのかと思えてしまうので、ここの書き方については工夫をしていただいた方がいいと思います。
    3点目は、非常に大きな物言いなのですけれど、報告書をどうのこうのと申し上げるわけではなくて、生産性の問題は非常に大事だと思っています。生産性の向上が国全体の非常に大きな課題であるということなのですが、きょうつけ加えていただいた69ページのCSの問題とか、そもそも生産性の向上というのは経営方針そのものですよね。ビジネスそのものなわけですね。営利企業の経営方針そのものについて、なぜ政府が音頭をとらなければいけないのかという根本問題が日本にはあるわけですね。これは役所の研究会の資料なので、生産性が低い企業がなぜ生き長らえることができるのかという、競争政策とか新陳代謝というところがなぜ働かないかという、政策の根本が本当は問われていると思うのです。
    その問題をここで出しても大変なので、せめて、64ページの事業再編のところの下から3つ目の・で、「こうした点を踏まえつつ、指針の策定に努めるとともに、同法の適切な運用を通じて」とありますが、ここに、「競争環境を整える」とか、「業界の新陳代謝を促す」とか、せめてそのぐらいの言葉が欲しいのではないかなと思っております。
  • 私もこの研究会に何回か出させていただいて、特にベストプラクティスの各社様の事例を聞かせていただいて、大変勉強になりました。ありがとうございます。
    それで、この資料のまとめ方については、私どものような実務家がどうしたらいいというのはなかなか申し上げづらいところがあるのですが、今、先生方のご意見を伺って思いましたのは、つけ加えられた労働生産性の部分が一般的に新聞等でもいわれているようなところにとどまっていますので、ここについてもう少し議論を深めたところがあるとよくなるかなと思いました。
    ちなみに、私どももちょっとご提案させていただいたのですが、労働時間といいますか、営業時間ともかかわりますが、バブルの崩壊以降、営業時間や営業日数がどんどん延びてきたのは間違いないわけでございまして、例えば、お正月も元日からやっているとか、2日からやっているというのはもう当たり前になっているとか、24時間・65日化みたいなことがある意味、装置産業的な小売業・流通業を中心にどんどん進んできていますが、ふと振り返ってみたときに、本当にこれでいいのかなというのが、個別の企業の課題としてもあるのですが、先ほどもお話に出たように、共通の環境という中でももう一度見直していく必要もあるのではないかなと。
    例えば、欧米に目を転じてみますと、ヨーロッパなどでは、歴史や宗教上の事情もございますが、いまだに日曜日の営業はやらないとか、そういったこともあるわけですので、そちらと先ほどの「誇りを持てる職場」というところとあわせて、その辺のインフラ環境についても、ある意味で前向きな取り決めみたいなところも1つの大きな課題として議論するべきではないかなと思っております。
  • 最初に、このレポートは私は非常によくできているなと思いました。初めての出席ですけれど。当社もこういう課題を整理して、どういうことをやっていくかという方向性を毎年やるわけですが、うちが目指しているところとほぼ一緒なんです。ただ、我々企業としては、方向性を書くだけでは実現しないという観点から、必ずその後にアクションプランをつくります。どの組織がいついつまでにどのようにやるかと。そして、緊急ではないテーマについては、そういうことができるようにするための環境をどういう形でつくっていくかとか、それをテーマごとにずっと書きますので、そういうものを一度セットされたらいいんじゃないかなと思います。
    それから、このレポートのテーマは私は非常にいいと思います。先生方からいろいろご意見がございましたけれど、テーマというのは、見出しというのは、きれいで大きい方がいいですよね。そして、中身をみてもらったら、それでいっていることが皆さんわかるわけですから。そういうことで、私などは賛成です。
    それから、ベストプラクティスですが、これはファミリーマートとしては、どこでどのようにお使いになられても結構だと。各社のこのプラクティス集をみても、皆さん、企業PRをやっていますよね。企業PRをする以上、外部に出していただいて、逆に内部の実行・実限度をスピードアップしていくという効果もありますので、私などはお使いになってもらって結構だと思います。
    それから、経済産業省、行政の方にお願いしたいのですが、ここでグローバル化というテーマがありますね。当社は海外へかなり早目から進出していまして、恐らく今年度で国内と海外は同規模になると思います。来年は海外の方が多くなると。そういう中で、やはり各国々のレギュレーション、許認可、それは多種多様ですが、特に外資に対する許認可は相当厳しいものがあって、特に中国などは朝令暮改でボコボコかわるんです。そういうときに、一方で中国やアメリカの小売業が日本に進出するときに、国内企業と差別しているかといったら、差別していないわけですね。そういう観点から、国として、ましてや中国はWTOに加盟したわけですから、そういうことで圧力を我々と一緒にかけていくような窓口といいますか、そういうものをつくってほしいなと思います。
  • まずは、先ほどの青井社長のお話が、逆に私ども商業者を代弁していっていただいているようで大変ありがたかったのですけれど、日本の伝統や歴史を破壊してきたというのが、1月1日の正月営業とかそういったものだとは思っているのですが、これは対競合戦略だけだと思っております。トータルの売上は、1日にオープンしても、2日からやっても、正月の6日間なら6日間を比較してみれば大して変わらないですよ。やはり対競合戦略ということでその辺が一律でなかったというか、今まで全くばらばらだったから今回のような研究会もあるんじゃないかなと思っております。それから、「生活文化創造産業」というこのタイトルですが、非常に美しくてきれいなお言葉なのですけれど、私たち凡人には、「小売業」とか「流通」というイメージが全くわいてきませんということが1つあります。
    それから、私が前から評価していたのは、日本チェーンストア協会が出している「協働のためのガイドライン」ですが、あの中身は非常に評価するのですけれど、これもそうあってはいけないと思うのですが、どこまで答申としていくのか。先ほど上田社長もいわれましたけれど、報告だけするのですけれど、それをかみ砕いてどこまで広がっていくのか、また、どうやって時々は思い出しながらフォローアップをしていくのか。その辺の観点が欠けていて、出して終わりということにならないように、私どもは気をつけていかなければいけないのではないか。特に、あのガイドラインでも、48ページに要点が載っていますけれど、これを大きく1ページぐらいにしていただきたいですね。特に6番目の「地元商工会議所、商店会等の加入についての協力」とか、この辺を大きく載せていっていただきたいというのが要望でございます。
  • 上手におまとめいただいて、私たちのような実務家からみますと感心をするのですけれど、前からお話を申し上げておりますように、残念ながら、まだまだ日本の国における小売業の社会的な地位は、果たしている役割とか期待されている役割に比べて余りにも小さ過ぎる、あるいは低過ぎると思います。
    先ほど渡辺先生から、教え子が小売企業から退職をしてうれしそうだったというお話がありましたが、社会的な地位や社会的な評価をしっかりと上げていくというのは、本来的にはもちろん私たち小売業に携わっている者の仕事でございますので、ここにある効率化とか高付加価値化とか、そのことによる生産性のアップとか、そういうことをしっかりとやっていかなければいけないと思いますが、従来の流通業の姿、そして新流通産業の姿ということでおまとめいただいておりますけれど、従来というのはいつごろの従来かなと思いまして、もう既に、多くの生活者の皆様からご支持をいただいているところは、右側のことを実際にやっているから元気なのだと思います。
    その元気さをどう皆さん方にお伝えしたらいいかという具体的なことは、自分たちのお客さんについてはわかるのですが、私たちにもなかなかわからないというのが実情でございまして、きょうおいでいただいている先生方は、流通についての研究をなさったり、あるいは流通について関心のある方々ですから、そういう意味では、流通についてもよくおわかりいただいている方々ですけれど、実際はそうでない方たちの方が多いと思いますし、例えば、御役所におきましても、実際に流通について省内ではどう位置づけされているかということについても大変大きな問題があるので、そう考えますと、私たちの役割も大変大きいのですけれど、士農工商の商だけは今も残っている状況をどのように変えていくかということについての方向なり具体的な施策を、これからの中でぜひつくっていただければありがたいなと思います。
    そして、アメリカでは働きたい会社の中に必ず小売業が入ってくるのですが、残念ながら日本では、先ほどの渡辺先生のお話ではないですけれど、入ってこないというのは、くどいようですけれど、それは私たちの責任なのですが、明治以来の富国強兵・殖産興行という政策の中でつくられてきたイメージなり価値観なりというものが大きくあるものですから、それをどう変えていくかということについて、より具体的に私たちが何をするべきなのか、あるいはどういう形で変えられる方法をみつけるべきなのかということについて、ぜひご議論いただいたり、あるいは具体的な方向性が出るような問題意識が、あるいは計画が立てられればいいなと思っております。
  • 1つは、中小・零細小売業に向けてのメッセージが余り出ていないなと思いました。これはきょうこの会の主たるテーマではないと思いますが、実際の流通構造からいうと、かなりな部分をそこが占めているのが実態でございますので、それに対してビジョンをもう少しこの中に盛っていただけたらいいんじゃないかなというのが、一言で私のお願いです。
    それで、ほかのことをいろいろいうとそのことが消えてしまうので余りいいたくないのですが、労働生産性と営業利益率の関係ですけれど、これはいつも私が異論をいっているのですが、日本の小売業は労働生産性は絶対低くないと思います。例えば、今この問題は欧米比較されていますが、為替がかわればかわってしまいますね。為替で全部かわってしまう。ですから、今、例えばフランスの最低賃金が1,300円ですね。ユーロを160円で計算すると1,300円になると。日本では到底考えられない最低賃金になっているわけですが、1ユーロを100円と考えれば700円か800円ですから、日本の最低賃金とそう変わらないと。
    そういう問題も非常にあるので、この辺はもう少し慎重に、日本の小売業の労働生産性が低いという考え方は余り正しくないんじゃないかなと思うのですが。よく働いているんじゃないでしょうかね。向こうの連中よりずっとよく働いていると思いませんか。私はよく海外へ行ってみているけれど、日本の小売業ほど働いていないですよね。レジは座ってダラダラやっているし、あごでお客さんを扱ってサービスのサの字もないし、世界の流通業といわれるところでも結構そういうところは多いですものね。ですから、私は決して低くないんじゃないかなと思います。
    この右側の営業利益率については、これは別に為替と関係ありませんから、間違いないだろうと。ただ、これは同質的な競争の問題が非常に色濃い。というのが日本の流通業の特徴だということで、この結果になっている。けれど、一つ一つの生産性については異論ありと。何度も何度もいいますけれど、これは非常に異論があるというのが私の意見です。日本の小売業の人たちはよーく仕事をしている。これ以上仕事をしろとはいわないでいただきたいと思います。
  • 生産性の問題については、今のような議論がよくされているんですよね。ですから、表にちょっとコメントをつけるなりして考えて。ただ、私のいいたいことは、そういう議論をする前に、IT化などをすることによって生産性などは上げられるんじゃないかという問題意識を強調すべきだと。それから、よく日本は低くないといいますけれど、そうやってデータ上の議論だけしていっていいのかと、そういう問題意識もありますので、今のデータの問題はこちらの方でコメントをつけたいと思いますので、よろしくお願いします。だからといって、日本の労働者は働いているから生産性が高いと、そういうことは書くつもりはありません。よろしくお願いします。では、佐々木委員、お願いします。
  • 怠けているって書かないでくださいよ。頼みますよ。
  • 今ごろこんなことを申し上げてとは思いますが、1回目に出ておりませんので。今回の新流通産業研究会の報告書ですが、同じ流通に携わる人たちに向かってこういうものを発信するのか、むしろ最初に「生活文化創造産業」なんていう言葉が出てくるということは、自分らの産業よりほかの人たち―消費者に向けたり、ほかの産業に向けて発するならこういう言葉でいいでしょうけれど、同業の中で「生活文化創造産業」というと、「それは何なんだよ」ということになりますので、その辺のところをはっきりさせた方がいいんじゃないかと思います。
    例えば、今後の取り組むべき課題というので、効率化とか高付加価値化というのは自分らのことですから、外に向かっていうのだったら、例えば社会的責任みたいなことが頭にくるだろうしと。その辺のスタートのときの話を私は聞いていませんでしたが、そんな感じがしました。
    それから、先ほども川野さんがいわれましたように、小売業というものが国の成長に大きな役割を担っているということだと思いますので、それをするためには、企業というのはきちんと成長をしていかなければいけない。そういうことがこの今後の取り組むべき課題というところの頭に出てきて、それをうたって、いろいろな項目が出てくるのではないかと思っておりますので、小売業の地位向上や役割ということをきちんと明記していただきたいと思います。
    それから、個々の問題で1つだけお願いしたいのは、ポイントの問題が少し書いてありますね。近々の新聞にもありました。ポイントを余りし過ぎると将来にツケを回すかなと。そこも考えなければいけない。新たな研究会をつくってやられると先ほどいわれましたので、それでいいと思いますけれど、余りこれを推奨するようなことになると、いずれはそのツケが回ってくるのではないかと思いますので、その辺の書き方について、私はこれを全部読ませていただきまして、気になったところを1点だけ申し上げておきます。
  • 先ほど根本先生がおっしゃっていたと思いますが、商品によって、買い回り品と、私どもの会社が扱っているようないわゆる必需品―必需品が大多数を占めると思うのですけれど、それによってそれぞれのカテゴリーごとの、あるいは商品ごとのコスト負担力というものは結構違うと思います。
    したがって、今さらこういうことをいってもあれですけれど、中心市街地への出店というのは、必需品を扱う大多数のチェーンにとっては、それぞれの商品ごとの、あるいはカテゴリーごとの、特に必需品を扱う会社にとってのコスト負担力というのは、そういう捻出はできないところが多いと思いますので、それは個々の企業によってもちろん違うとは思いますが、一般的にいって必需品を扱うところはどうしても郊外の安い立地に出ざるを得ないということはどうしても残ってくるのかなと思います。流通の中の百何十億の大部分は必需品だと思いますので。それが1つ感じることでございます。
    それから、生産性の問題で、内外格差、国内によっても産業によって大きな格差があると。今回、その生産性の向上という観点から、標準化、特に流通システム標準化についてはかなり突っ込んだ言及がありましたし、それは非常にありがたい言及だと思っております。
    それから、標準化の中で、チェーンストアは標準化された店があって初めて生産性の向上が図れるということがありまして、少なくとも私どもの企業は大前提になっていますし、そういう経営方針で対応しております。その際に、標準化するのは個々の民間企業の努力、個々の民間企業の方針、それによって対応できるわけですが、実は我々の力が及ばないことの方が多いわけです。海外の環境を私はよくわかりませんけれど、欧米にはそういった店舗の標準化を阻害するような環境があるのかないのか、それはわかりませんが、標準化をもって生産性を上げていくことをしませんと、これからのグローバルということを考えた際に、これは報告書でも、コンビニエンスストア以外は海外への展開がなかなかなされていないという言及もありましたが、生産性の観点から海外に出ていったときにどうなのかと。
    その海外に出ていく前段階として、国内での生産性をアップしていかないと、生産性が賃金の原資になるわけですから、先ほど渡辺先生からお話がありましたように、流通業からほかの業種に転職できてうれしいという環境ではない流通業を国全体としても図れるような環境整備が必要で、そういう意味で、流通システムの環境整備ということは非常に大きい言及もありましたので、その点はよくまとまっているかなと思います。
  • 前回も読ませていただきまして、今回また修正をいただいた中で、先ほど川野さんもおっしゃいましたが、小売業は、どうも自分たちを悪いという観点で全体が、今度のところはまとめられているような嫌いがあるように私には感じられます。このA3の紙を拝見しまして、青い部分の一番下のところで、「誇りを持てる雇用の場」という、この点が、誇りがないのかなと思うのですが、私どもの会社もそうですけれど、働いている人間は十分誇りをもってやっていると思います。ですから、これを書くことによって、そうではないのかと逆説的にとられるような、そんな印象をもちました。
    それで、前回から変わってはいないところですが、本文の85ページで、「取引先への配慮」の下から2つ目の・ですけれど、「こうした業界団体及び各企業の取り組みにより、大規模小売業者と納入業者の間の不公正な取引は減少傾向を見せており、一定の成果が出てきているが、依然として公正な取引の観点から見て不当と考えられる行為や、物流センターの利用料の負担額(率)等を初めとして、取引先との協議の機会が十分でなかった例もうかがわれる」とあります。
    実際にあったのであれば、「ありました」ということでいけばいいと思いますし、この辺をあいまいにするのであれば、逆にここは書く必要はないのではないかと思います。この辺もどうも、小売は全部悪者なのだよという前提の上で、「ごめんなさい」というものを語尾に入れているような、そんな印象を受けるところが何カ所かあるという印象があります。ですから、この辺はご検討いただいた方がいいのではないかと思います。全体はすごくまとまっているというのは前回お話ししたとおりでして、すばらしいと思っておりますので、この2点をご考慮いただければと思います。
  • 前回、欠席をしておりますが、副題についてですけれど、「美しい国」というこのがここに来ると、その後、「グローバル」というのがつながるのかなという気はするのですが、この副題が目指す姿であるとか、あるいはありたい姿をあらわしているとすると、この「グローバル競争」という言葉なのですが、グローバル化というのが潮流であり、あるいは予見というのでしょうか、今まさに我々が仕事をしている予見、あるいは前提条件のような気がするんです。
    それで、今、まさに何を競争しているのといえば、生活者満足度の実現の戦いであったり、あるいは顧客満足度競争なのだと思うのです。どの企業が、あるいはどの店がそれについてお客様にいかに近づくかと、そういう競争のような気がするので、この「グローバル競争」というのは、これはまさに予見ではないのかなという感じがします。
    それから、顧客満足度を戦うに当たってのまさにインフラになるのが、そこで働く従業者のモチベーションであったり、高い志があるのかどうかというところなのだろうと思います。それで、小売業あるいは流通業の地位の向上が非常に重要になってくるような気がします。私の会社自身が小売業をやっているわけではありませんが、マネジメント、運営をしている中で、働く人たちの地位の向上が満足度にもつながるし、また、生産性向上にも不可欠な要素だと思います。
    「誇りの持てる」とか「人材化」といった表現は多少ありますけれど、もっと労働環境の改善みたいなものも含めて、ESなくしてCSはないといったところの触れ方がもう少しあってもいいのかなという印象をもちました。
  • 読ませていただいて、本当によくまとめられたなと思いますが、一番はだれが読むのかということですね。それは恐らく、小売業に身を投じたい人たちにとっては判断をするいい材料になるのだろうなという気がします。
    もう1つは、皆様方からのお話にもありますが、個人消費がGDPの60%で、それを担っているのは小売業だということからいくと、実は私は初めてなものですからこんなことをいうのは大変申しわけないと思いますが、そういうスタンスですとか、例えば、物をつくるところからお客様のところに手渡すまでのチャネルからいったら、本当に小売業はチャネルリーダーになるのだといったこととか、そういう本来もつべき役割というものをもう少し明確にして、「こうなりたい」みたいなことの意図が「生活文化創造産業」というところになれば、それでよろしいのかなという気もしたわけですが、ビジョンというのは、この先どうなるのかと、先ほど皆様方からお話がありましたが、具体的に何か突っ込んで次のステップに向かわないと、きっとこれで終わってしまうのだろうなと思います。
    生産性の問題について皆様方からお話がありましたが、これは例えば私どもの伊勢丹でいいますと、社員の生産性は非常に高い、ところがお取引先のお手伝いの方たちの給料は1人大体300万円ぐらい、商品代金に乗せてお支払いしているわけですね。その人たちまで全部ひっくるめて考えていくと、実際に1人頭の生産性からいって分配率を掛けると、40%として分配率を掛けた場合ですが、これは発表の席でも申し上げましたけれど、240万~250万円のお金しかもらえない。それが非常に大きな問題になるのだと思います。
    先ほどお話があったように、日本の小売業の店頭で働いている人たちは世界的にみてもよく働いていると思います。その人たちに対する給与がそんな程度しか払えないところに問題があるのであって、それを具体的にどうするのかということを詰めないと、生産性はいつまでたっても上がらないと思います。もちろん、いろいろな業務の改革のためとか改善のためとか、ITを使うとかというのは、それぞれの企業で十分やっているのだろうと思います。
    その中で、私は公の立場としてぜひお願いしたいなと思うのは、例えば先ほどの取引の問題にしてもそうですし、野中さんからお話があった問題もそうだと思いますが、優越的地位の乱用という問題です。これは店頭にお客様がいらっしゃって、そのお客様にどうご満足を渡すのかというと、私どもの社員とお取引先からのお手伝いという方たちがともに当たるわけですが、目標は一緒なのだけれど、出ているところが違うために、優越的地位の乱用みたいなことになっていくわけで、そこのところを解決しないと、恐らくいつまでたってもこの問題の決着はつかないだろうと思います。ですから、本当に優越的地位の乱用ということをひとくくりにしてすべて事を決めてしまうということではなく、具体的に取引問題というものを一度解決しないと、小売業がもつ派遣の問題にしてもそうですし、あらゆる問題について解決が行き届かないのではないかなという気がします。
    もう1つは、小売業の立場からいくと、この本文の中に説明がございましたけれど、お客様の声を反映したものをつくっていただくということならば、店頭を公開する、それはつくり手のところまですべて公開するという、先ほどEDI云々のときもお話がありましたが、あの部分をもう少し強く推し進めていけば、小売業が悪いというのは、特定の製造業が活躍している反面、そうではない産業が疲弊している、それはあたかも小売業が悪いみたいな言い方になっている部分もあろうかと思います。ですから、そこは店頭を公開しているのだと。そのことに合わせて皆さん方に物をつくっていただく意欲みたいなものを喚起するようなことも小売業の使命としてもっているみたいなことは、ぜひもう少し強くうたっていただく方がよろしいのではないかなという気がしました。
    初めてで大変申しわけありませんが、そんな印象でございます。
  • 最後ですので、もう皆さんからほとんどいわれてしまいました。私も一番感じたことは、ここにご列席の皆さんというのは一流の企業様ばかりでございますが、日本ではまだまだ中小・零細小売業がたくさんあるわけです。その問題にお役所等も悩んでおられるんですね。私はその面でみますと、ボランタリーチェーンというものを非常に推奨している。要するに、IT関連とか物流システム等で共通で使えるようなプラットフォームをつくるとかということは出ているのですが、先ほどどなたかがいわれましたが、競争原理をきちっと働かせるとか、新陳代謝云々というのは非常に大事なことだと思います。けれど、反面、非常に意欲的で前向きな中小・零細小売業をどうやって引き上げていくかというのは、行政にとっても大事なテーマだと思います。そういう中で、フランチャイズという言葉がこの中にどこにも出ていないと思います。きょうのには出ているのかもわかりませんが。それで、フランチャイズというのは、コンビニエンスストアも含めまして、大企業のもっているもろもろのノウハウと、個々の意欲満々の店主がもっているロケーションや労働力などに結びつける1つの重要な策だと思います。こういうものをエンカレッジしていくような政策みたいなことをもうちょっと強化した方がいいのではないかと思います。
    もう1つは、高付加価値化の中で、盛んにポイントとかクレジットカードとかと出ていて、お客様の動向をしっかりと把握して、それに合った商品をぶつけるのだよと、そういう話が大分出てきて、そのとおりだと思うのですが、これも言葉の問題ですけれど、よく「顧客から個客へ」といいますね。個のお客様、個客マーケティングということを今特にデパートさんを中心にやっておられると思います。お客様の購買履歴や属性、ライフスタイル等をしっかりつかんで、そのお客様に合った商品を情報としてぶつけていく。そういうものが今までのマスマーケティングと同時並行で行われていく、あるいはリアルストアとバーチャルマーケティングで行われていく。ということで、「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」とか「個客へのアプローチ」とか、そういう言葉を入れるとわかりやすいのかなと。
    それから、これは間違いだと思うのですが、40ページの(1)海外メーカーとの共同開発というところの4行目のところで、「流通マージンを削減する」というのは、これは気持ちはわかるのですが、「流通コスト」の方がいいのかなと思います。
    最後に、このタイトルの問題ですけれど、私もちょっとピンとこないんです。あえてここまでふろしきを広げるのだったら、私だったら、「21世紀の基幹産業を目指して」とかと、思い切って。個人消費60%ということですから。あるいは、「生活のライフライン、かつ、生活文化創造のインフラストラクチャーを目指して」とか、やるならもっと大きくいってしまった方がいいかなと思います。
  • 全体のベストプラクティスの選び方が、生活文化産業という感じになっているのだと思います。それから、ご出席いただいた企業のベストプラクティスは一通り入っていてもいいという感じもするんです。そういう中で、生産性は、抜けているところがあったら入れていってもいいんじゃないかと思います。生産性を上げていくということも考えながら、捧さんから出ましたけれど、標準化ということが重要なので、ちゃんとした生産性をたくさんの会社がおもちだろうと思いますので、ベストプラクティスの中に、標準化をしていって生産性を上げる基盤をつくっている企業のケースというものが入ってくるといいと思います。
  • それから、「標準化」でよく誤解されることがあるのですが、標準化戦略と対応化戦略なんて学者でもよく誤解して使っていますけれど、標準化というのはプロセスの問題ですよね。プロセスは標準化しても、結果は組み合わせによって多様化する。この辺は少しはっきりさせておいた方がいいと思います。標準化というと、どうも画一化と誤解されますので、その辺はきちっとポジショニングしておくべきだと思います。それから、「生活文化産業」というのは、必需品のことについてはいっていないのではないかと。でも、全体の意図からいえば、実はこれは必需品も全部含んでいるわけです。「文化」というのを広い概念としてとらえていく。でも、言葉が誤解されるということで、再検討はしてみたいと思います。
    例えば、物づくりに対して、思い切って「生活づくり産業」なんていったら、余りにもあれですか。これは1つの案ですけれど。やはり「生活文化」といった方がいいでしょうか。物づくりに対して「生活づくり」と思い切っていってもいいんじゃないか。今までとちょっと違った新しい言葉になるのかなと思いますが。考えましょうということで。
  • タイトルですけれど、何となくあいまいではなくて、それこそ小売業の社会的な役割とか地位とか、あるいはそこへ入ってみたいとか、そういうものの方がいいんじゃないかなという気はいたします。
    それから、「美しい国づくり」なんていうのは、政治が応援してくれると、それを目当てに書いていらっしゃるのかなと。それならそれでいいとは思うのですけれど。
  • 表題については、皆さんよく考えて、後でご意見等を事務局の方に寄せていただきたいと思います。何となくイメージとしてはわかるのですけれど。

以上

 
 
最終更新日:2008年8月15日
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