経済産業省
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サービス産業のイノベーションと生産性に関する研究会(第1回) 議事要旨

日時:平成18年12月12日(火)16:00~17:30

場所:経済産業省第3特別会議室(本館17階西1)

出席者

牛尾座長、秋草委員、新井委員、伊藤委員、小林委員、 斎藤委員、桜木委員、橋本委員、村上委員

議事概要

(冒頭、甘利経済産業大臣より挨拶。委員よりコメント)

  • サービス産業は、非常に多様化、多分野化している。教育、介護の他、さらに金融も含めたサービスが自由に動ける枠組み作りが重要。
  • 製造業は比較的自由に動けているため、非常に生産性が高い。
  • 日本のサービス産業の中にも世界に冠たるものが確かにある。成長を遂げるカギは、日本の中にこそ存在する。サービス産業をどのように把握し、変えていくかが課題。
  • 情報ビジネスと一口に言っても、実態としては、売上の半分以上をサービスが占めている状況にある。
  • サービス産業においては、国際的フランチャイズ、買収が進み、製造業以上の国際化が進展する中、いかにサービスに付加価値を付けるか、つまり、情報装備産業になれるかがサービス産業の成長の鍵と考えている。
  • 近年、材料としての「モノ」ではなく、機能を売るための「サービス」を如何に定義するかという「サービス工学」があり、研究が進んでいる。
  • サービス業に科学的手法がもっと取り込まれてもよいのではないか。製造業の概念設計手法にあたるものがサービスについても考え得る。
  • 1、2年後の成長についての議論ではなく、30年後を見据えて考えることが重要だ。
  • 日本が仮に1%の成長を続けていくならば、30年後には経済力は1.35倍となる。もし3%の成長であれば、2.43倍の経済力となる。最終的に2.43倍の経済力を持つためには、何を行えば良いのか、サービス産業の持続的成長のためには何を行えばよいのかを考えていくことが重要。
  • 人材・技術の日本と言われるが、なかなか成長に結びついていない。
  • 個々の企業においても、BPR等を実行して、生産性の向上に努力していく必要がある。
  • 客の要求に応えることをビジネスと定義すれば、むしろビジネスの起源はサービス産業であり、「モノ」はサービスに必要な物として位置付けられるという考え方もある。
  • 生産性はGDP/(労働時間×労働者数)という数値で表されるが、サービス産業の場合、顧客の要望にどう応えるかという、数値ではない別の観点からも捉えていくことが必要なのではないか。
  • サービス産業では知恵と質を兼ね備えた人材育成が大きな鍵。
  • ユーザーの側からの視点にたってみると、サービス産業は不透明性が目に付き、同業種の企業間比較すらできない状況。このことに大きな問題意識を持っている。
  • 現役の研究者として、産学連携を実際に市場につなげた経験を持っており、この研究会ではその知見を活かしたいと考えている。
  • 研究所のマネージャーとして、IT、政治学等様々な分野を扱い、複合的な新しい研究テーマに取り組んできた。しかし、異分野交流は必ずしも簡単にはいかず、仕組み作りが重要であることが最近わかってきた。インセンティブの創出などによる成功事例もあるので紹介したい。
  • 日本では、モノづくりへの思い入れは豊かであるが、サービスに思い入れがあるかというと疑問がある。ITの分野からサービスへ何が貢献できるか考えることが必要。
  • モノづくりに対置できる概念として、「心地(ココチ)づくり」というコンセプトを突き詰めることで、日本らしい高いサービス水準を表せるのではないかと考えている。

(自己紹介後、甘利経済産業大臣よりコメント。大臣退席後、肥塚商務情報政策局長より配布資料についての説明。)

  • 説明があった内容にはサービス提供側からの視点が多く含まれているが、ユーザー側からの視点が欠けている。
  • 以前手がけた福祉機器プロジェクトは、視覚障害者をリーダーとすることで、ユーザーの視点を入れることに成功した。プロジェクトでは、提供者とユーザーを繋ぐ人材が重要な役割を果たしており、このようなトランスレーターの育成が極めて重要だ。
  • サービス産業は健康・福祉、観光、コンテンツ、流通など「生活の質を高める」ものと、ビジネス支援、物流など、製造業の中にも組み入れられ、「効率化」がメインテーマであるものとに分けられる。
  • 製造業の知見を取り入れられるのは、主に後者である。前者については、生産性向上の指標だけではなく、「心地良さ」、「質」を高めるという視点も考えていく必要があると考える。サービス産業の課題については、複数の物差しが必要である。
  • 製造業などに優秀な人材が行ってしまい、サービス産業には人材が入ってこないという問題も抱えている。サービス産業は、単に製造業の補完的役割にとどまるものではないというロジックを期待。
  • 国内市場ばかりに目が向きがちなサービス産業においては、国際的視点を持つことが極めて重要。国際的なベンチマーキング作りやモデル作りなど、幅広い視点に立ってサービス産業の国境を取り払って考えるべき。
  • 200年以上継続した老舗企業が集まった協会に持続性の秘訣を聞いてはどうか。
  • 民間活力を基本とする方向性は正しい。その上でサービス産業では、サプライサイド、デマンドサイド、市場のインフラという3つの視点から考える。サプライサイドからはITの活用に加え、国際化という視点が切り口だ。デマンドサイドでは、高齢化の進展がビジネスチャンスを提供する。
  • 市場のインフラについては、医療改革や介護保険などの規制緩和の他、不動産の証券化などのように、新たな産業や市場が生まれる制度にも着目すべきだ。総花的ではなく、カギになるような分野について、インセンティブを変え、サービスが変わり、生活を変えるといったような事例が重要。
  • ITとネットワークをうまく活用するインセンティブを作っていくことが極めて重要。
  • スピード、スケール、グローバル、ITリテラシーが、サービス産業の今後の鍵を握る。
  • ネットワークをうまく提供し、イノベーションへの知恵をつけさせるような取組が有効ではないか。
  • 従来、製造業は、製品を勝手に作り、そして作った製品は絶対に買ってもらえた。しかし、現状では製造の仕組みと顧客の評価の仕方が分かっているかいないかで、成果が大きく分かれる。
  • サービスについての評価基準が定まっていない場合には、製造業の仕組みを応用して、顧客の評価をとらえることが非常に重要。
  • サービス業に製造的観点を入れた設計手法を用いることでサービス業の8割方は改善されると考える。
  • サービスを支援するためにITをどう活用するか、お客様の声をどう具現化するかという観点が重要。
  • 米国とは異なり、日本では経営者が顧客との接点となる部分のIT化への投資に消極的という傾向がある。経営者の意識改革を進めてゆく必要があるのではないか。
  • 製造業はグローバルで市場に参入し易いが、サービス産業はローカルという特徴がある。しかし、サービス産業の競争力強化のためには、サービス産業のグローバリゼーションを常に念頭に置いて議論することが重要。
  • 次回会合では、ユーザーの視点でどのような評価基準、評価機関があるのかについて教えて欲しい。
  • 欧州では、政府が負いきれない社会的課題の解決を産業に委ねるという流れの中でCSRが発展した。サービス産業のこのような使命について民間は自負を持っており、これをどう競争力の強化にもつなげるかという視点で、ビジネスチャンスが探られている。
  • CSRの考え方は、あらゆる産業に活用されるべきものであるが、サービス産業では本業を通して社会に貢献するなど、直接的にビジネスの内容に関係があるものと考えられる。
  • サービスの質の向上により、サービス産業が活性化すると、雇用も増大し、結果的に売上の増大につながると考えられる。生き甲斐や働き甲斐をキーワードとしてもよいのではないか。顧客の受ける便益、顧客の評価について測ることはできないだろうか。
  • アメリカでは、女性が外で働くようになり、家事を外注するという新しい形態が出現した。さらに、こうした仕事がビジネスとして確立されることで、サービス品質が向上した。
  • 日本のサービス産業はコスト競争をさせ、評価に晒されることが重要。日本のサービス産業は、リスクマネジメントについての訓練がなされていない。
  • アメリカではデマンドサイドの意向を取り込む仕組み作りが発達している。一方、日本ではサプライサイドの論理が多く、デマンドサイドの視点が必要。
  • 雇用を作ることが必要。サービス産業についての評価が確立すれば、もっと人も集まるようになるはず。アメリカの好景気の過程で、雇用を吸収しているのは、サービス産業である。
  • サービス統計の整備が重要。アメリカではサービス分野での雇用の動きを把握できている。我が国では、サービスの実態を捉えるための統計がまだ不充分である。
以上
 
 

最終更新日:2006年12月25日
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