移転価格税制研究会(第3回) 議事要旨
日時:平成18年12月27日(水)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階西6第1特別会議室
出席者
| (委員) | |
| 阿部泰久 | 日本経済団体連合会経済第二本部長 |
| 安藤一郎 | 日本貿易会経理委員長(三菱商事株式会社コントローラー) |
| 加藤彰 | シャープ株式会社経理本部経理部参事(電子情報技術産業協会財務税制委員会委員長) |
| (座長) | |
| 川端康之 | 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授 |
| 佐藤正勝 | 青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授 |
| 高原宏 | 武田薬品工業株式会社経理部長(日本製薬工業協会代表) |
| 浜田英之 | トヨタ自動車株式会社東京総務部経理室長(日本自動車工業会税制部会長) |
| 福島節子 | 税理士法人トーマツパートナー |
| 本庄資 | 国士舘大学政経学部経済学科教授 |
| 別所徹弥 | 新日本アーンストアンドヤング税理士法人顧問(羽床委員代理) |
| (敬称略、五十音順) |
議題
- 運用基準明確化にむけた検討状況について
- 移転価格税制を巡る論点の検討の進め方について
- 平成19年度税制改正要望の結果について
- 今後のスケジュールについて
議事の概要
- 各産業界からの基準明確化の検討状況の報告及び議論(下記参照)があった後、座長より次回会合(1月末を予定)に検討結果報告を行うこと、及び今後の検討を進めるにあたっての留意点についての発言があった。
(各産業界からの報告)
(1)電機
- 引き続き調査・検討中であるが、各社の意見を聞いてみると、国、地域等につき標準化するというのは現段階では困難が伴うという印象。
- 無形資産については、その形成についての費用は親会社が全額負担している場合が多々見られ、その場合、当該無形資産が生み出す利益の親会社の貢献度は100%となる。なお、マーケティングについては、通常のマーケティングはどこの会社でも行っているので、取引単位営業利益法(TNMM)等の分析では、考慮する必要はないという意見がある。
- その他としては、事前確認制度の定型化(フォーマットの作成)、租税条約が締結されていない国・地域に係る移転価格課税後の救済措置についての要望が挙がった。
- 来年1月を目途に、業界での結論を出す予定。
(2)製薬
- 他の産業界に比して、製造コストが低く、研究コストが高い。よって、利益に寄与する研究開発費の割合が高い。また、海外での販売にあたって海外子会社の無形資産(政府からの販売承認、ブランド、販売ノウハウ等)の貢献を評価する必要がある。
- 先日の業界の会合では、比較対象の選定の困難性等から意見集約に至っていないが、日本独自にモデルを策定しても、相手国の当局がそれを受け入れるとは限らないため、我が国の国税当局との見解の相違が生じ二重課税リスクが高まるおそれから、業界モデルの策定には慎重になっている企業が少なからず存在。
- 1月中に業界での結論を出す予定。
(3)商社
- 20社調査しているが、その結果、対象国、対象取引、業種(扱っている商品)は、資源、販売等多種多様にわたっており、一義的に決められない。
- 国税当局には、国際的に調和した内容の指針を策定して頂きたい。
(4)自動車
- アメリカ等の先進国のような高度化された市場もあれば、東南アジアのような途上市場もあり、多種多様。また進出形態(完成車のみ現地製造する段階、部品も現地製造する段階等)によって、ビジネスの形態が大きく異なる。そのため、比較対象取引(コンパラブル)が非常に見つけにくい。また、相手国で50%以下の出資しか認められていない子会社については、比較対象候補から除外すべき。
- 独立企業間価格の算定方法につき、製品のモデルライフを考慮した算定を行って欲しい。特に初期投資をどう評価するかは大きな課題。また無形資産に関する独立企業間価格の算定方法が恣意的であり、特に国税当局は残余利益分割法だけを使う傾向があるが、それは不適当。
- 今後のスケジュールは、1月に自工会としての結論を出し、それを部品業界に諮って意見交換をしたい。
(5)経団連
- 租税法定主義に則り、移転価格事務運営要領の規定の明確化(法定化)をしてほしい。
- 通常の更正処分の場合立証責任は国税当局にあるが、移転価格税制においては立証責任が国税当局にあるのか企業にあるのかが曖昧。
- 事前確認制度について、申請処理件数が増大しており、国税当局の担当人員の拡充をお願いしたい。それから、大企業のみならず、中堅企業にも事前確認制度(APA)の活用の道を開いてほしい。
(議論の概要)
- 現行法令では、基本三法(独立価格平準法、再販売価格基準法、原価基準法)が使えない場合、次の手法として利益分割法等その他の方法を使うことを規定。しかし、運用上国税当局によって(基本三法を使わず)利益分割法が多用されているのが日本の現実。取引単位営業利益法(TNMM)等の手法もあることも念頭に置くべき。
また、そもそも、現行法令通り、まずは基本三法を使うことを考え、それが本当に使えない場合に限りその他の方法を使うべき。その他基本三法が使えないということの立証責任についても考えるべき。 - 立証責任の問題については、関連する情報の保有、入手の問題も併せてよく考える必要がある。米国では80年代後半~90年代前半に、無形資産の評価を適切に行えなかったために、IRSが訴訟に負けるケースが続いたため、OECDガイドラインとの整合性も踏まえ、独立企業間価格算定のための情報収集できる権限を課税当局に与える規則改正が1994年に行われた。
- 移転価格税制については、これまで当事者や当局の間のみの閉じられた中で行ってきたという歴史があったが、昨今の問題の高まりを踏まえると、相互協議の結果など、ある程度の情報は産業界で共有化してスタートラインを統一しておかないと、問題が起こる度に引き続き個別に対処するようなことになってしまう。
- 無形資産の認定については、初期投資の評価、販売力も含めた販売上の無形資産 をどう取り扱うかがポイント。
- 無形資産の評価については、国毎に執行面で一貫性を欠いた取扱をしているのは良くない。例えば、販路開拓のための合併等が行われていたときに、貢献度(残余利益分割法)等において国毎に異なった扱いをするべきではない。
- 事前確認税度(APA)については、中堅企業に関しては、負担が少なくなるような措置をとるべき。
- 日本の制度のみならず、OECD移転価格ガイドライン自体を変えて行く必要があるのではないか。結合された企業グループに対して、二十数年前に策定されたガイドラインをそのまま適用できるのか、担当官庁に主張していくべきではないか。
- 来年、納税の猶予制度ができるが、租税条約が締結されていないために相互協議ができないケースでも猶予の対象に含めるべき。
- 「移転価格」の意味について、一般的にはマネーロンダリングの意味も含むため、諸外国では移転価格税制の話をする際にまずは「移転価格」の意味をはっきりさせている。議論の焦点を合わせるためにも、そのようにすべき。また、企業は脱税をしようとしているのではなく、きちんと納税をしようとしているが、移転価格税制で同じ使われ方をしているのが問題。
- 移転価格の性格については、「あるべき真の価格」という考え方と「税制上のある程度の割り切りを持った価格」という考え方があるが、二国間協議を経たようなものは後者のような性格のものにならざるを得ないが、課税当局の裁量を広げすぎないためにも、議論の出発点は前者であるべき。
- 二国間協議については、租税条約の規定に基づかなくても出来るはず。ただし外交ルートを通す必要が生じるので、現実にはあまり使えない可能性が高い。
- 移転価格税制を巡る論点の検討の進め方について
座長より、今後の論点の検討の進め方について、座長ペーパーに従い説明があった。 - 平成19年度税制改正要望の結果について
事務局より、資料に従い平成19年度税制改正要望の結果報告を行った。 - 今後のスケジュールについて
- 資料に従って今後のスケジュールを説明。(とりまとめを4~5月に行う事を前提に今後3回会合を行う予定。)
- なお、次回(第4回)の日程について、事務局より来年1月末に行う予定の旨の連絡があった。また、次回の進め方について、運用面のケースの詳細な議論を行う中で個別企業の機微な情報に議論が及ぶ可能性があるため、非公開で行う旨の連絡があった。
以上
お問い合わせ(事務局)
貿易経済協力局貿易振興課
TEL:03-3501-1662
最終更新日:2007年1月29日
