グローバル経済下における国際投資環境を考える研究会(第4回) 議事要旨
日時:平成19年3月14日(水)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室
出席者
青木委員、石綿委員、内田委員(佐久間代理)、江川委員、亀崎委員、木村委員、島崎委員(小原代理)、武井委員、中西委員、西川委員、野口委員、畑委員(村端代理)、村山委員、山本委員
議題
対内投資規制見直しに関する具体的論点について
議事概要
事務局より、対内投資規制に関する論点について説明。その後、討議における主な意見は以下のとおり。
(1)前回までのレビュー
- 全体の考え方について
- 外為法という政策手段でと安全保障という目的は完全にフィットしない。このため外為法の枠組みで全部カバーするのは無理。外為法で出来る部分を手当てし、できない部分は他の枠組みで対応するべき。
- 今回の見直しは投資の促進を前提に過去15年手が付けられなかった制度を見直すものであり、この機を利用して規制強化を行うものでは無い。
- 外国で取り入れていない規制までを含めるものではなく、欧米の水準に近づける対応、実効性を高めるための対応とすべき。
- 規制対象の列挙方式及び範囲について
- 外国の理解を得やすい、予見可能性が高い、定期の見直しコストが省けると言った観点から、輸出管理令に準拠すべき。しかし、防衛生産基盤の維持という観点から過不足を調整すべき。
- テロ、犯罪、細菌戦等の新たな脅威への対応のため、武器、航空機、宇宙といった既存分野に加え、センサー、計測機械、工作機械、素材といった分野も規制すべき。輸出管理のキャッチオール規制の概念を入れて、汎用品についても規制をかけていくべき。
- 輸出管理と投資規制の差をよく考えるべき。武器転用可能性のあるローテク品もキャッチオール的に規制対象とすることになるのは不適切。
- 日進月歩の技術について、安全保障上必要な部分を把握し対応できる体制とする必要があるが、対内投資を阻害しないという観点も重要。
- 事前確認手続きについて
- 企業からのディスクロージャーに関して、有価証券報告書等に記載するイメージなのか。機微な事業を行っていることを対外的に宣言するのは、産業スパイを招くなどデメリットが大きい上、出せる情報にも限度があるのではないか。
- 重要な製品を作っているほど防衛省との契約上の守秘義務が強くなるため、投資先企業から事前に何を作っているか開示するのは不可能。
(2)対内直接投資規制に関する諸論点について
- 結託型投資について
- 資本関係がある者による投資に加え、資本関係がない者が実質的に結託して投資を行う場合も、実効性向上の観点から規制対象とすべき。
- 現行法27条13項で既に外国投資家のために投資を行う者を外国投資家とみなしているのであり、この規定を実効的にするためにも、証取法の実質保有者概念を入れるべき。
- 実質共同保有者は投資家にとって既に大量保有報告書で開示している情報であり、外為法にこの概念を取入れても違和感はない。
- 実質共同保有者概念の導入については、証取法上の情報開示制度との目的の差や違反時の罰則等の観点から、慎重であるべき。外国投資家の範囲が広範となり、事業活動の大きな制約となりうることを認識すべき。
- まず、規制事実の有無及び結託型投資の具体的なリスクについて検討すべき。
- 外国投資家と日本人投資家とが結託して10%を保有した場合で、日本人投資家の方が保有比率が大きくても、実質的にリードしている者が外国人である場合には、規制を及ぼすべき。
- デットの取得について
- 世界各国に拠点を設け、企業グループ内で資金をプーリングしながら世界規模で最適配分している企業実態がある。ファイナンス目的の普通の貸付に対する規制は重荷。転換権等支配をうかがわせる条項があれば規制対象とする等の限定づけが必要。
- 貸付にはいろいろな形があり、明確な貸借契約等を伴わないものも理論上ありうるが、どこまでを対象とするのか。
- 金融機関以外の企業が貸付を行っている実態はあるのか。
- 海外で発行した株式の取得について
- 防衛事業を行う部門又は子会社を持つ会社が行う、海外での株式発行を制限するものであってはならない。
- 行政の情報収集について
- 情報収集の枠組みを決めることが重要。安全保障の分野では、コストダウンを目的として、主要部分に両用品を用いるようになっている。何が機微な技術なのか等の内情について、投資先企業の情報収集をきちんと行う必要がある。
- 事前相談でも届出後の審査でも、調査を行う行政庁に強制的な調査権限がないと、守秘義務のかかっている企業側は情報を出せない。任意調査ではなく、強制調査にすべき。
- 敵対的M&Aの場合は基本的に公表情報をもとに投資してくると思われ、今回の見直しによる情報収集義務の強化は、外国投資家にはかなり厳しい規制となる。投資先企業にとっても過度な負担とならないよう配慮すべき。
- 例えば、収集する情報を事前に明示しておく、短期間で結論が出せる場合と時間を掛けて重点審査を行う場合と2段階方式で審査を行うなどの負担軽減策が考えられる。
- 外国政府とのインテリジェンス・シェアリングも考えるべき。
- 勧告等の対応や付与する条件を考える端緒となる情報を届出の際に出させるべき。投資後に安全保障に害を及ぼすようなコミットメントを取るために規制するという観点から、届出に際して外国投資家に出させる情報を拡大しても良いのではないか。
- 審査の際に活用すべき重要な情報として、外国投資家の属性がある。
- 敵対的な買収において、投資先に言わずに事前に政府に相談が来たときはどうするのか。政府が間に入り、情報を管理する枠組みが必要。
- 企業に問合わせ、情報だけを入手して逃げてしまう場合もある。政府の責任は重くなるが、こうした投資家への対処のため、国賠措置も含めて政府が間に入る必要がある。
- エンフォースメントについて
- 刑事罰には限界があり、問題事例への対処について実効的な制度が必要。最初から届出を行わないような悪意ある者に対しては、事前届出と刑事罰だけでは対応できない。
- 会社分割や株式売却を命令できる仕組みを確立して、違法状態には厳しく対応することが必要。
- 議決権の停止処分や課徴金の導入の可能性についても検討すべき。
- エンフォースメントについて、政府は最後の切札を持っておくべき。仏方式が合理的であるが、事後介入方式を導入する必要があれば、米方式を組み合わせて行くのが望ましい。
- 議決権の10%を基準とすることの合理性について
- 外国投資家の取得比率の10%の制限は維持すべき。外国投資家によるファイナンス面での貢献は10%以下の取得であり、10%を超えるものは支配目的と考えられる。
- 事後介入制度の導入について
- 特に国防上の影響が大きい場合に、事後に問題が発覚・発生したら再審査できるようにすべき。
- 現実の運用にあたっては、様々な限界事例、問題事例が出てくる。こうした事例に対応するため、重い手続き要件を行政庁に課してでも、事後介入の余地を残しておくべき。
- 外国投資家にとって再審査可能性のリスクが投資阻害的に働くのであれば、投資時点でこうした可能性をリスクとして知らせるような手続きを整備してはどうか。
- 安全保障は国の基本であり、事後介入方式を取り入れることで敵対的な買収に対しての抑止力となる。
- 事後介入手続きは、実際に発動すると外交問題になる。できるだけ水際で止めるようにすべき。
- 事後介入を今回導入するのは時期尚早。
- 許可したが事後に規制対象技術を獲得した場合や、投資時点では届出対象だったがその後届出対象となった場合等の場合もあり、この場合株式取得を問題にすることはできない。最終的にはモノや情報の移動を慎重に管理していくことが重要。
(3)その他の指摘
- 現行の政省令には、現在の会社法や証取法のスタンダードに照らして古い概念が残っている。政令3条4項の「株式の分割」や「転換」といった用語を、会社法の概念に合わせる必要がある。
- 我が国の一つの問題は、両用技術に対する認識が低く、問題のある投資に気づく人が少ないこと。本件見直しに関する議論について関心が高まっている現在を好機として、世の中にアピールすべき。
以上
最終更新日:2008年3月6日
