経済産業省
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総合資源エネルギー調査会総合部会(第3回) 議事録

平成18年4月12日

黒田部会長
 ちょっと時間は定刻より早いようですが、今日は出席率がよくてもう全員がそろっていらっしゃいますので始めさせていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。総合資源エネルギー調査会第3回の総合部会を開催させていただきたいと思います。会議に先立ちまして、岡村委員のほうからご発言を求められておりますので、岡村委員からご発言いただきたいと思います。よろしくお願いします。
岡村委員
 岡村でございます。石油分科会という立場で出席をさせていただいておりますが、本日は東芝の会長という立場で一言皆様方におわびを申し上げたいと思います。
 ご案内のように、昨日、原子力流量計データの不適切な処理の問題につきまして、社内調査の結果をご報告申し上げ、再発防止策と社内の処分案につきましてご報告をさせていただきました。内容については報道のとおりでございました。法令上、安全上の問題はないということは確認できましたものの、原子力プラントに対する信頼を大変損ねる結果となりましたことに対しまして、改めて深くおわびを申し上げます。昨日発表させていただきましたように、厳正な処分と再発防止策をしっかり実行していくということを皆様方にお約束をさせていただきまして一言おわびをさせていただきました。まことに申しわけございません。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは会議を始めたいと思います。前回ご議論いただきました新・国家エネルギー戦略の中間とりまとめ案につきましては、その後いただきましたご議論を踏まえて若干の修文を事務局とやらせていただきまして、既に委員のお手元には参っているかと思います。今日も添付資料の中にその中間とりまとめの結果を用意してございますので何かありましたら事務局のほうへお伝えいただきたいと思います。また、経済産業省のホームページにも掲載されているところでございますので、その向きにはごらんいただければというふうに思います。
 総合部会は、今回から、今度は各分野の検討を進めてまいりまして、5月に予定される新・国家エネルギー戦略の最終とりまとめに向けて、まだ議論の足りない点を幾つか議論していただくということ、それからその後にありますエネルギー基本計画の改定に向けて具体的な議論を進めてまいりたいと思います。進め方につきましては第1回目において事務局から説明がありましたとおりに総合資源エネルギー調査会の各部会、分科会におきまして既にいろいろな分野についての検討がなされつつあります。その検討の状況をここでご報告いただきながらご議論いただきたいというふうに考えております。今回は石油・天然ガス政策、これは石油政策小委員会における検討の状況を踏まえて現状をご説明いただくことと、エネルギー安全保障、これはエネルギー安全保障研究会における検討状況を踏まえてご報告いただくという2つをご用意をいたしております。
 それではまず議事に入ります前に事務局から資料の確認をさせていただきます。よろしくお願いします。
高橋調査官
 はい、それでは配付資料の確認をさせていただきたいと思います。資料一覧の下に議事次第、及びその下に各委員の名簿、及びその座席表となっておりまして、その下に右肩に資料1石油・天然ガス政策(石油政策小委員会における検討状況)についてというA3の7枚紙がございます。その下にクリップでとめさせていただておりますけれども、エネルギー安全保障に関する検討について資料2ということでございまして、まず右肩に資料2-1と書いたA3の1枚紙。その下に資料2-2と書きましたA3の2枚紙。その下に資料2-3と書きましたA3の2枚紙をつけてございまして、その下に資料2-4というA4の9枚紙をつけさせていただいております。以上が配付資料でございますので何かございましたら事務局のほうによろしくお願いしたいと思います。
黒田部会長
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは第1議題の石油・天然ガス政策、現在石油政策小委員会でご検討いただいておりますが、それについてまず事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。あわせて橘川委員に石油分科会石油政策小委員会の委員長していただいておりますので、事務局の説明の後、委員長から若干のコメントお願いしたいというふうに考えております。それでは事務局、よろしくお願いします。
近藤部長
 資源燃料部長の近藤でございます。お手元の資料1に基づきまして、今部会長からご指示がございました石油分科会での議論につきましてご報告を申し上げたいと思います。
 まず、この資料の一番最後のページをちょっと開いていただきたいと思います。
 私どもは、岡村会長のもとに昨年の10月27日でございますけれども、石油政策小委員会というものを設置をしたわけでございます。この7ページの左側に委員の名簿が載っておりまして、委員長に橘川先生、副委員長に河野光雄先生、あと関係各界の方々、有識者の方々に入っていただいて小委員会を開催してございます。昨年の12月から始まりまして、今年の2月、3月、4月とこれまでに上流、精製、燃料多様化、備蓄といったことについて議論をしてまいりました。また、4月18日でございますから来週でございますけれども、石油の流通の政策についてもこれから議論いたします。その上で小委員会としての報告書を取りまとめて最終的には分科会にお諮りをすると、このように考えておるわけでございます。中身に入りますので1ページに戻っていただきたいと思います。資料に沿って簡単にご説明をさせていただきます。
 この石油政策の課題につきまして、昨今の石油情勢は大幅に動いております。そういう中で改めて検討しようということでございます。この検討の背景でございましたり、検討の視点ということにつきましては、簡単に横にこのグラフを見ていただけますが、世界のエネルギー需要が今後6割ぐらい増えていくと。その中でもとりわけ中国の需要はこのような右肩に一気に上がっていくような需要増を示していくと。ところがOPECの依存度がどうしても高くなる。そういう状況の中であるにもかかわらず、例えばOPECの余剰生産能力は昔のような、例えば2002年のころのような800万バレルぐらいといった状況から今や300万ぐらいしかないと、こういうグラフが見てとれるわけでございます。また、精製能力のほうもこの1番右の表でございます。赤い点線で精製能力があるわけでございますが、それに比べて需要の方はどんどん右肩上がりで伸びてきておりまして、例えば15年ぐらい前の数字でいきますと、精製能力に対して実際に需要のほうとの差で700万とか800万ぐらいの余剰能力があったわけでございますが、現時点ではもう本当にわずかしかないという状況になっておりまして、どこかで何かが起こると直ちに問題が起こるということがこのグラフ1つとっても見てとれるわけでございます。こういう状況の中でこの左から箱を5つ書いてございます。上流、精製、流通、燃料多様化、そして石油備蓄と、この左の方から石油天然ガスの確実な確保でございますとか、国内の供給体制の強化、そしてリスクの分散化、そして何かあったときのための緊急時の対応と、こういったことで議論をしておるわけでございます。きょうは上流、精製、燃料多様化、石油備蓄と、この流通を除きましてこれまで議論してきたところのご報告をいたします。流通は来週でございますので、きょうは説明をいたしません。それぞれページを1枚ずつ作ってございますので2ページをご覧いただきたいと思います。
 まず上流でございます。これはまず左の上に現状ということで見ていただきたいのでございますけれども、どうしても石油は中東に依存をするわけでございます。現時点でも石油の埋蔵量というのは、非常にやや丸めて申し上げますと、世界のうちの4分の1くらいがサウジアラビアにある。イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦と、こういったところが10%ずつぐらいあるということで、この5カ国だけで世界の6割を持っているわけでございます。こういう国々についてはその1番上のところの1つ目の箱でございますが、国営の石油会社がコントロールをし、対応していくわけでございます。そういう中でキャッシュ・フローはそこそこ豊富にあるにもかかわらず、なかなか炭鉱開発の機会が十分にない。また2番目の箱のところでございますけれども、確認埋蔵量の追加は急減をしておる。これは、例えばこの10年間で見ますと生産量の半分ぐらいがやっとその確認埋蔵量として追加をされただけでございまして、それ以前は生産量以上に確認埋蔵量の追加があったわけでございますが、最近ではいよいよなかなか確認埋蔵量は増えてこない。こういう状況になってくるわけでございます。また、炭鉱開発のコストも相当高くなってくる。こういう状況の中でこの一番右の箱のところでございますけれども、結果として資源獲得競争が相当激化をしてくる。M&Aでやっていくとか、LNGや非在来型の石油天然ガスの資源開発、例えばオイルサンドとかこういったものも含めてやっていく。また重質の油を掘っていく。こういったようなこと。さらには深海の、深い海での鉱区といったリスクの高いもの。こういったことをやっていかなければならないわけでございます。課題として改めて見ますと、この横に見ていただきますが原油の中東依存度というのが一時期67%ぐらいまで一旦下がったんですけれども、最近ではまた9割ということで、先ほど申し上げましたようにどうしても石油の埋蔵量は中東に偏っておりますので中東の依存度は相当高くなってくるというわけでございます。そういう中でありますけれども私どもとしては自主開発比率を上げていきたいと思っているわけでございます。現時点では15%ぐらいということでまだまだ程度が低いわけでございまして、例えばフランスやイタリア等々を見ましても、フランスはもうほぼ100%ぐらい、イタリアでも5割を超えるような水準でございますので、これをもっと高めたいと、こんなことを思っているわけでございます。
 そのための1つの実例が、その右に書いてございます国際石油開発と帝国石油開発の経営統合というものでございます。中核的企業の国際競争力の強化に資するものということで、この経営統合は私どもも高く評価をしているところでございます。この4月にホールディングスを設立いたしまして、2008年の6月に完全統合ということで考えておるところでございます。このような状況のもとで、対応策でございますけれども、左のほうから見ていただいて石油・天然ガスの自主開発をしっかり進めていく。中東依存度の低減を図るために供給源の多様化をする。産油国、産ガス国との関係を強化する。石油・天然ガスの資源獲得能力を強化するための技術開発をする。こういったことをやろうと思うわけでございます。具体的にはその右側に注釈等のような形で書いてございますけれども、例えば政府関係機関が戦略的に連携しながら石油・天然ガス開発企業を総合的に支援していく。それはODAの連携とかGCCとのFTAとかそういう幅広い対応で対策をしていこうということでございます。こういった対策を進めていくためにこの右のところに5つの丸が書いて、戦略的な連携と書いてございます。政府、そして中核的企業を含みます石油開発企業、それから貿易保険、それから石油天然ガス・金属鉱物資源機構、それから国際協力銀行と、こういったところが有機的に戦略的に連携をしながらこういったところを進めていきたいと思っておるのでございます。これがまず上流の議論でございます。
 3ページはちょっと参考資料でございますので、今日は時間の都合もございますので省略をさせていただきます。
 4ページをごらんいただきまして、精製でございます。精製の現状ですが、まず一番上の左上でございます。1990年代以降、過剰設備の廃棄を行いました。その結果として現在の稼働率は85%ぐらいということでまずまずの水準かなと思うわけでございます。ただそのわりにはこの右側、精製の規模でございますけれども、アジア諸国と比べて小規模な精製能力と書いてございます。シンガポール、台湾、韓国に比べても一製油所当たりの精製能力が小さいわけでございまして、これはなかなか効率的になってこないわけでございます。また、この右側に諸外国に比べて分解装置の比率が高くないということが大きな問題としてあるわけでございます。こういう低い分解装置の比率を今後製油所の高度化といったことで分解能力を向上させていくことが非常に重要なテーマになるわけでございます。一方、その出てくる私どもが必要とする油は形質分が中心になってまいりまして、ちょうど真ん中辺に書いてございます。重質分はやや余るような状況になってくるわけでございますので、それをいかに分解する能力を増やしていくかということが非常に重要でございますし、さらにこの右側、精製間、精製の間でお互いにいろいろとインテグレーションする。さらには石油価格との間でもインテグレーションをするということでいろいろな形での統合ということが非常に重要なテーマになってくるわけでございます。そのために私どもといたしましては、対応策として3つ。1つは効率的な生産体制を実現するために技術開発をしっかり進めていく。この中には非在来型原油、これは、例えば先ほど申し上げましたオイルサンドに例をとりますと、これはもうサウジアラビアと同量くらいあると言われておるわけでございまして、さらには超重質油、例えばオリノコタールのようなものでございますが、そういったものの開発、こういうものを分解する技術ということも非常に重要なテーマになります。また、2番目に製油所の高度化ということも重要になってまいりますし、さらには国際展開、我が国は軽油は残念ながらあまり使う量が多くないわけでございますので、こういうものをいかに輸出するかといったことで国際展開を図りながら効率化を進めていく、こういったことが必要なのではないかというのが精製でございます。
 それから5ページに参りまして、燃料の多様化でございます。燃料の多様化の1番上のところをご覧いただきますと、運輸部門におきましては石油の依存度が非常に高い。この一番上に張りついたように線が引いてございます。赤い線で97.9%と、これが運輸部門での石油依存度でございまして、これが非常に高いわけでございます。今後、その1番右のほうを見ていただきますが新燃料油の導入ということで、バイオエタノール、ETBE、これはエチル・ターシャリー・ブチル・エーテルでございます。それからガス・トゥー・リキッド、バイオディーゼル、ジ・メチル・エーテル、水素といった新しい燃料を導入して燃料の多様化を図っていきたいと、こんなことを考えているわけでございますし、また、GTLのところで少し例を申し上げますと、真ん中の右側でございますけれども、ヨーロッパではディーゼル車比率はどんどん上がっている。40何%というような勢いで伸びておるわけですが、日本のほうは逆に今やディーゼル車は0.10%ということでほとんどない。こういうような状況に乗用車に限ってでございますけれどもなっておるわけでございます。ほんとうはディーゼルのところはもう少し上手に使う方法を進めていくことがエネルギー効率の観点からも重要だと考えておるわけでございます。その中で対応策といたしまして、まず左側のバイオエタノールの活用をしっかりしようじゃないかと、そのために社会インフラの整備をしようじゃないかと、こういう大きな固まりが1つ。そして2つ目が真ん中からその3つ目の箱でございます。2番目の点としてクリーン・ディーゼル車の普及、促進をしていこう、関係者の認識を共通にしていこうと、こういうこと。さらには技術開発ということで、技術開発をしっかり進めることでこういう燃料の多様化を進めていきたいと、こんなことを考えているわけでございます。
 6ページでございます。これが備蓄の観点でございまして、我が国は、現時点で備蓄制度で91日の国家備蓄と民間備蓄76日ということでIEA加国と比較いたしましても遜色のない備蓄水準を保っているわけでございます。ただ、その右側にハリケーンのときの資料を少し書きました。これは、これまでのオイルショック、石油の供給でのいろいろな問題というのは供給国サイドの問題、そして原油が出てこないという問題だったわけでございますが、昨年のハリケーンカトリーナの場合は需要国サイドの問題、そして製品が足りないという状況だったわけでございます。その中でこの課題のところを横に見てまいりますけれども、アメリカは今後相当大幅に国家備蓄の積み増しをしようということを検討してございまして、今持っている7億バレルを10億バレルぐらいにしたいという動きがございます。また、先ほど申し上げましたように需要国サイドでの問題、そして製品の問題という事態が起こってまいりましたので、これを製品の供給に対してどういう対応をしていくかということを考えなければいけないわけでございます。
 昨年のハリケーンの対応の際には石油業界の理解、協力のもとで日本は非常にスピーディーに対応ができたわけでございますけれども、このままでよいのかとこういった観点から私どもが問題意識を持ちまして、今ご議論いただいておりますのはその対応策のところでございます。左側の備蓄の水準について申し上げますと、民間の備蓄日数をむしろ引き下げ、その分を国のほうでしっかりと見て、全体としての備蓄水準を確保し、さらには可能な範囲でしっかりと備蓄水準を向上させていく、トータルの備蓄水準を向上させていくといったことを検討すべきではないかと。また、石油の製品備蓄ということでこれは原油と違いますのでタンクに入れっ放しというわけにはまいりません。したがいまして、品種を絞ってなおかつ民間の製品在庫と混合蔵置とを交ぜたような、このタンクの中の1万キロリットル分は国の分というような考え方での混合蔵置といったことをしなければいけないのではないかと、そのときの分量は処理をするスピード、それから対応のスピードを考えるとせいぜい1日分ぐらいでいいんじゃないだろうかと、こんなことを今議論しているわけでございます。また、備蓄放出の機動性の強化ということでこの右側でございますけれども、放出オプションの多様化ということで、例えば全部お金を耳をそろえてでなければ売らないということではなくて、まず玉を出した上で機動的に対応できるような売り払い代金の延納措置でございますとか、これはアメリカでも行っておりますが、国家石油備蓄を貸し出してあげますと、原油価格が上がった場合にはちゃんと同じ量を返してもらうし、下がった場合には決して得になってはいけませんから、ちゃんとそのお金で同じ額を、分量としてはもっとたくさんを返すというような形での貸し付け制度と、こんなことも導入したらどうか。さらには情報収集、これが平常時の情報収集機能が落ちておりますのでこういったことをもう少し充実をさせたらどうか。このようなことを今議論しているわけでございます。
 1ページに戻りまして、そういったことで今、上流、精製、燃料多様化、備蓄、さらに来週流通を議論させていただいてそれをまた取りまとめて小委員会でおまとめをいただき、また分科会でご議論いただこうと考えているわけでございます。事務局からの説明は以上でございますが、続きまして委員長の橘川先生のほうからご発言をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
黒田部会長
 橘川先生、よろしくお願いします。
橘川委員
 石油政策小委員会の委員長の橘川です。
 小委員会の中身自体は近藤部長と重複してもしようがありませんので、ここは総合部会ですので、この総合部会で出されています新・国家エネルギー戦略の数値目標と、今、小委員会で議論している中身とがどういうふうにかかわっているのか、やや応用問題についてコメントしていきたいと思います。つまり戦略ではバックキャストで問題を立てていて、我々の小委員会のところではフォアードキャストで立てていますが、これがぴったりこないと意味がないと思います。
 ご存じのように数値目標の5つのうち3つが石油に関わります。そのうち特に単純に考えて非常に大変だなと思うのが2つありまして、1つは自主原油の比率を40%にするということと運輸用燃料の石油のウエートを80%まで下げる。この2点についてコメントさせていただきます。
 前者ですが、特にこれが絵にかいた餅になる心配があります。というのは数年前まで自主原油30%という目標がありまして、これが、それを達成する仕組みが十分うまく機能しなかったために、その目標自体を取り下げたというような経緯があります。したがって、目標をかかげることそのことよりもいかなる仕組みをつくり上げていくのかというのが一番大事だと思います。ただし数年前の時点に戻るわけではなくてこの間に大きな変化があります。INPEX帝石の誕生というような形でかなり中核になり得る民間企業が育ちつつあります。この目標が非常に難しいというのは現在輸入量が420万B/Dで2003年に石油が減っていったとしても輸入量が370万B/D、そのうちの40%というと150万B/Dです。ところが現在の自主原油は60万B/Dですから2.5倍、あと90万B/Dを積み増さなければいけない。そのときの仕組みの1つのポイントはこの上流の中核企業が育ってくるということ。ここは頑張ると50万B/Dぐらい何とかなるんじゃないかというところまで準メジャー級に育っていく可能性があります。これが1つです。しかし今、産油国の側から、日本に資源権益を渡すとすると、日本のメリットというのはかつては市場が大きいということとお金があるということと技術があることという3点セットだったわけですが、中国、インドの登場で市場の大きさ、バイイングパワーというのが効かなくなりつつあります。お金もやや心もとないところがあります。今むしろ注目すべきなのは技術の面でありまして、国内の製油所の設備自体は分解能力が強くはないですが、日本の技術力はかなり高いものがあります。さらに石油会社だけではなくて、日揮、あるいは千代田化工というようなエンジニアリングの会社が世界を制しているような状況もあります。オールジャパンですべての技術力を導入していく、下流の持っている技術力を産油国に対してメリットとして効かせて資源をとっていく、新しい道があり得るのではないかと思います。石油のちょっと外側ですが、住友化学がサウジアラビアで20万B/D相当の権益を手に入れつつあるというのは1つの大きな動きだと思います。その意味でこの上流に関してはやるべきことは大体見えてきている。中核となる民間企業も育ちつつある。ただし問題は、お金の面とか技術の面とかの支援。特に政策金融の再検討が言われておりますけれども、例えば国際協力銀行あるいはその日本貿易保険の動き、あるいはJOGMEC、これらが本格的な支援体制を組まないと今のような動き出した民間企業の背中を押すことはできないというのが問題点だと思います。
 2点目の運輸部門における石油依存度を低減するという目標ですが、こちらは率直に言いますと何をやるべきかがまだはっきり見えていない。つまり、バイオ系のエタノールでいくのか、ETBEでいくのかGTLでいくのか。それぞれによってサプライチェーンの中の各社の投資の中身は大きく変わってきます。したがって、お互いが模様眺めのような状況になっていて思い切った投資をすることができない。というようなところが問題点としてあるのではないかというようなコメントを持っています。ですから、こちらのほうがやや大変で先ほどとは違って何をやるかがはっきりしていなくて、それに向けての絵が今のところ見えてきていないというのが小委員会をやっているコメントであります。いずれにしても、エネルギーセキュリティーというのは、これは私の個人的意見ですが、国がどうにかしてでき上がるというだけのことではなくて、根本は強い民間企業が、国際競争力を持った民間企業がいて、それをその国が支援するという仕組みででき上がるのだと思いますので、ぜひ絵そらごとにならないような仕組みをつくり上げていくために、総合部会の委員の方々とともに努力していきたいと思っています。
 以上です。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの小委員会からのご検討の結果を踏まえてご議論いただきたいと思います。例によって、ご発言のある方はプレートを立てていただいて、小人数でございますので2度でも3度でもご発言いただいていいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。いかがでしょうか。
 それでは佐々木委員、どうぞ。
佐々木委員
 どうもありがとうございます。ただいま橘川委員からご発言があったところでございますけれども、やはりこの運輸部門におけるエネルギー、原油依存度の削減をどうやるか、80%という目標を達成するために、何が残りの20%を担うかというところのポイントがやはり重要だろうと思います。いずれにいたしましても、その場合においてバイオ燃料というものをその可能性と限界とをどういうふうに考えておくかというのがポイントになるんだろうと思います。バイオエタノールにしましても、バイオディーゼルにしましても、いずれにしても国内でどれだけの生産ができるのか、例えば国内で使える資源ということになると木質というものがおそらく一番可能性があるのではないかと。限られた土地の中でサトウキビを生育させたり、トウモロコシや菜種を植えるというのはおそらくごく限られた範囲にしか実行ができないところだろうと思いますし、海外においても果たして先ほどの原油と同じ話でどれだけ日本が権益を確保できるのか、日本がそういう農場をつくって、そこで栽培したものを持って帰ってこられるかどうかという問題もあると思います。それと同時に、燃料に使うとなれば、どうしても収量を上げざるを得ないとなると、遺伝子操作をした植物をどう考えていくのか。おそらく国内でそういうものを栽培するということはなかなか難しいだろうと思いますし、トウモロコシの場合には、交雑の問題も考える必要があると思いますので、いずれにしても、このバイオ燃料の可能性と限界という部分、それから水素というキーワードも出ていますけれども、この時間軸的な位置づけをどうするのか、やっぱりその2点を押さえることによって、この運輸部門における石油依存度の低下というシナリオが達成可能になるのかどうかということではないかと思っております。
 以上です。
黒田部会長
 どうもありがとうございます。ただいまのご発言のバイオ燃料の可能性と限界という点について、何か小委員会でご議論は進んでいますでしょうか。
近藤部長
 今、運輸部門の石油依存度のご議論をさせていただいておるわけでございますが、これはなかなか、8割というのは正直、難しい数字だと思います。ただ、私どもは今、ご指摘のあった、例えばバイオでございますとか、BDF、GTL、こういったものでの努力に加えまして、例えば軽自動車の5割ぐらいに電気自動車が普及すると3%ぐらい減るとか、それから、ほんとうは大きな期待を寄せているのは燃料電池車でございまして、燃料電池車は燃料電池実用化戦略研究会、2004年の春に報告書を取りまとめたものでございますが、そこでは1,500万台ということを2030年にうたっております。それがもしできますと、石油依存度は15%ぐらい減るんです。ただ、現実問題として今、この1,500万台というのはなかなか厳しい数字だと思っておりますが、そういうさまざまな施策を現時点で、どの項目で何%というわけにはいかないんですけれども、そういったものをできるだけ組み合わせて、最大限この石油依存度を少しでも下げるような努力を引き続きしていきたいと考えて、議論もそういう方向で小委員会の中でしていただいているところでございます。
佐々木委員
 ちょっと補足させていただいてよろしゅうございますか。
 その石油依存度を考える場合に、残りの20%分がどの程度カーボンフリー、あるいはカーボンニュートラルかということも考えておく必要があるのではないかと思います。
近藤部長
 ご指摘のとおりだと思います。
黒田部会長
 よろしいでしょうか。ほかに何か。木元委員、どうぞ。
木元委員
 ありがとうございます。
 今の佐々木委員のご意見に関連して、ちょうど5ページの燃料多様化の一番下のところですが、真ん中の、対応策の左から3番目のクリーン・ディーゼル車の普及拡大のところですが、近藤部長のお話にもありました。ここでは、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか。実際伺いたいと思いますのは、一時、ディーゼル車をもっと導入したほうがいいんじゃないかという議論が巻き起こった時代がございました。そのときに、私どもで伺わせていただいた一般の意見は、ディーゼルはクリーンじゃないというのが圧倒的に強かったということ。また特にヨーロッパ、ドイツからディーゼル車が輸入されるときに、拒否する日本人が多くて心外だと随分クレームをつけられたことも意識にあるんです。一般の方たちにディーゼルにどういう認識を持っていらっしゃるかと伺うと、やはり黒煙もうもうで、大変環境に悪いというイメージしか出てきません。どうも、瓶に黒い粉塵を入れて振ってみたりという映像が印象に残っていまして、ディーゼルというと「ああ、やめてやめて」という声が圧倒的に多いわけです。その中で普及拡大をする場合にどういう手法が考えられるのか、やはり正確な情報がきちんと届いていないというのは事実です。それをどうやってクリーンなものとして普及させるのかということ。それから5年ぐらい前だったと思いますけれども、ディーゼルは環境によくないとして、アメリカではクリーンなエネルギーとしてガソリンを使うということで、トラックもガソリンに変えているという情報が入ったことがありました。そういうことがあると、ディーゼルはますます悪者になっているので、普及拡大を掲げる場合に、どういうことを努力すればいいのか。つまり導入する場合、目先の正確な情報が大事なんです。これを消費者が納得できれば。そこのところを教えていただければと思います。
 ありがとうございました。
近藤部長
 今の点につきましては、私どももディーゼル車の普及というのは大きなテーマだと思っております。今、ここのグラフにもありますように、日本では非常に低いわけでございまして、これはどうしてもすすでございますとか、パティキュレートでございますとか、いろいろ問題があるということで、日本での評価は低いわけでありますが、これはご承知のように、ディーゼルはカロリーが高うございますので、これは必ず省エネになるんです。アメリカ、日本ではどうしてもガソリン中心でございますけれども、ヨーロッパではディーゼルの比率がこれだけ伸びているということをとっても効果的だと思うんです。
 それから、私ども日本では昨年の1月からサルファーフリーということで、世界の中でも圧倒的に優れたサルファー分の低いガソリン、軽油を販売し始めております。今、10ppmという数字です。この10ppmというのはほとんどサルファーフリーと言ってもいい数字でございます。世界中にも例を見ないような水準でございます。
 こういったことを考えますと、かつてのようないろいろな排ガスの問題ということは相当減ってきておりまして、むしろこれは国民の中でもイメージを正しく持ってもらって、やっぱりディーゼルって意外に省エネだと思っていただくということは非常に重要だろうと思っているところでございます。これは私どもだけではもちろんできませんので、自動車関係のところともいろいろと話をしてまいりますけれども、やや、今、先生がおっしゃいましたように、瓶の中にすすを入れて振ったイメージがどうしても残っているものですから、なかなか時間がかかろうかと思いますけれども、これは確実に省エネにもなりますし、石油は連産品ですので、どうしても軽油が余ってしまうというのは困るものですから、こういったことも対応をこれからこつこつとやっていきたいと思っているところでございます。
木元委員
 今おっしゃったことと、それから効率が非常にいいということと、安いということと、わかっているだろうかという点ですよね。ヨーロッパから来ている人たちからも随分言われるんですけれども、やっぱり何か努力していく必要が十分あるのではないかと感じました。
 ありがとうございました。
黒田部会長
 よろしいでしょうか。それでは、河野委員、それから山地委員、柴田委員、寺島委員の順番でお願いします。
河野委員
 小委員長からご報告があったので、私はそのことについてコメントすることはないんですけれども、死んだ子の年を考えてもしようがないんだけれども、石油公団というのはいろいろな理由があって姿を全く変えて、力が低下してしまって、ほとんど機能しないような状況になっている。代わりに、たまたま2ページに国際石油と帝国石油の統合問題が書いてあって、こういうところに個別企業の名前が出てくるというのは異例のことだと思うけれども、私には公団の代わりを期待されていると受け取れる。たまたま偶然今回の討議に間に合ったということですが、いかに事務当局が喜んでいるかということの証明だと思う。
 それで問題は、今、国会に出ている行革法案で、この中に政府系金融機関の統合が含まれている。合理的に統合されるのは良いとして、必要な機能をしっかりと残しておく必要がある。それは経産省がぬかりなくやると思うが、念を押しておきたい。
 もう1つは、たまたまここに、部長から説明があったように上流、精製、まあ、流通は次として、多様化と石油備蓄の話が出ています。考えてみれば、これらはいずれも舞台裏で討議されていたことです。たまたまというか、幸か不幸かというか、石油の需給構造がグローバルに変わり、しかもそれが長期的に続きそうなものだから、かねて頭の中で行政当局が考えていたような問題点が全部浮上してきた。それぞれが立派な政策目標として浮上してきた。ここでせっかくこれだけ問題意識が明確になったので、ほんとうに全力を傾けてやってもらいたい。特に上流の対応策についてのことは、繰り返しますけれども、これは官民一体でやらないといけない。それはみんな認めていることなので、それはちゅうちょなく、遠慮なくやってもらいたいということだけ申し上げておきたい。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは山地委員、どうぞ。
山地委員
 ちょっと前の話になりますけれども、5ページの自動車用燃料のところですが、私も何人かの方がおっしゃったように、ディーゼルについては、長期的に見てももっと評価を高く見直すべきだと思っております。1つは、真ん中のディーゼル普及のところも、これは乗用車で見るところですけれども、バス、トラックというヘビーデューティー車がありますと、ディーゼルはもっとあるはずですので、そのあたりももうちょっとみんなにわかるように示してほしいということです。
 それから、ローサルファーに持っていくのは傾向としてそうでしょうけれども、先ほど来、出ている話じゃないけれども、ディーゼルの場合、微粒子の問題がどうしてもあると。そうすると、書かれておりますけれども、GTLというのは相当重要になってくると思います。GTLも書かれていますけれどもあまり説明されなかったですけれども、ガスからというよりも、石炭、それからバイオマスからもできるわけなので、やっぱり技術的なGTL、今のディーゼルと組み合わせて非常に重要だと思います。そこはもうちょっとはっきりわかるような表現があるといいなと思っております。
 それから、もっと全般で言いますと、当面、バイオエタノール、あるいはバイオディーゼルもあると思っております。もちろん国内での努力はあるけれども、80%に石油依存度を下げるという量の大きい話になると、結局輸入ということになると思います。これも先ほど来、ちょっと話がありましたけれども、そうすると石油と同じような意味で安全保障上の問題があるので、当然、その輸入バイオマスの場合の自主開発というのでしょうか、セキュリティー上の配慮というのは当然必要なので、ここでも書いておいたほうがいいのではないかと思いました。
 とりあえず、私は5ページのところにコメントでございます。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは柴田委員、どうぞ。
柴田委員
 先般からの議論で、結局、各国がいろいろなエネルギー資源の獲得競争をやっている中で、我が国もこのエネルギーの問題については国として取り組むべきだという姿勢が大事だと僕は申し上げて、今回ご提示いただいた資料はそのような内容になっております。その点、この部会のコンセンサスになったと喜んでおります。
 ただ、対外的にすべてのエネルギー資源に関しまして、安定供給を確保していくということと同時に、確保したすべてのエネルギーの資源を有効にどうやって活用していくかという問題についての配慮が必要だと考えます。特に、地球環境を守るという面でも、原子力の有効活用、あるいは再生可能なエネルギーの適切な利用ということはいうまでもありませんが、やっぱり今のエネルギーの中で占める割合が非常に高いのは化石エネルギーでございますので、その効率的利用という面についての見直しをもう一度する必要があるんじゃないかと思います。
 経団連の中の議論でも、現在の石油と非石油というエネルギーの種別によって政策を変えていくという、例えばオイルショックの後でつくった石油代替エネルギー法は、ある意味では、あの時点では非常に有効な法案であったと思いますけれども、もう歴史的な使命を終わりつつあるのではないかという意見も出ております。
 それから、本日お伺いした石油政策小委員会における検討状況の中でも、やっぱり安定供給ということは重要だということを言っておられるんですけれども、各エネルギー資源の有効活用を推進していくエネルギー戦略の再構築という点からもう一度それを検討する必要があるのではないかと思います。
 それから1点、各論についてなんですが、この石油政策小委員会において、運輸部門での燃料の多様化というのは、例えば自動車工業会であれ、あるいはいろいろな関係者からどのような、ある面から見ますといろいろな異論が出てくるはずだと思うんですけれども、その辺については橘川先生、どんな議論があったのか、その辺をもう一度教えていただきたい。
黒田部会長
 今の点、何か。
橘川委員
 異論というと必ずしも正確ではないんですが、どの方針をとるかによって戦略が変わってくるわけですね。例えば、GTLですと、これは軽油とのかかわりで使う比率が多いので、ディーゼル化と表裏一体になります。そうすると、自動車業界としてはディーゼル化対応の開発をしなければいけない。一方、エタノールでいきますと、今度はエタノール対応の新車開発をしなければいけないということで、そこに大きな違いがあります。あるいは多分、両方共通すると思いますが、最下流のサービスステーションのところでは、ガソリンのタンクを二重にしないと安全上いけないという問題が生じます。あるいは、もう少し単純な話では石油精製業界でいきますと、20%ガソリンがなくなってしまいますと、新たにマーケットを探さなければいけないわけで、そうするとまさに化石燃料の高度利用ということで、ペトロケミカルとのインテグレーションということをかなり真剣に考えなければいけないということで、異論というのは正確ではないですが、どの方針にいくかによって戦略が非常に大きく影響を受けるという意味でのちゅうちょといいますか、そういうのがあるような感じがいたします。
黒田部会長
 私の言葉の使い方が異論というとちょっと。どういう議論があったかと申し上げたつもりであったんですけれども。
近藤部長
 部会長、よろしゅうございますか。
 今、柴田委員からお話のございました点について少し補足いたしますと、これは当然、油屋でどんな油をつくるか、どんな燃料を供給するかというのと、自動車屋でどんな機械を準備してくれるかということがセットでないと物は動きませんので、これは自動車業界、石油業界とで十分な打ち合わせをしていこうということで、これは相当緊密にやっております。実際に、この小委員会の中にも入っておりますし、さらに今日は石油政策小委員会のご説明をいたしましたけれども、私どももさらに燃料の関係をもう少し細かいことも議論できるようなフレームを持っておりまして、そういったところの場を通じていろいろと話をさせていただいているところでございます。したがって、自動車と、まさに車の両輪のように、両方で進めていくということであろうと思っております。
 それから、あるいは私が答えるのは適切でないかもしれませんが、効率を上げるという話については先日来、ご説明をしている新・国家エネルギー戦略の中でも、これまでの37%のエネルギー効率の改善に加えて、さらに2030年までに30%効率を改善しようということで、これは当然の前提としてやっておりました。これはもし必要でしたら省エネ・新エネ部長からご説明があろうかと思います。
 それから、ちょっとさっきのGTLのところは私、先ほど説明をしませんで失礼いたしました。ただ、決してこれは軽んじたわけではなくて、むしろGTLもやっとこれから本格化をしてまいります。2000年代の最後から2010年ちょっとぐらいにはカタールでのGTLの工場等も相当できてまいりますので、そんなことも頭に置きながら、さらには石炭の場合はコール・トゥー・リキッド、CTLと言うんですけれども、こういったものも視野に入れながらしっかりと対応していきたいと思っているところでございます。
黒田部会長
 よろしゅうございますでしょうか。それでは寺島委員、どうぞ。
寺島委員
 寺島でございます。私、エネルギー安全保障研究会なんですけれども、石油政策小委員会にこの問題意識を共有して議論を深めたいですよねという意味でちょっと申し上げたいんですけれども、私の問題意識は、実は僕らの研究会ではその話を僕自身がさせてもらったこともあるんですけれども、要するに、73年の石油危機と79年の石油危機というものを日本は乗り越えてきたわけですけれども、その2度の石油危機と比べて遜色ないほどの石油価格の高騰が現在、進行しているにもかかわらず、日本経済、産業がパニックになっていない理由、その構造を僕たちなりの仮説で分析しているんですけれども、やはり厳密にしっかり分析する必要があるのではないかということなんです、申し上げたいのは。
 要するに、どういうことかというと、例えば99年、今から6年前の日本の原油入着価格、日本の港に石油がたどり着いた価格は17ドル20セント/バレルだったわけです。直近、1月の数字を僕は掌握していますけれども、56ドル71セントまで原油入着価格ははね上がっていると。にもかかわらず、日本産業は石油危機という言葉さえ使われないほどにこの状況を平然と乗り切っています。一体なぜなのかということについて、それぞれ議論があると思いますけれども、我々、実は2つ要因を分析してみました。エネルギー政策を広い視野からとらえなければいけないという意味で申し上げるんですけれども、1つはやっぱり長期的な円高へのシフトがドル建て価格での石油価格の高騰を円建てベースで吸収してきているというプロセスがあるんですよねっていう答えが見えてくると。第一次石油危機、73年の円ドルレートというのは271円だったんです。79年のときは219円だったわけです。そのときから見れば、要するにわかりやすく言うと、今110円台で円の国際価値というのは倍になっているわけです。もし今、79年の石油危機のような、例えば219円の為替水準だったら、円建てに直したときの原油入着価格は13,000円/バレルということで、これだったら相当なパニックになっているだろうと思います。ということは、この間に日本の産業が蓄積してきた技術力だとか、省エネルギーの力とか、そういう産業としての競争力みたいなものをどうやって高めて、円高に円高にシフトさせてきたかということを、やっぱりしっかり構造認識しておかないと、例えば今後、パニックというときに為替がものすごい勢いで円安に反転したりしたら、一気にパニックが来るわけです。だから産業力というものをしっかり持ちこたえていないと、石油の川上から備蓄まで石油の戦略を対応していってもインパクトというのは、ものすごく重く効いてくるわけです。したがいまして、まず1つは日本の産業力を蓄積して円高に持っていった構造というものに対する認識が必要だと。
 もう1つは、エネルギーの利用効率。この総合戦略のエネルギー国家戦略の中にも30年間で37%、エネルギーの利用効率を高めたということが出ていますけれども、まさにこれがこの30年間の大きな変化だと思います。経産省のおつくりになった資料を見ているとアメリカの2倍、中国の8倍から9倍のエネルギー利用効率を実現しているというあたりがパニックになっていない大変大きな理由だと思います。中国について、これは資料が出ていましたけれども、直近の、去年の中国の石油輸入というものを見ると、255万B/Dだったんですね、発表してきた数字。つまり、思ったより伸びなかったんです、中国の石油の輸入が。あれほど世界から爆食経済で買っているといいながら、前年が246万B/Dですから、ほぼ横ばい程度のものだった。やはり利用効率の悪い地域ほど、石油価格の高騰がボディーに効いているから、石油を思うように買えないという構造になっているんだと思います。だから、そういうことから考えてみると、話を戻して、要はこの政策論の前提になっている分析、おやりになっているのはよくわかった上で発言しているんですけれども、もう一度、なぜ今、石油価格がこの21世紀に入って3倍にもはね上がったのに日本産業は持ちこたえているのかということをしっかり体系的に認識し直すことから、石油政策というものがいかに整合性がとれているのかということも見えてくるのかと、我々の委員会からの議論として提起しておきたい論点だと受けとめていただきたいと思います。
橘川委員
 今の点は全くおっしゃるとおりで、私自身も、今の円高の話と日本の省エネルギー、あともう1つは脱石油、特に電力業界の脱石油が大きいと思いますけれども、その3点を挙げて、なぜパニックが起きないかという議論を経済誌等々で書いてまいりました。しかし、私が思いますのは、問題はその先にありまして、果たしてこれ以上、今後円高が進むのかどうか。それから省エネはある程度いくかと思いますけれども、電力業界の石油火力離れもぎりぎりまで来ていますから、それ以上はそうは進まない。そういう中で、むしろ日本は石油問題に対して危機感がないがゆえに、昨年の9月の総選挙でも2大政党両方のマニフェストの中でほとんどエネルギー問題が取り上げられないという現状が起きている。しかし資源開発競争は国際レベルで進んでいる。国内レベルではその問題に気づいていない。ここのずれこそが、我々が今、考えなければいけないエネルギーセキュリティー上の最大の問題であるのではないかと思います。そういう意味では、問題意識を非常に共有しておりますし、だからこそある意味で危機感を深めているという状況であります。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。
 1点だけ私からの質問なんですけれども、円高というのは、片方で輸入財の価格は安くなる。しかし輸出競争力はその分落とすというもろ刃の剣なんですね。そういうことに関してどういうふうに見たらいいのかということと、それから私の研究所では国民所得経済計算をやっていますけれども、国際収支の状況は随分変わってきています。従来は貿易収支でほとんど黒字が決まっていた状況から、所得のトランスファーとか、資本のトランスファーとか、サービスのトランスファーのウエートのほうが国際収支の中で大きくなりました。それでは今までの円高、円安の構造、輸出入の構造とこれからの国際収支、貿易構造、為替の構造というのは大分違ってくるような気がしておりまして、その辺についてどういうふうに見通されるのかということです。
寺島委員
 一言で申し上げれば、今まで日本は輸出指向の国だから、円安のほうがいいという議論が何となく流布していたかと思うんですけれども、確かに短期的な視点で言えば、日本の今の輸出構造を考えたならば、円安になれば輸出に依存している企業の業績はぐっとよくなるという現実があるわけですけれども、やはり構造的にしっかり考え直さなければいけないというか、まさにさっき僕が申し上げたような論点で、やっぱり為替というのは乱高下はまずいですけれども、じわりとやっぱり産業力、技術力をつけて外貨を稼げる力、この中身はどんどん高度化して、付加価値化していかなければいけないかと思いますけれども、外貨を稼げる力が前提になければ、要するに議論にならないというか、この種の状況に耐えていけないというか、そういうことを考えたならば、今後やはり石油価格というのは、さっきの需給ギャップの問題を考えてみても、かなり投機的な要素が石油価格を引き上げているということをそぎ落としたとしても、構造的にやっぱりなだらかな石油価格の高騰ということを考えたならば、僕はやはり産業力を次々と新しい付加価値の高い分野でつけていって、購買力を高めるというか、円の通貨としての価値をなだらかに高めていくという戦略をしっかり腹にくくっていかなければいけない産業構造に日本が変わってきているのではないかと認識していまして、この論点が大切だと思っています。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは内藤委員、どうぞ。
内藤委員
 非常に体系的なご説明があったと思いますけれども、私は欧米でいろいろ議論をしておりまして、それとの関係でちょっと違和感があるなという点、あるいはそういう点の検討はどうなっているのかという点を申し上げたいと思います。
 1つは上流の話であります。上流の話の中で、今のオイルリザーブを見ますと、ナショナルオイルカンパニーズ、すなわち産油国の石油企業が支配しているリザーブは70%と。インターナショナルオイルカンパニーズ、セブンシスターズと言われたものも含めて7%というところで、この利権を取れないというところが、実は最大の問題として議論されていて、そのために例えば私の関与しておりますフランスの企業のインターナショナルアドバイザリーボードで、それを取るのであればということで、WTOと結びつけたらどうかと。要するに、産油国も、あるいはロシアもWTOに入りたいと言っているんだから、それならそういうところの投資を認めるということで、投資ルールを改定するコンバインをしたらどうだという議論を私が言いましたら、それはおもしろいということで、そこの会社のCEOはOPECの後のウィーンのコンファレンスでしゃべったわけですけれども、反応が当然、ナショナルオイルカンパニーズの国からはないということで、こういうことこそ国際的に協調してルール変更として求めるべきではないかという議論をしたわけです。これは1つの例ですけれども、そういう石油という焦点だけではなくて、世界的なストラクチャーを見て、ここにもっと通商も外交も含めて、こういう手を打つべきだという点を入れてほしいなと。
 それから、そういう点でさらに議論になりますのは、ご案内のとおりの技術者の確保ということであります。そういうことで、アンコンベンショナルオイルも含めて、将来のために技術者確保という中でよく話題になるのは、アメリカの石油会社の上流にいる人間というのが60歳で定年になるとすれば、15年後には半減すると。したがって、アメリカではもう石油が掘れなくなると。オイルリザーブは、世界的に見ればオイルはあるのに掘れないと。それで汚いということで学生が集まらないと。それに対して中国は毎年約1万人の卒業生を出しているということに頼らざるを得ないということで、ほんとうに先進国はいいのかという研究者の育成ということが必要だと思うんです。
 そういうことで、利権があり、研究者がいて、実地にワークすることによって利権が取れると。それで実績があるということになるわけですけれども、例えばINPEXと帝石と、私はおもしろいと思うのは、INPEXは実質上投資会社であったと。それで帝石を入れることによって技術者が入ったと。ところが、そういう中核を育てるというのであれば、もう1つ技術者もいる会社があるのになぜそれを、いつも申し上げるように中核会社ということで、ここでわざわざお書きになるのであれば、政策論としてそれをさらに追究しますと。しかも株式を国がなお保持しているということで、手段もありますという話が、例えばアップストリームについてどうして具体的に出てこないのかなと。そういう点がアップストリームについての意見であります。
 それから、リニューアブルエナジーについて、例えばエタノールとかいう議論が出ましたけれども、ご案内のとおり、日本はE3で今、2008年からのETBEがエタノールかという議論をしていると。ところがご案内のとおり、1980年代からやった中国は既にE10で走っていて、50%の需要がE10で既に走っているわけです。それで、そういう状況の中でエタノールの活用というのを、これはバイオの会社でいろいろな議論をしておりますと、例えばコーンにしてもソイビーンにしても、実は今後とも食料との関係で、食料に回すと。それで、その茎を今度はエタノールに使うということで、2030年に世界全体の自動車の30%はエタノールで供給するということで議論をしているわけです。そうすると、何を申し上げたいかというと、E3の取り扱いで議論をしている間に、例えば日本の自動車会社から見れば、世界でそういう動きになる以上は、それで走らざるを得ないということで、日本を相手にしないで海外で議論をすると。それで、来月も私の参加する米国での会合を議論するのはこれが焦点ですけれども、そうすると日本からうまく入ってこられるのは日本の最大の自動車会社の方が入ってくるだけということでクローズの議論ですけれども、そういう中で経産省の政策という中で、省内のそれぞれの所管のことも含めて総合的な対応ということが必要なのではないかと。そういうことで、非常にまじめに議論をしておられることはわかりますけれども、外国で、いろいろなところで議論をするのと違和感を感じる、長期的な戦略を考えた上での、世界のストラクチャーでの位置づけということを考えていただきたいと思います。
 それで多くなりますけれども、例えば先ほどCTL、GTLの話もありましたけれども、例えばCTL等について、あるいはバイオエタノールについて、非常に協力的な企業が、例えば世界であればBP、非常に非協力的なのがアメリカの某社ということになっていますけれども、そういうところは例えばCSRという指標やレーティングをする企業で明確に出ているわけです。したがって、そういう種類の動きを見ながら、そこでトップ陣営にレーティングされている企業からも情報は集めるということで、そういうリニューアブルエナジーについての対応というものが非常に変わると思うんです。
 それからさらに、備蓄の話に飛んでしまいますけれども、備蓄などもアジアの中で日本を位置づけるといった場合に、じゃあ、なぜ沖縄の備蓄を拡大して、中国も韓国もうちでやってあげますよというのは、多くの場合に、外国でやるとほんとうにセキュリティー上安全かどうかという心配も持っているのであれば、反対に日本の中で緊急時には日本の協力がないとだめでしょうということをして、アジアのエネルギー協調ということも考える必要があるということで申し上げたいポイントは、海外で議論するのと、日本国内との議論の間の乖離を何とか縮めていただきたいというのが私の感想であります。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。ただいまの件について、事務局は何かありますか。
近藤部長
 非常に示唆に富んだお話をいただいたので、答えると1時間ぐらいになってしまうかもしれません。
 今、内藤委員からお話のあったことも我々は十分頭に置きながらしっかりと対応していきたいと思います。なかなか世界の流れの中に必ずしもまだ同じ視野まで広がっていないのではないかというご指摘をいただいたんですけれども、私どもは全体の中で、これは世界マーケットの商品でございますので、そういう視点を持ちながらしっかりとやっていきたいと思います。
 E10といった点についても、これは中国やブラジルのような国と日本の環境規制も違いますし、なかなか難しいところもございます。そういった点も含めてどういう形でいくか、さらには先ほどINPEXと帝石のことでは半分褒めていただいたんですけれども、私どももまず褒めていただいたことを十分うれしいと思いながら、今後のこともしっかりと検討していきたいと考えているところでございます。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。ほかに何かご意見ございますでしょうか。多分、この議論はきょうのご議論も踏まえて小委員会でまだまだ議論が続くと思いますので、またいずれ何かの機会でご報告いただきかつ、全体の中に取り込みたいと考えておりますので、本日はひとまずこれでよろしゅうございますでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
黒田部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、2つ目の議題でございますけれども、エネルギーの安全保障につきまして、エネルギー安全保障研究会における検討の状況を踏まえてご報告いただきまして、ご議論させていただきたいと思います。
 エネルギー安全保障研究会は、資源エネルギー庁長官の私的研究会でございますが、寺島委員が座長を務められているということでございますので、まず事務局からご説明していただいた上で、座長の寺島委員に補足をいただきたいと考えております。それではよろしくお願いします。
成瀬室長
 エネルギー情報企画室長の成瀬でございます。
 それでは、資料に基づきまして、エネルギー安全保障に関する検討についてということで、まず資料の2-1を見ていただきたいと思います。この研究会は資源エネルギー庁長官の私的研究会ということで、昨年末に立ち上げをいたしました。寺島委員に座長をお願いいたしまして、産業界、それからいわゆる専門家の方々、あとエコノミストとか証券関係の方と、幅広い分野の専門家の方に参加いただいて、エネルギー安全保障上のリスク、その評価、またそれに対する対応策ということを鋭意検討していただいているということでございます。
 中身でございますけれども、資料の2-2に移っていただきたいと思います。まず、研究会において我が国に対して重大なエネルギー安全保障上のリスクは何かということで鋭意ご議論をいただきました。その結果、5つのリスクについてまとめていただいているところでございます。
 まず第1番目、中東地域の政情と書いてございますけれども、これは単に一国の供給途絶ではなくて、それが連鎖を、複合化してかなり大規模かつ重大なエネルギー安全保障上の脅威となるという可能性があるのではないか。また、特に今、ガスについてはアジア太平洋を中心に我が国は輸入しているわけでございますけれども、今後、2030年を見通して、中東地域におけるガス供給というものの位置づけがかなり高まってくるのではないか。そういった意味での中東地域における主要ガス供給国の動向というのも注視していかなければならないというのが1つでございます。
 それからさらに、いわゆる供給途絶のリスクといたしましては、テロ、災害、事故といったものが考えられるわけでございまして、海外におけるサプライチェーン上のボトルネックである石油とかガスの大規模な供給施設、またその輸送の動脈であるシーレーン、また国内におけるそういうテロ、天災、事故、供給途絶の可能性というのは当然考えていくべきであるということでございます。
 それから、ページをめくっていただきまして、供給途絶ではありませんけれども、こういったリスクによってかなり需給が逼迫し、価格が高騰していく経済的なリスクというのも当然考えられるのではないかと。その3つを挙げております。
 1つは供給国の市場への政治介入ということで、国家管理を強めたり、外資規制を強めていくということによって、技術力を有する外資の投資が停滞し、結果としては全体の投資減退、供給余力の低下ということにつながっていく可能性、リスクというものがあるのではないかと。
 それから、2つ目には、いわゆる需要国サイドのほうで何か問題が起こった際に、特にエネルギー危機を経験していない中国とか、インド等のいわゆる高値買いあさり行動といった行動が市場をさらに不安定化させていく、インパクトを拡大させていくといったリスクがあるのではないかというご指摘をいただいております。
 最後に、国内におけるエネルギー供給体制ということで、市場自由化を進めている状況でございますけれども、その影響に伴う競争激化、結果としての投資インセンティブの低下ということで、インフラ整備、開発投資停滞、さらには供給余力の低下といったリスクも大いに考えていく必要があるのではないかということでございます。
 この研究会においては、こういったリスクに対してどういう対応策が考えられるかということで、そのリスク自体の発生を予防する対策、それから仮にそのリスクが発生したとしても影響を緩和する対策、それからリスク発生後の事後対策ということでいろいろご議論いただいてまとめていただきました。
 そういうことで、対応策の整理をいたしたものが2-3の資料でございます。この資料はいわゆるグローバルを含めた対応、それからリージョナル、アジア地域を中心にした対応と。それから2-3の資料の2ページ目になりますけれども、主に国内での対応というものについて、短期的なもの、それから中長期的なもの、または関係国なり、関係する国際的、地域的枠組みを整理していただいたというものでございます。
 いろいろな対応策があるわけでございますけれども、いろいろな各部会等で鋭意ご検討されているものもあるわけでございまして、今、これらの対応策の中であまり検討されていないもの、かつ重要なものというものを抜き出して、さらに検討をしていただくという状況になっているわけでございます。それが2-4の資料でございます。それは重点検討事項(案)というA4の横の資料でございますけれども、3つ掲げております。1がアジア協力、2が天然ガスビジネス支援、3が危機管理における連携強化ということで、ページをめくっていただきますと、アジア協力のところのリスクのところでございますけれども、繰り返しになりますが、そういった中国等の需要国のパニック行動というリスクを十分に考えていく必要があるということで、どのような対策をとっていくかということでございます。
 2ページでございますけれども、アジアの大需要国がパニック的な行動に陥らないためには、やっぱり協調した行動をやっていくことが地域の利益をもたらし、重要であるという認識を調整していくというのが重要ではないかと。そのために、アジアにおけるエネルギー需給構造を強靱なものとするということが必要であって、そのための省エネ環境協力とか、幅広い協力を進めていくというのが重要ではないかということでございます。
 また、緊急時対応としても、石油備蓄の協力というのも現在、進めているわけでございますけれども、基本は各国がそれぞれ石油備蓄を構築していくということが重要であると。そのために今、現在、タイとかフィリピンとか、ベトナムも始めましたけれども、そういった我が国のノウハウを提供していく、協力していくということでございます。
 しかしながら、3ページの参考1というところを見ていただきたいわけでございますけれども、アジアの備蓄制度の状況でございます。例えば中国、上から2番目のところでございますが、第10次5カ年計画で2005年には消費量の10日分、2010年には20日分という目標を掲げておられるわけでございますけれども、今、2006年の段階で、まだその目標が全然達成されていない、遅れているという状況でございまして、中国をはじめといたしまして、備蓄の整備というのがなかなか時間がかかるという状況になっているということでございます。
 したがいまして、2ページ目に戻っていただいて、実際にアジアにおける備蓄が物理的に構築されるまでの相当程度の期間が必要でございまして、それまでの間、何らかの供給途絶があってパニック行動を予防するために、既に備蓄を有している先進国の備蓄の活用に関して、IEAの中で国際的な枠組みの中での協力の検討を進めていくというのが1つ。さらに、より強固な予防体制を構築するためには、中長期的には共同備蓄とか、緊急時融通制度を通した地域的な枠組みの構築の模索というのも検討していくべきではないかということでございます。
 4ページでございますけれども、参考2ということで、石油共同備蓄の可能性と書いてございますけれども、現に今、タイとフィリピンの間では備蓄の協力を含めてセキュリティーの向上ための協力に関する覚書を締結しているということ、また我が国がタイ、フィリピンのための共同備蓄のFS調査も行っているという状況でございます。当然ながら、共同でやればそれだけのコストベネフィットがよくなるということもあると。
 それから下のほうの需要国と供給国との共同備蓄ということで、現に韓国おいてはタンクは韓国のものでありますけれども、その中身の油については産油国が所有し、平時はそこを在庫の流通拠点として使用していると。ただ、緊急時にはそれを優先的に韓国が買い取るという契約になっておりまして、そういった意味でそういう供給国間との共同備蓄というものも視野に入れていくと。また、当然できるだけコストを低くしていくという意味での有料の施設の活用ということも考えていくことが必要ではないかということでございます。
 それから2ページにまた戻っていただきまして恐縮でございますけれども、供給途絶のリスクになっているマラッカ海峡の航行の安全を確保するための通過周辺国、それから中国、韓国といった国際協力活動、また中長期的には新たなスンダ、ロンボークといったような代替ルートの整備というものも必要ではないかということでございます。
 それから2番目でございますけれども、5ページ目でございますが、先ほど申し上げましたように、天然ガスのリスクがやはり非常に高まってくるのではないかということでございます。このために、5ページの下に書いてございますように、天然ガスの供給途絶に対処するためには、仕向地を柔軟に変更できる長期契約の導入と。これは現に、6ページにありますように、商社と電力が共同で、平時には米国に売り、緊急時には日本に持ってくるという契約形態ということもやり始められているということで、それを拡大支援していくと。また、あわせて5ページの下に書いてございますけれども、地下ガス貯蔵施設の整備、活用ということもあわせて検討していくことが必要ではないかということでございます。
 天然ガスの地下貯蔵でございますけれども、7ページに書いてございますように、これは気体のまま、いわゆる枯渇油ガス田等を利用して地下に貯蔵していくということで、アメリカなどでは1,100億立米ぐらい。現に日本でも小規模で11億立米ぐらいやっておられるということで、年間のガスの輸入量が800億立米弱ぐらいということで、まだまだ小規模でございますけれども、新潟等においてガスの枯渇しているガス田もございますし、またこれまでの累積の生産量を勘案すると100億立米レベルの貯蔵というのは可能かもしれないという専門家のご意見もございます。
 ただ、気体のまま貯蔵しておりますので、いかにパイプライン網とあわせて整備していくか、また今、例えば新潟と東京においては年間数億立米ぐらいのキャパしかないわけでございますので、それを拡大していくかどうか。また、日本海側のLNGの基地、また新設されるLNGの基地との連携といった部分も含めて検討していくというのが考えられるのではないかということでございます。
 それから、8ページ、最後でございますけれども、危機管理における連携強化ということで、自由化が進んで、国内における供給余力の低下の懸念があるのではないかと。個別企業ごとに、いろいろな危機管理体制の構築というのはされておられるということでございますけれども、業界全体とか、業界間、それから地域といった広がりの中で危機管理体制を構築していくということが重要ではないかと。具体的には、例えば仮にエネルギーの供給障害が生じた場合に、フレキシビリティーが高い石油を緊急時に使用する場合に備え、内航船を今、内航船というのはかなりかなり使われないでいるものがどんどん削られて、船も船員もなくなっているという状況でございます。そういったものをいかに確保していくか。また、地域的に天災等、ライン供給(電力・ガス)が分担された場合に、それを復旧するまでの間、いわゆる灯油とかLPGとか、そういった拠点供給をする危機とあわせて、また備蓄との関係も踏まえてどうやって検討していくかということを、ISOで標準化の予定であるBCP、事業継続計画の活用等も含めて推奨していくというのが考えられるのではないかという、この3点についてさらにご検討いただき、6月には中間取りまとめをしていただく予定になっております。
 それでは、寺島座長から補足していただきたいと思います。
黒田部会長
 よろしくお願いします。
寺島委員
 研究会のほうは大変熱心に議論していただいて、とりわけワーキンググループが非常に緻密な検討をしてくれています。検討を深めて体系化すると、多分お聞きになっていてそう思ったと思うんですけれども、総花的になってきて、めり張りがどこにあるんだというところに非常に重要な課題が見えてくるわけですけれども、私から何点か、輪郭をはっきりさせるために、結構めり張りをつけていこうよというのが我々の検討の大変な眼目になっていまして、例えば今の最後のところでも説明がありましたように、1つはどこに重点があるかということですが、アジアエネルギー協力と、さっき内藤委員も言われていましたけれども、やっぱり一国自己完結という発想から、アジアの広域の協力の中でエネルギーの需給関係を安定化していくような流れをつくっていかなければいけないという問題意識が非常に強く出ているというのが1つの輪郭だと思っています。
 これはエネルギーはエネルギーだけで終わらずに、当然のことながら環境問題とつながるわけですけれども、中国の一時エネルギーの7割はまだ石炭であるということから、酸性雨の問題とか、日本海の環境問題とか、いろいろな問題が起こっているわけですけれども、とにかくアジア連携はベターではなくてマストだという認識で立ち向かわなければいけないと。しかも、中国は日本の外貨準備を追い抜いて8,500億ドルだと言っているわけですけれども、日中韓だけで2兆ドルの外貨準備ということを盛んに言っているわけですが、これらの資金をやはり、例えばエネルギーの安定化というために共通のプロジェクトを抽出して、先ほどの共同備蓄の話も1つの目玉になるかと思いますけれども、そういうたぐいの方向に持っていく必要があると。
 さらには、若干ずれますけれども、内藤委員が率いておられるエネ研にアジア太平洋エネルギー研究センターというのがあって、APECとの関係で日本が引き受けているテリトリーだということもあるわけですけれども、大変僕は重要だと思っていまして、例えばアジアエネルギー協力なんて言ったって、絵空事にしないためには需給構造の分析とか、何に重点を置いていくかとか、共同研究が必要なわけですよね。そういう面で、若いアジアのエネルギーの研究者を日本に引きつけていくような仕組みというのがないと、この問題というのは長期的には進まないだろうなと思っています。いずれにしても、アジアのエネルギー協力をどうやって実体化するのかということが1つの目玉になるだろうと思っています。
 それからもう1つは、問題を構造分析することに終わらずに、何か行動計画につなげようじゃないかという、強い問題意識を持っていまして、要するに何かをやると。ここに出てきているような戦略プロジェクト、最後に3つ抽出して説明していただいている理由もそこにあるわけですけれども、この新・国家エネルギー戦略の危機管理に着手して行動してこれだけの成果を上げたよねというものを何かやりたいと。それがバイオ燃料にしろ、共同備蓄にしても、川上供給源への布陣にしても、行動を起こすきっかけになるような方向づけをしたいというのが非常に強い問題意識でして、その関連でさっき重複になりますから申し上げませんけれども、唐突のように見えるけれども、国を挙げて立ち向かっていかなければいけない重点プロジェクトをああいう形で抽出して説明してもらったんだということを補足しておきたいと思います。
 それからもう1点だけなんですけれども、私は実は、ものすごく実は危機感を持っているのはロシアなんです。天然ガスの関係で、やはり今後、ロシアとどう向き合うのかというのが日本のエネルギー戦略にとってものすごく重要になってくると実は思っていまして、ここのところをロシアの化石燃料における供給力が世界断トツになってきていると。天然ガスを石油換算した産出量と、石油の産出量を合わせてほぼ2,000万B/Dに近い供給力を持って、アメリカ、サウジアラビアをはるかに凌駕する世界最大の化石燃料を除く石炭の供給国になってきてしまっていると。一気にBRICsの一翼を占めるようなところに石油価格の高騰を追い風にしてロシアがよみがえってきて、ここのところ我々はサハリンの関係でロシアと向き合っていますけれども、異様な、傲慢不遜な空気に回帰してきて、これは悩ましいなということが多々あるわけですけれども、例えばサハリンにしても、先ほど石油政策小委員会の資料にも出ていましたパイプラインにしても、よほど腰を入れてロシアと向き合ってエネルギー戦略を組み立てないとまずいと思います。
 ネガティブな文脈だけではなくて、例えば中国との間に横たわっている東シナ海のガス田開発なんかについて、ロシアがノルウェーと合意を形成した昨年9月の、例のバレンツ海の共同開発方式なんていうのは大変示唆的というか、日本の問題を解決していく上で非常に参考になるといいますか、ノルウェーとロシアとフランスのトタールとアメリカのメジャー2社を巻き込んで共同開発が動き始めているわけですけれども、ああいう方式に近隣とのエネルギー開発の問題を紛争化させないという知恵がエネルギー戦略上、ものすごく重要になってきているということです。そんなことも視界に入れた場合に、天然ガス資源という項目の中で対ロシアということに対する問題意識をやはり鋭く持たなければいけないと思っています。
 以上です。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは、少しご議論をいただきたいと思いますが、例によってご発言の方はプレートを立てていただきたいと思います。いかがでしょうか。それでは佐々木委員、よろしくお願いします。
佐々木委員
 大変精力的にご検討いただいたことを、まず敬意を表する次第でございます。その中で1つ、資料の2-4のアジア協力の中の(2)のところでありますが、この備蓄先進国である日本の備蓄ノウハウ・制度面での協力が有効とうたっておりますけれども、ここにおいて民間の活力をどう活用していくかという、推進主体をどう設定していくかというところが1つあるのではないかと思うわけです。例えば、いわゆるBOTでございます。Build Operate Transferといった仕組みの導入等々によって、実際にこういった計画を具体化するための手段として民間の活力をどう応用していくかということも1つご検討いただいたらよろしいのではないかと。それによって実現のめどというのがより確実になるのではないかと思っております。
 以上です。
黒田部会長
 何か今の点で、成瀬室長、ございますか。
成瀬室長
 (2)のところは、どちらかというとノウハウとか、これまで培ってきた我が国の石油備蓄の制度とか、技術力とか、いわゆるノウハウ面での提供ということで、多分、ご指摘のところは、まさに共同備蓄を例えばつくるとき等にBOTなんかの民間活力をあわせて検討していくというご指摘ということでしょうか。
佐々木委員
 資金的な面と、そういう技術ノウハウの面を含めて提供していくという仕組みをどう考えていくかということでございます。
成瀬室長
 それもあわせて今後検討していきたいと思います。
黒田部会長
 ほかに何かございますか。河野委員、どうぞ。
河野委員
 エネルギーの安全保障論と日本の通常の安全保障論、外交戦略論というのをどこかで、これは完全にオーバーラップしているところがあるんです。整合性をとらなければならない。核心のひとつは中国への対応です、といって当面の東シナ海の紛争事例は扱いにくい。しかし、中長期的な対応なら一応書くことが出来るはずです。
 もう一つの私の関心は自由化の影響についての分析です。自由化政策の影響で、電力もそうだし、石油もガスもそうだけれども、エネルギー間の競争が激化して、大幅な値下げをした結果、投資能力が低下している面がある。ひょっとすると電力供給の場合、今のような投資抑制的な行動が続くなら問題が起こるかもしれない。自由化戦略をどう総括し、将来どう展望するか。ここでセキュリティー論を前面に押し出すのだったら、その間の整合性をきちんと整理して国民に示さないとわからない。東シナ海問題に比べれば、そんなに難しい話ではない。
黒田部会長
 いかがでしょう、何かお答えを。後半の質問でも、どうですか。
成瀬室長
 研究会の中の議論では、まさにおっしゃったようなご議論がございまして、他方、今、エネ庁の中では電力・ガスのほうでご議論いただいていると思いますので、私が答えるよりは安達部長からコメントをいただければと思いますけれども。
安達部長
 今、河野委員からいただいた意見は非常に重い意見だと思ってございまして、今後、自由化の評価なり、それから今後の自由化の進め方を議論するに当たっても、今の点について危機管理におけるリスクと言われていることについても十分踏まえた上で検討していきたいと申し上げたいです。
黒田部会長
 それでは橘川委員、どうぞ。
橘川委員
 重点検討事項で挙げられた3点はいずれももっともだと思いますし、賛成なんですけれども、1点単純な点でわかりにくいのは、ここで挙げられた重点目標が新・国家エネルギー戦略との関係で考えますと、そこに明確な形で反映される仕組みになっていないのではないか。つまり、例えばアジア協力、共同備蓄、2030年までにこれだけやるとか、あるいは天然ガスについてこういうことやるとかという形で問題提起されるのかどうかという、そこの関係がこの場で聞いていてよくわからなかったというのが1点です。
 ただし、方向としては非常に賛成でありまして、もう少し政策手段がいろいろあり得るのではないか。アジア協力というときに、中国も日本も利害が共通する部分はかなりあるわけですから、そこをどうやって生かすか。そのときに日本が強いカード持っている分野で勝負しないと交渉になりませんので、そうすると備蓄であるとか、原子力であるとか、そういう意味で東芝がウエスティングハウスを買ったことは非常に、加圧水に手が入るので非常に大きな意味があると思いますけれども、それから省エネであるとか、あるいはエンジニアリングのところとか、そういう日本の民間企業が持っている力をどうパッケージとしてうまい協力を組むのかという、単に備蓄の問題より、もっと広くアプローチできるのではないかというのが1点です。
 それから天然ガスは、ちょっとお聞きしていますと、これは地下貯蔵の話だけになってしまうと、どちらかというと何か備蓄のイメージを感じてしまうんですけれども、そうするとむしろ日本のLNGを使っている業界の国際競争力が下がる、それが民備という形になると競争力が下がるような可能性すらあると思いますので、もう少し天然ガスビジネス支援という中身を詰めていく、多分上流遡及のところにつながっていく仕組みがいるのではないかと思います、方向性は大賛成なんですけれども。具体的な質問はこれと国家エネルギー戦略とはどうかかわるのかというところがちょっとわからないという点です。
黒田部会長
 何かお答えはありますか。
成瀬室長
 新・国家エネルギー戦略との関係については、これからまさに長官官房内、資源エネルギー庁の中で調整して反映していけるものは反映していくということで調整していきたいと思います。
黒田部会長
 それでは柴田委員、どうぞ。
柴田委員
 アジア協力ということを挙げておられるわけですけれども、経団連の中の議論の中でも、アジアにおけるエネルギーパートナーシップという議論をやっているわけですが、結局、我々が今できることというのは、資源のない国なので、アジア諸国間の協調体制のベースになるのは、どうも日本はエネルギーの関連技術でやる以外に知恵がなさそうだと、それがベストだということになってきているわけですが、いろいろエネルギー関連技術っていったって、結構いろいろなことがありまして、先ほどの備蓄の問題であり、あるいは環境問題での取り組みである、あるいは省エネであり、あるいは原子力だ、資源エネルギーだ、いろいろあるわけですけれども、どういう点をとっても、結局技術によるコントリビューションがやっぱりアジアのエネルギーパートナーシップという観点ではたった1つの強みなので、それに頑張ってやっていきたいという程度の議論をやっているわけです。
 先ほど河野委員から質問のあった点については、我々が例えばインドへ最近、私も奥田さんと一緒に行ったんですが、インドの首相に二階大臣が行かれて、中国との問題はなかなか難しい問題もあるので、ひとつインドの首相によろしくお願いしますといったやり方しかやっておられない。限度があると。つまり、なかなか対中問題については政治的な面での政冷経熱という問題があって、だんだん我々が中国に行った場合には、ビジネス上は問題ないですけれども、政治的な問題が片づかない限り、こういったエネルギー問題についても、あるいはその他の問題についてもなかなか話に持ってこない。まず片づけてよという態度なので、これはなかなか難しい問題で、さすがの河野委員でもちょっと遠慮して言っておられるわけですけれども、我々もただ、そういう中で何をやるのかということになると、やっぱりさっき寺島委員が言っておられた態度の問題にしても、あるいは対中問題にしても、いずれにしても、個人と国との関連だけでとらえるのではなくて、非常に重要な問題ととらえて、ある程度戦略的に一つずつケリをつけていく。やっぱり1つの国家的な戦略を持って、用意をして、遠回りでも話をしていくということしか現在は解決策がないわけです。我々は経団連でもそういう考えで、この前、ベトナムに行ったときも同じような話をして、やっぱりアジアのエネルギーパートナーシップという考え方を着々と進めていくということが重要で、今の時点ではほかの政治問題を片づけてからというわけにはいきませんので、それを進めていただきたいというのが考え方でございます。以上でございます。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。長官から何か。
小平長官
 一部誤解があるかもしれませんので念のため現状だけ申し上げておきます。中国、インド、あるいはASEAN等との様々な協力は、政府ベースでも民間企業のベースでもそれぞれ進んでいると思いますが、エネルギーについて申し上げますと、1つは中国との間におきましては、原子力については安全関係の研修生の受け入れを長年行っておりますし、それから石炭については、研修の場は北海道の釧路の太平洋炭礦の跡において、中国、それからインドネシア、ベトナムからの研修生を呼んで毎年研修をしております。これについても中国については、大体もう5年以上続いていますけれども、研修受講生は、それぞれの会社では現場の幹部になっているということで、石炭分野では、非常にクリーンコールも含めて協力が進んでおります。
 それぞれの産業分野については、私が申し上げることでもありませんけれども、例えば鉄鋼分野では昨年も両方の業界の、まさに省エネを中心とした会議が行われておりますし、そういう実績も踏まえて二階大臣が先般、中国に行かれたときに、5月の下旬に東京で省エネルギー・環境総合フォーラムを開催することが確定をしております。これも産業界のご協力もいただきながら、これをまた入り口にして、さらに広めていきたいと思っております。全体の政治の状況があるから、他のことはほとんどとまっているという印象のお話があったかと思いますが、実際問題としては中国側も非常にこの問題は深刻になっておりますので、協力はこれからもさらに強化していくということで行っております。
 それから、インドについても私どもは、協力の枠組みをつくっておりまして、だんだん協力協定なども個別の分野で進んでおりますけれども、インド側から言われるのも、省エネをはじめとし、今、話題になっております備蓄や、あるいはLNGなどであり、相当幅広い分野でかなり議論をしております。先ほど、二階大臣がインドに行かれたというお話がありましたが、大臣になられてからはインドには行っておりませんので、その点は若干誤解ではないかと思います。
 それから、ロシアの話がありましたが、これもあまり具体的なことはここで申し上げられませんけれども、例を申し上げますと、例えば資源エネルギー庁とガスプロムの協力協定、それからロスネフテも、今、実は社長が日本に来ておりまして、いろいろな方と会っておられますが、私も今朝、朝早くからロスネフテの社長といろいろな協力について議論をしております。必ずしもこういう対外的な関係は全部行われていることをすべて発表することがあまり適当ではありませんので、そういう表現を見るとほとんど何も進んでいないという誤解が一部あるかもしれませんが、実務的には企業レベルの協力も含めて相当進んでいるということも認識していただければと思います。念のために申し上げました。
黒田部会長
 柴田委員、今の関係で何かありませんか。
柴田委員
 決して小平長官が言われたことに反論を申し述べるわけではなくて、私もそういう政府の努力というのは、経団連で海外に行ったときもよくわかるわけですけれども、ただ、基本的に若干、個々のベースでのいろいろな進行と、最終的に決断をするときにとげみたいに刺さっているということを申し上げたかったわけで、決して努力がないとか、経団連ベースでも同じことを考えておりまして、二階さんは確かに我々が行く前にいろいろな意味でインドとの、いろいろな広い範囲内でのアジアの協力関係をきちんと話してくださいということで、随分いろいろな意味のミッションが行っているわけです、もちろん経団連も行ったわけですが。ですから、今の小平長官がおっしゃっておられることに決して異論を唱えているということではないのですが、若干、我々がそういうトップと話をするときに少し引っかかりがあるということを申し上げただけで、別に政府が努力していないとか、そういうことを申し上げたのではないので、一言弁解させていただきます。
 以上です。
黒田部会長
 どうもありがとうございます。それでは岡村委員、どうぞ。
岡村委員
 今のご議論でほとんど指摘されておりますので、ちょっと簡単にお願いとご質問をさせていただきます。私も東アジアでの協力関係をどう結んでいくのかということが非常に重要な問題だと思います。片方でFTA、EPAという話が東アジア共同体という形で進む中で、その枠組みをどうこしらえていくのかということは非常に重要な問題になってくるのではないかと思います。今、日中韓プラスASEANという形もあれば、さらにニュージーランド、オーストラリアを加えていくという話もあるし、伺うところによりますと、2008年ぐらいにはもうおおよその東アジア共同体の枠組みが決まろうとしているというお話も伺っております。これは非常に短期的な話であと2年しかなく、その間にエネルギー問題というのが果たして中心になり得るのだろうか、というよりはむしろ、中心にしていただくようなEPAの交渉であっていただきたい。それがお願いでございます。
 それから、あえてつけ加えさせていただきますと、オーストラリア、ニュージーランドとの関係をエネルギー問題の中でどう今、位置づけていらっしゃるのか。これは質問でございます。以上です。
黒田部会長
 何かお答えできますか。
成瀬室長
 研究会の中では、特に天然ガスについてはマレーシアとか、インドネシアとか、さらにオーストラリアについて特に外交努力をさらに高めるとか、経済関係をさらに密接にしていくというご議論がありまして、まさにそういったオーストラリア等との関係というのも重視していこうというふうにまとめていきたいと思います。
黒田部会長
 それでは、和気委員、どうぞ。
和気委員
 言わずもがなの話で恐縮ですけれども、まだ時間的余裕がありそうなので、ちょっと発言させていただきます。
 リスク対応に関する議論は、大変よく検討されているのでこれ以上のことを付け加えることはないと思うのですが、ただ、リスクを議論するときに、同じ客観的な事象に直面しても国・地域によって、産業セクターによって、あるいは時代によっても、リスクの中身、あるいは主観的リスクといった言い方もできますが、かなり違ってくると思います。私はアジアの連携が1つの大きな安定要素として重要だということに異論があるわけではないし、この方向で動こうとしているベクトルは感じているのですが、アジアの国々がそれぞれどのようなリスクとしてとらえているのか、つまり共有できるリスクがどこまであるのかといった観点からもう少し考えてみる必要があると思います。エネルギー市場における、たとえば価格変動リスクというのは、比較的、客観的にどの国から見ても共有できるリスク要素であると思います。ところが国内社会・経済の営みと世界との関係の中で評価されるリスクというのは、それぞれ国によって当然違っています。日本にとってのリスクと、あるいはたとえば中国にとってのリスクとは量的・質的に違うと思います。先ほど寺島委員もおっしゃられたように、日本が今、原油がこれだけ値段が上がっているのに、どういうふうに日本の経済社会がそれを吸収しているかということも含めてなんです。したがって、わが国から見た固有のリスクと、アジアで共有できるリスクというのはどのようなものかを分析し、判断しておかないと、アジア連携といっても空回りになりそうな危惧感を覚えます。
 さらに付け加えますと、戦後のヨーロッパ復興のための統一という動きの中で、一方ではいわばヨーロッパ共同体的な統合化があり、他方では、域内貿易自由化の推進という連携とがありました。後者のイギリスを中心としたEFTA形成は、貿易自由化というシングル・イシューでの地域連携・地域統合化の方向でしたが、結局、求心力を失い、前者のEEC(現EU)に吸収されていきました。ラテンアメリカでのLAFTAもそうでした。戦後世界経済の歴史が証明してくれたことの一つは、幾つかのイシューをパッケージにした国と国との共同体形成がより持続可能であるということです。EUでは、自由貿易市場の拡大とともに、まさしくヨーロッパ・エネルギー政策もまた重要な連携要素を構成していたわけです。
 アジアの地域連携を考えるときには、わが国のエネルギー安全保障という文脈で地域連携問題に単独で結びつけるのではなく、アジア全体の安全保障、アジア市場の拡大 あるいはアジアの経済安定化・環境保全型の持続的発展といったアジア共同体の形成を視野に入れた未来志向的な枠組において、エネルギー問題をどう位置づけ、とらえるかという文脈で議論したり、提言したりする方が、より説得的・実効的であると思います。結局、日本の国益だけを先行してアジア連携を主張しているのではないかといった印象・疑念を与えないようにしなければなりません。アジア地域連携と日本のエネルギー安全保障を結び付けて議論するときは、このような配慮が必要かと思います。以上です。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。それでは内藤委員、お願いします。
内藤委員
 寺島委員を委員長にして非常にいい検討を進めていただいておりまして、私、委員でありながら出席が悪くて申しわけありません。
 それで、非常にいい検討をしていただいていると思います。ただ、今、ちょっと思いついた点を1点申し上げますと、要するに、エネルギーの安定供給なり、カントリーリスクなり、あるいは外交問題なりということについては体系的にご検討いただいているのですが、もう1つのリスクというのは、今のエネルギーセキュリティーの議論がこんな議論になった発端は9・11事件以降であると。それから、その後のロシアのウクライナ等の動きということで、それが加速化されていると思いますけれども、その原点に戻って考えてみようということは、個別のサイトにおけるテロ活動等というところが発端であると。そういう点から考えますと、例えば日本国内の原子力のサイト、LNGのサイトにテロリストが入り込んで、それで日本の原子力発電所が爆破された場合に、そうすると大変な影響になって、そのあと原子力、これだけ重要だと言いながら推進できない確率が出てくると。それからLNGについても、あれだけNIMBYセンチメントが強いと思う。そういう状況の中で、あのケースに戻って、日本国内におけるサイトのセキュリティーが十分であるかということが大きな落とし穴にならないようにしなければならないと思うわけです。それで、現地に行きますと、セキュリティーが確かにいらっしゃいますけれども、セキュリティーの専門家というのは少なくて、現地の住民の雇用確保という形で、専門家でない人がこんにちはということで聞いておられるということで、その辺、欧米とは違うという感じがします。
 それで、実はこういう感じを申し上げるのは、2つのことをちょっと具体例で申し上げたいと思うんですけれども、1つは内閣の勉強会でそういう議論をしました。そうしたら、サマワの派兵問題に絡んで、日本でどこがアタックされ得るかという可能性を議論して、あるところの支店も具体的に名前が出たと。そこにあるアメリカの日本子会社は、数日後に訪ねたらセキュリティーを完全にやっていると。ところがほかの会社はやっていないと。それで、これも申し上げていると思いますけれども、その会社の本社に行って、あれはどうだという話をしたら、しかるべきところから情報が来たから子会社にちゃんと情報を送ったということで、外国の日本子会社がそういうところでの議論の情報まで入っているということで、要するに、そこまで外国の企業の場合にはちゃんと確保してやると。
 それからもう1つ、私が思いましたのは、例えばこの前の風刺画問題の議論があるときに、実は我々で中東についてのセミナーを開きました。そうしたら、そのセミナーの夜、アラブ地域から来られた方々が、大使館の方も含めて集まっておられるということで、きょうはどうもありがとうございましたという話をしたら、実はきょうのセミナーの一番目のセッションの議題について、非常に不満であるということで、ここで議論をしているのだと。要するに、イラク、イスラム、テロリズムというものを並べて1つの議題にしていると。これは非常に耐えがたいということで、私はそういうインスティチュートをしたものではありません。そうしたら先方より手紙を出せということで、わび状を出してアラブ関係の大使館の会合で配付してもらいまして事なきを得ました。何を申し上げたいかというと、風刺画問題ということで新聞で見ているのと、日本の現実のところでそういう議論にズバッと言われるということのギャップを非常に感じたわけです。
 したがって、結論的には原子力、LNGのサイトの安全確保というのを徹底しておくことが非常に必要であるという点をちょっと感じましたので、申し上げさせていただきます。
黒田部会長
 どうもありがとう。それでは寺島委員、まとめて何か、ご回答も含めて。
寺島委員
 手短に最後に1点だけちょっと、原子力のことで発言しておきたいんですけれども、私は2週間前にアメリカの東海岸を回ってきて、ワシントンの空気で経済ナショナリズムが極端に強くなっているなという印象を非常に強く持ったんです。
 先ほどのウエスティングハウスも、今日いらっしゃいますけれども、要するに、東芝ウエスティングハウスの件についても、できるだけきちんとソフトランディングしていくように、経済合理性の枠組みの中の議論で収れんしているように、我々もビハインド・ザ・シーンですけれども、バックアップして動いている立場ですけれども、今、ワシントンの雰囲気というのはコノコの買収、中国の案件をナショナルインタレストで拒絶して、ちょうどUAEの公安の管理会社の買収の問題がピークに来ていて、結果的にリクラインさせて、今、静かに、例えばウエスティングハウスのことが話題になり始めていて、つまり、これは平和利用の目的のプロジェクトであり、今まで英国の会社が持っていたものを日本が持って何が悪いという話だけれども、やはりある意図を持って活動する人たちというのがこの世界には入り乱れていて、国際的な原子力の世界の中での日本の立ち位置というのは、まさに非核保有国で唯一核燃料サイクルを国際社会から許容されている微妙な立場というのがあるわけですよね。我々自身の意識の中にはないけれども、去年の秋にIAEAに行って話を聞いてみても、国際的な原子力の査察予算の3割は六ヶ所で使っているんですという言葉が象徴しているように、日本に対してもやはりサスピシャスな空気で見ている人たちも多くいるわけですよね、いろいろな意味において。
 そういう中で、僕は何が言いたいかというと、この原子力政策について、新・国家エネルギー戦略の中で、核燃料サイクルを含む原子力の推進というキーワードでボンと投げつけていますけれども、そういう楽観的な空気の表現ではだめで、まさに原子力の人たちが懸命に今、資源エネ庁の会合でもって積み上げているように、国際的な原子力管理への積極的な参画というか、優位的なポジションの確保ということに対する問題意識をしっかり持っていないと、ただ推進なんていうことを言っていればいいような時代じゃないという意識がないと、国家としてのエネルギー戦略上の原子力の位置づけというのは間違うのではないかということを思うものですから、ちょっとこれは気がかりなので、特に経済ナショナリズムの動向等、これはすべての話にもリフレクトしていっているわけですね、さっきの川上の、例えば石油の開発案件についても、そう簡単に、いわゆる経済ナショナリズムが鏡に映っていますから、アメリカが発信しているメッセージにリフレクトする形で世界中が、ある種の経済ナショナリズムの世界に引き込まれていくとしたら、ここで生じてくるリスクとかというのは大変なものなわけで、相当な覚悟でエネルギー戦略を書き上げていかなければいけないのではないかと思うんです。そういうことで。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。保安院から一言、テロの問題について。
西山課長
 原子力安全・保安院の企画調整課長でございますけれども、今、内藤委員から原子力発電所のテロ対策のことについてご発言がありましたので、私どもがやっていることについて、ごく短く説明させていただきたいと思います。
 まず、私どもも原子力発電所の警備が非常に重要であるということは、非常に強く認識しておりまして、9月11日の後は警察庁と、それから都道府県警察、海上保安庁のご協力を得て、24時間体制の警備をしいております。各発電所のサイトの沖には必ず海上保安庁の船がいるわけでございます。そして、今の警備の体制というものも、警察を主体にしておりますので、地元の方も若干は警備員として雇用しているかもしれませんけれども、それはそれとして治安部隊による警備が行われているということを、ぜひわかっていただきたいと思います。
 それから、IAEAが警備のための基準を示しておりますけれども、その最先端の基準に合致する体制にするために、昨年の通常国会におきまして、原子炉等規制法という法律を改正いたしまして、今、世界の最先端の水準の警備にしております。その1つの例を申し上げますと、事業者の方々、各電力会社には核物質防護規定という、自分のルールをつくっていただいて、それに基づく警備をしていただいているのですが、そのためにどういう脅威を想定すべきかということは、国から、警察とも十分な連携の上でお示しして、それに基づく警備をしていただくようにしております。しかも、それが事業者のに自主性に任せるだけではなくて、私どもに検査制度をつくりまして、検査官を国として任命して、その検査官による検査を行うことにして、今年の6月から国による検査も含む警備態勢をしくということになっております。
 そういうことで、現時点では世界最高度の警備がされているということですので、原子力発電所のテロ対策については、基本的にはご安心いただきたいと思っております。
黒田部会長
 どうもありがとうございました。エネルギー安全保障の問題、現在いろいろご検討いただいているということで、きょういただきました意見を踏まえて、またさらにご検討いただきたいと思いますが、一言だけ座長として感想ですけれども、やはり問題は世界の認識と日本の認識が少しずつずれてきているのではないかという危機感が僕は非常に強くて、エネルギーの安全保障、国家安全保障を含めて、そういうギャップが非常に問題なのではないかと。それで、ただ、世界のある種、安全保障に関する危機感とか対立に日本がそのまま乗って同じような対策を安全保障についてやっていけばいいのかどうか、これは非常に大きな問題で、そこのところに何か寺島座長のおっしゃったアクションプログラムを含めて、日本の方針が出せれば一番すごいことなのだろうというのが、私の感想です。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それで、本日予定の時間がまいったわけでありますけれども、本日いただきました両課題についての意見は、さらに今後の議論に反映させていただくということで、私どものこの部会でも新・国家エネルギー戦略ならびにエネルギー基本計画の改定に向けてさらに議論を深めていきたいと考えております。
 次回の予定でございますけれども、次回は環境関連の対策、それから新エネ、省エネの政策、それから技術開発といった問題について少しご議論をいただく予定でございまして、5月15日の3時から5時までということで、次回は経産省本館の17階で行う予定でございますので、改めてご案内を事務局から差し上げたいと思います。
 以上でございますが、よろしゅうございますでしょうか。では、きょうは長時間ありがとうございました。これで終了させていただきます。

── 了 ──

 
 
最終更新日:2006年4月12日
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