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「工業品先物市場の競争力強化に関する研究会報告書」の進捗状況に係る第2回フォローアップ結果

平成20年9月24日

「工業品先物市場の競争力強化に関する研究会報告書」(平成19年6月27日)に関しては、昨年11月にその進捗状況についてフォローアップを行ったところである。今回、さらに同フォローアップ結果を踏まえ、取引所、行政等からその後の進捗状況に係る説明及びこれに対する各委員からの指摘を含めた議論を行ったところ、その結果は、以下のとおりである。

前回フォローアップ以降、商品先物市場を巡っては、国内外で大きな環境変化が見られた。国際的には、原油等一次産品の高騰を受け、投機資金が商品先物市場に与える影響等について議論が行われ、首脳レベルで市場の透明性向上のための努力及び各国間の協力の必要性が合意された。国境・分野を超えた取引所間の合従連衡、連携もさらに進んでいる。国内においては、市場流動性がさらに減少する一方、石油元売業者の工業品先物市場への参入が進むなど、商品先物市場の持つ指標価格形成機能の重要性が再認識されつつある。また、商品先物市場の競争力強化の必要性とともに、金融と商品の連携の方向性についても政府全体で合意がなされた。一方で、海外商品先物取引等に係る苦情・相談件数も依然として高水準にある。このような環境変化に対するため、新たな課題への取組も必要となってきている。

今後、取引所、商品取引員、行政、自主規制機関(日商協)等の各主体は、上記環境変化を十分に認識しつつ、今般フォローアップの結果を踏まえ、工業品先物市場の競争力強化に向け、引き続き、スピード感をもって取組を進めるものとする。

1.工業品先物市場のプロ市場化と市場参加者の利便性の増大について

東京工業品取引所における取組については、取引時間の延長、新たな電子システムの導入に向けた準備、市場運営ルールの一定の改善など、多くの事項について取組が進み、今後もその円滑な実施が期待される一方、一部の課題については、以下のとおり、取組の更なる具体化等を迅速に進めることが必要である。

また、上記の環境変化に対応し、市場の透明性の向上、石油市場における流動性増大・価格指標性強化のための方策も必要となっている。

(1)世界最高水準の新たな電子取引システムの早期導入

  • 平成21年5月7日の新システム稼働に向け、ほぼ順調に準備を進めているが、関係者との調整を更に進めつつ、稼働後のシステムトラブル発生防止に万全を尽くすとともに、万一トラブルが発生した場合の対応について現時点から検討することが重要である。

(2)アジアの中心市場としてふさわしい取引時間への延長について

  • 取引時間については、新システム導入時における23時までの夜間取引を円滑に実施できるよう関係者と調整を進める。更に、夜間の値動き及び取引実態、市場監視体制のあり方、取引システムの安定性等を確認し、新システム導入後6ヶ月を目途に24時間化を実現するよう最大限努力する。
  • なお、遅くとも新システム導入後1年以内に24時間化を実現する。その際、他の取引所の立会時間の変化等内外(特にアジア)の情勢がさらに進んでいることを考慮して、更なる時期の前倒しについて再検討する。
  • これに伴う夜間の受託業務のあり方等に係る課題については、その抽出・整理をさらに進め、主務省も含め所要の対応を行うため、年内に課題及びこれへの基本的な対応の考え方のとりまとめ、その後、基本的な対応についても検討を行う。
  • 東京工業品取引所は、欧米取引所における取組事例等を参考にしつつ、夜間取引における流動性を高めるための取組を新システム導入前に明確化し、具体化する必要がある。

(3)国際的に遜色のない市場運営ルールの構築について

  • 各上場商品の制限値段幅、建玉制限については、新システム導入前においても引き続き市場参加者の要望、市場動向、国際的比較等を十分に踏まえて、不断の見直しを行うものとする。

(4)「その他の利便性・流動性向上策」に記載された各事項

  • TOCOMインデックス、サブインデックスについては、連動ETF、連動投資信託等の早急な商品化に向け、関係者と協議、調整を加速する必要がある。また、これらインデックスの上場についても、新システム導入を待って検討を行うのではなく、新システム安定稼働が確認され次第上場できるよう、今年度内に具体的タイムスケジュールを策定し、準備を行う必要がある。
  • 証拠金制度の見直し(リスクに応じた証拠金制度の導入)については、2010年度に向け早期導入を目指す中で、クリアリングの機能強化に関する研究会報告書の内容に沿って、積極的に対応するものとする。
  • 夜間取引の流動性確保のため、マーケットメーカー制度の導入が有用であると考えられ、そのためのインセンティブを検討し、夜間取引開始の際に実施することが重要である。
  • 現物受渡についても今年度内に具体的な改善点を整理し、早急に実現することが必要である。

(5)新たな課題

  • 原油市場については、海外主要市場に比較し流動性が極めて小さく、価格指標性を大きく高める必要がある。そのための具体策を今年度内に検討し、早急に実行に移す必要がある。
  • 石炭、A重油、LPG、各種金属等の個別の新規品目については、新システムの導入後、早期の上場を目指し、これまで進めてきた調査・検討をより加速させる必要がある。軽油についても問題点を早急に解消し、取引を再開できるよう努めるべきである。

2.一般投資家の保護をはじめとした市場の信頼性の確保

(1)市場の利便性の向上をはじめ、工業品先物市場の競争力強化を進めるに際し、これに伴って委託者とのトラブルが増大しないよう引き続き努力すべきである。このため、報告書に示された一般投資家の保護をはじめとした市場の信頼性確保のための取組を着実に進めるものとする。特に制限値段幅の拡大等今次の競争力強化のための措置に対応した適合性原則等を的確に運用するとともに、新規委託者がその内容を理解するよう十分に説明を行うこととする。あわせて既存の委託者に対しても広く周知し、理解を深めるよう努める。また、より一層の委託者の保護を図る観点から、行政、自主規制機関、取引所、取引員等の各主体が更なる取組を進めるとともに、その経過を注視していく必要がある。

(2)行政は、法の執行に際し、立入検査後、行政処分を引き続き迅速に進めるべきである。

(3)新たな課題

取引所は市場の透明性向上に向け、主務省と連携しつつ、不公正取引の監視を一層強化するべきである。また行政としては、増加傾向にある海外先物取引等について対応を行うべきである。

3.事業体制等のあり方

(1)取引所の株式会社化

  • 東京工業品取引所は、報告書に示された方向性・スケジュールに従い、株式会社化をはじめ事業体制のあり方等に係る取組を引き続き着実に進めることが必要である。特に、株式会社化にとどまらず、株式の上場を実現するよう具体的スケジュールを作成して取り組むものとする。

(2)「その他」に記載された各事項

  • 第一回フォローアップで指摘された次の点について、今年度内にその具体的内容、実施スケジュールを明らかにすべきである。
  1. ターゲットとする市場参加者のイメージ
  2. 国際戦略の明確化
  3. 機関投資家等の大口市場参加者、当業者等、国内外のプロ投資家のニーズの把握
  4. 市場参加の働きかけ等を戦略的に行う営業・マーケティング体制の整備、関係専門知識を有する人材の確保など、営業・マーケティング機能の抜本的強化

(3)新たな課題

  • 本研究会が推進するプロ市場化の方向性を踏まえ、東京工業品取引所は、今後、さらに、工業品先物市場の当業者の参加を促進し、市場参加者多様化を図る中で、株式会社化を契機として、国内外の状況を十分踏まえた上で、市場の利便性向上、流動性増大、透明性向上等を実現するために必要となるビジョン及び具体的戦略を、課題ごとに実現に向けた具体的な工程表とともに、今年度内に策定すべきである。
  • 当該ビジョン及び具体的戦略には、本フォローアップで指摘された各種内容とともに、国際的動向を十分踏まえた上で、魅力的な新規上場商品の開発・上場、不公正取引の監視の強化等についても明らかにするべきである。

4.その他

本年4月24日に公表された「クリアリング機能の強化に向けた今後の取組について」は、クリアリングの信頼性向上が自らの業務に大きく貢献しうる取引所自身が、報告書内容の実現に向け、積極的に取組み、最大限の努力をすべきである。

以上

 
 
最終更新日:2008年9月25日
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