経済産業省
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工業品先物市場の競争力強化に関する研究会(第1回) 議事要旨

日時:平成19年6月1日(金)14:30~16:30

場所:経済産業省本館17階東7第2共用会議室

出席者

尾崎座長、池尾委員、石戸谷委員、牛嶋委員、遠藤委員、大河内委員、加藤委員、川本委員、木村委員、下山委員、高井委員、多々良委員、中川委員、南學委員、増田委員

議事要旨

1.経済産業省松井商務流通審議官より開会挨拶

  • 現在、我が国の商品先物行政は、2つの課題に直面している。一つは、消費者保護。商品先物のみならず、他の分野も含め、消費者の安心・安全を守ることへの社会的要請は日に日に増しており、商品先物取引もそれを前提とすることが必要である。
  • もう一つの課題は、国際競争力の強化。これについては、資源の安定供給に関する側面と資本獲得競争に関する側面がある。世界では、取引所間での競争が激化しているが、他方、日本の取引所は、シンガポール、中国、韓国に遅れを取りかねない状況にある。この状況において、我が国商品先物市場が目指すべき方向は、経済財政諮問会議での議論を踏まえ、国民から信頼され、かつ、国際競争力のある取引所の実現である。
  • 本研究会は、経済財政諮問会議と競合するものではなく、実際には、その逆であり、経済財政諮問会議の議論も踏まえ、その一連の議論の流れの中で、まず、工業品分野の商品先物市場の部分について足下を固め、次のステップに備えることを目的に開催されるものである。

2.資料説明

  • 事務局より、研究会の開催主旨、検討事項、商品先物取引を巡る現状及び商品取引に関する経済財政諮問会議における主要議論について説明
  • 東京工業品取引所及び中部大阪商品取引所よりその概要説明

3.意見交換(各委員からの主な意見は以下のとおり)

  • 国内商品取引所の流動性が低下し、アジア諸国に商品取引所機能を取って代わられるおそれもある。東京工業品取引所の出来高は、2003年にNYMEXに次ぐ世界第2位であったが、2006年には世界第6位となった。しかも、そのすぐ下位には、上海先物取引所や鄭州商品取引所といった中国の取引所が続いている。新システムの導入、取引時間延長、国際的運営ルール等において、会員と相談の上、時機を失することなく、迅速に取引所の競争力強化に取り組んでいく。
  • 商品取引員の立場から考えると、近年、流動性が急激に減少している最大の要因は、先般の法改正による再勧誘の禁止など、新規の勧誘が難しくなっていることにある。経営状況の厳しい取引員が無理をする懸念もある。すべての商品取引員に対する一律の規制ではなく、違法行為を行う商品取引員に対して強い規制をかけるなど、規制のあり方を検討すべき。
  • 商品先物取引による被害者の方が多数いる現状で、1500兆円の家計の資金を取り込もうという議論には危険を感じる。規制を緩めることは適当でない。
  • 商品先物に一般消費者を近づけてはいけないし、不招請勧誘禁止が必要との気持ちを強めた。経済財政諮問会議では、プロ向けの市場ということで議論が行われているので、その方向での改革を目指してほしい。米国や英国では、苦情を減らしつつ取引量を増やした例がある。プロ以外が市場に入った状態で改革を行うのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなものであり、適当でない。
  • 再勧誘の禁止があるが、商品先物は難しい取引であり、その仕組みを理解してもらうためには、外務員が何度か投資家のもとへ通って説明をする必要がある。そういった事情を踏まえた規制体系とすべき。
  • 取引所の流動性低下に対する方策を考える際、規制と育成は、別の次元で考えるべき。どのような形で取引所の国際化をして、競争力を高めていくか議論すべき。
  • 商品先物は、産業インフラで金融ではないという議論もあるが、個人が参加者の中心となっているマーケットで、どの程度、産業インフラとして機能しているのか。我が国の経済規模に合った市場とすべき。個人投資家と機関投資家の間には情報の非対称性がある。流動性は、プロの市場参加を促すことで回復させるべき。また、専門性のある個人が、例えばロスカットのような措置と併せて市場参加するならば適当と考えるが、そうでない一般の個人が入るのは適当でない。
  • 欧米において取引量が増えている要因は、ヘッジファンドや商品指数に連動するファンドを通じた資金流入。個人資産の流入も、直接的な市場参加ではなく、リスクが低い商品に参加したり、ファンドなどの形で専門家を介して市場に参加したりしている。直接的に個人投資家がマーケットに参加するのは、欧米の例では希である。
  • 日本は、中東産原油を使っているのだから、中東産原油を上場している東京工業品取引所の原油価格が新聞等で報じられるのが当然であるが、現状においては、ほとんどの場合、WTI原油価格が報じられている。そうした点から見ても、東京マーケットの価格指標性、プレゼンスは低い。ドバイ商業取引所の取引開始もあり、価格決定権がアジアのみならず、中東にも持っていかれるおそれがある。流動性減少の原因を解明し、例えば機関投資家や当業者を呼び込むための施策を考えるべき。
  • 情報の非対称性はむしろ株式の方が大きい。例えば、石油価格の場合、WTIの価格を見て取引を行っているので、情報格差はそれほどないのではないか。産業インフラ機能は、取引の場を提供するのみではなく、取引所で形成された価格を当業者が利用することも含まれる。
  • 現在の商品取引所に、我が国の経済力に見合うだけの産業インフラ機能があるか疑問である。
  • 取引所の商品設計を変えれば、商品先物市場への参加を考えている当業者の会社もある。また、原油市場における個人投資家の参加割合は4割のうちの一定割合である。ゴム市場は、中国での当業者の取引に日本の取引所の価格が使用されている。
  • 個人投資家と機関投資家の間での情報格差は存在している。機関投資家は、タンカー名まで考慮した上で投資判断を行っているところもある。日本の石油製品は品質が高く、輸出が可能であり、その輸出の際の価格ヘッジに、東京工業品取引所を利用したいところだが、輸出単位に比し建玉制限が低く使い勝手が悪い。
  • 建玉制限を緩和するだけで解決するのか。流動性が低くては機能しない。
  • 市場の競争力強化について議論している中で、個人投資家を念頭において議論するのは適当ではない。本来であれば、執行スピード等の利便性について議論をすべきと思われる。取引所が会員制組織であることはガバナンスにおいて不透明と考える。昼休み時間に市場が閉じることに違和感を覚える。また、商品先物はイメージが良くないので、国民の支持が得られない。
  • プロと同等の投資判断ができる者がいるなど、個人の能力は様々であるため、一律に考えるべきではない。また、商品先物が金融商品取引法に含まれないことが金融と商品の垣根を高くしている。国際化のためには、ルールを国際基準に合わせるべき。海外からの参加が重要。
  • 取引所には、産業インフラ機能と投資インフラ機能がある。東京工業品取引所の貴金属市場は、産業インフラとして大いに機能を果たしている。一方、石油市場は、現在の商慣行がリム価格を用いる形態となっているため、役割を果たせていない。また、投資インフラ機能も不十分である。例えば、商品指数の中に東京工業品取引所の商品は組み込まれていない。原因としては、24時間取引できないこと、建玉制限及び値幅制限が考えられる。特に値幅制限があっては、仕組み債を組成しにくい。また、縦割り行政をやめ、省益ではなく国益を考え、投資インフラとして使い勝手のよい市場を作ってほしい。
  • 日本の商品先物市場は、個人投資家の比率が高い。LMEは、産業界からの参加者が多い。産業界の参加が増える取引所になってほしい。
  • 投資インフラ機能を高めるために、例えば、ギブアップ制度を導入してほしい。
  • それについては、既に付け替え制度とよばれるものがある。ただし、その使い勝手については更に検討の余地がある。
  • 過去に、産業界が価格決定権を失うことを危惧し、上場がかなわなかった事例がある。
  • 個人が入ってはいけないというのではなく、問題はその入り方ではないか。
  • 流動性は重要。ETF等から、金融と商品の融合や、金融市場とのインタラクティブ化を図っていく必要がある。
  • ETFが解禁されたとしても、その資金が国内の商品先物市場に還流してこなくてはいけないので、まず、早急に国内市場の利便性を高める必要がある。
  • 何でも英米と同じにすればよいということではない。国際化を踏まえながらも我が国なりのやり方で、国益、産業インフラの強化という面から、信頼性と利便性の両方を高める必要があると考える。

以上

 
 
最終更新日:2007年6月6日
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