経済産業省
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中小企業等CO排出削減検討会(第1回) 議事要旨

日時:平成19年5月15日(火)17:00~19:00

場所:ルポール麹町「マーブル」

出席委員

松橋委員長、井上委員、岩間委員、魚住委員、影山委員、徳田委員、榊原委員、佐藤委員、冨田委員、原委員、春田委員、福田委員、本郷委員、向井委員、森井委員、山田委員

議事要旨

1.検討会の趣旨・運営方法・スケジュール、及び制度のイメージについて

松橋委員長挨拶、委員メンバー紹介の後、経済産業省及び事務局(日本スマートエナジー)より、配布資料の説明が行われた。その後、松橋委員長より以下の発言があった。

松橋委員長
  • 資料2-1から2-3は昨年度までの検討会の成果を中心にしているが、本検討会ではこれにとらわれず検討していきたい。
  • 今回の仕組みにCDMのような厳格なルールを適用することは、国内のCO削減プロジェクトの活性化を阻害すると考えている。特にルールの厳格化は、日本が得意とするような削減手法を排除することになる。
  • 国内でのCO削減プロジェクトを活性化するとともに、国際的なアカウンタビリティを確保しつつ、公平、透明、簡明なルール作りが必要である。
  • 今年度は新たな出発と認識しているので、昨年度までの成果に拘泥せず、委員の先生方から色々ご意見をいただき、よりよい方法を検討していきたい。

2.検討会委員の発言及び質疑

検討会の趣旨・運営方法・スケジュール、及び制度のイメージについて、委員からの発言及び発言への回答は以下のとおり。

  • 非常におもしろい、やりがいがありそうなプロジェクトだという印象を受けた。
  • 中小企業を対象としたこの制度は一つ一つのプロジェクトが小さい。制度のポイントは、いかに中小企業の省エネのインセンティブを高めるかということ、次いでいかに多くのプロジェクトを作るかというところ。この二点が重要であり、認証だとか厳格なことをやる必要はない。設備を導入するということであれば、ある程度の省エネというのは確保されているはずなので、本当に出来たかどうかに労力を使う必要はないと考える。プロジェクトの開発、促進と認証スピードがきわめて大事である。
  • 一方、そうは言っても、大企業は一定の金を支払い、中小企業は一定の支援金額をいただくということはある。問題は、大企業として自社で省エネをやる、あるいは海外からクレジットを買う、ということのバランスの中でどれだけの金額が出せるのか、ということ、また、中小企業はどの程度のお金が入ればやる気になるのか、ということだろう。クレジットという言葉があるが、必ずしもクレジットである必要はないと思う。そういったインセンティブが働くような、支援の金額、あるいは負担の金額がどういうものであるか、ある程度ヒントがつかめれば、大企業も出す気になるだろうし、中小企業もそれを受けてプロジェクトを実施するのではないか。
  • 中小企業の定義がここには書かれていないが、中小企業とは何か。フリーライダー的なニュアンスが出てしまうが、最後はあまり厳密に考えずに、プロジェクトを多く作っていくべき。大企業なり、そういった排出枠なりがほしい企業は、意味があると思えば支援する。最低限の認証があれば、実施していくことができるのではないか。
  • 自主行動計画の対象範囲を広げると捉えるのであれば、なんら厳密なことは必要ない。自分たちが意味ある技術を中小企業に使ってもらい、そのために最低限の補助金を出す、というように考えれば、それほど難しく考える必要はないのではないか。
  • この仕組みは将来大きく広げていく可能性がある。当面の使命はテクニカル中心だが、将来大きく育てるには、しっかりした理念を持って、具体的に地に足のついた取組みを検討していく必要がある。
  • 中小企業に省エネのインセンティブを持たせるには、なぜやらないか、をきちんと理解する必要がある。
  • このモデル事業自体は、大企業が中小企業を支援するということでよいが、この仕組み自体は、必ずしも大企業が中小企業を支援する必要はないと思う。中小企業が中小企業を支援するということでもよい。資料2-1の、大企業がイニシアティブをとって実施するという表現は不適切だと思う。努力したものが報われるということが基本。
  • プロジェクトを実施する際、どこに、どんなコストが、どのような形で発生するのか、また、コスト水準そのものがどのような形で決定されるのか、という事をきちんと押さえて分析すれば、次のステップとして役に立つのではないか。
  • 日本初の試みで、世界に通用する制度になるのではないか。日本は、省エネ技術は進んでいる一方で、制度、アイディアは世界に発信できていない。
  • 手続き費用が大きな課題になるだろう。CDMでも最近は手続きに要するコストが下がってきているが、仮に費用が1000万円だとして削減単価1000円と考えると、1万トンの削減が必要である。5年間で考えると1年あたり2000トン。2000トンのCO排出量を削減できて、やっと手続費用を回収できるようでは、小規模事業のインセンティブにならない。
  • 海外においても費用が課題であり、小規模事業のための手続費用を下げていくかが特に重要。
  • 日本はJI国であり、国内制度については相当フレキシビリティを持っており、当初案以上に簡素化できるはずである。クレジットということでJIの延長線上とも考えられる。その場合、AAUとのコンバーティビリティ(互換性)があると、さまざまな応用ができるのではないか。
  • クレジットを企業が購入する場合の会計基準について、どう考えているのか。カーボンクレジット、国産クレジット、京都クレジットなりを、企業が購入する場合の会計基準は、2年ほど前に出た会計基準委員会の暫定版が最新版と思っているが、この検討会では、全くそれは触れなくていいものなのか、あるいは、財務省などの他省庁やどこかの機関で検討が行われているのか、ということを知りたい。
  • この検討会では、国際共通通貨である京都クレジットと国産クレジットが並存する仕組みをイメージしている。国産クレジットの場合、追加性の厳密さを要求すると、中小企業はしり込みをするのではないか。家電製品の買い替えは通常は追加性が全くないとされているが、それもありとすべきなのか。そうすると、国際ルールとの整合性が必要。検討会のミッションをどこに定めるのか。
  • 設備投資をする際、それを買ったらどれだけCO排出量が削減できるのか、中小企業が自らCO削減量を計算するとなると難しい。
  • ものづくりの分野にかかる削減手法の検討が抜けている。技術が進歩し、省エネの機械は出ているが、設備導入するにはイニシャルコストがかかる。そのコストを本制度で支援する仕組みがあると、中小企業も投資しやすくなる。
  • 新しい省エネ製品は高く、役所もしかりだが、入札ということがあるため、解決しなくてはいけないところがたくさんある。
  • イニシャルコストが高くなる為、ゴミ処理発電が低効率で行われていることは問題である。省エネの仕組みを根本から考え直す必要がある。
  • 中小企業で、なぜCO削減事業が進まないかは大きな課題として取り上げる必要がある。
  • 資金補助、技術ツールがあっても尚課題があるのはなぜなのか、しっかり検討すべき。
  • たとえば、中小企業が削減した分、大企業がその分をクレジットしていただくとすれば、日本全体の削減量が減るわけでなく、イーブンになるだけである。もっと他のところで色々進むような、そういう根本原因を探らないと検討の意味がない。
  • 自主行動計画にどういう仕組みでどのように入れていくのか。
  • 昨年度までの検討で、CO削減量、トン当たりどのくらいの単価で削減できたのか。
  • CO削減量の計算式を示すだけでなく、エクセルのような計算プログラムを作る予定はあるのか。
  • (資料2-3、P5)平均33.9%削減できると言うのは驚き。これだけの削減が見込めれば宝の山だが、反面、それならなぜ進まないのか。
  • 資料を見ると、照明効率化によるCO削減率30%以上、50%以上の割合をあわせると6割を越す。照明を多く使う小売業でも空調を使うので、照明を全部消して、5割以上削減ということがあるのか。照明というカテゴリーで見ているのか。
  • 排出量の経年変化から企業の削減努力を評価するのは難しいが、今回の仕組みでは削減の努力が認識・評価されることから、対策を進める良いきっかけとなる。
  • 制度イメージを見る限り、中小企業だけを対象にしなくても、制度として機能すると思われる。
  • モデル事業の対象としては、中小企業で実施することが必要条件なのか。あるいは、小規模CDMの条件に合致する規模の対策ならばよいのか教えてほしい。
  • 技術が進歩すると、ものづくりのなかで製造プロセスが大きく変わる。ここに一番大きな削減機会がある。技術自体も作り、それを中小が使う、という産業発展のプロセスと環境負荷の低減を併せて考えると面白い考えができるのではないか。
  • 中小企業が競争力をつけることによって、削減できるという方法はないか?昨今の原油高の中で、原油、重油を使用している企業は多いと思うが、ここが削減できることによって、ランニングコストが下がる。それで競争力をつけられる。
  • CO排出量とともにランニングコストが減ることによってイニシャルコストを賄うことも考えられる。そういう新たな金融機関の手助けがあってもいいのではないか。
  • このプロジェクトは、CDMの仕組みをいかに簡素化するかというアプローチを基準に考えていると思うが、省エネ製品の場合はなかなかそれが難しい。
  • 一方で、日本は省エネ技術が発達しており、トップランナーなど世界でも類を見ない活動をしている。トップランナー製品が普及することで、さらに省エネ技術が進む、省エネが進むという効果もあるため、CDMを簡素化するというアプローチのほかに、ベンチマーク的なアプローチについても検討する価値がある。
  • 中小企業において省エネプロジェクトを掘り起こすことと、それをクレジットにして流出させることの2つの問題を区別しなければならない。
  • まずはプロジェクトを掘り起こすことが重要である。その検討を行った結果、CO削減量をクレジットとして流通させたほうがいい、ということであればそれを考えればよい。
  • どういった支援を誰がするのか、どこにするのかという議論をせずに、大企業が取引市場からクレジットを買うというニュアンスが強いが、中小企業に対する支援をいかに進めるかが重要な検討課題となる。費用問題を含め、クレジットの流通はその後の議論となる。
  • 自主行動計画との関係があるため、今後の議論で頭に置かなければいけないと思うのは、京都議定書で京都メカニズムの活用が認められていることもあり、こうしたクレジットを補完的に活用するということは、一つのあるべき姿だと思う。
  • ただし、プロジェクトをたくさん掘り起こすために基準を緩めるのは本末転倒になる可能性があるため、論理構成をきちんと考えて、クレジットに使うということであれば、きちんと整理した方が良い。

3.回答・説明

藤原環境経済室長
  • 省エネを実施することは競争力強化につながることなのに、中小企業はなぜ実施しないのか。この問題は非常に重要なテーマであり、資源エネルギー庁、中小企業庁を含め、経済産業省全体として分析、検討すべきであると考える。
  • 阻害要因の一つが、資金面・技術面の制約ではないかと考える。したがって、これを解決する方法の一つとして、大企業の資金を中小企業に移転するためのクレジットの活用があり得るのではないか。いわば、CDMと同じような形で、国内の中小企業の有するプロジェクトを、ある意味で、発展途上国のプロジェクトに見立てていくというようなことも、可能性としてあるのではないかとの問題意識である。したがって、プライマリー市場とセカンダリー市場との関係でいえば、明らかに、プライマリーの方に力点を置いていきたい。
  • なお、中小企業の効率改善のため、プロジェクトを掘り起こすことは非常に重要であり、従来から補助金を投入するなどして工夫しているが、引き続き進めていきたい。
  • 本制度において、中小企業に限定する必要があるのか、自主行動計画上の評価は京都クレジットと同等でよいかなど、様々な論点についてはこれから詰めていくことになるが、少なくともモデル事業においては柔軟に、実証実験を進める中で議論していきたいと思う。事業者の側からの自由な発想、アイディアを頂ければ幸いである。
事務局(日本スマートエナジー)
  • 手続き費用については、事務局側も重要な問題として認識している。トランズアクションコストをどう下げるか、ということも重要である。
  • CO削減量の認証方法に関しては、品質が問われるので厳格さは大切だが、簡素化には取り組みたい。
  • 日本のAAUとのコンバーティビリティ(互換性)については、いままでの事業では議論していない。この制度は、中小企業に対する支援を第一義的に考えていたため、取引までは議論が進んでいない。
  • 会計基準については、財務会計基準機構、ASBJで専門委員会を設けて議論しており、すでに提出されている実務対応報告で今般事業のやり取りについては対応できる。
  • 製造業、ものづくりへの対応については、技術を中小企業に導入することは重要であると考えている。しかし平成17、18年度に採択、応募してもらった事業の中に、こういった視点からの省エネというプロジェクトはなかった。
  • 削減に対する単価については、平成17年度、18年度の事業の平均では、削減量1トン当たり5万4000円の投資を行った。
  • 計算式のソフト化は、プロジェクトの特性により大きく異なるため、却ってプログラム化することが汎用性を疎外すると認識している。
  • (資料2-3、P5)照明効率化カテゴリーの部分は、照明効率化が主なプロジェクトに関するCO削減率を計算しており、必ずしも照明だけの数字が入っているわけではない。
  • 中小企業ではなぜ省エネが進まないかについて、過年度事業において中小企業経営者と議論した経験をシェアしたい。経営者はまず、売上拡大など営業に興味を持っているのが通常である。もちろんCSRの重要性を説く経営者もいるが、なかなか経営資源を割くことができない。なかでも製造業は、比較的意識が高い。製造業と製造業以外では、経営者に意識の差があると感じている。さらに、中小企業の人は受身であり、自分の会社のことでも、実際にどの程度省エネできるかはあまり知らない方が多い。
山澄環境経済室長補佐
  • 削減に対するトンあたりの平均単価は、5万4000円というと高いように思うが、その中に安いものから高いものまであるので、プロジェクトごとの特性もふまえ、この実証実験で一つ制度を詰めていく必要がある。
藤原環境経済室長
  • 一定の貨幣価値を生み出す仕組みとして、認証方法については海外クレジットと同等の厳格な扱いが重要である。他方、日本の中小企業の使い勝手のよい分かりやすい仕組みづくりにも配慮しなければならない。制度の検討にあたってはこのバランスが重要である。そのあたりも、今後のモデル事業、制度的論点で考えたい。
松橋委員長
  • 事務局及び経産省の説明でほぼ尽くされていると思うが、リジッドな部分の説明と、柔軟な説明というものがあり、その両方を汲み取っていただけると、今までの検討の結果は大体お分かりいただけるのではないかと思う。たとえば1点例を挙げると、ものづくりの部門が入ってない、というご質問に対して、今まで、このモデル事業ではそういう提案がなかったという非常に明快かつリジッドな回答だったが、逆に藤原室長の方から、こうした点についても柔軟に検討するというお答えがあったかと思う。今までの経緯と、今後は皆さんのご意見をもとに、またその部分を拡大する必要があれば、そこをまた検討していきたい。
  • トンあたり平均単価について、中小企業のCO削減には色々な複雑な事情がある。周辺に住宅地があり、費用が高くてもやらなくてはいけないところもある。いろいろな事情があり、安いものから高いものまである。そういった中での単価のため、これを単純に国際的なCERのようなクレジット価格と比較して、高い安いで比較しないでいただきたい。
  • 今回の検討会で、委員の皆様と、ベースになる問題意識は共通にしているという認識が持てた。今後の検討に活かしたい。
三木省エネルギー対策課長
  • 温暖化が差し迫る中で、省エネ対策は、今後さらに進めていかなければならないという認識である。産業部門・民生・運輸、すべての分野で色々な角度から検討しながら、もっとやれるところを進めていく。中小企業の省エネは大きな課題であり、その意味で国産クレジットは、ひとつの選択肢、または一つの手法として興味深いと考えている。
藤原環境経済室長
  • 5月下旬又は6月上旬に第二回会合を開催予定であり、日程調整をさせていただいている。議題としては具体的なプログラムを提示したい。
  • 近日中に議事要旨案を送付するので、御確認をいただきたい。

以上

 
 
最終更新日:2007年5月28日
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