経済産業省
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中小企業等CO排出削減検討会(第2回) 議事要旨

日時:平成19年6月1日(金)13:00~15:00

場所:虎ノ門パストラルホテル「しらかば」

出席委員

松橋委員長、栗原代理、魚住委員、影山委員、鶴田代理、榊原委員、佐藤委員、冨田委員、原委員、春田委員、福田委員、本郷委員、向井委員、森井委員、山田委員

議事要旨

1.京都議定書目標達成計画の見直しについて・モデル事業について

経済産業省より京都議定書目標達成の見通しについて、事務局よりモデル事業についての話の後、影山委員(東京電力)、冨田委員(東京ガス)、森井委員(松下電器)より、モデル事業の説明が行われた。

2.これまでの説明に対する、委員からの発言及び質疑

松橋委員長
  • 既存の事業を応用し、中小企業のCO削減に利用できる可能性について、新しい制度の提案を含めてご説明いただいた。委員の皆様方からご質問、ご意見等いただきたい。

  • 投資回収年数について、3年程度の省エネ投資回収であればおかしくない投資年数。それでも投資しない、出来ない理由はなにか。何が投資に踏み切るきっかけになるのか。
  • 徹底的に、省エネ投資をすれば得するという大キャンペーンをやればよい。政府が補助金を出すのに制約があるのであれば、大企業が出すことでもよい。
  • クレジットが出たか出ないかによって金を出すのではなく、投資するときに補助をする方が明解で良いと考える。

  • 中小企業がどれくらいで投資するか。COをクレジットとして買い上げて貰うことがインセンティブで、補助金が出ないとなると、クレジットが投資額の3分の1の補助金よりはるかに小さい額になるのでは。そうなると中小企業がやるかどうか、この制度がうまくいくのか。

  • このプロジェクトが対象とする中小企業の範囲をどの様なものにするのかにより議論が変わってくるのではないか。一般に中小企業のユニットは非常に小さいので、例えばESCO事業を行おうとしても、現在売り上げ平均の1億5千万円程度でないと採算上の問題が有るのではないか。
  • このプロジェクトを広く中小企業全体を対象とするのであれば、何らかの手法が必要となる。
  • 一つの手法としてバインディングという手法が有るが、公募・事前審査を通して共通の事業内容を持つ幾つかの事業をバインディングしたものをモデルケースとして取り組んではどうか。

  • 検討会の対象となる中小企業は、中小企業基本法の定義を想定しているのか。国産クレジット研究会では、重油換算で300キロ以上~3000キロ未満、CO排出量で800~8000トンを、中小企業と呼んでいる。従業員400人規模で6万3千トン排出している製紙企業では、資本金が三億円以上のため中小企業とはいえないが、実態としては中小企業という線引きである。

  • 国内クレジットの購入者が第三者、投資家となっている。排出削減量に価値をみとめた人が買うのか。また、それを市場取引すると価格が変動し、海外のCDM等の価格とも連動するのではないか。中小企業がプロジェクトに投資する際、初期投資と(変動する)クレジット対価をどう判断するのか。

  • 需要と供給をどのように想定するか整理した方がよい。クレジットと呼ぶか補助金と呼ぶかは別として、需要側をどう考えるか。規制のような形、民間のボランティア、政府の買い上げと様々な仕組みがあるのではないか。どこに需要があり、誰が資金を負担するのか決めないと供給が定まらない。
  • 期間が重要なのではないか。経済耐用年数に合わせて長くすれば排出権の経済性改善効果は大きい。しかし例えば海外のエスコ事業を見ると、10年かかるものには投資しない。経済的に見ると3~4年、4~5年がせいぜい。理論的には長い方が好ましいが実際の意思決定にあたっては短期間の方が望ましい。なお需要と供給が決まれば需給バランスという形で価格が決まるだろう。補助金のように妥当な水準を考える必要はない。

3.回答・説明

事務局(日本スマートエナジー)
  • 大企業にキャンペーンをはってもらうのは、この制度と合致する部分がある。
  • クレジット追加性の議論はクレジットの品質を担保するために必要である。どの形で大企業が中小企業に支援できるか、仕組みの中でクレジットというのもひとつの手法。クレジットなしでどうするかも検討したい。
  • クレジットが補助金と比べインセンティブとして少ないというのはそのとおりである。しかし、クレジットは現状より更に省エネをする際にインセンティブとなるためであり、補助金と比べるものではない。補助金とは別に、既存の補助金制度にプラスしてクレジットを発行する。
  • 範囲の問題は事務局でも明確にしていない。クレジットが足りない人と重なっては困る。取引するときの需要側と重なっては困る。クレジットが足りない人が省エネを実施し、さらにクレジットを得ると、ダブルカウントになる。現状は京都メカニズムのクレジットを買っている人を対象としている。
  • 本制度の目的は京都議定書の目標達成にあるので、期間としては2012年を目処に考えている。
藤原環境経済室長
  • 補助金との組み合わせは様々なパターンがあると思うが、補助金がないと全く動かないということはないと思う。過去のプロジェクト等において、補助金がネックになっているかどうか、これから検討する必要がある。委員の方から御提案のあったバインディングの活用など、いろいろなアイディアを頂けるとありがたい。
  • 中小企業の定義に関しては、この検討会の名前も「中小企業等」となっていることもあり、中小企業基本法の定義を厳密に適用することを、最初から念頭に置いているものではない。先程の向井委員からの御検討の成果なども、大きなヒントになると思う。
  • クレジットの需要主体については、京都メカニズムクレジットを現に購入している、あるいは購入しようと思っている主体となるであろう。
  • 次回以降は、上記の定義の問題も含め、制度化に当たっての論点を網羅的に挙げさせて頂いた上で、意見交換をさせて頂ければと思っている。
松橋委員長
  • 昨年の中小企業の調査で個別案件を見ているが、個別に事情が違う。住宅が近いところでは、投資回収が長くかかっても地域環境問題があるので投資する。投資回収年数が短くてもノウハウがない、申請が面倒なため投資しないところもありケースバイケース。昨年の報告を事務局でも整理していく。事務局の提示した金額はあくまで平均値で、非常にばらつきがある。
  • クレジットの効果というものが補助金ほどないか、というのもケース設定次第。NEDOによる排出権買取を見ていると、効果をリアルオプションという理論を使って検証しているが、契約の仕方によってはかなりの効果が見られる。事業の契約内容しだいである。
    NEDOの場合、前払い、後払い方式を設けているが、どちらにしても契約の際、価格をFIXしてしまうので、その点では事業者のリスク削減という点に効果が大。前払いだと一気に払うので補助金に近い形である。あとは、削減クレジットの価格と契約次第で、ケースバイケースであり、どういう制度になるか今後、制度のありようを検討していくことになる。

4.再び委員より発言及び質疑

  • クレジット認証の立場から、ハードルを低くした方が良いが、クレジットを何に使うのか、あるいは何に使えるかを明確にすることが重要。認証コストの問題とか、京都クレジットの代わりにという話はどこまで使えるのか。
  • クレジットという概念が先に来ると、制度に縛られて本来の狙いが出来なくなるのではないか。価格変動もありうるし、クレジットが出てくるかもわからない、2012年までの期間など色々な制約がある。一方、今回の主旨は、投資をしようと思っていない人にインセンティブを与えることであり、投資をしようとするインセンティブが何らかの形で働けばよい。クレジット面では金額、借り入れならば融資、知恵がないならESCO的支援など、インセンティブを何にするかという議論をまずすべき。負担者というのは、大企業で海外から買わざるを得ない人、あるいは、国内で高くてもやる人なので、それ以下なら負担する。それ以下であることが大事。まずは対策を実施するのかどうかが大事。削減が確実に行われていたかどうかを確かめる必要まではなく、まずは対策を実施することが大切。やる気になる分かりやすい仕組みを検討すべき。
  • 1種2種事業者の気候変動の意識調査をした経験から、大手が中小に支援するという固定概念で議論することはナンセンス。東海3県では、大手は系列会社以外に技術を提供するのは嫌う。
  • 中小企業のニーズは3点あり、上位から、省エネ診断を受けたい、熱マネジメントの知恵を借りたい、古い施設をどう使いこなすかの手ほどきを受けたいということ。中小企業は古い設備の運用改善を望んでおり、設備投資だけを念頭に議論するのは良くない。
  • 需要供給期間の問題として、供給側で考えると、なぜクレジットか。結局は補助金効果を持つわけだが、妥当な補助金の算定根拠として市場原理を取り入れるのであれば、需要サイドとは別に5年にこだわる必要はない。ある程度自由に考えてよいのではないか。
  • 京都議定書で見るベンチマークの議論。アプローチをどうするか。日本国内で独自にやるのであれば、経済産業省が進めているトップランナーとの組み合わせが考えられる。
  • モニタリングをどう想定しているか。向井委員から説明があったように、オペレーション段階の省エネ効果は相当大きい。アドミコストはかかるが、オペレーションの工夫の仕方が日本企業の一番の強み。
  • NEDOの買取に関して、前払いが補助金に近いという話があったが、LCとかバンクギャランティーが必要と記憶している。政府がこの保証に関与することが出来ると、クレジットの前払い金を使っても補助金と同じ効果が得られる。
  • CSR的効果を狙う買主の立場を考えると、クレジットの品質は気になるところ。追加性の議論を軽視するとクレジットを買う人から見ると魅力がなくなる。
  • 京都議定書の追加性というとかなり厳密。京都議定書ほど厳密性を求める必要はない。
  •  

5.補足回答

松橋委員長
  • 追加性については難しい問題だが、全く検証しないというと、CSRの観点からクレジットを取得する場合に品質保証の問題が出る。
    かといって、CDMのように煩雑になることはやりたくない。プロジェクトが死んでしまうおそれがある。簡便、公平、なおかつ説明できるバランスの取れた追加性の検証方法を検討したい。
事務局(日本スマートエナジー)
  • 中小企業がやる気になる仕組みを作るには、それを支える人たちが重要。省エネ業者、東電、東京ガスのようなエネルギー専門会社に働きかけてもらい、ビジネスとして成立する仕組みを作りたい。
  • 系列以外に技術供給できないのは、あたりまえ。その制度でビジネスとして成り立つ範囲で中小にも技術提供して欲しい。
  • モニタリングは難しいテーマ。方法論をどこまで厳密に作るかによってモニタリングの仕方も異なる。想定しているのは、最低限、イン、アウトを押さえればCO削減量が出るという方法論。色々な技術を使うと何が効いているのかわからなくなるが。
  • トップランナーとの組み合わせということで、ベンチマーク的なアプローチも考えたが、現状のトップランナー機器の対象は家庭部門に多い。製造業に入れる機器としてベンチマークになる指標は見つからなかった。
  • ハードル低くするのは追加性議論とイコール。何が何でもクレジットとは思っていない。クレジットを発行させても、ある程度行政コストがかかる。コストをかけてもCOが減らない、という事態は避けたい。どこにハードルを置くべきか、ということは今後議論したい。中小企業CO排出量が減るという水準の議論になる。
藤原環境経済室長
  • 支援主体とクレジットの購入主体が必ずしも一致する必要はない。
  • また、委員から系列の話を頂いたが、製造業において、系列企業の方がインセンティブを持つ場合もあると思う。
  • 業務については、今日、東京電力から報告頂いたエコサポートプランのように省エネを実施している主体に支援し、実質的に「クレジット」を生み出している事例もある。モデル事業は、いろいろなタイプがあると予想されるので、引き続きお知恵をお借りしたい。
  • 設備資金と運営資金の双方のニーズがあると思うが、官民の役割を含め、資金の色や対策の種類も変わり得ると思う。

6.今回モデル事業を発表した3者より一言ずつ

  • 今後、モデルを作って何を検討するか、色々な側面があり、どのようなデータを持ってきたら良いか、わからなくなってきた。議論の中身を絞って欲しい。中小にやってもらうことが目的だと思う。今後どのようなデータを提供するか。エスコ業者をたくさん作って中小企業に普及する方がうまくいくのではないか。
  • まだイメージが湧ききれないが、モデル事業としてはそれほど多くあるものではない。あるものを使って議論を深めていく。
  • クレジットは製造業には馴染みがない。追加性の概念も、もうひとつ分かっていない。最も効率の悪い機器が対象になることが重要。

7.まとめ

松橋委員長
  • 事務局と意見交換しつつ、制度を考えたい。
藤原環境経済室長
  • 次回以降のスケジュールについて、第3回目は6月18日5時から、第4回目は7月2日5時から、両方とも経産省の会議室で行う予定である。
  • モデル事業については、次回からは企業名も含めた個別の各論ということもあり原則非公開で、もう少し具体的な議論をしていきたい。過去のモデル事業もあるので、データをご提供頂きながら、一種の経済性のようなところを検証させて頂くことになると思う。前回と今回、この当たりの論点を一通り皆様からご指摘頂いたので、次回以降論点整理をさせて頂きたいと考えている。

以上

 
 
最終更新日:2007年6月18日
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