経済産業省
文字サイズ変更

中小企業等CO排出削減検討会(第5回) 議事要旨

日時:平成19年7月17日(月)17:00~19:00

場所:虎ノ門パストラルホテル「ミモザ」

出席委員

松橋委員長、井上委員、魚住委員、影山委員、榊原委員、佐藤委員、冨田委員、原委員、春田委員、大塚代理、本郷委員、向井委員、森井委員、山田委員

議事要旨

1.温室効果ガス削減事業への融資について

国際協力銀行特命審議役環境ビジネス支援室長本郷委員より、温室効果ガス削減事業への融資についての発表があった後、以下の通り、質問、見解が述べられた。

  • 松橋委員長

    ODAの問題に対して色々指摘される中、日本で初めてこのような円借款のエジプトの風力案件が発表されたことは非常に意義があり、関心を持っている。JBICが円借款をかけ、出た排出権はJCFが買い取るということであるので、民間が買い取るという位置づけと考えてよいか。

  • 本郷委員

    民間という点がやはり大きい。これを政府が出して政府で買い取るというのは、今の解釈上も厳しく、CDMの世界で見ると沢山ある中の一つでしかなくあまり目立たない。自分で出して自分で取るものがたくさん出てきた場合には改めて問題視される可能性がある。

2.モデル事業について

事務局より、第一次モデル事業一覧表に沿って説明があった後、委員より以下の通り、質問、見解が述べられた。

  • 東京電力のプロジェクトは投資回収年数が16年と非常に長くなっているが、CO削減ということを非常に重く見て、投資回収年数が長くても実施したプロジェクトとして評価いただいた。補足すると、もともと既存設備が非常に老朽化して、それを取り替えるということがほぼ決まっていたプロジェクトで、取替えの費用もすべて含んだプロジェクトである。その他のプロジェクトは改良・改修のプロジェクトだが、このモデル事業は全取り替えのプロジェクトのため資金が非常に高く、投資回収年数も長くなっている。全体のプロジェクトの投資回収年数は10年だが、取り替えることが決まっていたものを引くと10年をはるかに下回る投資回収年数になる。そこがこのプロジェクトを単に16年という投資回収年数だけでは評価できないところかと思う。
  • 今後どのように我々が議論していくかという観点で申し上げる。一般的にCDMというときに、追加的な設備投資に対してCOの削減コストを計算する場合、ベースラインがあり、それに排出権を加えたところ、どのくらいのインセンティブが働いてプロジェクトとしてやれるかという評価をする。この四つのプロジェクトについては、例えば10年ぐらいで投資回収できると考えたとき、10年分のCO削減量と投資金額から計算するとCOトン当たり数千円~10万円と、幅がある。我々の目的は、個別のプロジェクトを評価するというより、中小企業の色々な対策に対し、いかに支援していくかということだと思うので、金額が高いから意味がないということではない。このモデル事業を我々が今後どう議論していくかという視点が定まらない。
  • 松橋委員長

    各企業・業界から仮に3桁ぐらいのケーススタディが出てくれば、色々なプロジェクト、性質があり、投資回収年数のばらつきもあるだろう。東京電力の案件のように老朽化して取り替えるのであれば、今までの設備をまた新たに投資する場合と、新しいものとの設備投資額の差額を純粋な投資額とする場合がある。見方により回収年数は変わってくるので、今回のモデル事業4件の数字だけで本検討会の性格を論じない方がよい。全く何もないよりは何か例題があった方がよいという程度の位置づけと思っていただきたい。

  • 事務局(日本スマートエナジー)

    モデル事業を通してしたいことは、影山委員が言われたような経済性計算。投資家から見て、中小企業に対してこのようなクレジットを付与したときに、どういったことが起きるかという経済性計算を見たいというのが一つ。これはこの制度ができたときにどういったことが起きるかということを予見するために実施するものだが、モデルの数が非常に少ないので、経済性計算を論じるのは多少難しい。

    もう一つは、制度論を考える際、例えば、追加性についても色々な議論があるかと思う。設備の更新投資をする場合の追加性をどう考えるか、という場合にも色々な議論がある。そもそも設備の更新は、既存の設備をベースラインとして追加性を考えるべきだとか、設備投資をしなければいけないことが決定しているのであれば、色々な設備投資プランの中からベースラインを決定してその中から考えていくべきだとか、そういった議論の例がある。その様なことをこのモデルを使って、もう少し具体的に論点を考えていきたい。

  • 藤原環境経済室長

    これから仕組みづくりをする中で、全く何もないよりは、こういったケーススタディが可能であるということが一番大きな価値。ケースが多いに越したことはないが、この手の話で産業界のご協力をいただいたという意味では画期的。現段階で4つだとしても、これらのプロジェクトについては中小企業のデータを含め、上から下から斜めから、いろいろと頭の体操をさせていただくことができる。そういった意味では、少ない数でも大変重要なデータであり、与えられた範囲内で最大限の効果を出すべく経済性の検証等を行っていきたい。モデル事業については、そのような位置づけとしてご理解いただきたい。

  • 中小企業の省エネ支援を専門的にやっている立場からすると、物に偏重した省エネ改善は、実際には少ない。中小企業で一番歓迎されるのは、工程改善や、山武のプロジェクトのように、モニタリングシステム導入のための社内組織や手順書の作成支援など、形がない支援である。第2次モデル事業を選定するなら、一昨年のモントリオール会議で決定されたプログラムCDMのように、政策の助言、仕組みづくり等、形がない支援というのも検討に値するのではないか。
  • 中小企業が設備投資をするときに、まずそれが何年で償却できるかが基本。従来は石油だけだったものを電気に切り替えることによって、石油を年間でどれだけ節約できるか、ランニングコストをどれだけ節約できるかによって償却が決まってくる。従来の償却と、それに加えてCOを削減することによる利益がどれだけでるのか。それがトータルして5年なら5年、その目標を決めてもらうと一番はっきりしてくるのではないか。16年というのは、確かにそれだけのCOを削減できるかもしれないが、設備投資する中小企業にとっては何らメリットがない。そのメリットをどう示すかということが非常に大事であろう。何年かかってもよいということではなく、目標を定めることによって、今後はCOの削減が何年できると言える。これは逆に売却するのかどうするのかという問題に絡むのではないか。
  • 松橋委員長

    今回出した数字は絶対的なものではない。中小企業の立場からそれなりに回収年数が短くないと投資できないという意見は大変貴重。今後論点整理する中で、このような中小企業の事情などを勘案して、制度設計に役立てていく。

  • 中小企業に対してどういった支援をすることが省エネ促進につながるのか、という大きな議論がある。この検討会ですべてをカバーする必要はないが、必ずしもハード対策ではなく、ソフト対策が効果的ということであれば、設備投資に対して補助金を出すというスタイルではなく、そういった知恵を中小企業に対してどのように与えるか。ESCO的なものの義務づけなのか、支援として国なり大手のビジネスから出してやるのかとか、アプローチの仕方が変わる気がする。入口の整理をもう少しすべきではないか。
  • 松橋委員長

    ソフトも重要というのはご指摘の通り。山武のESCOの案件などは、純然たるハードというものではなく、その中に制御やソフトの知恵も入っている。また将来的に、例えばこの設備ができたとき、ハードの設備だけを支援するのではなく、ソフトの事業も支援できるようなものであればいい。ただしソフトの内容まで本検討会で話し合うわけではない、という理解である。

  • ソフトの内容を言っているわけではなく、ESCO的な知恵を中小企業に導入することを、より促進するような観点が必要ではないか。
  • 藤原環境経済室長

    観点は大事だが、それ自身をここでは議論しない。中小企業のCO削減対策というのは、様々な議論、知恵があると思う。補助金の議論もしなくてはいけないし、運営費の方に振り向けていくべきという議論もかねてからあり、そういった知恵も出していく必要がある。ただし、そうした議論を全く排除するわけではないが、あくまで追加的に、後で説明する一定の定義をもって、大企業と中小企業等の関係で施策を新たに一つ構築していこうという中で、そこにある程度焦点を絞った議論をしていただくという前提で始まった検討会だと認識している。その点をご理解いただきたい。

3.中小企業等CO排出量削減制度論点整理

経済産業省より、委員からの追加意見を受けた論点整理案の説明があった。

4.意見交換

松橋委員長:「1.本制度の基本的性格・特徴」について伺う。

  • 大企業の省エネマネジメントを中小企業に展開するという観点で、大企業の中小企業に対する信用補完、これがこの制度の間接コストを低減させることになるように、制度設計の中で踏み込んでいただきたい。信用補完という部分で金融面と、申請や審査など認証の手続き面があるが、実際は一緒にプロジェクトを推進するということが期待されていると思う。そういうことはこの制度にかかわる機関の負担の低減になるだろうから、制度に実際に組み込んで、結果的にリーズナブルなコストで厳格性の確保につなげてほしい。
  • この制度は、分かりやすく言うと大企業の持つ優れた技術・経験を中小企業に展開することだと思うが、その中でポイントになるのは効率性ではないか。中小企業の中で埋もれた省エネのチャンスがあるという理解で整理していると思うが、非効率に何でもいいから無理やり実現させるということではなく、経済性の高いものから順番にお手伝いしていくという理解である。
  • 2ページ目の(4)が一番大事。「京都議定書目標に一層貢献するとの観点からも、極めて有効であると考えられる」とあるが、非常に疑問がある。(1)の中小企業の排出削減の「見える化」はある程度できるのかもしれないが、(2)の「これをやることによって拡がりが期待できる」ということについては、このクレジットという制度だけで拡がるか疑問である。そもそも中小企業対策が進まないのはどういうことなのか、本質をもう少し考えるべき。確かにクレジットというのは一つの手法かと思うが、それだけで排出削減が拡がり、かつ京都議定書達成に極めて有効といえるかどうか、十分に議論を尽くしていただきたい。
  • 1ページ目の(3)「京都クレジットの取り扱いと遜色のない」という表現が後にも出てくるが、今回のアイデアというのは、中小企業に対して省エネを促進する起爆剤の一つとして大々的にPRし、財政的にも国に制約があるのであれば、ニーズがある大企業に財政をシフトしていくという組み合わせによって全体をプロモートしていくという理解。排出権について、京都クレジットと同様の厳格性ができればよいが、あくまでも国内の対策であり、プロモートすることをもっと重点化すべき。アイデアが出てこなければ取り引きするほどの規模も出てこないということになりかねないので、少々厳格性には目をつぶっても構わないと思う。厳格性のところでモラルハザードを起こしてはいけないが、そもそも設備投資のごく一部に対しクレジット的な支援をするということだから、そのこと自身がモラルハザードになるようなものではない。
    2ページの(4)で申し上げた趣旨は、あくまでも中小企業に色々な省エネ促進をしていくための手段として意味があると考えているのであり、これがクレジットであるかどうかとはまた別だと思う。クレジットというアイデアを使いながら、中小企業に対する財政的な支援をいかにやっていくかということに意味があると思っており、京都クレジットと代替できるようなものが必要だとは思わない。クレジットというのは、後々じゃないと発生するかどうか分からないし、認められるかどうかも分からない。そういったものに対して大企業の支援がないとすれば、逆に中小企業も、インセンティブがあるのかどうか分からないものに対して投資をするか、そういうことになりかねない。そこは重要な論点で、ある程度最初からきちんとした支援があり、なおかつ大企業も自主行動の一部とカウントできる排出権がある、という理解の下でないと進めにくいだろう。いい加減な排出権でいいということではなく、それをどうやって繋ぎ合わせるのかというのが重要な論点ではないか。

松橋委員長:「2.中小企業政策としての位置づけ」について伺う。

  • 2の(2)「その他の中小企業関連施策等との関連」で、最後に「政府の支援措置の関連から切り離して考える必要があるのではないか」というくだりがあるが、先ほどのモデル事業でも補助金があってやっており、クレジットだけではインセンティブとして非常に弱いと考えられる。補助金とセット、あるいは大企業であれば営業の一環としてやる等、何か他のものとセットにならない限り、かなりつらいと思われる。よって「切り離して考える必要があるのではないか」というのは違う気がする。
  • 中小企業としてはCOを削減する場を提供することになるが、もっとシンプルに考えて、逆にメーカーがその場を提供されてどれだけ削減できるという商品を売り込むかによって、トータルの削減量が出てくるが、それをどうするか。補助金なのかクレジットなのかということで、メーカーが本来は主導権を握っている。だから関心のある中小企業というのはその場を提供する。それによって中小企業もメリットが出るという仕組みにしないと、なかなか難しいのではないか。
  • 基本的に、現行でも中小企業を対象とした補助事業が数多くあるにもかかわらず、中小企業における省エネの取り組みが進んでいないという認識がある。クレジットで補助金を代替する場合、必要なクレジットの価格はいくらになるのかが懸念される。あまりにも高いと、関係者の合意形成に問題が出ると思う。一方、補助金をもらって実施したものについて、なおかつクレジットも与えられ、それが金銭的価値を持つというのもいかがなものか。補助金付のプロジェクトとして実施するということであれば削減効果も生まれるわけで、クレジットというプラスアルファのメリットというのはどうか、ということから考えると、補助金の一部をクレジットで代替するということが現実的なのではないか。
  • 補助金をもらったらクレジットをなしにするということか。
  • 現行と同じ補助金をもらって、さらにクレジットのメリットを受けるのはいかがなものかという意味。補助金を少しでももらったら、もうクレジットは発生しないということではなく、クレジットをもらったことによって補助金を減額するような考え方を取っていくことも一つの案ではないかということ。
  • それは理解できるが、あとはその設備によってどれだけの省エネ効果が出せるか。ランニングコストがどれだけ下がるかということの関連なので、ケースバイケースだと思う。
  • あくまでもこの場で議論すべきは、自主自立的な、中小企業にその気になってもらうような土壌づくりということ。中小企業版の自主行動計画といってもいいかもしれないが、長年中小企業の省エネ支援をやってきた立場から言うと、中小企業の場合はクレジットにほとんど関心を示さないというのが実際のところ。省エネによるエネルギーコストの削減には非常に強い関心を示し、その手法には非常に強いニーズがあるが、クレジットには関心を示さない。従ってクレジットは、あくまでも追加的な方法として、クレジットを中心に議論しないほうがいいのではないか。ヨーロッパで一般化している環境協定というのは、行政コストを下げることが大きな目的で、補助金や国の資金を頼りにするのではなく、自主・自立の雰囲気をつくるために盛んになってきた方法。わが国は政策というと補助金づけになりがちで、大変不健全である。そういった意味では補助金を前提に考える制度設計はよろしくなく、補助金を頼りにしないような自主・自立的な制度設計をするべきである。
    厳格性については、国内クレジットはあくまでも国内の省エネ促進策として創出されるべきものであって、京都クレジットと互換性を持たせるべきではないと思う。
  • 松橋委員長

    中小企業がクレジットに関心を示さないので、クレジット中心に議論をしないほうがよいといわれた一方で、補助金を頼りにするのもよくないということか。補助金でもクレジットでもないというと、どこに中心を据えるべきか。

  • 国内クレジット創出というのは大変いい方法だが、あくまでも補完的。本来の省エネ支援活動、例えば先ほど申し上げたプログラムCDMに近い色々な支援策があると思う。そういった政策誘導はするべきだと思うが、クレジットはあくまでも補助的手段ではないか。中心は、ソフト対策やマネジメントなど、ハード導入は当然必要だと思うが、そうでないプログラム的な政策も必要。補助金等をあてにせず、知恵を絞るべき。ヨーロッパ型の環境協定を頭に描いている。
  • 中小企業がクレジットを活用するという発想に立ちにくいというのは理解できる。途上国の事業者も同じで、まとめ役やコンサルタントが入ってCDMが成り立っている。日本の中小企業等のクレジットについても、同じようにESCO事業者といった方がまとめることで、事業として進めるにあたってのインセンティブになるのではないか。中小企業に対して事業者が広く宣伝したり営業することでクレジットが活用され、省エネ投資を促進する助けになると思う。
  • 中小企業そのものへのインセンティブというよりは、それをサポートする周辺の人たち、周辺のサポーターへのインセンティブとして、国内クレジットが大変有効である。
  • 三木省エネルギー対策課長

    中小企業の省エネポテンシャルが相当大きいということは共通の認識。実際に省エネ診断をしても、中小企業はまだ改善の余地がある。施策の方向として「クレジット」という新しい手法があるが、これによってすべてを解決するということではない。新しいプロジェクトの考え方があるので、この考えでどういう効果があり得るかということが、この検討会の焦点になると思う。中小企業全体の省エネをどう進めていくかというところは、もっと大きな問題でもあり、この議論を踏まえつつも、政府全体で考えていかなければならない問題だと思う。実際、私どもで中小の省エネ対策を含めて、総合エネルギー庁省エネ部会で、今後の省エネ政策を拡充する議論が始まっており、その中で中小企業の省エネ対策を取り上げている。そこでは非常に幅広く、補助のあり方、税制、あるいは省エネ法という制度のあり方も含めて審議・議論されていく予定。本検討会では、クレジットという非常に面白い手法、有効性があり得る手法についてご審議・検討をいただいて、それをまた全体論に反映させていきたいと思う。

松橋委員長:「3.排出削減効果の計算方法・手続の確立」について伺う。

  • 小規模CDM自身、特に削減量が少量の場合はまだ簡素化が足りない。例えば今回のモデル事業で、一番大きくて1000トンの削減効果があっても合計で5000トン。単価1000円で考えると500万円、単価2000円で考えても1000万円程度の追加収入だから、手続きは相当簡単にして費用のかからない仕組みにしなければいけない。一定量以下のものは、形式要件だけで問題なしとするぐらいの大胆な発想が必要だろう。スレッシュホールドを設けるとすると、恐らく2000トンや3000トンぐらいかもしれないが、そういう手段と組み合わせないと難しい。厳格性というのは、あくまでも遜色のないというかかり方だと思う。やらなくてはいけないこともあるが、ある程度簡素化していいという点で割り切るのであれば、遜色という点でも問題ない。
  • 大企業の省エネマネジメントを中小企業に展開するということであれば、エンティティベースでご検討いただきたい。日々の省エネ改善努力が包括的に反映される。プロジェクトベースという場合には、同じ省エネ機器を展開し、それを効率的にバンドリングするという場合に適切かと思う。モデル事業では1番目と2番目がプロジェクトベース、3番目と4番目がエンティティベースで、入口では間口を広く、敷居を低くしていただきたい。それに関連し、このスキーム自身が追加的であることから、個々のプロジェクトの追加性は求めなくてよいのではないか。追加性があることによって、最もCO削減効果の高い案件が門前払いされかねない。また、追加性がスキームを非常に複雑にして、検証、削減量を確定するときにリーズナブルなコストでやることが困難になるのではないか。
  • この制度は検証の仕組みを簡素化しなければいけない。そのためにはプロジェクトベースよりはエンティティベースのほうが削減量を把握しやすいと思う。
  • エンティティベースという意味が事業所単位のことだとすると、プロジェクトの効果以外に、例えば工場の稼動状況とか、事務所・ビルなら人数増減など、全てが入ってしまう。そのため、削減努力に対してどれだけの効果があったかが見えにくくなるのではないか。
  • 松橋委員長

    プロジェクトベースでやった方が、削減効果なり投資に対しての効果を明瞭に切り出せる場合もあるし、中小企業で基幹を占めている部分を省エネ型に切り替えてしまった場合は、エンティティベースでやった方が、伝票や会計データを見たりすることで転換が比較的簡便にチェックできるという場合もあると解釈する。どちらを使ったほうがよいかは、ケースバイケースであるという理解。

  • 今回の対象は中小企業なので、モニタリングの精度を高めるほどコストが上がってくるので、そことのバランスだと思う。事業所ベースであれば確証の伝票ベースで処理できるので、そちらのほうが客観性・透明性が高い。
  • 個人としてはプロジェクトベースの方がいいと思う。エンティティベースだと、設備改修により原単位ではかなり省エネ効果が出ても、生産量・活動量が増えた場合に排出量が増加してしまい、削減量が出ず、クレジットが発生しないことになってしまう。

松橋委員長:「4.国内クレジットの移転、自主行動計画等における評価」について伺う。

  • 補助金なしで中小企業がCO削減のために導入できる仕組みを前提に考えるべきではないか。経済的メリットが中小企業にとって一番大きい。一般的には、クレジット価格から審査コストが引かれた分が中小企業のメリットになるので、審査コストは小さくする必要がある。京都クレジットとリンクする必要はないのではないか。クレジット発生期間が長いほうが中小企業にとってメリットがあるため、期間の長さも関係する。あとは単価の問題で、市場を開設しないで相対取引ということであれば、固定的な価格を事前に出来れば高めに設定するのがよいのではないか。そうすれば中小企業も、どれぐらい削減すればどれぐらいの経済的メリットをクレジットで得られるか、読めてくる。そのような仕組みと、金融的な面で貸し付けをして返済する際、例えば予測のCO削減量に相当するクレジット類の部分を考慮して、月次の返済の金額から引くような仕組みを含めれば、中小企業にとってもメリットがあるのではないか。
  • 国内の自主行動計画など需要側に立ってみたとき、同じような使い方ができるとすれば、価格的には国内も海外のクレジットも同じになる。そうした場合、補助金なしで行うという点、政策コストを明確にするという点では非常にいいことだと思うが、海外のクレジットと同じ価格だと、その価格で投資する事業数あるいはボリュームはかなり限定的になるだろう。
    (2)にあるAAUとのリンクだが、メリットも大きいと考える。一つ目として、この制度の継続性を考えてみた場合、事業者側のリスクになっているので、アウトプットであるクレジットが京都クレジットと交換可能性が確保されていれば、制度の信頼性が高くなる。二つ目として、国際的な価格があれば、その価格の中で実現される事業を推進するという意味で、効率の悪いものを実施しなくて済む。三つ目として、(3)にある登録簿等の管理体制のコストを下げることができる。AAUとのコンバーティビリティーを確保、あるいはコンバーティブルであるという制度にしたほうが、国内の京都議定書の登録簿の仕組みをかなり流用できるので、追加的なインフラコストがかからなくて済む。特に中小企業なので件数は多いが、1件1件の削減量は少ないため全体として削減効果は小さくなる。このため、全体コストを下げなければならない。登録簿やその他インフラコストもできるだけかからない仕組みにしていく必要がある。以上3点がAAUリンクのメリットと考える。
  • このクレジットだけでは金銭的には非常に物足りないと思うので、補助金などすべての対策を総動員して中小企業の対策を進めるべき。クレジットは、金銭的な効果というよりも、大企業が関与するとか、あるいは見える化といったメリットがある。京都クレジットの互換性をつけようとすると、非常に厳格なものが要求されるので、必ずしもそこまで必要はないと思う。
  • 大企業がクレジットを購入するには、京都クレジットよりも安定的に取得できる、価格が安いという要件が必要。一方、中小企業が省エネ投資を行うには、追加的な金銭的インセンティブが確実に入ってくるという要件が必要だ。京都クレジットというのは、最終的に排出が確実かどうか分かるまで時間がかかる。国もそうだが、現段階で大企業は2013年以降の排出権を買うことはしないので、当然投資できる限界もある。クレジットという形が大事なのではなく、大企業と中小企業の交流あるいは投資インセンティブが働くような金銭的なインセンティブをうまく考えていかないと、結局アイデア倒れで終わってしまう。きちんとした支援をいただけ、排出権としてカウントできる仕組みをうまく担保しないと、投資促進に結びつかないのではないか。

質問に対する返答

  • 藤原環境経済室長

    最初に申し上げるが、2.(2)と4.(2)については、大きく二つに意見が分かれているので、その部分についてのご説明は省略させていただく。今後の議論としたい。

    1について、森井委員、本郷委員から御意見があった。重なる部分があると思うが、全体として効率性を追求しなくてはいけないのは当然の事として認識している。

    森井委員のご指摘どおり、大企業の中小企業に対する省エネマネジメント、大企業主導の省エネマネジメントということだと思うが、まさに大企業と中小企業の連携が一つのメリットとなる。この点でもクレジットという手法は、一つの有効な施策になると思っているが、大変重要なご意見だと認識しており、文言上加えたい。

    影山委員から、京都議定書の目標達成に「極めて有効」なのかどうか、他方、他の委員からは「京都クレジットと遜色ない形で」という趣旨のご意見があったが、厳格性はある程度必要というところは共通のご認識だと思う。どこまで厳格性を求めるのかについては、文言上の工夫をしたい。

    中小企業の省エネについて、三木課長から話があったが、省全体、政府全体で議論すべきところで、クレジットという手法が追加的に検討される中、財政的な面はどうするか、まさにそういった意識で議論・検討を進めている。クレジットの部分は冒頭の説明でも整理させていただいたが、山田委員のご意見を受けて事務局の方でまとめた文案になっている。

    2に関しては、冨田委員の意見、すなわち、通常の補助金から少し減額して、その分クレジットとして手当てするとの考え、これは一案だと思う。ただ、例えば、減額の程度をどのぐらいにするか、技術的に整理できるか否かは事務的には難しい印象を受ける。事務局の整理では、補助金をインフラの部分に抑えていく考え方をとっているが、設備投資の部分についての補助金のあり方について、検討を進めていきたい。

    向井委員のおっしゃった意見で、クレジットは補完的にすべきかどうかという議論は要確認だが、自主的・自発的な土壌づくりであるような点、また、補助金とある程度切り離していく点等については、基本的に事務局の考え方と共通だと思う。

    3に関して、本郷委員より、小規模CDMそのものの手続きに対する簡素化の要請や動きを踏まえて対応すべきとのご指摘があった。そういう意味で「遜色ない」だけでも十分ではないかとのことだが、まさにそのあたりは国連のCDMのあり方自身が問題になっているという状況を踏まえ、文言的にも整理したいと思う。

    また、仮にエンティティベースだとしても、極端な話として、恐らく同じ事業所であれば何でも認められるということでもない。プロジェクトを1件1件審査する必要はないというご趣旨であれば、まさにモデル事業でもいくつかの事業を包括したものもある。定義の問題かもしれないが、敢えてエンティティべースという言い方をする必要があるのか確認していきたい。個人的にはプロジェクトを包括的にという趣旨の記述も既にあると思うし、そういう整備をモデル事業でもさせていただいているつもりである。

    森井委員からの追加性についてのご意見だが、CDMの議論の延長で考える必要があり、一定の議論が必要と思う。ただ、コスト等の配慮は非常に必要で、可能な限り手続きの簡素化は必要。大塚委員からもご指摘いただいた、検証の仕組の徹底した簡素化というのは、まさに今の論点整理に入っている。

    4について、京都クレジットとの整合性・互換性は意見が分かれているところだが、魚住委員からのご指摘にあった固定価格での買い取りは、基本原則から言って難しいと思っている。民間事業者が買い取るかどうかというところで、固定価格制をどこまで制度として取り入れられるのか、まさに基本原則として自主・自発、工夫の精神でと申し上げている中で、そういった画一的な整備が将来的に可能なのかどうか、正直難しいと思っている。それ以外の魚住委員のご意見は、事務局として既に採用させていただいている。

  • 事務局(日本スマートエナジー)

    このクレジット制度の趣旨は、多くの委員からいただいたとおり、大企業から中小企業へのソフト面を含む技術移転を促進すること。山田委員のご指摘どおり、中小企業で省エネをいかにプロモートするかというところに焦点があると考えている。井上委員の御意見にもあったが、中小企業では、省エネをやりたくても何をしていいのか分からないという意見が非常に多いので、このニーズを掘り起こすために大企業の力を使い、クレジットを一つの起爆剤にしたいと考えている。その中で、クレジットが補助金の代わりにならないのではないかという意見はもっともで、そこを掘り起こすのも一つだが、情報が足りないがためにできない省エネルギーというところを広く浅くやっていきたいというのが、この制度の一つの趣旨だと考えている。その中で山田委員のおっしゃるように、クレジットとして厳しくせずに、いかに大企業が中小企業のリスクをとるかというところが非常に重要な点だと思っているので、山田委員の御意見を十分活用していきたい。

    エンティティベースかどうかについては、今までの経験から言うと、中小企業の事業は一つの事業所全体がほとんどプロジェクトになっているので、多くのプロジェクトの場合は、エンティティベースとプロジェクトベースでほとんど変わらないと考えている。それほど大きな論点にはならないのではないか。

  • 松橋委員長

    一部テクニカルな問題について話があり、色々ご意見もあろうかと思うが、全体を通して皆様のご意見を集約していくと、大きな方向性について議論の不一致が見られるのは何点かに絞られてくる。

    一つは、補助金のような中小企業支援制度と、今回検討している制度との関係で、国内クレジットと補助金の両方をありにするのか、クレジットだけで何とか導入し得るものを考えるか。

    もう一つは京都クレジットとの関係をどうするか。独立でいいというご意見と、互換性を担保する方が色々な意味でメリットがあるというご意見について。

    その他の論点については、方向性がかなり一致してきた。テクニカル的に、信用補完の問題や、さらに審査を簡便化すべきであるというご意見等があったので、改良すべき点については、資料3の論点整理案に対して修文の案をいただくという形で集約を図っていきたい。その修正で収まらない先程の大きな2点については、次回引き続き審議をおこなう。

5.まとめ

  • 藤原環境経済室長

    第6回検討会は、8月1日(水)15時~17時、虎ノ門パストラルで開催する。本日の趣旨を踏まえ、具体的な修正意見ということで事務局からフォーマットを投げさせていただくので、ご意見をいただきたい。そこから先は事務局と相談し、個別に各委員の方々と調整をさせていただきながら、残された論点について8月1日にご議論いただきたい。ただ、あくまで中間的な整理として考え方の統一ということで、8月後半からまた議論を重ねていきたい。次回は可能な限りの整理、共有化を図りたいと思っている。8月後半にモデル事業の論点検証を事務局内でやらせていただいた上、9月上旬にモデル事業の検証結果を提示し、9月下旬の中間評価につなげていきたい。

  • 松橋委員長

    次回8月1日は、今回と同じように公開という形で開催する。正式には事務局から御案内する。

以上

 
 
最終更新日:2007年8月13日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.