経済産業省
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中小企業等CO排出削減検討会(第6回) 議事要旨

日時:平成19年8月1日(水)15:00~17:00

場所:虎ノ門パストラルホテル「ミモザ」

出席委員

松橋委員長、井上委員、魚住委員、影山委員、後藤代理(榊原委員)、佐藤委員、徳田委員、冨田委員、三輪代理(原委員)、春田委員、福田委員、本郷委員、向井委員、森井委員、山田委員

議事要旨

1.中小企業アンケート報告

(財)日本経済研究所 萩原調査員より、中小企業の省エネ動向等の調査結果について報告があった後、以下の通り、質問、見解が述べられた。

  • ご報告頂いたアンケートの対象は、省エネ機器の導入実績、投資規模が100万円から1000万円の企業が多いが、この程度の金額であれば自己資金でやっているものが多いと思う。本検討会で議論しているような、排出権を使うことにより経済性を向上させ、投資を促すことが出来るかどうかという点になると、もう少し規模が大きいものでないと、手間暇かけてわざわざ排出権を活用する気にならないという話になるのではないか。例えば1000万円以上の規模のもので、回収期間や資金調達の数字を教えて欲しい。
  • 萩原調査員

    今回そのような分析はしていないため、今後、投資規模の大きい企業についての投資回収年数等を整理したい。

  • 松橋委員長

    追加として、1000万円以下の案件でバンドリングすることが可能な類似の案件があるかどうか、可能な範囲で調べていただきたい。

  • 省エネ機器導入実績のところで、中小企業が機器を導入したきっかけは何か。
  • 萩原調査員

    中小企業であっても省エネに対しての意識があるということ。商業関係や業務ビルになってくると、空調設備等が老朽化した際に省エネ対策の機器が手ごろな値段であれば入れてみようかという判断が多いのではないか。省エネに対する意識と、丁度良いタイミングが重なり、汎用タイプから省エネタイプに切り替える傾向が多く見られた。

  • 省エネによる削減量などは取っていないのか。
  • 萩原調査員

    このアンケートでは取っていない。

  • 松橋委員長

    12ページ「省エネ機器導入の課題」で、「制度申請のための書類作成が繁雑で手続きがしにくい」とあるが、これは補助金申請の制度のことか。

  • 萩原調査員

    主に補助金の制度についてかなり繁雑であると。特に中小企業の場合、エネルギーの専門スタッフを置く余裕がないといったことから、補助金に対してはエネルギー削減量等の申請が必要になり、その計算がなかなかできない、書類作成自体のスタッフの余力もないといった問題点が浮かび上がってきている。

  • 8月にはモデル事業での検証が入ってくるので、その検証をする際の一助になるような形で、この中から何社か選んでいただいて、聞き取り調査をやっていただきたい。

2.中小企業省エネ支援活動紹介

株式会社日本環境取引機構代表取締役向井委員より、環境取引所の中小企業省エネ支援活動紹介があった後、以下の通り、質問、見解が述べられた。

  • 松橋委員長

    17ページの「排出量取引演習」について、削減技術を有効に移転していくことを念頭に置いており、参加している企業も、排出削減の技術やノウハウを得たくて参加しているように思われる。単なる排出量取引実験ではないと考えてよいか。

  • 向井委員

    省エネ技術の移転取引を優先的に行うということを初めにアナウンスしている。未達成部分をカーボンクレジットで補うというストーリーを最初から説明しており、カーボンクレジットのみを優先してやりたいという所はあまり参加しない。

  • 松橋委員長

    参加している大企業、中小企業ともに、その辺りの技術なりノウハウに関心の高い方が集まっているということと理解する。

  • 色々な省エネ技術をメーカーから集め、それを基に提案しているという仕組みだが、どのように技術収集を行っているか。例えば製紙業の蒸気ボイラーなどは、非常に低温で焼却している。仕組みが悪いために低温で焼かざるを得ないという状況である。高温焼却に対しては、イニシャルコストがかかるといった色々な問題から設備投資できていない。逆にボイラーメーカーがそういうものをなかなか入れない等、色々な問題があると思うが、そのようなアレンジなどもやっているのか。
  • 向井委員

    9ページにあるが、専門家を含めて省エネ診断をしており、会員・非会員を問わず専門委員として当方から依頼するというケースと、実際に企業に所属して熱マネジメントを日常的にやっている人が診断員になるケースもある。現場体験が豊富な方をこちらが審査し、委員として委嘱するというやり方をしており、大変現実的な指導ができる。

    省エネ技術の収集については、面白い技術が新聞に出たらすぐに面会に行くとか、その技術をデータベースに登録させてもらう等、日夜ありとあらゆる手段を講じて努力している。

  • 排出量取引演習について、VEC(認証済み国産クレジット)の取引をやることによって、価格指標が市場から得られたか。
  • 向井委員

    取引演習は3回行った。そのうち、最初の2回は技術取引後のクレジット取引ということで価格形成のメカニズムをシミュレーションしたかったのだが、ビジネスゲームのように10万円になったり800円になったり、大変な乱高下であった。3回目は価格をフィックスするということで、1トン2000円±10%という値幅制限をつけた固定価格で行ったところ、技術取引が先行して行われ、不足分をあらかじめ分かっている価格で売り買いするなどして取引が非常に安定した。前回、魚住委員から、中小企業支援のためには価格をある程度フィックスしたほうがいいのではないかというご意見をいただいたが、全く賛成で、ある程度最初から標準価格が必要だということを実感した。

  • 松橋委員長

    この場合の価格というのは板寄せというか、需要と供給を集めていって、高点のところで価格を決めるという方式で、取引所取引ということか。需要と供給の兼ね合いによって変動すると。

  • 向井委員

    コンピュータープログラム上はそうである。

3.中小企業等CO排出量削減制度論点整理

経済産業省より、委員からの追加意見を受けた論点整理案の説明があった。

4.モデル事業の評価について

事務局より、モデル事業を通じて検討する制度設計についての説明があった。

5.意見交換

【資料3について】

  • そもそも発生したクレジットがどこに帰属するのか。一般にCDMの場合、途上国側ではなく、投資や技術提供をした側に帰属するということだが、今回の場合、イメージでは中小企業のほうに帰属する感じがある。そうすると中小企業のインセンティブは何なのか、クレジットは何なのか。原則として補助金はないというイメージで書かれているので確認したい。
  • 1点目は、2ページ下の補助の部分。国がお金を出して排出削減し、それがクレジットとなって、企業の自主行動計画の目標達成に使えることになると、企業の自主行動計画を国が肩代わりするような状態になってしまう。これは普通に考えれば少しおかしいという議論が世の中的に起きても仕方ないのではないか。どうしても進まない省エネに対してこのような手段をとる、という書き方だが、本来の制度の目的から考えれば、それだけお金をかけなければ出来ないような排出削減というのは、わざわざやる必要はなく、その分海外からクレジットを調達して国としての目標を達成すればよいという議論になってしまう。

    もう1点、3ページの中小企業の定義について、今後検討されることになっているが、こういった形で線引きをする場合、自主行動計画を達成したということで排出削減され、さらにクレジットが与えられてその分がカウントされると、ダブルカウントになってしまう可能性がある。これは以前、環境新聞に環境省側の懸念として指摘されていたため、このあたりも注意しないといけない。

  • 4ページの国内クレジットとの関係で、京都議定書との関係を今後引き続き検討するとあるが、ここは本当に重要な点だと思うので、ぜひ継続検討をしていただきたい。制度が有効に機能し、省エネ投資がどんどん進むか否かということを考えた場合、排出権の価格が重要になってくる。海外のクレジットを使うということに加えて国内のクレジットも使うというオプションが追加されたと考え、二つを比べてみた場合、国内クレジットの価格は、京都クレジットよりも高くならない方向にいくのではないか。すると同じ省エネ事業支援を行うにしても、国内の事業に比べて海外の事業を優先するということになってしまう。同じ事業を行うなら国内でやったほうが良いということが、この制度の狙いだと思うので、その目的が達成されなくなってしまうのではないかという気がする。一方で、同じ事業を行うにあたっても、国内と海外で、どちらがリスクが低いかを考えたら、国内のほうが恐らくはリスクが低いという判断なので、そういう点からすれば、国内クレジットの価格が低いということも妥当かもしれない。
  • 今回の検討会では、中小企業の対策が進まない理由は色々あって、何かが一つの決め手になるわけではないことが分かった。大手の指導が得にくいとか、省エネ診断等をやれば追加的な削減の目鼻がつくといった話も随分あった。あるいは人材育成も資金的な面も意味がある。そういうことに比べ、今回モデル事業で出された各プロジェクトのクレジットの意味合いがどの程度あるのか、私なりに計算してみた。例えばクレジットが2000円でプロジェクト期間が5年だという前提のもと、それぞれの投資回収年数がどの程度短縮できるか計算したところ、いずれの案件も、1年以内の短縮にしかならないという結果になった。今後新しいプロジェクトが出てくれば、そういった目で見ていただければいいが、クレジットが付与されたからといって、必ずしも対策が進むということではない。

    従って今回の話は、クレジットが付与されたから中小企業の対策が進むということでは必ずしもなく、追加的な対策の一つでしかない。中小企業の対策を大々的に進めていくというPRなり、施策づけがないと、なかなか進まないと思う。資料3にも、今後検討と書いてあるが、この制度を意味ある形にするためには、手続き等は簡素化を徹底するべきで、中小企業等が迷わないよう、割り切った形で積極的に進めていくという観点が必要だと思う。

    また、国内の追加的な対策はコストが非常に高いと思う。これはもともと京都議定書が持っていた問題なので、国内の対策は非常に高いが、だから海外から買えばいいということではない。地球全体で考えたときに日本がCDMを通じた国際的な資金支援をして進むことは非常に意味があるが、国内の体質を強化するとか、まず国内でそれをきちんと使って対策をしていくという観点からすれば、少々効率が悪くても可能性があれば積極的に実施するべき。

  • 2ページの一番下のところ、補助金とクレジット両方の相乗効果で、中小企業の対策を進めたほうがいいというところは、私の意見に対して書いていただいたが、書き方が少し慎重すぎると思う。補助金も含めて実施した事業からクレジットが創出され、それを自主行動計画に使う、という話は我々が望んでいることではなく、ここに貢献する趣旨と全く違う。補助金は補助金分で下げたとか、あるいは我々が拠出した削減分でクレジットがもらえるのであれば、その部分は別というように、補助金と我々が取得するべきクレジットを切り分けた上でやっていただきたい。そういう意味で、事業を実施するにあたっては、クレジットだけでは難しく、補助金も含めて事業を実施していくことが必要だと思うので、その点は付け加えさせていただく。
  • まず一つ目に、森井委員からご指摘があったクレジットの帰属性については、大変基本的なポイント。国外に対するCDMと、わが国の先進企業が国内で後発企業を支援するというのは少し違うということが分かってきた。日本の企業は、中小企業といえども省エネを自ら行うという意志はあるが、ただそのきっかけがなかっただけである。先進企業がそのきっかけをつくってあげることが大変重要な役割。あとは自助努力をするというのが日本企業なので、そういった意味でクレジットというのは、指導する側と指導を受けた側が、適正な比率でシェアするべきであると思う。フィフティーフィフティーの場合もあれば、中小企業が、殆どきっかけだけを作ってもらって自助努力をした場合には、8割のクレジットは中小企業のものであると。私たちの内部的なルールでは、そのような運用を実際にやっており、それが現実的ではないか。

    二つ目に、この検討会で議論が少ししか出なかったが、クレジットの質という問題。この資料にも質ということが表現されていない。例えば、設備の単純な買い替えや燃料転換といったクレジットと、本当に血のにじむような努力をして省エネをした結果得られたクレジットとは、同じ価値であるわけがない。実際私たちもそういった意味では、クレジットの質によって価格が変動されるべきだと思って、いろいろ制度設計をしており、それが現実的ではないか。すると第三者認証機関とはまた別の、クレジットの格付け機関みたいなビジネスも考えられるのではないか。AAAのような企業の信用格付けと同じような発想で、クレジットの質を評価するという専門的なサービスもこれから必要になってくるのではないか。

    三つ目に、国内排出量取引制度については先送り課題と新聞に書かれており、中央環境審議会と産業構造審議会の中間報告(素案)にも書いてあるが、私自身の認識は、この検討会は、国内の排出量取引制度をつくるためのインフラをつくっているというつもりで参加しているので、制度がどうであっても、私たちは国内排出量取引制度をつくるための活動をこれからもしていく。この検討会もそういう場であると認識しているので、あいまいな表現はあまり良くないのではないか。

  • クレジットの帰属性については、CDMの場合、CDMのデベロッパーのような人がいて、そういう人が小さいものを集約してサービスを行い、ある一定のクレジットの権利を得る。そういう形でCDMの開発というのは進められてきたと思う。画一的に大企業ないしは先進企業が中小企業に技術提供をして、クレジットが出た場合にどちらに帰属するかというお話しをされていると思うが、その間にはサービスをする人がいないと、なかなか持続的に中小企業の削減は行われない。クレジットの権利というのは、あくまで中小企業が一義的には持つが、そのサービスを提供するところが一定の割合の権利を持つこともあるのではないか。これはビジネスの話し合いなので、この場で決めることではない。
  • 論点整理はまだ意見集約途中というところで、今後の検討がいくつか残っていると理解している。現時点で、制度を考えるとこういうものかなということを事務局でまとめていただいた。そして、こういう考え方に基づいてモデル事業を扱ったときにどういう格好になるのか、実行性、現実性、実現性といったところをこれから検証すると理解している。その結果、今我々が思いつかないような課題や問題点も出てくる可能性が多々あると思うが、そのときは、考え方を柔軟に修正することもあってしかるべきかと思う。
  • 中小企業の中には、排出権の問題に対し考えを持っている人は非常に少なく、山田委員からもご指摘があったが、関心を持たせるというところからまずスタートするべき。同時に、国外のCDMということではなくて、国内のCDMを活用して排出権を削減するということが、一番大事なことだと思う。中小企業に関心を持たせるにはやはりそれなりのメリットが必要で、あとはクレジットの分配をコーディネートする側とどう分けるか。それでもメリットが出ないとなると、結果は何もならないことになるので、補助金とその両方がうまく相まって結果を出すということに集約されるのではないか。

【質問に対しての返答】

  • 藤原環境経済室長

    森井委員、向井委員、春田委員から、仮に国内クレジットが制度化した場合におけるクレジットの帰属の問題についてご指摘があったが、これは京都クレジットでも、例えば法的な性質など、学説的にまだまだ議論があるところ。所有権の考え方についても多岐にわたっており、議論がある。難しい問題だが、少なくとも、京都クレジットであっても実態経済上、会計上、動産に準じた扱いとされている。

    原委員代理の方からの御意見については、その後、影山委員からご指摘いただいたような整理で考えている。誤解して頂きたくないのは、現行の自主行動計画でも、企業が取り得る措置の中で補助金等と組み合わせた施策はいくつかある。ただし、ダブルカウントがないよう、補助金の削減効果の部分とそうでない部分を明確に切り分けた評価を行っている。今回の制度の下で仮に設備補助等の支援措置がなされた場合であっても、十分留意した上で削減効果の部分は切り分けた議論をしていかなければいけないと思っている。また、そういったことが可能な限り少なくなるように、原則論としては、補助というものは適用しないという形で整理している。

    「中小企業等」について、一定の「エネルギー使用量」等で示すことが可能か否かについては残念ながらアイデアがないが、向井委員のご指摘は一つの考え方であると思うので、これからの検討事項ということで位置づけさせていただきたい。

    本郷委員と山田委員から、国内クレジットと海外クレジット、あるいは国内対策と海外対策におけるコスト比較についてご指摘頂いたが、この点については様々なご意見があると思う。単純な比較は難しいが、今後、ご意見を踏まえてモデル事業等でも評価していきたい。

    山田委員からは、制度の普及の重要性や、追加新規性についてご指摘いただいた。本制度だけが中小企業対策の全てとは思っておらず、様々な施策との組み合わせを含めて中小企業対策全般に取り組んでいきたい。

    向井委員から、クレジットの質についてご指摘頂いたが、まさに価格も含めた質の議論が必要だと認識している。国際クレジットの世界でも「ゴールドスタンダード」等、様々な格付けの動きがあることも承知している。ビジネスとしての視点が前面に出ているため、今回は施策として取り上げていないということだが、そういったご指摘についても、引き続き検討していきたい。

    国内排出量取引制度の理解に誤解があってはいけないと思うが、中環審、産構審合同会合の中間答申案に書いている国内排出量取引制度は、キャップを前提とした、義務的措置を前提としたもの。これに対しては、両審議会の委員の方からご意見をいただいているところ。当然、メリット、デメリットがあるため、政府としても総合的に検討するといった記述になっている。あくまでこの検討会で議論している内容は、冒頭に当省として意見を申し上げたように、論点整理の1.(2)でも書いてあるが、まさに「自主性」に基づいた制度設計を念頭に置いている。誤解のないようお願いしたい。

    冨田委員から非常に総括的なコメントをいただいた。まさに当方でも問題意識を共有しており、この議論はオープン・エンドだと思う。そういう意味では中間評価自体も、モデル事業の検証等をふまえて、9月に引き続き議論していきたい。また、最終的な制度としての評価、制度設計に関する具体的な議論は、年末に向けて行いたい。今回は、過去数回の議論の中で、とりあえず意見の集約を図ったということである。

    井上委員から、国内CDMの意義に関して、以前からもご指摘をいただいているが、海外に資金が流出しないこと等を含め、国内CDMには十分メリットがあると思う。普及啓蒙、あるいは必要に応じたインセンティブの付与を含めて、ご指摘の通り検討していきたい。

  • 事務局(日本スマートエナジー)

    クレジットの帰属は、法的にはいろんな学説があって議論されているところだが、このクレジットが会計上の資産であることに関しては議論がないので、会計上の資産として計上する。そのときに誰が持つかについては原因と結果で、クレジットが発生する原因をつくった企業・人々の中でルールを持って決める形になるかと思う。もし2社が共同してやった結果COが減ったのであれば、その2社で配分することになる。この辺は現行の会計制度で解決可能と考える。

  • 松橋委員長

    9月の中間報告以降、新たなモデルケース、あるいはさらに具体的な検討を進めていく上で、いろいろ有益なインプットがあった。ご意見を総合すると、既にいろいろいただいて修正をかけてきた論点整理案については、再三検討してきたが、中間報告に向けた論点整理としては、これでご承認いただけるレベルになってきた。今後については、先ほど冨田委員からご指摘があったように、今思いつかない問題点が出た場合には柔軟に考えていくということにしたい。資料3の中小企業等CO排出量削減制度の論点整理(案)についてはこれにて承認とさせていただく。

【資料4について】

  • 前回の検討会で、削減量の計算をプロジェクトベースで行うのか、あるいは実際の排出量がどれだけ増減したかの差し引きで見るエンティティベースでやるのか、どちらの可能性もあるかのような形で終わったと思うが、資料4を見る限りにおいては、プロジェクトベースで削減量を計算すると読める。事務局としてはそういう方向なのか。
  • 「モデル事業の評価について」ということで、書かれている内容は、モデル事業を検証するにあたっての準備ではないかと思う。これと直接は関係ないが、モデル事業を評価するとき、手続きのコストについてもぜひ検証していただいて、トータルとしてクレジットがいくらになるのかというところまで詰めていただきたい。
  • 追加性の(2)エネルギー効率について、非常に気になっていることが、「一般に普及しているものより効率の高い」という表現。一般に普及しているものがどのくらいのものをイメージしているのか。例えば海外でやる場合、国際水準が仮にあったとすると、国際水準まで引き上げるのが当たり前で、それ以上を求めるのかという議論がよくある。途上国の場合、現実問題として国際水準以上にすることも大事だが、はるかに劣るものがたくさんある。今日は山田委員、影山委員もいらっしゃるので、中国等の事情を紹介していただければと思うが、到底考えられないような低いものがある。それを国際レベルに引き上げるだけでも、世界全体で考えると、あるいは中国全体から考えると相当大きな効果があるので、平均的なレベルに引き上げるだけでも十分政策的な意味があると思う。この辺の考え方の整理をしていただきたい。
  • 中小企業の普通の方々がやりたくなるかどうか、という観点で考えたときに、中身は個々に、デフォルト値を使うなど、様々な工夫はされていると思うが、非常にややこしいという感じがするのではないか。最低限のチェックポイント、例えばここでいえば、投資回収年数など何らかの基準は必要だと思うが、それを複雑にすればするほど微妙な評価になって、審査自身で登録までにすごく時間がかかる、という話になるので、ある程度割り切りが必要。クレジットの代替性みたいなことを議論しているわけではないので、今なかなか中小企業でこういったものに目が行かないといった方々に、どういう形で省エネ促進を勧めるのかという観点で整理しないと、アイデアがよくても実行面で非常に煩わしいという話になる恐れがある。
  • 投資回収年で「2年を上回ることが実証できる」ことというのは、2年以下ではいけないということか。2年以下で回収できたということは、非常に効率がいい設備だと思うが。
  • ベースラインの設定とモニタリングについて。実際に省エネ診断をやっている立場からすると、製造業であれば、例えば製品100個あたりを作るのに必要な時間、スタンダードタイム(ST)と製造業では言うが、例えばそういった生産工数あたりのCO削減目標を設定したとして、毎月生産ラインでもってSTの短縮を中小企業の人たちは鋭意やっている。したがって、ベースラインというのは、確定がなかなかしにくいというのが私どもの実感である。日進月歩でひたすら努力をし続けている企業が、絵にかいたように、ベースラインに対して何%削減というベースライン方法論をとるのは非常に難しい。問題提起として、そういった問題点があるということを申し上げる。
  • 以前もここで議論があったが、老朽工事などの場合についての考え方も整理が必要。ただ乗りになってしまわないような配慮も一言入れておく必要があると、この場で何回か議論があった。

【質問に対しての返答】

  • 事務局(日本スマートエナジー)

    井上委員からいただいた投資回収年数について、おかしな考え方かもしれないが、投資回収年数が2年以下、1年であるといったプロジェクトについては、削減クレジットがなくてもやってもらえるという期待から、2年以上の比較的投資回収年数が長いものについてクレジットを付与するということを考えている。

  • 松橋委員長

    この数値はあくまで、昨年度の検討結果をもとに、たたき台としてまず出されているものである。その上で、投資回収年数でやったときに、一般に省エネの投資というのはx年以下であれば実行すると。そのx年を仮に2と置いているもので、それ以下であれば、特にほかのインセンティブがなくても実行するはずという考え方である。今回この数値を使うというわけではない。ただそれ以外にも、中小企業が省エネをやる場合にバリアとなるものとして、投資回収年数が短ければやるわけではない。それは再三出ているように、技術に関する情報がない、ノウハウがないといったいろんな問題がある。その下にあるエネルギー効率とか、その他の障壁とか、どれかがあればいいという考え方で昨年度はやっていた。投資回収年数の基準がクリアできなければ、今度はエネルギー効率でクリアできればいいと。これはそういう技術あるいはノウハウを中小企業が持ってない場合を考慮して、投資回収年数が短くても最新のエネルギー効率を実現するものであれば、あるいはその他の障壁があれば認めていくという考え方である。あくまでこれはたたき台であり、今後モデル事業を評価していくにあたり、今回いただいたご意見を反映していきたい。

6.まとめ

  • 藤原環経済室長

    論点整理は概ねご了承いただいたということで、秋以降の議論に向かっていきたい。次回は9月上旬の予定で日程を調整させていただいている。資料4「モデル事業の評価について」は、メール等で本日の原案をご審議いただき、ある程度固めた上で、モデル事業の検証と併せて進めていきたい。9月中にはモデル事業の評価も含めた中間報告を行いたい。1カ月以上時間をいただくことになるが、改めてご審議をお願いしたい。

  • 松橋委員長

    資料4について追加のご意見等があれば、事務局にメールで寄せて欲しい。かなり濃密な委員会であったが、ようやく中間報告に近づいてきた。今後はまたさらに慎重に議論を進めていきたい。

以上

 
 
最終更新日:2007年8月24日
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