経済産業省
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独立行政法人評価委員会産業技術総合研究所部会(第15回) 議事録

日時:平成19年6月1日(金)13:00~15:40

場所:経済産業省別館5階第526共用会議室

出席者

木村部会長、赤池委員、黒木委員、谷川委員、室伏委員(欠席:松重委員)

議題

  1. 経済産業省所管独立行政法人の業務実績評価の方針等について
  2. 評価基準及び評価スケジュールについて
  3. 平成18年度産総研業務実績について
  4. 技術経営力の強化に関する業務の追加について
  5. その他

議事

木村部会長

恐れ入ります。時間前ではございますが、全員おそろいになりましたので、「第15回産業技術総合研究所部会」を開催させていただきます。

今年度、委員の交代がございましたので、まず事務局から新しい委員のご紹介をお願いいたします。

都筑産総研室長

このたびの改選でございますが、今年の1月末日で任期満了に伴います改選でございます。

選任に当たりましては、年齢制限、女性委員の選出、委員数の削減といったような条件がございましたので、これを踏まえまして産総研に対する評価が社会の各層から行われますように、「産業界」、「大学」、「ジャーナリスト」、「地域・中小」、「財務」、「人事・組織」といった観点から委員の選出をさせていただいております。

継続性の観点もございますので、引き続き木村部会長、松重委員は留任とさせていただいております。

新しい委員でございますが、お手元に評価委員会の出欠表という紙がございます。座席表の後ろあたりに入っておりますが、これをご覧いただきたいと思います。新委員のご紹介でございます。

まず赤池学委員でございますが、ユニバーサルデザイン総合研究所代表取締役でいらっしゃいます。ジャーナリストの視点から産総研の成果が社会に役立っているのかといった観点からご評価、ご意見を賜りたいと考えております。

赤池委員

よろしくお願いいたします。

都筑産総研室長

続きまして、黒木啓介委員でございます。新日鐵の君津製鐵所の所長でいらっしゃいます。産業界の立場から産業界からみた産総研、あるいは産業界との連携といった観点からご意見、ご評価を賜りたいと考えております。

黒木委員

どうぞよろしくお願いいたします。

都筑産総研室長

続きまして、谷川徹委員でございます。国立大学法人九州大学産学連携センターの教授でいらっしゃいます。地域イノベーションあるいは知財戦略、日本政策投資銀行におられました関係からその経験を生かされまして、財務・会計といった関係からのご意見、ご評価を賜りたいと考えております。

谷川委員

よろしくお願いいたします。

都筑産総研室長

最後に室伏きみ子委員でございます。国立大学法人お茶の水女子大学理学部の教授でいらっしゃいます。産学官連携あるいは人材育成、教育、さらに本部会で唯一の女性委員でございますので、そういったことも踏まえましてご意見、ご評価をいただきたいと考えております。

室伏委員

室伏でございます。よろしくお願いいたします。

都筑産総研室長

以上でございます。

木村部会長

ありがとうございました。よろしくお願いいたします。それでは引き続きまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

都筑産総研室長

それでは配付資料の確認をさせていただきます。(省略)

  • 木村部会長

    ありがとうございました。資料が大部になっておりますが、よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

    それでは早速でございますが、議事に入らせていただきます。本日は、産総研の平成18年度評価に係る実績報告ということでございますが、経済産業省所管独立行政法人の業務実績評価の方針等について、これは従来から議論してきたところでありますが、まず大臣官房政策評価広報課から資料1-1に基づいてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

    波多野政策評価広報課長

    政策評価広報課長の波多野でございます。ご説明させていただきます。

    まず資料1-1でございますが、これは昨年12月に改定をさせていただきました「経済産業省所管独立行政法人の業務実績評価の基本方針」でございます。

    簡単にご説明をさせていただきますと、まず1ページ目の「1.」でございます。各事業年度の評価の基本的な考え方でございます。これは独立行政法人の通則法からそのまま引いてきているものでございますが、「法人の実施している業務と国の政策の方向性との整合性」、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上」、「法人の行う事務・事業の効率的かつ効果的実施」といった観点から業務評価をしていただきたいと思います。

    それから各委員会、分科会及び部会との分担でございますが、基本的に各独立行政法人の業務実績評価、一義的な評価はこちらの部会で行っていただきまして、それを横断的な観点からチェックするということで、委員会で再度審議させていただくということでございます。

    評価の基準でございますが、これは従来と変わりませんで、「AA」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階評価でございます。通常の業務をやっていただいた場合には「B」評価、「法人の実績について、質・量の両面において概ね中期計画を達成」というところでつけていただくようにお願いをいたします。

    業績が良かった場合でございますが、「法人の実績について、質・量のどちらか一方において中期計画を超えて優れたパフォーマンスを実現」という場合には「A」をつけていただき、「法人の実績について、質・量の両面において中期計画を超えた極めて優れたパフォーマンスを実現」した場合には「AA」をつけていただくということでございます。通常の実績であったという場合にはB評価ということでお願いいたします。

    それから2ページ目でございますが、評価項目。これは各分科会において若干差がございますので、後ほど産総研部会の評価方針の方でご参照いただきたいと思います。

    横断的にすべての部会、分科会でお願いいたしておりますのは、中ほどの(ニ)の部分でございまして、これは最近法人の業務の効率性というものがかなり国会などでさまざまな形で取り上げている場合がございますので、(1)といたしまして「業務の効率的な実施の観点から、一般競争入札の範囲の再検討等、適正な契約形態の選択が行われているか」どうか。(2)といたしまして「役職員の給与等の水準は適正か」と。こういったものをぜひ評価の中でご検討いただきたいと考えております。

    2番以降は中期目標、つまり5年間の実績の評価のやり方でございますが、これは個別年度の評価を通算していただくという形でございまして、ここの部分の説明は省略をさせていただきます。

    それから、資料1-2をご覧いただきたいと思います。これは7月に独法評価委員会で最終的に議論するときのフォーマットでございますが、従来と若干変更させていただいております。資料の中で10ページをお開きいただきたいと思います。

    サービスの質の向上の部分でございまして、独法として一番重要な点だと思いますけれども、左側に個々の評価事項について当該年度の評定が「B」となる基準、つまり通常の中期目標をクリアしたという基準を左側、これは事務局で記載していただくものかと思いますが、こちらを記載していただいて、その右側に昨年度の実績及び評価についてB評価を超える場合は、いかなる部分がBを超える実績であったと判断されるかということを特記をしていただくという形で、今年からは記載をお願いしたいと思っております。

    独法制度が始まって6年ほど経過してございますが、評価が若干ジリジリ上がってくるという傾向がございます。これは特にいい実績を上げられた法人についていい評価がつくのは非常に適切なわけでありますが、すべての法人がいい評価がついているということになりますと、その評価が適正であったかどうかというところが議論になりますので、基本的に通常の評価は「B」でありまして、Bを超えて「A」がつく場合には特記事項がありますことから、Bでないものについては少し厳格な判断基準でみていただくということをお願いしたいと考えてございます。

    独立行政法人について、きちんと第三者機関に評価していただくことが重要だということが議論されておりまして、こちらの部会でぜひ厳しくご評価していただくということが大変重要でありますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして何かご質問がございますでしょうか。

    新しい委員の方は特に戸惑われることもないかと思いますが、古い委員は大きな変更ですので若干戸惑うというところがございます。よろしゅうございますか。

    それではこの件についてはお認めいただいたということで、次の議題にまいります。先ほど波多野課長からお話がありましたが、産総研の評価基準については議決をしていただく必要がございますので、まずそれについてご説明いただきまして、次に資料1-3ということにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    都筑産総研室長

    それでは資料1-2に基づきましてご説明させていただきます。まず「I.各事業年度に係る業務の実績に関する評価」ということでございます。「1.」が基本的な考え方で、最初の「・」は方針で掲げられたものをそのまま引用させていただいております。

    「1.」の2番目、3番目の「・」ですが、これは追加させていただいております。産総研の自己評価の結果を参考データとして活用すること。それから「アウトカムの視点からの評価」を導入すること。こういった点を評価方針から追加させていただいております。

    「2.評価項目」でございます。1番目、2番目の「・」は方針をそのまま引用させていただいております。

    次のページに行きまして2ページ目をご覧いただきたいと思います。「3.評価の基準及び方法」でございます。最初の「・」ですが、「『別表1』の評価判定指標により行う」ということでございまして、方針と同じ5段階評価をさせていただいておりますが、7ページをご覧いただきたいと思います。

    5段階評価でございまして、基本的な考えは方針と同じですが、「中期計画」というところを、私どもでは「中期計画の達成に向けて策定された年度計画」として、これを超えて優れたパフォーマンスが出ているのかどうなのか。こういった点からの評価、基準とさせていただいております。

    また2ページ目にお戻りいただきたいと思います。3の(1)の3番目と4番目の「・」ですが、方針には質の向上に対する評価を最重要とするということがございます。それからウエイトづけを原則とするということが記載されておりますので、これにつきましては、質の向上が70%、研究所の運営・効率化を20%、財務内容については10%という形になっております。

    次の「・」からは算出法が記載されておりますが、ここは省略させていただきます。

    最後の(1)の「・」でございますが、以上を踏まえまして総合評価を決定する。それから機械的に算定されました評定と違う評定を行う場合には理由を記載するということをつけさせていただいております。

    それから(2)でございますが、中期目標上の各項目の評価を行うということで、別添の実績評価表を記載することとなっております。別添はA3の横長の表ですが、ご覧いただきたいと思います。3個目の中期目標の項目に基づいて評価をするという形になっておりまして、「I.」は目標期間ということで、平成17年4月~平成22年3月でございます。今年度は2年目の年に当たるということでございます。

    「II.」が国民に対して提供するサービスその他の質の向上に関する事項ということで、評定ウエイトが70%となっております。これをさらにブレークダウンしたものが「1.」、「2.」、「3.」とございます。「1.」につきましては、さらに70%の中の20%、「2.研究開発計画」の各項目については、それぞれ10%という形の評定をしていただいて集計するといった形にさせていただいております。

    それから下の「III.業務運営の効率化に関する事項」は20%、「IV.財務内容の改善に関する事項」が10%ということでございます。その他の項目につきましては、施設・設備の計画、それから人事に関する計画は業務運営の効率化、財務内容の改善等に含まれておりますので、今回は0%としております。

    それから右に行きまして、「個々の評価事項について当該年度の判定がBとなる基準」ということですが、これは先ほどのBの基準をそのまま移させていただいておりますが、括弧の中に指標のあるものにつきましては、「その指標が中期計画中に概ね達成できるレベルとなっていること」ということを記載しております。

    それからさらに右に「評価コメント」ということで「評定がBとなる基準と異なる理由」とありますが、記載するに当たりまして、基本的にはなるべく全部にコメントをいただくようにお願いしたいと考えております。

    それからまた2ページ目に戻っていただきたいと思います。下の方でございますが、(2)にあります考慮事項です。考慮事項につきましては、評価の理由を明記する。それから評価材料となり得るものがある場合には、積極的に勘案する。研究開発活動の特質にも配慮していただく。それから達成の度合いのみならず、研究の展開、プロセスや質的な側面も重視するということを記載させていただいております。

    「4.」の最後の「・」ですが、法令で規定された業務におけるミス、あるいは不適切な会計処理等、こういった業務運営の問題点があった場合には必ず評価の対象に加えるということを記載させていただいております。

    以上が年度計画の評価基準でございまして、「II.」が最終年度時の業務の評価でございます。基本的な考え方につきましては、方針と同じでございます。

    それから次のページに行きまして、4ページ目をご覧いただきたいと思います。「3.」につきましても基本的には方針及び年度ごとの評価と同じでございますが、(1)の4番目の「・」にありますように、これまで年度の評価結果が出ておりますので、平均を基礎といたしまして、その年度評価結果をさらにアウトカムの実現・進捗状況、あるいは中期目標期間全体の観点でどうだったかを評価していただくということを記載させていただいております。

    (2)でございますが、これは基本的には年度ごとの評価と同じでございます。同様に2番目の「・」にありますように、各年度ごとの評価結果の平均を基礎とする。それからアウトカムの実現状況等を加味するということが違うところでございます。

    次の5ページ目でございますが、(2)で基準の詳細ということで、これまで産総研部会で決めておりました基準を評価方針にはないもので、独自に決められていたものをここに記載をさせていただいております。説明は省略をさせていただきたいと思います。

    それから次に「補足評価表」ということで、横長のこのような表をつけさせていただいております。先ほど方針の中に1枚ありましたが、談合事件とかいろいろございまして、契約がしっかり行われているかという点の評価をしていただくということ。

    次のページに行きまして、役職員の給与が適正であるかどうか。それから3ページ目に業務・システムの最適化が図られているか。

    次のページに行きまして、政策評価・独立行政法人評価委員会からの意見をいただいております。これを踏まえた評価をつけていただくことになっております。個別事項といたしましては、他の研究開発独法との連携・協力、それから地域における産業経済の振興、産業育成・産学官連携ということで、これは地域センターごとに評価していただきたいとなっております。

    それから非公務員化のメリットを生かした新人事制度の成果、それから公的研究費の不正使用の防止の取組状況、また資産の活用状況、最後のページになりますが、市場化テストの導入といったことについてのコメントを賜るような評価表にさせていただいております。以上が基準と評価でございます。

    次に資料1-3をご覧いただきたいと思います。評価のスケジュールでございます。本日6月1日に18年度の業務実績についての説明・報告を受けます。その後、各委員に評価表をメールにて送付させていただきます。改めて質問等がございましたら、個別に補足説明を実施したいと考えております。

    それから評価表の締め切りでございますが、6月25日(月)とさせていただいております。これを踏まえて事務局で集計、整理いたしまして、7月5日(木)に次回の第16回部会を開催したいと考えております。そこで18年度の業務実績を部会として審議して決定をしていただく予定となっております。

    その後7月18日に経済産業省独法評価委員会にて最終的に議決をするといったスケジュールとなっております。説明は以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。それではご質問、ご意見等がございましたらいただきたいと存じます。

    資料1-2でご説明がありましたが、評価のやり方が大きく変わっております。これまではウエイトづけ等をしておりませんでしたが、今期からウエイトづけをするということになりました。大幅な変更でありますので、議決をしなければいけませんが、その前に何かご質問等ございますでしょうか。

    お書き込みいただくのは、「別添」という横長の資料と、これは従来はなかったのですが、その後についています1~5ページまでです。

    おわかりにくい点もあろうかと思いますが、ひとまずこういう方針でやるということでご同意いただけますでしょうか。ありがとうございました。それではこの1-2の点については議決をしたということにさせていただきます。ありがとうございました。

    それから資料1-3のスケジュールでありますが、そこに書いてありますように、今日が6月1日で、締切期限が6月25日になっております。委員の先生方のお手元へ電子媒体でお書き込みいただく資料をお送りさせていただきますので、それに記入していただいて事務局までお返ししていただきたいと思います。その期限が6月25日です。

    結構大変なスケジュールでございますので、よろしくお願いいたします。

    黒木委員

    ちょっとよろしいですか。

    木村部会長

    どうぞ。

    黒木委員

    基本的なところでこれは簡単な説明だと思いますが、分科会と部会との関係、それからもう一つは補足評価表に関する参考データというのは、前のA4のこの評価に際する参考データは、この産総研さんがお出しになられているこの実績の中に入っていると思うのですが、このA3の契約に関する事項、A4の契約に関する事項以降に関する参考資料は、ここの中では評価されていると考えていいのでしょうか。

    木村部会長

    そうですね。今評価表のことは申し上げましたが、この評価表をつくるための資料についてどのような資料をもらえるのか。今のご質問について一括して説明してください。それから部会と、俗にいう「親委員会」との関係についてもご説明いただきたいと思います。

    都筑産総研室長

    産総研につきましての部会はここで評価をいただくわけですが、経済産業省にはほかにも幾つか独立行政法人がございまして、それをトータルで評価する委員会が経済産業省の評価委員会がございます。

    ここでは個別の業務内容についての評価を行いますが、その上の評価委員会におきましては、その評価結果が妥当であるかどうか。横並びといったものを踏まえた上で評価をいただくという形になっております。さらに総務省の下にも評価委員会がありまして、経済産業省、厚生労働省といったいろいろな省庁からもまたそこに報告をいたしまして、最終決定というような関係でございます。

    黒木委員

    「分科会」といわれているのは、その中でどういう位置づけになるのですか。

    波多野政策評価広報課長

    産総研ともう一つNEDOという研究開発機関がございまして、研究開発関係の2つの独立行政法人を両方みるものとして「分科会」というものが置かれております。現在、分科会を開催してこの2つの研究開発型の独立行政法人を比較するということはやっておりません。したがいまして、現在のプラクティスとしては「部会」と「委員会」で審議をしていただいているということでございます。

    黒木委員

    わかりました。

    都筑産総研室長

    それから補足評価表でございますが、これはことし多分しばらくの間、諸事情によってこの点について評価しなさいといわれておりますので評価することになると思います。アディショナルに評価するということで別の評価表にさせていただいております。

    説明につきましては今後実績の説明がございますが、資料2-8ですか。産総研からそれぞれ説明があると認識しております。

    木村部会長

    それでこちらの評価表の方は実績でみれば書けるのですが、今の黒木委員のご質問は、今度新しく付け加えた項目もこの中に入っているのかと。もらえる資料の中のどこにあるかということですよね。

    黒木委員

    そういうことです。

    都筑産総研室長

    説明は産総研からあるかもしれませんが、一応資料2-8をご覧いただきたいと思います。これは独法共通事項で契約に関する事項、役職員の給料、不正防止の取り組み、資産の活用状況といったものについて、そこで特出しをして説明資料としてまとめていただいております。もちろんこれらについては全体の中に盛り込まれておりますので、契約のことになれば、例えばこの評価の中の財務に関するものの中で記載がされるという形になっておりますので、こういった普通の全体の実績報告書の中にも埋め込まれていますが、特にこれについては特出しして説明していただくような形になっております。

    木村部会長

    いずれにしてもこれは全部お読み頂くことになります。それでも初年度、2年度に比べると読む分量が少なくなっておりまして、徐々に効率化されてきました。しかしコンパクトになりすぎてどう読んでいいかわからないというところもあると思いますが、いずれにしてもここからお探しいただくということになります。

    黒木委員

    ありがとうございました。

    木村部会長

    黒木委員、よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。かなり具体的に作業をやっていただく段階になりますと、いろいろご質問が出てくるかと思いますので、ご遠慮なく事務局へ問い合わせいただければ、きちんとお答え頂けると思います。よろしくお願いいたします。

    1の基準については議決をいただきました。また資料1-3のスケジュールはそのようになっているというご報告でございます。書類は何日ごろまでに電子メールで送っていただけますか。

    都筑産総研室長

    本日直ちに、送らせていただきます。

    木村部会長

    よろしくお願いいたします。

    それでは引き続きまして、産総研から平成18年度業務実績についてのご報告をお願いいたします。まず最初に吉川理事長からご報告をいただきまして、その後、議題3に係る報告を順次行っていただきました後にまとめてご質問をいただくということにしたいと思っておりますが、それでよろしゅうございますか。

    それでは吉川理事長からよろしくお願いいたします。

    吉川理事長

    それでは資料2-1に基づきまして、私の方から簡単に概要的ではありますが、全般のお話をいたしまして、後に内容の詳細あるいは事実等については理事の方から説明させていただきたいと思います。

    全般的にこの2001年にスタートしてから第2期、今3年目、すなわち7年目を迎えているわけですが、順調に業務を遂行しているという中で、この研究型の独立行政法人の社会的な意義というものが次第に明瞭になってくるその使命感達成の中で、どういう研究を続けていけばいいかということを企画し、実行しているということでございます。

    この最初の資料は「イノベーション創出」というかなり限定的な話が書いてあるわけですが、最近よく我が国あるいは世界でいわれておりますように、その「イノベーション」ということが大変重要なのだと。それはいろいろな欠陥条件が変わる中で、我々にはある種の「社会的な変革」というものが必要で、当然産業もそれに協力しなければいけないし、産業の基礎である産業の技術というものにもそういった視点が必要であるということですが、このパワーポイントの1枚目の下、2ページ目にありますように、「イノベーション」というものは我が国では決して新しい話ではありません。

    実は1960年代に世界に冠たるイノベーションというものを輩出した国であったと私たちは認識しております。これは今さらいうことでもないのですが、新幹線ができたとか、非常に効率のよい生産システムをつくったとか、あるいは現場の働きが生産性向上につながるといったいろいろなことがあったわけです。

    これは現実的なそういう場があったわけで、(1)にありますように国策的な公社や企業が存在した。あるいは(2)の国民的合意に基づく公的投資があった。(3)は非常に重要で、これはかなり古い話になりますが、「理工系学生倍増」という大変大きな決断がありまして、この時代に倍増したわけです。これが現場の技術者として入っていって、日本の高度成長を支えた。

    それから当時戦後の日本人共通の目標であった「豊かになりたい」といったことが相呼応して我が国の「経済高度成長」というものを、いわば製造業の生産性中心に向上したと。これは大きなイノベーションで、この成果は現在の「途上国の追い上げ」ということがいわれておりますが、そのパターンというのはほとんどは日本型の製造業を中心とした追い上げということであり、いわばこの「イノベーション」というのは今世界に普及しているのではなかろうかと思うわけでございます。

    ところが真ん中にありますように、こういった条件が何もなくなってしまったというのがむしろ我々の“危機感”と、日本人が今何となく落ち着かないのは、そういった仕組みがなくなってしまったということではないかと思います。しかしながら、私たちは悲観することはないと考えております。

    それはこの(A)、(B)、(C)、(D)にありますように、これからご説明するような「ネットワーク・オブ・エクセレンスNOE(卓越拠点網)」の構成とか、あるいは「イノベーション・カウンシル(専門家会議)」というものをつくらなければならない。さらに例えば人材でいえば、現在「ポスドク(postdoctoral)」というものをたくさんふやして非常に問題になっておりまして、その就職先はどうかというような議論がされておりますが、実はこれは大変な財産で、ポスドクの人たちが高度な技術人材となり得るということです。こういったものをいかに社会的に遇していくかということが行われるべきだろうと思います。

    それから目標という意味では、技術で世界にサステナブルな世界をつくるという意味での目標を立てる。

    こういったことで私たちは決して悲観することはないわけですが、それを具体的にどのように実現するかということについて今努力しているところであります。

    3ページに行きますと、このように「21世紀における日本のイノベーション」というフロー体系ですが、私たちは大学を中心とした基礎研究所で「科学技術基本計画」というものを行い、これが第1期17兆円、第2期24兆円、第3期25兆円といわれるような基礎研究費を投入し、いわば基礎的科学技術知識というものは1960年代から比べれば非常に多量に自前のものとしてもっているわけでございます。それをどうやって産業が使うかということに大きな視点が向けられるべきであるということでございます。

    先ほど申し上げましたように、大学と産業を結びつけるかつてあった仕組みというものが今消失しているということです。しかも産業というものはこの大競争時代の中で基礎研究からやや後退するということもありまして、大学と産業の距離は開いてしまった。

    その間を受け持つものとして、産総研もその一つでありますが、この下に書いてありますようなこういう国立の研究所、独立行政法人としての研究所というものが、働くべき仕事がそこにあるのだろうとして続けているわけです。

    産総研は3ページ目にありますように、「本格研究」、「ハイテクものづくり」、「ネットワーク・オブ・エクセレンス」、「産業技術アーキテクト」といった新しい言葉が並んでおりますが、そういった新しい政策を試行的に、実験的にやりながら数々の実績を上げていると考えていただければといいと思います。

    「本格研究」ということですが、これはいわゆる「基礎研究」とか「応用研究」という言葉が普通にいわれておりますけれども、実はそれはばらばらに行う。大学でいえば、基礎研究は理学部にあり、応用研究は工学部にある。人間的にもばらばらなわけですが、そこに非常に大きな欠点というものがありまして、実は「研究」というのは本来基礎も応用も一体化すべきだという考えに立っております。ですから「知識の創出」と「知識の価値化」と「知識の社会化」というステップは、これはいわば同時的に、あるいは連結的に、協調的に行われなければいけない。

    そういったことで私たちのこの産総研における研究単位、「研究ユニット」と呼んでおりますが、そこには基礎研究者と応用研究者とその両者を結びつける独特のブリッジする研究者といった3種類の研究者が競争しているという構造をつくっております。それを「第1種基礎研究」、「第2種基礎研究」、「製品化研究」と呼んでおりますが、そういった五十幾つかの研究ユニットに対して、ここにありますようなさまざまな研究費の配分を試みながら、それぞれその研究成果を産業界にそのまま突入させるといった一つの戦略をもってしているということでございます。

    それでは5ページですが、これは「サステナブルな社会に向けた産業の重心移動」ということで、これは先ほど申し上げましたように、そもそも産業技術というのは、従来のようにただ世界競争に勝って、そして1位の経済国になるといったような話はもはや通用しないわけで、「サステナビリティー」ということで、世界的なサステナビリティーの実現がいわば人類共通の話題になっているわけです。

    まさにその中で一番の主役である産業をつくり、かつその環境に影響を与える産業活動というものが、実はサステナブルでなければいけない。この図の表し方は横軸が環境で、縦軸が開発ですが、これが右上がりに上がっていかなければいけないわけです。しかし、これはご存じのように、開発を大きくすれば環境は悪くなる。環境をよくしようと思えば開発を抑えるといった方程式がございまして、この黒い矢印みたいになっているわけです。これをいかに白い矢印に変えていくか。これが実は科学技術の基礎研究から本格研究という一つの事実で可能になるであろうと考えております。

    それでは6ページですが、「情報循環と物質循環の合一化」といったやや妙なことが書いてありますけれども、これは「製造」、「使用」、「逆製造」、「逆使用」とループになってございます。この「逆使用」が薄くなっているのは新しい言葉で自信がないものですから薄いのですが、実はこういったループをつくることによって進化論的に技術が進歩していく、あるいは科学が進歩していく。こういう社会的な構造をつくるということが実はサステナブルな社会の実現に向けた科学技術の発展にとっては不可欠であるということであります。

    ここに書いてあるのはやや狭くて、製造業的なことが書いてありますが、例えば製造したものが使用される。これは個人的な選択です。この個人的な選択として、使われたものが今度は解体される、廃棄物になるわけですが、廃棄物というのは捨てるだけではなくて、その廃棄物の中にはどのように使われ、製造した製品のいい点、悪い点が全部情報として詰まっているということですから、その解体したものの中から情報を抽出し、その情報に基づいて今度は新しい左側の「逆使用」、「逆使用」というのは社会的選択ですが、これを製品設計に生かしていく。そして新しい製品をつくる、そして再び回ってくるということで、この「循環」がいわば生物の進化と同じように物質的にも循環し、情報的にも循環する。

    こういう構造を実はやるわけでありまして、私たちはその次の7ページにございますように、これは同じ図でありますが、周りにいろいろなものが書いてあります。これが実は私たちの研究ユニット、ここには三十幾つかしか書いてございませんが、五十幾つのうちの代表的なものが書いてあります。

    こういう情報並びに物質循環の各部分を受け持つユニットが存在するということで、これはいわば一つ一つの研究ユニットというのは研究者ですからオートナマスに研究するわけですが、それはしかしながら、このように研究所全体としては構造化されているということで、いわば経営体としての産総研は、先ほど申し上げたサステナブル社会の実現に向けて、各オートナマスな五十幾つかのユニットが協力するという経営構造をもっているということでございます。

    そしてサービス工学でございますが、最近とくに我が国におけるサービスというものは大変重要視されておりますが、今申し上げました「循環」、この循環をそのままの形で書きますと、これはちょっと図の形が違いますけれども、例えば左側の「改善サイクル」というところをご覧になりますと同じことが書いてあります。まず既存産業が存在しておりますが、それによって製品・サービスが提供されると、それがどうだったかということをフィードバックして再設計する。

    先ほどの図のサービス的な書き方でございますが、このように「サービス」というものに「循環」というものを持ち込むことによってサービスがやはり進化していくという社会的構造をつくるべきだということです。

    そして9ページですが、ここは実は私たちが先ほど4ページで述べたようなさまざまな試みをしていく中で、私たちの本格研究というのは確かに産業の中にかかわっていくわけですが、それでもまだまだ不十分だということに気づいたわけです。

    それは何かというと、実は産業の本来のニーズを熟知し、さらに提供できる研究側の新しい知見を熟知しているといった人がいないわけです。その人材が不足しているという意味において、実は産学連携というものはかけ声が非常に強い割にはできない。

    そういうことで結局私たちの結論として、そういう人材をつくろうではないかということで、そういうことをまさに建築家が建築材料と建築施主の要求の両方を認識している。それを「建築アーキテクト」といいますが、産業技術においてもそのような人材が必要だということで「産業技術アーキテクト」という職種をつくりました。

    これは昨年度つくったわけですが、そういう人が両方の知識提供者である研究所と企業の間の橋渡しするということで、これは実際に大変活躍を始めておりますけれども、同時にこのような人材を育成する場として産総研が役に立つところではないかと、そういう人材が社会に広がっていくことによって、基礎研究の知識と産業応用ということがよりスムーズになる。

    以上、申し上げましたようなさまざまなことを最後の10ページに書いてあるわけです。これはいわば「Network of Excellence」、「Center of Excellence」という考え方、これはボツボツとセンターができるという話ですが、それはもう古いので、現在はその「エクセレンス」がお互いにネットワークをつくる。

    そういうことで我が国全体の能力を高めていこうということですが、これは左側に大学、右側に産業と書いてありまして、大学は先ほど申し上げましたように、非常に基礎的な研究が多いですし、産業は製品開発が非常に多いわけですけれども、その間に「本格研究」という1種、2種、製品化という研究を連続して行っている産総研が入ることによって国家的なネットワークをつくろうと、このような一つの目標を掲げながらやっているということでございます。以上であります。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは資料2-2につきまして、吉海理事からお願いいたします。

    吉海理事

    資料2-2を説明させていただきます。今の理事長の説明された基本構造を具体的な業務として18年度を紹介するというものであります。

    下のパワーポイントページ「2」のところで「イノベーション推進に向けた体制の強化」以降、大きく6つの政策の柱で構成してあります。次の3ページのところで「イノベーション推進に向けた体制の強化」ということで、ここには4点書かれてあります。まず「経営ポリシー」、「体制の強化」、「資源配分の重点化」、「実践戦略」とありますが、4ページは今申し上げた基本理念を表現したものであります。

    5ページをみていただきますが、ここで幾つかの18年度の新しい施策展開が紹介されてありまして、強化のポイントで「イノベーションの潮流の形成」、「本格研究の成果の統合的な発信」、「社会のニーズの的確な受信」、「本格研究の推進の視点からの研究資源分配と研究支援」と。これは経済産業省の「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」と極めて連動する内容構成として施策展開をやっているということであります。

    そのグリーンのところに書いてございますが、「イノベーション推進に向けた体制の強化」ということで大きく3つに構成しました。まず1つは、経営責任を明確に出すということでイノベーション推進の担当理事、3名でありますが、これを設置して「イノベーション推進コア」と称しております。

    それから今ご紹介のありました「産業技術アーキテクト」、これは12月1日に第1号の任命が行われました。現在内部登用でございますが、1名おります。外部から公募を行いまして、近々外部からの登用者も出てくると期待されております。

    それからこういった業務を一括で行う「イノベーション推進室」をつくったということでございます。従前は私がいた企画本部が全体をみておりましたが、企画本部は企画と総合調整に専念して、研究現場の推進活動はこの推進室がやるという体制でございます。

    それから6ページは、今申し上げたスーパーハイウェイ構想との連動性を、スーパーハイウェイよりも政策の視点が縦軸、(1)~(4)を明記してあります。これごとに横軸に産総研が行っています研究展開にいろいろな事項を事例的に表現してあります。いろいろな組み合わせの中で構成してあるということであります。

    それから7ページでありますが、これはイノベーションの実践戦略の事例でありまして、まずことしの2月に行いました大変大規模なシンポジウムがありました。これは産業界の方々、大学の方、それから内閣府を初めとする政府関係者、それと私ども、それから他の独法が構成してシンポジウムをやりました。総計536名の出席を得たわけでありますが、「イノベーション」という政府を挙げての潮流の中で産総研が一つの大きな形成を用意したものかと思います。

    それから2つ目は内部でありますが、「ワークショップ」を年間11回開催いたしました。これは理事長が北海道から九州まで現地に赴きまして、それぞれに地域拠点がございますから、その地域拠点の皆さんとダイレクトに対話をするということで、先ほどのお話の理念・基本構造というものをしっかりと共有するというプロセスであります。

    そして8ページからは第2期研究戦略の重点化でありますが、ここは「研究戦略」というものを中心に構成してあります。研究戦略ですが、お手元の参考資料2-2に、このブルーの大変分厚いもの、これは昨日印刷ができたばかりでございます。これはお時間があるときにご覧いただければと思いますが、ここまでのものを用意してあるということで、これは現在56ですが、全ユニット参加で鋭意議論を重ねた結果の産物であります。

    このプロセスを通じまして、産総研全体の研究構造を各ユニットが共有するという大変重要な機会であります。全部で2,000冊用意いたしまして、経済産業省、企業、研究機関等へ配布をいたしております。

    それからWebにも掲載しておりますが、18年度は18万件のアクセスがありました。もちろんこれは少なからず海外からのアクセスがあります。

    それからこの戦略のブラッシュアップは「サービス」という視点、それから「融合分野」、現在特にこの2つを新たに追加しております。

    それから10ページは、予算の重点化の例であります。これは18年度予算でありますが、本格研究の推進予算ということで研究センターに特化したもの、あるいは研究部門の重点化を推進するもの等々が並べてあります。

    それから対外的な、いわゆる「製品化研究」という範疇に入りますが、特許の実用化、ベンチャー創出、受託研究、共同研究の促進、インセンティブ予算といったものも政策立案で構成してあるといった事例でございます。

    それから11ページでありますが、ここは今の重点化予算の大きな柱の一つでありますが、「産業変革研究イニシアティブ」であります。18年度、継続2件と新規の採択1件の合計3テーマが動いておりまして、これは何よりも複数のユニットの共同提案で産業界と大学をパートナーとして組み込むという産総研主導のある種の大型プロジェクトであります。これはプロトタイプというところまで踏み込むという設計で動いておりまして、後ほどまた出ますが、具体的な成果が出ております。

    12ページは、その一つの事例でございまして、北海道で昨年12月に工場が完成しましたこの密閉型植物工場の状況であります。これは組換え遺伝子を用いた植物をある種の製造過程という利用の仕方でありまして、これを用いて右にありますような例えばインターフェロンを生産する。

    こういう遺伝子組換えを完全な人工環境制御で、かつ医薬製剤の工程まで一貫して行うものを整えた施設は世界的に唯一ここしかありません。そういう意味ではいろいろな実験モデルとして世界中から今注目を集めつつあるわけでありますが、これが普及していくことをこれから考えなければいけないと思います。

    それから13ページの「進化を続ける組織」であります。組織政策は大変重要でありまして、特に産総研はユニット制を敷いておりますので、この14にございますように、常に最適化の視点からユニットの適切な評価を行っております。

    ユニット評価は2つの構成になっておりまして、経営責任として産総研の役員が行う評価と研究内容をピアーレビュー方式で外部の専門家が行う評価。その2段構造であります。

    ここでは主として経営責任による評価ということで中間評価、最終評価として書いてありますが、スクラップ、廃止になったもの、新しく新設したもの等々がありまして、一番下に書いてありますように、18年度の廃止したユニット数が6ユニット、政策要請に対応して新設したものが8ユニットということであります。

    次の15ページに具体的な改廃が並べてありますが、新設したものの事例として、例えば新燃料自動車技術研究センターということで、バイオマスを中心にした新しい燃料及びそれの提供するエンジンの信頼性と標準を中心に研究を行うというもので、備考に書いてありますような幾つかのユニットから研究者が結集して提案がなされたものであります。

    それから下の3つはアジア・バイオマス研究コア、深部地質環境研究コアですが、これはそれまでのユニットとして存在していたものがユニットを閉じまして、しかし、政策事由としては依然として強いものが残っているという場合に「コア」というある種代表性を示すという、初めてつくった組織体であります。こういう工夫を18年度から開始したということであります。

    それから16ページは、組織の機動的な見直しでありますが、イノベーションの体制強化として、先ほど申し上げたような経営体制を含めて相当大規模な組織替えをいたしました。

    それから人事的な観点を申し上げますと、(1)の5つ目の「・」にありますように、「総括研究員」というものが各ユニットに1人ないし2人配置されておりましたが、これを廃止しまして、「上席研究員」という研究に専念するハイクオリティーの方と「主幹研究員」というマネジメントを、ユニット長をサポートするような立場に分けて効率的に構成したものであります。あとは安全確保・法令遵守、それから研究支援の組織体制、財務経営等で構成してあります。

    17ページでありますが、「リスク管理・法令遵守への取組み」で、18年度中残念ながら幾つかの法令違反その他、外部から厳しく指摘された事案が発生しました。こういうものを踏まえまして、ご覧いただきますような原因を徹底的に究明して再発防止という意味での必要な手当てを組織体制、人事的な配置等々でカバーした次第であります。

    18ページの「管理体制の強化」では一つの事例で動物実験とアイソトープ関連、それを表現しております。一元管理と事業所支援、連携強化、これを大きな政策の視点として構成したということであります。

    19ページは業務の効率化でありますが、第1期は運営費交付金毎年1%の削減ということがありまして、第2期に入りまして、業務経費1%と一般管理費3%、それに加えて特に人件費を4年間で4%削減という設定になっております。

    これを達成すべくいろいろな工夫をしておりますが、この下の20ページでは取り組みの事例ということで幾つか挙げております。これも従前から基本的には展開しているものでありますが、幾つか新しい要素を加味してきております。

    それから21ページは、コスト削減の現状であります。一般管理費の削減は先ほどのような中期としての目標設定がありますが、産総研はこの1行目に書いてありますように、13年度に比べて一般管理費を25%削減を達成しております。しかし、一方研究費を主とする構成の業務経費ですが、これはやはり我々のミッションを達成するという意味では減らしてはいけないということで、同水準を維持すると。その分のしわ寄せが一般管理に行くという見方でもあります。そういう状況をここではあらわしております。

    それから22ページは管理部門人員の削減と研究実施部門人員の確保ということで、今申し上げたことが人員数として顕著に出ているということでありまして、管理部門は一番下の数字ですが、-73、ほかの部門はプラスという状況になっております。

    それから23ページですが、組織運営改善への取り組みであります。これは今日この場での部会でのさまざまなご指摘を拝聴するということ。それから各内部の研究関連・管理部門活動におきましても、外部有識者の評価を受けております。そして担当理事を定めてアクションプランをつくって、そこの展開状況を厳しく理事長以下がモニターをするといった仕組みで動いております。

    24ページは、その仕組みとしてのPDCAサイクルを示してあります。

    25ページは職員が安心できる職場環境の整備ということで、ここでは男女共同参画室の設置を例示してあります。18年度当初にこれをつくったわけでありますが、研究者の数で現在総数ベースでまだ5~6%でありますが、採用比率でみると直近で14%に近いところまで来ました。

    第1期の中期計画期間で7ですから、約倍増になっているということです。事務職は現状では既に女性の方が多いという採用割合になっております。さらに女性の働きやすい環境ということで、託児室の開設、ベビーシッター利用料の補助、あるいは最近育児特別休暇制度を設けたといった内容であります。

    それから人材の内容でありますが、27ページをご覧いただきたいと思います。研究を通じた人材育成ということで、連携大学院制度、ポスドク、外来企業、国際といった展開をここでご紹介し、それから研修制度等も置いてあります。

    そして28ページで研究活動の外部人材を活用した展開とありますが、この左下のグラフでおわかりいただけるように、産総研職員は当然でありますけれども、現在のところは同水準ということで、基本的にはポスドク、産学官連携の招聘研究者といった方々が増加している。こういう方々受け入れることによる活性化のメリット、それから先ほど冒頭で説明申し上げました人材を輩出する機能を産総研が担うといった両面から大変有効に機能しているのではないかと思います。

    29ページでありますが、これは人材育成事業として2つの視点で用意してあります。まず「産業技術人材育成研修」ですが、これは産総研の職員を対象にしたものでありまして、「基礎コース」、「応用コース」ということで行っております。

    それから真ん中に「企業への就職説明会」とありますが、これは産総研に在籍するポスドクと企業の採用担当、この幹部の皆さんのミーティングの場を年に2回つくっております。数名の方々が実際の就職まで至っておりますが、ぜひこういうものの充実をしていきたいということでございます。

    それから下に書いてありますナノテクと生命情報ですが、これは外部の方々を産総研が受け入れて研修機能として今働いているというものであります。

    それから30ページは今申し上げたポスドクの構成でありますが、右の円グラフにちょっと注目していただきたいと思います。産総研の雇用としてのポスドクが 500名ほどいますが、彼らが卒業した後どこに行っているのか。これでみますと、産業界がこの17、18の両年度で67名という数字であります。つまり全体の2~3割に近い値ですから、そういう意味ではかなりの数の方がいらっしゃるということではないかと思います。

    それから31ページは個別のモデルのご紹介であります。これは3年弱前に始めました住友電工との間でのポスドクを組み合わせた共同研究のスキームのご紹介であります。既に3年目を迎えているわけですが、最近の情報ではそこのスキームで育ったポスドクを住友電工が採用内定をしましたというお話を伺っております。

    こういうことをもう少し世の中に示しながらいろいろな共同研究が各研究機関で行われておりますので、できるだけこれを活用していただきたいというのが私どもの希望でございます。

    それから外部機関との連携でありますが、これはもう簡単に済ませます。33ページはパワーエレクトロニックス研究センターのSiCウエハを成果として用いた2つの外部機関が建てたエネルギーを通じた事業部間の推移です。

    それから34ページは他の独法、医薬品機構でありますが、そこへの出向及びプロジェクトチーム的なガイドラインのチーム編成を通じた協力体制のご紹介です。

    それから35ページは「GEO-Grid」といいます独法間の連携体制、これは今かなり大きな進展をつくっております。

    それから36ページは産総研の経営幹部と企業の経営トップ層との政策対話ということで、昨年12月に第1回目が行われております。

    それから37ページは大学との組織的な連携協力ということで、相当数の大学と協力協定が既に交わされております。また現実に人の交流もかなりの数で始まっております。国際連携はここに数字で書いてありますように、18年度総数72件の協定ということで、そのうちの17件が包括協定でありますが、活発な活動が展開されております。

    最後に地域展開ということであります。地域には40ページにありますように「研究拠点」と「連携拠点」のこの両面の機能がありますが、この41ページには先ほどの北海道の植物工場もそうでありますが、中国のバイオマス、それから九州センターでは九州大学の中に産総研の研究センターとして水素材料先端科学研究センターが設立されました。これは全く初めての試みであります。補正予算でこれに近いものがありますが、大学と産総研で同時に協力的にこういうものをつくったのはこれが初めてのケースであります。

    それから42ページは、コンソーシアムの活動事例で東北のもの。これは粘土フィルムの成果、それから四国の健康工学センターのリエゾン機能の事例でございます。

    少し駆け足になりましたが、以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは資料2-3ですが、伊藤理事からお願いいたします。

    伊藤理事

    それでは資料2-3に基づきまして、平成18年度における研究成果を紹介させていただきます。

    1ページに目次が書いてございますが、本日ご紹介するのは大きく分けて研究成果の紹介、それからここ1~2年であらわれてきております主として産総研になってからこのようなことになっているということでのアウトカム。この事例を紹介させていただきます。

    全体が57ページという大部なものになっておりますので、幾つかかいつまんでご紹介をさせていただきたいと思っております。

    それでは1枚めくっていただきまして4ページと5ページでございます。これは一覧表でございますが、産総研全体で6分野ございまして、それぞれミッションを明確にしながらやっておりまして、毎年多数の成果が出てまいります。

    本日ここにご紹介するのはそれぞれの分野の一押しのテーマを2つぐらいずつ選びまして、ここに一覧表としてまとめさせていただいております。したがって、ここの表には全体12のテーマが成果として並んでおります。本日はこのうちからさらにかいつまんで、各分野一つぐらいずつご紹介をさせていただこうと思っております。

    それでは1枚めくっていただきまして、6ページでございます。これ以降、上の方に成果の概要、それから先ほど産総研室長から評価の手順のご説明のときに中期計画のテーマがそれぞれ並んでいたかと思いますが、それとの関連がわかるようにここでは「戦略課題」と名前が変わっておりますけれども、例えばこの図でいいますと「2-(2)」と書いておりますのは、このライフ分野の中期計画の2つ目の課題に属するというようにご理解いただければと思っております。併せてここではロードマップも同時に示しておりますので、それとの対応でもご覧いただけると思います。

    それでは中身の話をさせていただきます。まず最初の「培養細胞を用いた肝疾患治療技術の開発」ということであります。これは肝臓というのはなかなか治癒の難しいところであります。肝移植も非常に大きなリスクが伴うという中で今回自らの幹細胞、よくテレビ等で「ES細胞」といわれておりますが、あれは胎児から採る幹細胞でありますが、これは成人から採る幹細胞でございます。

    その細胞を幹細胞だけを分化し、大量に培養して、それを例えば肝機能障害を起こしているその生命体に注射してやる。そうするとその肝機能障害が治るということが今回わかったということであります。

    これはそこに書いてありますように、「再生医療」という大きな作業の中で位置づけられるものでありますが、いずれにしてもリスクが小さく、なおかつ浸襲性が少ないということで非常に注目されております。

    これのミソは、これだけみれば誰でもできるではないかということですが、この「肝」と「幹」で漢字は違っても、音読みしますとみんな同じなのでわかりにくいのですけれども、「幹(みき)」という意味での幹細胞から肝臓の幹細胞を効率よく分化して、それを大量培養するというところに今回の大きな発明があります。それで初めてこのようなことができるようになったということであります。

    なおこれは肝臓がんのような細胞が自己増殖するようなものには効かないということでありますが、一方肝硬変とか、その他肝臓の質が変わるというものには大変有効だと今考えられておりまして、今後人間に対して応用していこうということでございます。

    それからちょっと飛ばしまして12ページをご覧いただきたいと思います。これは「次世代ハードディスク用のMgO系トンネル磁気抵抗(TMR)素子を開発」というタイトルになっております。これは実はつい1~2週間前でしょうか、新聞に富士通が新しい磁気ヘッドを事業化するという発表を新聞に出しておりました。

    その中に産総研の名前も出ておりましたが、これはまさに産総研になってから「MgO」という非常に有望な材料を1ナノ、2ナノの薄さで単結晶的につくれるといった技術を開発したということでありまして、従来「GMR」という現象が知られていて、現在それが主として使われているのですが、それの20倍以上の高感度磁気ヘッドがこれによって実現できるということで、今急速にこれの事業化が開始されようとしております。

    産総研といたしましては、磁気ヘッドもさることながら、それのさらに向こうにはMRAM、さらにはスピントランジスタという大きな新しい情報技術のパラダイムを開くデバイスが可能ではないかということで長期的に展開しているものでもございます。

    それでは16ページをご覧いただきたいと思います。これはタイトルが「異種高分子をナノ分散・混合する技術を開発」ということでややわかりにくいのですが、簡単に申し上げますと、今お手元に配られておりますPET材料の、これはもう相当に普及している材料でありまして、実はこれの高機能化につながるような発明・発見でございます。

    要するにこのPETの中に小さなナノ粒子を分散させまして、これは丸い粒子でありますから、これだけですと力学的には弱いわけであります。しかし、これをちょっと荒っぽくいいますと線引技術によってギュッとストレスをかけてやりますと、実はこのナノ粒子がカーボン・ナノファイバーのように細くなって、ある程度均一に分散するという現象を発見いたしまして、それによりますとこのPET材料が非常に高機能材料に変わるといった期待を今しているところでございます。

    それでは1枚めくっていただきまして18ページでございます。これはリチウムイオン電池の技術に関するものであります。リチウムイオン電池ですが、昨今のさまざまなエネルギーの多様化の中で期待されているわけでございますが、一方で電流密度がまだまだ小さいというところがありまして、それで電極の工夫が今なされています。

    要はリチウムをどれだけ吸蔵できるかというのが電極に対する大きな要求でありますが、一方吸蔵しすぎると電極自体がもろくなるといった相反する特性があります。ここではシリコンというリチウムを大量に吸蔵する材料とそのバックメタルとして違う材料を組み合わせるということで、寿命も延び、電流もふえるということを発見しております。

    ここでのミソは、これだけであれば「そうだよね」ということですが、実はこの合金、シリコンとクロム等をつくる製法で非常におもしろいナノ現象が発見されておりまして、自己組織的にシリコンはシリコン、クロムはクロムという層を形成するということがわかったというのが今回のポイントでございます。

    それでは1枚めくっていただきまして22ページでございます。今度は地質の成果でございますが、産総研第2期になってからこれまでに蓄積した膨大な地質のデータを統合的に使ってさまざまな社会の要求に合わせていこうということで、今展開しております。これはその一つの成果でございます。

    地質はさまざまな縮尺図がありますが、ここでは20万分の1の図幅をこれまで営々と地質調査所の時代からやってきておりまして、そのストックを今回さまざまなパラメーターを調整することですべて最新の図幅のスペックに合わせて統合的に表現できるように実現したということであります。

    これは大変重要な一歩でありまして、今後日本あるいは全地球的な地質情報の統合ということの大きな一途になるのではないかと思っております。

    それでは1枚めくっていただきまして、26ページ目でございます。これは計量標準の成果でございます。昨今化学物質の規制が大変厳しくなっております。特にローズ規制によって産業に対するさまざまな影響が出始めております。

    ここでご紹介するのは、その中でいわゆる重金属です。有害な重金属をどのように測定するかということで、標準物質を初めてつくって今頒布を開始したというところであります。実は重金属というのはプラスチックの中に主として入るというのが今の製品のありようでございますので、ここではさまざまな実際に使われているプラスチックを模擬した、そういう標準物質をつくって提供を始めたところでございます。

    それでは次の課題でありますが、実は今個別のテーマの18年度の成果をご紹介いたしましたが、研究戦略でもご紹介いたしましたように、大きな階層構造の中でさまざまな研究が展開されております。本日の評価の中でもプロセスの評価ということも書かれていたかと思いますが、ここでは一つ、二つどのようなプロセスで研究が展開されているかということをお示ししたいと思いましてつくった図でございます。

    そこで31ページでございますが、大きく3つぐらいのパターンで今研究が進展しているということでございます。

    まずケース1、これは一つの目標に向かってそれぞれが連携して融合的な力を発揮する。それからケース2、これは一つの目標ではありますが、それぞれ違うアプローチでたどり着こうとするやり方。それからケース3、これは時系列で連携をとったり、とらなかったり、それを繰り返すような研究と分けております。

    まずケース1の典型的な例をお示ししますと、1枚めくっていただきまして34ページ目ですが、その右側に書いております「医療の現場での迅速診断に向けた装置の開発」というものがあります。これは実はデバイス技術とライフサイエンスの技術をまさに同時に連携させながらつくっているという研究の典型でございます。

    それから1枚めくっていただきまして、38ページ目でありますが、これは今度はケース2の場合であります。一つの目標に向かって2つの違うアプローチをとっているというものであります。これは例としましては、今カーボン・ナノチューブ(CNT)を示しておりますが、カーボン・ナノチューブもソリッドステート的なやり方とウェットな、ケミカルなやり方と2つありますということがそこに書かれてあります。

    どちらも非常に今大きな成果が出ておりまして、例えばよく知られておりますのは左側の図であります。最近出てきたのがこの右側の図でありまして、白い粉のようにみえますが、これが有機ナノチューブで、そこに書いてありますように、昨年の7月以降250社を超える企業から現在物質を提供してくださいというオファーが来ているというものでございます。

    それからちょっとめくっていただきまして、44ページでございます。これは今度はケース3の例であります。これは時間の標準の研究開発例でありますが、右側にあります周波数の遠隔校正システム、これが実は時間軸としてはいわゆる短期の研究開発でありまして、それを左側にあります「光格子時計」という長期的なテーマとそれぞれお互いをみながら、あるところで左側に移るというような研究を今展開しているところであります。

    さて以上で研究成果の概要が終わりまして、最後3分程度でアウトカムのご説明をさせていただきたいと思います。

    46ページをご覧いただきたいと思います。最初にアウトカムの定義が書かれております。簡単に紹介しますと、研究成果としてのアウトプット、これは論文とか知財があるわけでありますが、これを生かして最後の文章に書いてありますように、「一定の社会的効用を生み出すもの」あるいは「生み出したもの」と定義をしております。

    産総研では、アウトカムの産総研らしい創出の仕方としてそこの「・」に書いてありますような3つを今分類しております。1つは「製品開発型アウトカム」です。まさにこれはわかりやすいアウトカムであります。2つ目としては「データベース型アウトカム」、これは知識の構造化、集約化によって大きな価値を社会に提供するというものであります。それから3つ目が「コンサルティング・サービス型アウトカム」、これは集約されていないまでも、知識を社会に伝搬するということで効用を生み出すというものであります。

    時間もございませんので、一つ、二つで終わりにいたしますが、まず最初の例は53ページをご覧いただきたいと思います。これは先ほど説明がありましたSiCの件であります。これは左側に時間軸が書かれておりまして、1990年~2007年となっております。

    長い基礎研究の時代がありまして、2005年に先ほど紹介しましたLLPというものをつくったわけであります。これはまさに成果を単に社会にみせるだけではなくて、自ら企業を回って、企業からもお金をいただいて、こういう主体となるベンチャーをつくるというところまでやって、今それで出荷を始めているところであります。

    SiCはご承知かと思いますが、非常に高価な材料でありまして、これ1枚で50万、60万するようなもので、ある意味宝石より高いものであります。これをこれまではアメリカのクリーという会社がほぼ1社独占していたわけでありますが、今回我が国でこのような拠点ができたということで、非常に意味があると思っております。

    あとはもう一点だけ紹介させていただきますが、最後の56ページでございます。これは電波行政に対するサービス提供型のアウトカムと位置づけておりますが、これはNICTとの関係でサービスを提供したというものでありまして、いわゆる放送とか通信、これはNICTが業務としてやっているわけですが、そこで産総研の標準をきっちり提供して、両者連携の上で社会に効用を提供するということでございます。

    それから実はこれはここ1~2年で社会的効用が顕在化してきたものだけを紹介いたしましたが、過去からずっと連続的にアウトカムを発生しているものについては、その後半でずっと羅列しております。時間がございませんので、今日は割愛させていただきます。

    少し時間をオーバーいたしましたが、以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは次が資料2-4ですが、中島理事からお願いいたします。

    中島理事

    それでは「18年度の研究ユニット評価の結果概要」をご説明いたしたいと思います。

    この研究ユニットの評価報告書はお手元にお配りしてあると思います。また大部なものですが、これも概要をかいつまんで説明したいと思います。

    2ページ目に「アウトカムの視点からの評価システムの概要」というタイトルがございますが、我々の評価の進め方、趣旨を簡単に説明しております。まず真ん中のブロックに「ロードマップ評価」、「アウトプット評価」等々とありますが、ロードマップ評価というのは、研究遂行の計画の妥当性をアウトプット実現に至るシナリオも添えてきちっと記述していただいたものを評価するということでございます。

    それからアウトプット評価は、研究開発が直接の成果、つまり論文や特許出願、あるいは規格原案等をそのロードマップと照らして評価するということ。

    それからマネジメント評価は、本格研究やイノベーション実現への取り組みあるいは人材育成等々への関わり合い方を評価するということで、この3つを主な軸としております。

    この研究評価は、隔年に実施しております。したがいまして、約60ある研究ユニットのうちの約30がこの18年度には対象になったわけであります。この実際の評価に当たる者は、外部委員、内部委員の2種類に分かれますが、産総研外からお願いした委員は、各重点課題ごとのロードマップの評価、それからアウトプットの評価を中心にやっていただきます。

    それから産総研の内部の者である内部委員は、マネジメント、それから課題全般に関するロードマップを中心に評価をする。こういう構成でございます。

    その結果は、報告書としてまとめますが、理事長に対してそれを報告し、理事長から各研究ユニットに対して研究資源配分等に反映させるべくフィードバックをかけていただく仕組みでございます。

    それから次のページをご覧いただきますと、中期目標に書かれてあります国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項として7項目がまとめられていますが、それぞれの目標と研究分野との対応関係はご覧のようなことでございまして、例えば「健康長寿を達成し、質の高い生活の実現」は「ライフサイエンス分野」に関わります。

    それから4番目に書いてあります「環境・エネルギー問題を克服した豊かで快適な生活の実現」は「情報通信・エレクトロニクス分野」及び「ナノテクノロジー・材料・製造分野」、「環境・エネルギー分野」、「地質分野」と広く4分野に関係しております。しかし、これらの中では環境・エネルギー分野が最も関わりが深いということを示しております。

    3ページ以降ですが、先ほどの産業技術アーキテクトと重複しないように評価結果をご報告したいと思いますが、この結果は外部委員、内部委員のフィルターを経たより客観的なコメントとして受け取っていただければよろしいかと思います。

    先ほどの7項目別に分類してございますが、4ページの「健康長寿を達成し、質の高い生活の実現」に関しては、先ほどのお話にもありましたような植物工場での有用物質の生産やがん診断マーカーの開発など着実な前進がみられると評価をいただいております。今後は国際的には競合する研究機関や、そこでの競合する技術との比較をしながら、より強みが発揮できるように推進することをコメントいただいております。

    それから完全密閉型植物工場は先ほどのお話のとおりでございますが、このほかに例えば長年謎でありましたDNAの鋳型の情報を使うことなしにRNAを合成する仕組みを、世界に先駆けて解明するといったような成果も得られております。これは第1種基礎研究の成果の一つでございます。

    その下の表に書かれてありますのは、評価委員会を通じてアウトカムにつながると期待されている特徴的な成果を一部例示したものでございますが、この2番目の欄には低浸襲手術を支援する治具の開発等がございます。

    次の5ページをご覧いただきますと、「知的で安全・安心な生活を実現するための高度情報サービスの創出」ということでございます。このために非常に重要な情報サービス、情報技術はソフト、ハード面の両面から高い目標に向けて展開されているといったコメントをいただいております。

    例示としましては、公共空間における人流のデータの収集解析といったようなパターン処理と記号処理等を実生活に結びつけるようなことを着実に進展しているとして指摘していただいております。

    それから次世代の新構造トランジスタ等々がございます。その下の「アウトカムにつながると期待される特徴的な成果」の最初の行にある仮想生物の構築でございますが、これはちょうどレゴのような、構成型の機構をコンピュータの中で実現し、レゴのように静的なものではなくてダイナミックな動きを行わせるものです。これは東京藝術大出身の研究者がつくったものでございますが、科学教育への期待として最近大変評判になっています。

    それでは次の6ページ目でございますが、「産業競争力向上と環境負荷低減を実現するための材料・部材・製造プロセス技術の創出」に関するところでは、個々の成果が順調に進展しているといったご指摘をいただき、またアウトカムに向けた「ミニマル・マニファクチャリング」の取り組みは、最初に理事長がお話しした循環の話に関係します。また持続的社会の実現に資するこの概念でございますが、これをより具体化する研究も着々と進みつつあります。

    それからこれは先ほどお話もあったかと思いますが、カーボン・ナノチューブ、キャパシター、そのほかに例えば「アウトカムにつながると期待される特徴的な成果」の表の第1行目に概要項で「エアロゾルデポジション法を利用するMEMS製造技術」等々とございますが、「エアロゾルデポジション法」は大変利用範囲が広い技術に成熟いたしまして、この発明者は最近21世紀発明賞、それから市村賞を受賞しています。

    それから次の7ページをご覧いただきますと、「環境・エネルギー問題を克服した豊かで快適な生活の実現」がありますが、これは例えばマイクロガスタービンと過冷却蓄熱を組み合わせた省エネシステム、木質系バイオマスの経済性評価ソフトの開発等であり、これらが順調に展開しているというコメントをいただいております。

    それからその下にありますように、ナノ粒子のリスク評価手法開発や臭素系難燃剤を検出するGe-ナノドット素子開発等、これらの独創性も高く評価されております。

    それから太陽電池に関しましては、薄膜シリコンや非シリコンを使った電池の効率向上やエネルギー関係として水素貯蔵用金属容器の疲労メカニズムの解明等々、こういった要素技術が高く評価されております。

    それからこの表の下にLCAに関することが記載されておりますが、この環境影響評価手法の開発としてこの立案が高く評価されているところでございます。

    それから8ページでございますが、「高度産業基盤を構築する横断技術としての計測評価技術の創出」といたしましては、関連した技術が着実に積み上げられているといった評価をいただいておりまして、具体的には薄膜分析のための金属クラスターイオン源技術、極微空孔計測技術ための低速陽電子技術等々がございます。それからもう少し製造により近いところでは鋼構造物などの損傷・劣化診断技術等々がございますし、振動センサー等もございます。

    それからこの下には「アウトカムにつながると期待される特徴的な成果」として挙げておりますが、ご覧のような活性種計測制御技術、それから高温圧力・振動計測技術等が高い評価をいただいております。

    次は9ページでございますが、「地球の理解に基づいた知的基盤整備」に関しては、固体から流体を含む幅広い研究領域を対象とできるような数値シミュレーションの技術が産総研の中で強化されまして、研究の展開が非常に期待されています。

    それから地質情報と情報技術を連携させ、融合させた一つの取り組みとしてGEO-Gridが大変期待が高い存在になっております。

    それから地圏資源に関しましては、先端産業向けに大変重要である重希土類元素鉱物の世界ポテンシャル評価が進展したことが評価されております。

    それから活断層の調査研究は、過去の海溝型大地震の履歴解明の進捗、それから地震・津波防災への活用が期待されているところでございます。

    それから「アウトカムにつながると期待される特徴的な成果」としては関東平野地質データベースの整備や地圏環境リスクを評価するソフトとして、我が国初のGERASが完成し試用されているところでございます。

    10ページでございますが、「知的基盤整備への対応(計量の標準)」に関しましては、18年度には物理標準が20種、それから標準物質17種を整備いたしました。

    それからナノテクノロジーなどの先端技術や現実的な円滑な通商を支えるための電気分野、石油流量などのエネルギー関連分野、放射線など、こういった計量標準整備が前から行われているところでございますが、今年度も着実に進展しています。

    そのほか先ほどもお話がございましたが、光格子時計等々非常に最先端な技術を標準に結びつけるような技術も進展しています。

    最後の11ページは今後の評価に向けてということで、現在の取り組みの反省を込めて今後に向けてこのようにしたいとまとめているところでございます。現状ではまだまだ改善すべき点もございますが、アウトカムの視点からの評価、要するに先ほどの3つの軸に基づく評価ですけれども、総じてこれが制度として定着し、浸透していると考えております。

    しかし、より骨太いアウトカムを実現するために第1種の基礎研究も十分重視する必要があります。このアウトカムの視点からの評価はもともとそういう趣旨でございますが、この趣旨の理解の深化と増進も今後の重要な課題と考えております。

    大分駆け足でございましたが、以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは次は資料2-5です。吉海理事、お願いいたします。

    吉海理事

    これは研究開発型独法の機関評価のあり方ということで、これは内部での検討状況のご紹介になりますが、なぜ今日これをここに示すのかという背景を一言申し上げます。

    お手元のこの資料つづりの参考資料2-5というのがあります。これは吉川理事長が甘利大臣に研究を実践する独法としての立場から提言申し上げた内容であります。

    この中に研究機関の評価を資源配分にもう少しうまく反映していただけないかということを表現してあります。これを申し上げたときに甘利大臣から「それはそのとおりだろう。しかし、評価するには非常に難しい。どうやって評価すればいいのですか」といわれたわけでございます。そういう背景が一つございました。

    それからもう一つは、総合科学技術会議の場で研究機関評価のあり方ということが大変熱心に議論されておりまして、先だって私どももヒアリングを受けました。そういう流れの中で現実に毎年1,000億を使う研究独法というような責任ある立場から、その評価についての自分たちなりの考え方を一回整理しようという趣旨で、今日このペーパーを用意申し上げました。

    最初の2ページ目ですが、「現状の目標管理型評価の限界」というやや強い表現でございますけれども、現状は明確にこれは通則法に基づいて経済産業大臣のお示しになる中期目標を実践として、我々が回答する中期計画、その大臣と理事との契約に基づいてこのお手元の資料分厚いA3の実績本表と別表という大変な大作、先ほどの質問にもございましたが、これがその目標管理型を反映したものであります。これは当然必要であります。

    その上でそれぞれの固有のミッションをもった研究機関がどのようにその固有性を評価できるかという視点から今内部で議論を始めたというご紹介でございます。

    それから3ページをご覧いただきたいと思いますが、ここに「研究開発型独法に共通の視点」と書いてあります。これは通則法に規定されております評価の視点で、(1)~(4)とありまして、これが先ほどのA3の18年度実績に表記されているわけでございます。これは目標管理型として各項共通の表現事項でありますが、さらに具体的な数値化という指示がございますので、その下にございますようなアウトプットに関する数値目標、論文、特許その他、これも大方は研究独法に共通します。しかし、この中の地質図とか、標準というのは産総研固有の数値目標ということになっております。

    そういう状況を受けて、4ページに「固有の視点」と書いてありますが、ここは赤字で書いてありますように「産総研の特徴と固有のミッションを反映したもの」としてどのような評価があり得るのか。大きくいえば、新しい産業の創造とか、産業構造の変革という大きな我々のミッションがあるわけでございますので、それに照らし合わせての評価というものはどうするのか。

    あるいは地域的に北海道から九州まで展開をもって内容的に非常に多様な構成をもつ研究機関としての評価事項は何か。ミッションに照らしたこの最後の(1)~(4)、それぞれの項目に対応して評価として一体どうとらえればいいのかといった問題でございます。

    5ページは、ミッションの基本構造を私どもが現時点で一つの整理としてみたどうかという表現であります。「政策目的の遂行」として、まず出してみる。これは本省からもさまざまな政策要請に応えるというのが基本でありますし、またそういうものを踏まえて産総研自らがリスクやコストをとりながら、それを先導する、あるいはデザインしていくというものがあるかと思います。

    それから「自らの進化・向上」ということで、これは理事長が提示しました理念をベースに自らが内部構造をどのように適正化できるか、最適化できるかという意味での進化・向上。

    それから「業務の効率化」。これは極めて経済的にも財務的な視点が中心になりますが、これはもうマストでございます。これではないかということでございますから、それをどのように表現するかということであります。

    7ページに「ミッション遂行に当たって重点対象とすべき固有の事項(政策目的の遂行)」ということで、政策目的の場合は何かという事例を8ページに書いてございます。これは事例でございます。イノベーションハブ機能の強化等々がここに書いてあることがこの政策目的としてのまず柱になる。

    そして9ページにそれをもう少しブレークダウンすれば、こういう内容構成になっていくのではないかといった表現であります。

    10ページはそれをまたさらに事例モデルとしてナノカーボンとか、あるいは11ページの植物工場とか、こういうものを表現していくことになるのではないかということです。

    12ページからは2つ目の柱として「自らの進化・向上」というものをどのように表現していくかということで、例えば組織政策という視点からユニットの改廃というものをどのように評価できるか。あるいは資源の配分です。特にここでは「予算」という視点が中心になりますが、我々は多様な領域をもって大きく6領域として分けておりますけれども、「ポートフォリオ」という観点からみたときに今の配分構造は何なのかといったような問題点。

    それから15ページに「効率的なミッション遂行」ということで幾つか書いてあります。現状、この16ページにありますような生産性向上と業務の構造改革という設計上の取り組み、それから17ページにありますように、これは職員個々人の意識啓発をねらった「業務品質向上月間」といった、こういう運動を通じた業務の効率化の推進のあり方。いろいろな工夫があり得ると思います。

    こういうものをどのように構成するのかということで、そういう柱をもとに18ページ、19ページで課題として、この19ページが最後のまとめでございますが、現時点でのディスカッションの内容が書いてあります。例えばイノベーション推進の過程において達成されるミッションや研究成果の顕在化する、その途中段階のプロセスをどのような視点で評価できるかという大きな課題があるかと思います。

    結果は、いずれにしてもこういうものが出ましたというようなものはありますけれども、途中どのように評価できるか、あるいはその評価対象としてどのようにみるか。それから2つ目の「●」の投資効果をどのように判断すればいいか。「投資効果」というものも産業とか地域振興、あるいは社会の基盤構造、社会構造変革、先ほどのポスドクを産業化に付加価値をつけてバトンタッチするとか、そういうものの投資効果というものをどのように判断していけばいいのか。

    こういうところを我々なりに考え方を整理してみました。「産総研」という産業政策をベースにした固有の研究機関評価にちょっと提言を含みたいといった趣旨でございます。以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは最後になりますが、資料2-6について一村理事からお願いいたします。

    一村理事

    それでは資料2-6に基づきまして、産総研の知財施策をご説明いたします。

    この項目を取り上げましたのは、4月26日に評価委員の先生方につくばをご視察いただいたときに、松重委員から「産総研の知財の考え方はどうなっているのか」というご指摘をいただきました。それに基づいて準備した項目でございます。

    現在は総合科学技術会議において知的財産戦略についての議論の取りまとめが行われておりまして、その中にも知財施策の項目が幾つか出てまいります。その項目のほとんどは私ども産総研としては既に実施しているということもございまして、そういう意味ではここでは「知財施策」と書きましたが、「知財戦略」といってもいいものだと思っております。

    具体的に申し上げますと、例えば1ページ目になりますが、平成13年度独法化に際しては「機関帰属」というキーワードを掲げました。これは他の独法・大学の先駆けとなる原則を提示したと考えております。

    それに伴いまして「パテントポリシー」というものを明示いたしまして、イノベーション創出における知財の創出・保護・活用からなる知的創造サイクルに向けては、まずその「創出」のところが重要である。そのためにしっかりとパテント出願を研究者マインドとして埋め込もうということに努めてまいりました。

    それと同時に平成13年度の最後の項目でございますが、産総研は不実施機関でありますので、自らの知財の事業化をすることができません。したがいまして、実施者から実施料を徴収する原則を明示いたしました。

    第1期はほとんど特許の質よりも量を重視いたしましたが、それに伴いまして効果が出てまいりましたので、平成16年度からは第2期をにらみまして、特許の質を重視する方針に転換しております。

    その特許の質を重視するに際しましても、個別の特許の重視策から特許を群として効果を高める策ということで、16年度の最後に書いてありますように、IPインテグレーションなどの特許強化策というものを強化してまいりました。

    この「IPインテグレーション」というものは、具体的には後ろに遡って恐縮でございますが、7ページでございます。大型の技術移転を目指す上ではどうしても最終的な製品イメージをしっかり確立した上で、その周辺に関係する知財を高めないといけないということで、一番下の例示にございますように、材料系の視点、機械系の視点、あるいはエネルギー系の視点というものを項目として足し合わせまして、特許群として特許の価値を高めるというのが「IPインテグレーション」でございます。

    もう一度1ページに戻っていただきまして、平成18年度にまいりますと、だんだん特許の費用対効果という視点も必要になってくるということで、18年度からは国内出願の費用の有料化等に対応いたしまして、審査委員会を設置し、特許出願の選別を開始いたしました。

    具体的に申し上げますと「特許」というのは出願の段階、審査請求の段階、それから拒絶理由等に対応する段階、そして最後の権利維持の段階といろいろな段階がございます。その各段階において現時点でもっている特許を今後維持すべきかどうか。特に18年度からは審査請求の段階のフィルタリングを高めるということをすすめております。

    次に2ページ目でございます。これまでの施策効果でございますが、その上にございますように、まず知財マインドをしっかりと植えつけることによりまして、特許出願件数は、平成13年度は1,100件程度であったものが平成15年度は1,600件程度に伸びました。

    それを踏まえて今度は特許の質を高めるアクションをとりまして、平成16年度以降、現時点で1,200件程度に落ちついております。ただし、出願件数は減っておりますが、実施件数は順調な伸びを示しております。そして先ほど申し上げましたように、3年間で13件のIPインテグレーションというものを実施し、特許の質をさらに高めるアクションを起こしております。

    その下に「今後の施策」と書いてございますが、まず研究者に醸成された特許マインドは引き続き維持しなければいけないと考えております。一方で独法としての費用対効果の観点を知財にも入れるために、発生する知財について技術移転の可能性をすぐにチェックする。それによって必要な棚卸、保有知財の棚卸をしっかり進めていくといった方針でございます。

    現時点では産総研内部だけで一種の知財群としての特許の価値を高める方策をとっておりますが、今度外部機関とも連携しながら拡大したIPインテグレーションという方針にも踏み込みたいと考えております。

    それから最後の項目、これが最近内外からいろいろと要請がございますが、共有特許の実施における実施料の徴収。特に非独占型の不実施補償という観点で今いろいろな問題が生じ始めております。それは共同研究の実施に際していろいろな意味での研究協力の障害になり始めているといった指摘もありますので、現時点ではイノベーション推進の観点からそれを少し見直して、実施者に対して柔軟な対応をとるような知財方針で進めたいと思っております。

    あとは後ろに参考資料等をつけておりますが、参考資料の一番後ろ、10ページでございますが、そういう方式に基づいた技術移転の収入という観点でいきますと、この数年大体4.5億ぐらいの収入実績がございます。以上です。

    木村部会長

    ありがとうございました。以上、資料2-1~2-6までについてご説明いただきましたが、少し時間をとってありますので、質問等いただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

    黒木委員

    今の知財の件に関してですが、いろいろなところと連携していくということですが、最初にありましたいろいろなアーキテクトを組んでいく、スーパーハイウェイ化していくといった産学連携や学の中でも連携していく過程で知財をきちんと確保していくという観点と、もう一つは技術の流出防止という観点。連携していけばいくほどそれは拡散するわけでありまして、技術拡散に対しての対応は何かお考えがありますでしょうか。

    一村理事

    それでは私がお答えいたします。具体的なご指摘は現時点でいろいろな競争力のある、例えばカーボン・ナノチューブなどに関して要望がまいっております。具体的な要望内容としましては、そういう特許化することによって、ある意味アジアの他の国に対して技術を開示することにもつながりかねないと。そういう意味で「国益」という観点からはもう少し考えるべきだというご意見でございます。

    産総研の中でそれに対応するアクションといたしまして、従来は「特許」というキーワードが重視されておりましたが、もう一つ「ノウハウ」というキーワードがございます。権利関係を明確にする上で産総研の中にノウハウ化した上で、その「ノウハウ」という形で関係する国内産業界には技術を開示する。一方で対外的には肝心なところを秘匿することによって日本の産業の競争力を高めたいといったアクションを考えております。

    木村部会長

    よろしゅうございますか。谷川委員、どうぞ。

    谷川委員

    二点ご質問させていただきたいと思います。まず一点は組織の問題です。たしか組織の変更ということで、研究部門の支援でしたでしょうか。進化を続ける組織ということで、研究業務推進部門の新規設置というお話がございました。どういう内容かをちょっと教えていただきたいということが一点です。といいますのは、間接部門と直接部門(現業部門)という分け方の中で、産学連携推進部門というのが研究関連部門(直接部門)となっておりましたが、この新しく設置された部門は間接部門となっておりました。似たような組織なのにどういう違いがあるのかがイメージできませんでしたので、それを教えていただきたいと思います。

    それからもう一点は、地方のセンターです。これは産総研さんの基本的なミッションにもかかわることかもしれません。先ほど地域における産総研の活動というのをご紹介いただきましたけれども、比較的大規模なプロジェクトを行うと言うことでした。例えば私ども九州大学とご一緒にやっていただいております水素関係のプロジェクトとか、そういったものが多いわけです。

    しかしながら我々国立大学は、「産学連携」ということに関して、もちろん産業界との連携もありますけれども、最近は地域との連携ということを大変強く意識しています。この産総研さんの提言の中では基礎に一番近いというように定義されている大学ですら、地域の中堅・中小企業も含めたニーズに対して対応するといった業務活動をしているわけです。

    そこで一つの考え方としまして、産総研さんの地方センターの活動が、その地域の中堅・中小企業に対する技術の相談、技術の向上化に対する対応、という業務もあっていいのではないかと思いました。その辺についての考え方を教えていただければと思います。

    木村部会長

    どなたが。それでは小林理事。

    小林理事

    それでは第一点のご質問につきまして私の方から。昨年5月にこのご指摘のありました研究業務の推進部門というものをつくりました。これには前身がございまして、この部門はもともと各事業所ごとに研究所がたくさん分かれております。そこの「業務室」というものを設置しておりまして、いろいろな庁舎の管理から始まって安全とか、そういった実務をやっております。それが基礎になっている部門でございました。

    それからもう一つは、「研究ユニット」というものが五十幾つかございますが、それとの関連では研究ユニットの中に1名または2名ずつ事務職員を配置しておりまして、例えばいろいろな契約の処理とか、人事関係の処理といったことをやっておりました。

    ご指摘の中身ですが、資料2-7になります。説明はちょっと省略させていただいたのですが、その中の 171ページに書かれております。それまで今申し上げた研究ユニットにユニットスタッフが1名または2名ほど個別に配置されておりました。ただこれは第1期中やっていきまして、やはり業務の連携がなかなか難しいということなどいろいろなことがございました。

    それからそういう研究者の中に事務系職員をポツンと配置するといった人事管理上の問題もございます。その下の図の真ん中の丸の「総括事務マネージャー」と書いてございますが、研究ユニットをグループにまとめまして、グループごとにそのユニットスタッフの上に立つマネージャーを間におきまして、そのグループごとの管理、それからいろいろな問題点の吸い上げをスムーズにできるような組織にいたしました。

    それを例えば財務の問題でしたら、それがスムーズに財務部門につながる。そしてすぐに返事が返っていくというような新しい研究支援サービスの形をつくりまして、それに伴って旧来の「研究業務推進部門」を新しく改組して現在の形にいたしたということでございます。

    木村部会長

    それでは吉海理事。

    吉海理事

    もう一つの地域の関係でございますが、2つの側面でお答えしたいと思います。まず1つは、マクロな統計からみた場合どうなっているかといった点ですが、企業との共同研究が大体年間1,000件ありまして、中小企業がその4割になっております。これは全国展開をしております。

    それからもう一つ、知財の実施契約ですが、今年間に六百数十件ありまして、これは逆に中小企業の方が多いわけです。中小企業が6~7割という実績になっております。

    それから各地方を含めて産総研が受ける技術相談というものが年間5,000件程度ありまして、その約4割が中小企業という実態になります。

    それからもう一つ、制度的なマクロの数字で行きますと「地域コンソーシアム」という、経済産業省の地域経済局が主催しているものがありまして、年間200件ほど採択されておりますが、これの15%に産総研がリーダーないしはサブリーダーとして入っております。この制度は主として地域の中小企業との組み合わせですから、実態としてはそういうことになっているということでございます。

    それからもう一つ、組織構造的に申し上げますと、これは全地域センターに産学官コーディネーターが、所長がまず筆頭になって配置されております。彼らが諸般のいろいろな活動をやっているというのが一つ。それからもう一つは各自治体に公設試がございます。この公設試を全国すべて組織化した「産業技術連絡会議」というものがありまして、産総研はある種名誉会長的なポジションで全体組織をケアしているわけであります。

    例えば九州の例で申し上げますと、産総研が一つの仲介役になりまして、7県の公設試がそれぞれの持ち味を九州管内で活かし合おうといった動きになっているわけです。例えば福岡県は機械工業、電子に強い。ほかの県でしたら木工に強いとかいろいろあるわけです。

    そういうものをその地域の企業にニーズに合わせて一番強いところと組み合わせた、そういった最適化を図ろうという動きになっておりまして、その過程で産総研がなにがしかの役割を担っている。あるいはその公設試の方々を研修生として産総研の九州センターが受け入れて、今育成をやっております。

    木村部会長

    よろしゅうございますでしょうか。

    谷川委員

    はい。

    木村部会長

    それではほかにございますか。どうぞ、室伏委員。

    室伏委員

    人材育成についてお伺いします。ポスドクを積極的に受け入れて、約 500名を雇用していらっしゃいます。そして産総研でいろいろな研究活動を通じて育成して、産業界や大学等に輩出していらっしゃるというお話でしたが、ここで育成した人材は産業界や大学等ではどの様なポストを得て出て行いっているのでしょうか。まずその点について伺いたいと思います。

    吉海理事

    ここの30ページの図は実は初めて行った調査でございまして、我々も初めてこの実態がわかったというレベルでございます。したがいまして、ここで産業界に「67名」とありますが、その内容がどうかというところまではまだ十分整理はできておりません。ただ数件の事例的には私どもも承知しておりまして、現場を伺ったときには、研究室あるいはその事業部に近いレベルのところでかなり研究の有力な一員ということで企業の方々は活用しているというお話を聞きました。

    室伏委員

    いわゆる使い捨ての人材にならないような形で、企業や大学などに出していただきたいという強い思いがございます。ですからその辺りをぜひ追跡調査していただきたいと思います。

    次に、産業界において「イノベーションに大きく貢献できる研究人材の育成を目指した研修等を実施」ということですが、これは産総研で行っていらっしゃるとても特徴的な意義のある試みだと思っております。基礎コースに参加者52名、応用コースに40名とありますが、ちょっと少ないのではないかという気がしたのですが。

    それから研修を終えた参加者から、こういった育成事業についてどのような感想をもったかというところまで追跡調査をしていらっしゃいますでしょうか。

    吉海理事

    まず後者の方はやっております。参加した者すべてにアンケートを行いまして、講義内容でよかった点、悪かった点、それからこれを通じて自分なりに何かためになったかということをすべてとっておりまして、それが次のプログラムに反映できるという仕組みであります。

    それから人数は最近の「11回」というこの18年度相当数繰り返しやってきているわけですが、人数をふやすというのは、なかなかその人の研究の進捗状況といいましょうか。そこでの難しさがございまして、できるだけ時間をかけながら一巡していくようなことになるのかという、それが実感でございます。

    それからもう一つは、仮にこういう研修に参加するという場合にそれの評価、参加した人の個人評価といったものにもう少し連動させるような、目にみえるようなやり方も考慮した方がいいのかという感じはしております。

    室伏委員

    研究者が自分の研究に没頭する時間を割かれるということで、ほかのことをするのを嫌がる面があるかとは思います。しかし、研究者のもつ社会的責任とか、社会的要請を考えますと、こういったイノベーションに貢献できるような人材となることも重要なことですし、自分の時間を割いて社会貢献活動ができるということも必要だと思いますので、そういった活動に参加することによって、若い研究者の価値が上がるといったような計らいも必要なのだろうと考えています。そういったことにも目を配っていっていただきたいと思います。

    吉海理事

    はい。1年以上時間をかけまして、キャリアパスの産総研設計は何なのかということをずっと議論してまいりまして、最近やっと一つの整理ができたわけです。そうしますと、研究者として採用されて、仮に定年までいたということになりますと、三十数年という研究人生を産総研で送るわけです。

    そうするとその人の三十数年の研究人生というものを一体どういう価値づけとしてみていけばいいのか。その間に成長のパスというのは、ある一定の固定された研究ということになるのか。それも例えば企画本部とか、場合によっては企業とか、大学とか、そこにはいろいろなパスというものがあり得るのではないかといった多様性を価値づけていくという、例の産総研の「キャリアパス設計」を今やっと整えたわけでありまして、そういう中に「産業」というパスをどのように認識させるかというときに、この「研修コース」というのはかなり連動性をもった、そういう価値として理解ができるということになるのではないかと思っております。ご指摘のところはやっております。

    木村部会長

    ありがとうございました。

    室伏委員

    もう一つ、よろしいですか。

    木村部会長

    どうぞ。

    室伏委員

    済みません。アウトカムの評価は非常に重要だと思いますので、注意深く伺いました。研究型の独法の場合、アウトプットまでの評価は難しくないと思うのですが、アウトカムまでを評価するということに関して、どのような点に工夫なさっているのでしょうか。アウトカムを評価されるまでには、かなり時間がかかると思いますので、そういった点をどのようにお考えなのか伺いたいと思います。

    木村部会長

    どなたにお答えいただけますでしょうか。

    伊藤理事

    例えばアウトカムの評価をどのようにされるかという評価のポイントを。

    室伏委員

    評価を行えるようになるまでにかなり時間がかかりますから、それをどのように追跡し、どの時点で評価なさっているかということでございます。

    中島理事

    アウトプットは産総研が直接出せる成果ですが、アウトカムはそういう面もありますけれども、必ずしも産総研だけでやっているというわけではなくて、企業との共同研究を経て実現されるという面がございます。

    そういうことで必ずしも短時間でアウトカムがみえるとは限らない。そこで先ほどのロードマップ、つまりアウトカム実現に向けてのシナリオをきちんと認識して現在の研究がどういうポジションにあるかを示してもらう。このような取り組みを通じてアウトカムまで広がる評価を実現しつつあるということです。

    さらにはもう少しアウトカムを手前に考えて、例えば研究開発の社会、経済の価値を創出する効果といった観点から、例えば学会にどういう影響を与えたか、あるいはどういう研究開発プログラムが立ち上がっているかとか、そのような見方もしようとしています。よろしいでしょうか。

    室伏委員

    ありがとうございました。

    木村部会長

    ほかにございますか。どうぞ、黒木委員。

    黒木委員

    今のご質問と関連するのですが、いろいろな評価の仕方というのがあるかと思うのですけれども、研究効率を最大化していく、アウトプットを最大にしていくというプロセスの評価というのはここの中でトライされていると思うわけです。そのプロセスの中で動いているその研究者の意欲をわかせるインセンティブ的な評価というと、やはり最終的に何らかのアウトカムを予想するか、アウトプットをある程度自分なりに予想していくことが必要です。

    アウトプットを研究活動にフィードバックしていくというような回路は非常に難しいとは思うのですが、ある予想を立てながら回していくような、何かそのようなものをお考えなのかどうか。それは最終的に研究者個人個人の意欲にどのように結びつけていくか、その辺のところで何かございましたら、お教えいただきたいと思います。

    吉海理事

    研究者自らが答えた方がいいのではないかと思いますが、制度上は研究の課題設定をどのようにするかといったとらえ方と、それから今おっしゃったように組織内における活動のパフォーマンスといいましょうか、そういう意味での動機づけをどのようにするのかといった両面で多分構成されます。

    最初の課題設定のところは、これは先ほど研究戦略のところでご紹介しましたように、全ユニットが参加して自分のユニットが行う研究というのは、産総研のミッションに照らして何なのかといった大変な論争過程があるわけです。それがそのユニット内に戻って、今度はユニットの中のグループ単位としての議論という、ある種フラクタルな構造で動いていくわけです。そういうプロセスの中で自分の研究の動機づけというものを上司も理解し、本人が確認していくという、多分そういうプロセスというのがまず一つあるのだろうと思います。

    それは「重点課題」という中でのメカニズムですが、もう一つ、私どもが課題設定で工夫しておりますのは、重点課題に属しない「自由課題」というものを用意しておりまして、これが予算的にいいますと全体の2~3割です。これは本当に研究者の「自由発意としてやれ」と、ただし、ユニット長が「オーケー」といえばそういうことになるわけです。多分そういうプロセスにおいて、またその自由課題は何かといったやりとりが当事者間であるのだろうと思うわけです。そういうのが一つ。

    もう一つは懸賞制度とか、あるいは付加的な予算の配分であるとか、さまざまなインセンティブ構造というものをつくっておりますので、それも通り一遍のこの共同研究件数というだけではなくて、いろいろな尺度からの懸賞とか、インセンティブ構造をもっていますので、その両面で成り立っているのではないかという気がいたします。

    伊藤理事

    ただいまの対策にちょっと補足させていただきます。やはり予算のPDCAサイクルという視点でいいますと、実効的な研究に充当する予算として「重点課題」という予算があります。これについては、まさに先ほど評価の説明がありましたが、あそこに書かれているコメントとか、評点といったものが査定のための資料としてすべて使われるようになっております。

    それから分野ごとの大きな予算の戦略的なメリハリという資料もどこかにあったかと思いますが、あそこも分野ごとの各年度の、この部会でやっていただく評価も含めて反映されるということになっております。

    木村部会長

    どうぞ、黒木委員。

    黒木委員

    アウトプットをしたものとの間でリンケージは直接はもてない、もちづらいと思うのですが、アウトプットに応じていろいろな予算をどう配分するかという仕事に対するウエイト感というのはあるのですが、その成果に対してのリンケージで何かインセンティブをとっていくことはあるのですか。

    例えばわかりやすくいえば、ボーナスでも何でもいいのですが、そういうものに回していくというものはあるのですか。そこはないのですか。

    吉海理事

    今「個人評価」という制度がありまして、これは毎年一般職員の場合にはボーナスの1.4ヵ月分というものを原資にしまして、「できが悪い」と評価をされた場合にはその半分しかもらえない。「非常によくやった」という評価をされた場合にはその倍はもらえるという制度で運営しております。管理職の場合、それが1.8ヵ月分にふえるわけですが。

    そのボーナスの毎年の個人評価査定の過程でおっしゃったように、年度当初に研究者が上司と「自分はこの1年こういうことをやりますよ」といったある種の契約をするわけです。それは両者がアグリーするわけです。アグリーしたことについての基本的には達成度がベースで、あともう一つはそのプロセスの努力とか、工夫とか、いろいろなことをその上司が加味して、「あなたはこれぐらいですね」といった査定をしているのが現状です。

    実際には例えば2倍もらえる人というのは、全体の額の制約があるものですから極めて限られることではありますが、制度的にはそこは今ある程度定着してきているということで、アンケートの結果でも現状の個人評価には「そこそこ満足しています」という人が過半数あります。

    木村部会長

    どうぞ、谷川委員。

    谷川委員

    また二点ほどご質問させていただきたいと思います。まず一点は、いわゆるアウトカムにかかわる話です。産総研さんのパフォーマンスの一つのメジャーとして、技術移転収入があると思います。もちろん共同研究の数とか、技術移転件数がどれくらいかというのもあると思いますが、いみじくも「質」ということをおっしゃったわけですから、当然のことながら「金額」ということが一つのメジャーだと思うわけです。

    たしか産総研さんの年間の技術移転収入というのは数億だったかと思います。先ほど年間1,000億円ぐらいの研究費であるとおっしゃいましたから、費用対効果という意味で技術移転収入は大体どれくらいであればいいのか。また自らのご判断で目標設定をされていらっしゃるのかということをお伺いしたいのですが。

    大学の場合ですと「教育」というものをやっていますので、多少なりとも逃げ道があるのですが、研究専業機関だとすれば、「共同研究」ということもさることながら、実際にやった研究がどの程度社会的価値を生んだかというのが大変大きなポイントです。従って他にも尺度はあると思いますが、技術移転というところではターゲットをどれくらいのところに置くのかお聞きしたいというのが一点でございます。

    もう一点ですが、産総研ではいろいろな大学や研究機関と連携、また国際連携をされていらっしゃいます。これの目的というのをもう少し明確に教えていただきたいと思います。

    大学の場合ですと学術提携というのはたくさんやっておりますが、これは基礎研究をやっている仲間同士、自分たちの研究レベルをもっと上げたいために自ら足らざるところを補うべく、しかるべき研究機関を選んで連携して研究する、そしてグラントをとってくるというスタンスがあるわけです。

    社会的かつ現実的な価値を実現するということに重きを置く産総研さんが、大学といったような基礎研究をするところと連携する、また国際間でもどこかの研究機関と連携する、ということの意味を、産総研さんのミッションに照らしてもう少し具体的に教えていただければと思います。

    木村部会長

    それではお願いいたします。

    吉海理事

    それでは最初の知財収入にターゲット的な考え方ですが、まず現実論を申し上げますと、これはご承知のように、企業はいわゆる不実施補償的な現行の我々が対価料を請求することには大変な反対を唱えておられるわけです。

    ですから我々としてはやはり共同研究を優先させたい。したがって、対価としての知財収入については、これは弾力的な考え方にならざるを得ないのかというのが私個人の実感でございます。現実に企業は今資金を提供するという共同研究に重きを移してきていますので、それを大型化してきているわけです。年間1,000万クラスというのがふえてきているわけです。

    そうしますとそういうものはやはりある種の外部としての原資ということで、知財だけにとどまらず、そういうものを総体としてみていった方がいいのではないかというのが今の判断であります。

    そういうことからすれば、外部資金として企業からいただいているのが32~33億というレベル。研究費は1,000億のちょうど半分の 500億ですから、 500億の10%まではそういう資金がやはり行くべきではないかというのが、私個人のターゲットでございますが、知財だけで限定して申し上げますと、工技院時代の知財収入の最高額が5億円でした。

    それからいわゆる基礎シフトの時代にどんどん下がりまして、産総研が発足したときはわずか4,000万になっていたわけです。6年間でそれを今4億6,000万ですから、10倍までふやして、やっと工技院のピークのところまで回復したというのが現状です。それをどこまで伸ばすかというのは、もちろんひとえにホームランが出るかどうかにかかってくるわけで、それではそのホームラン特許というのは何なのだと。それは結果として出ることなのか、それとも研究段階から何らかの先ほどのような研究戦略、あるいはアーキテクトのいろいろな設計上の優れた何かがあって、基本特許として非常にバリューの高いものが生まれれば多分一発で2けたは稼げると思うわけです。

    ですからそういうものも我々としては当然期待はしなければいけないということですが、ちょっとそこは額的なターゲットにはなりにくいなというのが実感であります。

    それから後者ですが、大学との連携はお立場からみておっしゃるように、ある程度理解を得やすい、お互いにそういう立場として。産総研は冒頭の理事長の全体構造の説明の中で表現したように、大学という本当に基礎研究重点型と産業という、そこのある種の「ブリッジ」といいましょうか。そういう第2種基礎研究をベースにした本格研究という産総研だからこそできるというものがあるわけです。

    しかも私どもの場合にはチーム研究です。プロジェクト的なチーム研究を「ユニット」という単位でやっています。それは大学には絶対できない、「絶対」といっては失礼かもしれませんが、非常にできにくい構造なわけです。だからこそ我々と組むというところに多分意味が出てくるのだろうと思います。

    それから国際の場合には、これはNetwork of Excellenceの一つの形態としての国際展開というのが当然出てまいりまして、これはその相互のベネフィットという中で人の移動を伴うとか、それからその研究内容の活性化。例えばインドのある研究機関とやっている場合には、かなり彼らの蓄積が我々にとっても魅力的なところがあると思います。それからフランスのCNRSとロボットでやっておりますが、そうするとフランス側の数学的な彼らがもっている蓄積力と我々のもっている工学的な蓄積力というものをまずバインディングしていくとか、それはやはり相互のベネフィットという構造ではないかと思います。

    木村部会長

    どうぞ、赤池委員。

    赤池委員

    今のこととも関連するのですが、Network of Excellenceのためには他の国研とか、研究、独法間の連携がすごく重要だと思うのです。これはそのGEO-Gridと医療機器総合機構の例があるのですが、これ以外に研究連携している取り組みとかがあるのですか。現時点ではこのレベルなのですか。

    吉海理事

    多分独法との共同研究という件数だけでも 100件以上あります。ただし、これはもう従前からやっているある要素研究のインターフェースとしてやっているのがありまして、今回のGEO-Gridのように組織立ったある種のネットワークとして運営しているというのは、数はまだ非常に限られています。

    しかし、例えばナノテクノロジーとかさまざまな要素が絡んでくるというのが見え始めたわけです。あるいはバイオマスもそうです。バイオマスは農水省でも大変力を入れておりますので、関係省庁が集まって協議会をつくって、そこに独法が入って、現に運営が既に始まっております。当然そういう事例がこれからふえるだろうと思います。

    産総研は自らが多様性をもっているという立場であるがゆえに、ある意味で皆さん、呼びかけがしやすいというメリットがありまして、吉川理事長が総合科学技術会議と他の独法の方に呼びかけていますのは、独法間の経営者会議というものをもってはどうでしょうと。その経営者会議の中でお互いの課題の連携性とか、法人としての組織運営の課題のある種の認識の共有性といったいろいろなベネフィットがあるのではないのでしょうかと。今それをちょうど始めたばかりでございます。

    木村部会長

    それでは最後に室伏委員。

    室伏委員

    先ほど谷川委員がおっしゃったことで、私の考えをお話しさせていただきたいと思います。

    産総研というところは、いわゆるお金を稼ぐ組織ではないと、私は思います。大学などの基礎研究を担うところが理想や夢をもって行なっている研究を、「魔の谷」とか「悪夢」といわれる第2種基礎研究を産総研が担った上で、産業界などで現実の製品として開花させるということだと思うのですね。ですから、単に知財でどれだけ儲けたということが産総研の価値ではなくて、大学や企業などの全体を、どのような形で結んで、どういった形で花が咲いたかというところまでを追いかけて、それで「産総研はこれだけの価値をもっています」ということを外にみせるのが大事なのだと考えています。

    ですから多分時間的なことで難しいとは思うのですが、最初の芽をどのようにして育てていって、こんな花が咲きましたということの事例をきちんとした形で世間に示せるようなことをなさる事が大切なのだろうと思うのですが。

    吉川理事長

    それでは私から。

    木村部会長

    それでは吉川理事長お願いします。

    吉川理事長

    まさにそのとおりでございまして、それをやっているというのが産総研なので、そのようにお考えいただきたいわけです。ただ一つだけ気をつけていただきたいのは、決して我々は「基礎研究をやらない」といっているわけではありませんで、例えば大学と協力しようというときには同じ水準の基礎研究者がいなければできないわけです。これは私も長い経験でわかるのですが、水準の違う人とは協力できないわけです。一緒に住めば別ですが。たまに会って協力しようなどというのはできないわけです。それが現在の産学連携の非常に難しいところなのです。

    ですから我々基礎研究者を内在しているわけです。3分の1は本当に大学と同じ研究をやっておりまして、『NATURE』や『SCIENCE』に論文を出しておりますし、ノーベル賞をねらっているわけです。それから残りの3分の1はベンチャーをつくろうとしている。そして最後の3分の1がその間の受け渡しをしている。これを「本格研究」と呼んでいるのですが、そのような研究者構造というものをつくらないとやはり本当の意味の、今先生がご指摘のようなリアリティーのある研究というのは生まれないのだというのが我々のパラダイムなのです。

    ですからご指摘のようなことはもう本当に日常的にやっているとお考えいただきたいと思います。

    室伏委員

    やっていらっしゃるのは専門家にはわかるのですが、それが世間一般にもわかると良いのではないかと思うのです。多分先生方はご努力なさっているのだと思うのですが、なかなか社会一般には理解されていないところがあるのではないかという気が致します。

    伊藤理事

    ちょっと私から。済みません。1分で終わります。先生のご指摘の件は、今産総研の業務全般がどのような経済効果を及ぼすのとか、R&Dの日本全体のポテンシャルをどう上げているのか、あるいは行政の活動にどのくらい貢献しているのかといったこの3つの軸で、今何とか数値的に示そうという検討を始めております。

    例えば先ほどの知財の件ですが、私も基本的には先生と考えが一緒でありまして、例えば先ほどアウトカムの図をおみせしましたけれども、大体市場が立ち上がってくるのが研究が始まってから20年ぐらいたつわけです。そうするとほぼ知財収入が得られるあたりでは、もう特許が切れる寸前。そして2~3年だけ知財が得られる。ところが市場はその後ドーンとふえて、そのときは知財収入だけでみたら産総研の貢献というのはみえなくなるわけです。

    したがって、我々が今やっておりますのは、まさにシーズをどのようなプロセスでどの企業に与えて、その企業はどれぐらいマーケットをつくったのですかという、その市場の創生に関する我々のコミットメントを分析して、それによって産総研の貢献をしっかりと世に打ち出そうというモデルを今つくっております。何とか近々完成したいと思っております。

    木村部会長

    ありがとうございました。それでは時間がまいりましたが、私から、先ほど吉海理事がご説明になった現状の目標管理型評価の限界という話についてコメントしたいと思います。これは多分産総研だけの問題ではないと思っています。そこには固有のミッションを有する研究開発型独法である産総研という意味合いで書いてあるのかと思うのですが、私は、独法の評価方法そのものに問題があると思っています。

    独法は、中期目標として非常に大きなフレームワークをつくっておいて、それをブレークダウンしたものとして中期計画をつくることになっています。初めの約束では、中期計画について年度年度にこれほど評価をきちんとやるはずではなかったのですが、外からの圧力もあって、それをやらざるを得なくなった。そのため中期計画についてどうなっているかということをずっとみることになる。それで1サイクル目の最後の年にどうするかと、中期目標に対する評価はそれを積み上げたものになってしまう。従って肝心の中期目標の非常に大きなフレームワークについての評価がほとんどできない。理屈でいうと中期計画は中期目標をブレークダウンしたものとなっているから、きちんと評価してあれば中期目標についてきちんと評価できていることになるが実際はそうなっていないのです。

    ですから私は、将来、中期目標終了期間の評価の方法を抜本的に変える必要があるのではないかと思っています。今、吉海理事からご説明がありましたように、取り組みだとか、プロセスだとか、そういうものを含めて最後に評価をやるということをやらないといけないのではないかとずっと思っております。

    産総研で先べんをつけていただくと、他の独法も助かるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

    それでは予定の時間も過ぎましたので、これでよろしゅうございますか。新しい4人の委員の先生方、初めての会議でえらいたくさん資料があるなと感じられたかと思いますが、よろしくお願いいたします。

    それでは4番目の議題に移りたいと存じます。技術経営力の強化に関する業務の追加について産業技術強化法改正等これまでの経緯、それからそれを産総研が担う必要性等について、資料1-4を準備してございますので、都筑室長から簡単にご説明をお願いいたします。

    都筑産総研室長

    資料1-4に基づきましてご説明させていただきます。1枚めくっていただきまして、3ページ目に「イノベーション・スーパーハイウェイ構想のポイント」がございます。その双方向の流れをつくる、それから異分野の融合をするというのがポイントでございますが、特にその技術と経営をつなげていくということは非常に大事であるということがいわれております。

    1ページ目に戻っていただきまして、産業技術力強化法の中でこの技術経営力の強化を基本理念として掲げて、国の責務、事業者の責務、国の施策等という形でその規定の追加をさせていただいたというのが大きなところでございます。

    そのほかには次のところにあります大学の特許料の減免でありますとか、日本版バイ・ドール規定のソフトウェア開発の追加といったことを行っております。その技術経営力強化の流れの中で、一番下になりますが、産総研法の改正を行いました。

    産総研におきましては、その「技術経営力の強化に寄与する人材育成の追加」ということでございます。産総研におきましては、先ほど理事長からのお話にもありましたように、「本格研究」という形でイノベーションの人材を実際的に育成をしてございます。実際にはしておりますが、それをある意味では正式な業務として位置づけるといった性格のものと考えております。

    ページをめくっていただいて4ページに具体的な改正の表が書いてございます。第五号ということで「技術経営力の強化に寄与する人材を養成し、その資質の向上を図り、及びその活用を促進すること」ということでございます。

    最後のページでございます。この法律改正に伴いまして、今後どのようなことをしなければいけないかということを書いてございます。

    まずその「1.改正すべき規程類」の(1)でございますが、省令の変更ということがございます。これは私どもがやります。

    そして(2)、(3)、(4)ですが、中期目標の変更、それから中期計画の変更、業務方法書の変更といったこの(2)~(4)につきましては、評価委員の意見を聴取することになっております。具体的な案文をつくりまして、7月5日のご提示をして、ご審議をいただき、ご了解をいただきたいと考えております。それから最終的には年度計画の変更を行うことにしております。

    「2.中期目標の改正(案)」でございますが、目標の中には、現時点としてその中の(4)として「人材育成(技術経営力の強化)」という形で記載をさせていただこうと考えております。この具体的な中身については今後検討してご審議いただきたいと思っております。

    このスケジュールは先ほど申し上げたとおり、7月5日に審議をしてご了解をいただきたいと考えております。以上でございます。

    木村部会長

    ありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは続きまして、最後の議題へまいります。資料1-5が準備してございますが、「独立行政法人のゼロベースでの見直しを」ということで、いつものものが出てきたなという気がいたしますが、都筑室長からお願いいたします。

    都筑産総研室長

    これは5月9日に経済財政諮問会議におきまして、有識者議員から提出された資料を今回お配りさせていただいております。

    ポイントは「3.」でございますが、一番最後にあります「『独立行政法人見直し3原則』というものに基づいて全法人を対象に見直しを行い、年内を目途に『独立行政法人整理合理化計画』を策定していただきたい」ということが提言されております。

    まだ決定したということではないのですが、この合理化計画を策定ということになりますと、また再び評価委員の意見もいただくことになるのではないかと思っております。そのときにはぜひよろしくお願いしたいと思います。

    裏のページになりますが、別紙として「3原則」ということで「官から民へ」、「競争原則」、「整合性原則」とうたわれております。こういったことで検討することになると思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

    木村部会長

    ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。

    それでは以上で本日の議事はすべて終了いたしました。先ほど都筑室長からご案内がございましたが、次回のスケジュール等につきまして、改めてご説明をお願いいたします。

    都筑産総研室長

    次回の部会におきましては、提出をいただきました評価表に基づきまして18年度の部会としての評価の審議、議決を予定しております。

    日程につきましては、7月5日13時から本省別館10階の1020会議室で予定をしております。よろしくお願いいたします。

    それから先ほどいっておりましたように、メールで送りますが、いろいろな質問があろうかと思います。これにつきましては事務局の方にお寄せしていただければと思います。連絡先はメールを送る際に併せて連絡をさせていただきます。またその質問につきましては、1人の委員からいただいた回答は全員にお配りしたいと考えております。

    それから先ほど黒木委員から補足評価についてどこをみればいいのかということがございましたので、お送りいたしますメールにどこをみればいいかということを評価表の中に付記をしておきます。「このページをみてください」ということをつけて送らせていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

    それから本日お配りしました資料ですが、相当大部なものになりますので、そのまま置いておいていただければ後日郵送させていただきます。封筒も併せて置いておりますので、封筒にお名前だけ書いていただければ送らせていただきます。よろしくお願いいたします。以上です。

    木村部会長

    よろしゅうございますでしょうか。本日は長時間ありがとうございました。それでは次回は7月5日になりますので、よろしくお願いいたします。なお、締め切りは6月25日でございますので、こちらの方もよろしくお願いいたします。

  • 以上

     
     
    最終更新日:2007年6月22日
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