経済産業省
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総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度改革ワーキンググループ(第1回) 議事録

片山電力市場整備課長

それでは、定刻となりましたので、ただいまから総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第1回制度改革ワーキンググループを開催させていただきます。

私は事務局を務めます資源エネルギー庁電力市場整備課長の片山でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、お暑い中、また、ご多忙の中、委員の皆様方におかれましてはご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、まず、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の配付資料一覧をごらんいただければと思います。資料1から資料7、それから、参考資料として参考1から参考4までをお配りしております。不足ございませんでしょうか。ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしゅうございますか。

それでは、続きまして、資料2としてお配りさせていただいている委員名簿に沿って、本ワーキンググループの委員、座長並びにオブザーバーの方々をご紹介させていただきます。本ワーキンググループは、総合資源エネルギー調査会運営規程に基づきまして、鳥居電気事業分科会長のご了承のもと設置をされ、分科会委員及び座長につきましても運営規程にのっとりまして分科会長にご指名をいただいております。

まず、本ワーキンググループの座長として金本委員にご就任をいただいております。

それでは、座長にご就任いただいている金本教授から一言ごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

金本座長

お忙しい中、また、お暑い中、委員の方々、オブザーバーの方々、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。特にごあいさつというほどのものはございませんが、2007年度に電気事業の自由化の見直しをするということで、それまで2007年があるからということでいろいろなものをとめてあったということですが、2007年度になって電気事業分科会のほうで議論を始めておられるというところでございます。

この2007年度の見直しについては、家庭部門を含めた自由化について検討するということが書かれておりますが、当然、これまでのさまざまな経緯から、ほかのいろいろなことについても見直しをするということになろうかと思います。このワーキンググループは、後ほど事務局のほうからご紹介があるかと思いますが、勝手に議論していいということでは必ずしもなくて、電気事業分科会で整理された論点について専門的な見地から検討して電気事業分科会に報告をしていくということでございますので、よろしくご検討のほうお願い申し上げます。なかなか難しいテーマが多いかと思いますが、よろしく知恵を絞っていただければと思います。

それでは、簡単でございますが、私のあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。

片山電力市場整備課長

ありがとうございました。

続きまして、オブザーバーの方々のご紹介をさせていただきます。(省略)

それでは、ここからの議事進行は、金本座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

金本座長

それでは、早速でございますが、議事を始めさせていただきます。まず、このワーキンググループの設置の趣旨及び議事の公開について、片山課長からご説明をお願いいたします。

片山電力市場整備課長

それでは、お手元の資料3をまずごらんいただければと思います。先ほど金本座長のごあいさつにもございましたが、このワーキンググループの設置の趣旨でございます。今後、電気事業分科会での審議により整理された具体的な論点に関し、専門的・技術的な見地から詳細な検討を行うため、分科会のもとに設置することとするとされております。

審議事項といたしましては、やや抽象的に書いてございますけれども、まず、電力市場における競争環境・需要家選択肢をめぐる具体的な論点の検討、制度設計。次に電力の安定供給をめぐる具体的な論点の検討、制度設計。3番目として、電力分野の環境適合をめぐる具体的な論点の検討、制度設計、その他となっております。

まず、今後の予定として本日第1回、第2回を7月11日に予定しておりますが、この2回の審議を通じまして、まず分科会からこのワーキンググループに付託をされております自由化範囲をめぐる論点について、まずはご検討いただければということでございます。

次に、資料4をごらんいただければと思います。「議事の公開等について」とございます。既に公開をしながらやっているわけでございますが、以下の4点で議事の公開ということをさせていただければと思っております。

まず、議事要旨については、原則として会議の翌々日までに作成し、公開する。議事録については、原則として会議終了後1カ月以内に作成し、公開する。配付資料は原則として公開する。個別の事情に応じて会議または資料を非公開とするかどうかについての判断は座長に一任するものとする。

以上でございます。

金本座長

どうもありがとうございました。

それでは、議事の公開につきましては、ただいまのご説明にあった4点でよろしゅうございますか。それでは、そうさせていただきたいと思います。

あと、今回、若干、委員、オブザーバーの数が多いので、総合エネルギー調査会一般ルールにのっとりまして、ご発言のときには名札を立てていただくということでお願いさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、続きまして、6月15日に開催されました第26回の電気事業分科会においてご了承いただいた家庭部門も含めた小売自由化範囲の拡大に係る検討のフレームワークに基づいて討議を進めていくということにさせていただきたいと思います。

検討フレームワークについては、あらかじめ委員の皆様方には事務局からご説明済みとお聞きしておりますので、説明の時間はとりませんですけれども、参考1として資料を配付させていただいておりますので、ご参照いただければと思います。

それでは、まず、資料5から7までそれぞれご説明をいただいて、その後まとめて1時間半弱の討議の時間をおとりしたいと思っております。まず初めに、資料5「需要家の選択肢の確保状況等」について、事務局からご説明をいただきたいと思います。片山電市整備課長、お願いいたします。

片山電力市場整備課長

今、座長のほうから言及がありましたが、参考資料1としてフレームワークというのをお配りしております。まず、それの3ページ目をお開きいただけますでしょうか。ここの3ページ目に検討の枠組みとして、まず左側にありますように小売全面自由化を行う環境が整っているかどうかを検討するということで、大きく需要家の選択肢の確保等に関する考え方の整理、それから、定量的な費用便益分析となっております。この需要家選択肢の確保状況等というものについてご議論いただくための資料が資料5でございます。

それから、定量的な費用便益分析に関する資料が資料6でございます。これにつきましては、実は資源エネルギー庁のほうから調査委託ということで、日本エネルギー経済研究所に調査委託をしまして、その中で学識経験者から成る委員会を設置して、あらかじめ研究した成果がございます。これについては後ほど日本エネルギー経済研究所の小笠原グループリーダーのほうからご説明があるという段取りでやらせていただければと思います。

それから、右側にあります小売全面自由化を実施した場合の影響の検証というところについてご議論いただく材料が資料7ということでございます。それぞれの資料5から7の位置づけはフレームワークにおいて、今申し上げたようなことで位置づけられているということでございます。

それでは、資料5をごらんいただければと思います。1枚おめくりいただきまして、需要家の選択肢の確保状況等については、以下のように整理することが可能ではないかということで、この言葉の意味するところとして、需要家がみずから使用する電気の供給者を選択するに当たり、地元の一般電気事業者以外の電気事業者を含めた検討を行い、実際に電気を購入することが可能であるなど実質的に競争状態が確保されていることということで意味づけを与えております。これにつきましては、電気事業分科会でご議論していただいて、こういうことで検討していこうということになっております。その際の判断材料になるものとして幾つかメルクマールというのが掲げられております。

なお、これにつきましては、電気事業分科会で議論がございまして、ここに書いてある、例えば数値目標というのが一定の基準に達したらやるとか、やらないとかといったようなことを意味しているのかといったようなご議論がございまして、そのときに、いや、これはあくまでも状況全体を評価する際の参考指標であって、例えばPPSのシェアが何%になったら全面自由化をするとかという、そういう意味でここで掲げているものではないということで、分科会での議論は共通認識に達しているのではないかと思っております。

この小売全面自由化の検討における需要家の選択肢の確保状況等の位置づけということで、これは既に十分確保されているということが自由化範囲をさらに広げる上での前提条件になるのではないかと位置づけられているということでございます。

それでは、具体的に2ページ以降をご説明させていただければと思います。まず、実質的に営業活動を行っているPPSの数。これの意味するところは、我々は統計をとらせていただいておりますけれども、その中で販売実績が実際に上がっているPPSの数ということは、現在で13社ということでございます。

それから、3ページ目をごらんいただければと思います。PPSのシェアでございますが、全体で見ますとPPSの販売電力量シェアは増加していますけれども、その水準は自由化分野全体で、直近の値で2.37%ということでございまして、最近では伸び悩む傾向が見られるということでございます。

次に4ページ目で、これを需要種別、あるいは地域別に見ますと、特高業務用におきましては27%と相対的に高いシェアとなっておりますが、高圧や産業用では相対的に低いシェアにとどまっております。地域別では、大都市圏において相対的にシェアが高く、地方においては相対的に低いシェアとなっているということが読み取れるかと思います。

次に、5ページ目でございます。今後でございますが、一般電気事業者以外の事業者には以下の動きがあるということで、例えば2008年以降にガス会社、石油会社等の非一般電気事業者による大規模なLNG電源が複数運開予定である。また、1996年から97年ごろ、電源調達の入札制度のもとで一般電気事業者と契約を締結してきたIPP、この契約が2010年代の半ばから契約更新時期を迎える。こういった動きがありまして、今後、選択肢の拡大に寄与する可能性がある。

他方で、これは電気事業分科会で発電事業者からのプレゼンテーションでございましたが、一般電気事業者に卸売りする場合とPPSや取引所へ卸売りする場合のリスクの差が存在するといった指摘があるということで、この選択肢の拡大に寄与する可能性はあるけれども、リスク要因というのがあるという指摘が一方であるということでございます。

それから、6ページでございます。一般電気事業者間の競争の現状でございます。6月現在で、一般電気事業者による区域外供給の実績は1件のみでございます。ただ、一般電気事業者間での料金格差というのは縮減傾向にあって、潜在的競争圧力が働いていると考えられる。これは昨年まとめられました分科会の制度改革評価小委員会での評価というのを踏襲して、こういうふうに書かせていただいております。

次にページをおめくりいただきまして、7ページから10ページ、これは大口の需要家に対しまして当省からのアンケート調査をやった結果というのを並べさせていただいております。

まず、7ページの左上のところをごらんいただければと思います。大口需要家の約5割は現在契約している電気事業者に対して「満足している」という回答をしておりまして、需要家の満足度、既契約に対する満足度というのはおおむね高いものがございます。

次に、左下のグラフでございますけれども、選択肢は確保されているのかという問に対して、約4割の大口需要家が「確保されている」と回答して、25%の需要家は選択肢が「確保されているとは思えない」と回答しております。この選択肢が「確保されている」と回答した大口需要家のうち、選択肢としてどの事業者を挙げるかというのが右側のグラフでございます。地元の電力会社を挙げているものが8割を超える一方、PPSやその他の一般電気事業者を選択肢に挙げるものは3割から5割程度となっております。

次に8ページ目でございます。需要家選択肢の確保状況を評価するに当たって、PPSや他エリアの一般電気事業者から情報提供がなされ、また、積極的な営業活動がなされているかどうかというのは重要な指標になろうかと思います。下のグラフにございますのは、PPSから提供される情報の内容に係る評価、あるいは情報手段に係る評価、同じように他エリアの一般電気事業者から提供される情報の内容、情報の提供手段に係る評価というのをまとめたものでございます。ごらんいただければわかりますように、情報提供が十分だと認識している需要家は3~4%程度ということで、3割から4割程度の需要家が「十分ではない」と認識しているということがうかがえます。

次に9ページでございます。左側のグラフをごらんいただければと思いますが、現在、地元の一般電気事業者と契約している需要家に対して、その契約を結ぶときに比較・検討したのかというのを問うた回答でございます。契約締結の際に他の電気事業者との契約を比較・検討した需要家というのは約18%でございまして、80%以上の需要家が比較・検討していないということがうかがえます。

また、「比較・検討していない」と回答した需要家に対して、その理由を問うたのが右のグラフでございまして、約47%の需要家が「地元の電力会社以外は、契約条件等にメリットを感じない」と回答する一方、約35%の需要家は「比較・検討する方法がわからない」と回答しているということでございます。

次に10ページでございます。系統電力というのは自家発、あるいは他のエネルギーとの間の競合があるのではないかという論点でございます。まず、左上のグラフをごらんいただければと思いますが、産業用の需要家の外部購入エネルギー、どういうエネルギーを購入しているかということであらわしております。電力はほぼ100%の需要家が買っている。都市ガス・天然ガス、LPG、A重油、灯油というのが3割から5割弱の間にあるということでございます。

そういった現状にございますが、その左下のグラフでございますけれども、用途別にエネルギーの切替えというのを検討する可能性があるのか、それに伴って事業者を変更する可能性があるのかというのをまとめたものでございまして、一定程度の切替えの可能性、事業者変更の可能性というのはここからうかがえるのではないかということでございます。

また、自家発と系統電力の切替えというのはどういう要因によって起こるのだろうかというのを問うたのが右のグラフでございまして、小売価格の変動、あるいは自家発用の燃料価格の変動等といったようなものによって切替えが生じる可能性があるということがうかがえるかと思います。

おめくりいただきまして11ページでございますが、以上のさまざまな指標、あるいはアンケート調査から、どういうふうに評価をすることができるのかということを事務局としてまとめたものでございます。

PPSの数及びシェアの伸びが鈍化し、その水準も低迷している。一般電気事業者による区域外供給は1件であり、事業者変更の実績は十分とは言えないのではないか。他方、一般電気事業者による料金水準の引き下げや料金格差の縮小、自家発・他エネルギーという選択肢の存在により、需要家は既契約におおむね満足しているのではないか。選択肢の確保状況についての需要家による評価は「確保されている」と評価する比率が上回っているが、実際の契約時に他の電気事業者と比較した需要家は約2割にとどまっている。

地元の一般電気事業者以外の電気事業者の情報提供に対する評価は極めて低く、これらの事業者が実質的な選択肢として十分な比較検討の対象となっているとは言えないのではないか。今後については、一般電気事業者以外による電源拡充等の動きがあり、卸電力市場の流動化に結びついた場合には、需要家選択肢が拡大する可能性は存在しているのではないか。

以上、非常に短く要約いたしますと、現在の高圧までの部分自由化範囲においては、各需要家に実質的な選択肢が十分に確保されているとは言いがたいものの、将来的に選択肢が拡大する可能性は潜在的には存在していると言えるのではないかとまとめております。

次に、12ページ、家庭部門における「需要家選択肢の確保」に係る考え方ということでございまして、家庭部門というのは大口需要家に比べて情報の入手、あるいは価格交渉力といったような面で劣後するのではないかといった固有の問題を踏まえて考えていくことが必要ではないか。我が国で小売の全面自由化を実施する場合というのは、こういったことを踏まえて諸外国で既にとられた措置、あるいはその諸外国における需要家選択肢の確保状況を参考としつつ検討するということが適当ではないかとしております。

13ページでございます。13ページは当省がインターネット、Webアンケートを利用いたしまして、一般の消費者の方々に家庭部門の自由化についていろいろとアンケート調査をしたものでございます。左上のグラフを見ていただければと思いますが、「日常生活上も関心がある」とおっしゃっている方というのが5割を超えておりまして、家庭部門の自由化の小売自由化に対する関心は非常に高いのではないかということでございます。また、そのすぐ右側の円グラフですが、自由化の是非ということをフラットに聞いた質問では、約45%の方が「家庭においても電力自由化を実施したほうがよい」といった回答を寄せられているということでございます。

では、自由化に何を期待するのかというのが右上の棒グラフでございますけれども、圧倒的に「電気事業者同士の競争により料金が安くなる」ということに対する期待が高いということでございます。

その一方で、右下の棒グラフですけれども、自由化への懸念ということについては、「コスト削減を目的に電力会社の設備投資が十分に行われなくなり、電気の供給の安定性が損なわれるおそれがある」というのが約6割ありまして、その次に、逆に「競争が起こらず独占状態となり、料金が高くなるおそれがある」というのが5割弱あるという傾向になっているということでございます。

また、左下の円グラフでございますけれども、安定供給への懸念というところをより詳細に見るために、どの程度の停電であれば許せるのかということを聞いたものでございますが、「瞬間でも停電することに我慢できない」という方が2割、「数分以内」も4割おられるということで、停電に対する寛容度というのは極めて低いという結果が出ているということでございます。

次に14ページでございます。小売の全面自由化を行っている諸外国における制度というのはどういうふうになっているのかというのを簡単にまとめたものでございます。まず、一番上は制度的な共通点といたしまして、まず初めに料金規制という面においては、託送料金については認可制または収入キャップ規制といったものが導入されている。最終保障サービスということについては、ほとんどの国においてこのサービスの提供者が決められている。そういうものを決める仕組みがあるということでございます。

それから、家庭部門の同時同量・インバランス精算については、インターバル・メーターでやるケース、あるいはプロファイリング・システムを導入するケースといったものが見られるということでございます。送電部門の独立性確保については、EUにおいてはEU指令に基づいて法的分離を義務づけている。アメリカにおきましては、共通のルールというのがあるわけではないわけでございますけれども、全面自由化を実施している州ではISO・RTOの設立で運用分離が実施されているということでございます。

「また、競争を促進する観点から」ということで、特に際立った競争促進策がとられている例がございます。例えば既存事業者に対して発電所の売却要請、あるいは発電設備のシェア規制、強制的な供給事業者の変更、既存小売事業者に対する小売料金規制、非対称的な措置が導入されているといったような例もございます。これは後ほど個別にご紹介させていただきます。

おめくりいただきまして15ページ、16ページでございます。まず、15ページはアメリカにおいて需要家の選択肢というのがどういうふうになっているのか、料金はどういうふうに動いているのかというのを簡単にまとめたものでございます。構造改革州と書いてあるのが小売の全面自由化を実施している州ということでございまして、ごらんいただければ、家庭部門での離脱率というのは、ならして見ると6.6%、家庭部門以外というのが約3割となっております。州によっては非常に高い比率を示しているところもあれば、全く事業者変更の実績が見られないところもあるということでございます。

右側の折れ線グラフというのは、小売価格の推移というのを全米平均、全面自由化を実施した州、自由化を実施していない州というものの平均で見ておりますけれども、もともと値段の高かった州で自由化をすることによって下げるということで始まったわけでございますが、料金格差自身が目立って縮小しているようには見えませんし、最近ではほぼパラレルに上昇傾向にあるというのがうかがえるかと思います。

次に16ページ、欧州の例でございますけれども、小売全面自由化を実施している国における新規参入者のシェアというところを見ていただければと思います。家庭部門、あるいは小規模な需要家のほうが相対的に新規参入のシェアというのは小さくなっているということでございます。家庭部門での新規参入者のシェアというのは非常に高い国もあれば、非常に低い国もあるということがうかがえるかと思います。

なお、価格というのは右下のグラフで家庭用の小売価格の推移というのを出しておりますけれども、ほぼ各国間の格差というのはあまり縮小をしておりませんし、また、傾向を見ても、最近は緩やかな上昇傾向にある国が多いというのが見て取れるかかと思います。

それでは、次に17ページ、18ページ、19ページというのが、先ほど言いました既存事業者に対する非対称的措置としてどういうのがとられた例があるかということでございます。

まず、イギリスの事例でございますけれども、イギリスは90年の初頭から自由化というのが開始されてきたわけでございます。その際、イギリスは卸電力市場の改革として強制プールを選択した。そうしたところ、電気の卸売価格というのが高どまりをしたということがありまして、それを是正するという目的で非常に価格決定力を持つ石炭火力発電所の売却というのを市場シェアが大きな発電会社に対して要請をしたということでございます。その結果、ここにあります2社は90年時点で48%、30%のシェアを持っていたのが、2000年までに14%、12%までシェアを低下させているといったようなことになっております。

なお、その後、全面プール市場というのはうまくいかないということで廃止をされ、相対中心の、いわゆるNETAという制度に移行したということでございます。

それから、18ページでございます。これはアメリカのペンシルバニア州の例ということでございまして、ペンシルバニア州では97年からのパイロット・プログラムを経て、99年1月から部分自由化、2000年1月から全面自由化に移行したということでございます。その際、既存の電気事業者の供給エリアにおいて、供給事業者を変更していない需要家を無作為に抽出して、それら需要家に対してデフォルト・サービスを供給する事業者を競争入札によって決定するといったような強制的な事業者変更といった措置が導入されました。

ただ、この左のグラフで見ていただければわかりますように、非常にギクシャク、ギクシャクした動きになっております。これは事業者を変更したんですけれども、移した先の会社が破綻をして、またもとの事業者に戻すですとか、戻った先の既存の電気事業者からさらにまた強制的に変更するとかということを相当繰り返してきているということでございます。

なお、右下に電気料金のグラフがありますけれども、自由化を開始して以降、電気料金はほぼ横ばいか、若干上がっているといったような推移になっているということでございます。

次に19ページでございます。これはアメリカのテキサス州の事例でございますけれども、テキサス州では2001年7月からパイロット・プログラムを実施して、2002年1月から小売の全面自由化を行っているということでございます。その際、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、以下の3つの措置を導入しております。1つが基準価格制度でございまして、既存の供給事業者は新規参入者のシェアが4割を超える、または2005年1月までは小口需要家に基準価格で供給する義務が課せられたということでございます。これは既存事業者による対抗値下げというのを防いで、その間に新規参入者のシェアを増やすということを意図的にやったということでございます。

なお、基準価格は燃料費の調整のみ認められるということでございます。

それから、次に発電シェア規制の実施ということで、州内を15区域のゾーンに区分して、区域内でおのおの2割以上の発電資産を所有することを禁じる。

それから、発電設備利用権の競売ということで、40万kW以上の発電プラントを所有する既存電力会社は5年間または地域の小売顧客の、これは家庭部門、小規模な商業部門ですけれども、の40%が他の事業者に変更されるまでの間に、少なくとも15%相当の発電プラントの設備利用権を競売にかけなければいけない。この条件が満たされるまで競売を継続する義務が課せられるということでございまして、相当非対称的な措置を導入しているということでございます。その結果、テキサス州の新規参入者のシェアというのは非常に高い水準で推移をしているということでございます。

他方、電気料金の推移というのを見ていただきますとわかりますように、最近では上昇傾向にあるということでございます。

以上が小売の全面自由化に当たって非対称的な措置が導入された個別の事例のご紹介でございます。

最後に20ページでございますけれども、小売の全面自由化を実施している諸外国でとられた措置ということで、これは監視機関の設置としてイギリスのenergywatchの例を示しております。イギリスのenergywatchというのは、2000年の公益事業法に基づいて独立的なガス電力小売市場における市場監視を目的として設立された機関、ガス電力消費者会議の通称でございます。energywatchは毎年年次報告書を公表して、市場監視の結果の公表を行うとともにOfgem―Ofgemというのが独立規制機関でございますが、ここに対して市場監視において観察された事例をもとに意見を申し立てることができるといったような役割を持っているということでございます。

以上でございます。

金本座長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして資料6、小売全面自由化に伴う費用便益分析推計結果について、今さっきご紹介がありましたけれども、この費用便益分析を行った検討会の事務局を担当されておりました財団法人エネルギー経済研究所の小笠原グループリーダーからご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小笠原グループリーダー

日本エネルギー経済研究所の小笠原です。

本日は、「小売全面自由化に伴う費用便益分析の推計結果」と題しまして報告させていただきます。関連する資料としては、お手元の資料6、小売全面自由化に伴う費用便益推計結果、それから、参考資料として配付させていただいております参考3、コストベネフィット分析検討会報告書、この2点が関係する資料でございます。

それでは、資料6に基づきましてご報告させていただきます。こちらの推計結果は、平成18年度電力系統関連設備形成等調査『電力の安定供給等に係る制度設計についての調査』という受託調査におきまして、コストベネフィット検討会というものを設置させていただきまして、そちらで行いました検討結果というものを要約させていただいたものでございます。

それでは、ページをおめくりいただきたいと思います。ページ番号1ページ目をご参照ください。こちらコストベネフィット検討会では金本先生を座長といたしまして、政策研究大学院大学の城所先生、田中先生、そして福井大学の林先生を委員といたしまして検討を進めてまいりました。検討会では、小売全面自由化を実施した場合に予想される実務的課題を中心として費用・便益額の推計を行っております。

推計期間は2005年度から2015年度までで行っておりまして、現行制度が継続するケースというものを基準ケースと命名いたしまして、そして、それに対して追加的な政策実施に伴う政策効果額、そして費用の差分を推計するということで総余剰額を算定するというやり方を採用しております。

ケース間の総余剰変化額、つまり、政策を追加的に実施した場合に社会全体の総余剰便益額がどういうふうに変化するかという推計の考え方でございますが、それはこちら右上の図のとおりになっております。ここで注意していただきたいのは、今回の試算は需要曲線を垂直というふうに設定しております関係で、ケース間の総余剰額の差分というのはケースごとの平均費用の差×販売電力量という形で計算させていただいております。

また、試算に当たりましては、数式でわかりにくいところもございますが、左下に算定式というのがございます。こちらでは効率化効果による費用削減部分と、それから、実務的費用、こちらの制度を変更するのに伴います移行費用、こちらを分けて算定を行いまして、最終的に両者を合算するやり方をとっております。

効率化効果、これは全面自由化ですとか追加的な競争促進で、ある程度、効率化が進展するだろうということに対する期待でございますが、これは料金低下につながりますので、これは総余剰を増大させる方向に効果があります。それに対して実務的費用、制度移行費用というのは、これはコストの増大要因になりますので、これを差し引くような形で総余剰変化額という形で計算させていただいております。

以降の説明は、ケース設定の考え方、そして効率化効果、実務的費用の順で説明させていただきます。

資料ページ、2ページ目をご参照ください。まず、ケース設定の考え方でございます。ケース設定として、まず大もとの基準ケースというものを設定しております。基準ケースというのは、現行の部分自由化制度と競争環境が継続するという場合を想定しております。これに対して比較ケースというものを設定して、この比較ケースと基準ケースの差分を推計するというやり方ですが、比較ケースは3つ採用しております。1番目が全面自由化ケース、こちらではBケースとありますが、B)全面自由化ケース、これは2010年度より全面自由化が適用されるというようなケースを想定しておりますが、競争環境としては現状のような競争環境を継続する場合を想定しております。

次が競争促進ケース、こちらは現行の部分自由化制度は継続するということを考えますが、2010年度より追加的な競争促進政策を適用する場合ということを想定しております。そして、その両者を合算する形でD)全面自由化・競争促進ケース、こちらは2010年度より全面自由化を行うとともに、追加的な競争促進政策を適用する場合というものを想定しております。

以上、このようなA)B)C)D)の4つのケースを想定しまして、この基準ケースとB)C)D)3つのケースの差分を推計するという考え方をとっております。

次に効率化効果の考え方でございます。基準ケースでは、こちらの戒能経済産業研究所研究員が作成されました「電気事業制度改革が電気料金に与えた影響の定量的分析」で示されておりました1989年から2003年の電気料金低下に対する制度改革の影響部分の推計値というところを採用させていただきまして、こちらより年率0.49%相当の効率化効果というのが現行の制度のもとでも、現行の制度かつ現行の競争環境でもあるだろうという形で、こちら基準ケース、効率化効果を想定しております。

これに対して比較ケースの考え方ですが、ポイントは2点ございます。まず1点目です。この1点目は、まず全面自由化という自由化範囲を拡大するという効果をどうとらえるかということでございます。検討会ではいろいろ議論させていただいたんですが、自由化範囲が拡大するということは、これはPPSさんにとっても自分のマーケットが拡大するということでもございますので、それ相応の競争促進効果があるのではないかという見方をとらせていただきました。こうした市場拡大効果によりまして1.3倍の効率化効果があると考えまして、例えばBケースでは、Aケースの効率化率×1.3倍というような効率化が進展するという形で想定しております。

次が、もう1点のポイントというのは、Dケースの見方でございます。Dケースというのは、これは全面自由化も行いました、そして追加的な競争促進政策もとりましたということで、一応、諸外国の例から考えていきましてもいろいろな措置をとったという姿でございます。したがって、これは推計の最終年度でございます2015年度において効率化ポテンシャルと考えられます費用がかなり下がるであろうという水準が達成されるであろうというような考え方をとっております。この効率化ポテンシャルですけれども、諸外国の事例ですとか、過去の電気事業者さんの平均費用の推移等を考慮いたしまして、2005年度比1割費用が下がるという仮定を置きまして推計を行っております。

以上の想定に基づきまして、2005年度を100とした場合の平均費用の推移というものがこちら2ページ目の左下のグラフのとおりに設定しております。これに基づきまして効率化効果額、このA)基準ケースとの差額というものは、B)全面自由化ケースでは3,452億円、C)の競争促進ケースでは1兆4,013億円、D)の全面自由化・競争促進ケースでは2兆1,527億円というような推計結果になりました。

次、ページをおめくりいただきまして、3ページ目のほうをごらんください。このような効率化効果が将来的にあるだろう、それに対してどういった追加的費用が発生するんだろうかというところを整理したのが、こちらスライドの3ページ目、4ページ目でございます。全面自由化に伴います移行費用というものは、大きく3つに分けて分類しております。

1点目は、託送料金等を通じまして社会全体で費用負担を行う実務的費用というものでございます。この費用には、例えば全面自由化に伴いまして検針・メーターの仕組みを変える必要がございますが、それに伴う費用として、例えばプロファイリングという制度を適用した場合には幾らかかるのか、もしくはインターバル・メーターを離脱需要家に対して設置した場合には幾らかかるんだろうかというような費用というものを現行制度と比べて追加的に幾らかかるかという推計を行っております。

そのほかには供給事業者を変更するために対応するためのシステム費用、これは供給事業者、だれに今張りついているんだろうかということを管理するシステムを構築する費用でございます。そして、先ほどご紹介がありましたenergywatchのような紛争処理機関を例えば設置したら幾らかかるんだろうかということで推計を行っております。こちら、検針・メーターの費用のところではプロファイリング実施とインターバル・メーターという2つ、設定させていただいておりますけれども、こちらプロファイリングをやった場合、インターバル・メーターを設置した場合という、そのおのおのそれぞれ独立したものになりますので、合算できない点にご注意いただければと思います。

2点目は、これは社会全体の負担というよりも個別事業者の経営判断に基づく営業活動費用というものがあります。これはもともと小売全面自由化を行ったとすればという仮定に基づいて考えますと、これまでは既存の一般電気事業者さんも家庭に対して営業活動を行うということを行っていなかったわけでございますので、そうした追加的な人件費もしくは自社に引きつけるための広告宣伝費というものが発生するだろうと考えまして、費用の推計をしております。

3点目は、競争激化により、例えば格付が低下する可能性はないだろうかということに伴って発生する財務費用というものでございます。この財務費用というのは、これまでの状況から競争の活発化等に伴いまして電力会社さんの格付が例えば低下した場合には、資金調達コストが上昇するであろうというものでございます。ただ、今回の枠組みでは、平均費用にこの財務費用というのは直接は影響を及ぼしませんので、総余剰変化額に対して合算はしておりません。ただ、中長期的には、これは平均費用を増大させる効果があるだろうとして、直接影響するものではないんですが、試算をあわせて行っております。

時間の制約もございますので、この個別の費用の推計についてはご紹介を省略させていただきますけれども、こちら資料の7ページ目、8ページ目にそれぞれの費用の想定方法のより詳細な設定の方法について紹介させていただいております。基本的には、こちらおのおの幾らかかるのかということを諸外国の事例、それから、過去のトレンドから推計を行っておりますが、それが基準ケースに比べて幾ら増加するんだろうかという観点で推計を行っております。

それでは、次に4ページ目をごらんください。4ページ目は、先ほどの7ページ目、8ページ目で想定の考え方というものを示させていただきましたが、そちらの考え方に基づいた、この移行費用の推計結果になります。

なお、割引率の設定に応じまして金額は多少変わりますので、割引率2%の場合で数字の紹介をさせていただきます。

まず、全面自由化の移行費用といたしましてはBケースというものがございますが、Bケースは、Bの全面自由化ケースでいきますと、全体で1兆247億円から1兆1,515億円程度、費用が発生するのではないか。そしてCの競争促進ケースでは2,272億円、そしてDの全面自由化・競争促進ケースでは1兆4,633億円から1兆7,063億円程度になるということがわかりました。

なお、この値というのは、推計する際に諸外国の事例といいましても、高いところから、低いところからいろいろなサンプルがございましたので、低い費用と高い費用、それぞれ推計しまして、その中間値というものをこちらで計算させていただいております。したがって、それぞれのケースで高い費用のケース、低い費用のケースというものが存在するんですが、こちらで示させていただいた値、BケースとDケースでそうした差分が発生するんですが、それぞれ2,244億円から2,503億円程度前後する可能性があるという点について注意をしていただければと思います。

また、財務費用につきましては、これは直接総余剰額に算定されないんですが、財務費用といたしましてはCケース、Dケースそれぞれで1,997億円程度発生するということがわかりました。また、こちらの両ケースとも1,153億円程度、その値が前後する可能性があるということについて注意していただければと思います。

以上、全体を見ていきますと、Bケース、Dケース、これが全面自由化に伴いまして制度移行費用というのが発生するということになりますが、おおむねこちらを見ていきますと、よく1兆円から1兆7,000億円程度の制度移行費用が発生するというふうに整理することができるかと思います。

それでは、スライドの5ページ目をごらんください。このように効率化効果と制度移行費用というものをそれぞれ推計させていただきましたが、その両者を合算させていただいたのがこちら5ページ目の試算結果というものになります。

まず、Bケース、全面自由化ケースでは、全面自由化に伴う効率化効果があるとも考えられますけれども、一方で制度移行費用が巨額に発生するということになりますので、おおむねマイナス8,063億円からマイナス6,794億円、総余剰額は大きなマイナスになるというような試算結果になりました。

一方、競争促進ケースでございますけれども、これは効率化効果が相当額発生いたしますが、その一方で若干営業活動費用が発生するという相殺効果もありますが、全体としては1兆1,741億円と大幅なプラス効果があるということになりました。Dケース、全面自由化・競争促進ケースでございますが、全面自由化、こちらでも効率化効果は巨額に発生いたしますが、その一方で、この場合、需要家の供給事業者変更率がかなり高くなるということに伴いまして、制度移行費用がそれ相応に発生するということもございます。そうした両者の相殺効果がございまして、このケースでは4,464億円から6,894億円という、Cケースよりは小さいんですが、プラスの政策効果があるというふうに算定することができました。

なお、全面自由化移行費用がBケースよりも大きくなるということもございますので、Cケースとの比較では7,277億円から4,847億円だけCケースよりも費用効果がマイナスになっているというようなことがわかりました。

以上より全面自由化という制度移行に際しましては、制度の試算に当たりましてのさまざま前提条件というものに依存いたしますけれども、その費用が必要であるということがまず第1点わかりました。その一方、制度改革に伴いまして、ある程度の効率化効果が期待されるということもあり、その両者の比較を行ったというのがこちらの試算でございます。この場合、追加で競争促進を組み合わせてということで全体としてはプラスになる。これがDケースという形であらわれておりますけれども、そうした組み合わせがないと巨額の全面自由化移行費用をクリアできないということがわかりました。

ただし、こちらは、この結論というのは、やはり将来にわたっての効率化がどの程度進むのであろうかというところに大きく依存しておりますので、そうした前提条件がどういうふうに、より結論が大きく影響するということで、そちらの効率化に対する考え方などに対しての影響というものは、こちらスライドの6ページ目のところで感度分析というものを行っておりまして、さまざまな設定値というものを変えた場合にどういう効果があるかということを見ております。このように前提条件に強く依存するという結論であるということについて、ご了解いただければと思います。

それでは、最後に、あくまで参考でございますけれども、スライドの9ページ目のほうをごらんください。こちらはあくまでも参考でございますけれども、全面自由化の移行費用と効率化効果という形で分析をさせていただきましたが、仮にということで低圧を対象として自由化を行った場合の費用便益分析の試算結果もあわせてご紹介させていただきたいと思います。

これは先ほどの呼び方でいきますと、Bの全面自由化ケースの考え方をもとに推計したものになります。低圧の範囲を自由化しましょうということになりますと、同じような考え方で自由化、効率化促進効果があるんじゃないかというような形で効率化効果も試算いたしましたが、それはあまり大きく効率化はプラスになりませんでした。その一方で、実務的費用ですとか、営業活動費用といった移行費用がそれ相応に発生するということがわかりまして、全体では約1,000億円強の総余剰変化額のマイナスになるというような試算結果になりました。

本試算を行うに際しましては、低圧ということでそれほど全面自由化を行う場合と比較して需要家の件数がそれほど多くないということで、システム費用の変更は生じないだろうという形で設定いたしましたが、ただ、これはシステムが実際にどう組まれているかということと関係いたしますので、仮にシステム費用が追加的に発生するという場合には、さらにこの場合では5,000億円程度の追加的支出が発生するということも想定されます。そのような場合には、さらにマイナス額が大きくなるということになります。

私のほうからは以上になります。

金本座長

どうもありがとうございました。

それでは、3番目、電気事業者の企業行動に与える影響について、事務局からご説明いただきたいと思います。片山課長、お願いいたします。

片山電力市場整備課長

それでは、資料7をごらんいただけますでしょうか。1枚おめくりいただきまして1ページ目ですが、小売自由化範囲の拡大と競争環境整備を合わせて行った場合に、一般電気事業者の家庭部門の需要家に対する事業法上の供給義務が解除されて、将来にわたる需要見通しの不透明さが増し、総括原価による料金規制、ひいてはコスト回収の保証がなくなるといったようなことで、電気事業者の企業行動にさまざまな変化を与える可能性がある。具体的にその変化とその影響として、どういうことに留意をしていかなきゃいけないのかということでございます。

ここで例と書いてございますけれども、理念的に整理すれば、発電部門への影響、例えばコスト削減圧力への影響、あるいは不確実性による企業行動の短期化といったようなこと、それから、送配電部門への影響ということで、ただ、送配電部門への必要な設備投資への影響ということがあるんですが、もともとそういうのが起きないように制度設計するのが基本だとは思いますけれども、理念的にはそういうふうに分類される。それから、小売営業部門への影響ということで、ユニバーサルサービスへの影響というのが、何も手当てしなければ予想されるということで、ここもやる場合にはきちんと制度的手当てをしなきゃいけないという分野ではないかと思います。そういう意味で、おそらく発電部門への影響というところが一番議論のポイントになるのではないかと考えます。

次に、欧米の先行事例で何か議論の取っかかりになるものがないかと思いまして、幾つか材料を集めてみましたが、正直言いまして決め手になるようなものが見つかったわけではございません。あくまでも参考ということでお考えいただければと思います。

2ページ目でございますけれども、これはアメリカの例でございますが、供給予備率について90年以降、自由化しているところ、していないところで何か差があるのかということで見てみたわけでございますけれども、有意な明確な差というのは認められないということではないかということでございます。

また、左下のグラフというのは、アメリカの送電投資の推移というのを見たわけでございますけれども、この最大電力の伸びに応じて投資額自体は伸びているということがうかがえるというところで、これも何か顕著な差というのか、影響というのをここから読み取ることはなかなか難しいのではないかと考えております。

それから、次に3ページ目でございますけれども、これはドイツの例でございます。ドイツは1998年に全面自由化をやったわけでございますけれども、その際に一時、数十社の新規参入者が入って、既存事業者も価格競争に巻き込まれた時期というか、対抗的に料金を下げた時期がございます。これは98年から2000年にかけて、実際に料金をアグリゲートした数字でも顕著に下がっているわけでございます。実はこういう非常に価格競争が激しく行われた時期にドイツの電気事業者の設備投資額がどう推移したかというのが左でございまして、これで見る限り、98年から2000年にかけて料金の低下をした時期とちょうどオーバーラップして投資額自体は減っている。特に電源投資が大きく落ち込んだ時期でございます。

その後、設備投資というのは回復して料金も、価格競争の結果が決着したということもあるのかもしれませんけれども、料金もだんだん戻ってきて、それに応じて設備投資というのもほぼ横ばいで推移をしているということでございます。

それから、4ページ目でございます。これは例えば電源構成に何か影響が出てくるということがあり得るのかということで、その一助としてイギリスの例というのを出しております。ただ、明確にこれが自由化したからこうなったと言い切れるかどうかというところはいろいろなご判断があろうかと思いますので、あくまでも判断材料とお考えいただければと思います。

イギリスでは、国営企業の分割・民営化、発電事業の自由化といったようなことで90年代にガス火力発電所(コンバインドサイクル発電)の設備容量というのがずっと大きく上昇してきたわけでございます。したがって、この十数年で非常に電源構成というのは大きく変わってきたということがうかがえるかと思います。

こういう電源構成になってきたときに不幸にもと言うのか、左下のグラフにありますように燃料価格というのが上がり始めて、イギリスも北海のガス田の枯渇といいますか、そういうことでガス価格が非常に大きく上がってきた。そういう中でそういうこともあり、右下でございますけれども、イギリスの電気料金というのは2003年、2004年あたりから非常に急上昇しているということがうかがえるかと思います。

それから、ページをおめくりいただきまして、自由化と原子力でございます。これは原子力立国計画を取りまとめる過程で原子力部会、あるいは自由化と原子力に関する小委員会でも取り上げられたところでございまして、その際の整理というのは、幾つか影響を与える可能性について言及をしつつも、いろいろな見方があるんじゃないかということで、特に自由化範囲の拡大だけで何か大きな影響が出るのかといったようなご議論もあったかと思います。そういう意味で、断定的な議論はその当時は行われていなかったということかなと思っております。

なお、その際、自由化と原子力に関する小委員会の取りまとめの中では、OECDのNEAのレポートを引用しながら、長期のリードタイムと投資コストの大きな原子力発電は他電源と比較して大きな投資リスクを抱える可能性があるという影響に言及しつつも、ただしということで、今後の原子力投資というのは需要の伸びだとか、原子力に特有のリスクもあるんだ。それも影響するということに言及するとともに、欧米で電力自由化が始まったタイミングというのがちょうどスリーマイルですとか、チェルノブイリという影響があって、欧米で原子力の新・増設がとまっていた時期なので、実証的にどうなのかとなかなか言うことが難しいのではないかといったような言及がございました。

なお、6ページ目にありますが、その後、昨今の1次エネルギー価格の高騰ですとか、地球温暖化問題の高まりということを受けて、諸外国でも原子力に戻る動きというのが出てきているということでございます。

それから、次に7ページ目、8ページ目でございますが、ここは主として小売サイドの話ということでございます。最終保障、あるいはユニバーサルサービスの確保に向けた諸外国の取り組み事例ということでございまして、まず、最終保障サービスにつきましては、欧州ではEUのEU指令に基づいて、各国とも十分なセーフガードを確保することが義務づけられているということでございます。アメリカでは、移行期間と移行後で違いますけれども、例えばスタンダードオファーサービス料金、デフォルト・サービス料金として最終保障サービスが確保されるような仕組みになっているということでございます。

ここの一覧表でございますように、各国ともだれが最終保障サービスを提供するのかということを決めたり、あるいは決める仕組みを持っているということ。それから、さらに需要応諾義務といって、需要の申し込みをしたところに応諾義務を課している国、あるいは州もあるということでございます。

なお、最終保障サービスに係る小売料金に対して、当初は規制がかかっているようなケースもあったかと思いますが、最近ではそれが撤廃される傾向にあるということ、あるいは入札などによってそれを決めるということが行われている例があるということでございます。

それから、次に8ページでございますが、ユニバーサルサービスということで、ここは2つのことを書いてあります。1つは低所得者対策ということで、公的プログラムによる対応、事業者による対応ということがとられているような事例があるということでございます。詳細は省きますけれども、ここの表にあるような事例があるということでございます。

また、ユニバーサルサービスでよく言われるのが遠隔地、離島というところ、いわゆる供給コストの高いところに対してどういう手当てをしていくのかということで、フランスの例ということでここで書いてございますけれども、EDF、あるいは都市部の非国有配電会社が電気料金収入から別途拠出を行って供給費用の補てんを行うようなケースがあるということでございます。

ですから、おそらく仮にやる場合に託送料金をどういうふうに設定をするのかというところで、仮に託送料金が均一であれば、系統につながっていればこういったユニバーサルサービスの設計というのは容易になろうかと思いますし、ただ、その場合、離島、系統につながっていない独立系統になっているところをどういうふうにしていくのかといったようなことがあるということではないかと思います。

以上でございます。

金本座長

どうもありがとうございました。

それでは、一応、今から1時間半弱、時間をとってありますので、ただいまのご説明につきまして各委員と、それから、オブザーバーの方々からご意見をいただきたいと思います。

初めの2つについては、小売自由化範囲を拡大するほうがいいかどうかといったことにかかわる話かなと思います。後者のほうは小売自由化、もし全面自由化をするとしたらどういうふうな影響が発生するかなといった感じに整理できるかと思います。とりあえず、その最初の2つについて少しご議論をいただいて、その後、最後、3番目というふうにいったほうがいいのかなという気がいたしますので、とりあえず最初の2つについてご質問、ご意見をお願いしたいと思います。今さっき申し上げましたように、ネームプレートを立ててご発言をお願いいたします。何かございますでしょうか。

山地委員、どうぞ。

山地委員

ワーキンググループということなので、ちょっとテクニカルなことで確認的な質問ですけれども、お願いしたいと思います。

資料6のエネ研さんが説明されたところで、スライドの番号で言うと2枚目のところのケース設定と効率化の考え方の右下の枠のところに書いてあるところですけれども、やり方は大体理解した。参考に報告書がついているんですけれども、それは読んでいないので誤解があるかもしれない。2段落目に、「全面自由化・競争促進ケースでは過去の効率化及び海外事例を考慮し、2005年度比10%の効率化が2015年度に達成されると仮定」とあるんですけれども、その前の資料5のところの説明だと、少なくとも海外事例では顕著な効果がないというふうに私は理解したんですけれども、そこと何か整合性がとれているのかどうかということですね。

それから、その次のパラグラフのところも、この係数1.3というんだけれども、これが非常にアービットラリーで、何か根拠が薄弱だなという気がしています。

それと、その次の3枚目のところですけれども、実務的費用のうちの、全く誤解かもしれないんですけれども、検針・メーター費用と営業活動費用というのは、電気事業者の中の費用ですよね。これは戒能さんが推定されたという、さっきの1.24円/kWh下がったというところに、この検針・メーター費用と営業活動費用というのも入っているのではないか。そうしたら、それは何かこっち側に入れてくるのは、つまり実務的費用に入れるのは何か変なような気がする。紛争処理・システムは、多分、これ、外につくるものですから、いわゆる社会的費用だと思うんですけれども、(1)と(2)が、まあ、費用は発生するんだけれども、本来、それは電気料金にかぶさってくるものではないか。それは戒能さんの1.24円という中に入っているんだとすると、こっちに出すと何か変ではないかということ、この3点なんです。

金本座長

では、小笠原さんから。

小笠原グループリーダー

まず、1点目は海外事例で、そもそも効率化について顕著な効果がないという紹介との整合性でございますけれども、幾つか海外事例でどのぐらい効率化ポテンシャルがあるんだろうかというような研究を参照させていただきまして、実はその幅が5%、4%ぐらいから20%ぐらいまであるとかというような研究事例があって、それがそのまま日本に適用するのはどうだろうということもあり、過去の料金の引き下げ、平均費用の削減のトレンドということを合算いたしまして、仮として1割という数字を設定させていただきました。

2点目が1.3という係数の問題でございますけれども、これは現行の自由化範囲から、これは6割程度ございますけれども、それが全面自由化された場合ということになりますと、市場全体が1.6倍になるということになります。ただ、そんなにマーケットの市場の拡大というのがダイレクトに1.6倍の効率化効果があるんだろうかということについては断定するには異論がございまして、ここは非常に大ざっぱな考え方でございますけれども、効果がないというものと効果があるというのが1.6ということになりますので、間の1.3というものを設定しまして、これもどういうふうに設定したらいいんだろうということもあるので、とりあえず感度分析でゼロから1.6の間で振ってみた場合の効果もあわせて見ております。

それは感度分析の推計結果というところで、6ページ目のところに、効率化係数1.0、1.3、1.6という形で紹介させていただいておりますけれども、結論的な点でいきますと、大きくそれがケース設定のところで効果があるということでもない。ただ、ケース間の差ということになりますと、1の場合は全面自由化するしないということに対して差がないということになりますし、1.6ということになると、かなりの差が生じるということになりますので、ケース間の差というのはありますけれども、一応、そういう形で試算させていただいて、それらを読み込んで評価させていただいたということでございます。

それから、3点目、検針・メーター費用と営業活動費用でございますけれども、まず、検針・メーター費用ですが、もちろんこれは電気事業の営業費用に入っております。ただし、制度を移行するに伴いまして、例えばプロファイリングをやる場合にはサンプル的にインターバル・メーターをどこかの需要家につけてデータを収集するですとか、プロファイリングの推定をする、もしくはインターバル・メーターを離脱需要家に全部つけていくというのは、これは追加的な費用になりますので、そうした増分について推計させていただいたので戒能さんの調査結果との増分に該当するものになります。

また、営業活動費用につきましても、これも当然、費用の内数に入っておりますが、それぞれ各ケースにおきましてどの部分が追加的に増えるのだろうかということを推計いたしまして、それで設定させていただいておりますので、その部分の効果額は省かれていると考えていただければと思います。

以上です。

金本座長

ちょっとだけ、私もこれを見ていましたので追加させていただきますと、最初の選択肢の確保状況であまり効果がなさそうだという話と、2番目の費用便益分析では効果があるとなっているという話ですが、これはどういうふうにやったかと申しますと、最初の資料に出てきたのは、今までの自由化にプラスして家庭部門を含めた自由化に拡大することによってどの程度の効果が出るかというのを、便益をどれぐらいとかということではなくて、若干、印象派的な証拠をいろいろ集めてみたという話で、どうもそんなに大きな効果がありそうにないなという感じだということだと思います。

ここはもう少し数字を試算をするとどうなるかということでやったんですが、海外の例を見ても、家庭部門に拡大をすることによって効率化効果がどれぐらいあるかというスタディーのちゃんとしたものは見つからないということでしたので、ここでは、全面自由化、それで、かなり事業者の数が多くて競争性が高いといったことを想定して、そのことによる効率化効果がどれぐらいかというふうなことが海外の研究で幾つもあるということで、今さっき小笠原さんから紹介がありましたように、5%から20%とかかなり幅がありますが、いろいろなスタディーがあるということで、それを使って全面自由化プラス競争促進でかなり大胆な競争促進をやったというDケースの数字を置いたということになります。

海外は5%から20%とかという話があったので、自由化全体で1割といった数字を設定してあるということです。その1割の中で、いろいろなものを組み合わせると1割になるんだけれども、全面自由化だけでやるとどれぐらいかというのをまたあといろいろな想定をして数字を出したということになります。

ちょっとだけつけ加えますと、基本的にこういう大きな制度変更をしたときに競争促進によって事業者の方々が頑張って、その結果、どの程度のコスト削減が起こるかということを予想するということになりますが、もともと無理難題という問題でありまして、なかなかきっちりしたものは出ない。そこで、いろいろほかの情報を集めまして、大体この程度かなという数字を試算したというものだというふうにお考えいただければと思います。ただ、そんなにめちゃくちゃやったわけではなくて、それなりに集められるものは全部集めて、こんなに、例えば3割も効率化できるとかというのはまずあり得ないだろうなといったふうなことをいろいろ考えて積み重ねた数字だといったものだというふうにお考えいただきます。

したがいまして、こういうもので便益が費用を上回ったから必ずやるべきだとか、そういう短絡的な行動はとらないでいただきたい。いろいろな仮定を積み重ねて推計をした結果、大体こんな数字が出ましたけれども、じゃあ、皆さんそれぞれの想定についてどういうふうに判断をされて、最終的にどういうふうに結論づけるかというのはちょっと違ったレベルの総合的判断になるというふうにお考えいただければと思います。

山地委員

そう思います。だから、2ページ目のベネフィットのところは別に意地悪するつもりはなくて、まあ、難しいだろうなと思いながら聞いていた。ただし、3ページ目のところは、今までの特高とか高圧の場合には検針・メーター費用とか、あるいは宣伝とかというのがそれほど増分にはなっていなかったと思うんだけれども、これからの全面自由化のときに特に多く実務的費用としてかかるんじゃないかと思う。僕はそういう答えを期待していたんですけどね。

金本座長

そういうふうに読めなかったかもしれませんが、小笠原さんの回答は、そういうことだというふうに私は勝手に解釈をしておりますが、この辺はイギリスでの全面自由化についてかなり議論になったところで、有名な経済学者の方が反対をされて、システム構築費がこんなにかかるので全面自由化をやるべきでないという議論があったんですが、まあ、それを参考にこういうものがかなり重要だろうということで推計をつけ加えたということであります。この辺のものは戒能さんのところには、基本的には入っていないというところでありますので、別途別出しにして推計をしていただいたということになろうかと思います。

片山さん、何か。

片山電力市場整備課長

いえ。

金本座長

よろしいですか。

では、山内さん。

山内委員

関係していることなんですけれども、いわゆるレギュラトリー・インパクト・アナリシスをやって政策とか法律の効果を見てからという話があります。ある意味でこれもその1つだと思うんですけれども、ただ、おっしゃったように、便益にしろ、費用にしろ、前提に依存して計算されているわけです。そのような前提を置いた上でまた大きなシミュレーションをしてどうだということなんですけれども、ただ、レギュラトリー・インパクト・アナリシスもそうなんだけれども、それぞれ例えば便益と、簡単に言うと便益サイドとコストサイドでどれだけ正確にとらえられるかということに関しての非対称性のようなものがある。便益は難しいけれどもコストは絶対わかるとか、あるいはやったら、こうこうこういう便益は絶対出てくるけれども、これは出てこないかもしれないとか、あるいはコストでもそうですね。

そういうようなことが結構重要なところがあって、それで、さっき金本先生がおっしゃったように、これでB/Cをやったら1を超えた。しかし、超えたということよりも、何かその辺の知見といいましょうか、そういうものがすごく重要だと思うんですけれども、その辺はいかがなのかなと思います。何か追加的な情報がそこについて得られればと思いますけれども。

金本座長

私のほうから概略お話をして、あとつけ加えることがあれば小笠原さんに追加して頂きたいと思いますが、まず、便益サイドは、今、お話ししましたように自由化が拡大されて、競争によってどの程度トータルのコストが下がるかという予測になりますので、これは非常に難しい。ただ、今さっき申し上げましたように、これから3割も下がるというのは、まあ、ないだろうというふうな感じかなということであります。こういうトータルで1割という想定をしていますが、これがゼロというのはあんまりないだろう。2割までいくのは結構厳しいかな、そういうふうな数字だと思っていただければいいのかなという感じになります。

あと、実務的費用については、もう少し信頼できるかというと必ずしもそうではございませんで、検針とかメーター等の費用についても、これは我々というか、事務局が公表資料に基づいて推計をしたというのが基本でありまして、電力会社さんにちゃんと見積もりを出していただいて、これをこうやるとこうなるというふうにやったものではないというレベルであります。そのほか、広告宣伝費用等についてもほかの産業の事例をベースに推計をしているというわけで、かなり幅のある数字だというふうにとらえていただいたほうがいいのかなという感じがいたします。

山内委員

例えば事業者を選択できるようにするということになって、それで料金のプロファイルなんかを全部違ったものの中から選択する。そういうことに持っていくために、いわゆるトランザクションコストがいろいろ出てくると思うんですけれども、ここでさっきのメーターのケースなんかも、ある意味で物理的なトランザクションコストになると思うんですけれども、消費者が何かそれに対して選ぶための情報収集コストだとか、そういうものもほんとうは別途あるはずですよね。その辺が入っていないということですかね。

金本座長

入っていませんね。何か小笠原さんのほうからつけ加えるところはございますでしょうか。

小笠原グループリーダー

ありがとうございます。金本座長のご発言とそれほど大きく変わるものではないんですけれども、一応、検針・メーター費用、紛争処理・システム費用というところは、これは基本的に海外で幾らかかったかというところに基づいて試算しておりまして、こちらについては確かに例えばメーターのコストとかも技術開発で下がるかもしれないとか、大量生産になった場合に幾らぐらいになるとか、そういうことがありますので、ある程度幅はあるだろうと。ただ、その幅も見込みながら推計をしておりますので、そういう点ではものすごく大きく外れるものではないのかな、多少、そうした変化の余地というのはあるだろうけれどもと。

一方で、営業活動費用などというのは、これは実際、どの程度かかるかというところは、諸外国の事例などでも判断できないところなので、ケースを設定して推計させていただいたということで、若干、そういう点で確実性が劣るかもしれない。そして、効率化効果については、さらにというような順番かなと思います。

あと、情報収集費用ですとか、あとこちらの計上ができていなかったんですけれども、例えば需要家教育費用ですとか、そういうものをやるとすればというような費用については、今回、推計できておりませんけれども、それも追加的に発生する可能性はあるというふうには考えております。

金本座長

横山委員。

横山委員

ありがとうございます。先ほどのご質問と関連するメーターのところなんですけれども、先ほど小笠原さんのほうから費用推定の考え方のところで高費用と低費用という説明がありましたけれども、3ページのほうの費用推定の考え方では、メーターの離脱需要家のみ設置するケースと全数設置のケースの費用試算というコメントもあるんですが、この高費用のほうは全数設置ケースの費用も含んでいるのかどうかというところの確認が、まず1点目の質問です。

それから、そのメーターなんですけれども、コストが高いというのは初めからわかっていることなんですけれども、今後の家庭需要家における分散型電源の設置とか、いろいろな将来の家庭の電気の使い方とか、電気をつくることも、それから、使うことも考えながら、この分散型電源の制御とか、それから、たくさん分散電源が入ってきますといろいろ配電系統の問題とか技術的な問題が出てきますので、そういうことに対するさまざまなメーターの多目的な使い方を考えないと、やはりメーター料金、設置料金というのはペイしないと思うんですね。

イタリアのスマートメーターなんかの例を見ましても、単なる自由化のためだけのデータ収集ではなくて、需要家が引っ越しをしてきたときにすぐメーターを入れたり切ったり、料金を払わない人は電気を切るとか、そういう制御にも使って初めてコスト的にも見合ってくるんじゃないかと思いますので、まあ、現時点でメーターを離脱需要家だけに入れるというのは1つの手もかもしれませんが、全戸数に入れるというのはまだ時期尚早かなという気が技術的にはします。ですから、将来、分散型電源が需要家に入ってくるということ等、需要家のコントロールも考えてそういうメーターの導入というものを技術的には考えるべきかなというコメントです。

それからもう1点は、後の家庭部門も含めた電気事業者の企業行動に与える影響についてのところでユニバーサルサービスの話が出ましたけれども、これは多分、制度のつくり方いかんだと思うんですけれども、託送料金にユニバーサルサービス料金が乗ってくると思うんですけれども、そういう料金はやはり一般家庭の皆さんにとっては電気料金の上昇につながると思いますので、その辺の定量的な金額も制度いかんによりますけれども、やはり一般の需要家の方にきちっと示して議論をしたほうがいいんじゃないかなという気がいたしました。どれぐらいのお金になるのかなというのが私の興味があるところなんですけれども。

以上でございます。

金本座長

最初のご質問については。

小笠原グループリーダー

1点目のメーター費用につきましては、すみません、こちら離脱需要家に対して設置するという考え方に基づいていて、そのメーターの単価の低いものと高いものという形で設定させていただいております。ですから、ちょっと記述のほうが。

横山委員

3ページに書いてある費用推定の考え方に、全数設置の試算とあるのは、これは出ていないわけですね、ここには。

小笠原グループリーダー

そうです。すみません。

横山委員

はい。わかりました。

金本座長

どうぞ。

片山電力市場整備課長

今後のスマートメーターについてのご指摘でございますけれども、我々も海外の事例なんかを結構調査したことがございまして、最近、特にヨーロッパですとか、アメリカ、カナダなどでスマートメーターを全数導入するという動きが結構出てきております。典型的にイタリアのENELなんかは短期間のうちに全需要家に設置をしたということでございますが、動機はヨーロッパとアメリカで違うようでございまして、ヨーロッパの場合にはもともと検針の頻度が非常に低い。年に1回とか、そういう頻度でございます。日本のように毎月、毎月検針をやってすぐ料金を請求できるというシステムができ上がっているというのは非常にまれな例なのかもしれませんけれども、そういうところで家庭用全面自由化をやって、検針の頻度が低いのに、その間に電力会社を切りかえるといろいろなトラブルもあるということで、だんだん検針の頻度を毎月というふうに義務化をしようという動きというのが1つございます。

例えばそういうふうになると、人手でやるよりはハード、ソフトを組み合わせたほうが安上がりだといったような動機。あるいは逆にその検針の頻度が低いと取りっぱぐれとか、いろいろ盗電とか、そういったようなものを例えばスマートメーターで遠隔検針をやることで、何か悪さをされるとすぐに制御できるということで、どちらかというと、今まで取りっぱぐれていたものが取りっぱぐれなくなるということで費用が回収できる。これは多分、イタリアのケースじゃないかと思いますけれども、そういう比較考量で進んでいるのがヨーロッパじゃないかと思います。また、アメリカなどの場合ですと、ディマンド・サイド・マネジメントの可能性を追求することでペイするんじゃないかといったような動きもあろうかと思っております。

ただ、いずれにせよ日本の場合、長い年数かけて非常に効率的な検針システムが逆に人手ででき上がっているというところがあって、そういう新しいメーターを入れることによってどういうメリット、どういうコストが発生してくるのかということに依存しているのかなと思っております。

それから、ユニバーサルサービスと料金との関係ですけれども、今の日本のご家庭用の電気料金というのはユニバーサルサービスを担保しておりますので、少なくともそのコストは既に含まれた形で料金を今ご負担いただいているということではないかなと思っております。したがって、確かに先生ご指摘のように、仮にやったとしたら幾らになるんだというのを示すべきだというのは、ご指摘ごもっともなんですが、今の段階でやるのはなかなか難しいかなと思っておりまして、もともと検討のフレームワークのところにありましたようにユニバーサルサービスですとか、最終保障というのはやることを前提にした場合にどう制度設計するかという話で、今、まずはやるのかどうかという議論をしていただければということで、今、直ちにそういう試算をしているわけではないということはお断りしたいと思います。

以上です。

金本座長

今、ございましたような感じだと思います。あと、メーターについては、今、ここでの計算は、現時点で全面自由化をやると想定したらどうかという計算をしていまして、これから5年後、10年後は事情がすごく変わっているかもしれませんねということは、皆さんお含みおきをいただきたいと思います。

鶴田委員、どうぞ。

鶴田委員

ありがとうございます。資料6の1ページの算定式を見ていますと、αが決定的に重要です。αは効率化率ですがこれを外生的に与え、このαがS、つまり、t期の効率化効果に非常に大きな影響を与えます。このSが平均費用にかなり効いてくるモデルになっているわけですね。このαを外生的に与えざるを得ないのですけれど、そうすると戒能推計がものすごく重い位置を占めております。先ほどご質問がございましたけれど、この戒能推計を容認するか否かということによって結論が変わってきます。

本来、平均費用が下がるというケースは、構造変動が起こっている状態です。別の言葉を使えば経営全体の生産性が上がるとか、あるいは技術進歩があったとか、そういうことによって平均費用が低下してくることになります。このような構造変動が起こっているような状態で厳密に推計しようとしても難しい面が多々あります。そこに計量分析の限界があると私は思っています。例えば、成長モデルで将来のGNE、つまり一国経済の潜在成長力を推計する場合ですと、資本とか労働の投入量で説明できない残差を技術進歩とするとか、あるいは別のモデルですとダミーを使って推計するとかして技術進歩を計量的に推計していくのが一般的なやり方です。したがいまして、このモデルでは戒能推計を容認するか否かというところによって決定的に結論が変わってくるだろうと思います。

ただ、今のところ効率化率を外生的に与える場合に、信頼できる外生値としては戒能推計以外にはないと思いますから、しかも、私は戒能推計に代わる代替案を持っておりませんから、容認するも容認しないもこれを受け入れざるを得ないと思っております。ただ、注意する必要があるのは、こういう計量分析はは、トレンドで将来像を画いていくわけですが、効率化が起こるということは構造変動が起こっているわけであって、そういう意味では構造変化に対して企業の対応力とか、経済の対応力とかはなかなかわからない。分析者の洞察力に依存する面が多々あります。

実は私には苦い経験があります。1970年代初期の第1次石油危機のときに石油価格が高騰し、この結果として日本経済は大きな構造変動に直面しました。そのとき私は財団法人国民経済研究協会で中期モデルを活用しながら中期予測の責任者で悪戦苦闘したことがあります。つまり激しい構造変動が起こっていますから、いろいろな関数をつくってみても、結局は過去のトレンドから将来を推計することになりますから導かれた推計値はどうも現実離れしたものとなります。

もう亡くなられましたが、名古屋大学の飯田経夫さんに「鶴田さん、随分苦労しているね」なんて言われたことがあります。その辺が計量分析の限界であって、この平均評価0.49で平均費用が低下していくか否かは、将来、変わり得る可能性があり得るんだと認識しておく必要があります。こういうことを認識した上で、この分析結果を私たちは観察し、試算結果から何らかのインプリケーションを読み取ることが必要だと思います。

5ページの試算結果を見ますと、これから導かれるインプリケーションは極めて明確に出ております。損益計算をしてみると、全面自由化ケースの場合ですと余剰よりも損失の方が大きい。全面自由化・競争促進ケースでも多少の余剰は出ますけれども、決して大きくない。余剰が大きいのはCの競争促進ケースとなりますから、私はこのペーパーを拝見したとき、この分析者の分析意図はやっぱり競争促進ケースを訴えることにあるなというふうに私は読み取ったわけです。

それで、実はこれは結論みたいになっちゃうんですけれども、資料の5、6、7を重ね合わせると、見事な物語を読むことが出来ます。そのことを今申し上げると、もうこの会は終わっちゃうことになりますから、今申し上げないで後ですることにして、一応、計量モデルについてのみ私の印象を申し上げておきたいと思います。

片山電力市場整備課長

今、鶴田委員ご指摘の経済産業研究所の戒能研究員のモデル分析というのは、実は制度改革評価小委員会で過去の効率化効果のうち、外的要因とそれだけでは説明できない残りを制度改革要因というふうにしてお示しした、実はその下敷きになっているのがここで言及されているモデルでございまして、そのやり方は明確に説明変数で説明できるやつはそれぞれ割り当てていって、最後、説明できない残りがきっと制度改革要因なんだろうというようなやり方でやったものでございます。したがって、相当の振れ幅があることを前提に、ただ、あのときはたしか4割ぐらいが制度改革要因というふうに言えるんじゃないかと言っていたかと思います。そのモデル分析の数字というのをとりあえず下敷きにして、今回やったというものでございます。

以上です。

金本座長

あと、つけ加えますと、そういうモデル分析、実証分析で使ったのは、ベースラインのケースの設計で使ったと。それからどれぐらい振れるかというのは、「えいや」と置いたといったことになります。「えいや」と置いた部分について、どこをどう変えるとどうなるかというのは、実は計算はすごく簡単でございますので、興味がある方は皆さんやっていただければと思います。ストーリーをきちっとつくるためにいろいろなものをデータ・エヴィデンスを集めてがっちりやったといった感じではなくて、振れることは振れますけれども、こういった想定に立つとこんなものかなといった感じだと思います。

松村委員、お願いします。

松村委員

まず最初に鶴田委員との連続のところですけれども、この試算結果を見て競争促進というのに点があるんだなというふうに僕は必ずしも読み取らなくて、本質的に同じことを言っているんだと思うんですが、競争環境を整備しないで全面自由化すると相当悲惨なことになる可能性がかなりあるというふうに私自身は読み取りました。制度をうまくつくっていって競争を促進するということは必ずうまくできるとは限らないというわけなので、そこの手当てをきちんとしないで全面自由化するとかなりまずいことがあるということなのであって、この5つの選択肢の中で断トツでこれが一番いいと、こういうことを言ったものではないと一応理解はしています。

それから、細かいことで申しわけないんですが、先ほど広告費のところ、「えいや」とやったということで一応安心はしたんですが、僕はこの広告費は明らかに過大じゃないかと思っています。例えばここの状況がよく似ている産業というのは、通信におけるメタルの市場なんていうのは、仮に全面自由化した後の電力の市場の構造に非常に近いんじゃないかと思っているんですが、実際に家庭まで自由化されるわけですし、成熟産業だし、ドミナントなエッセンシャル・ファシリティーを持っている企業というのがいて、それを使って参入する企業がいるという構造ですから、そういうところの広告料の割合にかなり近いところに落ちると考えるのがわりと自然な1つのストーリーではないかと思っています。

あえてメタルと言ったのは、例えば光ファイバーだとかというのは盛んに宣伝していますが、これはメタルからのマイグレーションというのをもたらすためにやっているということで、電気で言えばおそらくエコキュートというのを売り込んで、既存のガス事業から需要をとってくる、拡大するというようなところでの広告というのに非常に近い状況だと思うんですが、これは自由化しようがしまいが一定程度、力を入れてやっていくところだろうと思いますし、同じ通信でもおそらく移動体というのとは市場構造が、おそらく自由化した後でもまるで違うということだと思いますから、そういうようなところというのを称して幾つかのストーリーというのがほんとうは書けるのではないかと思っています。

あわせて、海外の事例で広告費というのが自由化された国というのは、ほかの一般消費財並みに広告費というのを恒常的に投入しているのかというと、何となくそんな気はあまりしないんですが、そういうようなところもほんとうは1つの手がかりになる。これは1つの試算のストーリーとして十分だと思うんですけれども、費目としてはコストの中で最大の大きさというのになっているわけで、ここが半分になるとかというようなことをすればドラスティックにコストの大きさが変わっちゃうということになるので、感度分析という言い方は変かもしれないんですが、ほかのストーリーについてももし検討していただければ大変助かります。

以上です。

金本座長

ここのところはなかなか苦労したところでありますが、小笠原さん何かありますか。

小笠原グループリーダー

確かに広告宣伝費の見方については海外事例も調べたんですけれども、そこまでの費用の内訳というものをとれなかったということから、ほかの産業でどのぐらい発生しているかということを参考にして設定させていただいたものになります。そういう意味では、参考にさせていただいた産業平均、それから、通信産業全体の広告宣伝費の割合というのが過大か否かというところは、これはある程度不確実性の高いところですので、おっしゃるようにシミュレーションではないですけれども、このレベルだったらどうなるかというようなこともできるのだとは思います。ただ、こちらの計算はそういう難しいものではないので、大体半分ぐらいだったらこうだとかというのは、そのまま足したり引いてしていただければ、そのまま数字として勘どころはつかめるところですので、そういうふうに理解していただければと思います。

金本座長

数字がどうなるかというのは、すぐに歴然としていますので、その分だけコストが下がりますということになります。

では、西澤さん。

西澤オブザーバー

ありがとうございます。私もこの資料6ですか、ずっと説明をお聞きしてどうしてもよくわからないところがあるんですけれども、結論をどう見るかというのは、おそらく金本先生がおっしゃったように、この便益のところは、いわゆる仮定というんですか、1つの置きなんですね。戒能さんのあれをどう評価するかというのはあるんですけれども、あれはおそらく片山さんがおっしゃったように残差で、だから、説明変数がもっと増えれば減っていくかもしれないし、いろいろありますけれども、今のあれで最大限やると、あれだけ残差が残って3割から4割ぐらいはあるという形で、それを伸ばしていったと。それが時間とともにどうなるかというのは、またいろいろ評価の分かれるところかなという形で、これは仮定であると思っています。

大事なことは、コストというのは、移行コスト、これはある程度かかるかなと。幅は確かに小笠原さんがおっしゃったようにあると思いますけれども、いろいろなメーターとかも含め、いろいろなコストがかかりそうだというのが1つの評価といいますか、結論としてわかったことかなと。そこをもうちょっとどのくらいかかりそうかどうかというのは、つまり、余地があるかというのはこれからあるかとは思っていますけれども。

それからもう一つ、あわせてこの資料5のところでいろいろ確保状況等でありまして、海外の事例がいろいろここで述べられています。ここをどう評価するかというのも、いま一つ大事かなと思っています。先ほど先生方からも幾つかありましたけれども、やはり家庭用というのは非常に母数というんですか、めちゃくちゃ大きいんですね。そのためにいろいろ新規参入の諸外国の例を見ても、やはり低いというのが実態としてあるかなというのはございます。それから、そのためにいろいろ諸外国の例を見ると、強制的にというんですか、人為的にというか、供給先を強制的に変更させたりとか、いろいろな形をとっている。そういう意味で、いろいろ規制の圧力というのがあってやっているのかというのは、そこをどう考えるかというのも1つあろうかなと思っています。

あと、最終保障とかユニバーサルもほんとうにこれが、先ほど片山さんがおっしゃいましたけれども、これを全面自由化をやるときにどういう形で手当てするのか。しないということはおそらくないと思うんですね。ただ、どういう形で手当てをするのか。それと、諸外国ではこういう形で、先ほど事例がありましたけれども、手当てしていて、フランスはたしか基金でやっていたと先ほど書いてありましたけれども、これはみんなで出し合って、そういう基金方式みたいのでも離島とか何とかのやつは支え合っていくとか、そういう方向でやるのが、みんなで出し合ってやるというのをどう評価するかとか、そういうところの考え方というのは、ここで議論があってもいいかなとは思いました。

以上でございます。

金本座長

どうもありがとうございました。

非常にうまい整理をしていただけたのかなと思いますが、基本的に移行のために、かなり高いコストがかかるというのは事実で、それを上回る便益がどこに発生するのかなという視点でとらまえる。これについてはいろいろな意見が多分あり得ると思いますが、ここで想定したのですと、単に拡大だけではあまり出ないだろう。効率化効果というのがもっと大きく出るような合わせ技をするといいかもしれないですねといったように読めるような形にはなっております。最終的にどういうふうな格好で分科会に出していくかというのは、またご議論させていただきたいと思います。

あと、資料6についての議論ばかりなんですが、せっかくまとめていただきました資料5のほうについても少しご議論をお願いできればと思います。もしどなたもないようでしたら、三村さん何かこれについてあれば。

三村オブザーバー

これまでの皆さまの議論は私には難し過ぎましたので、一応、言いたいことは用意してきましたけれども、ちょっと遠慮しておりました。また先に行かずに戻って恐縮ですが、自由化すれば多様な事業者によって顧客の奪い合いが始まるという制度面での変化が起こってきますし、電力会社と新規参入者が市場をベースに価格を示して競争するという価格面での変化。これが自由化だと理解できるようになってきました。その中で私たち一般家庭の人たちは電気の供給者を選べるということになるのですから、いろいろ問題がありますが、自由化されたら一般家庭の人たちはそれなりに考えるんだろうと思います。

ただ、今お示しくださった資料6の試算結果のところを見ますと、全面自由化すれば移行の費用も含めいろいろな費用がコストとしてかかってくることが見えてきました。例えばメーターの費用はだれが出すのということなど一般の人は、今は、電力会社さんの手のひらに乗せられて、それなりに満足しているのか、そんなことを考えたことはないと思います。自由化という荒波にボーンと放り出されて、幾ら価格競争が出てきてもほんとうにそれで選べるのかということが私には見えてこない。そういう中で、費用がこんなにかかってくるのならば、今の内に一般の人に見えるようにしてから自由化を考えていただかないと困るなと思います。

結局、このような費用はだれが負担するかと言えば、やっぱり買い手のお客に分散されてかかってくるのが妥当な考え方だと思っています。こんな風に考えると自由化することはもう少し基盤をつくってからにしていただかないと、消費者は海に放り出されておぼれてしまうのではと心配です。一般消費者でとったアンケートの結果も料金が下がるから自由化はよいのではと賛成派が多いのですが、これは消費者団体のリーダー級の人の中にも同じように言っている人がいるくらいですから一般の人が考えるのは当たり前ですね。

自由化したときこのような費用が加算されても、もしかすると電気料金下がってくるかも知れません。しかしドイツの例のように初めは下がったけれども、後ほど上がっていくというふうになるかもしれないということも考えられます。専門家の先生方からみるとすごくつまらないことを言いますけれども、私は事業者と消費者の情報の格差のひどさということを押さえておかないといけないと思っています。初めに「安くなりますからうちと契約してください」と言って事業者さんが勧めたとします。確かに初めは安かったけれど、見る見るうちに価格が上がってきたとなったら、契約者に不実を言ったといわれかねません。また、値上げすることがあることを伝えなかったとして消費者契約法の不利益を告知しなかったということになりかねません。このように消費者契約法に抵触することになりかねません。私は電気も自由化されれば市場にある一般商品同様に消費者契約法の対象になり得るだろうと思っています。

それから、現在はどんな山の中でもよほどのことがなければ電気はきています。このようにユニバーサルサービスは当たり前の状況になっていますね。どうでしょうか、こんなところで出す言葉じゃないかもしれませんが特定郵便局の局長さんが2千人以上がやめています。私はいまその関連委員会にもかかわっているものですからよくわかっているのですが、実際に局長さんがやめたとしたら誰かが交替すればよいのですが、中には企業としてのメリットがないからと郵便局がつぶれていっているのも出ています。自由化後も全ての郵便局は守るということだったのにすでに廃止局が出てきているということを聞くにつけ電気も同じようになるのではないかと思うわけです。やっぱり人の失敗は上手に見習って進めていただかないといけないなと思います。

ありがとうございました。

金本座長

どうもありがとうございました。

こういうアンケートの解釈ってなかなか難しくて、聞かれたことに答えているということで、どこまで考えているかということも少しこちらのほうで推測しながら生かしていくということかと思います。

そのほか、何かございますでしょうか。西澤さんは今さっきので終わりですか、新しくこれについて。

西澤オブザーバー

いえ、皆さんいらっしゃいますからあれなんですけれども、アンケートも私も見たんですけれども、なかなか読みが、三村さんおっしゃったように、どう見たらいいかというのは、金本先生もおっしゃったようにあるんですけれども、地元の電力会社以外にあまりメリットを感じないとか幾つか、これをどう読むかというのはいろいろあるんですけれども、正直言って、我々が今やっているのは、まさに潜在的に今回の自由化というのは、いろいろ手を抜いていたり、例えば効率化も一生懸命やらなくて手を抜いていたりとか、サービスもおろそかにしていたら、どんどん新規参入者が来て、どんどんやられちゃうんじゃないかという潜在的な意味での競争圧力というのはひしひし感じて、それで一生懸命やっている。

ですから、まず自分のエリアのお客様を、そこをおろそかにして云々ではないものですから、そこを一生懸命大事にしてサービスもよくし、営業活動もいろいろしているという形はありまして、そこが料金としても効率化という形で下がってきたし、サービスもいい方向でも働いているかなという形かと思っています。ですから、アンケート結果でほかに地元の会社以外に何とかとかというのがいろいろあるんですけれども、我々としたら、弊社でも営業の人数を増やしたりして一生懸命、競争が非常に激しいものですから、ガスさんとかもいろいろありやっていますけれども、それはほんとうにある意味では、いい意味での潜在的な競争圧力というんですか、それは感じて一生懸命やっているというのが一部こういう結果にも大口のほうは出てきているのかなとは、個人的には思っております。

金本座長

鶴田委員、何か。

鶴田委員

ありがとうございます。このアンケートに関して、例えば13ページでしょうか、これを拝見していていろいろな見方がありますけれども、家計が自由化に対して意外と関心を持っているなという印象を持ちました。それから、自由化に対する是非で、電力自由化を実施したほうがよいというふうにお考えになっている家庭も結構多いなと。そういう意味で家計の期待感はそんなに低くないというのが私の率直な印象です。

先ほど三村さんが自由化に対してネガティブなこともおっしゃっていましたけれども、私は消費者として企業を選びたいですね。その企業が例えば環境問題に対してどう対応しているかとか、あるいは効率化に対してどう対応しているかとか、お客様対応がきっちりしているかとか、そういうのを見きわめて私はどこかの企業にボートしたいですね。ただし、その前提はおっしゃるように企業と消費者との間の情報をきっちり格差を埋めていくという努力をしなきゃいけないし、そういうのを前提として、私はやっぱり企業を選びたいと率直に思っております。後での議論になると思いますが、三村さんのご意見だったら、自由化はちょっと待ってよというふうになるのかもしれませんけれども、私は可能な限り企業を選びたい。

それからもう一つ、家計部門まで全面自由化ますと、独占財である送配電部門は別にして、あとは全部自由の領域になるんですね。自由主義経済が電力産業の隅々を覆うことになります。それによって企業の対応も随分変わるはずだと思いますから、そういう期待感が私にはあります。制度がすっきりするという利点もあるだろうと思います。

この資料を見ていますと、海外との比較がかなり重要な意味を持っていると思いますが海外のケースを見ておりますと、例えば料金の推移とか、家庭の対応状況とか、あるいはペンシルバニアの新規参入者のシェア等々見ていますと、全面自由化をサポートするデータが非常に少ないという感触を私は持っています。ただ、海外と比較する場合に注意しなきゃいけないのは、特にアメリカとかヨーロッパと日本とを比較をすることになるのですが、それぞれの国をめぐる条件が全部異なって参りますから余程注意して比較分析する必要があると思います。

たとえば、アメリカと日本と考えてみますと一番よくわかります。アメリカは日本の23倍の国土があります。日本はカリフォルニア1州よりも小さい。しかも、日本は可住地面積は約2割しかない。そういう意味で、カリフォルニアより小さいところで可住地面積が2割ですから、非常に狭いところで効率よく産業活動が行われているし、また、そういう産業の密度も、需要家の密度も非常に高いですから、日本独特の生産の仕組み、マーケットの仕組みができ上がって参ります。

例えばトヨタ生産方式は広く社会的分業の上に成り立っている。アメリカの場合ですとGM、フォードなどは一貫生産型ですから、日本の自動車産業のような分業の広がりはない。したがって、そういう分業の広がりがあるところでいろいろな技術がデベロップして、その結果、今日の日本の自動車産業はアメリカを凌駕しつつあると思います。需要密度が高いことによって、流通産業ではJust in Time Deliveryという日本独自の供給システムがつくられました。同じように、需要家密度が高いということは、電力を自由化した場合に諸外国のケースをそのままストレートに日本に持ってくるんじゃなくて、日本の中で例えば先ほど課長からご説明がありましたように、メーターを調べるにしても1カ月に一度調べられるし、しかも、普通のおばさんが歩いて全部メーターを見ていくわけですね。こんなことアメリカじゃできないし、ヨーロッパでも難しいと思います。電力、ガスの検針を共同化するとかいろいろ工夫する余地があるのではないでしょうか。

したがって、海外と比較する場合には日本の特性をきっちり頭に入れて、そして海外の情報を読み取るというふうにしなかったら、有益な結論は出てこないだろうと私は思います。ただ、今の場合に海外を無視するわけにいきませんから、海外でどういうふうだったのかなということを一応参考にしなければいけませんけれども、これに全面的に依存しては日本の特性が見えなくなります。このようなことを前提としてご呈示いただいた海外における全面自由化の資料を読みとって参りますと、自由化があまりいい結果を生んでいないなというふうに言えることは事実だと思います。

ただ、今の段階ではこれしかデータがございませんから、この限られた範囲で判断せざるを得ないと思いますけれども、将来のことを考えましたら、私は企業を私の目で選びたいですから、日本の社会の中で自由化した場合にメータリングの仕組みや、ユニバーサルサービスも含めてどれだけのコストがかかってくるのかということを検証しておく必要性は残っているのではないかと私は思います。

金本座長

日本でどうなるかというのはなかなか予測が難しいところではあろうかと思います。ただ、気づいたのは、今さっきの広告宣伝費の話がありましたけれども、各家庭に営業が回って取り合うというふうなビジネスモデルはペイしないというか、全体としてペイしないのだろうなと。だから、その辺は非常に節約しながら、海外でもネット上で選ぶということがありますけれども、そういった仕組みをするという感じじゃないと、全面自由化が社会的にペイすることはないんだろうなという気がしております。ほんとうにやるとなると、そういったことも含めていろいろな検討が必要かなということはあると思います。

じゃあ、三村委員、どうぞ。

三村オブザーバー

鶴田先生は、私が、ネガティブな意見を言っていると言われましたけれども、実際に私は自由化は避けては通れない、いつかは必ず自由化に向かうのだと思っています。分科会でも申し上げましたが、現在はまだ選択肢が少な過ぎると思っています。電力会社同士が競争してくださればそれでもよいのですが、そのことも申し上げました。選択肢がない中で自由化だけが先に走っていったら、先ほどのような費用負担も需要家にかけられることになりかねません。思っていたより電気料金は上がってしまうことになりかねません。このように自由化は失敗だったのではとなることは避けねばと思っています。私も、鶴田先生がおっしゃるように選べたら選びたいです。今でも選べるならば、私はヘルツの変換の部分がすごく大変だろうと思っていましたから、考えたことがなかったのですが、今は自由化したら関西電力から買ってみたいと思います。

ついでにもう一度申し上げたいのは、できるだけ沢山の選択肢をつくっていただきたいことと、消費者と企業との情報格差を解消することです。たとえば領収書の裏に、環境家計簿のようなCOの記入簿が載っていますが、一般の人が知りたい情報かどうか、またCOの計算をしたとしてもその量が多いのか少ないのかも説明がないのでは、計算するのは1回きりになりかねません。今、電力会社さんがホットラインをつくって、消費者の言い分や質問を聞いているというお話も伺っていますが、情報の交流ができる場にし、もっと表に出して欲しいのと、自由化したときにはできれば先ほどご説明のあったエネルギーウォッチのような機関が理想です。第三者までいかなくても、言いたいことが言え、差別化されない、機関ということです。

そういう状況の中で、一方的に企業がくださる情報を消費者が正しく読めるだろうか。しかもこれはほんとうに欲しい情報か。そうなれば、第三者がきちっとチェックして流してくださる情報があってもいいんじゃないか。私は消費者の代表の1人としてここにいるのですから、真の消費者の代弁者でありたいと思っています。

金本座長

おっしゃるとおり、一般消費者に拡大するというのは、いろいろなことをちゃんと詰める必要がありますし、そのための制度コストもかなりかかるかなという気はいたします。

山地委員、どうぞ。

山地委員

今度はちょっとアバウトな話ですけれども、コストベネフィット分析で、今回、資料をつくっておられるんですけれども、さっきから議論しているようにベネフィットはよくわからんわけですね。だから、コストが問題だ。だから、そこのところをもっと詰めればいいんですけれども、それがメータリングのコスト、まあ、宣伝費は別にしてメータリングのコストというのは、さっきヨーロッパの例もありましたけれども、改善の余地がほかの意味からある。自由化と無関係にですね。それは例えばガスもそうだし、水道もそう、マルチ・ユーリティリティサービスについてで、今後、情報化社会がどう進展していくかの中で画期的に安くなる可能性はあるわけですね。

だから、その条件をどう見るかというところはあると思う。現状で評価すると、どうも随分高そうだということですけれども、もうちょっと視野を長くして社会の情報化という点から見ると劇的に安くなる可能性はある。それが別の社会的便益を生む可能性もあるわけですから、ここでの評価はしようがないかもしれませんけれども、そういう要素も少し考えておいたほうがいいんじゃないか。そうなると、残るのはユニバーサルサービスをどう担保するかとか、そういう議論が出てくるのかなと思っています。

金本座長

おっしゃるとおりだと思います。今、ここでの結論というのは、5年後、10年後と全然違うかもしれないということは当然ある。あとは、メータリングに加えて重要なのはシステムのコストで、メータリングをして、その情報をとるというのが、新規参入者が個別に全部やるというのは非常に社会的コストがダブルの投資になって高いので、だれかが集めたやつをほかの人がちゃんと公平に使えるようなシステムをつくらなきゃいけないということで、これをどういうふうにやるかというのはまた、ほんとうにやるなら大変なんですが、電力会社さんが持っているいろいろなシステムを組みかえるという必要が出てきて、それが膨大な額だといったこともございます。この辺も将来、そういうソフトウエアが安くできるようになればまた変わるといったことでもあるしということでございます。

ただ、今回、我々が検討しているのは、今の時点で改革をするかどうか。今の時点で改革をするとなると、もう来年、再来年からすぐに準備をして始めるという話になって、これで当面、コストが高いのでやらないということになると、先送りをして、これを何年先送りするかというのは、またこれから検討といったことになろうかと思います。

そのほか何かございますでしょうか。鶴田委員、どうぞ。

鶴田委員

先送りするかどうかということを考える前提として、もし全面自由化するとしたら、今の時代だったら電気とガスは一緒でなければいけないと私は思います。と申しますのは、来年になるとガス会社さんのかなり大きなプラントが立ち上がってきます。そうすると、今の時点で電気を自由化した場合、ガスさんはガスと電気を併売できる。しかし、電気はガスが自由化されていないから電気だけしか売れない。これはやっぱり競争のイコールフッティングという観点から見たら不合理だと思います。

したがって、ガスさんのほうで大きなプラントをつくりつつあって、近い時点まで考えてみると200万kwぐらいになるのでしょうか、このような規模になりますと電気とガスは同時に自由化しなければならないと思います。ガスは保安の問題がありますから、それをきっちり詰めなきゃいけないし、今年、多分、ガスのほうも制度改革の議論をするんだと思いますが、そちらのほうに電気のほうからメッセージを送って、そちらのほうでも自由化のことを議論してほしいということになってほしいと思います。これは第1点です。

それから、先ほど来、やや資料についてネガティブなようなことを申し上げていますけれども、今の時点で我々が利用できる資料なり、それから、利用できる推計方法とか、いろいろ限界があることを認めつつ、その中でどういうふうに考えたらいいのかなというのがこのワーキンググループに課せられた課題だと私は思いますけれども、私は松村さんがおっしゃったように制度改革をきっちりやるべきだというのがこれからの電力産業を考える場合に大きなミッションだと思います。ただ、そこに行くまでに、先ほど申し上げましたけれども、諸外国のケースを見ていると、どうも全面自由化をサポートしにくい。

それから、この推計費用分析につきましてもいろいろな見方があるかもしれませんけれども、私は松村さんがおっしゃるように、制度改革をしない場合には非常に悲劇的な状況が起こりますから、制度改革をするということが大前提になりますけれども、全面自由化ケースよりもCの競争促進ケース、この競争促進ケースというのは制度改革を行うというふうに読みかえたほうがいいと思いますが、この余剰が一番大きいと思いますから、そういう意味では、部分自由化の中で徹底した制度改革をやることが必要なのかなと私は思います。

そして、このきょう提出された資料の需要家選択肢の確保状況についてでございますけれども、この11ページの需要家選択肢の確保状況に係る指標の評価についてですが、ここに要約されております。これを見ると「現在の高圧までの部分自由化範囲においては、各需要家に実質的な選択肢が十分に確保されているとは言い難いものの、将来的に選択肢が拡大する可能性は潜在的には存在している」。これは、この文章の行間にはやっぱり制度改革をきっちり行って対応していくことが、今の時点ではベストな選択じゃないかというふうに私は読み取りました。

それから、資料7を見ると、これも1ページのところでしょうか、家庭部門を含めた小売自由化範囲の拡大が電気事業者の企業行動にどう影響を与えるかというところでありますけれども、この冒頭に、一般電気事業者の家庭部門の需要家に対する事業法上の供給義務が解除されて、将来にわたる需要見通しの不透明さが増し、総括原価主義による料金規制、ひいてはコスト回収の保証がなくなるなどによって相当大きな影響を与えると書いてあるのですが、これも行間にあるのは小売の全面自由化はちょっと無理なんじゃないかというふうな認識がこの表現の背景にあるような気がするんですね。

そういう意味で、私は、自由化の旗印をおろす必要はないと思いますし、また、私は先ほど申し上げましたように企業を選びたいと思いますから、その環境をきっちりつくっていただきたいと思いつつ、なおかつ、現在、我々が選択できるのは可能な限り部分自由化の中で制度改革をきっちりやって、そして、もう少し効率的な、あるいは安定供給も含めて日本の社会にとって電気産業がもっともっと、需要家から感謝されるようなそういう産業になってほしいと思います。

金本座長

どうもありがとうございます。

この1枚目の資料と3枚目の資料はエネ庁の事務局の方が用意したものでありますので、これを全部うのみにする必要はないかと思います。これで妥当なものかどうかということについて、皆様方の議論をお願いできればと思います。

松村委員、どうぞ。

松村委員

限りなく脱線して申しわけないんですが、せっかくの機会なので三村さんにぜひともお願いしたいことがあるんですが、先ほど情報のギャップということの議論をされた。私もまさにそのとおりだと思うんですが、自由化されたとしたら、そのことは非常に重要な問題だというのは賛成するんですが、規制下でも、むしろそっちのほうが重要かもしれないということは当然あり得るわけでして、選択の自由が完全にある、ものすごく競争的な市場であるとするならば、消費者の信頼を裏切るような変なことをしたとすれば、もう買わないというような選択肢だって当然あり得るわけなんですが、その選択ができにくければできにくいほど、そういうものに対する消費者の不買という格好で与えられないということは、逆に言えば情報の問題は重要なわけですよね。

そうすると、例えばメータリングということが先ほどからずっと出てきていますが、今現在はスマートメーター、家庭用にほとんど入っていなくて、旧式のと言うと怒られるかもしれませんが、従来型のが入っているわけですね。自分たちが払っている電気料金の中の一体何%ぐらいがメータリング、このヘッド、古いメータリングのシステムに幾らのコストがかかっていて、電気料金の中でどれぐらいの負担をしているのかなんていうことは、一般消費者はほとんど何も知らないという状況になっているわけですよね。

そうすると、当然、関心もなく、関心も働かないという状況でほんとうにいいのかという問題を考えると、情報のギャップの問題は確かに非常に重要な問題ですが、自由化するしないにかかわらず非常に重要な問題であると私は認識していますので、ここでの結論が全面自由化になろうとなるまいと、その問題については今後ともぜひよろしくお願いいたします。

金本座長

脱線ついでに、規制下で消費者を守るのは、こういう審議会等の場に出ておられる消費者代表の方であるといった、そういうふうなことでもありますということかと思います。そういうルートが自由化すると基本的になくなるということなのかなということがございます。

大日方委員、どうぞ。

大日方委員

事務局に作成していただいた最初の資料5ですが、選択肢が拡大する可能性、潜在的に存在しているというのは言い得て妙というか、なぜ顕在化しないのかが問題なのだろうと思うんですが、発電部分の自由化は単にPPSに参入してよろしいということだけで成立してきたわけではなくて、託送制度、連系線利用及び市場創設とセットになっていたので、やはりその辺を総合的に見た、まだデータがそんなにたまっていないのかもしれませんが、これまでの政策の事後評価というのが当然あっていいのかなと。

自由化の審議のときに参加したという立場で言わせていただくと、PPSの数とシェアについては予想外に小さい、ちょっと寂しいという気もするわけです。ただ、これが目標ではないので、効率化が達成されて料金が下がることのが重要なんですが、でも、一応、間接的な指標として見ると、悪い意味で想定外なので、その原因が、犯人捜しをするつもりはないんですが、例えば連系線があいているのか、あいていないのかとか、託送料金が高過ぎるのか、高過ぎないのか、あるいは既存の、当時はそれなりにベストを尽くして制度をつくっているんですが、やはりまだ十分な効率化インセンティブが働かないような仕組みになっているのではないかということが必要ではないか。

あるいは市場についても、これはどういうふうに市場機能を評価したらいいかわからないんですが、例えば選択肢の数を問題にするとき、一番乱暴なのは一般電気事業者を企業分割させればいい。数だけ増えますから、それが一番簡単ですよね。それをとらないということで選択肢を増やすというのは参入してもらうしかなくて、だけど、過剰設備が嫌だったら、どこかから取引を持ってきてもらうしかないわけなので、市場機能というのはかなり重要ですよね。そういう託送なり連系線利用なり市場機能についての現状の点検評価というのがないと、現状をどう評価していいか難しくて、自由化範囲の量的拡大でいいのか、競争促進政策の多少質的転換を迫ったほうがいいのかというのには、宿題を出して恐縮なのかもしれませんが、もう少し資料があったら助かると思っています。

金本座長

一応、制度改革評価小委員会でそういう評価、事後的な評価をしたということになっておりまして、それが十分かどうかというのはまた皆様方のご判断かと思いますが、これから何をやるか、どういうふうに検討していくかという筋道ですが、とりあえず、まず家庭部門を含めた自由化をやるかどうかというのを決着をつけないと、これまであまり競争者のシェアが伸びていないとか、いろいろな問題について対策がほんとうにあり得るのか、何が問題なのかといったふうなことの議論を本格的にスタートさせるのは難しいんじゃないか、そういった判断でこちらが先に来ているといったことかなと思います。

一応、これまでの制度改革の評価については、概要が4月あたりの電気事業分科会の資料に

出ておりますので、皆様方にはそれをご参考にいただいて、今後、いろいろな制度改革を議論するとなると、そういうのを踏まえてご検討いただくといったことになろうかと思います。

鶴田委員

先ほどの松村さんと三村さんのご発言に関係があるのですけれども、実は前回の電気事業分科会で電力会社の請求書をもっとわかりやすくしてくれということを申し上げました。電力会社の請求書を見ると、1段料金、2段料金、3段料金とあって、それぞれがいくらと書いてあり、その結果として全体で幾らかという表示になっている。しかし、請求書をよく見ると1段料金、2段料金、3段料金が一体どういう料金なのかについての定義がないんです。東京電力以外から電力を買ったことがございませんから、関西電力とか、よその電力会社でどういう請求書をつくっているのか知りませんけれども、少なくとも東京電力さんのを見ると定義がないんですよ、このように1段料金、2段料金、3段料金が何を意味するのかが分かる消費者は少ないのではないかと思います。この事実に接すると、情報公開に対する電力会社の認識が甘過ぎるという感じがいたします。規制部分情報をきっちり出せとのご指摘は正しいと思います。

私は分科会で発電費が幾ら、流通費が幾ら、営業費が幾ら、経費が幾らとか、こういうのを書けないんですかと質問いたしました。企業と家計との情報格差を考えたら、請求書を見て一般の家計の方がわかるような請求書でなきゃいけないと思う。1段料金、2段料金、3段料金は一体それぞれ何を意味するのかということは専門家でなければわかりませんよ。電力会社はもう少しきっちりとお客様に情報を提供するということを親身に考えて戴きたいと最後に申し上げておきます。

金本座長

それについて議論を始めるとちょっと時間がなくなると思いますので、とりあえず。

白羽さんのほうから。

白羽オブザーバー

ありがとうございます。オブザーバーですけれども、新規参入者の立場から全面自由化について意見を述べさせていただきたいと思います。

PPSですけれども、少なくとも私どもはこれまでの制度改革の中で、将来、市場が全面開放されるということを視野に入れて新規参入したという経緯がございます。当時とは、今、例えば燃料価格の高騰ですとか、CO問題とか、当初想定していなかったいろいろな課題がありますけれども、自由化できるものは着実に自由化していくべきというのが基本スタンスでございます。少なくとも現状の部分自由化が制度改革の最終ゴールであるというのは望ましい姿とは言えないのではないかと思っております。

それから、先日の第25回の電気事業分科会で弊社の武井が、日経新聞さんの調査の結果、家庭用のお客様は自由化を望んでいるというアンケートが出ていることを紹介させていただきましたが、今回のアンケートでも同様の結果が出ていると思っております。先ほど三村さんから内容があまりはっきりしていなかったり、そういう条件がない中でのアンケートだというニュアンスのお話だったと思いますけれども、お客様はより安かったり、よりサービスがいいということを望んでおられるというのは事実だと思いますし、私ども事業者の立場からしますと、そういったお声に少しでも近づいていく、お応えしていくということが極めて大事ではないか。そういうものを競争の中で少しでも達成していければと思っております。

きょうの資料で、費用対効果の切り口と選択肢の切り口という形で出されたと思うんですけれども、なかなか予測が難しいということで、今後の動向とかということを予測に反映して費用対効果がどうであるということが難しいというお話で、結果としてはそうなんですけれども、効果が大きくなるようなやり方を工夫して進めていくというのが政策をあずかっておられるエネ庁様、それから、その中で事業をしている私どもがきっちりやって、お客様に応えていくというのが大事なことかなと感じておりますので、ぜひ将来に向けてそういったことが達成できるように知恵を出していったり、工夫をしていったりという議論を続けていくべきだと思っております。

特にお客様はコストだけではなく、サービス面での期待が非常に大きいというのがこれまでのアンケートの結果として感じておりますので、先ほどのメーターの話も、コストで今回は評価されていますけれども、いろいろなサービス機能という面での便益もあって、そういう目的で設置している海外の国もあるというお話もありましたので、幅広く今後どうしていくのかというようなことを見ていかないといけないのかなと感じました。

あと、資料5で、海外の事例で競争促進効果を進めることによって選択肢の確保なり、新規参入者のシェアが増大しているというものも示されておりますので、現行制度の問題点をぜひ解決していただいて、自由化を着実に推進して、その最終ゴールとしての全面自由化が実現することを期待したいと思います。

以上です。

金本座長

どうもありがとうございます。

そろそろ時間でございますので、きょうはこのあたりにさせていただきたいと思いますが、次回で一応、この全面自由化の問題に関する検討結果をまとめて分科会のほうに報告するといったことにさせていただければと思います。したがって、次回は報告するもののたたき台というか、原案といったようなものを用意していただくということになろうかと思います。きょうの議論を今すぐにパッと全部整理するということは難しいかと思います。全体の議論としては、基本的に今の時点で全面自由化するにはかなりの移行コストがかかる。それを上回る国民にとっての便益を達成するためには、需要家の選択肢が十分にある必要があるというところで、少し現状でやるのはなかなか問題点もあるといったことかなと思います。

基本的には、そういった方向で多分、皆様方の意見の最大公約数がとりあえずあるのかなと思いますので、もしそれでよければそういった方向で今回の取りまとめについて事務局のほうで原案を作成していただけると思いますが、よろしゅうございますでしょうか。じゃあ、そういうことでよろしくお願いいたします。

では、次回以降の進め方等ということですか、次回の予定等についてお願いいたします。

片山電力市場整備課長

次回の予定の前に一言、大日方委員からご指摘のあった点等々は、ワーキングのメンバーの方々に事前に今回の分科会の一連の資料をきちっとご思考してご説明すべきだったと、ちょっと事務局として反省しております。申しわけございませんでした。後ほどまた資料のほうお送りさせていただければと思っております。

次回でございますけれども、第2回のワーキングは7月11日、水曜日、10時から12時、場所は今回同様、経済産業省の別館1028会議室となります。今、座長のご指示がありましたように、ワーキングとして分科会に報告するたたき台というのを用意させていただきますので、よろしくお願いいたします。

金本座長

それでは、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。これで終わりとさせていただきます。

以上

 
 
最終更新日:2007年7月23日
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