経済産業省
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総合資源エネルギー調査会総会(平成20年度)-議事要旨

日時:平成20年8月1日(金)10:00~12:00
場所:三田共用会議所3階大会議室

出席者

三村会長、秋庭委員、石谷委員、浦辺委員、小川委員、長見委員、柏木委員、木場委員、草間委員、黒田委員、神津委員、小林委員、崎田委員、住田委員、田中委員、知野委員、坪井委員、天坊委員、鳥居委員、内藤委員、中上委員、縄田委員、野村委員、橋本委員、森委員、村上委員、和気委員

議題

  • 総合資源エネルギー調査会における審議状況
  • 今後のエネルギー政策の基本的方向性について

議事概要

総合資源エネルギー調査会における審議状況(資料2-1、2-2)

資料に基づき星野エネルギー情報企画室長より説明があった。
 

今後のエネルギー政策の基本的方向性について(資料3)

資料に基づき星野エネルギー情報企画室長より説明があった。
 

委員によるフリーディスカッション

原油価格の高騰について

  • 原油価格が高騰している原因には、中国、インドの需要増、供給余力の低下等、構造的な要因がある。
  • 油田を開発して製品として精製することが出来るようになるまで、通常5~10年程度かかる。一時的に原油価格がマーケットで上下しているが、基本的な傾向は右肩上がりであると考えておくほうが無難。
  • 原油価格の高騰幅があまり大きく、業界だけで支えるのは不可能であり、消費者には大変迷惑な話ではあるが、原油価格の高騰分を石油製品に転嫁する必要がある。運輸業界のサーチャージ制のように、できるだけ早く次の部分に価格転嫁すべきである。最終的には、個人収入が石油製品価格に見合って増えていくかたちの解決策しかないのではないか。
  • このまま原油高が続くと、昨年以上に厳寒地での灯油調達が厳しくなる。今のうちから冬を見越して対策をとることが必要。
  • 原油価格の高騰は天然ガスの価格にも連動している。近年、日本からエネルギー供給国に対して価格上昇という形で莫大な富が流出しているが、どうやって日本に富を取り返すかが非常に重要となる。かつては自動車等、付加価値を付けた商品によって取り返していたが、今後も新たな日本発の商品を売り出していくことが課題。
  • サーチャージの導入はエネルギー価格負担の見える化ともいえる。ある意味ではエネルギー価格がいかに高騰しているのか国民も理解しやすい考え方なのではないか。
     

地球温暖化問題について

  • 欧米のエコノミストは、現在エネルギーセキュリティが喫緊の問題として議論をしているが、日本は気候変動を第一に考えており、その内容も少し欧米とは違っているという話があるとおり、エネルギーセキュリティに関する日本と欧米の動きに差がある。政策を作る際には今まで以上に世界の現場をよく調査した上で進めてほしい。
  • エネルギーと地球温暖化はコインの裏表というが、そんなに単純な問題ではなく、メリハリをつける必要がある。気候変動問題は、地球の全人類が対応すべき新しい社会リスクマネージメントであり、エネルギーセキュリティは、現実に地上に存在する人間同士のエネルギーの取り合いの議論。
  • 地球温暖化問題は今どうするのか見えづらいが、エネルギーとリンクして考えるのが大事。
  • 現在遅れている民生部門の対策として国が音頭をとっている「私のチャレンジ宣言」のような施策もあまり国民は反応していない。こちらも体制を考える必要がある。
  • 洞爺湖サミットでは、クールアースアンバサダーとして広報に力を入れてきた結果、環境意識が高まってきたとは思うが、洞爺湖サミットがゴールではないということを忘れないでほしい。
     

省エネルギーについて

  • CO2の削減は個人、産業ともに負担がかかる。従来省エネは「得する省エネ」と言ってきたが、それは行き詰まってきており、これからは「損する省エネ」、「我慢する省エネ」をしていかないと思い切ったCO2削減はできない。この負担の按分については、現行の価格では対応できないため、価格構造の転換が必要。長期的に何をするとどんな影響があるか、国民に分かりやすく示す努力をしてほしい。
     

新エネルギーについて

  • エネルギー価格が右肩上がりとなると、拠り所は技術、イノベーションしかなく、イノベーション政策のどこに重点的施策を置いてリードしていくかという視点が片方にあって、新エネルギーが論じられることになるのではないか。
  • 新エネルギーの導入促進については、相当積極的なこと、思い切ったことをやる必要がある。RPSの導入目標を引き上げることを考えてはどうか。
  • RPSの導入目標が低いという話だが、当初導入目標を定めた際には国として新エネルギーの導入を促進するという政治決定もない状況だったため、目標は必然的に小さくなっていた。だが、6月の福田ビジョンで新エネルギーの導入目標が示されたことから、RPSを引き上げても構わないだろう。だが、新エネルギーのコストを負担するのは国民だということは忘れてはならない。
  • 現在太陽光発電のコストは割高であるが、ある企業では、導入規模が大きくなればコストを低減することができると言っている。福田ビジョンを機に、新エネルギーの導入を強制するような強力な政策が必要。
  • キャップ&トレードのおそろしさとしては、電力会社にキャップをかけて超えた分を何で補填するかがあげられる。原子力で補填するためには稼働率を上げればよいが、石炭火力で補填すれば0.7~0.8kg/kwhをカーボンオフセットせねばならず、およそ1トンあたり3~4千円、都合3~4円/kwhが一方的に日本から流れていくことになる。一方、新エネならば今、RPSコストが5円なので、石炭火力のカーボンオフセットとそれほど変わりがなく、コストは確かにプレミアムになるが、地域活性化、自給率の向上等々、国内で金が回り出すという内需拡大のことも考えて、今後の新エネ支援政策のあり方を考えるべき。その際には、量をどうやって確定していくかが極めて重要。
  • 新エネルギーについては、コスト等に課題が残っている。これは、供給側の努力はもちろん、ユーザーの努力も必要であり、導入促進支援が必要。
  • 新エネの開発は、現時点の技術では不確実性が残り、リスクが高い。海外ではそのような場合にベンチャービジネスへの投資というかたちでリスクをとっているが、日本の構造では国がリスクをとっているケースが非常に多い。このような新たな取組を行う際に国の政策がブレるのは非常によくない。ロードマップを作ったのなら覚悟を決めてしっかりと政策を保つ必要がある。
     

革新的技術開発について

  • 技術革新は非常に重要だが、そのためには日本はもっと人材育成に力を入れなければならない。例えばハーバード大学では、3兆8千億円の基金を用意するなど、非常に力を入れている。
  • 革新的な技術に対する政策的な位置づけが重要。先日、燃料電池をエネファームという商品名で売り出し始めたように、高度な技術を具体的に商品にしていく過程が重要。技術導入の補助制度について、より一層政策的に位置づけてほしい。
  • 技術開発については大いに結構だが、新エネルギーの推進など随分昔から取り組んでいるものでもうまくいっていない。国民に対して費用負担を求めてもあまり理解されるものではない。技術開発予算のバラマキにならないよう、国民へのリターンも考えながら進退をしっかり判断し、問題の先送りをしてはならない。
     

原子力について

  • 温暖化の進展も踏まえると、原子力に関して国民自身が議論を避けている状況を変えていくことが大事。既に発電電力量の3割の能力を持っており、これがきちんと安定的に運用されることをベースにおきながら新エネルギーをしっかりともっと増やすべき。
  • エネルギー源をきちんと分散させながら、全ての取り組みが日本全体の安定供給と温暖化対策につながっていくことが大事である。そのようなことをできるだけ市民社会にも本音で情報提供し、事業者の安全性確保に関してどのような情報をいただくことが良いのかを情報交換することや、放射性廃棄物の処分について道筋が出来ていないことを理解するなど、市民が本音で問題をきちんと理解していくことと、市民ができることは何かを考えることが大事。
  • 最終的にはコスト負担の問題になるが、他の費用が上がっている状況であり、どのような理由で、どこまでの負担が求められ、どのように事業者は苦労しているのかなどの全体像を情報発信した上で、検討を進めていくことが大事。
  • 電力の価格を抑えるためには、原子力が重要。今後も電源構成のうち、30~40%程度は安定的に原子力でまかなえるようにする必要がある。
  • 六ヶ所村の再処理工場は、稼働が目前だが、現地が厳しい冬を迎える前に稼働させる必要がある。
  • 一方、六カ所村で処理できる廃棄物は全体の半分しかない。残りをどこで処理するのかは全く目処がたっていない状況。この問題を乗り越えるために、政府、事業者はより努力する必要がある。
  • 既存発電所の利用率向上を含めた的確な運用と新増設の着実な実現に全力に取り組んでいく必要がある。当面これらを進めていくためには、現在の原発の安全で安定した運転を継続し、また、あらゆる情報を皆様に理解していただくという取組が必要。また、中長期的に原子力を推進していくには、原子燃料サイクルの拡充と高レベル放射性廃棄物の処分が欠かせない課題であり、国・地元の理解を得て努力していく。国にも、課題達成のための環境整備を支援願いたい。
  • 耐震安全性の確保については、柏崎刈羽原発で異常のないことを確認したうえで、現在詳細に点検作業を行っている。他の発電所でも、柏崎刈羽の知見を反映して信頼性維持・向上の取り組みを行っている。引き続き、地元、国民の皆様全体に安心いただけるよう努めていく。また、新しい検査制度は、保安特性に応じた検査でより信頼性の高い保全活動を進める仕組みであり、実践にあたり、当初の狙いが実現できるよう努力していく。
  • 放射性廃棄物の処理については、基本技術は確立しているが、まだ国民の理解が足りない。
  • 六カ所再処理工場で処分・再生できない燃料をどうするかという問題について、次の再処理工場を建設すればよいのか、高速増殖炉の燃料の再生をどうするのかということも含めて、第二再処理工場のあり方についての議論が進んでいくものと考えている。
  • 原子力発電所の新増設の着実な推進について、原子力発電所は、初期の投資が大きく、建設期間もかかる。そうした特徴をよく理解して、様々な対応が取られているが、それで足りないようなら、もう一歩進んだ対応が必要。例えば夜間電力を増やすといったように、事業者の原子力発電所の建設に対するインセンティブも必要。
     

資源外交について

  • 資源外交は政府と官がともにプレイヤーとなって一緒に動く必要があるが、日本は官民一体となって動いていないと、アメリカ人ですら感じている状況がある。
  • 今後数年間は、天然ガスの長期契約更改時期にあたる。より一層の資源外交に期待。
     

レアメタルについて

  • 革新的技術開発のロードマップを作成したことには省資源にもつながり大いに賛成である。ただし、レアメタルのような資源の場合、省エネルギーのために大量に使われるとすぐに足りなくなってしまう。省エネ技術を開発する際には、長期的視野で安定供給の方策を考えてほしい。
  • レアメタルの安定供給確保は今後も引き続き重要な課題である。省エネ・新エネを進めるにしてもレアメタルが技術の要となる。
     

電気事業について

  • 電気事業分科会では、2年前から電力の価格をいかに下げるかをテーマに議論をしてきた。そのために、電力自由化、PPS、自家発電等を進め、着実に価格は下がってきたところだったが、昨年の地震、原油価格の高騰、目立たないがウラン価格の高騰等により、価格の上昇が避けられない状況となっているが、今後とも市場メカニズムから電力価格を引き下げる努力は続ける。
     

分野横断的な点について

  • 長期的に、エネルギー政策が重要なことは非常によく分かるが、まずは消費者の生活を守る緊急の対策をとってほしい。物価高騰で消費者はすでに我慢をしているが、どこまで我慢すればいいのか示してもらわないと、いつまでも我慢できるものではない。
  • エネルギー教育においては、幼い頃から自然科学に触れることが将来につながり重要。小学校、中学校、高校には、保護者の方もいるので、あわせて生涯教育の意味も持つものと思う。
  • 私はクールアースアンバサダーへの就任を依頼されたことから、シンポジウムの実施報告を定期的にしているがレスポンスがないのは残念。広報と効果の実証は一体的にやる必要がある。
     

石田資源エネルギー庁長官

  • まず原油価格の高騰、それにともなう資源エネルギー価格の高騰の中で、物価問題の懸念などから、日本全体でより構造的な対応が必要ではないかという指摘があったが、これについてまさに、大きな問題であるという認識のもとで対応している。原油価格の高騰について、今のこの価格水準は、かなり異常であるという認識である。中長期的な需給、ファンダメンタルの問題や地政学的問題から、当然上がっていく側面もあるが、いずれにしても急激かつ高いレベルでの価格水準。国際的にいろいろ働きかけをしているが、G8サミットでも投機資金の流入について、より透明性を高めていく努力と規制当局間の協力を進めることについては概ねの認識が一致している。このような取組みも進めていきたい。引き続きこのような努力は行っていきたい。とはいえ、資源エネルギーの価格の高騰は、ある程度傾向的なもので、今後も続いていくと考えると、やはり省エネ、新エネの活用は、より新しい技術の開発、イノベーションが重要。日本全体として、資源エネルギーの高価格時代における体質強化を図っていく必要がある。足下の緊急対策については、政府全体として、例えば漁業対策のようなことを含めて取りまとめをしている。引き続き政府全体で対応していきたい。
  • エネルギーセキュリティと温暖化の問題についての指摘については、当然両方重要であり、両方が「コインの裏表」といっているのは、CO2はエネルギー起源によるものが大半であるからであり、温暖化問題を解決するにはエネルギー政策の中で答えを出していかなければならないと考えている。確かにエネルギーセキュリティは喫緊の課題であり、まさにこの温暖化問題とは別の土俵でエネルギーセキュリティを高める政策努力をしていくべきである。国際動向を睨みながら資源外交への取り組みの評価、技術開発も政策的に努力していく。
  • 原子力について、先般の洞爺湖サミットにおいても、温暖化対策にとっても発電の段階でCO2を発生させないことから、有用であるとされている。またエネルギー安全保障の観点からも原子力の有用性について概ね認識が一致し推進が行われており、安全確保を大前提として推進していく。また、核燃料サイクルの確立も急務である。それぞれに課題はあるが、最大限の努力をしていく。
  • 新エネについて、例えば太陽光発電について福田ビジョンでも2020年に10倍、2030年に40倍の導入目標を掲げている。新エネ部会でも緊急提言を出しており、具体化に向けて夏の予算、税制改正の検討を急いでいる。基本的には、技術革新と需要管理を組み合わせるような政策を積み上げていく必要がある。電気自動車などの次世代の自動車の導入支援についても力を入れていきたい。
  • 省エネについて、国民運動的な政策にしていく過程でもっと体制を強化する必要があるのではないかという意見があったが、役所の人員を増やすことは難しく、官の力で足りない部分は民の力を足してもらうことで、実行の部分で引き続き努力をしていきたい。
  • 横断的な話として、政策を国民にわかりやすく打ち出していくべき、見える化、啓発活動の重要性についての話があったが、政策についての評価・検証を適切に行いながら、進めていかないといけないと思っている。

以上

 
 
最終更新日:2008年8月8日
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