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産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会(第6回) 議事録

開会

山本委員長

皆様、どうもご苦労さまでございます。定刻となりましたので、ただいまより、第6回産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会を開催させていただきます。本日は、皆様ご多用中のところをご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

それでは、まず、資料の確認を船矢課長からお願いしたいと思います。

船矢取引信用課長

資料ですが、議事次第、委員名簿、配付資料の3枚紙に続きまして、本体の資料としては「中間整理(案)」をお配りしております。また、参考1として、4名の委員からご提出いただきました割販法改正に関する意見書、参考資料2といたしまして、先ほど開催されておりました特定商取引小委員会での中間とりまとめ案をご用意しております。以上でございます。

山本委員長

どうぞご確認の上、配付漏れがございましたらお申し出いただきたいと思います。

それでは、本日の議事の第2点目に入らせていただきます。

事務局より、これまでのご議論を整理した「中間整理(案)」につきましてご説明をいただきます。そして、その後、委員の皆様のご意見を賜りたいと考えております。それでは、「中間整理(案)」について船矢課長より説明をいただきたいと思います。

船矢取引信課長

それでは、資料の「中間整理(案)」について、私から読み上げさせていただきます。一部については若干補足説明をいたします。

1ページは、I.はじめに、II.消費者トラブルの実態、業界の自主的取り組み状況、海外の諸制度、3ページにIII.クレジット取引を巡る諸問題への対応、この点が中心になります。そして、最後に12ページにIV.終わりに。こういう構成になっております。

産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会
中間整理(案)

I.はじめに

昨今、クレジット取引について、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」)違反となるような悪質な販売業者に利用されるケースや高齢者等の社会的弱者に対する不適正な与信ないし過剰与信が行われるケースが多々生じており、社会問題化している。また、クレジット取引に係る個人GDPやクレジットカード情報(クレジットカード番号等)の漏えい事件も発生しており、特に、インターネット上での取引についての消費者の不安感の原因となっているとの指摘もある。

こうした現状を踏まえ、本委員会では、平成17年11月から平成18年6月まで、クレジット取引を巡る消費者トラブルの実態や法制度の現状等について審議し、報告書「クレジット取引に係る課題と論点整理について」(平成18年6月7日)等をとりまとめた。さらに、同報告書で指摘された論点について、特定商取引法の規制対象取引の問題と表裏一体の関係にあるので、特定商取引法の改正に向けた検討と併行して行うことが不可欠との認識から、消費経済部会に新設された特定商取引小委員会と相互に連携しつつ、割賦販売法改正を念頭に具体的な対応策をとりまとめるべく、本年2月より検討を再開した。

これまでに開催した計6回の審議において、消費者トラブルの実態や海外の諸制度等を整理するとともに、クレジット取引に係る課題の対応策として考えられる事項について具体的検討を行ってきた。以下は、本委員会におけるこれまでの検討状況を中間的に整理したものである。

II.消費者トラブルの実態、業界の自主的取り組み状況、海外の諸制度

この点については、昨年6月の論点整理の際に事務局に対して宿題として出されていた3点でありまして、その宿題に答えたという趣旨であります。

1.消費者トラブルの実態

(1)クレジット取引に対する消費者相談の傾向
  • 国民生活センターのPIO―NETに登録された消費者相談件数を取引形態別に集計すると、クレジット取引に関する相談件数の約8割が個品割賦購入あっせん取引にかかわるものであった。また、販売方法別に集計すると、クレジット取引に関する相談件数の約8割が、訪問販売をはじめとして、電話勧誘販売、連鎖販売取引、業務誘引提供販売取引、特定継続的役務といった特定商取引法の規制対象取引にかかわるものであった。すなわち、クレジット取引を巡る消費者トラブルは、個品割賦購入あっせんに集中しており、特に特定商取引法の規制対象取引にかかわるものが多いことがデータで明らかになった。
  • クレジット取引に関する相談件数は近年若干の減少傾向にあるが、相談者を年代別に見ると、70歳以上の占める割合が1998年度の約6%から2005年度は約18%に上昇するなど高齢者の被害が目立つようになっている。
(2)不適正与信、過剰与信に関するトラブルの実態
  • 複数の委員等から、悪質商法を助長するような不適正な与信によって過剰な債務を抱えるに至った事例が具体的に紹介された。これらの事例についても、個品割賦購入あっせん、特に、高齢者を中心とした特定商取引法の規制対象取引に係るものが多いことが確認された。
  • その他の多重債務については、貸金によるものが8〜9割と圧倒的に多く、クレジットに関するものについては、(財)クレジットカウンセリング協会における相談件数や相談事例によれば、クレジット債務のみで相談に訪れた者は全体の8%程度と少なく、入り口の段階でクレジットカードショッピングや個品割賦購入あっせんによる債務が発生し、次の段階でカードキャッシングを含む貸金(消費者金融)での借入に移行し、返済のための借入等によって結果として多重債務に陥るケースが多いことが明らかになった。
(3)クレジットカード情報及び個人信用情報の漏えい
  • 偽造カードによる被害は、2001年の刑法改正で偽造カード不正作出罪等が規定されたことや業界のICカード化の取り組み等により近年大幅に減少している。一方、クレジットカード番号と有効期限の情報のみで決済可能であることが多いインターネット取引においては、不正利用による被害が増加傾向にある。
  • 経済産業省に平成17年度及び18年度に報告のあったクレジット取引に係る個人情報の漏えい・紛失事案によれば、漏えい・紛失の大半は従業員の過失によるものであるが、クレジットカード情報や個人信用情報を故意に第三者へ提供したような個別事案も存在しており、このような場合、500人分を超えるような大型漏えい事件になる傾向が高い。また、漏えい・紛失はクレジットカード会社自社からによるものと業務委託先や加盟店等からによるものが概ね半々となっている。

2.業界の自主的取り組み状況

  • (社)全国信販協会から、平成18年6月の論点整理以降における業界の自主的取り組みの状況について紹介があった。同協会では、従来の加盟店総点検や住宅リフォーム及び呉服加盟店に関する不適正与信防止対策の実施に加えて、同年12月からはそれ以外のトラブル多発業種についても売買契約の翌日以降の契約意思確認、展示会販売における派遣面談の廃止、悪質な加盟店との取引停止の推進に着手したところであり、さらに平成19年3月には、特定商取引法に規定する販売業種にかかわるきめ細かな商品別の与信判断ガイドラインを制定するとともに、高齢者については特に慎重な与信判断を行うことにした、などの説明があった。

3.欧米におけるクレジット取引に関する法制度

  • フランス、イギリス、ドイツ及びアメリカの4カ国におけるクレジット取引の実態及び法制度について経済産業省が行った調査の結果が報告された。
  • クレジット取引の実態については、我が国では立替払い型の契約が一般的であるのに対し、これら4カ国では金銭消費貸借契約の形態をとるのが一般的である。他方、消費者信用供与額のGDPに占める割合からみたクレジットの普及度、取引形態、銀行中心であるかノンバンクが発達しているかといった事業者の業態などは、4カ国の中でそれぞれ相違がある。
  • クレジット関連法制については、我が国においては割賦販売法によって業規制、行為規制、及び民事ルールが包括的に定められているのに対し、フランスやドイツでは、業法と民事ルールを定めた法律が分かれて規定されている。アメリカでは、情報開示ルール以外には個別の民事ルールは存在しない。イギリスでは、消費者信用法によって、業規制、行為規制及び民事ルールが包括的に定められている。
  • クレジット事業者と販売店の責任関係については、フランスやドイツでは、それぞれ、販売契約と与信契約の一体性や結合契約について法律で規定されている。イギリスでは、更に一歩進んで、借入人、クレジット事業者及び販売店の三者間の契約を一体と見なして、販売店に契約違反があった場合、クレジット事業者も連帯責任を負うことが法律で規定されている。他方、アメリカには、こうした規定は存在せず、判例によりケース・バイ・ケースで与信契約と売買契約の関係を判断している。
  • 過剰与信については、イギリスでの免許取得者の適格性判断の一項目としての「無責任な貸付」やアメリカにおける「略奪的貸付」といった概念はあるが、概ね各国とも借手の自己責任を強調している。
  • 総じて言えば、自己責任原則が強く、かつ、判例中心のアメリカに対して、きめ細かに消費者保護ルールを定めている欧州という図式があり、また、欧州の中でも比較的共通点の多いフランス、ドイツに対して、独自の発展をしているのがイギリスというように、一口に欧米といっても、規制の仕方、内容は異なっていることが明らかにされた。

III.クレジット取引を巡る諸問題への対応

1.悪質商法を助長する不適正与信の排除

(1)制度的対応の必要性について
  • クレジット取引分野、特に訪問販売等の特定商取引法の規制対象の個品割賦購入あっせんによるクレジット取引については、悪質な販売業者による高齢者等を狙った強引な、又は詐欺的な勧誘が行われ、それに対してクレジット事業者が安易に与信を行う結果、消費者が過剰な債務を抱え、その救済が十分になされないというケースが、従来から加盟店管理を求める行政指導や業界の自主的取り組みが行われているにもかかわらず、相変わらず発生している。このような悪質商法を助長する不適正な与信は、クレジットシステムに対する社会的信用を低下させ、消費者とクレジット業界双方に不利益をもたらす。このことから、特定商取引法による訪問販売等の規制強化とともに、不適正与信を排除するための割賦販売法による新たな措置が必要であるとの認識で概ね一致した。
  • その際、クレジット取引全体を検討の対象としつつも、個品割賦購入あっせん、特に特定商取引法で規定されている取引に係るものに焦点を当てて措置の内容を検討していくとの認識で概ね一致した。
(2)クレジットシステム提供者の責務について
  • クレジット販売における消費者トラブル、特に訪問販売等の勧誘方法による次々販売や過量販売等のトラブルに関しては、個品割賦購入あっせん契約の締結の勧誘や書面交付を実際に行うのは販売業者であるが、クレジット事業者は、クレジットシステムの提供者という立場で、それによって利益を得ているのであり、そのような消費者トラブルと無関係ではないとの指摘があった。
  • また、クレジットシステムには、

    (1)販売業者にとって、自ら代金回収業務を行うことも、代金不払いリスクを負うこともなく、本来であれば長期間にわたって分割受領するはずの多額の金銭を契約締結後速やかに一括受領するための手段としての側面があり、購入者からの代金回収が円満に行われることも考慮に入れた慎重な勧誘販売を行うインセンティブ(動機づけ)に欠けること、

    (2)クレジット事業者は、勧誘や契約申込み場面に立ち会うことはなく、購入・契約締結意思の形成過程や契約申込み時の状況を把握しないため、自ら締結する個品割賦購入あっせん契約が悪質な勧誘販売によるものでないことの審査が不十分なものとなりがちであること、

    といった構造的な危険性があり、そのことがクレジット取引における消費者トラブルの根本的な原因であるとの指摘があった。
  • さらに、昨今、製品安全の分野において、誤用された場合に事故が発生する可能性がある製品について、安全対策を講じていなかったメーカーが世論の強い批判を受けたのと同じように、クレジット事業者には、悪用された場合にトラブルが発生する危険性を構造的に含んでいるシステムの提供者の責務として、安全装置のついたシステムにしていくことが求められるとの指摘があった。
(3)「加盟店管理」のあり方について
  • これまでに行政当局は、クレジット事業者に対して、累次の通達によって「加盟店管理」の強化を求めてきたが、これらは行政指導にすぎず、直ちに法的義務が発生するわけではないため、悪質な販売業者を排除する効果は不十分であるとの指摘が多数あった。
  • そして、訪問販売等の特定商取引法の規制対象取引における消費者被害を防止するためには、当該取引分野にクレジットシステムを提供するクレジット事業者が積極的に不適正与信の排除に取り組む必要があり、クレジット事業者に対し加盟店の調査を含めて適正な与信を行う法的義務を課すべきであるとの意見が多数出された。
  • また、これまで議論されてきた「加盟店管理」を法的義務とする場合、「管理」という概念ではなく、適合性原則から導かれるクレジット事業者の適正与信義務の一つとして加盟店調査を位置づけるべきとの意見があった。
  • その一方で、加盟店管理については、クレジット業界の自主的取組、自主規制を中心にすべきとの意見もあった。その際、業界の自主規制が及ばないアウトサイダーの存在を踏まえ、自主規制の実効性を確保するために法的枠組みの中に自主規制団体を位置づけるべきとの見解も表明された。
(4)個品割賦購入あっせん業の規制強化等(行為規制、行政監督の強化)について
(1)個品割賦購入あっせん業者による書面交付義務について
  • 個品割賦購入あっせんについては契約書面の交付義務は販売業者に課されているが、特に訪問販売等の特定商取引においては、販売業者が消費者に交付した書面の内容をクレジット事業者が十分に把握することなく契約を締結することも多く、そのことが不適正与信を助長し消費者トラブルの一因となっているという問題が指摘された。
  • このため、個品割賦購入あっせん業者に与信事項に係る契約書面の交付に関する法的責任を負わせるべきとの意見が多数から出された。ただし、このことは物理的に個品割賦購入あっせん業者が自ら書面を交付することとは別であり、書面の交付時期を含めた書面交付義務の具体的内容については今後の検討事項とされた。
  • これに対し、販売勧誘行為に直接携わっていない個品割賦購入あっせん業者に書面交付を義務づけるのは実務上やや無理があるとし、まずは販売業者の書面交付義務をさらに強化し、記載不備の書面については与信をしないという業界の自主的取り組みで対応すべきとの意見も一部にあった。
(2)個品割賦購入あっせん業者に対する行政規制の導入等について
  • 現行法では個品割賦購入あっせんに対する参入規制はないが、業界団体に加入していないアウトサイダーの存在等を考慮し、登録制を導入すべきとの意見で概ね一致した。
  • これと併せて、報告徴収、立入検査といった調査権や改善命令、業務停止命令、登録取消といった行政処分規定の導入の必要性についても概ね意見が一致した。
  • さらに、総合割賦購入あっせんについても、現行法では登録制の対象であり報告徴収や立入検査、登録取消等の規定があるものの、改善命令や業務停止命令の規定が欠けており、この際これらの規定を導入すべきとの点について、特段の異論はなかった。
(5)民事ルールについて
  • 民事ルールについては、現行法ではクレジット事業者が適正な与信を行うインセンティブ(動機づけ)がないこと、行政規制、行政処分のみでは十分な実効性が期待できないことから、不適正な与信を行ったクレジット事業者に対して経済的不利益をもたらすような何らかの民事ルールが必要であるとの意見が多数出された。
  • この一つとして、上記の書面交付義務と関連し、訪問販売等特定商取引法で売買契約等のクーリングオフが定められている取引であって個品割賦購入あっせんにより代金支払が行われるものについて、売買契約等と与信契約がともにクーリングオフされる仕組みが提案され、これに対し多数の賛成意見があった。ただし、例えば訪問販売について書面不備はあるが与信契約について書面不備がない場合や、その逆の場合に、クーリングオフの効果をどう定めるか等の点について、特定商取引法の規定との調整を図りつつ、書面交付義務の内容とともに一体的に、具体的に議論すべきとの指摘がなされた。
  • また、現行法第30条の4の抗弁権接続規定では未払金の支払拒絶までしか認められていないことに関し、クレジット事業者の適正与信を促すインセンティブとして十分に機能していない、むしろ悪質な加盟店と知りつつも直ちに加盟店取引を打ち切ることを阻害している、悪質商法の被害に遭った消費者の救済として十分ではない等の指摘があり、売買契約の締結の都度に与信契約締結の審査を行う個品割賦購入あっせんについて、既払金の返還を認めるべきとの意見が出された。
  • この既払金返還については、特定商取引に対する適正な与信を公法上の義務として規定することを前提として、信義則を拠り所とする等により「損害賠償責任」という民事効果を発生させる法律構成とする方法があるとの意見が出された。
  • これに対し、売買契約が無効・取消・解除になった場合においては与信契約についても無効・取消・解除される等の法律構成により既払金返還を認めるという「共同責任」の提案があった。
  • これに関連し、消費者の側からクレジット事業者の過失を立証することは非常に困難であり、多くのケースで被害救済ができなくなるため、クレジット事業者の共同責任を明確に定めることが望ましいとの指摘もあった。
  • なお、売買契約不成立の効果を与信契約の効力にまで及ぼすと与信契約そのものが不安定になるので、その範囲、関係諸法令との整合性等を考慮し、慎重に検討すべきとの意見もあった。

2.過剰与信の防止について

(1)過剰与信対策のあり方について
  • 過剰与信対策について、現行法第38条において、クレジット事業者は支払能力を超える購入の防止に努めることとされているが、次々販売等による過剰与信を防止する責務があるとの認識で概ね一致した。
  • 過剰与信防止対策を検討する範囲については、クレジット事業者全般にそのような責務はあるとしつつも、次々販売等の被害実態を踏まえ、特定商取引法の規制対象の個品割賦購入あっせんについてより一段と強い措置を講じるべきとの意見があった。
  • このほか、次々販売等以外の多重債務の事例を見てみると、消費者の自覚のなさが惹起しているものがあることから、事業者に対する規制を厳格化すると同時に、消費者の自主性・自立性・自覚を促すことが重要との指摘もあった。
(2)信用情報機関を利用した支払能力等の調査の義務づけについて
  • 現在でも、(株)シー・アイ・シー等の信用情報機関による与信審査は行われているが、現行法第38条は、信用情報機関を利用した支払能力の調査を努力義務として定めたものであり、業界での自主的な取り組みとして行われているにすぎないので、与信審査の際に信用情報機関の保有する個人信用情報の利用による支払能力の調査及びその結果の信用情報機関への登録を義務づけるべきであることについて、概ね意見が一致した。
  • ただし、総合割賦購入あっせん、個品割賦購入あっせんそれぞれにおいて、個人信用情報を利用すべき時点等具体的義務の内容については、今後の検討課題とされた。特に個品割賦購入あっせんについては、全件照会の徹底が不十分である可能性があるとの指摘があり、また、次々販売等の消費者被害の実態を踏まえれば、支払い能力に関する個人信用情報のみならず、その消費者の個品割賦購入あっせんによる商品の購入履歴も利用・登録義務の対象とすべきとの意見があった。
(3)総量規制導入について
  • 過剰与信対策について、消費者被害の多い特定商取引法で規制されている取引に対する個品割賦購入あっせんについて、総債務残高が手取り収入の3分の1を超えることとなる与信契約の締結を原則として禁止(ただし、販売信用の性質を考慮し、クレジット事業者が立証責任を負うことを前提として一定の例外事由を認める)し、違反したクレジット事業者を行政処分の対象にするとともに、当該与信契約についての民事効を規定すべきであるとの提案が紹介された。
  • この提案に関し、同案は、与信額が基準額を超える場合において、購入の必要性や支払能力等について個別調査をするといった手続要件を定めて義務化するものであり、必ずしも基準を超える与信が禁止されるものではないとの補足説明があった。
  • また、過剰与信防止の実効性を確保するためには、何らかの具体的な基準を定めることが重要であるとの意見があった。
  • これに対し、クレジットによる商品購入は、特定の商品の購入を目的としたものであり、十分な預貯金等を有する消費者がこれを計画的に運用するためにクレジットを利用することも多く、使途制限も担保も無いような貸金とはその性質が大きく異なっているとの指摘があった。
  • また、実際の与信審査においては、過去1年間の年収だけではなく、利用者の年齢、家族構成、住居、勤務先、過去の返済履歴等、様々な要素を総合的に考慮した、利用者の将来の返済余力推計に基づいて与信判断を行っており、年収という単一指標だけで判断しておらず、例えば、年収が低い者であっても親の実家に居住し自由に使える所得が多い場合は、住宅ローンや子供の教育費等を負担している年収のより高い者と比較して、むしろ前者の方が実質的な返済余力が高い場合もある等、一律の数値基準を原則とすることには疑問がある、との反論があった。また、一定額以上与信する場合の支払能力の厳格な調査が義務づけられれば、原則である総量規制は不要である等、提案に対する疑問が多く出された。
  • さらに、過剰与信対策を講じるに当たっては、法律の規定を置くだけで直ちに問題が解決するものではなく、内部統制とスコアリングの情報モデルの充実が重要であり、画一的な規律は、より良い消費者信用市場の発展を阻害する可能性もあることに留意すべきとの意見もあった。
  • このほか、制度設計における一般論として、借り手である消費者の厚生の向上という原則が達成されることが重要であり、規則遵守が自己目的化して原則が疎かになるのは本末転倒である、裁量的にならないよう規則を明確化する努力は必要であるが、形式上規則に違反するようなケースであっても原則が達成されることについての説明義務を果たせば問題としない構図をとるべき、逆に形式上規則を遵守しても実質を実現できないケースを防止するためにバスケット(包括)条項を設けるような制度設計が望ましい、過剰与信について一定の基準を定め、これを超える与信についてクレジット事業者に説明責任を課すことによって過剰与信防止の実現を図るべき、との意見があった。

3.個人信用情報の保護措置のあり方

(1)個人情報保護法の限界及び新たな法的措置の必要性
  • 信用情報機関が保有する個人信用情報は、過剰与信防止のためにクレジット事業者の与信審査において積極的に利用されることが重要であるが、その前提として、プライバシー保護の要請が特に高い個人信用情報については、特段の保護措置が講じられることが必要であり、一般法である個人情報保護法による保護措置では不十分であるとの指摘があった。この点について、昨年の貸金業法の改正において、保護対象を「個人信用情報」に限定することによって個人信用情報の漏えいに係る罰則等が定められたことを踏まえると、割賦販売法においてもクレジット分野の個人信用情報について同様の罰則等を定めることができるとの指摘がある等、新たな法的措置が必要との認識で概ね一致した。
(2)信用情報機関相互の情報交流の是非
  • 信用情報機関相互の情報交流については、今後、信用情報機関が貸金業法に基づく指定を受け、他の指定信用情報機関との間で貸金に係る個人信用情報の交流が行われることを踏まえて、これをクレジットの側からどのように捉えるべきなのか、慎重に検討すべきとの指摘があった。その際、業態を超えた信用情報機関間での個人信用情報の交流については、これまで延滞等のネガティブ情報の交流に限ることとしてきた経緯があり、また、販売信用に係るホワイト情報を含む全ての個人信用情報の交流については、消費者側からすると全ての情報を事業者に把握されるのがいいのかという難しい問題があることから、慎重な議論が必要との意見があった。

4.クレジットカード情報保護・不正利用対策のあり方

(1)クレジットカード情報保護対策のあり方について
  • カード番号等のクレジットカード情報の保護については、

    (1)個人情報保護法は民間部門の一般法であり、包括的な分野を対象とした必要最小限の規制内容にとどまっていること、

    (2)個人情報保護法成立時の衆参の附帯決議において、金融・信用分野における個人情報保護については格別の措置が必要とされたこと、

    (3)現に発生している情報漏えい事件を踏まえると、インターネット取引における不正利用の可能性があるにもかかわらず、漏えい行為を処罰する規定がない等個人情報保護法のみの措置には限界があると考えられること

    等を踏まえ、前記の個人信用情報と同様に、クレジットカード情報保護のための規定を割賦販売法に置くべきとの認識で概ね一致した。
  • なお、クレジットカード情報保護の規定を検討するに当たっては、クレジットカード発行会社以外の、業務委託先、アクワイアラー、加盟店、モール運営事業者、決済代行事業者等の多岐にわたる事業者がクレジットカード情報を保有しており、最近の漏えい事件ではクレジットカード会社以外からの漏えいが半分程度を占めていることを踏まえ、規制の程度との関係に留意しつつ、クレジットカード発行会社以外の関係事業者を対象とすることの是非につきさらに議論が必要との指摘があった。
(2)不正利用被害の救済のあり方について
  • クレジットカードの不正使用被害については、保険でのカバーや国際ブランドによるチャージバックルールの適用により原則としてカード会員の被害は補填されることとなっているが、どのような場合に会員負担となるか等を明確にすることが重要であり、その手段として、各クレジット事業者がカード会員契約の約款の中で明らかにすべき等の意見があった。
  • 不正利用被害の補填を最終的に負担すべき者をだれにするかについては、クレジットカード発行会社自体が自己負担したり、保険会社との保険契約に基づき保険金を請求したり、あるいはブランドのルールや加盟店契約等に基づいて事業者間の役割分担が定められており、そうした民間ルールが十分機能している状況であるので、特に法律で新たな規定を置く必要はないとの意見が多数であった。
  • また、インターネット上での個人情報漏えいトラブルに関して、法律で責任分担を固定すると今後のイノベーションを阻害するので適当ではないが、インターネットモール運営事業者が出店業者による消費者トラブルには責任を負わないことを取り決めた場合には、消費者に対してその旨を明示すべきとの意見があった。さらに、百貨店においては、そのテナントの顧客に係る個人情報であっても百貨店が一義的に消費者トラブルに対応している例を踏まえると、インターネットモールにおいても、運営するモールの出店業者の顧客に係る個人情報の漏えいに関するトラブルは、モール運営事業者が一義的に対応すべきとの指摘もあった。

5.法律の適用範囲の拡大について

(1)規制対象となる「割賦」の定義の拡大について
  • 規制対象となる割賦の定義の拡大については、自社割賦と割賦購入あっせんで分けて考えるべきであり、消費者トラブルが多発しているとは言えない自社割賦については慎重に対応すべき、との認識で概ね一致した。
  • 割賦購入あっせんについては、現在起こっている消費者被害は、割賦取引の有する誘引性や複雑性に起因することに加えて、悪質販売業者が立替金を直ちに確保できるために販売勧誘を慎重に行うインセンティブが働かない構造にあることも大きな原因であること、割賦購入あっせん業者にとっては、自身が三者型のクレジットを行っていることが明白であることから、規制範囲を拡大し、ボーナス一括払いやマンスリークリアも対象に含めるべきとの意見があった。
  • これに対し、いわゆるマンスリークリア等の一定期間以内の短期間与信については、最近では商品の購入のみならず、交通費の決済、あるいは公金の決済というように、利用分野が急速に拡大してきており、現金と同様の使い方をされている実態を踏まえると、規制範囲の拡大については慎重に検討すべきであり、基本的には、規制対象に含めるべきではないとの意見が出された。
(2)指定商品制の見直しについて
  • 指定商品制の見直しについても、一律ではなく規律内容ごとに検討すべきとの観点から、自社割賦と割賦購入あっせんとは分けて考えるべきであり、割賦の定義と同様の理由により、自社割賦についての指定商品制の見直しは慎重に対応すべき、との認識で概ね一致した。
  • 割賦購入あっせん業者に適用される指定商品制については、政令で対象を限定列挙している現行方式から適用対象外のものを除くネガティブリスト方式へと転換すべきとの意見が出された。
  • これに対し、商品についてのネガティブリスト化はあり得るが、権利や役務に関しては、現時点において既に、医療費、授業料、公共料金等の代金支払までクレジット取引の対象が拡大してきており、今後もさまざまな権利・役務がクレジット取引の対象として生じてくることが予想されることから、ネガティブリスト化による権利・役務の指定制の廃止は困難であるとの意見があった。

6.その他

(1)自主規制の強化について
  • クレジットに関する消費者被害を防止するためには、クレジット事業者が法律を遵守することに加えて、業界が自主的な取り組みを強化していくことが有効であるとの観点から、自主ルールを制定しこれを加入会員に遵守させる自主規制機関を法定化し、行政が必要な指導監督を行こととすべきとの意見が多数出された。これに対しては、自主規制機関による自主ルールを中心に据えるのか、法律の規制、民事ルールとのベストミックスの中で当該自主ルールを位置づけるのか、あるいは民事ルールの整備等の法的措置を前提としてこれを補完するものと位置づけるのかについて見解は分かれたが、自主規制機関の法定化そのものにいては、概ね意見が一致した。
  • また、消費生活センター等が悪質な加盟店に関する情報を自主規制機関に提供する仕組みを構築することにより、悪質な加盟店を早期に把握し排除できるようになるとの意見があった。
  • これに対して、現在でも悪質な加盟店に関する情報は抗弁申立て等によりクレジット事業者は入手しているにもかかわらず、既存業界団体の加盟店に関する情報交換制度が有効に機能していないことが問題であり、その充実強化をまず図るべきとの意見も表明された。
  • このほか、自主規制には現場主義に基づいて非常にきめ細かい機動的かつ柔軟な、さらに専門知識を活かしたルールの策定ができるという法律にはないメリットがあり、そうした面にも着目して、ルールの内容自体の精度を高めていく観点も必要との意見があった。
(2)個品割賦購入あっせんにより訪問販売を行う事業者の参入規制について
  • クレジット分野での必要な規制強化や体制整備と併せて、消費者トラブルが特に多い個品割賦購入により訪問販売を行う業者について、何らかの参入規制を導入するとともに、訪問販売の健全化を業務とする自主規制機関を活用するなどの対応が望まれるとの意見があり、引き続き特定商取引小委員会で検討していくこととされた。
  • これについては、そのような参入規制の導入等を必ずしも否定するものではないものの、加盟店調査を法的義務とすることが前提であり、かつ参入規制等によってクレジット事業者の加盟店調査義務が免責されると解釈されるようなものであってはならないとの指摘があった。

IV.終わりに

これまでの審議を通じ、報告書「クレジット取引に係る課題と論点整理について」(平成18年6月7日)で指摘された各論点について具体的な対応策を検討してきた。対応策の方向性については、多くの事項について委員の間で概ね意見の一致が見られたが、引き続き検討を要するものも残されている。

したがって、クレジット取引適正化に向けた政策の方向性について、引き続き議論を続ける必要がある。特に民事ルールについては、民法をはじめとする既存の民事ルール体系との整合性を更に検討する必要がある。また、円滑な法執行の可否等、実務的な観点からの検証や特定商取引法との整合性等の法技術的な検討も必要である。

なお、本委員会で検討しているクレジット取引に係る諸課題は、国民一般の経済活動・消費活動に著しい影響を与える可能性があるものであり、本中間整理については、広く国民一般からの意見を募集し、今後の議論に反映することとしたい。

以上です。

山本委員長

どうもご苦労さまでした。

では、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご発言をいただきたいと思います。ご発言がございます際には、挙手または名札を立てていただく形でその発言の意思をお示しいただければと思います。いかがでしょうか。

それでは、池本委員からお願いします。

池本委員

いつもしょっぱなに発言させていただいて恐縮です。2年前、埼玉県の富士見市でリフォーム詐欺商法で次々販売が大問題になって、それをきっかけに弁護士会からも、現在の割賦販売法は非常に不十分であると、抜本的な改正を求めるという意見書を提出するなどしましたが、そういった提言もきちんと受けとめていただいて、今回の中間整理に結びついていると受けとめております。

特に過剰与信あるいは不適正与信という大きな論点だけではなくて、割賦要件や指定商品制そのものの見直し、あるいは個品業者についての登録制、書面交付、クーリングオフ、あるいは個人信用情報、カード情報と、その意味では割賦販売法の全般にわたる改正を視野に入れたこの議論で、途中でも割販法は何度か小改正はありましたが、1984年の大改正以来の23年ぶりの本当の抜本的改正と呼ぶにふさわしい幅広い議論を尽くしていただいたと思っております。

それだけに、今回のこの議論がさらに幾つか意見が分かれているところがありますので、これを秋に向けてとりまとめをしていただきたいと思うのですが、きょう、参考資料として私の意見書も配付していただいていますので、細かなところは後でお読みいただくとして、大づかみのとらえ方の点について、1〜2意見を申し上げさせていただきたいと思います。

今回の議論の中でも特に論点になったのは、この中間整理の6ページの民事ルールのところで、クレジット事業者に対するインセンティブとして何らかの民事ルールが必要であるという点については、多数意見が形成され、中ほどにありますように、既払金の返還ということがその大きなインセンティブになるのではないかという議論の中で、その下で、2つの考え方、適正与信義務というものを根拠にして損害賠償責任につなげる、これはいわば注意義務違反、過失があったときに責任を負うという考え方と、その下にありますのは、弁護士会からも提案しました売買契約が解除取り消しになった場合には、与信契約についても同じように清算をして既払金返還を認めるべきであるという、共同責任の考え方。これはある意味では無過失責任になるのだろうと思います。ここの点が、意見が分かれるところの大きな1つの点だったろうと思います。

それから、7ページの下、過剰与信に対する対応策として、日弁連では総量規制ということを提案させていただきました。特に過去の債務総額と年収とを比較して一定の基準を超える場合には、個別の調査・確認を行うべきであるということで、そのあたりをポイントに申し上げたのですが、それに対しては、8ページにありますけれど、与信判断というのはさまざまな要素を総合的に考慮するものだと。だから、一律の数値規制ではそういうものになじまないのだと。まさに総合判断、裁量の問題だという趣旨で反論があっただろうと思います。

この2つの意見の対立の根底にあるものを私なりに整理しますと、クレジット取引というものを適正化する場合に、事業者自身の適正化の努力、その裁量判断に基本的にゆだねて、それを信頼し、事業者の責任負担というのはごく例外的にとどめるべきである。あるいは、それに違反した場合は、行政の裁量判断によって行政処分を加える。こういう制度設計が1つ考えられているのだろうと思います。それは事業者の事業活動の予測可能性を確保するという意味ではなるほどなと思うのですが、消費者被害の救済という意味では不十分ではないかということで、意見を述べさせていただいたように思います。

そういった制度設計と、逆に、むしろ明確な取引ルールを定めて、クレジットというものに危険性が伴うのであれば、その危険性を除去する責任はクレジット会社にまずあるのだと。だとすれば、それを除去し、あるいは生じた損害については原則として負担していただくと。それによってクレジットの安心・安全を確保する。そういうルールを定め、それをきちんと守り、さらに向上させるために自主的な規制も活用していただく。

こういう大きな2つの制度設計の違いがあるように思われます。過剰与信もそうですし、不適正与信もそうですが、私どもで議論しているところでも、昨年のサラ金多重債務の問題では、法規制によって市場規模そのものが大きく縮小することはやむを得ないし、それによってむしろ被害は減るという議論だったように思いますが、クレジットの場合は、限られた取引分野の中で大きな被害が出て、それがクレジットシステムそのものの信頼を損ねている。そういうところをどう解決するかということですから、クレジットシステムの安心・安全をきちんと確保することはむしろ取引の拡大につながるものではないかと考えているわけです。

その意味では、昨年の消安法の改正で抜本的に法の仕組みをかえ、あるいは今回も、特商法も含めて指定商品制についても抜本的に見直しをするというふうに、経産省が消費者保護に軸足を転換したのだということをおっしゃっていただいている、まさにその流れの中でクレジットの安心・安全を確立するような法改正にさらに一歩踏み込んで、具体的な法制度を秋に向けて検討していただきたいと思います。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご発言はございますか。

では、原委員、お願いします。

原委員

私も意見書を提出しておりますで、細かいことはそちらをみていただきたいと思いますが、今、池本委員が発言なさったように、クレジット絡みのトラブルが大変ふえてきていて、特に高齢者や弱者をねらった形の販売ですとか、当面のお金がなくてもクレジットを組めば取引に入れるということで、被害の金額が高額化しているという点では大変大きな消費者問題にもなっておりましたので、今回、これほどの抜本的な改正に着手をしていただけるということは、消費者としては大変時宜に沿った行動をとっていただいたと思って、感謝しております。

ただ、今回の中間整理の案を読みまして、補足的に少し工夫をしていただきたいという点があります。今、池本委員がおっしゃられた発言は大変大きくて、今回、この法律の改正をどういう制度設計のもとでなさるのかということです。これまでの自主規制プラス行政指導とか処分というこの枠組みですが、今までの業法を改正していく枠組みの中ではなく、これからは明確な取引ルール、契約ルール、そして市場ルールの中で機能していくような形での制度設計をしていただきたいと、そういう全体を流れる思想的なものもぜひ盛り込んでおいていただきたいと思います。

それから、具体的には、6〜8ページに書かれております過剰与信の部分について意見があります。過剰与信については、7ページの上から3行目に、単なる努力規定ではなく、「責務があるとの認識で概ね一致した」と書かれていますが、この「責務」が何かということになります。

それから、(2)、(3)をずっと読んでいくと、特に(3)を読んだときに総量規制の導入について書かれていますが、最初の・は日弁連の提案ということですね。その次の・がそれについての補足説明で、その次に2行ほど具体的な基準を定めるということが書かれていますが、8ページになると、「貸金とは性質が大きく異なっているとの指摘があった」、その次も「反論があった」、「疑問が多く出された」、「発展を阻害する可能性もあることに留意すべきとの意見があった」というようにザーッと反論が並んで、これでは全体を正確にはあらわしていないと思います。私は、過剰与信の防止こそ実際にクレジット事業者が本来果たせるべき役割だし、責務だと思いますので、こここそ明確に過剰な貸し付けの禁止を明文化すべきだし、個人信用情報機関の利用義務づけと審査記録の保管義務。

それから、総量規制についても、3分の1という数字だけが一人歩きをして、これにドッと反論が出されたような書きぶりになっておりますが、明確な基準というものがなければ、実際に行政処分をかけるとか民事的なルールをかけるにしても、機能しないと思いますので、年収、支払いの財源、そして、購入の必要性といったものを調査をする義務をかけるということでの総量規制の必要性ということは消費者は非常に望んでいるということを、この7ページの下の2行をもう少し膨らませる形で書いていただきたいと思います。

現状をみる限り、4月26日に弁護士会がご説明なさった資料の中にもありましたように、そもそも支払い能力を調査しようとしていないという事例が散見されます。それから、私も実際にいろいろな事例をみていて感じるのですが、支払いが滞らないと過剰与信とみなしていないのではないかと、そこまで来ないと過剰与信ではないというふうにみていないかというところが大変気がかりで、その前の段階で明確な基準を定めるべきだと思います。

それから、同じ7ページの上から7行目から始まる文章ですけれど、「次々販売等以外の多重債務の事例を見てみると、消費者の自覚のなさが惹起しているものがある」と書かれていますが、確かにこのような発言はありましたけれど、この「消費者の自覚のなさ」というのは何に起因しているかというと、クレジットの仕組みを明確に意識していないとか、契約をした内容についてきちんとした説明義務を果たされていないということとも関わります。「月1万円なら大丈夫でしょう」みたいなことで、書面には書かれていても、総額について話していないということも私は大きいと思いますので、消費者の自主性・自立性をおっしゃるのであれば、説明義務を果たすこと、情報提供、消費者教育を通じてこういった自立性や自覚を促すということになるのではないかと思います。

それから、3月13日に資料4として事務局が用意されていたものの中に、金銭消費貸借契約にかかわる相談事例というのがたしか5つぐらい紹介をされておりました。そのときのご説明では、平成11年の法改正で割販法の適用を認めているというのだけれど、こういった相談事例が大変多いということでした。今後、私はふえることが予測されると思いますので、これもぜひこの中間整理案の中に追加をしていただいて、論点として上げておいていただきたいと思います。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。

藤原委員から本件についてメールでご意見をいただいているとのことでございますが、直前にいただいたために、この報告書案には反映されていないところがあるかと思います。もしこの機会に先生の方で気づかれた点がありましたら、ご発言いただければと思いますが。

藤原委員

9ページの4.クレジットカード情報保護・不正利用対策のあり方のところですが、カード番号等のクレジットカード情報の保護についてで、(1)〜(3)と個人情報保護法との関係を書いてくださっていて、よく整理されているのですが、メールを打ったときには、そもそも個人情報保護法でいうところの個人情報の定義そのものの段階で議論がある部分、そこが落ちているような気もしたので、そこを確認させていただいたのですが、今読み直していて、強いていえば、(3)の「漏えい行為を処罰する規定がない等個人情報保護法のみの措置には」の「等」のところで読もうと思ったら読めるなという感じがいたしました。もしはっきりさせるのであれば、定義の問題で入ってこないものもあるということでもよろしいし、でも、恐らくそれは「等」で読めるのかなと今思いました。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご発言はございますか。

では、河村委員、どうぞ。

河村委員

主婦連合会の河村です。昨年から引き続き基本問題小委員会に参加している者といたしましては、まず、よく隅々まで意見を拾ってくださって、踏み込んだ割販法改正の中間整理案を作成してくださいましたことに、心から感謝申し上げます。

それで、消費者といたしまして、私も意見書を出させていただいていますので、そこでお読みいただければと思いますが、2点について重ねて改めて意見を述べさせていただきます。

1点目は、不適正与信に対する民事ルールについてですが、売買契約が無効・取消・解除となるほどに問題があった場合には、クレジットの契約も当然に既払部分が返還されるべきだということです。これは売買契約とクレジット契約が2つの別々の契約であるですとか、クレジット会社の過失を立証できたらといった考え方があるようですけれど、消費者からみますと、特に問題となっているような個品割賦購入あっせんのような場合は、売買契約とクレジット契約は一体のものとしか意識できないものとなっています。法的な解釈ですとか、三者間取引の仕組みというものをごく一般の消費者がよく理解していなかったとしても、それは専門家ではない消費者のごく自然な姿だと思います。

消費者からみてそのように一体なものとして意識される片一方が無効・取消・解除となった場合には、当然にそのもう一方の一体となっているクレジット契約も取消・解除となるということは、つまり既払金が返還されるということは、ごく自然で無理のないことだと考えています。

もう1点は、短く申し上げますが、過剰与信防止についてです。何度もこの委員会で申し上げてきましたが、何をもって過剰与信かという具体的な基準がなければ過剰与信を防ぎようがないということです。どのような具体的な基準かというのは、私は専門家ではないのでここで意見を申し上げられませんが、何らかの具体的な基準があるべきだと思っております。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。

今井委員、お願いします。

今井委員

10ページの法律の適用範囲の拡大について意見を申し上げさせていただきます。下から10行目あたりに、「マンスリークリア等の一定期間以内の短期間の与信については」ということで、最後のところに、「基本的には、規制対象に含めるべきではないとの意見が出された」となっております。その上のセンテンスで、「規制範囲を拡大し、ボーナス一括払いやマンスリークリアも対象に含めるべきとの意見があった」ということで、ほぼ同じ重みで書かれておりますが、審議の中では、マンスリークリアに対しては規制対象に含めるべきではないという意見が多く出されたと、そういう認識がございましたので、船矢課長にメールでそのような意見を申し上げさせていただきました。

それで、この「一定期間以内の短期間の与信」の中に何が含まれるのか、「マンスリークリア等」の「等」にどういうことが含まれるのか。もしもここに「ボーナス一括払い」というものが含まれるということであれば、これは短期間の与信に当たらないのではないかと。したがって、マンスリークリアとボーナス一括払いは別に論じるべきではないかと申し上げました。

したがって、ここの書きぶりは、「マンスリークリアについては、基本的には、対象に加えるべきではないとの意見が多く出された」という認識をもっております。ボーナス一括払いについても、トラブル実態を踏まえてさほど大きな問題がございませんので、ここはマンスリークリアに限って記載をしていただいて、ボーナス一括払いと別扱いにするのが妥当だろうと思いますので、意見として申し述べさせていただきます。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご発言はございますか。

池尾委員、どうぞ。

池尾委員

7ページの(3)総量規制導入のところで、具体的には8ページの上から2つ目の・の最後の部分ですが、先ほど原さんは反論がズラズラと書かれているとおっしゃっていましたが、8ページの2つ目の・の最後のところの「一定額以上与信する場合の支払能力の厳格な調査が義務づけられれば、原則である総量規制は不要である等」という主張は、与信サイドの説明責任を強化するという点においては一致している議論だと思います。

基準の設定の仕方が総量がいいのか、1件当たり何万円以上というのがいいのかという、そこでの説明責任強化という原則では一致していても、具体的な基準づくりに当たって必ずしも総量ではなくて、1件当たりでいいのではないかという議論だと思いますので、申し上げたいのは、基準としての総量のような規制のやり方がいいのか、別の基準づくりがいいのかというところでは、まだ議論は分かれているかもしれないけれども、与信サイドが、適正な与信をしているのだと、決して過剰な与信や不適正な与信をしているわけではないのだということを、求められた場合には説明責任を遂行できるような体制を強化すべきであるというレベルでは、もっと意見の一致があるというか。

プロでやっていたら、説明できるような責任が果たせる体制をつくるというのは、プロフェッショナル・ライアビリティの一環だと思いますので、それを具体的に遂行できる際の細部の制度設計についてはいろいろな議論があるでしょうけれど、そこでの異論という話と、原則として、プロとしてやっている以上は、必要な場合はきちっと自分のやっていることは正しいのだと素人に対して説明できるという、そういう体制をつくるということは正しいという話とは分けて、申し上げた後者については確認をしていただく方がいいのではないかと思います。

山本委員長

では、原委員、どうぞ。

原委員

池尾先生、ありがとうございました。私も何度か読んでそれは何とかわかる国語力ですが。8ページの上から2つ目に、「また」で始まって、ずっと行って「反論があった」とあって、そして「また」で始まるわけですね。今、池尾先生がおっしゃった後段の「また」のところの話は、池尾先生がおっしゃられたとおりで、話としては分けて頭出しをして並べていただいた方がいいかなと、私もその説明義務の話はもちろんあると思って、そこまでは皆さん恐らく一致した意見だと思いますので、混乱がないと思います。

それから、くどく申し上げて申しわけありませんが、7ページの(3)総量規制導入のところの書き方ですけれど、日弁連のこのご説明の話が2つあって、それから「また」とつけてこの2行が入っているわけですね。「実効性を確保するためには具体的な基準を定める」と。この2行を冒頭にもってきてもらいたいんです。

(3)総量規制導入についてのところの一番最初に、「実効性を確保するためには何らかの具体的な基準を定めることが必要」という意見があったと。それから、日弁連の意見が並ぶという、この配置がえをお願いできないかなと思います。原則論を先に出しておいていただければ、またいろいろなご意見が出しやすいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それから、9ページ、4.クレジットカード情報保護・不正利用対策のあり方の(1)の保護対策のあり方についての(3)の一番最後のところの・ですが、クレジットカード発行会社以外のいろいろな多岐にわたる事業者がいるわけですけれど、この最後のくくりでは、「関係事業者を対象とすることの是非につきさらに議論が必要との指摘があった」とありますが、少なくともここは意見として、消費者に顔がみえる事業者が責任を負うべきだと、そこは明確にして制度設計ができないかという意見があったと思いますので、すべての意見を入れていらっしゃるわけではないかと思いますが、できればそれを入れておいていただいた方がいいと思います。10ページに、モール事業者については、「モール事業者が一義的に対応すべきとの指摘もあった」ということを書かれているので、バランスとしては、両方とも消費者に顔を向けているところは責任をとるという話が出てきていたと思いますので、検討していただけたらと思います。

山本委員長

ありがとうございました。

では、堀部委員、お願いします。

堀部委員

4月26日の第4回の当委員会におきまして私が発言したことがよくまとめられていますので、基本的にはこれでよろしいと思います。個人情報保護の全体的な法体系の中に、個人信用情報の保護が位置づけられということになってくると考えます。

8ページの信用情報機関の個人信用情報の問題と、9ページの4.のクレジットカード情報保護との関係ですが、(1)の(2)にありますように、クレジットカードにかかわる信用情報の問題も、個人情報保護法成立時の衆参の附帯決議において金融信用分野における個人情報保護について格別の措置が必要とされたこととありますけれども、8ページの信用情報機関の個人信用情報と同じことになります。この点、もう少しまとめることができると思います。先週の国民生活審議会個人情報保護部会のとりまとめの中でも、個人信用情報については、昨年12月に改正・公布された貸金業法により、貸金業者による目的外利用を罰則の対象とする等の措置が講じられているというのを入れてもらいましたが、これは、個人情報保護法でいえば、第6条の具体的な措置です。この中間取整理案の個人信用情報の保護も同様な位置づけになると考えます。

山本委員長

ありがとうございました。

唯根委員、どうぞ。

唯根委員

適用範囲の拡大について、先ほどマンスリークリアのご意見が出ましたが、意見書の方でも出させていただきましたけれど、個品割賦購入あっせん事業者で、1回払いとか半年先の2回払いとか、割販法の対象を逃れるような支払い方法をする被害もありますので、この辺、最低でも、抗弁の接続ができるような形でご検討いただけないかと思います。

それから、今回の論点には出ませんでしたが、割賦販売法の場合には、手数料率の上限というのはございません。これで被害実態としては長期間で非常に高額な手数料を請求されるケース、そしてその計算方法が七八分法という大分昔の計算方式でなされているがために、消費者に非常にわかりにくくて、早期完済の場合などで手数料が非常に高額になっていることも、不利な条件として私どもは被害救済の際にネックになりますので、この辺も今後の検討課題として追加していただければと思います。

山本委員長

ありがとうございました。

先ほど、今井委員からもその関係のご発言がありましたが、マンスリークリアということでいろいろご意見がある場合に、個品のマンスリーの話とクレジットカードの話がごっちゃになって、10ページは少なくとも割賦購入あっせんという非常に広い言い方をしておりますので、その辺、今後の議論をさらに精緻にしていく中で、さらにご意見をとりまとめてまいりたいと考えております。

ほかにご意見はございますか。

では、花房委員、お願いします。

花房委員

今回の中間整理(案)については、今までの意見を事実に即して非常に包括的に示されていると思います。

6.その他のところの「自主規制機関の法定化」については、意見の一致をみたと私は理解をしております。

要は、そのあり方について、ここにも書かれているように、自主ルールを中心に据えるのか、法律の規制、民事ルールとのベストミックスの中で当該自主ルールを位置づけるのか、あるいは法の下にこれを位置づけるのかについて見解が分かれていますが、今後の自主規制機関を具体的内容にかかわってくる問題だと思います。いかに実現するかについての共通認識が寛容と存じます。

山本委員長

ありがとうございました。

では、神作委員、どうぞ。

神作委員

東京大学の神作でございます。3点ご意見を述べさせていただきたいと思います。

1点目は、現実に生じている問題に着目し、実態の調査・認識を前提に、現実に発生している問題を解決し、将来そういった問題が少しでも生じないようにという観点から多面的な検討がなされ、割販法のまさに大改正につながる提言だと評価されると思います。

ただ、理論的な観点からどうしても気になりますのは、個品を特別扱いすることの理論的な根拠が必ずしも明確ではないのではないかという点です。確かに現実のトラブルが個品に多いというのはそのとおりかと思いますが、個品と総合とでルールにそれほど差を設ける合理性があるのかということは、さらに理論的な観点から検討を進めていく必要があるとともに、個品について今回導入しようと考えられているルールが、ほかの類型の取引にも適用されたときに、それはおかしいというルールにならないということが大事なことではないかと考えております。

それから、2点目と3点目は実質的には非常に重なる問題なのですが、既払金の返還と総量規制にかかわる問題であります。河村委員から、一体性があれば、消費者もまさに一体と考えているとのご指摘がなされ、例えば売買契約が取り消されれば、与信、立て替え払いの方も消えるはずであるとのご発言がありました。確かにもっともだと思うのですが、問題は、その一体性というのをどのように法律上定義していくかが難問であると思います。その点については十分に詰めていく必要があると思われまして、法律であらかじめ明確に一体性を決めておくというやり方ももちろん考え方としてはあり得るとは思うのですが、いろいろなケースがあり得るということを考えると、事後的に裁判所によって判断してもらうという考え方も十分にあり得るのではないかと思われます。

また、総量規制についても同じでございまして、画一的に事前に明確なルールをきちんとつくるということももちろんあり得るわけですが、他方で、不適正な与信はしないという業法上の一般的な義務をかけておいて、司法上それがどのように評価されるということについては、もう少しオープンな形で裁判所にゆだねると。このような考え方もあろうかと思います。

もちろん、消費者保護という観点から、消費者に一定の武器を与えるという法的な手当てをするということは重要かと思いますが、余りに画一的なルールをいろいろなところでつくってしまって、個別具体的なケースにおいても適当ではないという場合が生じることが極力ないよう留意する必要があると思います。その点、ルールを課すのか、それともスタンダードを課すのかという点について、さらに検討をする必要があるのではないか。そのような感想をもちましたので、コメントさせていただきました。

山本委員長

ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。

飯島委員、どうぞ。

飯島委員

本委員会を通じまして、再々、私どもの自主規制あるいは業界の取り組みというお話を申し上げてまいりました。従来から自主規制の実効性に対する疑問をたびたびこの会議でも発言をいただいておりますが、過去の委員会でご説明申し上げてきましたように、我々は従来とは違うかなり具体的な自主規制をつくり上げて、これを実効性あるものにするという状況で今取り組んでいるところであります。

業界の認識、今置かれている状況、あるいは消費者保護という時代の流れ、こういったことについては十分認識をしておりまして、現在でもさらにきめの細かい、取扱い量が大きいところだけではなくて、取り扱いの小さいところでも苦情があるところについてはもう一回総点検をすると、こういうことにさらに取り組んでおりますし、さらに、この委員会でも申し上げましたが、消費者センター、消費者生活センター等に寄せられている悪質加盟店の情報を何とか我々業界としても把握できないかということで、お客様の苦情から悪質加盟店を早期に把握する、こういう情報収集を何とか業界としてできないかと。

それから、これも指摘をいただいておりますが、MICの活用の仕方についても、もう一度取り組んでみようということで、第2回に申し上げた取り組みだけではなくて、さらに引き続き業界としても真剣に取り組んでいるということをぜひご理解をいただきたい。それを前提として今後の議論を進めていただきたいとお願いしたいと思います。

山本委員長

ありがとうございました。

では、原委員、どうぞ。

原委員

たびたびで申しわけありません。私は学者ではないので議論が少しとんちんかんかもしれませんが、神作先生のご発言の後半の部分についてです。既払金の返還と総量規制についてですけれど、既払金の返還を先ほど河村委員が、契約としては一体にみえるということで、そして契約解除になれば既払金も返還をというご発言をなさったわけですが、今、学者からみると、一体性というのをどう法律上考えていくかというお話でしたけれど、未払金については私は既に一体性があると考えて今の法律構成ができていると考えているので、そこはある意味クリアできていると考えております。

それから、総量規制についてですが、司法の判断は、限られた人しか利用できないというのでしょうか、司法に行ける人は限られているので、それでカバーできるでしょうというのは私は無理があると思います。事業者としては、貸せばやはりもうかるわけですから、貸したくなるわけですよね。だから、何らかの歯どめがないといけないと思っていて、事業者の責務としてみずから具体的な基準でルールをもつべきだと考えておりますので、再度そこは意見が違うのではないかということを申し上げておきたいと思います。

山本委員長

ほかにご発言はございますか。

では、唯根委員、お願いします。

唯根委員

自主規制に関してですが、本文にもありますように、アウトサイダー対策の部分で全部が自主規制団体で網羅できるのかという不安があります。それから、確かにここへ来て業界の取り組みが非常に積極的でいらっしゃるのはわかりますし、私どもは相談の解決について、クレジット業界が協力的になっていらしているのは感じるのですが、それであれば、今までこういう大改正の動きのある前から悪質商法がはびこらないで済んだのではないかと思いますので、今回こういう大改正の取り組みに至っているので、明確なルールづくりをお願いしたいと思います。

山本委員長

ほかにご発言はございますか。

では、河村委員、どうぞ。

河村委員

たびたびで済みません。やはり神作先生のお言葉に対してなのですが、私は意見書の中にも書きましたけれど、今あるような次々販売、不適正な与信によるクレジットの被害によって、平穏で自由な生活が破壊されている人がいるということですね。事業者の経済活動によって平穏で自由な生活が侵害されないというのは、消費者の権利だと思っております。それに対して法的な合理性ということを持ち出されることがとても納得がいきませんで、法律的な合理性ということと、生活が破壊されて消費者の権利が侵害されているという、それがされないという社会をつくることと、どちらが大切かということではないかと思っております。

それから、細かいことですが、個品と総合のことについておっしゃいましたけれど、もちろん全体に求めているようなルールがかかれば、それにこしたことはないと思っておりますが、それがハードルが高そうであるからこそ、今、被害実態があるものについてそれを入れようとしているのかなと、現実的に私としては譲歩しております。

それで、総合と個品は全く違う面をもっていると私は消費者からみて思っています。総合式というのは消費者が自分の意思でカードをつくっておりますし、クレジット会社を選ぶこともできますし、限度額が設定されております。それで、クレジットのことを全然知らない人はカードをつくったりしません。もちろんカードをその場でつくらせる被害というのもあるようですが、この際その辺は抜きにして考えますと、個品割賦の場合、その場でクレジット会社も選べずに販売業者が「これだったら買えるでしょう」といって勧めているということ。しかも、とりわけクレジットの仕組みを理解していない人をねらい撃ちしているような場面があるわけですから、これは消費者からみて明確な性格の違いがあると思っております。

山本委員長

ほかにご発言はございますか。

たくさんご発言をいただきました。その中のかなりの部分は、ご自分のポジションというものを再度強調される、あるいは再度敷衍されるという部分であり、それは今後の審議に当然生かしてまいりたいと思います。本日の発言はすべてテークノートされ、議事録としても公表されますので、それは当然のことですが、さらに修文のご提案にかかわるようなご発言もございました。その点につきまして、可能な範囲で事務局の方からご説明をお願いできますでしょうか。

船矢取引信用課長

この中間整理案に対する修文の意見を何人かの委員からいただきました。特に原委員からはたくさんいただきましたので、私も頭の中が整理できているわけではありません。

その中で、細かい話からいいますと、金銭消費貸借契約型の事例がありますという議論でございます。これは第2回でしたでしょうか、事務局の方からそういう事例があるということを紹介いたしました。その際、法律上はそういうものも割賦購入あっせんでありますということは明確であると。ただ、現場においてあっせんではないという主張をする事業者がいるなどという問題があるということでありました。

私は、この問題というのは、法律をかえるべきとかということではなく、法律上は既にかわっているわけですから、あとは現場でどう対応していくか、あるいは運用の中でどういう工夫がさらにあり得るのかという問題であると思っています。したがいまして、例えば修文ということでいいますと、これは今にわかに修文のアイデアが出てこないので、どうするかは考えなければいけませんが、トラブルの実態の中にその種のものがあるということをちょっとだけ言及するというくらいかと思っていて、これを論点ということにしてしまうと、ただでさえ多岐にわたる論点がある中で、拡散するような印象もあります。

ただ、もちろん、割販法改正をどうするかということは別にして、総合的に運用も含めた対策を考えていくという中では、確かにそれも大きな問題で、特に消費者相談の現場レベルでは今後ますます大きくなる問題であるということは、私も認識をしているつもりであります。

それから、個別の話の指摘でいうと、藤原先生から、例えばクレジットカード番号は必ずしも個人情報保護法でいうところの個人情報には該当しないことがあるというのが1つの見解の例であって、それは「等」で読もうと思えば読めるという解釈もいただいたところでありますが、この辺も工夫をして明示的に書くような方向で考えてもいいのではないかと思います。

それから、今井委員からのマンスリークリアの部分についてのご意見でございますが、これは事前にメールでもそのようなご意見もいただいておりました。これは5月15日の会でこの点についてが議題の1つであったわけでありますが、いろいろ分けて考えますと、あのとき事務局としてマトリックスのように○印とか●印などで示しましたが、厳密にいうと、総合と割賦におけるマンスリー、ボーナス一括払い2回払い、それと2カ月3回以上という現在の規制対象の取引という、そういうマトリックスの中でどうしていくかということをこれから詰めていかなければいけないと思っています。

そういう中で、カードにおけるマンスリーは対象に含めるべきではないというご意見も多分有力な意見であろうと思っていますが、各委員会における議論をできるだけ忠実に、もちろんある程度考えを整理した上で記述をしているつもりでありますが、そこまで明確に詰めて分けた議論はされていなかったと思いますので、この点についてはややラフな書き方をあえてしておりますが、確かにマンスリークリアのクレジットカードということについて、そこまで対象にすべきだという意見が多かったわけではないと思いますけれど、いずれにしても、そこまで今までのこの6回の議論の中で明示的にしたわけではないということを踏まえて、事務局としてこういう書き方にしているということであります。

それから、堀部委員から、個人使用情報とカード情報ということで、これは3と4とに分けて書いているわけですが、これはまとめる方がわかりやすいのではないかというご指摘がありました。確かにおっしゃるとおりの部分がありまして、これから我々が検討していき、あるいは対外的にいろいろ説明していく際には、カード情報も個人使用情報も含めてそういうクレジットにまつわる個人情報の保護というくくりでもって議論をする、あるいは対外的にそういう形でまとめていく、そういう視点を踏まえてやりたいと思います。

このように分かれましたのは、1つは、個人使用情報については第4回で議論して、カード情報を第5回で議論して、一応別物として議論しましたと。別物という意味は、個人使用情報については先ほどの先生のご説明のとおり貸金業法でそういう前例ができましたので、それと同じものをつくればいいという議論で済むのに加えて、カード情報というのは貸金業法にはない新しい論点も入ってくるものですから、一応分けたという整理にしているところであります。

それで、原委員のいろいろなご意見の中で、過剰与信のところについて、例えば最後の2行をもう少し膨らませるとか、最初にもっていくとかというご意見もいただきました。また、池尾委員のご指摘を踏まえて、例えば「また」以下を分けるべきだといったご意見もいただいたところでありますが、この点については今すぐ私としてどのように直すのがいいのかというのは思いつきませんので、また改めて委員長と相談したいと思います。

山本委員長

それでは、ただいまのご説明を受けて、さらにご発言される方はいらっしゃいますか。

本来であれば、修文案を示してここでそれぞれご承認をいただくのが理想ではありましょうけれど、非常に多岐にわたっており、かつ、議事録を精査し、論理的にもきちっとしたものとしてまとめ、そして国民各層のご意見をいただくということにしたいと思いますので、修文に係るご意見の扱いにつきましては、委員長である私にご一任いただき、これまでの議論の趣旨を踏まえて事務局とも相談し、適切に対応することとさせていただきたいと思いますが、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

どうもありがとうございます。

それでは、最後に、今後の予定について事務局からお願いいたします。

船矢取引信用課長

それでは、この中間整理案の修正について、今週中にと思ったのですが、これだけご意見が出ましたので、来週にかかってしまうかもしれませんが、遅くとも来週中、今月中という意味になりますが、公表して、いわゆるパブリックコメントに1カ月かけたいと思っております。

ただ、パブリックコメントといいましても、この中間整理そのものの文章を直せという意味での意見をいただくのではなく、ここで提示された各論点について国民各層がどういう意見をもっておられるかということを広く募る、そういう意味でのパブリックコメントをかけたいと思っております。

それから、今回の中間整理案を踏まえて、また事務局で最終的なとりまとめに向けて、そのたたき台となるような案をつくりながら、次回は8月下旬ごろに再開というスケジュールを予定しておりますが、それ以降も、月1回ないし時には2回ということになるかもしれませんが、秋の終わりごろのとりまとめというタイミング感で引き続き検討していきたいと思っております。

山本委員長

それでは、夏以降、またタイトな審議をお願いいたしますが、よろしくお願いいたします。

松井商務流通審議官からも一言ご発言をいただければと思います。

松井商務流通審議官

皆様、大変中身の濃い議論をしていただきまして、本当にありがとうございます。きょう、河村委員からの意見書というところの冒頭に私の発言がリファーされておりまして、「「経産省は産業振興から消費者保護、安全の確保へその軸足を移した」旨のごあいさつがあったとき、私は大変感銘を受けました」と。ありがとうございました。

ただ、私は、言葉が滑ったのかもしれませんが、私の気持ちは、従来余り重点を置いていなかった消費者保護・安全の確保を産業振興と並ぶ重要な政策課題にして、車の両輪でやっていきますと、そういう趣旨で申し上げたのですが、その辺をもしも誤解されていたらと思います。

ただ、私の思いは、消費者保護に全力を傾注したつもりです。私はここの職について1年間やってまいりまして、最初はパロマの事故がスタートだったわけでございますが、消費者保護の問題の背景を見てみますと、日本の経済社会全体が「もうけるが勝ち」という価値観なのだと思うのです。最近は、会社は株主のものだとか、そうすると短期に利益を上げなければいけない。従業員は実績主義、そうするとやはり短期に利益を上げる従業員が評価されると。ものづくりの分野でも、日本は物が壊れない、自動車は壊れない、家電製品は壊れない、この安全神話が日本の世界経済への発展の原動力だったと思うのですが、最近の企業経営者の方の経営のトッププライオリティは、性能を高くして売上を伸ばすことになっていると思います。これがトッププライオリティになっていて、安全確保がおろそかになっていて、それが最近のいろいろな事故につながっています。

それから、特商法関係で、最近、さまざまな立ち入り処分を行っていますが、そこでマニュアルをとってきますと、高齢者の方であれ、認知症の方であれ、だましてでも、ごまかしてでも金をとってくれば評価される、「おまえが偉い」と、こういうマニュアルになっているわけですね。外務員の方も、最初は何となく申しわけないなと思いつつも、そのうちにそれが当たり前のことになって、評価されて、今や「もうけることが何で悪いんですか」という価値観になってしまっている。

日本の良き文化というのはそうではなかったはずであると思います。弱いものいじめは卑怯だったし、社会で信頼を得て長期的な観点で利益を上げていくというのが日本の本来の価値観であったのではないかと思います。それを取り戻さないといけない。国際経済社会の中でコスト主義という点ではもう中国・韓国に勝てないわけですから、日本の良さというものをもう一回打ち出す必要がある。

札びらを切ることによって人の尊敬は得られないと思います。別の価値観で日本は国際経済社会の中で尊敬を得られるような存在になっていかないと、日本の安定的な繁栄はないであろうと思います。そういう意味で、まず一から日本の経済社会の価値観をもう一回呼び戻したい。それが消費者の保護であり、安全であり、長期的な信頼の確保であり、そういうものを日本経済社会全体の中でみんなでつくっていかなければいけないと思います。

例えば、製品事故の問題というのは、確かにメーカーの問題もありますが、消費者の方も、これまでのメーカーの努力によってフェイルセーフ設計になってしまって、みずから安全というものを全く配慮しなくなってしまった点はあると思います。ですから、決してメーカーだけの責任でもないし、国だけの責任でもないし、みんなでやっていかなければいけない。こういう問題も何もかもメーカーが悪いというわけではなくて、あるいは企業が悪いというわけではなくて、国も企業も消費者もみんなで進めていくべきではないかなと私は思います。

それから、信頼という面で非常に怖いなと思いましたのは、つい最近ですけれど、この携帯電話を買ったのですが、これはシステムとして割賦になっているんですね。2年間割賦になっていて、2年間続けると報奨金が出て実質ただと、こういうことになっているんですね。

ところが、お店で買うときに、後ろにたくさんお客さんもいて、サッとサインさせられて、割賦の条件がたくさん書いてあるのですが、そんなところでとても読めやしないんですね。それで、「早く、早く!」といわれて、私も仕事柄ちょっとどうかなと思ったのですけれど、私も実は老眼が入っていまして、小さい字で書いてあってみえないわけですね。でも、ちゃんとした企業だし、信頼しようということでサインをしました。まさに信頼だったわけですね。けれど、それがもしも裏切られたら、大きな不満になります。ですから、信頼がものすごく重要で、こういうものは消費者と企業と両方でつくっていく必要があると思います。

それから、私はあるクレジット会社に最近クレジットカードの申し込みをしました。正直に全部書いて。限度額は40万円だったんです。クレジットカードの場合は私は40万円といわれて、どうして 次々販売で1,000万円借りられる方がいらっしゃるのか、私は非常に疑問に思っております。一方、私も退官したらちょっと立派な車が欲しいなと思っておりまして、退官して大した収入もなくなると買えなくなると、非常に心配です。退職金もいただいたし、蓄えもあるから、ちょっと立派な車が欲しいなというのが、一律の規制でとめられてしまうというのも、ちょっと悲しい気がいたします。

それから、ついこの間、あるテレビ番組で次々販売のことを1時間やっていました。それをみてみますと、その高齢者の方は、子供さんはお亡くなりになって、奥様もお亡くなりになって、天涯孤独ですと。そうすると、お金は相当もっておられて、そこに定期的にある会社の方が来ていろいろな話をしてくれる。それは非常にうれしいわけですね。ですから、ご本人の会話を聞いていると、だまされたということよりも、自分の楽しい生活を維持してくれているので、そのためにお金ぐらい払ったっていいよということで、相当な額を払っておられました。それはご本人が納得の上で払っておられるわけですね。

ですから、一律に規制をしてしまうというのは、消費者の立場から考えてどうなのかなという気は非常にしております。ただ、理不尽な問題は何としてでも解決をしていきたい。例えば、訪問販売の契約先が倒れたにもかかわらず、相変わらずクレジットは払わなければいけないというのは、河村さんが消費者の立場とおっしゃって、私も消費者の立場から考えて、これは非常におかしいと思います。何が常識かというのは非常に難しいですけれど、ごく普通の生活をしていて、それが何か信頼が崩れたことによって脅かされる、役所でもしも仕事ができるとしたら、それだけは何としても解決できるように努力をしていきたい。我々のやっていることが必ずだれかの不幸を一つでも救えることになればと思っております。そういう観点で、欲しい人までクレジットをとめるような一律基準というのはどうかなと思っております。被害に遭ってしまう方を一人でも救えるようなルール、これが私の希望でございます。

今日はいろいろなご意見をいただきました。大事なことは、高齢者の方や認知症の方からかすめとってもうけるようなビジネスはなくしたいと思います。そして、消費者の欲しいものは買えるような、そういうルールにはしておいてほしいと。そんな思いで今日ずっと伺っておりました。我々のこの報告書案にいろいろなご意見がありましたので、今回、そういう意味で最終的な結論が出なかったのはちょっと残念な気はいたしますが、私の思いとしてはそういう思いでございますので、どこまで皆様方と共通するかどうかはわかりませんが、私が今申し上げたような気持ちをできる限り反映して法改正ができればと思います。皆様、本当にどうもありがとうございました。

山本委員長

どうもありがとうございました。

それでは、これをもちまして、第6回産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会を閉じさせていただきます。本日はご多忙なところをご熱心な審議をいただきまして、感謝申し上げます。

閉会

 

最終更新日:2007年8月7日