化学物質審議会審査部会安全評価管理小委員会(第30回) 議事録
開会
前川委員長より、化学物質審議会審査部会第30回安全評価管理小委員会の開会が表明された。
事務局挨拶
事務局より、配付資料の確認、議事内容の確認及び委員・委員以外の参加者の紹介が行われた。引き続き、事務局より、資料2に基づき、第29回委員会議事録(案)の確認がされた。
有害性評価書について(10物質)【審議】
審議に先立ち、各物質において、化評研より、資料3-0に基づき、有害性評価書に関する修正点が説明された。
(1)ニッケル(原案修正対比表説明担当:化評研奈良)
- 前川委員長:
- 今説明された修正文案に関して、また質問もあろうかと思うが、時間の関係上、ニッケル自体の評価書の審議の中で指摘をいただきたいと思う。
- それから、その次のニッケル化合物は、一部重複しているところもあるが、法律上は別の物質という形で分けられているので、多少の重複もいたし方ないと思われるが、別々ということで審査させていただく。
- それでは、まず、物化特性に関して、いかがか。あるいは、用途情報、その他、いかがか。
- 山口委員:
- 4頁のスクラップメタルの供給量というところだが、これはメタルの供給量として表しているということであれば、国内発生量というのはもともと国内に存在したものなので、増加とみなしていいのかどうかというのが疑問なのだが、ここはどういう解釈でされているのか。
- NITE:
- 表4-3だが、これは存在している量でリサイクル量などに関わってくるところなので、新しく発生したというよりは、前からあったものという認識である。詳細は担当者と調査してまた連絡できればと思う。
- 前川委員長:
- ほかにはないか。水中生物への影響の前まではいかがか。
- 山口委員:
- 7頁の化石燃料の燃焼のところの153行の「ニッケルは化石燃料の燃焼に伴い(省略)」で、以下の記述に原油からのニッケルの発生が書いてあるが、石炭に関しては、調べた結果発生されていないのか、それとも、単に記述がなかったのか。ここに化石燃料ということを書くのであれば、もしわかっていれば、石炭に関しても何か記述を加えた方がいいのではないか。
- それから、その他の項の180行で、「喫煙による大気中へ排出される可能性がある」という表現になっているが、どういう意味で「可能性」という表現にしたのか。「考えられる」とか、もう少し確実性の高い表現の方がよろしいのではないかと思うが、この「可能性」という表現にしたという意味合いがはっきりわからないのではないかと思う。
- それから、8頁200~202行の水域への排出量に関しての記述で、「海域への排出量は少ない」と書かれているが、これは河川につながっているので、「直接の海域への排出量は少ない」とかえた方がよいと思う。河川から海へ至るまでに何か除去されているということがはっきりしているのであればこういう表現でもよいのだが、つながっているということであれば、「海域への排出」ではなくて、「直接の海域への排出量は少ない」と直した方がよろしいのではないか。
- 最後に、土壌中での動態で、226~227行「蛇紋岩が風化してできた土壌は」の次に「5,000mg Ni/kgにも達する」と書かれているが、これは一般的な測定値としての5,000mg Ni/kgなのか、一例としてこういった高い事例があったのか。その辺を明確にした方がよろしいのではないか。「にも達する」という表現をするからには、一般的な事項なのか、そういう事例もあるということなのが、明らかにした方がよろしいのではないか。
- 前川委員長:
- 今、回答できるか。
- CERI:
- 指摘の通り、227行、蛇紋岩の記述に関して、一般的なのか、こういう特殊な事例なのかをもう一度文献をみて、その部分を追加したい。
- 若林委員:
- 「ニッケル化合物有害性評価書」と「ニッケル有害性評価書」は、環境中の動態のところは全く同じに動態というよりは存在形態で書かれている。特に生態の場合には水中に流出してどのぐらいバイオアベイラブルだということが知りたいので、金属ニッケルが何らかの条件でイオン化する・しない等の情報は得ることはできなかったのか。わからないのだったらわからないでも結構だが、いかがなものかと思う。
- CERI:
- 「ニッケル有害性評価書」及び「ニッケル化合物有害性評価書」の部分で、ニッケル金属が何らかの影響でイオン化するということに関して、わかった部分に関しましてはできるだけ盛り込んで反映させるようにした。指摘のように、もう少しわかりやすく、追加で、わかる部分に関して「溶ける」というように見直したいと思う。
- 前川委員長:
- ほかによろしいか。先ほど質問の中にあったたばこの話だが、確かにたばこの中にはあるのだろうけれど、このもの自身の排出のシナリオとしては、製造業その他から大気とか水域へ排出されるということがメインの排出シナリオだと思うが、あったとしても、それらに比べれば極めて微量であろうと思う。なので、「たばこ中に含まれる」という程度の記載でよろしいのではないか。
- 山口委員:
- この「可能性」というのは、そういう意味合いで書かれているということか。
- 前川委員長:
- わからない。非常に少ないと思うが、「大気へ排出される可能性がある」ということになると、その量などの問題もあるので、「たばこの煙の中に含まれている」という程度の表現でいかがか。
- 山口委員:
- その方がよいと思う。
- 大前委員:
- それから、これ(ニッケル)は融点も沸点も非常に高いので、たばこの温度だとあまり出てこないのではないかという気がする。
- 前川委員長:
- では、そのように文章を修正すること。
- それから、先ほど若林先生から発言があった、土壌中での動態は、後のニッケル化合物有害性評価書と全く同じで、区別ができないから云々と記載にあったかと思う。今の話で、もしわかるところがあれば、その辺を追加していただきたい。
- NITE:
- 先ほどの質問だが、まず、7頁の上の化石燃料の件で、石炭についてはということだけれど、この評価書を作成したときに化石燃料について調べたが、石炭に関することは調査した範囲では入手できなかったということで、石油のみの記載となっている。
- たばこの件は、前川先生の指摘通り、「たばこの煙中にも存在する」という記述にさせていただく。
- 8頁202行、河川への排出量は少ないということだが、確かに「直接の排出」という表現の方が適当な表現かもしれないので、検討し、修正する。
- 前川委員長:
- ほかによろしいか。これは生物濃縮性では高濃縮性ではないということである。11頁の環境中の生物への影響だが、これは報告が得られていない。
- それでは、11頁ヒト健康への影響について。
- まず、生体内運命に関してはいかがか。生体内で徐々に溶解して、核酸成分等と結合して体内に拡散ということのようである。
- それから、13頁の疫学調査及び事例だが、ヒトへの影響ということで、ニッケルに関してはヒトでのデータが幾つかあって、皮膚に対する影響、あるいは発がん性への問題などが書かれている。大前先生、よろしいか。
- 大前委員:
- はい。
- 前川委員長:
- それでは、15ページ471行、実験動物に対する毒性に関しては、いかがか。細かいデータがあり、16頁の下から17頁にかけてそのまとめが書かれている。大前先生、よろしいか。
- 大前委員:
- はい。
- 前川委員長:
- では、18頁生殖・発生毒性に関しては、データがないのでいたし方ないとして、遺伝毒性に関しては、いかがか。結論としては、「遺伝毒性の有無を判断することはできない」ということで、前回審議した判定基準に従ってこのような結果をということだが、清水先生、よろしいか。
- 清水委員:
- はい。
- 前川委員長:
- データ自身も非常に少なく、これだけでは確かに判断できないであろうという結論である。
- それでは、19頁の発がん性に関しては、いかがか。普通に吸入させると余り大した変化は起こらないけれど、埋没させると肉腫が起こるというのが、このニッケル、あるいはその次のニッケル化合物も含めた、このような金属物質の特徴かと思う。
- 大前委員:
- 600~602行の胸膜中皮腫が発生したという事例だが、これはもともと何匹中2匹か。その匹数を記載いただきたい。
- CERI:
- Furstらの報告か。表によると、投与群が5匹なので、5匹中2匹である。
- 前川委員長:
- 頻度は非常に低いというか、匹数が少ない。ただ、このデータをみると、アスベストの実験などを思わせる所見である。
- そのように埋没をすることでは腫瘍が起こることは確かだが、IARCとしてはグループ2Bに分類をしている。ちなみに、後で審議するニッケル化合物はグループ1に部類されているので、その辺では少し事情が違うということかと思う。
- よろしいか。25頁からはヒト健康への影響のまとめである。もう一度さっと読み、何か訂正文その他あれば指摘をいただきたい。
- ないようなので、それでは、これでニッケルは読了とする。なお、その次にニッケル化合物を審議するので、もしそちらで気づいたことがあれば、振り返っていただいても結構かと思う。
(2)ニッケル化合物(原案修正対比表説明担当:化評研石井聡子)
- 前川委員長:
- 先生方からのコメントに加えて、その後、担当者が気づいたことも含めて修正がなされているということで、その辺もあわせて審議いただければと思う。
- 1頁からの物化特性のところだが、8頁の環境中運命の前あたりまで、いかがか。
- 若林委員:
- 1頁の同定情報のところで、今回、危険物質として、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケルを使ったデータを用いたということだと思うが、今後、例えば、クロムとかマンガンとかいろいろ出てきたときに関係してくるけれど、水に溶けた場合に主に二価のイオンを生成するとか、もちろん水中に溶けたときはOHが配位したり、いろいろな形態がある。
- なので、そう簡単ではないが、クロムやマンガンになるとそういう表現が必要になってくるので、何らかの形でそういうことを入れておいたらいいと思う。対象としては、二価のニッケルの評価をしているということがある程度わかるような表現が入れられないかなと思う。
- CERI:
- 他の金属化合物についても評価を行っているが、ケースバイケースで対応している。
- ニッケルの場合は、4つ明確に選定されて、二価のものでこういった物質に関してやったということがはっきりしていたので、ここにこのようにはっきり書いたという経緯がある。なので、ケースバイケースでご指摘のようなことを踏まえて記述していると理解いただければと思う。
- 若林委員:
- 水生生物の最初のところに書いていてもいいと思う。
- 前川委員長:
- ほかにないか。今のところで、たばこの云々の表現については、ニッケルにあわせた形で直すこと。
- 8頁の環境中運命は、先ほどのニッケルのところと全く同じ。それでは、8頁の環境中運命だが、これは先ほどのニッケルのところと全く同じなので、特に何かがなければ、生物濃縮性は高濃縮ではないということで、11頁274行までよろしいか。
- それでは、275行からの環境中の生物の影響について。これは先ほどのものと違っていろいろデータがあり、23頁までが環境中の生物への影響である。特に最後の23頁477行からのまとめでは、いろいろなケミカルを全部集めて総合的に判断をしたものだから、極めて強い有害性を示すとは書いてあっても、GHS急性有害性区分1に相当というような表現はしなかったという説明だったかと思う。
- 内田委員:
- 細かいことだが、14頁352行、これは今までの書き方だと最小値が「(省略)の0.013mg Ni/Lであった」ということになっているが、96時間と48時間で急性毒性試験を行っているので、48時間LC50を入れた方がわかりやすいのではないかという気がする。
- それから、21頁表6-6の硫酸ニッケルの上2つの欄だが、これは文献が抜けているのではないかと思う。ここだけ引用文献が入っていない。
- CERI:
- 全部同じものなのか、確認する。
- 前川委員長:
- では、確認すること。他にはないか。
- 若林委員:
- まとめのところの最初の部分に、「硬度が高いほど毒性が弱まり、pHが高いほど毒性が強まる傾向にある」とあって、データの中に硬度が不明なものなどがある。けれど、安全側に立てば、最小値を使うということで仕方がないかなという気はする。
- それで、例えば、どの辺が日本の河川で評価するときに適当なのかということは、ここのどこにも出てこない。多分平均で60~70ぐらいだと思うが、その辺は水道の原水をとっているところのデータとか、調べればすぐわかると思うので、どこかに書いておいた方が、後でリスク評価するときに親切かと思う。
- CERI:
- その辺が少し明確になっていなかった部分はある。最終的にリスク評価をする場合にはその辺を考慮して実施しているが、今まで有害性の部分ではその辺を、特に日本の河川についてどのぐらいであって、それに対してどのような毒性だという具体的なことは入れていなかったが、この部分については検討してみたいと思う。
- 前川委員長:
- それから、若林先生、例の23頁477行からのまとめのところで、GHS区分はしなかったということで、よろしいか。これは1つのケミカルではなく、全部まとめての話だからという理由である。
- 若林委員:
- やはりしないのか。要するに、ニッケルとして、イオンとしてというか、溶解性のものと考えると、区分幾つに相当するというような、明確なものではなくてもよいが、目安となるようなものを出しておいた方がいいのかもしれない。
- 前川委員長:
- ケミカルの名前では確かにいろいろ違うだろうけれど、二価とかという形でやれば、共通していえる。
- CERI:
- 修正対比表には入れてあるのだが、GHSのいわゆるパープルブックということを基本にすると、化合物について分類するということになっており、イオンについては、例えばここでニッケルの金属の毒性値はないのだが、それの溶解試験みたいなものを行った上で、毒性値が得られれば、金属イオンで評価するという記載があるのが、この有害性評価書ではすべてイオン濃度としてあらわしているので、そこで再度、金属化合物の毒性としてあらわすのは少し変ということで、こういう形にしている。
- よって、今後、金属化合物がたくさん出てくるが、その辺は全体的に少し検討したい。
- 若林委員:
- 私はどちらでもいいと思うけれど、目安として、総体としてどのぐらいなのだということがわかった方がいいという気もする。ご検討いただきたい。
- 前川委員長:
- ほかの金属との並びも含めて、検討いただきたい。
- ほかにないか。それでは、24頁の生体内運命について。33頁の真ん中あたりまであるかと思う。水に溶けるか溶けないか、そして粒子の形態がどうかということが一番大きな問題かと思う。
- 非常に細かいことだが、29頁698行、「水溶性Ni(II)イオンよりヒト皮膚の吸収が50倍速く」となっているけれど、文書的には「ヒト皮膚での吸収」だろう。「で」を入れること。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- ほかにないか。
- では、32頁の生体内運命のまとめも、これでよろしいか。
- なければ、33頁疫学調査及び事例について。まず、ヒトでのデータに関してはいかがか。38頁上3行までがヒトでのデータとなる。アレルギー性の問題、皮膚の湿疹の問題、あるいは呼吸器への影響、そして最後に発がんが大きな問題になっているかと思う。よろしいか。
- それでは、38頁1035行、実験動物に対する毒性について。皮膚への影響、呼吸器系への影響、その他非常にたくさんのデータがあるが、いかがか。
- 小さい話だけれど、41頁にモルモットを使った実験でモルモットの系統を書かれている。後から加えていただいたのだが。これは「Hartly」となっているが、「Hartley」ではないかと思う。
- CERI:
- 確認して修正する。
- 前川委員長:
- それから、46頁1220行あるいは1221行、例えば「骨髄細胞質の減少」あるいは「脾臓細胞質の減少」というのは、これは細胞が小さくなっているという意味か。
- CERI:
- 細胞数だろうか。
- 前川委員長:
- 細胞数の減少と細胞質の減少では全く意味が違うので、確認すること。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- それから、例えば48頁1318行、他にもあったかと思うけれど、「肺に炎症及び嗅上皮の萎縮」となっているが、「嗅」は鼻である。よって、「鼻腔」を前に加えること。
- CERI:
- はい。
- 前川委員長:
- 49頁1331行、これは大林先生にお聞きしたかったのだけれど、「本評価書ではこの試験のNOAELを肺の慢性炎症を指標として0.25mg/m 3と判断する」としている。それより低い濃度でも肺胞のマクロファージの浸潤の所見はみられている。この評価書ではNOAELなので、それは特に有害性影響ではないということで、入れなかったのだと思う。それ以外の、50頁などにも出ている幾つかの論文も同じように、マクロファージの浸潤だけではNOAELの判定根拠とはしていない。吸入毒性が専門の大林先生の意見をお聞きしたいのだが、それでよろしいか。
- 福島委員(大林代理):
- これは専門外といった方がいいかもしれない。これに関しては私自身十分読んでいないので、宿題ということで、もう一度考えさせていただきたい。
- 前川委員長:
- 了解した。NOELなら別だが、NOAELなので、吸入毒性をやっている先生の意見をお聞きしたかった。では、その辺はそちらの中で先生と検討いただき、結果を事務局の方へ連絡すること。それによっては幾つかの論文のNOAELの評価が多少変わってくる。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- それから、54頁1543行、「表皮のひずみ」という表現がなされているが、余りきちんとした表現ではないと思う。この論文では39頁にも載っているが、1064行からの表現だと、例えば、「皮膚の萎縮、肥厚、過角化」という表現をされている。なので、同じ論文で表現の統一性なども含めて検討いただきたい。少なくとも、「表皮のひずみ」という表現は余りよくない。
- CERI:
- 了解した。確認する。
- 前川委員長:
- それから、56頁のニッケル化合物の毒性の強さということと、硫酸ニッケルが一番強くて云々というところだが、その後にたまたま2年間の毒性試験があり、そちらをみると、NOAELで比較すると合っていなかったとのことである。よって、ただし書きとして、「一方、2年間の試験では以下の結果が得られた」というような表現をつけ加え、その強さみたいなものはこの試験ではなく、2週間と13週間の試験からとったのだということがわかるように直していただいたかと思う。よろしいか。
- 以下、74頁の上の表までが反復毒性のデータだが、よろしいか。
- 清水委員:
- 74頁1768行、これは前回の議事録でも統一することがいわれたのだけれど、「チャイニーズハムスターの卵巣線維芽」の後に「CHO」が入っているが、この「CHO」は削除して、「(CHO細胞)」だけ残すこと。
- それから、その最後の行の1773行、訂正の忘れだと思うけれど、「末梢リンパ球」は、「末梢血リンパ球」と「血」を入れること。
- 同じようなことで、75頁1777行でも、「チャイニーズハムスター肺線維芽V79細胞」とあるが、この「V79」は削除して、その後ろに「(V79細胞)」としていただければいいと思う。
- 前川委員長:
- 前回、その辺を統一しようということになっていた。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- それでは、77頁のこれらの結果を総合すると、「ニッケル化合物は遺伝毒性を有するものと考えられる」という結論に関しては、よろしいか。
- それでは、80頁の発がん性に関してはいかがか。ニッケル化合物に関しては、埋没した時点では腫瘍が出るけれど、普通に投与したら腫瘍の発生はないので、結果的に2Bということになったが、これに関しては、普通に投与しても発がん性が認められると。もちろん埋没すればいろいろな腫瘍が起こるということで、IARCとしては1に分類をしているということだが。よろしいか。
- それでは、このニッケル化合物のグループは、金属ニッケルとは少し違うようだ、強いようだということである。
- その辺も踏まえ、89頁からのヒト健康への影響のまとめについて。もう一度さっと目を通していただき、特につけ加えること、あるいは訂正などがあれば指摘いただきたい。今までの訂正の中で同じような文章がもしここのまとめの方に出てきているとすれば、その辺もあわせて修文すること。
- CERI:
- 了解した。
- 福島委員(大林代理):
- 重箱の隅をつつくようで申しわけないのだが、77頁表7-7の結果の欄の2段目の酵母のところだが、これは「マイナス」とみてよろしいか。
- CERI:
- 履歴が残っていてみえづらい。
- 前川委員長:
- 「マイナス」であれば、はっきりと「-」にすること。
- CERI:
- 了解した。
(3)マンガン及びその化合物(原案修正対比表説明担当:化評研石井聡子)
- 前川委員長:
- 大前先生が途中退席されるので、29頁の疫学のところから先に始める。
- 大前委員:
- 31頁765行の「studied cross-sectionally(省略)」というところは、コホート研究ではなくて、2つの集団をある時点で調べたという意味なので、「横断的コホート研究」というのは矛盾している名称であり、これは絶対にあり得ない。
- 日本語にするには「コホート研究」を抜けばよい。
- それから、「finger tapping」は、「指たたき」ということであり、「finger tapping」そのままでよい。
- 34頁893行のスパイロメトリーの中身を書くという指摘について、894行に、「肺機能パラメーター(最大呼気フロー、努力肺活量)」とあるが、フローとは流量というので、「最大呼気流量」とする。「努力肺活量」はこれでもよいが、「努力性」という言葉を入れることが多い。
- 前川委員長:
- 特にヒトへの影響に関しては、マンガン中毒はパーキンソン氏病に近い症状を示すけれども、それとは場所が違うということである。
- また何かあれば後から追加するとして、1頁の物化特性に戻る。これも先ほどのニッケル化合物と同じように、金属マンガンに加えて、マンガン化合物も一緒にまとめてあるということで、非常に膨大なデータがある。
- 山口委員:
- 9頁の「その他」のところで、食物類からのマンガンの摂取に関しての情報が入っているが、これまでもこういった情報があれば排出源という項目に入れてきたか。
- CERI:
- 今までも入れていたが、この物質を表にしたのは今回初めてである。
- 山口委員:
- 「排出源」という意味合いに違和感がある。他の適切なところに入れた方がよい。
- CERI:
- 了解した。検討する。
- 山口委員:
- 10頁193行からの表現で、「マンネブ及びマンコゼブの排出量について、土壌への排出はすべて届出外排出量であるが(省略)」とあるが、この「すべて」が「農薬の使用による届出外排出量」ということであれば、前にもってきた方が、読んだときにすんなりわかる気がする。
- CERI:
- 文章として修正する。
- 前川委員長:
- それでは、11頁の環境中運命に関して。その最後に、「化審法に基づく濃縮性試験結果、生物濃縮性は高濃縮ではない」ということであるが、14頁354行からのまとめで、マンガンのBCFは魚類ではそんなに高くないが、海産植物や淡水産植物あるいは無脊椎動物でも非常に高い。そして、その後、「食物連鎖を経由して順次高濃度となるようなことはない」という記載はあるけれど、この数字だけをみると、ぎょっとする。
- 若林委員:
- データがたくさんあれば信じられるが、どのぐらいデータ数があるのか。無脊椎動物のところは、これだけ高いとびっくりする。
- CERI:
- データ数の記載がなくて、このようなレンジの記載となっていた。具体的に記載をどのようにしたらよいか。
- 前川委員長:
- 問題は、このデータが信用できるかどうかということにもなるかと思う。
- 若林委員:
- その通り。例えば、無脊椎動物にはたまるけれど、食物連鎖にはたまらないと言い切ってよいか。引用は出典があれば仕方ないと思うけれど、その最後の結論のところを導き出せるかどうか、ちょっと疑問である。
- 前川委員長:
- 一方で、このもの自身、「高濃縮ではないと推定」ではなくて、あくまで判定されている。そのときにも当然いろいろディスカッションされているかと思う。その辺の表現も含めて、若林先生と相談すること。誤解を招くようなことやいたずらに恐怖心をまき散らしてもいけない。
- CERI:
- 指摘を踏まえて、対応する。
- 前川委員長:
- それでは、14頁の環境中の生物への影響について。
- 若林委員:
- リスク評価との絡みで、クロムは六価と三価のクロム両方の濃度を別々に測定できるので、測って評価するから、データも別々に評価しなければいけないということになっている。マンガンの場合は二価と五価があり、マンガンは別々に測ることができるのか。
- CERI:
- マンガンは、クロムとは異なり、価数を分けて定量的な分析ができる状態に現在はまだ至っていない。ということで、マンガンをトータルとして記述している。
- 若林委員:
- 了解した。
- 前川委員長:
- 他にいかがか。では、26頁からのヒト健康への影響について。
- 大前委員:
- 生体内運命の26頁559行で、「血中におけるマンガンの分布は、赤血球中に66%、血漿中に4.4%、その他の血液成分中に30%」とあるが、「その他の血液成分」というと白血球ぐらいしかないので、これは確認してほしい。
- CERI:
- 確認する。
- 大前委員:
- 同じく26頁581~582行で、Tanakaという方の文献でこう書いてあるのだろうが、マンガン中毒は井戸水などの水系の汚染が結構多い。したがって、これはちょっと書き過ぎではないかと思う。なくても構わない文章だと思うので、削除したらどうか。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- 次に、41頁からの実験動物に対する毒性について。実験動物でもやはり神経系に対する影響はかなりはっきりしている。それ以外に、血液系への影響もみられ、特に生殖器への影響では、人間では余りはっきりしていないけれど、実験動物ではもう少しはっきりしているようである。
- そして、吸入暴露でも同じような変化が神経系にもみられるし、血液系にもみられる。血液系への影響には一酸化炭素による影響が1つ考えられるようであるが、その辺はよく理解ができない。
- 大前委員:
- 対比表のNol34、51頁の表の上から4つ目にある「200,000ppm」の混餌投与というのは、「20%」の混餌投与となる。これはすごい量である。ちょっと信じられない量なので、もう一度確認をお願いしたい。
- CERI:
- 確認したが、再度読み直す。
- 前川委員長:
- それでは、56頁の生殖・発生毒性、61頁には遺伝毒性のデータについて。
- 清水委員:
- 61頁の遺伝毒性の1295行。先ほどと同じ問題であるが、これも「CHO」の削除をお願いする。それから、1302行にある「DNA損傷性試験」の「性」は削除すること。
- CERI:
- はい。
- 前川委員長:
- 結論的には、「マンガン及びその化合物は、遺伝毒性を有すると考えられる」ということでよろしいか。
- 65頁の発がん性のデータに関して、「現時点ではマンガンの実験動物に対する発がん性はない可能性が高いが、明確に判断することはできない」という結論でよろしいか。事実、IARCでも評価はしていない。
- 大前委員:
- まとめの1403行にある「仮面状顔貌」は医学的には「仮面様」を使うと思う。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- 私の方から、68頁1430行の「血液系への影響として、グロブリン、アルブミンの減少」。これは小球性の貧血の話である。そのように直すこと。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- それから、1436行で、「また、肺気腫、肺胞管領域で(省略)」と書いてある。その上からの流れをみると、神経系への影響、血液系への影響、生殖系への影響という形でまとめられているので、「呼吸器系への影響」というのを前につけること。
- CERI:
- 了解した。本文と合わせる。
- 前川委員長:
- 他にはいかがか。それでは、マンガンも読了とする。
(4)2,3-エポキシプロピルフェニルエーテル(原案修正対比表説明担当:化評研山根)
- 前川委員長:
- 1頁に戻って、物化特性のところから。データは多くないので、6頁の環境中の生物への影響まで。いかがか。
- 山口委員:
- 5頁145行目では「揮散による除去は小さいと推定される」という表現になっているけれど、揮散とは生分解のように分解されるわけではないので、「揮散による大気への移動は小さい」とした方がより適切なのではないかと思う。
- CERI:
- 指摘のとおりかと考えるので、そのように修文する。今、気がついたことであるが、訂正あるいは修文を提案したい。14頁の428行、遺伝毒性の最終的な評価のところで、「現時点で遺伝毒性の有無について判断することはできない」と書いているが、17頁のまとめでは、「2,3-エポキシプロピルフェニルエーテルは遺伝毒性を有する可能性があると判断する」と、異なった表記をしている。実はまとめの方がもともとの文章であったが、ちょっと書き過ぎという感じがしたので、14頁の表記に修正した。しかし、17頁はそのまま残ってしまった。私としては、14頁の「判断できない」という方に統一したいとは思うが、ご判断をお願いしたい。
- 前川委員長:
- 了解した。物化特性のところでは、化学的にはエポキサイドの構造をもっているけれど、物としては良分解性であるということ。それから、環境中の生物への影響は余りデータがないようだが、ただ、魚類に対しては、GHSの急性有害性区分3ということである。よろしいか。
- それでは、7頁、ヒト健康への影響について。疫学的なデータに関しては特に問題はないと大前先生はおっしゃっていたが、それも含めて、生体内運命、疫学、あるいは実験動物に対する毒性も含めて、いかがか。
- 9頁286行の急性毒性のところで、「呼吸麻痺で死亡する」の後に、「剖検ではみられた」ということをつけ加えたが、ついでに「死亡する」ではなく「死亡した」とすること。ただ、肝臓と腎臓に広汎性のうっ血がみられたというが、死亡したものをみればうっ血はある意味では起こるので、病理学的には余り意味のあるデータのようにもみえない。しかし、そのように記載してあったので、それはそれで残しておくことにする。
- 13頁からの遺伝毒性について、17頁のまとめのところと少し不一致があり、14頁の「現時点では、遺伝毒性の有無について判断することはできない」という考えでよいかと問われたが。
- 清水委員:
- また同じように、13頁398行の「CHO」の削除をお願いしたい。
- それから、この判断については私も毎回悩ましいところであるが、少なくともネズミチフス菌を用いたin vitroのAmes試験では、明らかに塩基置換型の菌株では全部陽性である。そして、フレームシフト型では「-」になるということはこの結果から明らかである。それから、DNA修復試験でも陽性、形質転換試験でも陽性である。in vivoでは、宿主経由試験でのみ陽性であるが、小核試験などは実際に骨髄まで達していなければネガティブになってしまうということを考えると、むしろ後ろのまとめの表現の方が私はいいかなと思う。幾つそろったらどっちで、幾つなければどうかというのは、判断は悩ましいところはあるが、むしろこれは「遺伝毒性を有する可能性がある」とした方が私はいいのではないかと思う。
- 前川委員長:
- その辺は、大林先生、いかがか。
- 福島委員(大林代理):
- 私もそう思う。
- 前川委員長:
- 確かにそう思う。in vivoのデータは少ないけれど、in vitroではかなりのところで「+」が多い。それでは、先生方のご意見をもとにして、そのように修正すること。まとめのところを修正するのではなく、14頁のところを修正すること。
- CERI:
- 承知した。
- 前川委員長:
- 15頁の発がん性に関しては、いかがか。これは吸入試験1つしかないけれど、確かに腫瘍がふえているようである。IARCもグループ2Bという判定をしているようであるが。
- 清水委員:
- あえて言うならば、構造的にエポキサイドをもっているということで、遺伝毒性はかなり考えられるということである。
- 前川委員長:
- エポキサイド云々のことはどこにも触れていなかったが、特に構造とのことでディスカッションした文献はなかったか。
- CERI:
- 確認をして、もしあればその部分を記載したいと思う。
- 前川委員長:
- 良分解というのはどこで壊れるのか、その辺はわからないけれど。
- ほかに、まとめのところはよろしいか。それでは、これで読了とする。
(5)ベンジルクロリド(原案修正対比表説明担当:化評研星野)
- 前川委員長:
- 1頁に戻り、まずは物化特性について。環境中運命も含めて、6頁の環境中の生物への影響の前まではいかがか。
- 若林委員:
- 2頁の「その他」と書いてあるところで、「ニッケル、鉛を除く一般的な金属と反応する」という書き方はいつもしていたか。これだけみると、私には何だかよくわからないので、もうちょっと書き方があるかという気がする。
- CERI:
- このような記述を他の物質で記載したという例はない。この物質特有な反応性ということでデータがみつかったので、ここに記述をした。ただ、先生の指摘のように、この記述ではいろいろな受けとめ方をされるという部分があるので、表記について検討を加えて修文したい。
- 若林委員:
- 「よくある金属で何々などとは反応するけれど、何々とはしない」とか、そういうことだとかなり一般の人が参考になるかなという気がする。
- CERI:
- 先生の指摘を踏まえた記述とする。
- 前川委員長:
- では、その辺は検討すること。このもの自身はそれほど生産量も多くなく、環境中への排出は非常に少ないということ。良分解であり、分解産物はベンジルアルコールである。そして、生物への濃縮性は低いということである。よろしいか。
- それでは、6頁の環境中の生物への影響について。特に甲殻類に対しては非常に強い毒性を示すようである。
- 若林委員:
- 前の書き方と関連して、環境中の生物について、毒性は強いけれど分解しやすいから実際の環境では余り問題ないのではないかのような記載は普通にはしなかったか。それはリスク評価書で書くから、ここではよろしいということか。
- CERI:
- 今の指摘について、先生のおっしゃるように、ここではあくまでも有害性のみを扱うということなので、それはリスク評価の方で扱う事項だと思う。
- 前川委員長:
- 今までは難分解性のものが多かったが、このものはたまたま良分解ということである。ほかによろしいか。
- 内田委員:
- 「まとめ」の281行について。今までは「塩化水素に加水分解され」を消していたが、ここだけ消えていない。それから、300~301行で「96時間LC50は1.9~5mg/Lの範囲にあり」と書いて、「最小値は4.0mg/Lである」というと、最小値が中間の値になってしまう。たしかこの1.9は信頼できないデータということだったので、「信頼できる最小値は」とすれば意味がわかると思う。
- CERI:
- そのように訂正する。
- 前川委員長:
- それでは、13頁からのヒト健康への影響に関してはいかがか。疫学事例に関しては、特に新たなコメントはないと大前先生はおっしゃっていた。実験動物での毒性としてはちょっと珍しいのは、心臓への影響のようである。
- 遺伝毒性の結果として、26頁の一番下に、「ベンジルクロリドの遺伝毒性に関しては明確に判断することはできない」という判定であるけれど。
- 清水委員:
- これも先ほどと同じ訂正をお願いしたい。25頁569行と570行の「CHO」と「V79」である。この判断であるが、これはin vitroの系では、遺伝子突然変異及び染色体異常、小核、すべて明らかな陽性があると判断してよい。ただ、in vivoの系では報告が余りないというが、伴性劣性試験で1つ陽性になっている。小核の方は3つの報告があるが、この物質は骨髄に達しているかどうかというのも1つ大きな問題である。in vivoの試験の報告例は少ないが、判断できないというよりは、可能性はあると考えた方がよいと思う。いかがか。
- CERI:
- 今まではvitroで陽性であっても、vivoで確認できていない場合には、原則遺伝毒性の判断はできないとしてきた。この物質の場合は、vitroの突然変異と染色体異常が陽性であるが、vivoの方の試験では伴性劣性試験が1つ陽性であるものの、突然変異の試験はなく、骨髄に達しているか達していないかという問題は極めて難しい問題であるが、3つの試験で陰性だった。それから判断すると、vivoで遺伝毒性を示すということに関して確信がもてず、こういう表現にした。
- 清水委員:
- なかなか悩ましいことは確かであるけれど、これだけin vitroで再現性が確認されており、これを全く判断できないとするには、ちょっと問題かなと思う。
- CERI:
- そうすると、「遺伝毒性を示す可能性がある」という表現でよろしいか。
- 清水委員:
- よろしい。
- 前川委員長:
- 前のものがそういう表現をしたかと思う。データとしてはこちらの方がむしろ多いかもしれないが、ただ、小核はすべて「-」という辺がちょっと問題ではあるけれど。では、前と同じような形でお願いする。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- 次に、28頁からの発がん性について。血管腫、血管肉腫、肝がん、前胃の腫瘍、甲状腺の腫瘍、膵島の腫瘍などがふえているという。それで、IARCとしては2Aという判断をしている。それを踏まえて、30~31頁のまとめのところはいかがか。ここの遺伝毒性のところは、先ほどの遺伝毒性の表現に合わせて修文をお願いする。
- なお、細かいことであるけれど、前にも一度指摘したかと思うが、いろいろな文献のところでドイツ語の文献がある。ドイツ語の文献の書き方に従うと、少なくとも名詞は大文字になる。例えば32頁710行の論文で、Ergebnisseは初めにあるのでよいが、その後のstoffeは大文字である。それから、雑誌名の前のtestverfahrenも大文字である。逆に、例えば35頁819行のRelativeのRは形容詞であるから小文字である。大したことではないけれど、ドイツ語の文献をそのまま上げるからには記録として残るので、直すこと。
- ほかにはよろしいか。それでは、これでベンジルクロリドも読了とする。
(6)テレフタル酸(原案修正対比表説明担当:化評研山根)
- 前川委員長:
- 1頁の物化特性から6頁の環境中の生物への影響まではいかがか。
- この物質は、加水分解はされない、良分解性である、水生生物への濃縮は低いといったことがメインになるかと思うが、よろしいか。
- 環境中の生物への影響は、急性毒性有害性区分には該当しないということだが、よろしいか。
- 11頁「ヒト健康への影響」は、生体内運命から始まって、疫学事例はほとんどなし。14頁からは実験動物に対する影響で、経口投与での特徴として膀胱結石が認められ、その結果として膀胱粘膜の過形成が起こるということがメインで、それ以外にも、特に精巣に対する影響がみられているということたが、よろしいか。
- 18頁は生殖・発生毒性で、これも親の方には膀胱結石が起こって、親が死んでしまうということだが、よろしいか。
- 21頁は遺伝毒性で、データはそれほど多くない。いずれも「-」ということで、テレフタル酸は遺伝毒性を示さないという判定だが、よろしいか。
- 清水委員:
- 460行目の「CHL」を削除すること。結論はこれで結構。
- 前川委員長:
- 結論としては、遺伝毒性を示さないということである。
- 22頁の発がん性については、先ほどの反復投与毒性の繰り返しになるが、膀胱結石による膀胱粘膜の肥厚があり、それとは別に、むしろ乳腺腫瘍などを抑制したということのようだ。ただ、国際機関などでは発がん性はまだ評価していない。これでよろしいか。
- 24頁のヒト健康への影響のまとめについて、特に追加や修正の意見はないか。特にないようなので、これでテレフタル酸も読了。
(7)ジフェニルアミン(原案修正対比表説明担当:化評研浦谷)
- 前川委員長:
- 1頁の物化特性から6頁の環境中の生物への影響まではいかがか。
- 環境中への排出は限られているし、難分解性で、高濃縮性ではない、または低いということだが、よろしいか。
- 環境中の生物への影響に関してはいかがか。甲殻類に対しては非常に強い毒性があり、藻類や魚類に対してもそれなりの毒性を示しているようだが、若林先生、よろしいか。
- 若林委員:
- はい。
- 前川委員長:
- 11頁から「ヒト健康への影響」だが、生体内運命から実験動物への影響まで、いかがか。
- 皮膚や呼吸器から容易に吸収され、消化管からも容易に吸収されて、尿に排泄される。そして、メインは4-ヒドロキシジフェニルアミンに変わる。
- 疫学的には、粘膜刺激性はあるが、感作性はなし。それから、余り詳しいデータではないが、職業暴露では膀胱への影響がみられ、18頁では、メトヘモグロビン血症や泌尿器への影響がみられる。
- 実験動物での影響も、刺激性とともにメインの標的臓器は赤血球と腎臓ということで、ヒトでの疫学的なデータを裏づけるデータかと思う。
- 21頁497行の暗色細胞に関して、「ミトコンドリアが増加した集合管細胞」となっているが、その前の病理組織学的「微視的」検査というのはどういうことか。
- CERI:
- 電子顕微鏡検査のことだ。普通には、マイクロスコピーというと光顕と電子顕微鏡の両方を含むと思う。言葉としては余り適切ではないかもしれない。ご指摘いただきたい。
- 前川委員長:
- 光顕的には暗色だから、好塩基性だろう。それに染色されて、「電顕でみたらミトコンドリアが(省略)」と言うように、正直に書いた方がよいと思う。
- CERI:
- では、「光顕レベルでは好塩基性(省略)、電子顕微鏡的には(省略)」とすればよいか。
- 前川委員長:
- そうだ。例えば、尿細管であれば、好塩基性に染まるというのは、それだけで尿細管の上皮が再生性、増殖性の尿細管であるということがわかる。ところが、集合管に関しては今までそのような表現は余り使われていない。一般的には、好塩基性となると、増殖性を当然考える。現に、後の方で、上皮が重層化すると書いてある。やはり好塩基性というのはそういう増殖性の方向に向かっている集合管細胞と想像できるので、それはそのままで書いておいた方がよい。
- CERI:
- 了解した。
- 前川委員長:
- 26頁からは生殖・発生毒性で、結論としては、生殖・発生毒性を示すが催奇形性はないということだ。
- 30頁からは遺伝毒性で、結論として、ジフェニルアミンは遺伝毒性を示さないとなっている。
- 清水委員:
- 31頁617行目も「CHL/IU」は削除をお願いする。それから、618行目に「構造的染色体異常の陽性」とあるが、普通は「構造異常が陽性」と書く。あとは、倍数体異常か構造異常かという問題である。2005年の厚生労働省の試験だとD20値が書いてあると思う。多分、「陽性」といっても非常に弱い陽性ではないかなと思うので、もしD20値がわかればここに括弧で記載していただきたい。それ以外のものはほとんどが陰性なので、結論としてはこれで結構だ。
- 前川委員長:
- とにかく、遺伝毒性を示さないという結論になる。唯一の陽性のところも、数値がもう少しあれば、よりそれを支持するデータということになるかと思う。
- 34頁の発がん性については、腎腫瘍の発生に対してプロモーター作用を示すが、普通に与えた時には腫瘍の発生はみられないという結論だ。ただ、IARCの方では評価はまだしていない。
- 福島委員(大林代理):
- 清水先生の指摘にあったように、変異原性試験の培養細胞試験は私どもの研究所でもやっている。製造量からすると、この物質はいずれの結果でも、がん原性が問題となる。今まで、途中でこの試験がやめられていたり、匹数が少なくて評価されていなかったりという状況なので、私どもは今月からがん原性試験をもう一度やろうと計画している。確かに、変異原性の培養細胞の方は、以前、国立衛研の方でも実施されていて、「-」の評価がされているが、細胞毒性が出る領域と変異原性の出る領域が相当近いところにあるようだ。公比を細かくとって再度やってみると、弱いとは思われるが、確かに変異原性がみられた。そういうことで、がん原性試験を提案している。
- がん原性に関しては、どちらに転ぶかははっきりしないが、代謝物などをみると、水溶性のようなものになっていて、膀胱結石を形成するような可能性も想定はしていた。今、3カ月の予備試験が終わった段階では、そういう傾向がない中で、やはり同じような血液への影響が強くみられているので、結果が楽しみといったところだ。
- ただ、遺伝毒性に関しては、他の試験では陰性という結果なので、有害性の評価としては全体的にはそういうことで仕方ないとは思う。ただし、スクリーニングを踏まえてがん原性試験をする過程においては、遺伝毒性があるかないかという点はがん原性試験をやる上での選定基準になっていることもご理解いただきたい。今後、この有害性の評価がリスク評価に利用される場合のデータとして、閾値の問題等も出ようかと思う。こういった物質に関しては、ちょっとこだわってがん原性をやれというので、旧労働省の調査課の方から見直しという形で、我々は今、仕事を受けているところだ。また何か新しい事例が出たら、こういう場でも提案していきたいと思っている。
- 前川委員長:
- 今の説明のように、そういう試験がなされているという現段階だそうだ。
- 清水委員:
- 構造的にみると、この物質は真ん中で切れるとアニリンになる。もし生体内でこれが切れてアニリンになれば、アリニンの発がん性ということで膀胱がターゲットになる。変異原性試験でも、32頁の一番下にノルハルマンの添加で陽性になるという報告がある。アニリンの場合も、それ自身に変異原性はないが、ノルハルマンを加えると陽性になるというデータがあり、これはぴったりそれを証明しているように感じる。発がん実験の結果を、興味をもって待ちたいと思う。
- 前川委員長:
- 確かに、切れればアニリンの構造になる。少なくとも実験動物での血液に対する毒性はまさにそれを表していると思うし、ヒトでもそういうデータがあるようなので、その点では結果を早くみたいとは思っている。
- 他はいかがか。
- では、ジフェニルアミンも読了。
(8)フタル酸ジシクロヘキシル(原案修正対比表説明担当:化評研石井かおり)
- 前川委員長:
- 1頁の物化特性から4頁の環境中の生物への影響まで、いかがか。
- 4頁の生物濃縮性で、BCFは12,000と計算されるが、一般的な魚介類は代謝する能力を有するので、実際にはこのBCFよりも低い濃縮性を示すと推定されるということだ。前だけをみるとドキッとするが、この辺の記述の仕方はいかがか。
- 若林委員:
- あまり厳密ではないが、よいと思う。
- 前川委員長:
- この物質は環境省によって内分泌攪乱化学物質としてリストアップされてきたという経緯を踏まえて、「環境中の生物への影響」についてはいかがか。
- 若林委員:
- 内分泌攪乱作用はなかったとどこかに書いてあったと思うが。
- 前川委員長:
- 8頁の一番上にある。
- 若林委員:
- 最近、溶解度の非常に低い物質については限度試験をやって、それで毒性があらわれなければ、そんなに問題はないという傾向になってきている。206行の「急性毒性は(省略)付近では顕著な影響はみられない」というのは日本語としてちょっとおかしい。「急性毒性はないと考えられる」でよいと思う。実際、溶解度が0.2なのに、2でやっているのだから。
- CERI:
- 了解した。そのように修正する。
- 前川委員長:
- その点は、急性毒性だから、それでよいと思う。ただし、内分泌攪乱作用に関しては、データもあるので、まとめには入れていただいきたい。後の実験動物でのデータもあるが、それとこれとはまた別の話である。
- 8頁の「ヒト健康への影響」はいかがか。
- 12頁に「標的臓器は、肝臓、腎臓、精巣、甲状腺(省略)」とあるが、何か論文に書いてあったのか。それとも、CERIでのまとめか。
- CERI:
- 全体を通してのCERIのまとめだ。
- 前川委員長:
- 肝臓と精巣はそれでよい。腎臓も恐らくとは思うが、硝子滴だけのようだから、そんなに強い変化ではない。それから、甲状腺にも確かに変異が出ているが、肝臓での甲状腺のホルモン代謝が促進された結果として起きたのではないか。標的臓器といえば標的臓器だろうが、直接的な変化ではない。広い意味では標的臓器だが、「影響を及ぼした器官」というような表現の方がよいのではないか。
- CERI:
- 了解した。表現を検討する。
- 前川委員長:
- 11頁の生殖・発生毒性に関してはいかがか。
- 17~18頁の遺伝毒性は、ほとんどデータがなく、遺伝毒性に関しては判断することはできないという結論になっているが、いかがか。
- 18頁では、先ほどの内分泌攪乱作用に関するデータが追記されている。子宮への影響試験その他で検討した結果、いずれもそういう影響はみられなかったということだが、ヒトが暴露されるようなものも含めた、それほど高用量でやったわけではないということのようだ。そういう意味では、リスク評価ということにもなろうかと思う。そういう意味で、「量的に比較的低い濃度でやられた試験では」というただし書きがあるので、よいのではないかと思う。
- 当初はそういう攪乱作用のある物質としてリストアップされたが、魚や哺乳動物を用いた試験のいずれにおいても、そういう影響はみられなかったというのが結論であろうかと思う。
- 19~20頁にヒト健康への影響のまとめがあるが、いかがか。
- 若林委員:
- 今、内分泌攪乱関係の話があったが、「なかった」と言い切るのはちょっと不安だ。と言うのは、少なくとも水生生物に関しては、繁殖という物差しでみているが、内分泌攪乱作用にはいろいろな作用があり、まだこれからの研究段階であるからだ。ヒト健康影響の方も、どう書いたらよいかわからないが、限定的に書かないと具合が悪いと思う。「内分泌攪乱作用が全くない」というのはちょっとまずいと思う。
- 前川委員長:
- そういう意味では、やはり量の問題が絡んでいると思う。特に哺乳動物の場合は、量の問題が非常に関係すると思う。特に20頁の最後のまとめのところも、「比較的低用量の実験条件下では」ということになる。高用量をやった試験では、例えば精巣の精子数が減少するとかといったデータが現に出ているので、こういう条件下での結果であるということをまとめのところにも書いておいていただきたい。
- 他にはないか。
- これでフタル酸ジシクロヘキシルも読了。
(9)4-tert-ブチルフェノール(原案修正対比表説明担当:住化テクノ細川)
- 住化テクノ:
- 7頁229行の「残死体(Carcass)」に関し、Carcassの適当な訳として他に残体、屍体などあるが、ご指導下さい。
- 前川委員長:
- 確立した適当な訳がなく、このままとする。
- 清水委員:
- 15頁429行目の「倍数体性細胞」は、「倍数体細胞」とする方が良い。436行目の「投与後24時間及び48時間に」は「投与後24時間及び48時間後に」とする。
- 前川委員長:
- この物質は読了とする。
(10)2-メチルプロパン-2-オール(原案修正対比表説明担当:鎌倉テクノ磯ヶ谷)
- 前川委員長:
- 13頁の351行にある退薬症状は、薬をやめたことによる禁断症状であるが、対比表にあるように、「振戦、硬直等」が起こったのか。
- 鎌倉テクノ:
- そうである。
- 前川委員長:
- 退薬症状の後に括弧して、「振戦、硬直等」を記載する。
- 前川委員長:
- この物質に関しては、膀胱において慢性炎症あるいは移行上皮の過形成がみられているが、これらの変化の原因として結石などの記載はなかったか。
- 鎌倉テクノ:
- 腎臓については鉱質沈着などの記載、また、膀胱については炎症などの記載はあるが、結石についての記載はなかった。
- 前川委員長:
- 20頁の遺伝毒性では、多くの試験は「-」だが、1試験「+」のものもある。結論としては、tert-ブチルアルコールは遺伝毒性を有する可能性は小さいという判定になっているが、よいか。
- 清水委員:
- TA102を用いた試験で「+」と「-」が出ているが、代謝活性化の仕方が異なるためと思われる。「+」になっているのはここだけなので、積極的に「遺伝毒性あり」という表現はできないと思われる。
- 前川委員長:
- 遺伝毒性を有する可能性は小さいということにする。
- 22頁の発がん性の中の尿細管がんの表現は、「腺がん」の方が好ましい。485行で、「甲状腺の濾胞細胞腺腫または濾胞細胞がん」となっているところを「甲状腺の濾胞細胞腺腫または腺がん」に修正する。また、23頁495行の「尿細管腺腫または尿細管がん」を「尿細管腺腫または腺がん」に修正する。
- 25頁でヒト健康への影響のまとめ中の退薬症状の後に括弧して「振戦、硬直等」を加える。
- 若林委員:
- 5頁163行の急性毒性で、「最小値は48時間EC0の180mg/Lであった」と記載されているが、急性毒性のエンドポイントというのは、EC50かLC50となっているので、まずEC50値を記載して、EC0値を参考値として記載する。
- 前川委員長:
- これで2-メチルプロパン-2-オール(tert-ブチルアルコール)も読了とする。
その他
事務局より、次回の審議会は8月から9月中旬までの間での開催を予定していることが伝えられた。
閉会
前川委員長より、化学物質審議会審査部会第30回安全評価管理小委員会の閉会が宣言された。
以上
最終更新日:2008年1月22日
