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審議会・研究会

産業構造審議会商品取引所分科会平成15年度第2回 議事要旨




日時:平成15年6月25日(水)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室 
出席者:後掲 
議 題: 商品取引所を中心とする市場機能の信頼性の向上        
    (委託者債権保全制度、トランスファー制度、クリアリング制度、証拠金制度 等)

議事概要:以下のとおり。

1. 資料説明
 事務局より、以下の資料について説明。
資料-1 委託者債権保全制度について
資料-2 トランスファーについて
資料-3 クリアリング(清算)制度について
資料-4 証拠金制度について

2.意見交換

 委員から、以下のような意見があった。

・ 一般投資家が9割のシェアをもつ中で投資家にとってわかりやすい透明性のある制度にす
る必要がある。白地のキャンパスに絵を描くように新しい理想型を念頭に置いて議論する必
要があるのではないか。商品先物取引はルールが複雑でどこかに落とし穴があるのではと
疑念を持たざるを得ない。単純、明快でわかりやすい制度を作る必要がある。

・ 目指すべき方向としては賛成である。ただし、現実に運用されているルールもあるので全て
変えてしまうと混乱を生じる。無用な混乱は投資家をマーケットから遠ざけてしまう恐れがあ
り、配慮する必要がある。

・ 欧米に比較し、取引証拠金は取引所の決済に使えるようにもっと厚くとるべき。受
託業務保証金は日々の値洗いに使えないという問題がある。

・ 取引決済と委託者保護の関係は論理的には別問題だが、相場が荒れた時に、商品取引員
は、負け組委託者からは金がとれない、勝ち組委託者には金が払えないということが起こり、
取引決済と委託者保護の問題が同時並行的に起きてくることを頭に置いて議論する必要が
ある。
  商品取引員破綻時における委託者債権保全の上で補償基金の役割が大きい。受託業
務保証金の引上げと分離保管の徹底という議論はあるが、共益部分としての補償基金
の役割が重要。今の任意加入から、何らかの形で強制加入にさせる必要がある。

・ 取引決済はいかなる時でもスムーズに行われることが重要であり、委託者保全の問
題とは切り離して考えるべき。

・ 商品取引員は、商品先物取引だけで営業しており証券会社のように経営を多角化するの
が難しいということも配慮する必要がある。
 
・ 委託者債権保全制度について全く新しい制度を仕組むという意見に賛成。委託者は業者の
信用リスクや制度リスクを自ら判断できない。昨年倒産したアイコムの破綻処理に伴い様々
な問題が生じた。今の委託者債権保全制度は、損害賠償債権が補償の対象になるのかどう
かはっきりしないなど非常にわかりにくい。また、任意整理で破綻処理がなされている事例が
多いが、任意整理では透明性が確保されないという問題がある。
 
・ 商品先物市場においては、(参加者の)8~9割を占める一般委託者の信頼獲得がポ
イントである。一般投資家が自ら判断できるのはプライスリスクのみ。(業者の)クレ
ジットリスクやシステムリスクについては、インフラとして透明性を高めることによ
り、一般投資家が判断できるようにわかりやすい制度にすべき。
 
・ 商品先物も一つの投資先と考えれば、できるだけ金融商品と同じ制度にしてもらえ
るとわかりやすい。証券・金融先物のモデルがあるのだから、できるだけ同じにすべ
き。委託者にとっても透明でわかりやすい構造にすべきで、今はその良いチャンス。
ベアリングズ社が破綻した際、海外の取引所は24時間以内に金銭(証拠金)とポジ
ションの移管がなされたが、東京市場だけは1週間以上かかった。スムーズにトラン
スファーできるようにするためには、クリアリングハウスに証拠金と建玉が集中して
いることが前提。米国のCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)において、クリア
リングメンバーが危なくなるという過去の事例では、まずトランスファーをして処理
してきた。こういう処理をすればほぼ片づく。

・ 当業者にとって、公正で透明な指標価格が必要だが、我が国の取引所は、まだ指標
性のある価格を形成するに至っておらず、あまり利用できていない。日本の商品先物
市場は、(今回のテーマのような)インフラがかなり未熟。信頼性確保が重要で、欧米
あるいはアジアの先例に早くキャッチアップさせてほしい。

・ 市場管理(証拠金も一つの手法)と取引決済の問題は、論理的に分けて考えるべき。
委託証拠金が決済リスクを担保するためのものなら、決済リスクが発生する、担保の
必要な場所(取引所)に集中させればいい。それ以外の過剰預託分は、別途保管すれ
ばいい。補償基金が「最後の保険」であるなら、これを分離保管先とするのは間違い。
(リスクに対する担保の機能とそれ以外の部分と)委託証拠金の機能を理論的に分け
て検討した方がわかりやすい。

・ 現行では、「基金LG」も基金弁済契約もクリアリングも委託者債権も、最後の補償
は業界(会員)が担っている。結局、業界がどの局面で補償(負担)すべきかという
問題。証券では、最後の破綻とクリアリングにおいて業界が負担している。業者全体
で補償し合う現行の補償基金制度は、優良な商品取引員にとっては負担が大きいので
はないか。

・ (他の業者の)破綻に対し無限責任の負担を負う(現行の)補償基金の仕組みにつ
いては、特に(上場)株式会社から抵抗感が強い。これを強制加入にすることによっ
て、一部会員が市場から出ていくことになっては困る。

・ 証券の投資家保護基金と同様に補償基金を位置付けるなら強制加入というのはあり
得る。

・ 受託業務保証金でカバーされる割合が委託者純債権の総額の半分にも満たないのは
なぜか。金融先物市場ではリアルタイムで勝ち組、負け組の情報がカバーされ、決済
リスクを限りなくゼロに近づけるという方向に進んでいる折り、商品先物のインフラ
が遅れているのは問題なのではないか。

・ 金融先物取引は、銀行等金融機関が投資者であるのに対し、商品先物取引では9割
が個人委託者であり、構造が異なる。商品取引員と個人委託者の関係で見れば、勝ち
組(委託者)への支払いはするが、負け組からの徴収は遅れても長い(取引)関係で
なかなか取り立てることもできないで未収金になるという現実がある。1ヶ月の受託
業務保証金のタイムラグでは説明しきれない、破綻事例では未収金が膨大になってい
るという現実があることを頭に入れて議論する必要がある。

・ 制度のあり方を独立して考えれば、投資者信頼を最大限に確保するため、欧米・金
融市場の制度に倣うべきという議論になるが、現行制度は商品取引員のビジネスモデ
ルと結びついており、制度を変えると取引員のビジネスモデルも変える必要が生じる。
現状のビジネスモデルを維持していくなら制度もあまり変えられないということにな
る。結局、ビジネスモデルをどう変えるのかという議論をしないと進まないのではな
いか。

・ (業者は)何も変わらないということでは委託者信頼の確保も効率性も確保できな
いのでは。ビジネスモデルを変えるために手数料自由化まで長い時間をとったので、
今や待ったなしの状況である。

・ 委託者の資産を保全することと場勘定の支払い等に使う手元資金の流動性をどう両
立させていくかの問題である。委託証拠金をどこに保管しても取引証拠金や委託に係
る場勘定に使えるようにする必要あり。受託業務保証金や補償基金など現行制度に問
題があることは事実であるが、今の制度が定着しており、急激に変えると取引員経営
が圧迫される。手数料自由化も控えている。したがって、当面は、現行制度を強化す
る中で、多様な経営展開を可能にするインフラ整備をしてほしい。具体的には、受託
業務保証金を日次ベースで管理すること、分離保管の監視を日次化し、自主規制機関
等を含め総合的に強化し、違反に対しては罰則を強化すること、取引員の許可取消し
を含む退場ルールを明確化することなどが考えられる。
  
・ ビジネスモデルを変えるべきというのはもっともだが、これまで積み重ねたものも
あり、現実にはなかなかそうはいかない。(委託者債権保全制度が)制度疲労を起こし
ているのは確かであるし、透明性の問題があることも事実。補償基金がいかにあるべ
きか考える必要がある。

・ 委託者債権保全に係る現行のプラクティスを変えて、より厳格にしてほしい。現行
は分離保管状況について月次チェックしかされておらず、主務省検査も(2~)3年
に1回(程度)で、分離保管に対する外部監査もなされておらず、(分離保管財産の払
い出しについても)銀行は形式的なチェックしかしていないようだ。証券でも、分別
保管が最大の問題で、98年に倒産が相次ぎ、分別保管をしていなかったことが露呈
した。投資者保護基金制度が導入され、第1基金、第2基金が出来た。第2基金は外
資系中心に(当初から)外部監査が必要としていたが、最近、分別管理についての監
査・プラクティスが実効化の目処が立ったので、合体した。信頼性を増す仕組みにす
べき。

・ 証拠金制度は、商品取引員の他の行為規制ルールとセットで考える必要がある。適
合性原則がしっかり守られ、委託者が皆自主的に参加しているなら、証拠金制度は取
引リスクに応じて決めればいいが、現状では、度重なる勧誘により取引に入った受動
的委託者や高齢者や資金力が十分でない人も多く、このままで証拠金率を下げると、
同一証拠金で枚数を増やして手数料稼ぎをするといった弊害がでる可能性がある。

・ インハウスがいいのかアウトハウスがいいのかということがあるが、分別管理、ト
ランスファーが全て整った上でのクリアリングハウスであればどちらでもいいと思う。
ユーザー側から見れば、効率的であるのがよい。例えば東京と大阪の市場で取引をし
ていて、(両市場間で)リスク相殺できれば、資金の効率化ができて良いと思う。

・ 補償基金の役割として、投資者保護基金のように、トランスファー等の緊急時に融
資を行う機能を持たせることが考えられないか。

 最後に、次回日程について、7月24日(木)14:00~16:00に開催する、場所については
事務局より連絡することとされた。


【出席者】
分科会長代理 上 村 達 男  早稲田大学法学部教授
委  員   石 戸 谷 豊  日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長
委  員   池 尾 和 人  慶應義塾大学経済学部教授
委  員   岩 瀬 史 明  住友商事株式会社理事・金融事業本部長
委  員   大 森 輝 夫  新日本石油株式会社常務取締役
委  員   尾 崎 安 央  早稲田大学法学部教授
委  員   河 村 幹 夫  多摩大学・同大学院教授
委  員   久 野 喜 夫  FIAジャパン・チャプタープレジデント
委  員   鳥 居 敬 司  株式会社みずほコーポレート銀行常務執行役員
委  員   中 澤 忠 義  東京工業品取引所理事長
委  員   藤 田 庸 右  (社)商品取引受託債務補償基金協会理事長
委  員   二 家 勝 明  日本商品先物振興協会会長
委  員   堀 田 健 介  モルガン・スタンレー証券会社会長
委  員   堀 口   亘  日本商品先物取引協会会長
委  員   森 實 孝 郎  東京穀物商品取引所理事長

【問い合わせ先】
農林水産省 総合食料局 商品取引監理官 五十嵐
経済産業省 商務流通グループ 商務課 柳橋、山崎
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最終更新日:2004.04.01
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