経済産業省
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審議会・研究会

産業構造審議会商品取引所分科会平成15年度第4回 議事要旨




日時:平成15年9月4日(木)14:00~15:40
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室
出席者:後掲
議題:① 商品取引所における市場の利便性の向上
(新規上場の円滑化・多様化、取引所の組織構成の在り方 等)
② 取引所外取引における市場機能の適正化
(市場類似施設及び店頭商品先物取引に係る規制の在り方 等)

議事概要:以下のとおり。

1.資料説明
事務局より、以下の資料について説明。
資料-1 商品取引所における市場の利便性の向上について
資料-2 取引所外取引に対する規制のあり方について

2.意見交換
委員から、以下のような意見があった。

① 商品取引所における市場の利便性の向上

・ 新規上場の際の当業者要件については、原材料を2次加工したり電力会社のように石油を消費し
ている業者はあてはまらないこととなっており、これらについても当業者に含めるようにしてほしい。
商品の定義については、電力、排出権、天候デリバティブ等無体物のヘッジニーズは増しており、商
品の定義も拡大するよう検討してほしい。
取引所の会員資格については、ユーザー企業が会員になりたいという希望があるし、また、クリアリ
ングメンバーとして信用力の補強の面等から、金融機関も取引所の会員に入れるようにしてほしい。
市場管理については、当業者からは期近限月の建玉制限が厳しすぎるので市場の流動性が高まら
ないと言われている。市場管理を緩和するに当たっては、市場監視についてはシステムを活用し厳格
にしたい。また、主務省への報告については電子報告で対応できるようにしてほしい。

・ 当業者の範囲については、電力会社の他航空会社、海運会社等についてもヘッジニーズがあるの
で広げる必要がある。海外では当然、こういった業者がエネルギー市場の主要な参加者になっている。
また、金融機関が会員となることで市場流動性、信頼性も向上することが期待できる。
電力、CO2排出権については、時期尚早かもしれないがやれるよう準備だけはしておくべき。
市場管理・監視の問題については、現状は一般投資家保護が主体でルールが決められており、当業
者のリスクヘッジニーズに対応できていない。値幅制限については、東工取はNYMEX(ニューヨーク
マーカンタイル取引所)の1/5~1/10になっている。これは商品代金の2~4%程度の範囲であり狭す
ぎる。石油は国際政治動向で大きく価格変動するものであり、海外市場とリンクしたリスクヘッジオペ
レーションに支障が生じている。少なくともNYMEXレベルのルールにしてほしい。IPE(国際石油取引
所)では値幅制限はない。
建玉制限については、原油については最近大幅に緩和されたが、ガソリンについても緩和してほし
い。
証拠金については非常に高くなっており、タンカー1艘分で売りと買いを立てると8億円を超える。少
なくとも売と買の建玉を相殺するような仕組みや、委託者の信用度に応じて証拠金を設定するような
仕組みを導入してほしい。
現在、会員別、限月別に全ての取組が情報公開されており、スクイーズなどかえって弊害が生じる恐
れがある、少なくとも海外の市場並みの情報公開に止めてほしい。

・ 当業者にとって使い勝手の良い市場にすることで市場の流動性も増すという観点から、ベーシス取
引(現物の取引における値決めに先物市場の価格を利用する取引)、EFP(Exchange of Futures
for Physicals;取引所外で現物取引を行った当事者が取引所に対する報告により当該現物取引と同
数量の反対ポジションの約定を先物市場で成立させることを認める制度)を積極的に導入したり、受渡
ルールに当業者の声を積極的に反映する等していく必要がある。個人投機家を対象にした規制がネッ
クになっている面があり、プロとアマチュアで適用するルールを区分する工夫が必要である。また、証
券でも非公開となっている建玉情報の開示についても見直しが必要。
証拠金預託についても銀行保証が活用できるよう手当してほしい。OTC(取引所外取引)が伸びて
いるのも、日々の証拠金納入が不要だからではないのか。
資産運用市場として個人との投資顧問契約を可能とする他、10人以下で組成するプライベートファ
ンドが可能となるようにしてほしい。

・ 商品の定義については、有価証券との対比において、原材料が絡んでいるところに大きな特徴があ
る。CO2排出権についても石油等と関連していれば商品の定義に含めても問題ないのではないか。
平成10年法改正で当業者主義は終わったと認識している。市場利用者の面と市場を担う面を分け
て考えるべきで、今の当業者は前者に過ぎない。取引所は既に業者の取引所ではなくなっており、利
用者にとって使いやすい組織形態であればいい。
新規上場については、以前は商取審議会でいちいち決めていたが、現在はそうした手続も不要と
なっており、試験上場制度も導入されるなどかなり緩和されているが、退出(上場廃止)については硬
直化している。取引量が極めて少なく、売買同数の市場、数枚の取引で相場が動くような市場とは言
えない市場が温存されているように見受けられるのは問題である。

・ 建玉制限については、実際のビジネスから出てくるヘッジニーズに対応できないものになっている。
値幅制限については、海外と違い過ぎて逆にそれを利用したスペキュレーターが入っているという現
実がある。欧米では市場管理ルールは緩いが大人の判断に任せられており、日本でもその方向に考
え方を変えていくべき。

・ 物価指数、排出権、電力等当業者が特定できないものについては、当業者要件を前提とした上場
制度は抜本的に見直す必要がある。

・ 上場品目に無体物を加える必要がある。天候デリバティブに関心あり。無体物については政省令で
指定することにしてもいい。当業者要件についてはあまり神経質になる必要はないのではないか。本
上場の際の現在の(当業者が)過半数以上という要件は必要ないのではないか。
取引所外取引については、米国、日本においても農産物は対象にしないということなのでこれ以上コ
メントする必要はないが、今後仲間市場(当業者同士の自己勘定取引のみを行う市場)について適用
除外を広げるのであれば対象品目を指定する必要があるのではないか。
(市場管理については、)行政庁から取引所へ任せられるものは任せた方がいいのでは。値幅制限
は委託証拠金とリンクするが、取引所の判断に任せる必要がある。石油と他の商品では異なり、農産
品でも輸入品と国産品では(事情が)異なるので、商品の特性に応じてルールの多元化が必要である。

・ 商品の定義の拡大、上場要件の緩和及び当業者の定義の拡大については市場流動性を高めるも
のであり大いにやってほしい。
市場管理・監視については、建玉・値幅制限の緩和に加え、取引所の自主規制機関としての機能で
ある市場監視体制のシステム対応が今後重要となる。将来クリアリングハウスを導入する方向であれ
ば(そちらでも)投資が必要となり、将来大きな投資をしていく中で、取引所の株式会社化も選択できる
よう手当しておく必要がある。

・ 市場の利便性の向上は前回のテーマであった取引員の行為規制の問題と関連しており、バラバラに
切り離して議論することはできないもの。主体的に取引に参加する投資家やBtoBが前提であれば利
便性の向上ということも理解できるが、現在のような一般個人が勧誘されて参加する市場を想定すれ
ば、建玉制限、値幅制限の緩和などは、一般委託者に響いてくる。BtoBや主体的個人参加者中心の
市場に持っていくなら結構なことだが、これからも個人投資家大多数という市場を想定するなら利便性
の向上についての議論には賛成しかねる点がある。

・ 取引所の株式会社化については、現時点ですぐやるかは別として、システムとして組織運営するた
めの選択肢として株式会社を評価する必要はある。株式会社だから営利中心で会員組織がそうでは
ないという整理は必ずしも当たらない。株式会社は所有者(株主)と経営者と利用者(取引参加者)の3
つを分けるものであり、利用者の代表が経営者に意見を言うこともある。英国FSA(金融サービス庁)
は政府であっても株式会社であるし、電力など公益を担う株式会社はある。株式会社化により、会社
法の仕組みを用いて、ガバナンス(統治)、資金調達、取引所の統合、情報開示、会計・監査、持株会
社化等が容易になるという効果がある。他方、会員制ということは出資者イコール経営者で最も私益を
追求しやすい。ドイツの取引所では理事会から独立して市場管理部門を設けていたり、理事の半分を
社外理事にする等の工夫をしており、会員制であっても工夫はできるが、現行のような会員制よりは株
式会社にした方がいいのではないか。株式会社化ができないなら、会員制の下でガバナンスを最大限
改善すべき。

・ EFPについては当業者にとっては現物と先物の連携のために有効な手法である。米国でもEFPに
よってうまくヘッジが機能しているので前向きに受け止めるべき。
証拠金については、マーケットボラティリティ(市場変動度合い)に応じたリスクに基づいて決定する方
法が有効である。
建玉手口公開は、日本固有のものであり、証券では最近やめた。行為規制が機能していればあまり
必要はない。もちろん、こうした情報は取引所、規制機関、自主規制機関にとっては有効であるので情
報共有したらいいが、必ずしも全ての人に知らせる必要はないし、それによって市場がかえって歪むお
それがある。
株式会社化については、株式会社にした方が比較的透明性が高まると思う。利用者及び株主から独
立して市場管理ができれば有効である。ニューヨーク証券取引所のグラッソ会長兼CEOへの巨額報
酬支払い問題についても取引所のガバナンスの問題であり、株式会社化して職責の分担(segregation
of duty)がはっきりしていればそういう疑いをかけられる恐れはなかったのではと思われる。

・ 株式会社化については、戦前にコメの取引所で株式会社化したところがあって弊害があったという経
緯がある。株式の譲渡制限を課しても絵に描いた餅となり買い占めが行われ執行体制に影響した。自
己資金調達が容易になるという点については、証券取引においては上場品目が多いのでシステム投
資にお金がかかるが、商品取引においてはせいぜい10~20品目でありそれ程お金がかからないと
いう決定的な違いがある。実際にシステム化投資に必要な資金は自己資金で賄えている。

・ 取引所の組織形態についての本質的争点は、株式会社がいいのか会員組織がいいのかという問題
ではなくて、ガバナンスが効いた組織かどうかということである。会員制の組織でもガバナンスが効い
た組織であればいい。ただし、株式会社の制度を利用すれば、長い歴史もあって制度インフラが整備
されているのでガバナンスが効いた組織を作るのが容易であるということ。(株式会社か会員組織か
は)どちらでなければならないということではなく、ガバナンスの効いた組織を作るための手段としてど
うなのかということで議論されるべきである。
市場管理・監視については、監視体制が貧弱だから厳しい(市場管理)ルールがあるという表裏一体
の問題があり、弾力的ルールにするなら市場監視にそれなりのリソースを割くことが必要ということに
なる。市場監視を強化するということとガバナンスの問題というのはリンクしており、そういう意味で株
式会社化という選択肢を広げておくことは十分意味があること。

② 取引所外取引における市場機能の適正化

・ 取引所外取引については市場の性格によって一律(の扱い)にしなくてもよく、石油のように既に仲
間取引によるフォワード取引(将来時点の価格を予め約定して行う売買)が活発なものや、ナフサのよ
うな将来的に先物のニーズがあるもの等からやれるようにすべき。取引所外取引と取引所は競争と補
完の関係にあり、利用者が利便性の高いところを選択するということで競争しつつお互いに伸びてい
けばいい。上場商品についてOTC市場を認めないというのは改めるべき。電力やCO2排出権も将来
的にはニーズがあるので法的に手当してほしい。

・ 取引所外取引についてはリスクの高いものもあろうし、価格形成も不透明になりうると思うので、一
般個人投資家には適合しない。BtoBの範囲で考えてほしい。

・ 現在、商品(店頭)デリバティブについては特に石油に関するヘッジニーズが高まっており、件数・数
量ともに増加している。東京工業品取引所の相場を指標にしたデリバティブ取引については相手方を
当業者に限定しており、石油のユーザーである製造業者の実際のニーズに対応できていないため、対
象を広げてほしい。そうすることにより、ヘッジツールとしてのOTC取引と取引所の相互補完性も生ま
れ、取引所価格の指標性も高まる。

・ 証券では株のプロ私募市場ができているが、価格は取引所の価格を基準とするようになっている。
ここで議論されている「仲間取引」では取引所の価格を使わないということであれば二重価格になると
いう問題が生じる。店頭デリバティブ取引の現行法での扱いは、単に(相場)賭博罪の適用除外という
ことだけのことである。取引所外取引であっても、独自の価格形成を行う場合には、相場操縦等の不
公正取引に対応できるようなルールを準備しておく必要があるのではないか。

・ 取引所外取引として仲間取引を解禁するのはいいが、そのためのルール及び執行体制が必要。取
引所外取引となれば取引所のような自主規制機関機能もないであろうし、今の監督官庁の体制では
市場監視のためのリソースが乏しいのではないか。公正な市場だけを作ろうと思えばあらゆることを禁
止すればいいし、自由な市場だけを作ろうとすれば何でもありにすればいいだろうが、公正でかつ自由
な市場を作るのは難しい。そのためにはリソースを割くことが必要。

・ 自由な取引とは現物取引がそうである。何ヶ月も先の取引は極めて先物と近くなるがどこまでが現物
でどこから先物で規制するかは昔から延々と議論されているが区分が難しい。同じようにBtoB(業者
間取引)とBtoC(業者対一般顧客の取引)の区分にも限界がある。
自由な取引のニーズが出てきているとすれば、それを受け止めざるを得ないだろうが、仲間市場に
ついて、例えば、石油のような重要な商品をまずは指定して、行政として状況把握できる体制を作ると
ころから始めてはどうか。

・ 上場商品に関する仲間取引の市場開設については、会員制にして当業者の自己取引のみを対象と
するもので、公設市場とも矛盾するものではないが、(現行の商品取引所法で禁止されているため)現
在シンガポールに石油の仲間市場が既に開設されたりしている。ニーズもありかつ一般委託者も入っ
ていないので限定列挙でも良いから認める必要がある。

・ 取引所外取引については、不特定多数の一般個人は参加すべきではない。

・ 取引所で自己勘定で取引する金融機関、取引員も、店頭デリバティブ取引の相手方として認めるべ
き。

・ デリバティブをやっている金融機関やファンド業者などリスクヘッジニーズがある者については仲間市
場に参加できるよう当業者の範囲を拡大することが望ましい。
EFPについては石油でニーズが高まり、その他の商品でもニーズはあるので、認めて欲しい。法改
正をせずに認められるのかもしれないが、先物と現物のリンケージを高めるためにも必要である。

最後に、次回日程について、10月8日(水)14:00~16:00に開催する、場所については後日事務局
より連絡することとされた。

【出席者】
分科会長 神 崎 克 郎 関西学院大学法学部教授
委 員 池 尾 和 人 慶應義塾大学経済学部教授
委 員 石 戸 谷 豊 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長
委 員 岩 瀬 史 明 住友商事株式会社理事・金融事業本部長
委 員 上 村 達 男 早稲田大学法学部教授
委 員 大 森 輝 夫 新日本石油株式会社常務取締役
委 員 河 村 幹 夫 多摩大学・同大学院教授
委 員 久 野 喜 夫 FIAジャパン・チャプタープレジデント
委 員 中 澤 忠 義 東京工業品取引所理事長
委 員 藤 田 庸 右 (社)商品取引受託債務補償基金協会理事長
委 員 二 家 勝 明 日本商品先物振興協会会長
委 員 堀 田 健 介 モルガン・スタンレー証券会社会長
委 員 森 宏 史 明治製菓株式会社執行役員
委 員 森 實 孝 郎 東京穀物商品取引所理事長

【事務局】
農林水産省 田中 大臣官房審議官
田辺 商品取引監理官
経済産業省 青木 商務流通審議官
小川 消費経済部長
前野 流通政策課長
横尾 商務課長

【問い合わせ先】
農林水産省 総合食料局 商品取引監理官 五十嵐
経済産業省 商務流通グループ 商務課 柳橋、山崎



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最終更新日:2004.04.01
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