経済産業省
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審議会・研究会

産業構造審議会商品取引所分科会(第5回) 議事要旨


 

日時:平成15年10月8日(水)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室 
出席者:後掲 
議題:議論の整理
    
議事概要:以下のとおり。


1. 資料説明
 事務局より、以下の資料について説明。
資料-1 商品取引所分科会における議論の整理
資料-2 商品先物市場制度の改革に向けた問題意識


2.意見交換
 委員から、以下のような意見があった。

(1) 全体

・商品先物市場は、21世紀の産業インフラとして重要な社会的役割を果たすものであり、業界はフェアな競争を通じて発展すべきで、優勝劣敗がおこるのはやむを得ない。その中で、業者それぞれの特性に応じた多様な業務の選択肢を与えるべきで、そのため、IB(introducing broker)制度が有用。
委託者債権保全については、顧客資産の全額がもっとも安全な形で保全されるべきであり、業者のキャッシュフローに問題が生じるのであれば、業界専用のファイナンス会社を設立させて対応すべき。  

・市場の参加者構造により、各項目についての考え方が異なってくる。産業インフラとしての機能を果たすためには、当業者、ユーザー業者、金融機関等プロ中心の市場を目指すべき。そこがはっきりしないと見解に相違が出てしまいまとまらない。
IBへの業態転換については、IBが個人を勧誘すれば、受動的委託者を中心とする市場構造は変わらないという問題が生じる。

・抜本改正となればなるほど、取引員にとって痛みを伴うので、早く経営判断を下せるよう、経営の多様化のための制度改正の方向性を早めに提示すべき。

・プロの投資家と一般投資家を分けて考えるべき。プロにとっては利便性が重要であるが、一般投資家が多い現状を前提とすれば、委託者債権をどう保全するかが最重要。分離保管制度が徹底すれば、トランスファーも破綻(処理)も明確になるが、同時に、業者のビジネスモデルも変容せざるを得ず、痛みを伴うので、受け皿としてIBが選択肢となる。IBについても、現行と同様の勧誘規制が及ぶのは当然。
現行では、取引証拠金は違約リスクに対応し、受託業務保証金は固定化されているが、(制度の)透明性が確保される形で保全され、取引リスクに対応して使えるようにすべき。

・9割を個人投資家が占める現状から、プロの投資家やヘッジャ-が増えてきて、同時に個人も安心して取引できる市場に転換させるためには、情報へのアクセスにおいてもっとも遠いところにいる個人について、level playing field(公平な競争環境)を確保すべき。
金融の分野では、プロと個人の有する情報の質が改善し、(個人が)リスクを理解して主体的に参加する市場になりつつある。商品の分野でも、良い市場を作るためには、電話や訪問による営業でなく、米国におけるオンライン取引の増大に見られるように、情報のスピード及び質の向上といったサービスの提供で生き残りを図るべき。

・個人も一括りには出来ず、ネットの活用等により自ら主体的に参加する者もいる。もちろんこうした人は一部であり、他方、通常の個人にとっては、金融取引が高度化、複雑化する分、参加コスト・困難さが増している。したがって、個人が市場に参加するという点では、ファンド等集団投資スキームの意義が高まっている。個人委託者が9割を占める構造を前提に市場設計をするという考え方ではなく、ネットで主体的に参加できる層をサポートしつつ、大層を占める一般個人はファンド経由で参加するという参加者構造を目指すという志向性を共有すべき。過度の現状肯定はよくない。現状否定のセンスで考えるべき。

・平成10年の法改正の原点に戻れば、金融システム改革の中で「商品先物業者も普通の金融仲介業者を目指す」ということであり、リスクに見合った証拠金、資格の見直し、集団投資スキームなどが重要であるが、他方で、現状を考えると、委託者債権保全が大事。この保全がきちんとなされるならば、投資家保護基金並みの扱いが認められるべきということになろう。

・広義の先物(金融・証券)と狭義の先物(商品先物)とを分けて議論すべき。BtoBも、商品先物に焦点を当てて考えるべき。
ファンドを増加させるべきで、その際、ファンドの組成に商品を盛り込んでいく必要がある。欧米との金利差が出ている今がチャンスで、ファンドに商品が組成されているものに対する関心を高めていく必要あり。


(2) 商品取引所を中心とする市場機能の向上

○ 市場の信頼性の向上

・現行の共同補償制度は、28年の歴史があり、これまで11件の弁済事故を処理し、委託者債権配当率98%(平均)と有効に機能している現状にある。
委託者債権保全については、①受託業務保証金の見直し、②分離保管に対する監視の強化と是正のための措置、③分離保管財産に係る担保力(委託者への優先弁済)強化(銀行預託の廃止と補償基金協会預託の創設)、④全員参加の共同補償制度の創設の4点が重要。①~③については、これまで議論された方向であるが、④については、現行の手許流動性確保のための措置の打切りが条件だとすれば、取引員の経営が困難となる。
特に、平成17年に手数料の完全自由化を迎えるので制度改正による影響とダブルパンチとならないよう特段の配慮が必要。

・取引証拠金について、違約財源として充当された残額は一般債権化するため、毀損の恐れがある。よって、受託業務保証金と取引証拠金を統合し、場勘や違約に充当できるようにするとともに、違約処理の後に委託者のために完全に保全されるようにすべき。
また、銀行預託分は保全が不十分であり、かつ、銀行による相殺権発動のリスクがあるため、取引所又は補償基金協会への預託に切り替えるべき。

・分離保管制度の急激な変更により、手数料自由化の中で、取引員の破綻が起こることによって、共同補償制度に過大な負担がかかり、健全な取引員に影響を与えかねない。分離保管に対する監視体制の強化と罰則の整備等、現行制度の強化を図りつつ、手数料自由化の帰趨を見極めた上で、委託者債権保全制度を見直すということも考慮すべき。

・分離保管については、罰則整備の他に、監査法人による監査の導入も検討すべき。

・委託者保護については、現実的には、補償基金のような共益的部分が大事であり、強制加入 的なものを考えるべき。その際、そのための条件は何かを考える必要がある。手数料自由化による競争激化の中で、業者の手許流動性を維持しつつ強制加入化する方法はないか考えるべき。

・現行の(補償基金の)弁済契約が終了するまで(~18年度)は、現行制度の強化とし、それと平行して、手数料自由化の帰趨を見極めた上、全員参加の新たな基金の在り方等について検討すべき。

・補償基金の強制加入化の前提として、委託者資産保全について、すき間のないように徹底することが必要だとすれば、手数料自由化の中で、業者の手許流動性が制約されるとして、トータルとして何か手立てがないか検討すべき。

・補償基金の強制加入化の前提として、委託者資産が毀損されない仕組みとすべき。そのためには、銀行預託、取引証拠金の扱いに加え、「基金LG」の扱いが問題であるが、これについては何らかの形で保全した上で、緊急融資と組み合わせにしてはどうか。経過期間は別途検討する必要があるが、委託者資産保全について、何らかの形で全ての穴が埋まるようにして、基金の強制加入にすべき。

・業者の手許流動性の問題への対応としては、海外のように、SPANのような証拠金システム導入し、過剰な(証拠金)預託を緩和することも一案。

・業者の破綻による他の業者(市場)への影響の問題と委託者債権保全の問題は別問題。委託者債権保全については、(弁済)ファンドはセーフティーネット(最後の手段)であり、リスクを有する者に負担させるという意味で、分離保管で対応するというのが正攻法。

・手許流動性の問題は、取引所が一本化すれば改善されるが、現実はそうではないので、業者の立替負担を軽減するため、複数の取引所間の資金移動を円滑に行うための(ネット)決済システムの構築が求められる。

・業者のリスク管理(分離保管)がきちんとできれば、補償基金への積立額は少なくすむ。

・受託業務保証金の日次化と取引所間の「計算センター」の創設が、業者の手元流動性確保のために必要。

・受託業務保証金の日次化と「計算センター」(によるネット決済)によって対応できない業者の手許流動性は、そもそも守るべきでないもの。

・ストップ高(安)が何日も続くと、業者の手元流動性が枯渇し、一般委託者が多いのに、いつまでもストップ高(安)が続くことでよいのかの問題あり。このような市場管理のあり方を見直し、例えば、システムとしてストップ高(安)が2回続けば、市場をやめるなどすることが、委託者保護、補償基金制度にとっても重要。

・証拠金の有効活用のためには、共同クリアリングハウスが最善だが、それが出来なければ、場勘銀行を統合し、計算センターを設立した上で、取引所間でクロスマージン(リスク相殺)を認めることも有効。

・取引所共同の計算センターから入るのがよい。SPANは、金融では有効だが、商品で(同様に)うまくいくかはわからない。少し時間はかかるだろうが、銀行の協力さえ得られれば共同計算センターからやるのがいいのではないか。

・SPANでなくとも、リスクベースの証拠金にすることが重要。


○市場の利便性の向上

・取引所の株式会社化について、証券では、(保有株式の上限)5%ルールをまず導入し、その後、持株会社も認める改正を行った。商品において、同様のステップを踏む必要が果たしてあるかという論点がある。

・取引所の株式会社化に関する保有株式制限については、いくら株を保有しても、公共財としての規制が上にある以上、保有制限をかけなくても問題は生じないだろう。前回の議論で、戦前に株の買い占めによる取引所支配の問題が起こったという指摘についも問題ないと思う。

・「商品」の定義について、天候デリバティブや排出権等の無体物についても前広にとりこめるようにすべき。

・天候デリバティブやCO2は広義のエネルギーリスクと位置付けられるにもかかわらず、商品取引所が取り扱えず、他省庁所管の取引所が扱うことになりうるので、いつでも出来るように、制度整備をしておくべき。


(3) 商品取引員による市場仲介機能

・取引員の業務の細分化と併せて、ネット取引の増加等による(取引員における)雇用問題に対応するため、自主規制機関の役割ではあるが、外務員の資格を上昇志向で細分化すべき。

・「米国のIBに倣った」(p.12)とあるが、受託取引員が責任を負う「guaranteed IB」とすべき。取次という形態よりも代理が必要と言っていたのは、代理としての役割を担わせるなら代理として構成した方がいいという趣旨。複数の独立系IBが誕生するような米国に倣ったIBを作れといったつもりはない。IBを導入するなら個人ではやらせず、ある程度の高い基準を設ける必要がある。

・現行の取次制度についてはわかりにくいので、取次なのか代理なのかどちらかに整理すべき。顧客資産を自ら保管できないという代理的構成とすべき。「guaranteed IB」は受託取引員に従属するが、完全子会社(支店化)が対象となり、隠れ蓑的に利用される可能性もあり、他方、「non guaranteed IB」(独立系)とすれば、受託取引員とは利益相反の関係となり、「顧客の代理人」として、受託取引員を監視するという緊張関係が生まれる。両方あり得るが、一体どういうものに位置付けるのか。

・経営上の選択肢の多様化は、経営の決断に資するように、早期に実施してほしい。また、純資産要件は、個々の取引員の抱えるリスクに見合うものにすべき。
  
・純資産要件を個々のリスク見合いにするということは、業者のリスク管理(内部統制)、検査マニュアルの策定、早期是正措置の導入という一式のルールとセットでの導入とすべき。

・行為規制に関し、業者の説明義務に係る民事効(損害額の推定)については、説明義務違反に限定したものとして意見を出しているのではなく、もっと広く適用するようにということである。今回の改正で、金融商品販売法と整合性をとる必要がある。国会答弁で商品先物取引はモノの取引で金融商品ではないといっていたのは修正する必要がある。自主規制でやってきたことを法律上のルールとして格上げすると説明すればいいのではないか。
個人委託者の参加者については、業者ルールとしての勧誘規制と適合性原則の組み合わせにより、現行においても、ある程度対応可能。

・商品市場を担う投資判断を行う以上、説明義務を明確化すべき。(?)

・勧誘規制については、既に多くの規制があり、個々の取引員の自己管理能力の問題であり、新たな行為規制は不要。

・(取引員に対する監視・監査における)自主規制機関間の役割分担ができていない。


(4) 取引所外取引(OTC)における市場機能の適正化

・商品デリバティブのヘッジニーズは増大している。店頭商品先物取引の相手方となる資格について、「当業者」という規制があり、石油を燃料として使用するメーカー等にTOCOMのインデックスが使えない。ヘッジニーズに対応できるように、これを見直すべき。
証拠金(預託に係る)リスクについては、取引員の信用リスクを勘案しなければならないとなると、取引を抑制せざるを得ない。取引員の信用リスクが100%回避されるようにすべき。

・(OTCの議論における)取引所集中主義は、ブラックマーケット乱立時代の遺物であり、市場の自由化の時代においては、業界の足かせとなっている。例えば、石油のJOX(Japan Oil Exchange)は、RIM価格をベースとしたスワップ取引であり、TOCOMとは異なる値決めで行っており、このような多様な設計の先物(類似)取引を全て公設市場でやらせるのは無理。標準形は公設市場で行い、業界の慣行に基づくものはOTCに委ねるのがよい。
OTCについても、届出制として、運営について定期的な情報交換を行う等して公正な価格形成のための牽制(チェック)機能を(主務省が)果たしていくべき。
OTCの参加者資格については、個人は排除し、現行の「当業者」から、金融機関やヘッジニーズを有する者に広げるべき。「当業者」を価格リスクヘッジニーズを持っている業者と捉え直すべき。

・OTCについては、石油のように対象商品を限定して、具体的に議論すべき。


・証券において、OTC市場で(取引所と)同一商品の取扱いを認めて市場間競争を促すということで株の電子取引(PTS)を認めて取引所集中主義の緩和を行ったが、商品の場合はそれとは異なるもので、成長過程の仲間市場を認めろということか。

・OTCについても、不当な価格形成を防止するため、届出及びその後の一定のルールが必要であるが、厳しくしすぎると、市場ができにくくなる。
理論上は、OTCの価格と取引所の価格は、納会日において収斂するのが理想だが、実態として全て一致という訳にはいかないだろうから看過できる程度の差に留まっていればよい。

・全くの同一商品であれば、同一価格にならないと(経済学的に)おかしいが、そもそもOTC市場を作るニーズがあるということは、上場商品の特性は同じだが決済のやり方等取引プロセスの一部が異なるということであろうから、そうであれば、価格が乖離するのはむしろ合理的。別途、取引したいニーズがあるということは何かが違う、どこか違う取扱いがあるということだろう。

・エネルギー関連OTC市場が現存していることからも、その必要性は示され、取引所取引との裁定取引を通じて、取引所とも相互補完関係にあるといえる。BtoBに限定されている限り、一般委託者保護の問題もないから、一定の監視をした上であれば、「違法」という不安定な状態を解消すべき。

・市場間相場操縦が証券では違法となっており、市場構造を精査する必要がある。



 最後に、事務局より次回日程について、11月11日(火)14:00~16:00に開催することが連絡された。





【出席者】
 分科会長代理   上 村 達 男  早稲田大学法学部教授
 委  員     池 尾 和 人  慶應義塾大学経済学部教授
 委  員      石 戸 谷 豊   日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長
 委  員     大 森 輝 夫  新日本石油株式会社常務取締役
 委  員     尾 崎 安 央  早稲田大学法学部教授
 委  員     河 村 幹 夫  多摩大学・同大学院教授
 委  員     久 野 喜 夫  FIAジャパン・チャプタープレジデント
 委  員       高 井 裕 之  住友商事株式会社金融事業本部
                                  コモディティビジネス部長
 委  員     鳥 居 敬 司  株式会社みずほコーポレート銀行常務執行役員
 委  員     中 澤 忠 義  東京工業品取引所理事長
 委  員     藤 田 庸 右  (社)商品取引受託債務補償基金協会理事長
 委  員     二 家 勝 明  日本商品先物振興協会会長
 委  員        堀 田 健 介  モルガン・スタンレー証券会社会長
 委  員     堀 口   亘  日本商品先物取引協会会長
 委    員       森   宏 史  明治製菓株式会社執行役員
 委  員     森 實 孝 郎  東京穀物商品取引所理事長

【事務局】
 農林水産省     田辺 商品取引監理官
 経済産業省     青木 商務流通審議官
                   小川 消費経済部長
                   前野 流通政策課長
                   横尾 商務課長

【問い合わせ先】
 農林水産省 総合食料局 商品取引監理官 五十嵐
 経済産業省 商務流通グループ 商務課 柳橋、山崎

 

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最終更新日:2004.04.01
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