経済産業省
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産業構造審議会商品取引所分科会(第1回) 議事要旨

日時:平成19年9月27日(木)15:00~16:50

場所:経済産業省本館17階西6第一特別会議室

議題

商品先物取引を巡る現状について

出席者

尾崎分科会長、荒井委員、池尾委員、石戸谷委員、大河内委員、加藤委員、久野委員、高井委員、多々良委員、南學委員、平井委員、堀田委員、家森委員、渡辺委員

議事要旨

(1)委員紹介

新委員の紹介(渡辺好明:東京穀物商品取引所理事長)

(2)資料説明

事務局より、資料3「商品先物取引を巡る現状について」、資料4「商品先物取引を巡る最近の議論の動向」及び資料5「金融商品取引法の施行に伴う商品取引所法及び商品ファンド法の政省令改正の概要」について説明

(3)意見交換(各委員からの主な意見は以下のとおり)

  • 資料4-2「工業品先物市場の競争力強化に関する研究会」に関し、東京工業品取引所における現在の取組状況について簡単に説明する。国際競争に打ち勝つために、世界水準のシステム導入、組織変更(株式会社化)を行った場合のコーポレートガバナンスなど重要な課題を抱えており、全力で取り組んでいる最中である。新しい売買システムについては平成20年度中の稼動を目途としているところであり、株式会社化は平成20年12月には移行できるように取り組む。工業品先物市場の競争力強化に関する研究会でも委員から要望のあった石油市場の建玉制限及び値幅制限の緩和は本年10月1日から行う。国際的に見て遜色のない取引所にすべく、アジアの中核市場の確固たる地位を確保できるように取り組んでいる。
  • 東工取が、石油市場の利便性向上のために期近の建玉制限の緩和を行おうとしているが、これによって輸出タンカ-の1隻分がカバ-できるので当業者としては大変意義がある緩和措置である。取引時間の2時間延長にしても、シンガポ-ルの市場につなぐことができるので、当業者にメリットがある。
  • 石油業界としては、独禁法対応の観点からも透明性及び信頼性の高い価格指標が求められている。石油はボラティリティ-が高いためヘッジのためにも商品先物は重要である。現在は大手の元売りは商品市場に参加していないが、魅力のある市場になれば前向きに検討することになるだろう。EFP(Exchange of Futures for Physicals)や、原油、ガソリン、灯油に続いて軽油、またA重油の上場についても引取税との関係などあるが検討してもらいたい。
  • 東工取の株式会社化などの取組のスピ-ドは想像以上であるが、株式会社化をすることで、更に意思決定が早くなると期待している。新システムの導入に関しても、サ-キットブレーカー等も検討してほしい。中国に遅れを取らないよう、また、グローバルな流れに取り残されないよう改革のスピ-ドは緩めないようにしていただきたい。日本国内の商品の価格決定の主導権を海外にとられないように取り組んでもらいたい。
  • 東工取としては、利用者が使い勝手がいい商品市場となるように改革に取り組んでいるので、石油業界も是非、東工取の市場を利用していただきたい。EFPは3年前から導入しているが、もっと取引が活発になるようなPRの仕方などいい知恵があったら教えていただきたい。
  • 軽油については、2003年9月に上場したが、税金の問題もあり流動性が確保できず、公正な価格形成が維持できないため休止の状況にある。A重油については、十分なヘッジニーズがあるかといった点を見極めていきたい。
  • CMEとCBOTは本年7月に既に合併しており、CBOTの用いているグロ-ベックスは平成20年1月にCMEに移行する予定。24時間取引所を開くとコストがかかるが、24時間の電子取引とフロア(Open Auction)のどちらかを投資家に選択してもらっているところ、取引の8~9割は電子取引によるものである。なお、複雑なオプション取引はフロアに依存している。投資家が求めるような優れた投資環境を提供できるようにシステムのアップグレ-ドを行っている。
  • 平成18年の金商法の改正の際に、商品先物への批判が強かったことを受けて、主務省では商品取引員の一斉点検を行った。日商協では「商品取引トラブル解消アクションプラン」を策定し、それに基づいて外務員の点検を行った。平成19年2月には外部からの通報に対応できるように通報窓口を設置した。通報件数は今のところ少なく、内容も個人的内容に関わるものであるようだ。
  • 日本の商品先物が世界から取り残されているという説明があったが、これは商品に限らず、証券、為替も同様に日本の地盤沈下が起こっている。為替市場における日本の地位は、従来はロンドン、ニューヨークに次いで第3位であったが、最近では第4位に後退した。三極にも入らなくなったということ。東証の出来高も3兆円を下回って2兆円台で推移している。新興市場はまったく低迷したままである。商品先物だけでなく、全体の問題として、東京の市場が魅力ある市場でなくなっている。
  • 他方、望ましい新たな動きもある。大証で金のETF(Exchange Traded Fund)を上場した。残念ながらサブプライムと同じタイミングだったので出来高は悪いが、今後は投資インフラと産業インフラをつなぐ最初の一歩になるのではと期待している。今後は、商品と証券の横の連携が重要。商品と金融の壁を飛び越えて取引が活発になることが重要であり、その1つとしてETFのような商品を国として推進することが必要。
  • 前の意見に全く賛成。但し、世界の商品先物市場が拡大する中で、なぜ日本の商品先物市場が縮小するのかについての深い反省が必要である。我が国の先物は、本来の先物市場としての王道を歩んでいなかったのではないだろうか。世界的に見て先物市場はプロが中心になってプロ同士が真っ向から勝負して力量を鍛えているが、日本は一般投資家が取引の中心的な役割を担っているという実態なので、プロが力量を鍛えることが欠如している。これを反省して王道を進むべきである。
  • 国内の競争を回避して国際的な競争力を高めることは無理なので、国内の取引所間の競争を促進していく必要がある。特効薬はなく地道に経験を積むことが必要。ETFについては金のETFの上場により、ヘッジで東工取を利用することも十分考えられ、マーケット全体を広げる効果が期待できるので、まずは国内で競争することが国際競争に勝つための近道である。
  • 日本国内に先物市場は必要である。しかし、最近では流動性が低下して、国内からマ-ケットが消滅してしまう恐れさえあるので、スピ-ド感を持って取引所の改革に取り組むことが必要。マーケットが高速道路仕様になってきており、徒歩や自転車に乗っている一般投資家が入ってこないようにするための措置が必要。例えて言うと、個人はタクシーや乗合バスを利用して参加してもらうということ。
  • 大証で上場した金のETFは、ロンドンマ-ケットを利用して為替を換算して価格を出している。東工取の価格を用いて資金が流れ込むように市場を変えていくことが必要。ETFと先物市場が共存して共に大きくなることが必要。
  • ロスカット取引の導入により、商品取引員が負担する委託玉のリスクが低下するので、純資産規制比率の計算の見直しを行うことは可能ではないだろうか。
  • 純資産規制比率を計算するための財務情報について、各社の財務情報を比較できるようなリスク開示を行うようにしてほしい。
  • 日本の経済のグロ-バル化は避けては通れない。国内取引所が世界的な地位を確保するためには、(システムや取引ル-ルを)グローバルスタンダードにすることが必要。東京工業品取引所は商品単独という範囲の中で効率性を上げる等の努力を行っているが、それで終わりではない。参加者は世界中であらゆる取引を行っている。これに対応して世界の取引所も商品だけを扱っているわけではなく、CMEやCBOTのように商品、金利、為替の垣根がない取引所が増えている。金融と商品の垣根を持つ限りグローバルにはならない。
  • プロを国内の市場に招き入れるためには、プロがリスクをとれる環境を作っていくことが必要。金融と商品のコンビネーションは必要。商品のみならず、金利、債券なども含めて考えていくというのが長期的な取引所の展望ではないか。また、これまでは、商品ということで経産省・農水省の範囲の話であったが、証券取引等監視委員会などとのインターフェースをどうするのか。省庁間の所管の話に止まっていたのでは先に進まない。今後は、もう少し大きく議論をしていく必要があり、サイロ毎の議論ではなく、サイロをまたぐ議論が必要である。
  • 流動性や取引が減る話になると、個人委託者について言及しなければならない。委託者保護基金が英国FSA(Financial Services Authority)を訪れ、話を聞いたところによると、英国の市場の顧客に占める個人の割合は0.9%、マーケット・バリューに換算すると0.01%とのことである。国際競争力を強化するのに当たって、個人に頼るのは根本的に無理があるが、FX市場の実態としては、個人の顧客数は増加している。現在は60万口座6,000億円であり、来年3月には100万口座、証拠金残高は1兆円になりそうであるが、一口座に換算すると100万円であり、たかが知れている。プロ化を目指す方向とし、そのための方策を盛り込む必要がある。
  • 農林水産省、経済産業省が最近行った委託者実態調査によると、年収700万円未満の委託者が6~7割ということだった。平成9年にも同じような調査が行われているが、やはり年収700万円未満が60~70%である。10年くらい経っているのに何も変わっていない、このことに問題がある。
  • FXが登録制となって海先オプションは何も措置されていなかったのにトラブルがそれほど大きな規模になっていなくてほっとしている。この度、海先オプションに対する規制が措置された。評価はするがあるべき姿ではない。国内、国外分け隔てる必要はなく、抜本的な見直しが必要である。また、今回の説明にはないが、金融商品販売法の対象にも海先オプションが含まれるが、取引所取引だけが対象であり、店頭が入っていない。
  • 損失補てん禁止の例外とするための事故確認について、金融商品取引法では事故確認の条件が緩和されたのに対し、商品取引所法では(もともと損失補てんそのものが禁止されてなかったので)制限が新たに被せられた形となった。不動産投資や銀行法、保険業法では確認を取らずに補てんしている。大臣が事故確認を行う制度は既に歴史的役割を終えている。今後施行されるのは仕方がないが、実施してみて問題が発生すれば、速やかに制度を改善してほしい。
  • 業者の半分が赤字という厳しい状況の中、問題を解決し、市場のグローバル化に対応していかなければならないと考えている。高速道路で自転車が走るのは非常に危険で、個人はロスカットやファンドを通じて参加すべきである。
  • 国際競争力の強化・向上が必要である。取引所は国際化に向けて努力を行っていることは分かる。しかし、スピードが本当に遅すぎると申し上げたい。大阪では金ETFが上場されたが、東京の商品先物市場を利用していない。東工取の商品設計をどのようにすればETFで利用されるのか、議論を具体化していただきたい。
  • 16年の改正で清算機能強化、委託者資産分離保管、商品取引員の委託者保護基金加入義務付け等が措置された結果、商品取引員の破綻が16件あったが、100%きちんと委託者の資産を保全できた。
  • 商品取引員としては紛議が少なくなるように取り組んでいる。
  • また、新ビジネスモデル構築に寄与していきたい。
  • よいところと悪いところとで、一律でない行政としての指導をお願いしたい。
  • 国際化時代に対応しグローバルスタンダードに変えていかなければならないことは確かであるが、いろいろ悩んでいて、いろいろ考えることがある。まず、国民への教育が必要ではないかということ。投資によるリスクについての教育が必要。学者の方々は理論ばかり教えるが、実学的なことを教える必要があるのではないか。二つ目に、ニューヨーク、ロンドンとともに東京が世界の3極として必要だと思うが、日本の特徴・強みとは何かということについて議論しないと、ただ欧米の手足になってしまうのではないか。
  • 東穀としてもザラバ取引を導入しようとしたが、価格の情報発信に問題が見つかり、このままでは自信が持てないので、導入を一時延長した。また、国際商品や日本の最大の強みとなりうる米の上場を是非やりたい。
  • CMEは外から顧客を取り込むための努力を、特に技術面から行っている。重要なのは、レスポンス・スピードを高めるなど取引所のシステムの性能を高められるか、いかにユーザー・フレンドリーでオープンインターフェイスなシステムとするかである。顧客の利便性を高め、いかにエンカレッジするかというポリシーが重要である。裁定取引などのテクニックに長けたユーザーにとっての使い勝手がよくなると、このようなユーザーは流動性の供給者になってくれるので、非常に有り難いと思っている。
  • 東京工業品取引所はシステム向上のためのプランを掲げているが、処理速度の競争を一旦始めると、他の取引所に負けないようにするため、処理速度が0に収斂するまで止められなくなる。また、競争に負けないようにシステム投資を行うためにも、意思決定が迅速で資金調達が容易な株式会社化は欧米の潮流である。欧米も頑張っている中で日本も頑張っているが、スピードが遅いので、工程表を明らかにするなどして取り組んでほしい。
  • 金融と商品の垣根を横断化するということについては、なかなか具体的なイメージができにくい部分もあるかもしれないが、早く日程・工程表を作成して取り組んでいく必要がある。
  • 検査結果について、10社中8社は検査結果を公表していない。検査結果がわからないとよくない噂が流れたりする。例えば、検査を行った者について問題がなかったのならその旨を公表するなど、検査結果を全て公表することは考えられないのか。
  • 金融と商品の垣根を低くすべきであるという議論は、それはそういうことなのだと思う。金融と商品の垣根の問題は重要な問題であり、これからの議論のメインテーマになってくるだろう。ただ、海外でも商品だけを取り扱う取引所で立派なところはある。NYMEX、ICE等の商品取引所は商品先物取引に特化している。一方、韓国やシンガポールでは全ての取引所を一つにしたが、あまり成功していないようである。つまり、いろいろな対応があってよく、金融と商品の取引所を一つにすることが必ずしも競争力強化に繋がるとは思えない。
  • 東京マーケットを強くしなければならないし、そうでないとマーケットが消滅する。現状のままで良くないということはメンバーの共通認識であり、いかにこれを活性化させていくかということは大事である。
  • 当業者の利用を増やすことも重要であるが、リスクテイカーについての議論を行うことも重要である。ファンドを通じて参加者を増やすべき、プロが入るようにすべき、商品の品揃えを増やすべきといった議論もある。ETFについては前向きに考えていく必要があり、その中で東京市場を利用するETFを増やすにはどうしたらよいのかなど考えていく必要がある。市場の形態論と機能論があると思うが、これからはタブーを無くして東京市場をどうしていくのか、議論を行っていかなければならない。

(4)今後の本分科会の進め方について

  • 尾崎分科会長より、今後の分科会の進め方に関し、資料6に基づき、説明し、年末の「金融・資本市場競争力強化プラン」に建設的な方向を出していきたい旨発言があり、当該資料6に基づく今後の議論の進め方について委員の了承を得た。

以上

 
 
最終更新日:2007年10月3日
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