経済産業省
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産業構造審議会商品取引所分科会(第3回) 議事要旨

日時:平成19年10月31日(水)16:00~18:05

場所:経済産業省本館17階西6第1特別会議室

議題

  1. 取引所、取引員等の組織・事業運営
  2. 市場の信頼性の向上
  3. 委託者保護

出席者

尾崎分科会長、荒井委員、石戸谷委員、大河内委員、久野委員、高井委員、多々良委員、南學委員、家森委員、唯根委員、渡辺委員

議事要旨

1-1.取引所、取引員等の組織・事業運営についての資料説明

東京穀物商品取引所より資料3-1「組織・事業運営に係る東京穀物商品取引所の取組」、東京工業品取引所より資料3-2「組織・事業運営に係る東京工業品取引所の取組」、日本商品先物振興協会より資料3-3「商品取引員の現状と課題」について説明

1-2.当該説明に対する意見交換

  • 日本商品先物振興協会の資料3-3の2ページ目に「受託等業務の健全な発展による流動性確保が必要である。」とあるが、これは、個人の玉を先物市場へ誘導するのではなく、プロの玉を誘導して流動性を確保していくという意味であり、アマからプロへというのがあるべき方向性と考える。同資料の4ページ目に「市場会員は伝統的には、実需背景の当業者であるため、積極的な流動性創出者とはなりえない」とあるが、これは全く逆。ここ数年、海外の先物市場で流動性が伸びた背景には、プロップファームやヘッジファンドのようなプロのリクイディティ・プロバイダーが、取引員経由ではなく、取引所の市場会員として直接システムを繋いで市場参加し、出来高の飛躍的な発展に貢献している。つまり、もはや、市場会員イコール実需背景の当業者ではなく、投資マネーを背景にしながら市場会員としてプレーする人達が増えている。市場をプールに、流動性を水に、例えれば、取引所はいかにプールに水を入れてくれる役割のリクイディティ・プロバイダーを市場参加させていくかが非常に大きな課題。
  • 資料3-3の9ページ目の日本先物取引振興協会の経営環境に係る会員アンケートによると、協会員が先物協会に期待する経営改善策への取組の上位5項目の一つとして「国民への啓蒙」とあるが、具体的な内容を教えて欲しい。
  • アンケートは選択肢方式になっており、「国民への啓蒙」の具体的な内容について書いていないが、商品先物取引の知識普及、ヘッジの場としての取引所取引の経済的役割、先物市場の利用の方法等について幅広く社会に知っていただくことが必要という内容。
  • 東京工業品取引所は、株式会社化を進めるに当たり、例えば、外国人の株式保有制限などに関し、主務省に制度的な手当て等の要望を行ったのか。資料3-3の3ページ目に、「トラブルのない取引普及に向けた制度的措置の要望」とあるが、協会からの要望に対し主務省はどのように対応したのか。
  • 株式会社化への組織変更は、平成16年の法律改正で整備されたので、特段の要望は行っておらず、法律の手続に従って粛々と進めている。株式保有制限に関しては、商品取引所法に内外無差別で5%の制限が規定されているため、議論は行っていない。
  • 資料3-3の参考資料である日本商品先物振興協会の市場振興戦略会議報告書の12ページの「商品取引責任準備金の撤廃・軽減」と20ページの「商品投資顧問業への参入規制の緩和」を御覧いただきたい。責任準備金の積立義務については、電子取引やプロ向け取引といったトラブルの少ない取引の積立義務を三十分の一程度に軽減し、それ以外は過去の事故等を勘案した積立額に変更している。また、商品ファンドを活性化するため、商品投資顧問業者の資本金要件を1億円から5千万円に緩和し、商品取引員との定型規制の緩和についても対応した。いずれも、本年9月30日から施行されている。
  • 資料3-3の参考資料には「個人委託者の参加促進策」としていろいろ書かれているが、IB制度の導入など、プロ化を目指していくという形で推進してきているので、個人をたくさん入れて市場を活性化するという方向にはならないようにしていただきたい。

2-1.市場の信頼性の向上についての資料説明

事務局より資料4-1「市場の信頼性・安全性向上に関する取組」、日本商品清算機構より資料4-2「日本商品清算機構の機能と役割について」、東京穀物商品取引所より資料4-3「市場の透明性・公正性と市場監視に係る東京穀物商品取引所の取組」、東京工業品取引所より資料4-4「市場の透明性・公正性と市場監視に係る東京工業品取引所の取組」について説明

2-2.当該説明に対する意見交換

  • 2005年5月の商品取引所法施行に伴い、日本商品清算機構(以下、JCCHという。)が稼働して商品取引の利便性・信頼性が非常に向上した。以前は、違約発生時の損失を測定することが非常に難しく、ユーザーとして非常に困っていたが、JCCHの設立により透明性が高まり、第1段階としては非常に評価している。しかし、そろそろ第2段階に入る時期が来ていると考える。東京をいかにファイナンシャルセンターにしていくかという議論の中で、金融インフラとしてJCCHの現状は極めて貧弱である。ヨーロッパには、LCH(ロンドン・クリアリング・ハウス)クリアネットという、株、為替、商品先物、金融先物のすべてを集中清算するという非常に効率的な制度がある。LCHクリアネットは、株式の7割をユーザーが保有する株式会社であり、約4,000億円(資本金約1,200億円、デフォルトファンド(違約準備金)2,800億円)のリスクバッファーを備えている。また、クリアリングメンバー25社のうち20社が高格付の金融機関である。日本はJCCH設立の際に、不公平が起こらないように全員をクリアリングメンバーにしてしまった。JCCHのクリアリングメンバーの信用力は非常に低く、また、金融機関数も非常に少数である。このため、JCCHのリスクバッファーは脆弱。さらに、日本では、商品先物のJCCHの他、日本証券クリアリング機構、東証や大証のインハウスのものなど、クリアリングハウスが併存している。金融資本市場を目指すのであれば、縦割りの決済組織というのは非常に利便性が悪いため、横型のクリアリングシステムを設立する必要がある。
  • ザラバにしても板寄せにしても、取引員の情報はどのくらいのタイミングで取引所からJCCHに伝えられるのか。
  • 取引が終了したその日の夕方に、全ての取引員毎に各取引所のデータがJCCHに集約され、それからネッティング以降の作業に入る。
  • これからザラバ取引が増え、取引時間が長くなると、リアルタイムに近い状況でリスクを監視しなければならなくなり、インフラ及びシステムの整備が必要になってくる。また、こうする中で、リスクベースでのマージンの検討も必要となる。これらが商売になるのかも含め、まずそういうビジョンを持つべき。ユーザーの立場に立ち、クリアリングハウスとして何を前向きに強化すべきなのかを考えると、まず、違約等の事故が起こり、お金が戻らないというのは、顧客にとって非常に困る。そのような中、例えば、店頭取引には危険な取引が多い。よって、このようなものをクリアリングハウスに取り込むというビジネスも、一つの強化の方向であると言える。クリアリングハウスはうまく作れば半独占、うまく作らなければ顧客が外に行ってしまうというものなので、前向きに強化していくことが必要である。
  • JCCHの社長として、お二方の期待の高さに嬉しいと同時に驚いたが、JCCHはまだ生まれたばかりで成長途上であるので、長い目で見ていただきたい。ロンドンはアウトハウス型で一つであるが、米国はインハウス型で複数あり、併存しているということは、それぞれ長所・短所があるからであると思うので、研究していきたい。清算メンバーに格付けの高い人をという話があったが、当方も金融機関に参加を呼びかけたことがある。しかし、商品先物のマーケットが縮小している状況においては魅力に欠けるとの理由で参加してもらえなかった。先物市場を振興することによって、ビジネスチャンスが生まれてくると考えている。取引時間の延長に伴う情報の即効性にどう対応するのかという点については、今回東工取が取引時間の延長を行うが、その先のことも考えて対応を検討していかなければならない。

3-1.委託者保護についての資料説明

事務局より、資料5-1「委託者保護に係る主務省の取組」、日本商品先物取引協会より資料5-2「委託者保護に係る日本商品先物取引協会の取組」、日本商品委託者保護基金より資料5-3「委託者保護に係る日本商品委託者保護基金の取組」、東京穀物商品取引所より資料5-4「委託者保護に係る東京穀物商品取引所の取組」、東京工業品取引所より資料5-5「委託者保護に係る東京工業品取引所の取組」について説明

3-2.当該説明に対する意見交換

  • 様々な対策が講じられているということだが、その実効性が問題。まず、苦情が減っているのか。先程、主務省から国民生活センターのデータの紹介があったが、日商協公表の、商品取引員各社がディスクローズした苦情・紛争件数を手作業で集計したところ、訴訟件数は2005年版で約700件、2006年版で1,000件台、2007年版の現在時点では1,096件と増加しており、全然減っていない。また、苦情件数も2005年版において756件だったものが、2006年版では1,600件台、2007年版では2,474件と随分増えている。会社毎にみると一番多いところは261件、二番目は252件となっている。国民生活センターの件数を基準とするのもいいが、商品取引員各社がディスクローズしているデータが一番正確であるべきであるので、主務省もきちっと気配りして欲しい。また、日商協においても集計を確認してほしい。この日商協開示のデータを用いると、訴訟件数は横ばいで、苦情件数は増えているので、2004年、2006年の法律改正は実効性が上がっておらず、附帯決議に苦情に関する事項があるが、苦情は減っていないことになるのではないか。他方、外国為替証拠金取引(FX)の口座数は、2006年3月に33万口座、2007年3月に64万口座で、来年3月には100万口座を超えそうな勢いである。自分は金融先物取引業協会のあっせん委員をやっているが、任期2年で2人で3件しか扱っていない。今年の8月に10数円の急な円高になった時も協会に苦情の様子を伺ってみたが、苦情の内容は注文が殺到して注文に時間がかかるという、商品先物とはレベルの違うものだった。つまり、やる人が増えるからトラブルが増えるのではなく、やり方の問題。先程他の委員が仰ったとおり、商品先物取引は勧誘入口段階の苦情が7割であり、これが最大の問題。電話勧誘を禁止してもやる人が減るということにならないのはFXで立証済みであり、トラブルも激減しており実効性も上がっている。商品先物取引についても、取引の拡大、プロ化、やりたい人は入るという方向でいけば、実効性も上がり、非常にシンプルな規制になるので、是非お願いしたい。
  • 資料5-2の3ページ目に、日商協として会員に対し、適切な社内処分の実施を要請とあるが、その社内処分状況については公表しているのか。
  • 社内処分の実施要請については、結果のフォローはできていないが、実態調査の結果を公表している。違反行為等があったにも拘わらず、処分を行わなかった商品取引員については、過去を掘り起こして処分することは困難であることから、今後厳正に対応して欲しいというふうに個別に指導を行ってきた。他の委員から指摘のあった事故報告書による苦情件数について、平成17年あたりを境に増加していることは認識している。まだ分析できていないが、要因として、日商協が関わらなかったトラブル、裁判に直接持ち込まれた苦情までは計上されていなかった向きが一部にある。確かに数字の上では何千件単位に増えているが、以前は苦情等となって現れていなかったものが出てきたもので、一概に増えたとまでは言えないのではないか。今後の問題としては、開示は正確にやってもらわなければならないということをいろんな機会を通じて徹底していく。今回の法改正によって、損失補てんが禁止され、その例外措置として事故確認と事後報告という手続ができた。主務大臣に対する事後報告も含めて日商協を通すこととなったので、事故は今後全て日商協で把握できることとなり、事故状況の透明性が高まり、日商協の指導上、良い方向に向かえると考えている。ただ、まだ施行されたばかりなので、もう少し推移を見ていただきたい。
  • ロスカット取引の件で、東穀は選択制との説明であったが、この選択制とはどういう意味か。また、東工取と同じ制度なのか、違う制度なのか。
  • 委託者がロスカット取引を選択できるのは東工取と同じ。ただ、委託者がロスカットでやりたいと言っても、東穀の受託会員は零細や当業者系が多いため、口座管理する力がない等の理由により、別の受託会員で取引をしてくださいとなる場合もある。また、東穀は、ザラバ方式ではなく単一値段約定の板寄せ方式なので、委託者は一定の時間に参入・離脱のチャンスがある。このため選択制とした。
  • 東工取でもロスカット取引を選択するかどうかは委託者に任されている。会員がミニ金取引の勧誘を行うのであれば、委託者にロスカット取引が選択可能であることの説明を行わなければならない。実際に運用してみると、ロスカット制度を選択すると強制的に決済されるため損切りの判断は委託者自身でやりたい、長期的に相場を見ることができなくなるという理由から、必ずしも全ての委託者がロスカットを選択しているわけではない。
  • 消費者一般的な個人投資家が果たしてロスカット制度について理解しているのか。
  • 本制度を導入するにあたって、会員に対して何度も説明会を開いて説明しており、商品取引員の外務員にも会員を通じて理解してもらうべく努力をしており、お客様もよく理解した上で、ロスカット取引を選択していただいているものと考えている。
  • 会員や外務員でなく、消費者が制度をよく理解していなければならない。制度に関する消費者への情報提供は、今後とも十分に行っていただきたい。
  • 委託者保護について、この場の方は心を砕いて考えていることはよくわかる。しかし実際にどうなるかはこれからだと思う。基本的に先物は儲かりますと言われて消費者が取引に引き込まれてしまう。原油や物価が上がり、国会でも消費税が上がる前提の話が出ている状況で、将来が不安になり、持っているお金を増やしたいと思うのは当然で、そこで誘われたということを個人の「自己責任」とは言えないのではないか。消費者が望まなければ誘わないという制度がない限り、儲かりますと言われれば入っていってしまうのが普通の人である。営業の自由もあるが、仕事場にまで電話で勧誘されたり、ピンポンといって勧誘されたりして、生活が脅かされることのないように入口からの規制を是非考えていただきたい。
  • 本分科会の第1回、2回の議論は市場プロ化が議論され、国際競争力の強化は当然の意見でスピードアップが必要であることに異存はない。しかし気になるのは、日本の商品市場が現時点では個人委託者によって支えられており、プロ化を進めるとしても、ここ2~3年のうちにそれが実現できるとは思えず、当面の間、個人依存となることは否定できない。日商協の役割は個人が安心して公正な取引が行えることを最大目標にして方策を考えることである。入口の適合性原則が強化され、再勧誘が禁止されている状況の中で、商品取引員はどのようにビジネスを打ち立てていくかにおいて、大変苦労している。苦情は十分激減したとは言えないが、安心して入り、取引できる環境づくりが必要であり、ロスカット、ネット取引、商品ファンド、ETF等の方策が出されてきている。プロ中心の市場になれば日商協はなくてもいいのかもしれないが、当分の間は、日商協としてコンプライアンスの事業をしっかりとやっていきたい。市場の参加者を多様化することを考える上で、個人の参加も考えてもいいのではないか。だからこそ安心して入れるようにコンプライアンスの徹底を図っていきたい。
  • 個人が委託者になること自体に反対はしていない。ハイリスクな取引であることをきちんと認識して商品市場に入ることはいいが、実際にはトラブルが多く、コンプライアンスを強化したからといってそのとおりにはいかない。つまり、望まないにもかかわらず勧められて入ってしまった方を自己責任で入ったのだからというのはあんまりではないかと思う。このようなことを解決するには不招請勧誘を禁止するしかないと考える。
  • FX取引がわずか数年で100万口座、証拠金が8,300億円という規模になっていることを考えていただきたい。入口ではなく適合性というのであれば、適合性の水準を年収5百万円以上など仕事をしている人であれば誰でも適合するレベルに設定するのは極めて不適切である。また、このレベルでは、適合性の実効性を確保するのに手間暇とコストがかかる。自ら入ってくる人だけで構成するのであれば、適合性の資産要件等に差を設けても良い。プロ市場にふさわしい適合性水準に上げるか、若しくは、自分でやりたいといって入ってくる人たちのみで構成するかの、どちらかにすべきと考える。
  • 個人委託者については、プロかアマかという視点も切り口としてはあるため、従来の用語をもう少し精査して厳密に使わないと議論は混乱してしまう。従来の取組は法改正を実現していくというものであったが、運用レベルという点では新しいステージに達しているとの意見もあり、今後運用の実を一層図っていただきたい。他の委員から指摘があったが、データは極めて重要であり、正確なデータがないと正しい議論ができない。このため、関係各位は確実なデータの提出をお願いしたい。「金融・資本市場競争力強化プラン」への対応について、今後もう少し議論する必要性があり、当初年内4回の開催を予定していたが、更にもう一回程度分科会の開催を増やすことも有り得ることを御了承いただきたい。

以上

 
 
最終更新日:2007年11月28日
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