経済産業省
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産業構造審議会商品先物取引分科会(平成23年度第1回)‐議事要旨

日時:平成24年2月10日(金曜日)16時~18時
場所:経済産業省本館2階西8共用会議室

議題

  1. 検討事項及び今後の議論の進め方について
  2. 商品先物市場を取り巻く諸課題への対応について(総合的な取引所ほか)

出席者

尾崎委員、荒井委員、池尾委員、江崎委員、大田委員、岡地委員、川村委員、佐藤委員、高井委員、多々良委員、細井委員、三次委員、唯根委員、渡辺委員

議事要旨

分科会長の選任

委員の了解を得て、尾崎委員が分科会長として選任された。

資料説明

事務局より、資料3「商品先物取引分科会開催の背景及び検討事項について(案)」及び資料4「今後の議論の進め方(案)」、資料5「商品先物市場を取り巻く状況及び諸課題について」について説明。

意見交換

  • 東工取の出来高は、平成15年1200万枚、取組高で80万枚のピークをつけて以来7年連続の減少。石油については、3月の震災以降、電力向けの燃料の市場ニーズが高まっているが、国内商品先物市場では当業者のヘッジニーズを満たすには実力不足。
  • 過去数年間、新取引システムの導入、ミニ取引の開始、夜間取引の延長、スパン証拠金の導入など、流動性の減少を止めるべく最大限努力してきたが、我が国商品市場の地盤沈下は止まっておらず、このままでは数年のうちに市場そのものが消滅する危機に貧していると言っても過言ではない。
  • 今般の総合取引所構想は、日本の商品取引所に残された生き残りのための道。
  • 商品先物からの顧客玉だけでは流動性の減少を食い止めることができなかったものを、為替、株式、債権等の金融先物からの流動性を商品市場に引き込み、デリバティブ市場全体の価値を上げていこうという試みは価値がある。
  • 総合取引所の議論で、商品先物取引所と金融先物取引所が一体化することで、金融と商品の顧客口座間での流動性が行き来し、商品市場の出来高や取組高が回復する契機になると思う。
  • 取引所同士の一体化のみならず、清算機構、保護基金、監督官庁の一元化も実現してほしい。特に監督官庁の一元化は、産業政策的な側面もあり、全て金融的側面で規制されると金融業者でない当業者にとっては利便性の低いものになってしまうおそれがある。そういう事態を回避するためにも金融庁に加えて、経産省、農水省も合流するような形で、日本版CFTCのような規制組織を設置するのが望ましい。
  • 市場は規制するだけでは成長しない。規制をしながら育成することを忘れずに総合取引所構想を進めてほしい。
  • 農産物取引の流動性データは工業品の比ではなく歯止めがかかっていない。特に主力のトウモロコシ、大豆は、1月の月間出来高の昨年同月比は75~80%減。農産物取引の市場関係者、当業者の先物市場へのアクセス数、取引参加者の絶対数が激減していると危惧。
  • 需要と供給のバランスで価格が大きく変化する農産物のリスクマネージメントの技術、経験、知見が低下。今後の世界情勢を踏まえ、国益を損ないかねない問題。規制から育成へ転換して、市場参加者の増加が見込まれ、結果として流動性向上が実現できるような市場機能の維持向上、中長期的な対策を議論すべき。
  • 先般導入された不招請勧誘の禁止が、今回の取引低迷の大きな要因となっているのではないか。苦情件数の減少は現在も続いており、見直しを検討してもよいのではないか。
  • 農産物市場は、アジア圏で旺盛な需要を背景に食料事情が大きく変化する可能性がある。農産物の市場性は今後高まることはあっても、低下することはない。TPP、EPA、FTA等の農産物取引の自由化を想定しながら、商品先物市場も準備しておく必要がある。
  • 農産物においては、新規上場商品の候補がいくつもあると考えており、商品においてはアジア圏においてプライシング機能を発揮する可能性も十分にあると思う。新規商品候補には、既存商品の関連性や代替性が強い商品が想定され、農産物市場はできるだけ一つにまとまる必要があるのではないか。
  • 我が国商品先物市場はここ7、8年で大幅に規模が縮小。専業の商先業者も2/3が撤退した。市場の流動性も低下し、一部の市場ではその機能が十分に発揮できない事態に陥っている。その立て直しは喫緊の課題。
  • 総合取引所の議論は、その目的、趣旨には賛同。重要なことは、それが本当に商品市場の活性化につながるものでなければ意味がない。
  • 現在の商品市場の特徴として、金とそれ以外の市場の出来高に大きな格差がある。一般的に金などは、金融商品と比較的親和性があると考えられているが、それ以外の商品は金融商品とはかなり性格が異なっている部分もある。特に石油などは複雑な現物の受け渡し業務を伴う。したがって、仮に総合取引所に一体化された場合には、金とそれ以外の商品の出来高の格差が一層広がって、金以外の商品が埋没し衰退してしまうのではないかとの懸念あり。特に石油関係、ゴム、農産物の市場は、当業者の建玉の比率も高く重要な産業インフラとして機能しているが、一体化されても一部の商品に偏らず、商品全般の流動性を確保していくという手当が重要な課題。
  • 総合取引所に関して、各社の最も大きな関心は財務基準。その多くが金商法の自己資本規制比率の適用を懸念。仮にこの比率を適当された場合、かなりの数の商先業者が廃業や撤退を余儀なくされる。仮に一定の猶予期間を設けても根本的な解決にならないため、一体化される場合には、現在の商先法の純資産額比率と同等の基準を商品のみを取り扱う業者に対して恒久的な措置として認めてほしい。
  • 分離保管やクリアリングについても、各社は現在の委託者保護基金やJCCHの制度の存続を求めている。金融デリバティブの制度に一元化されて、商先業者に現行制度より多額の立て替えや資金負担を強いられた場合には、商先業者の撤退を加速させて、商品市場の更なる流動性の低下につながる事態を懸念。
  • 行為規制について、金融デリバティブと商品先物の整合性を図ることが重要。金融証券市場においても商品市場においても、適切な投機資金の参入が流動性の確保に不可欠であり、市場を活性化させ健全に発展させるためにも、バランスの取れた規制環境のあり方の検討が必要ではないか。
  • 統合すれば取引が活発化するかといえばそうではない。むしろいかにして多様な取引の参加者を得て、市場、仲介業者、取引所にとって利便性を高めて取引の活性化をできるかということがポイント。統合は目的でなくて取引を活発にするための手段であるという認識が重要。
  • 取引の利便性を高めるというのは、委託者、仲介業者、取引所の3者のいずれにとっても利便性がプラスになるということが大事。
  • 利便性を高めるには、具体的に、一つは取り扱う口座の一元化。一元化しないまでも商品を含めた総合口座から個別の投資商品毎の口座を作るのを容易にできるようにしてほしい。
  • ブローカーに対する規制は、扱う投資対象によって規制が一元化され、かつレベルもそろい、しかも簡素で合理的なものに是正してほしい。
  • 清算機構も、投資対象によって清算機関が分かれているとかなり手続きが煩雑になるので、一元化してほしい。同様に委託者保護のためのペイオフにもいえる。
  • 世界の取引所は統合・連携が進んでいるが、その背景の一つは、システム投資をいかに効率的にするかということがある。いまや取引所は装置産業と言ってもいいほどシステム投資が膨大。これをいかに軽減するかという観点から連携を考えるという例がいくつかある。これが容易になるように統合の問題を考えてほしい。完全な合併や事業譲渡による一体だけではく、HDのもとにぶら下がる等のいくつかの連携があるが、いずれにしてもシステムの共同化について柔軟に実効できるように考えてほしい。
  • 税制について、金融商品とコモディティについての税制が別々になっていて損益通算できないが、一体でできるといい。ヘッジ会計、ヘッジ税制もあるが、要件が厳格で使いにくい制度になっているということをよく聞くので、柔軟な制度にしてほしい。
  • 商品を扱っているブローカーは端的に経営体力が弱い。金融商品のブローカーと同レベルの扱いになると、かなり市場からの退出を余儀なくされる可能性がある。商品市場はかなり出来高が減っていて存亡の危機。これは取引所だけでなく、ブローカーにも言える。そのような実態を踏まえて市場から退出を余儀なくされることがないようにしてほしい。
  • 苦情相談件数の減少は、消費者との契約の中で激減してきて、なおかつ市場は回復しつつあるということは、不招請勧誘禁止については消費者保護の部分では効果が非常に高いし、健全な市場を構築するという前回の法改正の効果は十分出てきている。
  • 不招請勧誘の規制を他の市場、金融商品にも広げてほしいというのが消費者の願い。
  • 金商法で規制が予定されている総合取引所で商品デリバティブ取引を行う場合は、投資者保護基金とは別に商品デリバティブ保護基金への加入を義務づけるべきだ。金商法の金融デリバティブ取引及び商先法の商品先物取引の双方を扱っている業者が経営破綻した場合、双方の取引を行っている顧客は、現状より不利な扱いを受けるのはよくない。
  • 商先業者と証券業者の財政基盤の相違による扱いの区別を続けるべきではない。
  • 委託者保護基金の財産は全て商先業者の委託者保護のみに使用されるべき。証券会社は追加で負担すべき。
  • 前回産構審の答申で、取引所取引については不招請勧誘の禁止が導入されないものと安心していたが、国会の審議で答申が無視されて、導入されたということに大変ショックを受けている。
  • 流動性の高い市場の中で決定される価格は合理的であり、公平性を持っている認識しており、こういうものが価格指標となっていれば、先物市場でのヘッジを通じて、産業経営の安定、市場の安定にもつながっていくと思う。
  • 昨今、非常に出来高が低下している中で十分な流動性が保てないという状況が続いており、市場価格の指標となるにはまだまだ不十分であるという認識。
  • 総合的な取引所については、市場の活性化につながっていくために総合的な取引所ができていくということであれば問題ない。
  • 商品先物は、石油の場合の受け渡しの問題等の商品特性がある。また価格の乱高下で国民生活に影響が出てくる場合もある。例えば現在、石油では現物の監視は経産省がやっているが、今後も物資所管省庁の役割を維持することが必要。
  • 国際市場で原油コストが決まり、国内市場で価格が決まっていけばいいが、海外市場が競争力をもって、国内価格が海外市場で決まっていくことになりかねないので、市場活性化に向けた方策の議論が必要。
  • 総合的に言えば、異なる商品がラインナップして、そのシナジー効果が得られて、マーケット全体が拡大するということを大きな目的にしつつ、また地盤沈下しつつある日本の市場というのがグローバルにもプレゼンスを高めるということ。利用者にとっていかに使い勝手のよい市場であるかということとイコール。
  • 良い市場を作るために何が必要なのかということ。これは証券取引でも商品取引でも共通。非常に高度なシステムや取引であっても、使われるユーザーにとってはシンプルで透明でわかりやすく、できるだけ単純な方がいいということにつきる。
  • 総合取引所の制度の方向は、制度を動かしていくために重要な点は、制度の立て付けと実際の現実の生々しさをどううまく収斂させるかということ。制度ができても動かない制度であるとか、運用できない制度では意味がない。
  • 一元化にも、規制監督、システム、清算機関、保護基金等、一元化にはいろいろなテーマがある。この全てを一度に一元化するというのはあまりに現実離れしているのではないか。その中で優先的に一元化してほしいのは、規制の一元化。監督規制の官庁が一つでないと実際にそれに参入するプレーヤーは非常にやりにくい。
  • 清算機関、業者規制については、理屈で一元化だというには、もう少しステップを踏んでもいいという印象。
  • 不招請勧誘禁止については、規制をかける世界とかける必要のない世界はある。例えば店頭取引でそもそも価格形成がどうなっているかわからないものに対して、不招請勧誘禁止があっても仕方ない。取引所取引については不招請勧誘禁止は不要ではないか。
  • 総合取引所構想は大変結構。しかし規制はかけた、コストはかかる、不招請勧誘禁止の取引と禁止でない取引がある、契約締結前書面も別になる、口座開設時の説明も従来以上にかかる、システム対応も必要、保護基金に対する新たな出えんも必要ということになったら誰がやるのかという問題になる。制度を動かすためにはある程度現実を見て考えなければならないのではないか。
  • 苦情ピーク時の平成16年は、被害はかなり悪質な者が多かった。出来高の低下と一緒に比べられるが、あの当時は、勧誘されて取引に巻き込まれた一般の人がいて膨らんだだけである。不招請勧誘は継続すべき。
  • 市場活性化は望ましいことではあるが、ひどい被害が出るような仕組みはあってはならない。不招請勧誘の禁止を活性化の名の下に簡単に規制緩和ということであれば、また過去に逆戻りしてしまい、市場の活性化にもつながらない。
  • 証券取引の中でも、一般のリスクを知らない投資家の方々の被害が増えており、商品先物で活かされた考え方を証券の方にも取り込んでいく必要があるのではないか。
  • 委託者保護は重要な法理念だが、他の市場の公正確保、市場の適正な発展というものも目的にある。過去の勧誘のやり方に反省すべき点があったことは認めなければならないが、平成16年のトラブルのピークが1/10に激減してきたことや法目的とのバランスを考えながら、規制のあり方を考えてしかるべきではないか。前回産構審のコンセンサスもありそれに戻すべき。
  • ここ10年くらいの規制のあり方とそれが業界にどのように影響を及ぼしたのか、商品先物取引の分野にどのように影響を及ぼしたのか、率直に振り返ってみるべきではないか。一言でいえば、バランスが少し委託者保護の方に傾き過ぎていたのではないか。
  • 直近で出来高が持ち直しているという見方については、昨年の金が少し活況をもたらしたということで、1年先に回復できるかということについて決して安心はできない状態。
  • 規制の強化、監督の一元化といっても、その対象がいなくなってしまうようなことで、一元化を語る余地があるのか。
  • 事前一律規制というやり方がここしばらく続いていたが、事後規制という起こったトラブルを迅速にスムーズに解決していく仕組みを考えていく必要はある。
  • 規制の強化というばかりでは恐らく競争力はおろか体力はなかなかもたないのではないかという懸念あり。
  • 総合的な取引所をつくって、証券・商品・デリバティブ全てがそこで取引できるというのは個人投資家からすれば理想的。しかし、国内にある全てのデリバティブ市場を統合したところで、出来高の順位が劇的に上がるとは思えず、単に一つの取引所を作るというだけで海外から資金が流入する若しくは国内の投資家が投資をするような市場ができるというのは楽観的。
  • 法人、個人ともに新規参入者が少ないのが流動性の欠如をもたらしていると思うが、商品先物取引を知らしめる人や機会が少なすぎる。個人投資家が敢えて国内の取引所取引を選択するメリット、動機がないのではないか。国内取引所取引をやるメリットがどこにあるのかということを個人投資家にどうやって伝えていくのかを取引所や業界として考えていく必要あり。
  • 中小企業は、事業の中でヘッジニーズがあったとしても商品先物取引のイメージが悪く、事業の中に組み込まれない。中小企業だけでなく、税理士や会計士も含めて業界全体としてイメージ改善を図るべき。
  • 産構審の審議を政府はしっかりと受け止めるべきである。不招請勧誘の禁止は、前回の産構審の答申のラインに戻すことが大事。
  • 総合的な取引所の制度のあり方については、商品先物市場について、活性化戦略なり市場を拡大していくための戦略があって、戦略を実現するための組織があるはず。その戦略としては、金融資本市場の流動性を取り込むことによって、商品先物市場の流動性を回復させることが端的な戦略だと思う。その観点から、何をすればいいか、何が支障になっているかということを洗い出す作業をすべき。
  • 全てを一挙に一元化することはできないだが、その場合、経過措置的に段階的に、まず今回の総合取引所の制度整備において実現する射程はどこまでなのか、射程を明らかにするということが課題としてある。論点を整理して議論する必要がある。

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最終更新日:2012年2月24日
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