経済産業省
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産業構造審議会商品先物取引分科会(平成23年度第2回)‐議事要旨

日時:平成24年2月23日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省別館10階各省庁共用1028会議室

出席者

委員出席者:
尾崎分科会長、荒井委員、池尾委員、江崎委員、大田委員、岡地委員、川村委員、橘川委員、佐藤委員、高井委員、多々良委員、細井委員、三次委員、唯根委員、渡辺委員
オブザーバー:
岡本安明・関西商品取引所理事長
佐野真理子・主婦連合会事務局長
高橋英樹・(株)日本商品清算機構社長
古澤・金融庁総務企画局市場課長

議事要旨

事務局から、「前回の議論の整理」、「主な論点についての考え方の整理(案)」について説明

以下、各論点に関する意見交換。

「取引所が統合する場合の新しい仕組みのあり方」、「事業者規制のあり方」に関する意見交換

  • 総合化は、手続の簡素化や資金の効率化などによって、流動性が向上するということが最大の目的。要は出来高の向上が見込めるかどうか。流動性が高まれば先物取引の健全な機能が発揮されるし、その機能自体が更なる価格などのリスクマネジメントニーズを吸収できる。それによる持続可能な先物市場の好循環を期待したい。
  • 今後議論されるべき市場活性化の目的と切っても切り離せないものであり、器の形状とか数を先に決めるのではなく、中に納める商品の実情や特性に対応可能な柔軟な制度をまず作るべき。最初に統合ありきということではなく、取引参加者の利便性向上の観点を最優先して制度を考え、その後、必要に応じて形がいくらでも変えられるようなそういう法制度を準備すべきである。
  • 仲介業者の行為規制や勧誘規制もある程度は統一されていくべき。仲介業者の参入規制についても完全に同じにすることはできないかもしれないが、大きな違いが残らないように配慮すべきではないか。業界によって異なる規制が、より厳しい方に合わせることにはならないようにしたい。今までの参加者や今後参加が期待できる市場参加者候補までも排除につながりかねない。
  • 事業者規制について、当業者等の自己取引等を行う者に対して、登録や届出等が不要になればかなり自由になるが、金融庁の監督下、証券等監視委員会の監視下になり、運用のやり方いかんによっては非常に厳しくなる。例えば、商社がヘッジをするために取引をするという場合、場合によってはインサイダー取引にあたるというケースがあり得るのではないか。それに対応するようなコンプライアンスとなると相当負担がかかる。現在、当業者はかなりの出来高の割合を占めているので、大きな影響を与えることになると商品先物取引にとっては大きなダメージになる。
  • 商品先物業者が、容易に金融商品取引業者に移行できるような配慮は是非やっていただきたい。
  • 店頭デリバティブや外国市場デリバティブ取引が今度の法律改正の対象外とされるが、実際に商社などが店頭と先物市場の両方を活用してヘッジをするということはよくあること。外国市場ともヘッジをすることはよくある。これが別々の法体系になると使いにくいことになりかねない。現在の商先法は前回法改正でこれが一本になったが、今回総合取引所で取引する時は切り離されることになると、時代の流れに逆行するようなことになりかねないという感じがする。
  • 事業者規制のあり方について、統合された取引所で商品市場の活性化を図るには、より多くの取引業者の参加を促す措置ということが重要。現行の商先業者が円滑に統合取引所に参入できるように必要な特例を設けると盛り込まれているので、これに関しては大変歓迎。
  • 規制面においては市場参加のハードルを低くして、既存の業者が十分対応可能な規制内容にするとともに、金商業者が新たな手続やコスト等をかけることなく、商品市場に参入できるように規制や制度を整備するということが活性化には重要ではないか。
  • 行為規制に関しては、同じ取引所デリバティブでありながらも上場品目によってそれが異なっているということに関して、業者にとっても投資家に対しても矛盾を生じさせると思われる。不招請勧誘禁止などが維持されるということになると、当然新たな業者の新規参入を見合わせる要因になる。同じ取引所デリバティブを扱う以上は、この部分の整合性は重要な点ではないか。
  • 当業者として石油会社が先物取引に参加している背景は、価格ヘッジの観点と透明な価格指標の2点が大きな内容。統合取引所の仕組みのあり方について、一体化して所管官庁が金融庁になる場合、どういう基準で商品を上場しているのかという意義について、きちんと理解されるような仕組みを作っていく必要がある。物資所管省庁である経済産業省がこの役割を維持することが必要ではないかとあるが、それは石油会社にとっても必要なこと。
  • 事業者規制の中で、当業者等の自己取引を行う者が今まで通りの制度で行っていくとされているが、価格の動きが大きい中で、インサイダーに対する懸念と不安感がある。自己取引に意義があって、自ら取引所の会員となって取引を行っており、今までと同じ目的で同じ取引をする中で、所管官庁が変わることによってそれがネガティブなものと捉えられかねないという懸念がある。
  • 昨今原油価格が上昇している中で、国内の製品価格も上昇している。非常に大きな価格の動きが今の石油取引の中でもあるが、単純に価格が大きく動いているから云々というように捉えられては、当業者の取引に支障が出る。その背景が原油の上昇や国内での需要の急増など、十分理解できる方々が監視していくということが必要。金商法に一体化されることになるが、商品先物はその上場に意義があるということがきちんと関係者の中で共有されることが必要。
  • 当業者としてインサイダー取引に対して懸念がある。証券の場合はインサイダー取引という表現を使うが、恐らく商品取引の場合はインサイダーという概念は適用されないのではないか。むしろ相場操縦という概念だと思う。一つ例を挙げると、米国で石油精製所が何らかの事故で止まったという時、その石油精製を行っている当業者が、例えばニューヨークのNYMEX市場で自分たちの製品の不足分を現受けするつもりで買いを入れたということまでインサイダー取引だと言われると、全く商品市場がヘッジの場として使えなくなる。金融の世界とコモディティの世界は必ずしもイコールではない。金融担当部署と一緒に経済産業省がしっかり見て、必要あれば当業者、石油業者、その他の業者と十分議論する場を持ち、理解を深めてもらいたい。
  • 商品先物取引というのは、産業政策やエネルギー政策の上で必要と思われるようなコモディティを上場して、そこでプライスディスカバリーと価格のリスクヘッジ機能を提供するというのが存在意義である。例えば、3.11以降、我が国の電力市場は大変な危機に陥っており、いろいろな議論がなされているが、そのうちの一つの議論が発送電の分離。これを通じて日本の電力市場に市場メカニズムを導入することによって需給を調整していこうという議論がようやく始まっている。例えば、今度新しくできる総合取引所が、適正なスポットの電力価格の形成に寄与するとか、そこから派生してくる先物価格やオプションの価格のデリバティブの市場形成をして、発電の業者や電力の需要者、さらに投資家など、いろいろな種類のプレーヤーがそこでヘッジを行う、電力の需給調整を行うというようなことを是非やってもらいたい。
  • 受け身で取引所を経営するのではなく、よりプロアクティブに商品市場を産業政策、エネルギー政策に組み込んでいくというアプローチで、産業インフラとしての仕組みを創造していってもらいたい。
  • 商品先物市場の活性化は非常に大事なこと。特に東工取の石油の取扱高をみていると、2005年からかなり大きく減ってきているという状況がある。そのやり方として、取引所を統合することの効果と独自の活性化策の効果と合わせてやっていかなければならない。統合でどこまでできるのかということをきちんと見分ける必要があるのではないか。
    金融担当大臣と物資所管大臣との協議、措置要求という点について、エネルギー政策における原発大臣と経産大臣の関係をみると、今回の仕組みに対して不安を感じるところがある。しかも、政治主導といわれるとなると大臣同士の関係がややこしいということだけではなくて、大臣の属人的な要素によって政策が起こっているものもあると思う。商品市場活性化のためにも、属人的にならないように仕組みをきちんと作るということが大事。
  • 食糧自給率が高くない日本において、食料は海外に依存する部分が多い。輸入農産物をどう扱うのかというのは、貿易の自由化がどういう方向に動くのかによって変わってくる。自由化になることを想定して戦略的に対応、準備をしなければいけない。
  • 日本は経済大国であり、与信リスク等は他の国に比べて今のところ低いという前提で考えると、物を外から買うときに他国よりも有利な条件で買えるということがなければおかしい。そのような中で先物取引は重要な役割を果たす。先物取引があることによってよりよい条件の取引ができるということが一つの商品先物取引の大きな機能ではないか。
  • (オブザーバーより)商品、証券、金融の統合化は国際化が進む中で時代の流れだと思う。しかしその一方、投資家や委託者の保護制度の充実や拡大もやはり時代の流れ。規制の強化、特に不招請勧誘の禁止が市場の縮小の原因との指摘もあったが、そうではないと思う。不招請勧誘禁止は、事業者にとって取引の健全化に向けた措置であり、もしそれが市場縮小の原因であるとするならば、もともとそのような取引の拡大は健全な取引ではなかったということ。行為規制が違うことによって矛盾を生じさせるというのは私も同感である。よって高いハードルに合わせ、被害者を出さず苦情も出さない健全な市場というのを形成していくべきではないか。
  • 規制を緩和することが活性化につながるというのはあまりにも乱暴である。これまでいろんな法規制が考えられた中でも、市場に対する信頼性を確保するための必要なものとして法規制がされてきた。商品先物取引については、過去のいろいろなトラブル等を踏まえて、不招請勧誘禁止を義務づけなければならないような事情があった。それを議論された時にも、当然市場の活性化も合わせて議論された中でそれが出てきていると思う。当然のことながらそういう悪いイメージを払拭するという意味では、やはりこれを続けていくことが市場の信頼性を高めることになる。
  • これまでは商品先物のトラブルがあまりにも目立ちすぎたということかもしれないが、金融デリバティブについても、無理解の一般投資家が被害を被っている実情があるので、むしろ商品先物のいろいろな被害の中で出てきたノウハウは、市場の信頼性を確保する意味で、今後金融デリバティブと統合等を考えていく中では、その反映を検討していくべきではないか。
  • 委託者保護は大事である。しかし、一方で活性化との関係のバランスを考えてやらなければいけないのではないか。ここ10年ほどの間は少しバランスを失しているのではないか。バランスを考えていくということが一番肝心なところではないかと思う。
  • 今回は商品市場の固有性や独自性を強調する意見が強いと思う。確かに商品市場は独自性・固有性を持っている面もあって、数年前まで、前政権下の経済財政諮問会議で最初に総合取引所という話が出た頃は、とんでもない話だという方は商品業界の中に少なくなくいた。商品と金融を一緒にされては困るという発言すら数年前まであった。ところが、ここに来て商品市場単独で存続することが難しいのではないかという状況が出てきて、総合化、一元化という議論が出てきている。全体的に、商品先物市場の発展や日本の金融資本市場の全体の発展にとって、今回の制度整備がどういう意義を持っているのか、本当に活性化につながるものなのか、そういう視点からの議論があってもいいような気がする。商品市場の独自性はありながらも一元化を目指す限りは、全体としての日本の資本市場、デリバティブ市場の発展という観点を含めて議論をする必要があるのではないか。特に制度設計となると、制度の設計思想の中にはそういう観点がしっかりないといけない。
  • 商品と金融で別々にやってきたが故に実態として違うものがあって、その技術的な部分も含めて配慮しなければならない点が実態上非常に重要だということは認識しているが、一元化を目指す限りはある程度志の高さが必要だと思う。
  • 現時点では金融商品取引法の改正という枠の中での議論にならざるを得ない部分がある。金融商品取引法が改正されて、商品先物取引法と一国二制度になってしまう危険性が出て、さらにそこでアンバランスが発生するとまずいということであろうし、また改正をする趣旨としては、日本の商品先物市場の活性化と、日本の資本市場を含めた市場の活性化に役立つものでなければいけない。法改正はしたけれど、つぶれてしまったのではどうしようもない。金商法を改正すると商品先物取引法にも影響が出てくる。やはり志し高く、どうあるべきかという想いをもって議論すべき。
  • 現在当業者が自己取引をしていて、これが金商法改正になって、統合取引所で取引できないということになってはどうしようもない。金商法の改正においてもそのあたりの手当をしなければならない。

「清算機関のあり方」、「保護基金のあり方」、「自主規制機関のあり方」に関する意見交換

  • 清算機関にしろ、保護基金にしろ、将来的には基本的に金融商品もコモディティも一本になるのが望ましいのはその通り。ただ、それぞれ実態が違うためにいろいろ工夫が必要。
  • 保護基金について、商先業者は当分の間は投資者保護基金への加入を免除すると提案されている。外資系の証券会社などで、現在投資者保護基金にも入っているし、委託者保護基金に入ってコモディティもやっているという証券会社がある。その場合に新しい統合取引所ではどのように扱われるのか。片方だけ入っていればいいとなると、現在の委託者保護基金から外資系の証券会社が離脱して、保護基金の経営が厳しくなるということが考えられる。この点についてどのように考えたらいいのか。
  • 清算機関について、当面は現行の商品先物の清算機関が清算業務を行うこととしてはどうかとあるが、この表現はJCCHのみがやると読めてしまう。前回の議論からは、一元化といっても規制の一元化が優先されるべきで、現在はその機能を担っている機関はそれなりに活かしつつ、1.5元化ぐらいのプロセスを経て将来的に一元化するという概念が主な意見だったと理解している。事務局案の読み方を伺いたい。金商法上の清算機関もできるし、商品のJCCHもできるし、また両者がどういうコラボをするのか、単独で別々にやるのか、利用者の利便性から考えて例えば連結してアライアンスを組むとかぶら下がるとか、そこはビジネスベースのやり方があると思う。クリアリング機関に対する信用力が強いところが有利で、現在は両クリアリング機関の資本構成や財務基準が違っていると思うが、そこをどちらか一義的に決めてしまうのではなく、両方できて、どういうコラボをするのかについてはビジネスベースでやるというのが、制度を実質化するということだと思う。ここの表現がどっちか一本、端的にはJCCHに限定する議論に読めてしまうので、そうではないということを確認したい。
  • (事務局より)これはポンチ絵で単純化しているが、正確に言うと、制度を作るわけなので、現行の商先法上の清算機関JCCHが、金商法上の商品デリバティブも扱い得るような制度的な対応を可能にするということである。確かにいろいろなやり方があると思うが、それは統合の姿が明らかになる中で、まさにビジネスベースあるいは取引所も含めた、取引参加者も含めたところで調整していくことだと思っている。
  • (オブザーバーより)総合取引所の清算業務を一体化することについては、理念として意義、効果はあると思う。例えば、システムとか清算インフラ等が共通化できれば、当然ながらコストダウンにつながる。複数種類の取引にかかる金銭の受けと払いのやり取り。清算機関は基本的に証拠金、値洗いに基づく差損益金の受払をやっているが、それを簡素化できるというメリットもある。過去は、取引所毎に値洗いとかがバラバラに行われていたが、それを一体化したという意味では簡素化をしている。制度等が共通化できれば隣接の業界から新規参入の可能性が増大してくる。さらに、全体として市場の安全性、信頼性が向上するということが挙げられる等々、メリット、効果、意義があろうかと思う。これら、トータルのコストパフォーマンスの向上につながることであって、取引業者、投資家、お客様もメリットを享受可能ということである。
  • (オブザーバーより)他方で、商品の清算と金融商品の清算とではその性格とか歴史的経緯から、ルール面、実体面で違いが多いわけである。数点挙げると、商品取引の清算特性としては現物受渡があるので、この決済というのが必ず伴う。実体面では、商品と金融商品ではボラティリティ、価格変動の程度がかなり異なっているため、リスクの有り様がかなり異なる取引を共通のベースで行うということはなかなか簡単ではない。商品の清算を行いながら、リスク管理のあり方には大変苦労している。さらにその度合いが商品と金融商品とで違うということもある。取引業者の財務要件の違いが清算資格にも反映しているので、その資格要件も違っている。その結果、実際上、現時点では精算参加者の顔ぶれは全く異なっている。
  • (オブザーバーより)実務面で影響が大きいのは、商品と金融商品の清算では方式とか証拠金の扱いに大いに相違がある。例えば、顧客資産の預託、分別保管の方法がかなり違っている。商品取引では顧客の証拠金の3割ないし4割が差し替え預託になっているが、証券・金融の方ではほとんどないと伺っている。証拠金としての金銭代用物で充用有価証券というが、その充用物の扱いが違っている。例えば、商品ではLC、銀行保証を証拠金預託に入れるのが認められているが、金融商品取引法では認められていないというような違いがある。これも商品取引業者はかなり使っていただいている。更に言えば、日々の決済の実効保護、これは日々の資金の決済であるが、損益金、証拠金の受けと払いのタイミングが証券・金融と商品とで違っている。細かい問題であるが、事業者からみると非常に大きな問題である。
  • (オブザーバーより)清算の一体化というものには価値があるわけだが、直ちにこれを追求すると制度運営上の混乱とか支障が生じ得る。したがって既存の商品取引業者、お客様にとっても大きな問題が生じるおそれがある。そのため慎重に扱う必要があろうかと思う。このようなおそれを払拭するためには、商品取引の清算については商品清算機関が現行と同様に行うといったような現実的な対応、取扱いが必要ではないかと考えている。
  • 清算機関について、結局は当面という形であるが、現状でかなり差がある。将来的に一元化するならば、そのあたりの部分をどのように考えていくのかというのは当然議論にならざるを得ない。いわゆる慣行として存在するものなのか、それとも先物取引にどうしても本質的に必要なものなのか、こういう選り分けというのかこれが必要になってくるだろう。これから検討していかないといけない。
  • 清算機構の問題に関して、一般論的には清算機構の一元化、一体化が望ましいし、合理的、効率的であろうということは十分理解する。ただ、現実的に制度面ではかなり大きく異なっているというのも実態としてある。商品市場の参加のハードルとか、業者規制にも絡むが、クリアリングハウスとの受け払いのタイミングであるとか、差し替え預託、LG制度の問題である。金商法にも差し替え預託制度はあるが内容が大きく異なっているというようなこともある。商先法における差し替え預託、LG制度はリスク担保としては有効に機能しているし、多くの商先業者が、現在のこの制度は業務上不可欠であるというような認識を持っているので、この部分については一体化後も是非制度として存続していただきたいと強く要望する。
  • 保護基金のペイオフについて、基本的には金商法上の投資者保護基金として措置すべきであるが、コメ等の特定商品が総合取引所構想の対象外となった場合は、この部分については商先法に基づく委託者保護基金がペイオフの業務を行うことになると考えている。
  • 金融商品の分離保管保全方式は信託のみの1方式である。商品先物の保全方式は、信託と金銭預託、銀行保証、代位弁済の4方式を組み合わせたものであり、制度上大きな違いがある。委託者保護及び流動性資金の確保の観点から今後ともこの4方式を継続することが最も重要だと考える。
  • 今回、負担問題を考慮すると、当面、既に委託者保護基金に加入している商先業者については投資者保護基金への加入を免除するなどの特例を設けるとあるので、現在認められている委託者の権利が阻害されない仕組みが維持されることを前提として、容認せざるを得ないと思っている。
  • 清算機構について、証拠金の預託の方法が商品先物業界では昔から伝統的に差し替え預託という預託方法が利用されている。銀行保証、LGも利用されている。これらの預託方法が金融商品取引法の分別管理制度の下では、実質上差し替えが不可能であったり、LGそのものが認められていないと認識している。すぐにそのような形になると資金繰り等に影響を及ぼすので、主務省、特に金融庁の方では特に十分考慮していただきたい。
  • 個人投資家からみた場合、取引所取引、国内の商品先物取引を敢えて選ぶメリット、動機付けというのを与える仕組みを作ることが、流動性が上がっていく一つの理由になると思う。清算機関のあり方について、個人投資家が敢えて国内の取引所取引を選ぶメリットとして必要だろうと思われることが2つある。それは、金融デリバティブと商品先物取引、国内の取引所取引の口座の一元化で、プール計算ができるということ。二つ目は、税制が統一されること。これは現在、金融のデリバティブと商品先物は統一されているが、証券とは統一されていないので、この2点が揃えば個人投資家が国内の取引所取引を敢えて選ぶメリットはかなり揃うと思う。
  • (オブザーバーより)口座一元化の問題と、インサイダー取引の話もあったので、2点、テクニカルな点だけ申し上げたい。総合取引所になったからすぐに口座一元化が実現するという関係にはなく、まさにこれから検討することになる。具体的な総合取引所の姿が見えたところで、先程来、分別管理とか清算機関の話もあったが、それらについても整理した上で議論していきたい。また、現時点では、証券会社サイドの方から口座一元化のために何が必要かについて話を伺っているところである。今後は商品市場サイドからも直接教えていただいた上で、口座一元化のために必要な手当について改めて検討したい。
  • (オブザーバーより)インサイダー取引の話があったが、ややインサイダー取引にフォーカスして議論するとミスリーディングかと思う。相場操縦などの金商法でいう不公正取引の問題全体について、この問題をどう取り扱うかということかと思う。いずれにせよ、具体的に設定する上では、先程、委員からあったような話は常識的ではないと思うので、よく協議しながら議論したいと思う。
  • (オブザーバーより)口座一元化の話は、ニーズが大きいというのはよくわかる。一方で、機関の一元化と清算の一元化は同じ意味だろうかというところはあり得る。先程1.5元化という話があり、私もややその概念に近い。清算機関間の連携とかコーディネーションすることによって、完全一体化ではないが、一体化に近いようなことが何か追求できないかということ。そこはこれから先、まさにこの議論を踏まえた上での検討になってくる。主務省、金融庁、金融商品の清算機関といろいろ検討が進んでいくだろうと思うし、考えていきたいと思っている。ただ、技術的には、法定帳簿が違っているなどいろいろな意味で口座の一体化にはものすごいハードルがあると思う。
  • 総合的な取引所が実現した場合の自主規制機関のあり方について、一言要望を申し上げておきたい。日商協の会員は商品先物だけを取り扱うだけではなくて、FX取引を扱う、あるいは証券を扱う、そういう会員の構成に変化してきている。日商協の役割として、コンプライアンスを考えていくことについて、会員の実態からいえば、単に商品先物だけを扱う業者ではないということである。業者規制にしても適合性原則にしても、あるいは行為規制にしても金商法の規制と商先法の規制とで違うところがあるので、会員の中でなるべく我々の自主規制のあり方としてその重複がないように、二つの法律の間の整合性をなるべく保っていけるように配慮しながら、しかも商品先物としての特性というものを大事にしながら、規制のあり方を考えて、法改正後かなりの数の自主規制の改正を行ってきている。今後総合的な取引所ができてくるときに、日商協が委託者保護や商先取引の公正と透明化という目標を掲げて取り組んできた成果が、総合的な取引所ができた時に、どういうふうに活かされていくか、なるべくノウハウとか経験が活かされるような仕組みを考えていただけるとありがたい。取引所がまずどういう形になるのか、その取引所に参加される商先業者がどういう姿になるのか、これによって自主規制機関というものの形が全く変わってくるので、これまでの蓄積を活かせるような仕組み考えていただければありがたい。
  • 委託者保護でバランスを欠いているという意見があったが、これは前回の法改正の時にプロ・アマと分けて、プロはプロの利便性を図って、アマである消費者や全くこのような取引に向かない人達には不招請勧誘の禁止という部分で保護するということで改正されたと理解している。今回金融庁に統合された場合にも、委託者保護の精神をきちんと維持していただきたい。逆に金融業界から、商品取引が加わったことでイメージが悪いとかもっと悪くなったときに、こちらの商品取引のせいにされてしまうのはつまらないので、商品取引のいい制度の部分はしっかりと金融業界の方にも取り込んでいただけるような制度設計を是非お願いしたい。

事務局より

  • 相場操縦について、金融庁からインサイダー取引とはちょっと異なるのではないかというご指摘があったが、相場操縦についてリスクヘッジのカバー取引みたいな形でやっており、そういったところを適切に考えてほしいという何名かの当業者の方からの御意見があった。その点については、制度設計のみならず、制度の運用面についても、今回の関係者の御意見も十分踏まえながら協議していきたいと思う。
  • 口座の一元化に端的に現れているが、委員からは、当面、ある程度のこれまでの継続性の対応、将来的な志の高い対応が必要ではないか、他に1.5元化とか、あるいは段階的な対応が必要ではないかという意見もあった。そういう意味では、今回の規制監督の一元化の制度のあり方という点では、比較的骨格のところをお示ししたわけである。
  • 次回以降の議論になるかもしれないが、活性化の中で、ある段階までは実態を踏まえた対応にしても、これをその後にどうしていくのかという意見や、委託者保護基金について外資系も含めて証券会社などが金融側の制度に移った場合の制度の維持の仕方とか、当分の間の制度としては了解するがその後どうするのか、という御質問もあった。この辺をどうするのか、ある種実際に制度を立ち上げつつ、証券側、金融側の参入の度合いなども考え、見据えながら対応していかなければならないという面もある。
  • 将来の市場の活性化のあり方をどうするか、健全性の確保という議論もあったので、今までやってきた自主規制のポテンシャルの維持であるとか、これまで対応してきた監督の蓄積をどう制度に活かしていくのかも含めて、次回以降も検討していきたいと思っている。
  • 統合ありきではないというご指摘があった。まったくそのとおり。これは前回の議論でもお示しいただいたことであるので心すべきことだと認識している。
  • 韓国、シンガポールに行ったが、取引所の統合で商品が活性化した実績は全くない。それはそれで理由があるわけだが、他方で取引所の競争力の強化にはなっている側面がある。どういう側面から取引所の統合を捉まえるのか、コストとか競争力とかシステムとか顧客の拡大の面ではプラスだけども、それだけでいいのか、というのはまた別問題だという頭の整理が必要ではないか。
  • 当業者が大事というお話があった。全くそのとおりで、これは金融と商品では市場構想の差があると思っている。一つの大きな差は、現物市場の規制があるかないかだと思っていて、商品の大きな差は現物市場が基本的に自由である。従って、現物市場と先物という規制されている市場、規制下にある市場とのインターフェイスをどうするかというところを当業者の方々は気にされていると思う。それはインサイダーではないのではないかという頭の整理をすると比較的理解が早いのではないかと思う。しかし、このことが実は本質的で、当業者が存在していて、それが取引所外で現物取引をやり、またOTCをやり、それで取引所取引をやる。これがベストミックスを構成しうるようなマーケットの構成を日本が提供できるか。提供できないから商社等がシンガポールに逃げているのではないかということを次回以降御議論いただければと思っている。取引所が期近の取引が少ないのは当業者が少ないからである。日本の取引所の当業者をもう少し拡大する方策が私は必要だと思っている。
  • それから、統合の方向について志の高さという指摘があり、私は決して水を差すつもりはないが、前回同じ船に乗っているという話をさせていただいた。
  • 政治家の方々の顔ぶれという話もあった。その懸念は全くなくて、金融庁とは早々と統合取引所の発足に向けて、随分前から事務方の協議を開いて、どうやったら商品と金融商品の相互乗り入れ、事業者の相互乗り入れ、顧客の相互乗り入れが可能なのかについて、実体的に進めていく方策をやろうではないか言ってきている。これは3回目、4回目にいただく指摘を踏まえて、精力的にやっていきたいと思う。
  • 商品上場の話があった。商品上場の話は、まさに産業インフラの商品市場のキモであるので、是非私どもは積極的に行ってきたいと思っているし、戦略的に行う必要があると思う。今の貴金属とゴムと石油類だけでとどまっているのはもったいないと正直思っている。時代のニーズから言えば、まさに電力なり今後の環境とかいろいろな方面にも適用できるのかできないのか議論があろうかと思うが、そのとき大事なのは日本のリスクがどこにあるのかをいうのを見極めて、輸出入構造、日本の取引状況、それが寡占なのかある程度数があって、取引所取引が必要なのかどうかを見極める必要があって、それには少し慎重な議論が必要であると思う。
  • 委託者保護については、何人かの委員から御指摘があったが、次回以降の議論にさせていただければと思う。個人的な意見で失礼を顧みずに申し上げるが、取引所で取引したくない委託者のお立場の御意見と同時に、使いたいと思う委託者の立場の声もどなたか仰っていただければと思う。どうやれば、一般投資家、委託者が、取引所が使い勝手がよくなるのかという観点から御議論いただかないと、委託者は入りたくないのに勧誘されるという側面だけで議論されているような気がする。商品取引がFXや日経225のようなものとして認知されなければならないと思うが、認知されるとすれば新しい一般の委託者が入りうるという観点から、行為規制がどうあるべきかという議論をしていただければと思う。
  • 清算機関の話は、2つ併存するが、クリアリング自体がどうなのかは先程話があった。その違いを強調する話があったので、故にそこが統合する必要があるのではないかという問題提起がなされているのだと思う。その違いが、分科会長から御指摘されたように、それが特性からくる本質的な違いなのか、たまたま今の違いなのかというのが大事なので、その距離を縮めることが利便であるならばその努力をすべきだと思う。
  • 基金について、具体的な意見としてあった御指摘は、私の理解が間違えてなければ、今2つの基金に入っている方々が、統合された一体化された取引所で取引を行う時に商品をやるかやらないかによると思う。この基金の取扱いは、今入っている方は二重に入らなくても統合後の取引所の商品ができるということで、今入っていない方が統合後の商品をやる場合には投資者保護基金に入らなければならないわけである。今両方に入っている方が、金融商品をやるために投資者保護基金に入っているならば、そっちだけでいいかもしれない状態が現出されると思う。他方で目減りの議論については、事業者が減ってもこの基金がお持ち帰りくださいとなっていないように、この基金自体がその人が抜けたためにその分を持って行かれるわけではないので、基金としては残存しうるということで、基金の存続そのものには直接の影響はないかもしれない。逆にそうであるが故に、便宜的に今入っている方は、この基金に入っていることをもって新しい基金に入ることを当面免除するということになっているということである。少しわかりにくい議論であるがそのように御理解いただきたい。

事務局から資料4「総合的な取引所の実現のための制度のあり方について(案)」の説明

分科会長より

資料4は、前回までの御議論と事務局サイドで個別にインタビューされて得られた情報に基づいてできたものと理解。本日分科会で御議論したものを加えて、バージョンアップしてより適切なものにしてほしいと思う。したがって、総合的な取引所の実現のための制度のあり方については、金商法等の改正が間近であり、法案を出すと伺っているので、その中に法律文としてどういうところで反映すべきか、またその後の内閣府令等さまざまあろうかと思うが、そういったところでどのように反映するのか、さまざまな対応の仕方があろうかと思う。法律でどのように対応すべきかというところは、法案との関係の議論があると思うので、本日の御議論も踏まえて要望してほしい。なお、こういったことに対してさらに御意見があれば、事務局を通じて私の方にお寄せいただければ、事務局と調整しながらまとめていきたいと思うが、これでよろしいか。

閉 会

以上

関連リンク

 
 
最終更新日:2012年4月18日
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