経済産業省
文字サイズ変更

産業構造審議会商品先物取引分科会(第5回)‐議事要旨

日時:平成24年5月24日(木曜日)17時30分~19時30分
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室

出席者

委員出席者:
尾崎分科会長、荒井委員、池尾委員、江崎委員、大田委員、岡地委員、川村委員、佐藤委員、佐野委員、高井委員、多々良委員、細井委員、三次委員、唯根委員、渡辺委員
オブザーバー:
岡本・関西商品取引所理事長、
高橋・(株)日本商品清算機構社長、
古澤・金融庁総務企画局市場課長

議事概要

事務局から資料2について説明後、意見交換

  • 資料は、非常に多岐にわたっていて網羅されている。優先順位があるので一つ一つ着実に実行していけるような体制をとってほしい。この中で重要な点を4点申し上げたい。1つは新規商品の上場について、過去の経緯にとらわれないで積極的に進めてほしい。農産物を扱う当業者として、TPPやFTAなどの可能性も踏まえて前広に準備を進めることが大事。2番目は、受渡制度の柔軟化。既存の現物受渡による建玉の清算ルールを更に柔軟化して、使いやすいような形にしていくのは賛成。具体的に合意受渡という形だけでなく、制度自体を変えることを受け入れてほしい。供用品の拡大や受渡方法、場所の選択肢を広げるなど、特に日本の仕向地市場としての工夫をしてほしい。3番目は、取引員の資質の向上。特に若手の取引トレーダー、アナリストの育成に力を注ぐことが最優先。説明する方が理解できていなければ商いに繋がっていかない。セミナーというような一方的なものだけではなくて、例えば市場分析などを披露し合うコンテストのようなもので若い人達がやる気を出して勉強するような、資質向上しやすい環境が必要。4番目は、情報発信という問題。現物市場における物流や消費などのデータ情報を監督官庁が収集し、発信することが重要。今後の予測については、例えばアメリカであれば農務省が既にやっている。農産物というのは天候や競合商品の価格変動によって需給が変化する。その判断材料を是非提供してほしい。適正な情報は、生産者や流通業者、加工業者、消費者などが市場変化を理解する助けになる。
  • 新規商品上場について、かつてに比べると現在は市場自身が縮小し、取引に厚みがなくなっている中で新商品を上場すると、取引が分散して、それぞれの市場でみると流動性が減るという心配がある。積極的に取り組むというのは理想だが、経営の余裕という点でもやりにくいということもあるということを念頭においておく必要がある。
  • 受渡制度の柔軟化について、当事者同士で合意できるようなものについては極力柔軟化するという方針で取り組んできたい。
  • 取引時間の延長については、24時間化という方向で過去数年対応してきた。しかし、当業者等から特定の時間に限ってやってもらった方がいいというような意見もある。また、システムの問題もある。現在、午前4時から9時まで休んでいるが、何かトラブルがあった場合に対応できる時間が確保できる。その時間も取引できるようにすると、トラブルが起こったときに対応できない。それをできるようにするには、システム全体を変えなければならない。また、市場参加者の側の対応するシステムも変えなければならないという費用の問題もある。
  • 外貨建て取引について、1つは銀行側の対応の問題があり、翌日の昼までに外貨で全部決済を済ませることが難しい面があると聞いている。もう1つはブローカーがすぐに外貨を簡単に調達できるかというような問題もある。
  • 税制・口座の一元化について、税制の一元化は是非実現してほしいし、口座の一元化も総合取引所構想のとの関係で、実現できれば実質的に意味のあるもの。
  • 店頭取引の拡大について、取引所取引と店頭取引の関係は、店頭取引が増えればヘッジの場として先物市場が活発になるという関係にあるので、店頭取引が増えることには賛成。
  • 新規商品の上場について、エネルギーについて言えば、エネルギー間の垣根が低くなっており、1つの市場の中でいろいろなエネルギーに関連する商品と取引できるということはエネルギー業界にとって、ひいては日本のエネルギーセキュリティにとってプラスであるので、是非進めてほしい。
  • 外貨建て取引について、現在、東工取の取引で、ガソリン、灯油、軽油は円でも違和感はないが、原油が円建てで取引されるといいうのは違和感がある。特に海外投資家にしてみると、円で取引というのは考えにくい。外貨建て取引は自然な方向。銀行等の問題があるようだが、是非解決していっていただきたい。
  • 取引業者の企業体質の強化が必要。石油の受け渡しに関して、取引業者が少なくなってきている状況で、現物の受け渡しをアレンジできる取引業者が少なくなってきている。当業者としては企業体質が強く、取引も集中して行えるところが必要。取引業者の企業体質の強化に関する検討が必要。
  • 外務員のレベルアップについて、今は取引そのものが複雑化しており、ヘッジの仕組みも難しいものになっている。これを的確にアドバイスできるような外務員のレベルアップが必要。同時に、コンプライアンスの教育、ビジネス倫理の教育なども必要。
  • ヘッジ会計について、ルールがまだ十分明確になっていないということがある。単に税務当局との見解の相違だけではなくて、企業会計上の問題として捉えており、明確化して、企業が公正明大に活動できる体制を構築してほしい。
  • 商品取引の活性化のために、常にさまざまなニーズや魅力のある新規商品の上場を検討していくということは大変重要。新規商品の上場について、既存の商品においても魅力のある商品はいっぱいあるので、まずはそのてこ入れが重要。必要であれば、商品設計の見直し、供用品の追加・変更、受け渡し、倍率の変更、約定単位の見直しなども柔軟に考える必要が出てくる。
  • 受渡制度については、当業者が参入しやすいような柔軟な受渡制度は重要。実際今の石油市場などは、受渡方を条件調整して合意で行われることが機能しているので、これが可能ならば他の市場にも拡大すべき。
  • 取引時間について、現在、日中の立会が3時半に終わって、次に5時にスタートだが、1回切れてしまうと流動性が止まる。以前のように、日中の立会を5時または5時半まで連続して行い、その分夜間のスタートを遅らせた方が全体の出来高は増えるのではないかという関係者の根強い意見がある。また、新甫発会も今は納会の翌日だが、その日の夜からスタートさせても良いのではないかという意見もある。
  • 利便性の向上について、現在のシステムは様々な条件による発注指示が可能となっており、プログラム売買もFXで非常に普及しているので、これも是非必要ではないか。
  • 取引業者の財務第力の強化や外務員の資質向上は必要なので、業界としても引き続き積極的に取り組んでいきたい。
  • 中国がアジア地区における原油の指標価格を目指すということで、上海に原油の先物市場を開設して、海外参加者の参入も認め、中東産原油を上場して、保税地区で受け渡しを行うという動きがある。仮にこれが成功するとなると、大きなインパクト。日本市場がアジアのメインマーケットとしての地位を確保するためにも積極的な国際化と海外参加者の参入促進策が重要。
  • クリアリングの強化については財務基盤の強化が必要。日本商品清算機構は現在、非常に小さい資本で業務を行っているので、清算参加者が出資するということを認めていただきたい。
  • システムについては一番コストがかかるので東工取が苦慮されているはず。システムの専門家を育てるとか、積極的に引き抜いてくるということを考えてもいいのではないか。
  • 取引時間については、当業者等のニーズや要望等があるので、取引所がそれをよく聴取して検討すべき。全部が24時間というのは無理なところがある。
  • 現物受渡制度の柔軟化について、当業者だけでなく個人の投資家でも金や白金では現受けのニーズがある。標準品では金額が高すぎるので、貴金属に関してミニ取引でも現受けが可能になれば、個人投資家のニーズが拡大するので検討してはどうか。またコメの取引について、個人消費者が宅配で現受けできるような設計をするとおもしろいし、一般消費者の方により身近な取引になるのではないか。
  • 利便性の向上について、税制と口座の一元化は個人投資家からすれば商品先物市場に感化するための大きな動機付けになると思うので、早期に導入してほしい。
  • ヘッジ会計について、中小企業のオーナーやヘッジが必要と考える会社がヘッジを使えるように、会計士や税理士にきちんと理解されるような形にしてほしい。
  • 商品先物市場の正しい理解の拡大について、ダークなイメージのものを全く逆方向に持って行くのはなかなか難しいこと。業界各社が行う啓蒙活動に加えて、業界全体が一丸となって啓蒙する必要がある。例えば、各社の枠を越えた啓蒙委員会のようなものを作って、戦略的に取り組むのでもいいのではないか。
  • 金融のお金をどうやって商品の方に持ってくるのか、海外はできていているが日本はまだ遅れているのでそれを促進していく必要がある。我々を取り巻く外部環境は、2007年のサブプライム、2008年のリーマンショック、ここ1,2年のユーロ危機、ボルカー・ルールの導入で金融のお金はますます動きづらくなっている。ここでは、日本の商品先物取引所の議論をしているが、日本の金融取引所も証券取引所も実は同じ問題を抱えている。金融の泡(フロス)が全世界的に減少していく大きな流れの中で、どうやって生き残っていくのかということを考えなければならない。
  • 米国のエネルギー市場は、電力、ガス、石炭があって、当業者やいろいろなプレーヤーが参加して、このマーケットがないと米国の電力、ガス市場は成り立たないという存在。つまり、金融のお金が入ってこなくても、そのマーケットが日常の生活に必要な電力、ガス、石炭の価格を形成している。国のインフラとしてビルトインされているマーケットである。日本にはそれが欠けている。
  • 現在、電力自由化の議論が動いているが、これは商品先物には関係のない世界ではなく、実はそこで起こっていることをどうやって商品先物に関連づけていくかということが重要。資源エネルギー庁が議論しているので、同じ経済産業省の中で、きちんと連携して取り組み、新しいマーケットができるときに、総合的な取引所がその一部を形成していくとなれば、金融のフロスがなくても生き残っていける市場になるのではないか。
  • 活性化策は、地道に取り組んで行くことが基本でそれが不可欠であるが、戦略的な流れの中で取り組んでいくことが必要。
  • 証券でも商品でも日本の経済規模に比べてマーケットが小さすぎる感がある。一つ一つの知恵とか工夫は重要だが、あるところを緩和してもあるところで締められてしまっているから、全体としてうまくいっていないところがある。マーケットは公的なものであり、日本の国全体を立ち行かすために重要だという側面があり、同時にプレーヤーはそこで日々糧を得ているのも事実。一方は緩和したけれど、一方はきつくするということではなく、全体でバランスがとれて、ハーモナイズするような工夫と、参加者がインセンティブをもって、相応の適正利潤を追求していくことが重要。

事務局より

  • 戦略がないという指摘は、過去の議論においても実現できていないものが多々あったことに対する指摘だと思うが、やり残しているものも含めて取り上げており、いろいろな機会を捉えて、実現する方向で全力を尽くしたい。
  • 新規上場の部分については、このタイミングで何が書けるかということを資源エネルギー庁とも相談しており、資源エネルギー庁側で検討している制度の立て付けによっては、さらに具体化する方向で考えていくことになる。
  • 個々の取組についてはいろいろ問題・課題があるという指摘はもっともで、記載した取組に伴う障害をどう取り除くのかという点も含めて議論し、実現すべく努力したい。
  • 上海の先物市場の話があった。世界が我が国を置き去りにしかねない形で動いている中で、これまで以上にOTCなり、国際的な戦略というものを取り上げて行っている。

事務局から資料3について説明、荒井委員から資料4についてプレゼン後、意見交換

  • 不招請勧誘禁止の規定は、施行後1年半で、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることが難しいというのはその通り。当然、引き続き状況を見守りながら検討していくということ。
  • スマートCXから通常先物取引への移行について、いくつかトラブルの事例が見られるので、禁止措置の関係を調査していく中では1つのチェックポイントとして項目としていれていただきたい。できれば、自主規制でも主務省の監督指針でもいいが、明確にそれが不招請勧誘禁止の潜脱だといわれないようなきちんとした形で盛り込んでもらう必要がある。
  • 適合性原則に関して、年齢要件や年収要件について、具体的にチェックする目安の数値がないと、それぞれの事案によってケース・バイ・ケースの判断になってしまい、チェックできない。従来のチェックの仕方を継続してほしい。
  • 経験者に対する勧誘について、一定の差を設けるというのであれば、経験者といえるだけの明確な指針、具体的な目安が必要。未経験者と簡単に区別してしまうのは問題がある。
  • 日本証券業協会はスタッフが300名強で、支部も全国にあるが、日本商品先物取引協会のスタッフはどのくらいいるのか。
  • 自主規制をどう考えるかは大変重いテーマ。業界団体には、市場活性化のようなことを扱う戦略部門と、投資家保護を行うような自主規制部門と2つがある。自主規制機能は収益を生まないため、一方的なコストであり、このコストは誰がどのような形で負担すべきかということが切実な問題。このような自主規制のコストを誰が負担するのかについて知恵があれば教えてほしい。
  • 日本商品先物取引協会はかつては五十数名の職員がいた。取引高が減ってくるにつれて組織を縮小せざるを得ないという歴史を数年間たどっており、現在は職員18人、常勤役員1人である。将来的にどのような自主規制機関のあり方が考えられるかについては、将来、取引所が総合取引所構想の中でどのような位置づけになっていくのかによって、会員構成に変化が出てくるので変わってくる。現在、日商協の財務基盤は会員の会費によって全て賄われている。定額会費と定率会費と2本立てで、定額会費は皆さんに、定率会費は商品先物を現にやっているところからもらっている。規模は予算もピーク時は10億超だったが、現在は3億5千万程度で、1/3程度に縮小。
  • 同じ自主規制でも、商品の場合、日本商品先物取引協会は自主規制の役割に相当純化してきたはず。日本商品先物振興協会と分けたという歴史もある。会員制組織といいつつも、相当公的な性格が強いという理解。証券とは少し違う部分がある。
  • 総合取引所構想の中には、投資家の利便性を高めるというねらいがあった。法案では、取引所に対する規制や業者に対する規制は一元化する工夫がされたが、肝心な顧客に対するところが金融商品とコモディティとで依然として区別が残ると、入口で顧客が入りにくく、選択肢も広がらないという事態になりかねない。金融商品向けの資金をコモディティに向けるためにも、FXや日経225をやっている投資家に対する勧誘ができるような手当がないと、実のある総合取引所にならない。
  • 商品先物市場の活性化は、健全な市場があってのこと。資料3の「勧誘規制のあり方について」は、規制緩和ありきなのかと読めてしまうところがあり、現状では書きすぎではないか。
  • 資料3の中で「本分科会における主な議論」のところに「営業の自由」と書かれている。営業の自由は生活上の公共の安全、福祉に反しない限りであって、悪質な勧誘行為によって起きる消費者被害や委託者保護を考えるときに使うのには違和感がある。
  • 日商協の取組については、今からスタートなのであれば、非常に遅いと思う。しかし、前向きに取り組んでもらえるならぜひやってもらいたい。さらには、日商協だけでなく、幅広い連携をしながら、健全な市場を目指してやってほしい。
  • 不招請勧誘の禁止は是非続けていくべき。消費者の被害がなくなるというのは非常に難しいことで、それを検証することも難しいこと。不招請勧誘をしてまで消費者を市場に入れるのではなく、経験者であるとか、ある程度興味のある方とかを入れるようにして、不招請勧誘禁止は継続すべき。
  • 日商協の取組が遅いのではないかとの指摘があった。ただ取引が減ってきたからトラブルが減った、規制が厳しくなったから減ったという訳ではない。会員業者はもちろん、日商協としてもその時々でいろいろ取組を行い、通達を出し、規則を改正して対応してきている。
  • 資料3の「勧誘規制のあり方」で、「引き続き」、「将来において」、「状況をみきわめる」という言葉が出てくるが、いつまでもずるずるということではなくて、ある程度時間を区切って見極めをつけるかということについて、主務省に適切な判断をお願いしたい。トラブルゼロが目標ではあるが、このような取引環境の中で具体的にトラブルゼロということはあり得ないことで、それを極力減らしていくことがお互いの目標であり、最大の使命。トラブルゼロになるまで見直しはないということであれば、恐らく見直しのタイミングはあり得ないと思う。
  • 一口に苦情といっても当然損得がつくので、例えばそれが言いがかりなのか、個別の外務員の行き過ぎや過失なのか、会社として確信的にやっているのか、それによって受け止め方が違ってくる。先程委員からスマートCXを使った潜脱行為のようなトラブルが多いという話があったが、個別のケースとして厳重に対応していただき、業界全体の現状であるという誤認のないようにしていただきたい。
  • 現実として、不招請勧誘禁止の前から業界あげて苦情の減少に取り組んできた結果が、大幅な減少に繋がっている。それが評価されて、前回の産構審で取引所取引は例外ということになったので、それは正しく認識していただきたい。それでもまだ施行後1年半なので撤廃するわけにはいかないということであれば、少なくともレバレッジ取引の経験や知識、関心のある人と、全くその気がない人に対する無差別的な勧誘とは分けて対応していただきたい。再勧誘の禁止規定は全てに適用されるので、それでも十分委託者保護は図れるはず。

事務局より

  • 適合性の原則について、具体的な数値があった方がいいという指摘があった。総合的に判断といっても硬直的に運用しているところもあるので、丁寧に明確化するようにしていきたい。また、経験者の定義や具体性については配慮したい。
  • 自主規制にかかるコストの負担について指摘があった。業者に対する立入検査は数年で一巡しているのが実情であり、そのような中で、外務員の監督については日商協に委ねている部分がある。会員と近いところで接する機関と国の検査との組み合わせが大事だと思っている。
  • 総合的な取引所を視野に入れた議論をしている時に、商品先物だけの世界でみるのではなく、金融商品における商品の扱いを考えてみる必要があるという指摘はもっともである。
  • 規制の見直しについて記載するのは時期尚早、適当でないという御指摘については、活性化策も規制も常時何かあれば見直すことを忘れてはいけないと考えている。それを実施するかどうかは別の話で、そのときの判断をこの議論を踏まえて整理しておくということだと思う。

閉会

以上

関連リンク

 
 
最終更新日:2012年6月27日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.