経済産業省
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低炭素電力供給システムに関する研究会(第8回)-議事録

日時:平成21年7月1日(水)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. 「低炭素電力供給システムに関する研究会」報告書について

議事概要

山地座長
それでは定刻になりましたので、低炭素電力供給システムに関する研究会、第8回を開催させていただきます。ご多用のところご出席いただき、ありがとうございます。まず事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
吉野電力基盤整備課長
それでは資料の確認ですが、配付資料の一覧があります。資料1の議事次第から資料2-1、2-2、2-3、それから参考資料の1、2、3です。不足がありましたら、事務局まで申していただければと思います。
山地座長
よろしいでしょうか。それでは、早速議題に入らせていただきます。前回、前々回ぐらいから何回か取りまとめの議論をしていただいていますが、前回提示された報告書の総論の案を含めまして、それを前回の議論を含めて改定して、それから各論も含めて、本研究会の報告書の案を事務局に作成していただいています。それぞれ先ほどの資料の2-2と2-3です。概要が2-1に付いているという形ですが、まずはその説明をしていただきまして、その後、皆さまからご審議いただきたいと思います。
それでは早速ですが、吉野整備課長、お願いいたします。
吉野電力基盤整備課長
それでは、私の方から資料2-2に則してご説明したいと思います。今、山地先生の方からもありましたが、前回は系統安定化、スマートグリッドに関するプレゼンテーションを数件いただいておりまして、併せて、報告書の素案をお示ししたわけです。その際のご意見を踏まえて再度、報告書案としてお示しするものです。順次申し上げてまいりますが、全体として申し上げれば、報告書全体の少し凸凹感があったところを調整したところと、それから系統対策、スマートグリッドに関しましては、定義的な整理や、これまでの取組、今後の取組、これまで検討してきたこと、今後の検討課題を整理したところです。それから、簡単な図ですが、各項目ごとに見出し的な整理もさせていただいています。
それでは開いていただきまして、まず目次のところです。今回、目次で1点だけ変わっていますのは、「2.太陽光発電の大量導入について」を入れているところが前回との相違点です。ところが、目次のこの項目が、名は体を表していなくて、ここは後ほど重点的に説明したいと思っています。
本文に入りますと、まず2ページ目、「検討の背景」です。ここは前回もお示ししたとおりですが、「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定されて、その中で「ゼロ・エミッション電源」の発電電力量に占める比率を、2020年度に50%以上とするという目標が掲げられたということです。この関係では、本日エネルギー関係の2法案が参議院の本会議でちょうどこの時間帯にかかっているころではないかと思いますが、それにより成立する見込みです。この下で50%の目標を掲げて、国、事業者を挙げて取り組んでいくこととなる次第です。それで、ここでは検討の背景として、発電側の課題があるということで、まず原子力の問題や太陽光について少し触れています。それから、火力については比率は漸減していく中にあっても、一方でその重要性があるという点に少し触れています。
それから、次のページの(2)系統・需要側の課題ですが、前回からの修正としましては、2段落目のところに、これまでの対応状況を現状としまして、これまで負荷平準化のための対策を講じてきた、火力発電や水力発電の出力調整力によって需要の変動に追従し、電力の需給バランスを確保してきたほか、送配電システムの自動化により、停電による供給障害を極小化してきている。また、電力需要の小さい夜間の原子力の電力等を揚水動力として吸収し、昼間のピーク需要に対応しているというところに触れています。
今後の対応としては、その次の段ですが、太陽光発電等の大量導入、原子力発電の着実な推進を受け止めていくためには、現在の系統対策・需要対策ではカバーできない面があるのではなかろうかということなどを記しています。
この最後のところ、「本研究会では、以上の両面の課題を検討し、特に政策的にも本格的な取組を進めている太陽光発電等新エネルギー大量導入については、今後必要となる系統安定化対策や想定される費用負担のあり方について集中的な議論を行った。また、系統安定化対策については、いわゆる『スマートグリッド』として提示されてきている諸概念を踏まえつつ、今度の更なる検討課題の整理を行った」とまとめています。
それから、5ページ目です。「2.太陽光発電等の新エネルギー」ということで、このような形で目次の方も整理したいと思います。まず見出しとしましては、「政府としては、太陽光等の新エネルギーの大量導入を政策面で強力に支援、その電気を有効活用していくためには系統安定化対策が必要不可欠」とまとめています。
内容的にはもうご案内のとおりになりますが、これまでの2020年の10倍、2030年の40倍というところを、長期需給見通し、「低炭素社会づくり行動計画」で掲げてきましたが、2段落目、「更に」とある所にありますように、国としては今回の経済危機対策の中で、2020年ごろに20倍程度の2800万kWの導入を目指すという方針が示されました。このために、従来の補助金、税制に加えて、太陽光発電の余剰電力に関する新たな買取制度の創設や、スクールニューディール構想に代表されるような、さまざまなアクションプランといった対策を実施することによるということです。
次の段の太陽光発電に関しましては、そうした施策の下で太陽光パネルの需要が拡大すれば、これに伴う量産効果と技術革新により、3~5年以内に発電コストが現在のkWh当たり50円弱から半分程度の水準に低下することが期待されているということです。この場合、現在、kWh当たり20円台前半から25円である一般家庭向けの電気料金(電灯料金)に、発電コストが拮抗することになるということで、需要家側が経済的なメリットを享受することも期待されると記しています。
一方、次の段ですが、電力供給全体における位置付けを見ると、発電能力でウエイトは大きいけれども、稼働率が12%程度ということで、発電電力量で比較すれば、1000万kWの太陽光発電が一般的な原子力発電所1基分にとどまるということです。他方で、kWの方で見ますと、我が国の電力需要はピーク時の需要で、1億7000~8000万kW程度です。一方、低需要期、ゴールデンウィークなどの時期には、昼間のピークが1億kW程度にとどまる時期もあります。これに対する供給として、太陽光が、例えば2020年の1400万~2800万kWでも1~2割を占める、さらに5300万kWという導入量は、その電力需要のピークに対して非常に大きなインパクトをもたらすものとなるというところを記しています。
それから、6ページ目です。太陽光は、ご案内のとおり日々の気候の変化により大幅に変動しますが、一般家庭に設置されるパネルが3~4kWということで、非常に小さな発電施設が大量に設置されるということです。これを系統運用側から制御することは事実上困難といえると思います。こうした太陽光発電を有効活用するためには、後述する系統安定化対策を本格的に講じることに加えまして、太陽光発電設備の稼動に応じた適切な需要創出や、蓄電池等による需要家サイドのマネジメントも課題となると記しています。
それから、図の下の(2)風力発電です。風力に関しても導入拡大が期待されるわけですが、長期エネルギー需給見通しにおける導入見通しは、2020年度で490万kW、2030年度で660万kWとされています。風力発電につきましては、発電施設が大型化してきて、発電の効率化が進んできているということで、コスト面では10~12円程度と新エネルギーの中では比較的競争力のある電源となりつつあるかと思います。他方、お伺いしますところ、徐々に風況の面、送電ネットワークとの近接性といった開発条件から見ますと、おのずと優れた地点から順次開発が進められているということで、今後導入が進むに従って開発コストが徐々に上がっていく面があるということです。こうした性格は、先ほど申し上げたように需要が広がってコストが下がっていく太陽光とは異なりまして、基本的には後述する水力発電、地熱発電と同じような性格を有しているといえるのではないかと記しています。
「なお」とありますが、先ほどの長期需給見通しの2020年で490万kW、2030年で660万kWという数字については、技術的には現在、送配電ネットワークについて、平成16年でしょうか、風力発電系統連系対策小委員会の場で議論された対策によりまして、着実に進めていくことが適当、可能と考えています。また、太陽光発電に関して検討されている系統安定化対策も踏まえながら、基本的にはそういうものでカバーされていくことになると思いますが、引き続き必要な対策は検討していくという部分も加えています。
それから、8ページ目以降、原子力発電です。まず見出しとしましては、「原子力は我が国の地球温暖化対策の切り札。既設炉の高度利用や新増設・リプレースを促すための投資環境の整備のための措置等とともに、原子力比率が上がった際の出力抑制が今後の政策課題に」と記しています。初めの段落は、繰り返しになりますが、原子力の特徴です。
めくっていただきまして、次の9ページ目ですが、ここでは目標を書いております。「原子力政策大綱」では30~40%程度以上ということでしたが、先ほどの「ゼロ・エミッション電源」50%以上となりますと、原子力については、やはり4割程度が必要と。現状、電力供給計画におきましては、今後10年間に9基の原子力発電の運開が掲げられていまして、それによる電源構成の見込みは、発電電力量ベースで40.1%となっているということです。これを着実に進めていくための対策としましては、先般6月18日に原子力推進強化策として取りまとめをされました。その中味が次の段落です。
最後の段落のところは、それを今後の電力供給システムを考える上でということになりますが、まず負荷平準化の推進がますます重要ということです。それから後段ですが、一時的に定格出力以下での運転を行うことが必要となる場合も生じてくると見込まれると。省エネルギー対策の強化等が進められる状況において、すなわち必ずしも需要が右肩上がりで伸びていかないという状況の中にあっては、こうした運転方法は原子力発電が基幹電源として一層大きな役割を果たしていく上で必要な柔軟性を付与するものであり、今後検討していくことが重要ということです。
それから、4.水力・地熱です。見出しのところでは「最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギー比率を2020年頃に20%程度に。このため、RPS法の対象範囲の検討等の施策により水力発電及び地熱発電の開発を推進」と掲げています。
(1)に水力発電がありまして、そのメリットは随時申し上げているところですが、併せて、水力につきましては、系統安定化のためにも重要というところです。
めくっていただきまして、次の(2)地熱ですが、地熱も水力同様、重要ということですが、年間を通じて水力にもまして出力が安定している、設備利用率が高いということで、優れた特徴のある電源と期待しているところであることを記しています。
次のページ、(3)水力発電及び地熱発電の課題というところです。これも繰り返しございますように、開発のリスク、それから地元との調整、温泉事業者の方々との調整といった問題、それから、当然ながら経済性の問題があるというところです。次のページに、発電原価がこのぐらいになれば、このぐらいまでのポテンシャルがあるのではないかというリストを掲げていますが、こうしたところを少しずつでも開発推進できればと思うところです。
最後の「また」以下のところですが、RPS制度の対象となる水力発電については、今は1000kW以下の流れ込み式水力、ダム式の従属発電に限定されている。地熱については事実上バイナリー発電のみが対象となっているということですが、RPS法の対象拡大や、これら以外の発電方式による新規開発分をRPS制度の対象にすることの可能性について、今後検討していく必要があると考えています。RPS制度に関しましては、足元では太陽光発電の新たな買取制度ができる中で、それをどう取り扱うかというところが議論されていますが、それに引き続く形で、来年度に入りますと2018年度の次の目標を策定していく作業が今後キックオフされていくことになると思われます。それに向けまして、今申し上げましたような議論ができればと考えております。
それから、14ページ、火力発電です。見出しのところは「将来的に火力発電の割合が低減していく中で、太陽光等を受け入れるため系統における火力発電の出力調整能力は一層重要。火力発電全体の低炭素化も課題」というところです。非化石の電源が入っていきますので、火力の割合は下がっていきますが、その残る火力自体の効率化も重要ということで、さまざまな技術開発が肝心ということです。(1)の最後のところで、前回ご指摘のありましたCCSを追加しています。「また」とありますが、「火力発電等の大規模排出源から排ガス中のCO 2を分離・回収し、長期間安定的に貯留することにより大気中へのCO 2排出を抑制するCCS技術が地球温暖化対策の選択肢の一つとして注目されている」。それに関しましては、さまざまな実証に向けての調査が着々と進みつつある状況です。
それから(2)(3)、火力発電の役割、火力発電に必要な機能を維持するための課題、ここは前回お示ししたとおりです。一方、火力のところは、16ページですが、「(4)電気事業に供する石炭火力発電の環境適合についての考え方」という項目を新たに追加させていただいています。これは先般、小名浜火力発電所の環境アセスの手続き、報道等で委員の皆さまもご案内かと思うのですが、これに関しまして、環境大臣からの意見、それから経産大臣からもありましたので、そこでの考え方、お示しした勧告などが、今後の石炭火力の取り扱いに関して重要な指針になってまいりますので、ここで報告書の中にも取り込んでおきたいというところです。
中身ですが、石炭火力発電所の新規建設に関しては、今般、小名浜火力発電所の計画に係る環境アセス手続きにおいて、個々のプロジェクトにおける最新技術の導入や、電気事業全体におけるCO 2排出削減のための取組について、経産大臣に対し環境大臣から意見から提出されたというところです。「具体的に」とありますが、示されたポイントとしましては、まず、個別プロジェクトとしてはIGCCの実証事業が最終段階にあり、実用化に近づきつつあるという状況下では、現時点で採用可能な最高水準の技術を用いたものとすべきであると。石炭火力についても新陳代謝が図られ、全体として効率化が進んでいくためには、最新鋭の技術が積極的に投入されていく必要があるのではなかろうかというところです。
一方、京都議定書の第一約束期間における温暖化ガス削減目標を達成するための取組に関しましては、現在、一般電気事業者とPPS10社が個別に自主行動計画を策定して、それぞれにCO 2排出原単位目標が異なる枠組みとなっている。この現状におきましては、PPS向けにCO 2排出原単位の高い電源が建設され、一般電気事業者から電力に置き換わることによって、電気事業全体のCO 2排出に悪影響を及ぼす恐れがあるというところがたびたび指摘されました。
こうした問題点を踏まえまして、5月28日、経産大臣からは次のような勧告を行ったということです。17ページ目ですが、これは事業者に対してですので、「本事業は、他の化石燃料と比べ二酸化炭素排出原単位の大きい石炭を燃料としており、電気事業者を介して販売される電気の消費に伴う二酸化炭素排出量が増加する可能性があることから、最高水準の設備の導入、バイオマス混焼率の拡大等により、施設の稼動に伴う二酸化炭素排出量の実行可能な最大限の削減を図ること」。二つ目に「2008年7月29日に閣議決定された『低炭素社会づくり行動計画』の趣旨を尊重し、今後策定される中期目標に係る事業者の責務を果たすこと」。一つ目は最高水準の技術を入れていくべきということで、二つ目は少々分かりにくいのですが、「また」以下に書いてある、今後、経産省として、中期目標達成に向けてPPSを含めた電気事業全体としての排出原単位が着実に低減される仕組みの構築に向けての対応ということで、作業していこうと思っているわけですが、その枠組みの中で、新たに建設される石炭火力が適切に運用されていくべきといったところを、この「事業者の責務」という表現で表しているところです。
最後のところですが、以上の一連の経緯を踏まえまして、今後の電気事業の用に供する石炭火力の新設に当たっては、現時点で採用可能な最高水準の技術を用いた、「IGCC並み」と書いてありますが、排出原単位レベルを実現していくことが求められるというように、私どもとしては考えるというところです。
それから、18ページ目以降、「低炭素電力供給システムを実現するための系統安定化対策等について」です。見出しとしては、「太陽光発電の大量導入に当たっては、余剰電力買取等の費用のほか、系統安定化対策に係る費用についても負担のあり方を検討していくことが必要」と。二つ目には「2020年頃に約2800万kWといった目標を実現していくためには、系統運用における蓄電池の運用等を含めた最先端の制御技術を実現化した次世代送電ネットワークが必要」。3番目には「太陽光発電を有効活用するためのスマートハウス等の需要側での新たなシステムにも期待」と述べております。
その後、少し前置きが書いてありますが、低炭素電力供給システムを実現していくためには、以上に記しましたとおり、電源の低炭素化、原子力、新エネルギーの導入を可能な限り図っていくことが重要ということですが、「その際、我が国における優れた電力の品質を維持しつつ、安定供給を確保していくためには、送配電ネットワークにおける対策が鍵となる」と。逆にこの送配電ネットワークの能力の程度が低炭素の電源を取り入れていくに当たっての制約条件になってしまいかねない懸念があるということで、「本格的かつ速やかな対策の実施によって、幅広く低炭素電源の導入が進むよう政策面でも取組を進める必要がある」と書いております。
その対策の最も重要なところは太陽光の大量導入に対応した系統安定化対策ということで、これに必要な対策の内容を明らかにするとともに、コスト負担のあり方を早急に検討する必要があるということで、この研究会では小委員会において専門的な検討を行ってきたというところです。
他方、この検討をする過程というか、前後する形で、先ほども触れましたように、計画の国として掲げる目標のレベルが、2020年ごろに20倍を目指していくのだとなったわけです。これまでの目標であった2020年に1400万kWということであれば、活用可能な技術によって、送配電ネットワーク側で受け入れ可能なぎりぎりのレベルかということだったのですが、さすがに2800万kWは、それをはるかに超えるものであるということで、系統安定化対策に関して大きな課題を投げかけるものとなったというところです。
折しも、オバマ政権の方では、グリーンニューディールと、スマートグリッドに注目が集まってきています。スマートグリッドに関しては、そこにありますように、まず対象となる地域や目的によってもさまざまな概念を持ちますが、おおむね「従来からの集中型電源と送電系統との一体運用に加え、情報通信技術の活用により、太陽光発電等の分散型電源や需要家の情報を統合・活用して、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システムの実現を目指すもの」と考えられるとまとめています。
次のページですが、「米国のみならず、世界各国においても再生可能エネルギーの導入を積極的に進めていこうとしており、これに当たって送配電ネットワークの強化も共通課題となっている」。こうした状況が「スマートグリッド」というキーワードが、広く人口に膾炙するゆえんになっていると考えています。米国では基幹送電網そのものがまだ脆弱ということもありまして、110億ドルの送配電投資が発表されています。欧州でも相当、風力発電が増えてきているということで、送配電システム上のさまざまな課題解決が必要となってきているというところも、これは私どもとしても現地調査をお願いしたわけですが、その中にあっても示されている中身ということです。
また、我が国においても太陽光発電等の大量導入に伴う系統安定化対策のほか、需要家との接点におけるスマートメーターの導入や、需要家自体における太陽光等の有効活用や省エネルギーを統合的に進めていくための「スマートハウス」といった実証的な取組も行われているというところです。
以降、(1)(2)(3)と三つの整理をして、この報告書のまとめにしています。
まず(1)としては、太陽光発電等の大量導入時の系統安定化対策について。これはもうこの研究会の主要テーマで、随時、ご検討いただいた中身ですが、今回も各論の方でもう少し詳しめのレポートを付けています。内容的には、電圧上昇による逆潮流の困難化、余剰電力対策といったところをいかに処置・処理をしていくかということで、20ページ目の脚注の少し上にありますように、総額で4.6~6.7兆円のコストがかかるというような推計をお出ししたわけです。
次の21ページ目の上のところに三つのシナリオと、いかなるコストがどのようにかかってくるのかといったところをお示ししています。これはもう皆さまご案内のとおりだと思います。
そこで、21ページ目の表の下、「なお」書きのところで、これはちょっと重要な点か思いますので、あえて記しましたが、今回の試算に当たっては、太陽光発電によって発生するすべての余剰電力を蓄電によってカバーする場合には、不合理に極端に大きな設備容量が必要となることから、休日が連続し、需要が低い年末年始やGW期間においては出力抑制を行うことを前提として作業しました。これは実際の面でも、余剰電力の蓄電等に関する合理的な設備形成の観点からは、一定の出力抑制が必要ということで、「そのあり方や具体的な方策については今後検討が必要である」と記しています。それにつきましては、電力業界、太陽光パネルのメーカーの方々との間で引き続き検討してまいりたいと思っているところです。
21ページ目、次の段落ですが、こうした試算による導入コストの負担のあり方についてですが、「今後の太陽光の導入の実際の状況や系統対策費用の発生状況を見極めながら検討を行う必要がある」と記しています。当面は、先ほど申し上げました新しい法律の下で実施される、新たな余剰電力買い取りに係る費用負担の制度化をめぐる議論が料金制度小委員会などで先行的に進められてきていますが、それに引き続く形で、系統安定化対策のコストに関しましても議論をする必要があると考えています。
この系統安定化対策コストに関しましては、どのような形で考え方を整理するのか、この小委員会でもありました。「送電等非関連コスト」として整理されるものを、「送電等関連コスト」にするのか、原因者負担にするのか、それぞれによって、また基礎料金に乗る形で、PPSの一次的な負担、需要家の最終負担になってしまう。太陽光発電設置者の負担費用が増えれば、その普及が遅延・抑制される可能性がある。こうしたことも議論いただきましたが、今後こうした議論に当たりましては、この系統制御において、電池を使う、揚水発電所も使う、こうしたロスに関する費用までを系統利用者が負担をするのかどうなのかといったことや、原因者を特定すれば原因者負担ということかもしれませんが、なかなか太陽光発電も細かな入り方を考えるとなかなか限定も難しいのではなかろうかといった点もあります。こうしたことに加えて、公的負担という方法もあれば、さまざまな支援の仕方も考え得る。それから、エネルギー間の競争環境も考えなければならないということで、そうした点を踏まえながら今後検討を深めていくことが必要とまとめています。
それから(2)としては、太陽光発電の導入目標のかさ上げ及び長期的な大量導入に伴う系統安定化対策です。「次世代送配電ネットワークの整備に向けて」と副題を掲げています。
繰り返し申し上げますように、2020年ごろに2800万kWの導入目標を掲げるとなりますと、既存の送配電ネットワークでの受け入れは非常に難しいと考えられるということで、系統運用において蓄電池の運用等を含めた最先端の制御技術を実現化した新たな次世代送配電ネットワークが不可欠となると考えています。補助制度、買取制度によっても増えていくでしょうし、その施策の効果によって太陽光発電システムが大幅に価格降下をすれば、相当、実際の導入見通しが前倒しされてくることも想定されるということで、既存のネットワークにおける制約を克服するための研究開発やデータ蓄積等を重点的かつ集中的に推進する必要があるというところです。
「具体的には」とあります、最後の3段目ですが、「太陽光発電等の再生可能エネルギーの大量導入による出力変動に対応するためには、系統側に設置される蓄電池と火力発電所、水力発電所の組み合わせによる適切な制御を行うことが今後の課題になる」ということです。それから、火力発電が減ることにより、同一周波数で同期して運転することで安定性を維持していることが同期安定性といわれますが、その発電機が減少する、同期化力が減少することによって、系統の安定度が低下することへの対応も必要です。さらには、局地的な気象の変化によって生じる、これまで想定されなかった潮流の変化にも対応できる系統安定化対策も必要になってくる。さまざまな対策が必要となるというところをまとめています。
こうした課題に対応するためとしまして、下の図に示しますような太陽光発電の出力データの蓄積や分析、太陽光発電の出力予測システムの開発、頻繁な充放電に耐える、制御しうる高性能な蓄電池の開発といった要素技術の開発に積極的に取り組むべきということを考えています。
具体的にもう今年度からも、さまざまな事業を展開することにしていまして、まず、日本全国300カ所程度の太陽光発電の出力変動、これ全体による平滑化効果等の実測データを基にした分析・評価を進めていくことも考えています。それから、今回経済対策の一環としては、電気事業者の主要な電力系統に連系していない離島におきまして、太陽光発電と蓄電池などからなる、マイクログリッドと言っています実証事業を実施することにもしています。さらに、模擬的な太陽光発電や風力発電、変電所、送電網等から構成される電力系統シミュレータの構築などもしまして、系統安定度への影響などを検証する予定です。こうした事業を今年度から早速展開していきたいと考えています。
それから、(3)に「『スマートグリッド』に関連する課題について」とまとめています。ここではあらためて「スマートグリッド」と全体をまとめていますが、その内容を構成する技術的な要素としては、IT等を活用した送配電網の自動化、分散型再生可能エネルギー導入への対応、さらには需要家サイドの多様なマネジメント、こうしたものを含む概念かと思いますが、これを図にしたものが24ページ目の上段の図です。
こうした技術要素のうち、日本におきましては、送配電網の自動化については他国に先んじて取り組まれてきており、現時点では停電時間の少なさと高い電力品質を誇っているといえると思います。ここでは供給区域内の発電機の出力や、主要な需要家の電力需要、主要な送配電線に流れる電流値を、PLCといったものによって常時把握するなどの電力分野におけるIT技術が早々に導入されてきています。
他方、スマートグリッドの概念に含まれる重要な部分である分散型の再生エネルギーの大量導入への対応に関しては、非常に大きな課題を抱えており、これを克服していかなければならない状況にあるということです。
残る需要家側におけるマネジメント(デマンド・サイド・マネジメント)に関しましては、欧米において先行的に導入されている地域があると紹介しています。具体的には、電力需給の逼迫への対応策として、供給力の確保のみにとどまらず、状況に応じて需要家に対して限界的な価格等のシグナルを送って、需要家の行動を促すことや、そうした需要家側の行動に関し、需要機器を自動制御するシステム等がその構成要素となります。また、今後の太陽光発電等の分散型電源の導入に当たり、需要家サイドでその電気を有効活用するため、発電設備と需要機器、さらには蓄電池等の機器類を効率的に制御するシステムも考えられると思っています。
我が国におきましては、25ページ目ですが、「スマートハウスプロジェクト」というものが進んでいます。需要家による需要家機器の制御を最適に行うプログラムや遠隔制御システム、また通信インターフェイス共通化といった課題に対応するためのプロジェクトです。また、太陽光発電のコストが現在推測されているように半分以下まで下落をしてくる、一般家庭向けの電力料金と変わらないレベル、ないしはそれ以下になっていく場合には、こうした新しい技術により太陽光の電気を幅広く活用していくことが、需要家サイドで進展していく可能性もありまして、供給サイドからも重要な動きとして注視が必要と考えているところです。
それから、電気事業サイドの取組としましては、一部の電力会社でいわゆる「スマートメーター」の導入も進みつつあります。現在、スマートメーターの費用対効果についての議論も進められてきているところでもありまして、国としても料金プログラム等を活用したピーク需要削減による省エネ・負荷平準化効果を計測・分析することとしています。今後、費用対効果を踏まえまして、スマートメーターが本格的に導入される場合には、需要家による需要家側の機器の制御等にかかわるシステムと連携する可能性もあるなど、デマンド・サイド・マネジメントの実現に向けた取組も進展されることが期待されるというところです。
こうした需要家サイドの取組に関しましては、総じて技術開発や実証実験の段階にありますが、今後こうした技術の導入が大きな流れになってくる可能性もあるということで、これが電力需要パターンに相当な影響をもたらす可能性があり、電力供給システムの将来を考える上でも技術開発等の動向には注視する必要があるということです。
それから、26ページ目の2段目ですが、「これまで電気事業者においても、夜間の電力料金を昼間に比べて割安に設定する等の料金制度等により、供給側から見ても望ましい需要家の消費行動を促す取組が行われてきているが、こうした新たな技術の導入により、こうした取組を一層効果的にする可能性も考えられる」と記しています。
それから、26ページ目の負荷平準化対策です。最後の項になりますが、「原子力発電の導入拡大のためには一層の負荷平準化が必要」と。一方、「晴天時には、太陽光発電も負荷平準化と類似の効果を期待できるが、天候の変化に備えてバックアップ電源は必要」ということも重要です。ここのところにつきましては、内容的には大きな変更はありません。
それから、最後のまとめです。前回、少し整理が悪かったところを整理し直しました。読ませていただきますと、「本研究会は、2008年7月に閣議決定された『低炭素社会づくり行動計画』に掲げられた電力分野における目標を具体化していく際の課題を整理するために設置し、これまで多岐にわたる検討を行ってきた。具体的には、ゼロ・エミッション電源の比率を50%以上にしていくための電源ごとの課題、2030年度に約5300万kWと極めて野心的な目標を掲げた太陽光発電に対応した系統安定化対策が検討の中心となった。
しかし、その後これまでの間においても、太陽光発電に関して導入目標の前倒しを図るための新たな制度が打ち出された他、再生可能エネルギーに関しても新たに2020年頃までに20%程度を目指すとの目標が掲げられた」ということです。さらに「温室効果ガス削減に係る中期目標も発表され、2005年度比でマイナス15%を目指すこととなった。
一方、米国がグリーンニューディールを掲げる中で、『スマートグリッド』の概念が我が国でも注目され、当研究会で検討を行ってきた太陽光発電等の大量導入に伴う系統安定化対策の必要性についても」、これによって理解が進んだ面もあると考えています。
今後の政策面での対応としては、「中期目標で掲げられた削減目標を実現していくためには、原子力、新エネルギー等を着実に進める必要がある」ということで、「我が我が国全体として大幅な省エネルギーが進展した場合においても原子力発電を着実に進めていくための事業環境整備は極めて重要」と。「また、再生可能エネルギーに関しては新たな買取制度によって太陽光発電の加速的導入が期待されることに加え、水力・地熱等についても、地元との調整の難しさ等も踏まえつつ、着実に開発を進めていく必要があり、RPS制度の見直しや関係法令による規制緩和等も課題となる」と考えて整理をしています。
「火力発電については、効率改善のための一層の技術開発を進めていく必要がある。その上で、今後建設される施設が30~40年稼働することを想定すれば、技術開発の結果得られた成果が具体的な新規建設案件として実用化され、施設の新陳代謝を通じて着実に火力全体の効率が上がっていくことが求められる。また、CCSに関しても、エネルギーの安定供給と環境適合の両方を実現するための選択肢の一つとして、社会受容性や法制度の面からの検討を進めつつ、技術開発を進めていくことが重要である。
送配電ネットワークについては、太陽光発電の大量導入に対応した系統安定化対策とこれに必要なコスト負担のあり方をテーマに議論を進めた。この過程において、今後、政府の掲げる目標を達成するためには、電源側の対策にもまして多くの差し迫った技術開発課題が目前に残されており、それらを克服し、次世代の送配電ネットワークを構築していく必要があることがクローズアップされてきた」ということです。
「原子力、太陽光については、それぞれの分野ごとに精力的な政策論議が進められているが、それらの議論を統合しつつ、低炭素電力供給システムを実現していくためには、次世代送配電ネットワーク実現が非常に重要な鍵となる」と考えています。「本研究会では、現時点での知見を基に議論の整理を行ってきたが、技術開発動向や各種施策による本格的な効果の発出等の状況の変化等に対応して、更なる検討が行われることが必要である」と考えています。「特に、太陽光発電の大量導入に向けた環境を可能な限り整備するためには、産学官における研究開発について、我が国全体として長期的な視野に立って取り組んでいく体制を整備する必要がある」と考えています。この「低炭素電力供給システムの構築に向けた関係者の取組は緒についたばかり」と認識していまして、「今後、上記に掲げられた課題等への更なる検討が行われ、本研究会における検討結果が今後の低炭素社会における『低炭素電力供給システム』の構築に貢献することを期待する」というまとめにさせていただいています。以上です。
山地座長
ありがとうございました。概要や資料2-3の各論はいいですか。
吉野電力基盤整備課長
各論はこれまで掲げてきたものです。資料の方も、今申し上げたところのポイントをまとめたものです。今後こうした概要資料も使いながら、この報告書についてもPRしていきたいと考えております。
山地座長
ありがとうございました。これが本研究会のまとめの案です。振り返ってみますと、昨年の夏ごろから始めたわけで、きっかけとなりましたのは昨年7月の「低炭素社会づくりに向けた行動計画」だったわけですが、その後、首相の交代あり、アメリカのオバマ政権あり、また、2月には太陽電池の買取制度まで決まって、4月には、それとも多分連動しているのでしょうけれども、太陽電池を2020年までに10倍だったものを20倍にすると。また、つい先月の10日には温暖化対策の中期目標の提示があったという、いろいろ大きな環境変化もある中で研究会を進めてきたわけですが、以上のように取りまとめていただきました。
皆さんの議論をまずいただきたいのですが、ちょっと構成について、各論はIIから始まっているということは、総論がIになるという構成だと考えてよろしいのでしょうか。
吉野電力基盤整備課長
すみません、ややアバウトですが、基本的にはそのような感じです。最後の冊子にまとめるときには、そのようなことです。
山地座長
それと、総論の目次のところは、2の表現が少し違っていますが、これは本文の方の「太陽光発電等の新エネルギー」というものが・・・。
吉野電力基盤整備課長
風力の記載もありますが、「太陽光発電等の新エネルギー」ということです。
山地座長
そういうことになるわけですね。
山地座長
そういうことを確認しました上で、恐らく今日が取りまとめの最終的な機会かと思いますので、このまとめの報告書の案につきまして、委員の皆さんからご意見をいただきたいと思います。いつものように発言をご希望の方はネームプレートを立てていただければと思います。いかがでございましょうか。
よくまとまっていると私は本心で思っているのですが、そのせいかあまり出ないですか。
皆さん、多分ご発言の何かきっかけがないのだと思うので、細かいことを言います。
総論の5ページ目、パラグラフの一番下の「一方」から始まる部分です。「電力供給全体に占める位置付けを見ると」、その2行目に「稼働率が12%程度」とあるのですが、厳密にいえば「設備利用率」と言うのが正しいです。そのような細かいこともよろしいかと思います。
それと、これはちょっといちゃもんに近いのですが、もう一つ気になったのは、23ページの、これは今までよく出ていた図なのですが、電力需要の小さい時期という絵があります。今よくよく見ていると、原子力発電、水力発電、風力発電ということで、ちょっと風力の面積が大きすぎるのではないか(笑)。これはもう少し工夫が。これだけ直すのは面倒くさいかもしれませんが、ちょっとこれは大きすぎる。すみません、余計なことをいろいろ申し上げました。概念的な図ですから、別に目くじら立てることはないのですが、あまり大きいのも少しと思いまして。
そのような、私が先行してくだらないことを言ったのですが、皆さんからはぜひ有効なコメントをいただきたいと思います。いかがでしょうか。特になければ、よろしければ感想でも結構なので、順番に話をしてもらった方がよろしいですかね。ただ、あまり長々とやらないようにしてください(笑)。
どちらからいきましょう。山名先生の方から順番に、一言ずついただけますか。
山名委員
感想と言いますと、すごくよくまとまったなと。最初どうなるかと思ったのですが、全体像がよく見えてきたという感想を持っていまして、ご努力に感謝いたします。
1点だけちょっと、これは報告書に入れる、入れないの議論ではなくて、補足だけさせていただきたいのですが、実はこの中で太陽光発電の発電効率が今後上昇に向かう・向かわないという議論があまり入っていないのです。恐らく今、20%弱ぐらいのものが今後、有機とか、カドテルとか、化合物反応体系の方に技術革新していくことで、多少発電効率というか、入ったエネルギーに対して、出す電力の割合が高くなるという見通しも多分あると思うのです。仮に2030年に効率がもし倍になったら、単純にいえば、5300というのは倍になるわけですかね。そうすると、実際に真夏のときの発電量が、下手すると5000万kWぐらいぼーんと入ってくるような時代も見えるのかという気がします。ここでは現状の発電効率で議論しているということでよろしいですが、背景にはそういう今後の技術革新をどう見るかという議論も残っているのだろうと思いながら読んでおりました。少し頭に留めておいた方がいいのではないかと思います。以上です。
山地座長
ありがとうございました。多分、佐賀委員が何かコメントがあるかもしれませんが、順番でよろしいですか。それとも、今おっしゃいますか。
佐賀委員
確かに効率の改善は、NEDOのロードマップでも規定されることです。ただ、2倍というところは、なかなか難しいのではないかと思います。恐らく、2020年の段階で今の1.5倍、薄膜であれば8~10%のものが、15%ぐらいに、結晶系であれば13~14%ぐらいが、今、平均的なところですが、これが20%近くになるのではないか。あとは、CIGSとかカドテルも、それなりの効率アップが期待できると思います。大体50%アップぐらいのところで考えていただければいいかと思います。
山地座長
ありがとうございました。太陽電池の場合は効率も大事ですが、やはり基本的にはコストになってきますから。今は多分、薄膜になって、むしろ効率を若干犠牲にして、コストを安くしているというところかと私は理解しています。従って、効率が上がったから、5000万kWと想定していたものが、もっと上がるということでもないかと、私は思っています。では、村上委員。
村上委員
本当にちょっと細かいことで、今更この報告書のこれ以上の改定もあまりできないでしょうから、どうしようかなということは迷ったのですが、ささいなことでもいいと言われたので、ちょっと一言だけ最後に、原子力の設備利用率についての記述に関する感想と、私からの勝手な要望を述べさせていただきます。
総論をドラフトの段階でいただいたときも、原子力の記述については、まあこんなものかなと思ったのですが、やはり他の電源、特に太陽光に関して具体的な今後の普及に関する課題や、ポテンシャル等を具体的にかなり数値で挙げて説明しているのに比べますと、原子力に関する今後の課題というのは、ページ数にしても1ページ程度ですとか、ちょっとウエイトが低いなという気がいたしました。
もちろん、当研究会は再生可能電源の大量導入に伴う系統安定化策や、そういう課題だったことを考えれば、それはそれでいいのかと思いますが、あらためて電源の低炭素化という観点から考えますと、原子力の設備利用率の重要性について、もう少し数値で、80%程度を前提にして計算されていますが、現在は60%程度です。これが今後2~3年の間に飛躍的に、急に80%になるという可能性は、現状を見ると、どうも少し暗い。暗いというと、電力の関係者の方には怒られるかもしれませんが、そういう現実があります。ところが、それはやはり何が何でも80%以上にしていかないと、代わりにその80%と60%の間のギャップの発電電力量を、ほかの手段で何か埋めることができるかというと、それは非常に難しいということを、少し具体的な数値も交えながら、総論のところに、もしあと2~3行入るものなら、書けないかと思った次第です。
具体的な数字は、例えば原子力発電所110万kW級1基で、80%ならば70億kWh程度の発電電力量が期待されるところであって、その前提で2030年には、60基弱で4300億kWhであると。ところが、仮にこれが60%しか出ないとすると、1基が50億kWh程度になり、4300億kWh出るはずだったのが3000億kWh程度になり、このギャップの1000億kWhあまりを再生可能電源で賄える可能性というのは、残念ながらほぼゼロに近い。そこまでは書くかどうかはともかくとして、そのくらいのメッセージを本研究会で出しても、罰は当たらないのではないかという気がいたしました。以上です。
山地座長
そうですね、8ページのところに、図の上側のところに「例えば」というところがありますよね。原子力発電所2基、kW幾らかというのも本当は書いた方がはっきりしますし、これで1400万トンのCO 2削減が可能だといったら、当然、設備利用率を仮定しているわけです。そこのところをもう少し書き込んで、注で、利用率が下がれば、その効果がどれくらい変化するかということを書くと分かりやすいですね。
村上委員
CO 2削減量だけではなくて、今申し上げたのは、失われるkWhが書いてあるのです。
山地座長
kWhが失われるのですね。このところに少し詳しく注記する手もありますから。利用率による影響もあると。ありがとうございました。
では、松村委員。
松村委員
今出てきた原子力発電のことに関して、僕は少しだけ異議があります。稼働率60%を80%に上げるのは、2020年、2030年に向けての長期的な課題ではなく、もっと危急の問題と理解しています。これを90、さらに世界最先端に上げるということなら、一層の技術革新ということで、長期の目標なのかもしれませんが、80までの引き上げはすぐにでも達成すべきかなり危急の課題だと認識しています。従って、その重要性については全く否定するものではありませんが、2030年までにのんびり80%に上げればいいというメッセージになってしまうと、むしろ逆効果だと思います。ここでそんなに強調する必要はないのではないか。別の機会でもっと言うのが本来の筋であって、注記ぐらいで十分ではないかと思います。
こんな順番で言うのはふさわしくない点かもしれませんが、最後なので発言させていただきます。第1回のときに、私ではなくて別の方が、燃料電池について指摘されました。それに対する返答は、それはここのミッションではなく、別のところでやるというものだったと思います。それはそれで非常に合理的な発言だったと思います。燃料電池のこともフルに議論した報告書が、近々都市熱エネルギー部会から出てきます。そこの報告書は2050年を念頭に置いています。しかも発想の一部では、スマートエネルギーネットワークという発想が含まれています。電力ももちろんエネルギーの一部ですから、このネットワークの一部に含まれているわけです。それ以外のものも含めた社会全体としてのエネルギー利用を効率化するスマートという発想が出てきています。もちろん電力のことを主にやっているわけではないのですが、系統安定に関しての議論も少し出ています。
その報告書とこの報告書が二つ並ぶと、どういう印象になるかというと、向こう一方は2050年を視野に入れて、こちらは基本的に2030年までをにらんでいて、こちらはもう一つの報告書のサブセットというか、より近いところだけに集中してその分細かくなっているように見えます。向こうはエネルギー全体をにらんだ議論をしている、こちらは電気のところだけをにらんでいる。やはりサブセットのように見えます。こちらの方が先行していて、インテンシブな議論をしたのにもかかわらず、別の報告書のごくごく一部のサブセットの各論をやったように見えてしまうのです。だから、もう一つの方の報告書がけしからんと言っているわけではなくて、そちらは非常にいい報告書ですし、むしろ圧力をかけて矮小化してしまうなどという妙なことは、決して起こってほしくない、誰であろうとすべきでないと思います。
燃料電池のことはほかのところでやるという発想が、この研究会ではふさわしかったと思うのですが、電気のことをよく知っている人が集まる研究会で、総合エネルギーを考えないで、サブセットのことだけ考えることをいつまでも続けていいのかという点に関しては若干疑問に思っています。
そうすると、次の段階としては、全体をにらんだエネルギーシステムを、どこかが考えなければならない。それは都市熱部会がやるのだ、そこに任せるのだという発想は、一つの発想だと思うのですが、その点についても、次の段階では考える必要があると思います。以上です。
山地座長
では、廣江委員。
廣江委員
3点申し上げます。1点目は感想です。今回この研究会でいろいろ議論をしてまいりましたが、特に太陽光が大量に入った場合の系統安定化コストは、実は私どもも、内々にも全く計算をしていなかったことでした。今回こういう研究会を一つのきっかけにして、ここで議論をいただき、皆さま方との一定の共通認識を持つことができたことは非常に大きな成果だったと感謝しているところです。これが1点目です。
2点目は確認です。これは昨日ある場所で、山地座長がご発言なさったことのおうむ返しにもなります。2020年、2800万kWの太陽光を入れるということが政府の目標として掲げられています。私どもは、1300万kWまでは技術的には対応可能であると申し上げましたが、2800万kWとの間には非常に大きな差があります。これを埋めるための技術開発をしなければならないということで、今回の報告書にもページを割いて書いていただいているのは、感謝しているところです。
ここで申し上げたいのは、私どもは1300万kWと申しましたが、これは私どもの供給計画の需要に近い数字を前提にしているということです。すなわち、今回の中期目標に関連した議論で申しますと、選択肢(1)、あるいは長期需給エネルギー見通しで申しますと、努力継続ケースを前提にしていました。今回、総理のご決断で最大導入ケースをベースにして、さらに少し深掘りをしたものを目標にされるということになったわけですが、そういたしますと、さらに状況は厳しくなってきます。需要は、私どもが前提にしているものに比べて、既に十数パーセント減っているところに、場合によっては2800万kWという太陽光が入ってくることは、相当深刻な事態になると思います。私どもは、決してそれで脅かしたり何かしようという気はありません。従って、さらに政府からの援助も得ながら、一生懸命技術開発をしていこうと思っていますが、この状況があるということだけはあらためてご認識を賜りたいと考えております。
更に長期需給エネルギー見通しでは、アワーの議論だけがされていまして、kWの議論が全くされていません。電力の運用といいますのは、繰り返しこの場でも申し上げていますが、kWも運用するわけでして、そこの検証が全くされていないわけです。こういったところは私どもとしても早急にやっていこうと思っていますが、前向きにやろうと思っており、後ろ向きと取られると困るのですが、そういう状況にあることだけは、ぜひご理解を賜りたいと考えております。これが2点目です。
3点目はお願いです。結論から申しますと、10ページの水力・地熱発電についてのカッコ書きの中の表現を少し変えていただけないかということです。一つの例として水力で申しますと、あまり電気事業者の一員であります私が、自分たちの大切な電源に好き嫌いといいますか、えこひいきをすると良くないのですが、私は実は小水力が非常に好きです。山間に小さな水力発電所がけなげに動いているのは、誠に景色としても素晴らしいですし、それが大正年間から同じ発電機が回り続けているというケースもたくさんあり、私は大好きです。ただ、この小水力というのは、非常にコストが高いです。従いまして、ここでの表現でも、RPS法でいわば助けてあげようとなっております。われわれは決してこれを疎むわけではありませんが、実は問題は必ずしもコストではないのです。これも従来から申し上げていますが、
例えば2000年に自由化が始まり、RPS法が制定されてからの間、あるいはCO 2の制約がここまで強まってくる以前の間であっても、私どもこの高い小水力を一生懸命、補修しながら維持してきました。場合によっては新規に開発したものもありますが、必ずしもコストだけが問題ではありません。むしろ、本文の方で書いていただいていますいろいろな規制や、社会からどのように受け入れられるか、企業さんとの関係や河川法の関係といった問題もあり、むしろ、こういったところの障害の方が、実感から申せば、はるかに大きいと感じています。従いまして、本文では規制の問題等々書いていただいていますが、残念ながらカッコ書きのところから、それが抜けておりまして、RPS法の規制を強くしさえすれば開発が進むとも取れなくもないような表現となっておりますので、できれば、ここはもう少し本文の部分とバランスを取っていただいて、RPS法ももちろん書くことについて否定をするわけではありませんが、規制等々についての記述も、この部分にお願いしたいというお願いです。以上です。
山地座長
ありがとうございます。最後の点は、できるだけそういう対応でいきたいと思います。2番目のポイントも非常に重要なポイントで、確かに私が昨日申し上げた点なのですが、この中の表記としては、分かっている人には分かるという注記になっているのです。つまり、18ページに注6があるのですが、これは今の1300万kWのことに関連することで、「電力需要が努力継続ケースで推移し」というところになります。
その次のページ、19ページの注の8番目のところにも、電力需要については努力継続ケースで、太陽電池については最大導入ケースでということなのです。これはここにいる人は皆さんご存じなのですが、要するに小委員会で検討したときに、これでやりましょうということでやったものですから、こう書いてある。実は参考程度に、電力需要も最大導入ケースという小さい需要にした場合に、ずっとコストが上がるということも、参考的には小委員会の報告書に書かれていまして、記録としては残っているわけです。そこまで踏み込んで書くかどうかですね。だから、注記で多少、最大導入ケースにすると、このやり方で計算すると、コストが大幅に上がる。そういうことを追加しておけば、より分かりやすいのではないかと思います。ありがとうございました。早坂委員。
早坂委員
感想とお願いです。本当にほぼ1年間、実は私は皆勤賞だったと思うのですが、なぜかと言いますと、この研究会は本当に、各界の皆さんがすごく活発に議論される、とても有意義な会だったと思います。ギャラリーの皆さんも本当にご熱心に聞いていただいて、政策決定というのは、本当にこうやってするのがあるべき姿だと思いました。大変エキサイティングな経験をさせていただきまして、ありがとうございます。
それと、山名先生もおっしゃいましたが、報告書も少しずつバランスが取れてきて、私の持論である需要家サイドの記述もかなり多くなっているように思いますし、大変よくなったのではないかと思います。やはり忘れていただきたくないのは、供給側だけではなくて、やはり需要側のマインド、あるいは啓蒙普及など、いろいろな合わせ技でやっていただきたいというのが、一つ、要望です。
それから、最後のまとめにありましたように、やはりエネルギー、環境にかかわる全体を取り巻く状況が、変化のスピードがとても速いです。本当に目標もどんどん前倒しになっていて、報告書を読むと、今年度から次世代送配電ネットワークの整備に向けて実証実験を始めるとか、いろいろあるのですが、実は2020年はもう10年ちょっとしかない。やはり、のほほんとやっていたら、どんどん後手に回ってしまって、周辺の環境変化に追い付けないのではないかと思うのです。ですので、スピードアップ、あるいは前倒しも含めて、じっくり構えないで、技術開発も含めて取り組んでいただきたいという要望です。
総選挙が近いです。先生方も、それからお役所の皆さんも、もしかして同じゼッケンを付けながら、メンバーは、プレーヤーは変わるかもしれません。しかし、こうやって一生懸命やった議論を、報告書を無駄にしないでいただきたい、その心持ちを次の方につなげていただきたいと思います。最後は要望でした。ありがとうございます。
山地座長
ありがとうございました。それでは辰巳委員。
辰巳(国)委員
ありがとうございます。私も感想と、それから非常に細かい要望を1点お願いしたいと思います。
まず感想ですが、今回、電池の立場から参加させていただいて、電力系統へ再生可能エネルギーを導入して組み合わせるには、相当、総体的に考えなければいけないのだなという点が非常に勉強になりました。特に大きくマクロでの、原子力や火力を含めた電力系統全体での需給バランスをどう取るかということの議論と、需要家に近い配電網でのバランスの問題、つまり柱上トランス以下での需給バランスをどう取るのかというのが大きな問題であるように理解いたしました。
報告書の、特に総論の方を拝読させて頂いた時の感想ですが、1については非常によくまとめられているなと。これを読めば、大体発電システムとか、供給サイドがどのようにやっていかなくてはいけないということが、非常によくまとめられていると思ったのですが、需要家に近い配電網での需給バランスについて、各ユーザーが何を負担しなくてはいけないかというところが、少し見えにくいかと思います。
具体的に申し上げますと、ここからが要望なのですが、例えば19ページ、20ページあたりに、課題と対策が必要だということを書いて頂いていますが、この書き方では少し分かりにくいかと思いました。例えば資料2-1の概要一枚紙の方でははっきりと、変圧器をある程度増設しなくてはいけないというように、分かりやすい対策として書かれています。資料2-1は非常によくまとまっていると思いますが、そこの真ん中辺の「II.太陽光等の導入拡大に伴う系統側の課題」の<当面の対策>のところで、対応策として、一番上の破線の四角の中で、赤で「変圧器の増設」という言葉が書かれています。しかし、総論の方では、分割設置という言葉で書かれていて、少しここは分かりにくいかと思います。
もう一つ、また細かくて恐縮ですが、総論の20ページの脚注9のところに、なぜそういうことが大切かということが書いてあるのですが、ここでは「連系点」という言葉で書かれています。一方、各論の73ページの下の段落では、太陽光発電に関する出力が電力系統に逆潮流する場合、何が問題で、例えばそのためには何が必要かということが、課題と対策とがセットで書かれています。できれば、20ページの脚注9あたりは専門家が見てわかる言葉よりは各論73ページ下の段落にあるような書き方で、課題と対策をセットで書いていただくと、総論だけを読まれた方にとっても、何が課題で、何をしなくてはいけないかということが、もう少し分かっていただきやすいのではないかと思いました。
というのは、先ほどもお話がありましたが、太陽光以外にもいろいろなものが系統の、いわゆる需要家のサイドで付いた場合に、変圧器より下の部分での対策を考えなければいけないということは、意外にあまりまだ知られていないような感じがありました。その点について、それほど内容を厚くして頂く必要はないのですが、発電の供給サイドだけではなくて、需要家に近いサイドで何らかの対策をしないと、そのままどんどん増やすわけにはいかないのだということは、強調して頂いた方がいいかと思います。
もう1点、感想です。スマートグリッドを含めた次世代のネットというところは、現時点で可能な限り整理している内容として、よくまとめられているかと拝読させていただきました。ここは非常に大変なご努力があったのではないかと思います。以上です。
山地座長
ありがとうございました。今のコメントも多分、少し課題と対策ということで、分かりやすく各論の方にありますから、それを総論の方に少し持ってきたらと思います。
佐賀委員、お願いします。
佐賀委員
私も同様に大変よくまとめていただいていると思います。この概要のA3の資料ですが、非常に分かりやすい内容かと思います。この研究会1年間の中で、太陽光発電にかかわる背景がだいぶ変化してきました。新たな補助金、新しい買取制度といった背景の中で、2800万kWというものが、2020年までの導入目標としてあるわけです。大変な数字なのですが、今までの太陽光発電は、過去10年、約1.5倍ずつぐらい毎年伸びて、50%近く伸びています。2020年、2800万kWを率に直すと、平均で30%ぐらいになると思います。過去10年と将来これからの10年では、量的にも全然違いますので、必ずしも比較はできないのですが、妥当な数字になってきたかなと私個人は思っています。場合によっては、それも2~3年前倒しして、達成できるのではないかという感想を持っています。
そういう中で、やはり非常に大規模な導入ですので、今までなかったような課題が出てくるということです。その中で、今回の総論の中で、次世代の送配電ネットワーク、スマートグリッド、それからDSM、スマートハウスも議論されていますが、そういった課題の重要性が明確にされたとことが非常によかったのではないかと思っています。
これを実現していくためには太陽電池の業界は、もちろん先ほどの効率のアップという話も重要な課題ですが、コストダウンをいかに早く、補助金などのサポートがある間に実現して行くことが必要と思っています。この研究会の中で大量導入に伴う非常に多くの課題が示されておりますが、これにつきましては、太陽電池業界も、経営者の方々も、協力しながら当たっていきたいと思っています。引き続きご指導の方よろしくお願いいたします。以上です。
山地座長
ありがとうございました。それでは戒能委員、お願いします。
戒能委員
ありがとうございます。この研究会で検討したことの大きな成果の一つは、太陽光発電の大量導入に伴う余剰電力のkWhの部分は、バッテリーにいったん収めて、しかも系統側に置くことが合理的であることが分かったということです。しかしやはり大変気になっているのが、周波数調整力の問題が依然として置き去りになっていることです。
実は余剰電力の問題については、コストまで明示して、どういう形でやるのが合理的かということをシミュレーションして、私が知る限り、ヨーロッパやアメリカのスマートグリッドの議論より、かなり先に行っているのですが、しかし、周波数調整力を保持して、系統安定化対策をする、残りの半分の問題のために一体幾らかかりそうなのかというところが、やはり置き去りになっているということが大変気になります。これは単に、先ほど廣江委員からもお話がありましたように、需要の大きさがどうなっているかとか、需要家がどういう使い方をするのかを見込むのは大変難しいという問題がある訳ですが、早急に議論を始めないといけなくて、局所的にはこちらの方が先に問題が顕在化する可能性があると思います。以上です。
山地座長
ありがとうございます。忘れているわけではないのですが、2-1にはあまり明示的にはできていなかったということでしょうね。伊藤委員。
伊藤委員
ありがとうございます。報告書は大変よくまとめられていると理解しています。本テーマにかかわる問題点、多くの課題、それから具体的な対策等がほぼ網羅的に記された資料になっていまして、特に現実論、実際論に沿ってまとめ上げられているところが本レポートの最も重要なポイントではないかと思います。地球環境にかかわるいろいろな数値目標は、どうも近年アナログ的ではなくて、一気にデジタル的に数値が高くなってしまって、現実との乖離が起きています。それで、環境問題にかかわるさまざまなレポートにおいても、現実論をかなり無視したと思われるようなレポートが流布されています。それらに比べて、明らかに優れたこのレポートが、各方面でたたき台として使われるような結果となることを期待したいと思っています。
山地座長
ありがとうございます。そうですね。半分とか、10倍とか、20倍とか、そういうものが多いことは、確かにそういう感じがいたしますね。
ひとわたりご発言いただきました。私が無理に順番に指名してしまったようなことでご発言いただいたのですが、ほかの委員の方のご発言を聞いて、もう一度言いたいということがありましたら、まだ時間的にはご発言をお受けする余裕がありますので、いかがでしょう。伊藤委員。
伊藤委員
この研究会の内容とは少し外れてしまうかもしれませんが、昨日、世界的に著名なテクニカルアドバイザー、具体名を申し上げると、ロイヤル・ダッチ・シェルグループのテクニカルアドバイザーグループの方々と、ミーティングをする機会がありました。
彼らが、日本の電力やガスの供給システムに興味を持ったということで、ミーティングをしたいという依頼が来ていたのです。彼らが何に興味を持ったかというと、彼らが近年、欧米でかなり成果を上げているのが、ボイラーやタービンの最適運用にかかわる分野だそうです。それで、ほとんどのボイラーやタービンを調整するだけで、熱効率を1~2%程度改善することができる。それで、その提案をぜひ日本の電力会社、あるいはさまざまなボイラーやタービンのユーザーの方々に行いたいという意図を持っていらっしゃったということです。
ところが、日本に来て実際にヒアリングをかけると、興味は持たれて、ほとんどの方がミーティングはしてくれるのだけれども、具体的にそれを適用しようとするかどうかについては、あまり積極性がないと。なぜ積極性がないかというと、「メリットを感じない」という言い方をされるのだそうです。私は熱効率の向上は、地球環境対策の中で最も重要な行為の一つだと思いますので、ぜひ効率の改善につながるような新しい技術を積極的に活用できるような制度・政策をご検討いただきたいと、ミーティングの後でそういう印象を持ちました。
山地座長
ありがとうございます。運用による省エネは非常に大事で、多分、日本は得意としていると思っているのだと思います。ありがとうございました。特にご発言・ご希望がないようでしたら、今までの委員の皆さんのコメントを踏まえて、少し事務局の方から今後の対応等についてお願いいたします。
吉野電力基盤整備課長
さまざまなご意見をいただき、ありがとうございました。昨年7月から研究会を進めてまいりまして、この間の動きもまたさまざまなものがあったものですから、終盤の局面でまとめにくい場面があり、一度、二度、少しお手間をかけた部分があったかもしれませんが、ここまで参りまして、これまでのご議論、ご協力に対しまして感謝申し上げたいと思います。
いただきました個々の修正、それからより丁寧に説明した方がといったところに関しましては、それぞれ修正をいたしまして、山地座長と相談してまとめたいと考えております。
それから、戒能委員からもご指摘がありました、系統安定化対策に関しましては、今回まとめたというか、非常に多くの宿題を自ら書き出して、これから汗をかかなくてはいけない、大変だなと思っているところです。これに関しましては、少しまたこれに引き続く形で何らか議論、検討していく、技術的な課題を検討していく場、ないしはそういうものが今後のコストにどのようにかかわっていくのかといったところを、議論する場を作ってやっていかなくてはいけないと思っているところです。また、そうした場面でも、ご協力をお願いする場面もあるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
山地座長
ありがとうございました。そういうことで、今日は非常に貴重なコメント、修正のサジェスチョンをいただきまして、いただいたコメント、具体的に対応すべきところは、ご意見をいただいたときにも私から簡単に申し上げましたが、修正した上で、最終版という形にしていきたいと思います。ただ、この場で具体的にどういう表現にするかという議論をする時間的余裕はありませんので、表現ぶり等については、私と事務局の方で相談して対応するということでよろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございます。
そうしましたら、長い間、ご協力をありがとうございました。それでは、本研究会は以上にしたいと思いますが、今日は西山部長がおみえですので、一言。
西山電力・ガス事業部長
一言だけ、御礼のあいさつをさせていただきたいと思います。昨年7月に第1回の研究会を開催いたしましてから、これまでに8回、小委員会を含めますと計12回、山地座長をはじめとして、委員の皆さまにはご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。この間にも、いちいち繰り返しませんが、先ほど来、皆さまからもご指摘があったように、いろいろな目標が次々と掲げられて、ついに中期目標も決まってしまうというような、大きな変化がある中でのご審議をいただいたわけです。
この目標を達成するためには、ゼロ・エミッション電源の中核である原子力発電を一層推進したり、あるいは太陽光発電を大量に導入することが必要であることはもちろんですが、そのときにここで詳しくご議論いただいた、安定供給を同時に達成していくための系統対策を中心にして、電力系統全体として、システム全体の取組が必要であるということを議論していただき、具体的に示すことができたのは成果だったのではないかと思っております。
特に、新エネルギーの大量導入に伴いまして、系統安定化対策を中心として、日本の電力系統は非常に素晴らしいものが出来上がっていると思いますが、この実態を踏まえながら、さらに高効率、高品質、高信頼度の電力供給システムを目指すということで、未来型の低炭素電力網の整備について、いろいろな課題を整理していただいたと思っています。
実は本日の、もう終わったと思いますが、午前中開かれている参議院の本会議におきまして、低炭素社会づくりに向けたエネルギー関係の二つの法律が成立しているはずです。この2法案の審議に当たっては、先ほど廣江さんが少しお触れになりましたが、昨日、山地先生にも参議院の経済産業委員会において、参考人ということで意見を開陳していただきました。この2法案の審議でわれわれが受けた国会の先生方からの質問の内容も、ほとんどこの研究会で話された内容にかかわるものが多く、そういう意味でも、そのこと自体をもっても、今、最先端のところを議論していただいたと思っております。
そして、海外からもオバマ政権のスマートグリッドの話とか、ヨーロッパでも同じような動きがあると伺っています。そうした中で、これも委員の方からご指摘がありましたが、この報告書は、日本の現在の考え方の水準を示したものということでも、一つ意義があったのではないかと思っています。そういうこともありまして、少し会を追加してスマートグリッドの議論もしていただいたりして、先生方にはお時間をたくさんちょうだいしてしまいましたが、大変ありがたかったと思っております。
しかし、また、先ほど来のご指摘にありますように、これからのやるべきことが多いということが分かったというのが実態です。まだ緒に就いたばかりですので、私どももこれからまた精いっぱい、しかも急いで頑張っていかなければいけないと思っております。各委員の皆さまにおかれましては、ぜひまたこれからもご協力をいただきたいと思いますし、場合によっては、これからまたいろいろお知恵を拝借することもあると思いますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思います。本当に長いこと、何回もお集まりいただきまして、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
山地座長
西山部長、大変ありがとうございました。先ほど申し上げた報告書の仕上げですが、それは最終版に仕上げて確認した上で、後日ホームページで公表することになっております。
山地座長
それでは、本研究会をこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

問い合わせ先

経済産業省資源エネルギー庁電力基盤整備課
電話:03-3501-1749

―― 了 ――

 
 
最終更新日:2009年9月11日
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