低炭素電力供給システムに関する研究会(第1回)−議事要旨
日時:平成20年7月8日(火)16:00〜18:00
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室
出席者
山地座長、伊藤委員、戒能委員、佐賀委員、辰巳 菊子委員、辰巳 国昭委員、早坂委員、廣江委員、松橋委員、松村委員、横山委員
(山名委員欠席)
議題
- 電気事業分野における新エネルギー対策・地球温暖化対策等について
- 低炭素電力供給システムの構築に向けて
- 討議
議事概要
西山資源エネルギー庁電力・ガス事業部長、山地座長より挨拶の後、吉野電力基盤整備課長より資料3、資料4に沿って設置趣旨と議事の取扱い等について説明。
渡邉新エネルギー政策企画室長より資料5に沿って、廣江委員より資料6に沿って、吉野電力基盤整備課長より資料7、8、9に沿ってそれぞれ説明。その後自由討議。
- 自分はこの分野の専門家ではないが、説明を伺ってこの研究会の委員としての役割が理解できた。あくまで一生活者として、普通の人間の視点から今後意見を申し述べていきたい。
- これは確認であるが、そもそも本研究会は2020年をターゲットにしているのか。それとも2030年などまで視野に入れた検討を行うつもりなのか。
- 電源ごとの目標は独立に達成するという理解でいいのか。それとも、原子力で50%目標が達成された場合は、太陽光などの導入施策は行わなくても良いことになってしまうが、そういうことか。
- 本研究会開催の直接のきっかけは「福田ビジョン」であり、2020年までにゼロ・エミッション電源を50%以上にするための諸課題を整理することが第一の目標。一方、それ以降が断絶しているわけではもちろんなく、検討を否定するつもりはない。
- 目標については、電源ごとに設定しており、原子力であれば40%〜44%、水力で7〜8%程度、新エネルギーで2〜4%としているが、一つ一つ着実にそれぞれ達成に向けて努力していくことによって50%目標が達成されるとの認識。
- ゼロ・エミッション電源の割合を50%以上にする、という目標には自家発や自家消費は含まれているのか。資源エネルギー庁ではそれらを含んだ数字を出されることも多いのだが。
- 福田ビジョンの中の数字はそれらを含んでいないものという認識であり、それを前提に議論していく。
- その論点については今まで明確な議論がなかったが、系統側の議論の方がわかりやすいと考えている。自家発はほとんどが火力であり、議論に馴染みにくいと思料。
- 新エネルギーの導入主体をどうするか、といった論点についても本研究会で議論していく予定。
- 電力の供給システムを考えていく上で、新エネルギーの導入による低炭素化には接続面の問題がつきまとう。特に私からは系統への接続の技術者として4点申し述べたい。
- まずは、技術のタイムフレームを明確化すること。蓄電池について言えば、鉛蓄電池は今でもほぼ実用化されている。一方リチウムイオンなどはまだまだ技術的に難しい面があり、時間がかかるだろう。
- 2点目は対策の導入のタイムフレーム。配電電圧を上げることや送配電線の増強などは非常に時間がかかる話であり、短期で行っていくのは蓄電池のような対策になるだろう。また、その導入のスピードも重要。
- 3点目は、一番重要なポイントだと思っているが、コスト負担について。どこまで事業者が負担し、どこまで需要家が負担するのか。二又の風力発電所は事業者が蓄電池を入れているが、これから家庭が全て導入するというのでは大量の新エネルギーの導入時には非常に大きなコストがかかり難しい問題。
- 4点目として、蓄電池やヒートポンプ蓄熱などの対策が有効であること。ヒートポンプ蓄熱にも熱ロスはあるが、蓄電池もロスがある。
- EVやプラグインの電池の活用も考えると良い。
- 蓄電池については、性能に比べで高コストであるという現状があり、自動車用は性能重視。性能とコストのバランスを如何に取っていくかが課題と認識。系統連系で蓄電池を多く入れれば良いがそうはいかない。自動車のように今の技術でどれくらいのことが出来るか等についてモデルケースを使って議論できれば良いと考えている。
- 自分は消費者の立場からいくつか意見を述べたい。そもそも、「ゼロ・エミッション電源」という言葉に違和感がある。原子力発電などは廃棄物を出す発電方式であり、おかしいのではないか。
- スウェーデンでは、自分で電力の性質を選択して、高い電力や安い電力の購入を判断できることになっているがそういった制度はあり得るのか。電力を使用する人間の負担が増える事自体は仕方がないとは思う。
- 最近の自分の回りでは、省エネ・省電力に関心が高い人が非常に増えている。一方で太陽光発電のためのパネルを設置したいという希望があっても、構造上不可能であるというようなことが多い。一戸建てだけでなく、マンションにもつけられるようにならないのか。ヒートポンプについては、家族の人数に比して水が多く使い切れないが多いと聞いている。
- いずれにせよ、環境問題に関心が高くても、各種の障害のために取組をあきらめざるを得ない人が多い現状は改善する必要がある。
- 「ゼロ・エミッション電源」というのは、発電時にCO2を出さないという意味。だいぶ使われている表現なのでご理解頂きたい。
- 別途御指摘があったが、資料7のP67、68にあるような発電コストの状況がある中で、2020年までには後10年しかなく、電源構成も大きくは変わらない。電力系統を再整備していくというのもその後の話。
- 純粋に経済原理だけで低炭素化を考えると、至近では京都メカニズムクレジットの取得で炭素排出をオフセットするのがもっとも現実的な解となってしまう。2020年では太陽光はコストベースにはならない。2020年とステップを分けつつ、2050年のような長期的目標も視野に入れた検討を行った方が良いのではないか。
- 電力会社の株式価値を最大化するという観点から意見を具申していきたいと考えており、経済合理性の観点から考えていきたい。本研究会の検討の視点として提案したいのは産業政策という観点。
- 環境ビジネスについては一国のみで完結する問題ではなく、世界のマーケットを見据えて動いていくべき問題。太陽光パネルなどは市場が急拡大している。いずれにせよ新エネルギーの導入には大きなコストがかかるのだから、開発支援などの資金の投入先を良く考えるべきではないか。
- 国民の理解と参加が不可欠。国民の関心が高まっているというお話もあったが、自分は、環境問題はあくまで他人事であるという人が多いと思う。国が情報をわかりやすく発信し、世論を形成していくことが重要。
- タイムフレームだが、電力業界にとって、10年というのはほとんど一瞬の時間。やはり長い時間軸で議論を行っていく方がよいのではないか。あくまで2020年は通過点と考え、エネルギーの代替策を考えていくのが良い。そういった長いスパンで考えると、原子力について言えば、リプレースの問題・中印での原子力発電の拡大に伴うウラン資源の逼迫化も十分に考えられ、核燃料サイクルが重要になってくるだろう。そういった状況も踏まえつつ、経営の合理性という観点から議論を進めていきたい。
- 国民の理解が重要との議論があったが、全く同感。関心が高いという話と逆に他人事にしか考えていないとの話については、両方とも真実。温暖化をテーマとしてシンポジウムを開催すると非常に多くの人が集まるが、自分に直接関係ない話は他人事という感じであまり関心がないように見受けられる。一方、太陽光発電などになると大きな関心を寄せてくる。電気のような身近な議論は与しやすいということなのだろう。
- 自分としては、今まで需要側のエネルギー分析や需要側の料金の支払い意志について研究をしてきたが、電気事業者と需要家では割引率なども変わるため、太陽光の導入コストなどの試算は非常に難しい問題。
- 今国会で改正省エネ法が成立したが、個別住宅の運営方法や省エネ基準をどうしていくか、トップランナー制度をどうするかなど課題がある。需要側も詳細に見ないといけない。需要家の選好をどうするか本研究会でも検討していってはどうか。
- 太陽光パネルの市場規模は予想以上に伸びてきている。メーカーとして言えば、材料不足で日本での生産が難しくなってきている現状があり、また、導入についても、諸外国と異なりネットワークが小さい我が国固有の事情などから導入にも大きなコストがかかっている現状がある。
- やはりコスト負担をどうしていくかがもっとも重要なイシュー。偏った地域に集中的に導入されない限り1,000万kWまでであれば系統に大きな影響を及ぼさずに導入できるとの電気事業者からの話もあり、2015年度あたりを目途に増やしていく必要があるだろう。
- 御指摘のあった点について何点か申し上げる。国民の参加のためのツールとしては、資料6のP18にも記載があるが、グリーン電力証書や余剰電力の購入などを行わせていただいているがなかなか入らない。
- また、ヒートポンプについては大容量のものが多く、通常の家庭で使いにくい。一方、大容量のものですら普及していない現状がある。開発や料金メニューを検討し、今後とも普及率の向上に努めてまいりたい。
文責:事務局
最終更新日:2008年7月14日