経済産業省
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金融市場における「環境力」評価手法研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成20年6月26日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省別館10階1031会議室

議題

  1. 金融市場における「環境力」評価手法研究会における検討事項
  2. 今後のスケジュール

出席者

石谷座長、稲永委員、浦西委員、江間委員、蔵元委員、末吉委員、菅野委員、筑紫委員、藤田委員、藤野委員、水口委員

議事概要

事務局より、「資料3金融市場における「環境力」評価手法研究会における検討事項」に基づき、

  • 研究会立ち上げの背景
  • 企業の「環境力」評価手法における視点
  • 企業の「環境力」情報開示における視点等

について説明。これに対する委員からの発言は以下のとおり。
 

評価手法・インデックスのあるべき姿、進め方

  • 環境に取り組んでも収益が上がらないという現状を変えたい。企業努力が市場で評価を得て、収益に反映される仕組みづくりが必要。
  • 証券会社や銀行が指数の向上に向けてどのように行動するか、また企業が指数を見てどのように幹部が受け入れるか、つまり評価の手法と受入側とが相まって進むことを期待。
  • 企業が行うことを適正に評価するということも重要であると同時に、企業に新しく行わせたいことを行わせる制度でもあるべき。現状を評価するのか、先をリードするのか。
  • 今回のインデックスは日本向けと海外向けのどちらを目指しているのか。それにより評価手法も変わる。
  • 環境を評価したインデックスを作ってもそのまま採用される訳ではなく、維持等にコストもかかるので、投資家、企業家、消費者にとってWIN-WIN-WINな関係をいかに築けるか、資産運用会社の体質、考え方を変えることができるかがポイント。
  • そのためには、インデックスは大義、理念、純粋さ、まじめさが重要。次に、シンプルで計測しやすい実用的なものでなければならない。
  • 現在ある指標の積み上げで作成できる指標では意味のあるインデックスにはならない。どのような社会にしたいか、どういう観点から評価すべきか、というようにバックキャスティングの考え方が必要。
  • 株価指数をベンチマークとして使う場合、取り上げる企業が多すぎるとメンテナンスが難しくなることに留意したい。
  • インデックスを投資対象のベンチマークとして使う場合、例えば500~1000の銘柄を選ぶのであれば、そのランキングに入ることが環境の取組のインセンティブになる。
  • カーボンオフセットの指数等をうまく使うと、単純化した企業の環境力評価が可能となるのではないか。
  • 中小企業までカバーする単純に評価できる指標が必要。
  • 環境力インデックスを作るのであれば、標準的なTOPIXに各指標をたくさん提供し、新しい銘柄発掘の材料を提供した方が結果的に思う方向に誘導できる。
  • 環境インデックスの活用によって日本株全体の成長率を上げ、国力を上げることも可能。
  • 環境影響は従来は公害問題やCO2の排出に代表されるような外部不経済であったが、今後は外部経済としての環境影響を考慮しなければならない。また、そのような環境影響が市場で考慮されるようにならないと、環境力の優れた会社の株価は上がらない。
     

評価の視点(短期・長期、定量・定性、業種共通・業種別等)

  • 評価の時間軸がどんどん短くなっているので、長期的にはインタンジブルアセットが企業価値を高めると分かっていても、現場ではなかなか評価されない。インタンジブルアセットは定量化が難しいが、企業の差別化のためには定性的なものを見える化し、同じ土俵で比較可能なものにすることが必要。環境力は比較的定量化しやすいものと期待。
  • 実務家ファンドマネージャーやアナリストは視点がどんどん短期的な軸にシフトしているので、環境をどのように啓蒙するかが重要。
  • 資産運用会社の環境力をどう見極めるかが重要。例えば、アンケートを実施したときに、返信がある企業とない企業とではパフォーマンスが異なっていたりする。つまり、環境力をどれだけ真剣に考えているか否かで基本的な資産運用に差が出る。
  • 定量化できる部分と定性的にしか評価できない部分があり、投資のプロフェッショナルによる定性的な評価と、カーボンフットプリントとも連携したCO2の定量化等の評価を組み合わせなければならない。
  • 環境力を評価するときに、ライフサイクルにおけるCO2排出量を企業間で比較することは可能であるが、これは企業の現状の成績を評価していることである。一方で、将来的な環境力を評価するためには、インタンジブルなものに目を向けることが必要。
  • インタンジブルな経営情報は、企業の基本的方針、企業トップのコミットメント、具体的な経営計画などに表れる。また、その企業が有言実行であるかは長期的な時間軸で取組みの進展状況の結果検証によって評価できる。
  • 企業を経年的に見るとその企業の方向性が見えてくる。経年的な評価をすると、企業価値の増大が着実に株価に反映されていることもわかるが、現場の3ヶ月毎の競争にさらされているファンドマネージャーにとっては長期的視野での企業評価は難しいとは思う。
  • 企業の長期的評価と短期的評価は分ける必要があるだろう。長期的評価について現在の市場で受け入れられるかがポイント。
  • ファンドマネージャーがどのようなカテゴリーに投資するかを見ると、環境力を指数ではなく単純化した基準、例えばチームマイナス6%に参加しているか否かで選択している例もある。
  • インタンジブルなものは表にあらわれるものがある。例えば倒産した企業の多くはホームページに社長の写真を載せていない。これはいわば社長の心のインサイダー情報である。他にも、アニュアルレポートや環境報告書の発行の有無やホームページの更新頻度と株価パフォーマンスにも相関係数がある。ホームページの更新頻度は、その企業がコミュニケーションを図ろうとしているかという姿勢を示すものだと思う。
  • インタンジブルなものを可視化することは、企業の考え方を表すことでもある。外部的要因が内部の影響であることは多い。
  • 環境問題への取り組みについて、CO2削減量も重要であるが、新しい環境問題に挑戦する企業こそ経営者が素晴らしく、センシティビティ、組織力がある。
  • CO2を減らすことを目指し、生き残るビジネスへとどのように企業体質を変えるかが重要。表面上の結果だけでなく、企業が何を求めて動いているのかを先行指標的に評価することが重要。
  • 例えば、ドイツのBASFはClimate Protection Officerを自社組織に設置し、カーボンバランスということで、商品をユーザーが使うことでCO2が減る等を企業のセールスポイントにしている。このような競争が始まるので、今回の評価手法には、日本企業が今後国際競争を勝ち抜いていく視点を提示する必要がある。
  • 指標は比較可能なものでなければならない一方で、業種や業態によって影響する場面が異なるので、すべてに共通というよりも業界別の評価指標が必要。
     

評価の対象範囲(CO2、3R等)

  • 環境力とは何か、どのような環境改善を進めようとしているのかを明確にすべき。例えばCO2排出量のみを評価するのか、他の環境関連事項も評価するのか。
  • 評価の対象範囲について、CO2だけに限る必要はない。例えば、企業活動にとって3Rは重要なテーマである。
  • CO2だけでなく3Rも評価するというのは良いと思うが、インデックスには売り、特徴が必要。最近の環境インデックスでは、現在注目されている新分野は気候変動なので、それを大きな柱として、3Rや省エネも結局は気候変動につながるというとらえ方が必要。
  • 3RはCO2と矛盾する場合もあるので、その場合には整理が必要。
     

投資家・金融機関の視点

  • インデックスは利用されないと意味がない。どれだけの機関投資家が利用するかを考えなければならない。
  • 機関投資家はESGを評価したいのに、なぜSRIインデックスを利用しないのか、どのようなインデックスが望まれているのかを考えなければならない。
  • インデックスを利用してもらうためにはプロフェッショナルな仕組みが必要。
     

企業の視点

  • 企業としては環境に関して毎年継続した活動を実施しているにも関わらず、評価は年によって異なっているという経験もあり、評価するということは難しいと感じている。
  • 日本の環境力が正しく評価されないのは、日本企業のビジネスモデルが20世紀後半のモデルのままであることが理由と考えている。インデックスの力でビジネスモデルを変えるべき。
     

消費者の視点

  • 投資家から見ると企業価値の維持向上が重要だとすると、最終的には消費者の支持を得る企業が伸びるので、そのような視点に評価手法がどれだけ役に立つか。
  • 株価指数は直接金融であるが、融資は間接金融であるので、公表することで外との接点はあるが、企業と金融機関とで完結する世界。間接金融における評価のあり方と異なり、直接金融では消費者等のより広い一般の人に理解しやすいものであることが重要。
     

世界の視点

  • 海外の動きは義務化が目の前であり、日本と海外では企業評価に対する視点は異なっている。例えば、海外ではきめ細やかな取組は評価されず、一方で海外で重要とされていることを日本では無視していることもある。そうなると、広がりは難しくなる。
  • アジアの動きは欧米の影響を受けているので、世界の動きが重要。
  • 評価手法そのものも競争にさらされていくだろう。その場合にはどの分野で競うのかを考えなければならない。欧米の投資家は現実より先を見ており、この日本と海外のギャップを埋める必要がある。
  • 海外投資家は仮説を信じて皆で行動する。例えば「ESGがパフォーマンスを上げる」という仮説を信じて行動することでマーケットを作り出している。
     

情報開示

  • 近年、CSR報告書が普及してきたことで、環境の視点がぼやけてきているのではないかと感じている。
  • 情報開示についての検討も必要。ダボス会議の中にCDSB(Climate Disclosure Standard Board)という組織が2007年に設置され、制度開示の中で気候リスク情報を開示する仕組みを研究している。精力的に議論しており、近々IASB(国際会計基準審議会)に意見を提出しようとしており、これとの連携や情報収集が必要。
  • また、国内では地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律の附帯決議で投資家向けの情報開示を検討すべきとされており、これについて政府内でも連携をとるべき。
 
 
最終更新日:2008年7月24日
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