経済産業省
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金融市場における「環境力」評価手法研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成20年10月16日(火)10:00~12:00
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

議題

  1. 「環境力」評価フレーム案について
  2. 既存の環境評価手法について
  3. 今後の検討スケジュールについて
  4. その他

出席者

石谷座長、阿部委員、稲永委員、稲葉委員、浦西委員、江間委員、蔵元委員、末吉委員、菅野委員、竹ヶ原委員、筑紫委員、藤野委員、水口委員

議事概要

「環境力」評価フレーム案について

  • 企業規模に応じた評価項目を設定するなどの工夫がないと、大企業が高評価となるフレームとなる恐れもある。小さい会社でも環境意識が高ければ資金を投入しなければならないので、メルクマールは多段階であるべきであり、その点に留意すべき。
  • 『環境規範への対応』とは、法の遵守を意味しているのか、それとも遵守以上の取組を求めているのか。→(事務局)『環境規範への対応』は法の義務の遵守は当然のことであるが、それだけでなく、義務以上の取組も評価すべき。
  • 特にヨーロッパのREACH対応では各社とも苦労しているので、『化学物質管理』は、特出する必要がある。
  • 企業の内製率が高い方が企業の環境負荷が大きくなり評価が低くなるなどの懸念があるため、それに対する工夫が必要。
  • 東京都では省エネ目標を設定して到達できないとペナルティを課しているが、このような施策の位置づけについては、どのように考えているのか。→(事務局)自治体ベースの評価指標についてはすべてを具体的に記載できないが、顕著なものは指標への盛り込み方を検討したい。
  • 東京都のCO2の問題(地球温暖化対策計画書制度)は強力であるが、計画書制度については、東京都だからこそ実施できるものであり、他の地方自治体が実施すれば企業が消えてしまうだろうから、取扱は今後検討を要する。
  • 評価項目Iは積極的な取組によって短期的にはコストが増大するという性質があり、評価項目IIについては、消費者意識に依存する性質があるので、短期的には企業収益や株価に反映されないおそれがある。その意味では、目的のところに、株価への反映については「中長期的に見て」というような文言を入れるべき。
  • 評価フレーム全体としては、広い視点で捉えるが、本研究会では、評価項目Iが議論の中心となるのではないか。
  • 長期/短期という区分をして評価指標を記述しているが、長期/短期ともに評価指標は同一であり、評価結果を見る期間が違うだけという整理もできる。
  • フレームだけの公表では使い勝手が悪くなってしまう。フレームを利用する原則を示す必要があるのではないか。例えば、評価に当たっては長期・短期の両方の視点で見るということや、企業規模や業種を勘案して評価する等、いくつかの基本原則があるべき。
  • フレームの評価項目の内容をすべて研究会内のみで作成するのは限界があるので、パブリックコメント等の実施により、幅広く社会の意見を聞くべき。
  • この種の評価項目は時間とともに変化するので、フレームの中に評価項目を一定期間ごとにリバイスするプロセスをあらかじめ組み込んでおくべき。
  • 評価項目の環境コミュニケーションの実践に関して、ステークホルダーダイアログの取組み、例えばNPO/NGOからの意見を聞く態度か否か等も、評価指標として必要。
  • 評価項目IIから評価項目IIIへの流れは、B to Cの企業には合致するが、B to Bの企業上流の企業は、プロ同士の仕事なのでコミュニケーションをせず仕様に従って行っているだけというケースが多い。B to Bの企業の努力も正当に評価される工夫が必要。
  • 省エネ努力は日本の強みなので、エネルギー効率に関する指標を盛り込むなど、企業の省エネ努力が評価される指標が必要。
  • 省エネは重要であり、セクター別アプローチの枠組みと整合性のとれたものとすべき。
  • 環境改善のためのR&D投資額(売上高との比率等)も評価指標とすべき。
  • R&D投資額などは、絶対値で表すか相対値で表すかは大きな問題であり、公表値をどのように評価するかは検討が必要。
  • 評価フレームの縦軸について、「温暖化防止・省エネ」「3R」については違和感ないが、「公害」の範囲は従来の大気・水質・騒音があるが、最近ではこれらをひとくくりにして「化学物質管理」という分類でよいのではないか。
  • 「生物多様性」は人体影響等と同様に、温暖化等とはフェーズが異なる。「生物多様性」というエンドポイントの表現ではなく、水、森林破壊等、ミッドポイントで表現すべき。
  • 資料2にある目的からすると、本環境評価フレームはあらゆる利用者を想定して作成しているのか、それともある程度利用のあり方を想定して作成しているのかが重要。
  • 本評価フレームは、製造業を意識した構成となっているが、金融などのサービス業の位置づけも考えるべき。
  • 利用のあり方を具体的に想定しながら、それに適応できるデータの提供や規格の統一をすべき。
  • 環境力評価フレームでは、環境だけに特化されているが、世界的には「ESG」が評価されている。世界の評価を考えれば、企業としてESGに対応していることを環境経営の必須要件として評価項目に入れるべき。
  • 資料4-5p.2の評価手法について、掲載されている評価項目を同じフェーズと考えると混乱するのではないか。評価については、先ず最初に情報開示があって、(1)それをいろいろな影響を比べて足し算するか、(2)売上高や付加価値と比べて環境効率の指標にするか、(3)自社の環境効率を産業平均やベンチマークと比較するか、これらのうち、どこの段階まで検討するかを整理すべき。
  • 資料4-6「NGOからの提言等」について、環境経営の実践の欄に提言が示されているが、NGOの意識としては、環境規範への対応についての提言なのではないか。だとすると、環境規範というのは法規制なのか、もっと広い規範なのか、価値観なのか。→(事務局)環境規範とは、法規範だけでなく社会規範も対象となる。
  • コンプライアンスの視点は大きな要素であるが、環境法令とは何を指すのか。例えば、グリーン購入法の違反は環境法令の違反なのか、独禁法の違反は、環境法令ではないので考慮しなくてもよいのか。これを整理する意味でも、環境規範をどのように捉えるのか、道筋を示すべき。
  • フレームワークは全体像でよいが、ここからピックアップして指標を作るときには、1つに絞らず複数あってもよい。例えば、「気候変動リスク防止インデックス」等をいくつか並べて全体として環境力評価指標ということにすべき。このように特定のイシューに絞ることで、より深い検討ができる。
  • 銀行は、過去の企業行動等を調べ、融資するかどうかを判断する。それに対し、投資は、企業の将来を評価するものである。融資と投資は、必要とする情報やその質が異なるのではないか。→銀行においても経営者の将来のビジネスプランを評価して融資判断をするし、投資判断も、将来の判断に信憑性をもたせるために過去の経営に関する情報を勘案するものである。目標を実践し、結果があり検証し、その反省で次の目標を設定するという過去の実績から企業の信頼性を評価することも重要。
  • 環境力評価は、“将来に向かってのポジティブな変化を呼び起こすもの”と考えれば、これから何をしていくのか、結果がどうなるのかということが重要。

情報開示について

  • 環境力評価には、固有技術の有無や、従業員レベルで環境改善に取り組む体制の有無などの視点も重要。→視点としては重要だか、評価が難しいのではないか。企業が情報公開していないのではないか。→環境投資は、環境会計で公表している。一部の技術については、広告や環境報告書などで積極的に訴求されている。生産技術やノウハウについては企業秘密として情報開示していないケースが多いが、知財は公開されているので、環境に関する知財がどの程度あるかという調査は間接的には可能である。従業員レベルの環境保全活動については、環境報告書などで公表されているので、いろいろな評価手法はあると思う。
  • 技術の核心の知財は、企業が最も情報を隠したい事項なのではないか。ある程度のディスクロージャーを義務付けるなどの工夫によりできるだけ開示させることが必要。→例えばトップランナーをどれぐらい維持してきたかなど、公表されている過去の実績から推計し、指標化するのが限界なのではないか。→ディクロージャーを義務付けなくても、例えば、情報開示した場合には評価対象となるというようなことにすれば開示が進むのではないか。→(事務局)義務となるかはわからないが、情報開示を促す施策について検討していきたい。有価証券報告書への記載について、どの程度受容性があるのか検討したい。
  • 財務諸表のように標準化して比較可能な部分と、プロ評価でしかできない部分とを峻別して情報開示の議論を行うことが必要であり、それを評価手法の議論とリンクさせることが必要。
  • 情報公開に関して、EUのアニュアルレポートによると、財務諸表のグリーン化については、排出権を企業が使い出したときから既に載ってきている。現在検討している評価指標がこの財務諸表の利益・資産・負債との関係で陳腐化しないような形をとりたい。かつ、評価指標のピックアップの重要性を再検討する必要があろう。
  • いくら精密なロジックを作ってもデータが正確でなければ砂上の楼閣なので、データの正確性をどのように担保するか、できれば規制ですべて開示義務を負わせて、それをベースに作るのがベストであろう。
  • 情報開示についてはある視点での峻別が必要ではないか。キャッシュフローが毀損するリスクについては財務データとして2011年以降入ってくるので、ここにフォーカスすると陳腐化するおそれがある。他方、キャッシュフローを増やす方向に働く技術開発、知財等は財務諸表への反映が難しいので、むしろ陳腐化しない指標を作ろうとするのであれば、そちらにフォーカスを当てるべき。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月5日
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